JP5739750B2 - プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池のセパレータに好適に用いられるプロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法に関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムを塗布してなる正極と、銅箔の表面にカーボンを塗布してなる負極と、この正極と負極の短絡を防止するために正極と負極とを仕切るセパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。
そして、リチウムイオン電池は、その充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する一方、放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動することによって充放電が行われる。従って、リチウムイオン電池に用いられているセパレータは、リチウムイオンが良好に透過し得ることが必要である。
リチウムイオン電池の充放電を繰り返すと、負極端面にリチウムのデンドライト(樹枝状結晶)が発生し、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と負極とが微小な内部短絡(デンドライトショート)を起こし、著しく電池容量が劣化するという問題がある。
リチウムイオン電池の安全性の向上のため、ポリエチレンを主とするオレフィン系樹脂の多孔フィルムがセパレータに使用されている。これは、リチウムイオン電池が短絡などによって異常発熱した場合に、多孔フィルムを構成しているポリエチレンが130℃前後の温度領域で溶融し、多孔構造が閉塞すること(シャットダウン)によって、リチウムイオン電池の異常発熱を停止させて安全性を確保することができるからである。
近年、自動車用のリチウムイオン電池のような大型電池は高出力化が進んでおり、130℃を超える急激な温度上昇もあり得るため、シャットダウン機能は必ずしも求められておらず、リチウムイオン電池の耐熱性が重要視されている。又、リチウムイオン電池の高出力化のためには、リチウムイオンがセパレータを通過する際の低抵抗化が求められており、セパレータの高い透気性が必要とされている。更に、大型のリチウムイオン電池の場合には、長寿命、長期安全性の保障も重要となる。
耐熱性の高いポリプロピレンの多孔フィルムを用いたセパレータは種々提案されており、特許文献1には、例えば、ポリプロピレンとポリプロピレンより溶融結晶化温度の高いポリマーおよびβ晶核剤となる組成物を溶融押出し、高温でシート状に成形後、少なくとも一軸延伸することを特徴とするポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法が提案されている。
しかしながら、上記ポリプロピレン微孔性フィルムの製造方法で得られたポリプロピレン微孔性フィルムは、透気度が低く、リチウムイオンの透過性が不充分であり、高出力を要するリチウムイオン電池に用いることは困難である。
又、特許文献2には、ポリオレフィン樹脂多孔膜の少なくとも片面に、無機フィラー又は融点及び/又はガラス転移温度が180℃以上の樹脂を含有する厚さ0.2μm以上100μm以下の多孔層を備え、透気度が1〜650秒/100ccである多層多孔膜が提案されているが、上記多層多孔膜も、リチウムイオンの透過性が不充分であり、高出力を要するリチウムイオン電池に用いることは困難である。
更に、特許文献3には、軽金属よりなる負極、非水電解液が含浸されたセパレータ、および正極で構成される非水電解液電池において、上記セパレータにポリエチレン微粉末が予め添着されている非水電解液電池が提案され、高出力用途に適した高耐熱性のポリプロピレン不織布をセパレータに用いている。
しかしながら、上記セパレータは、数μm程度の大きな孔径を有していることから、微短絡が起こりやすいことが予想され、セパレータの寿命、長期安全性が充分ではないという問題点の他に、不織布を使用しているため、セパレータの薄膜化が困難という問題点も有する。
特開昭63−199742号公報 特開2007−273443号公報 特開昭60−52号公報
本発明は、リチウムイオンの透過性に優れており高性能のリチウムイオン電池を構成することができ、高出力用途に用いてもデンドライトによる正極と負極の短絡や放電容量の急激な低下が生じにくいプロピレン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法を提供する。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することによって微小孔部が形成されてなるプロピレン系樹脂微孔フィルムであって、上記プロピレン系樹脂は、重量平均分子量が25万〜50万であり、分子量分布が7.5〜12.0であり、且つ融点が160〜170℃であり、上記プロピレン系樹脂フィルムは、100%伸長時の弾性回復率が95%以上であることを特徴とする。
プロピレン系樹脂微孔フィルムに用いられるプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。又、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられる。
プロピレン系樹脂の重量平均分子量は、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの微小孔部の形成が不均一となることがあり、大きいと、製膜が不安定になることがあり、又、微小孔部が形成されにくくなる虞れがあるので、25万〜50万に限定され、28万〜48万が好ましい。
プロピレン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率が低くなることがあり、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下することがあるので、7.5〜12.0に限定され、8.0〜11.5が好ましく、8.0〜11.0がより好ましい。
ここで、プロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、プロピレン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したプロピレン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)のo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてプロピレン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてプロピレン系樹脂をBHTのo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってプロピレン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
プロピレン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
プロピレン系樹脂の融点は、低いと、プロピレン系樹脂微孔フィルムの高温における機械的強度が低下することがあり、高いと、製膜が不安定になることがあるので、160〜170℃に限定され、160〜165℃が好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、上述したプロピレン系樹脂からなるプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することによって得られる。一軸延伸前のプロピレン系樹脂フィルムの100%伸長時の弾性回復率は、95%以上に限定され、96%以上が好ましい。100%伸長時の弾性回復率が95%未満のプロピレン系樹脂フィルムでは、これを一軸延伸しても均一に微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができないため、リチウムイオンを円滑に且つ均一に通過することができるプロピレン系樹脂微孔フィルムが得られない虞れがある。
プロピレン系樹脂フィルムの100%伸長時の弾性回復率は、温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で、下記の要領で測定された値をいう。先ず、プロピレン系樹脂フィルムを幅10mm、長さ100mmの短冊状に切断することにより試験片を作製する。なお、プロピレン系樹脂フィルムの押出方向が試験片の長さ方向となるようにする。この試験片にその長さ方向に対して平行に且つ長さ50mmの標線を引いた後、試験片をその長さ方向の両端部をつかみ具で把持して引張試験機に取り付けた。この時、つかみ具間の距離を50mmに設定し、つかみ具の間に試験片の標線が配置されるようにした。次に、上記試験片をその長さ方向に引っ張り速度50mm/分でつかみ具間の距離が100mm(伸長率100%)となるまで伸長した後、上記試験片を直ちに同じ速度(50mm/分)でつかみ具間の距離が50mmとなるまで弛緩させる。そして、伸長前の試験片の標線の長さ50(mm)、100%伸長した時の試験片の標線の長さ100(mm)、及び弛緩させて引張荷重がゼロになった時の試験片の標線の長さL(mm)をそれぞれ測定し、下記式(1)に基づいて弾性回復率(%)を算出する。そして、上記と同じ要領で、3個以上の試験片を作製し、各試験片の弾性回復率を算出し、その相加平均値をプロピレン系樹脂フィルムの100%伸長時の弾性回復率とする。
弾性回復率(%)=100×(100−L)/50 (1)
プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気度は、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムのリチウムイオンの透過性が低下して、プロピレン系樹脂微孔フィルムを用いたリチウムイオン電池の電池性能が低下することがあり、小さいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムのフィルム強度が低下するので、100〜400s/100mLが好ましく、100〜320s/100mLがより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気度は、JIS P8117に準拠して23℃、相対湿度65%にて測定された値をいう。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率は、透気度を制御する主要な因子であり、微小孔部のサイズと単位面積当たりの微小孔部の数によって決まる。プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気度を高くするためには微小孔部のサイズを大きくするか又は微小孔部の数を増やせばよいが、後者の制御は前者ほど容易でなく、従来の微孔フィルムにおいては透気度の高いフィルムほど微孔のサイズが大きくなる傾向にあった。その結果、従来の微孔フィルムは、局所リチウムイオン移動による抵抗値の上昇やデンドライトの発生、フィルム強度の低下といった課題を抱えるものであった。そこで、本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムでは、そのリチウムイオン移動の低抵抗を確保でき、且つデンドライトの生じにくい水準に微小孔部のサイズを維持しつつ、プロピレン系樹脂微孔フィルムの単位面積当たりの微小孔部の数を増やすことにより、上記所定の透気度を有するプロピレン系樹脂微孔フィルムを得ることに成功したものである。このようなプロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率は25〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成された各微小孔部を、長辺と短辺の何れか一方が延伸方向に平行となる長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち、測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、大きいと、局所的なリチウムイオンの移動によってデンドライトショートが発生する虞れがあり、又、プロピレン系樹脂微孔フィルムの機械的強度が低下する虞れがあるので、1μm以下が好ましく、100nm〜900nmがより好ましい。
プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、大きいと、デンドライトショートが発生する虞れがあるので、500nm以下が好ましく、10nm〜400nmがより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面をカーボンコーティングする。次に、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、プロピレン系樹脂微孔フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
プロピレン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、透気度及び表面開口率が上記範囲を満足すると共に微小孔部のサイズをデンドライトショートが発生しにくいサイズとするために、15個/μm2以上が好ましく、17個/μm2以上がより好ましい。
なお、プロピレン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、プロピレン系樹脂微孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、この個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
次に、プロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法について説明する。先ず、プロピレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出機の先端に取り付けたTダイからプロピレン系樹脂フィルムを押出す(押出工程)。
プロピレン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のプロピレン系樹脂の温度は、低いと、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムの厚みが不均一となり或いはプロピレン系樹脂微孔フィルムの表面平滑性が低下し、高いと、プロピレン系樹脂の配向性が低下してプロピレン系樹脂がラメラを生成しない虞れがあるので、プロピレン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下が好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも80℃高い温度以下であることがより好ましい。
プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が小さいと、プロピレン系樹脂に加わる張力が低下して、プロピレン系樹脂の分子配向が不充分となり、プロピレン系樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがある。又、プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比が大きいと、プロピレン系樹脂の分子配向は高いものとなるが、プロピレン系樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られるプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下する虞れがある。したがって、プロピレン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。また、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
更に、プロピレン系樹脂フィルムの製膜速度は、小さいと、プロピレン系樹脂に加わる張力が低下して、プロピレン系樹脂の分子配向が不充分となり、プロピレン系樹脂がラメラを充分に生成しない虞れがあり、大きいと、プロピレン系樹脂の分子配向は高いものとなるが、プロピレン系樹脂フィルムの製膜安定性が低下し、得られるプロピレン系樹脂フィルムの厚み精度や幅精度が低下するので、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜30m/分が特に好ましい。
そして、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が上記プロピレン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することにより、プロピレン系樹脂フィルムを構成しているプロピレン系樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練したプロピレン系樹脂を押出すことにより、プロピレン系樹脂フィルムを構成しているプロピレン系樹脂分子を予め配向させた上で、プロピレン系樹脂フィルムを冷却することにより、プロピレン系樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができると共に、プロピレン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列したラメラ構造を形成させることができる。
冷却されたプロピレン樹脂フィルムの表面温度は、プロピレン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下が好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも140〜110℃低い温度がより好ましく、プロピレン系樹脂の融点よりも135〜120℃低い温度が特に好ましい。冷却されたプロピレン樹脂フィルムの表面温度が高いと、プロピレン樹脂フィルムを構成しているプロピレン樹脂を十分に結晶化させることができず、ラメラを生成しない虞れがある。
次いで、得られたプロピレン系樹脂フィルムを養生する(養生工程)。このプロピレン系樹脂の養生工程は、押出工程においてプロピレン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。このことにより、後述するプロピレン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
プロピレン系樹脂フィルムの養生温度が低いと、ラメラを十分に成長させることができず、養生工程後のプロピレン系樹脂フィルムの弾性回復率を十分に向上できない虞れがある。また、プロピレン系樹脂フィルムの養生温度が高いと、プロピレン系樹脂フィルムのプロピレン系樹脂分子の配向が緩和してしまい、ラメラが崩れる虞れがあるので、プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下に限定され、プロピレン系樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも5℃低い温度以下が好ましい。
なお、プロピレン系樹脂フィルムの養生温度とはプロピレン系樹脂フィルムが設置されている雰囲気の温度とする。したがって、例えば、熱風炉などの加熱装置内部でプロピレン系樹脂フィルムの養生を行う場合には、加熱装置内部のプロピレン系樹脂フィルムが設置されている雰囲気の温度を養生温度とする。
プロピレン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上行うのが好ましく、1時間以上行うのがより好ましい。プロピレン系樹脂フィルムの養生時間が、短いと、ラメラを十分に成長させることができず、養生工程後のプロピレン系樹脂フィルムの弾性回復率を十分に向上できない虞れがある。
プロピレン系樹脂フィルムの養生は、プロピレン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。なかでも、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させるのが好ましい。
プロピレン系樹脂フィルムを走行させながら養生を行う場合、プロピレン系樹脂フィルムが撓むのを抑制するために、プロピレン系樹脂フィルムにはその走行方向にある程度の張力を掛けた状態でプロピレン系樹脂フィルムを走行させる必要がある。しかしながら、このようにしてプロピレン系樹脂フィルムを走行させながら養生を行う場合、プロピレン系樹脂フィルムに張力が掛かることでプロピレン系樹脂フィルムに伸びが発生するため、押出工程においてプロピレン系樹脂フィルム中に生成させたラメラが破損し、ラメラの成長を十分に促進できない虞れがある。このようなラメラが十分に成長されていないプロピレン系樹脂フィルムを延伸工程で延伸しても、プロピレン系樹脂フィルムに貫通孔を十分に形成することができず、リチウムイオンを円滑に且つ均一に通過することができるプロピレン系樹脂微孔フィルムが得られない虞れがある。これに対して、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、プロピレン系樹脂フィルムに必要以上に張力が掛からないため、押出工程においてプロピレン系樹脂フィルム中に生成させたラメラが破損するのを高く抑制しつつ、プロピレン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることが可能となる。なお、養生を施した後は、プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取ったロールからプロピレン系樹脂フィルムを巻き出して次の延伸工程を行えばよい。
プロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上がより好ましく、15時間以上が特に好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のプロピレン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的にプロピレン系樹脂フィルムの温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、プロピレン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、養生時間が長すぎると、養生時間の増加分に見合ったプロピレン系樹脂フィルムのラメラの成長が見込まれず、かえってプロピレン系樹脂フィルムが熱劣化する虞れがある。したがって、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
本発明の方法では、押出工程において溶融混練したプロピレン系樹脂を押出してプロピレン系樹脂分子が配向されたプロピレン系樹脂フィルムを得、このプロピレン系樹脂フィルムを冷却することによりプロピレン系樹脂フィルム中にラメラを生成させた上で、上記プロピレン系樹脂フィルムを養生工程において上述した条件で養生させることにより、ラメラを成長させてラメラの厚みを厚くすることができる。したがって、上述した押出工程及び養生工程により得られたプロピレン系樹脂フィルムではラメラを十分に成長させて結晶化度が向上されていることにより、100%伸長時の弾性回復率を95%以上とすることができる。
次に、養生されたプロピレン系樹脂フィルムを延伸する(延伸工程)。この延伸工程は、第一延伸工程と、この第一延伸工程に続く第二延伸工程とを含むのが好ましい。第一延伸工程では、プロピレン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。
第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させる。
第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、延伸時にプロピレン系樹脂フィルムが破断する虞れがあり、高いと、ラメラ間の非結晶部において亀裂が発生しにくくなるので、−20〜100℃が好ましく、0〜80℃がより好ましい。
第一延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成されにくくなり、大きいと、プロピレン系樹脂微孔フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、1.05〜1.60倍が好ましく、1.10〜1.50倍がより好ましい。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のプロピレン系樹脂フィルムの長さを延伸前のプロピレン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
プロピレン系樹脂フィルムの第一延伸工程における延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、20%/分以上が好ましく、大き過ぎると、プロピレン系樹脂フィルムが破断する虞れがあるので、20〜3000%/分がより好ましく、20〜70%/分が特に好ましい。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのプロピレン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの延伸方法としては、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
次いで、第一延伸工程における一軸延伸後のプロピレン系樹脂フィルムに、好ましくは、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度が第一延伸工程での一軸延伸時のプロピレン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つプロピレン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて一軸延伸処理を施す(第二延伸工程)。第二延伸工程においても、プロピレン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このように、第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度よりも高い表面温度にてプロピレン系樹脂フィルムに第一延伸工程時と同一方向に延伸処理を施すことによって、第一延伸工程にてプロピレン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が向上しないことがあり、高いと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえってプロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあるので、第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つプロピレン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下が好ましく、第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つプロピレン系樹脂の融点より15〜80℃低い温度以下がより好ましい。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸倍率は、小さいと、第一延伸工程時にプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が成長し難く、プロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあり、大きいと、第一延伸工程においてプロピレン系樹脂フィルムに形成された微小孔部が閉塞してしまい、かえってプロピレン系樹脂微孔フィルムの透気性が低下することがあるので、1.05〜3倍が好ましく、1.8〜2.5倍がより好ましい。
第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度は、大きいと、プロピレン系樹脂フィルムに微小孔部が均一に形成されないことがあるので、500%/分以下が好ましく、400%/分以下がより好ましく、60%/分以下が特に好ましい。また、第二延伸工程において、プロピレン系樹脂フィルムの延伸速度は、小さいと、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が均一に形成されにくくなるので、15%/分以上とするのが好ましい。
上記第二延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの延伸方法としては、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
第二延伸工程にて一軸延伸が施されたプロピレン系樹脂フィルムはアニール処理が施される(アニーリング工程)。このアニーリング工程は、上述した延伸工程において加えられた延伸によってプロピレン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えるために行われる。
アニーリング工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度は、低いと、プロピレン系樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となって、得られるプロピレン系樹脂微孔フィルムの加熱時における寸法安定性が低下することがあり、高いと、延伸工程で形成された微小孔部が閉塞してしまう虞れがあるので、第二延伸工程時のプロピレン系樹脂フィルムの表面温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。
アニーリング工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮率は、大きいと、プロピレン系樹脂フィルムにたるみを生じて均一にアニールできなくなったり、微小孔部の形状が保持できなくなったりすることがあるので、30%以下に設定することが好ましい。なお、プロピレン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮長さを、第二延伸工程後の延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
このようにして得られたプロピレン系樹脂微孔フィルムは、多数の微小孔部がフィルム表裏面を貫通して形成され、優れた透気性を有している。従って、プロピレン系樹脂微孔フィルムを例えば、リチウムイオン電池のセパレータとして用いると、リチウムイオンは、プロピレン系樹脂微孔フィルムを円滑に且つ均一に通過することができるので、得られるリチウムイオン電池は優れた電池性能を発揮する。
更に、プロピレン系樹脂微孔フィルムは、多数の微小孔部が独立して形成されているので、上述の優れた透気性を維持しており、リチウムイオンが円滑に且つ均一に透過し易く、デンドライトが生成しにくく、更に、優れた機械的強度も有しており、リチウムイオン電池の充放電によって万一、負極端面にリチウムのデンドライトが生じたとしても、デンドライトがプロピレン系樹脂微孔フィルムを突き破ることはなく、デンドライトショートを確実に防止し、電池容量の劣化などの問題を生じることを未然に防止することができる。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムは、上述の如き構成を有しているので、優れた透気性を有しており、例えば、リチウムイオン電池に用いた場合にはリチウムイオンの通過を円滑で且つ均一なものとし、リチウムイオン電池は優れた電池性能を有していると共に、デンドライトショートの発生も概ね防止することができ、長期間に亘って安定した電池性能を有するリチウムイオン電池を構成することができる。
特に、本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムをセパレータに用いることによって、高出力用途においても放電容量の急激な低下やデンドライトショートの発生が概ね防止された高性能な電池性能を有するリチウムイオン電池を構成することができる。
本発明のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法によれば、上記の如きプロピレン系樹脂微孔フィルムを容易に製造することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜2)
表1に示した重量平均分子量、数平均分子量、及び融点を有するホモポリプロピレンを押出機に供給して樹脂温度200℃にて溶融混練し、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出して30℃にて冷却して厚みが30μmで且つ幅が200mmの長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た(押出工程)。なお、押出量は12kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は70であった。
得られた長尺状のホモポリプロピレンフィルム100mを外径が96mmの円筒状の芯体にロール状に巻取り、ロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムを、このホモポリプロピレンフィルムを設置している場所の雰囲気温度が表1に示した温度である熱風炉中に24時間に亘って放置して養生した(養生工程)。このとき、長尺状のホモポリプロピレンフィルムのロールの表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。なお、表1において、熱風炉中のホモポリプロピレンフィルムを設置している場所の雰囲気温度を「養生温度」の欄に記載した。
次に、養生を施したロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムからホモポリプロピレンフィルムを巻きだし、ホモポリプロピレンフィルムを押出方向(長さ方向)に300mm、幅方向に160mmの短冊状に裁断した。このホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置(井元製作所社製 商品名「IMC−18C6」)を用いて表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.2倍に押出方向にのみ一軸延伸した(第一延伸工程)。
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置(井元製作所社製 商品名「IMC−18C6」)を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2倍に押出方向にのみ一軸延伸した(第二延伸工程)。
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度が130℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして10分間に亘って放置して、ホモポリプロピレンフィルムにアニールを施して厚みが25μmのホモプロピレン微孔フィルムを得た(アニーリング工程)。なお、アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は20%とした。
養生工程において養生が施されたホモポリプロピレンフィルムの100%伸長時の弾性回復率を上述の要領で測定した。さらに、得られたホモプロピレン微孔フィルムの透気度、微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径、孔密度及び表面開口率を上述の要領で測定した。これらの結果を表1に示した。
なお、比較例1及び2で得られたホモプロピレン微孔フィルムでは、微小孔部がほとんど形成していなかったため微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径の測定を行うことができなかった。
Figure 0005739750

Claims (7)

  1. プロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸することによって微小孔部が形成されてなるプロピレン系樹脂微孔フィルムであって、
    上記プロピレン系樹脂は、重量平均分子量が25万〜50万であり、分子量分布が7.5〜12.0であり、且つ融点が160〜170℃であり、上記プロピレン系樹脂フィルムは100%伸長時の弾性回復率が95%以上であることを特徴とするプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  2. 透気度が100〜400s/100mLで且つ表面開口率が25〜55%であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  3. 微小孔部の開口端は、最大長径が1μm以下で且つ平均長径が500nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  4. 孔密度が15個/μm2以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルム。
  5. 重量平均分子量が25万〜50万であり、分子量分布が7.5〜12.0であり、且つ融点が160〜170℃であるプロピレン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイからプロピレン系樹脂フィルムを押出す押出工程と、
    上記押出工程で得られたプロピレン系樹脂フィルムを、上記プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点より1℃低い温度以下にて養生することにより、100%伸長時の弾性回復率が95%以上であるプロピレン系樹脂フィルムを得る養生工程と、
    上記養生工程で得られたプロピレン系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程と、
    上記一軸延伸が施されたプロピレン系樹脂フィルムをアニールするアニーリング工程とを含むことを特徴とするプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  6. 押出工程において、プロピレン系樹脂を押出機にてプロピレン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練すると共に、延伸工程が、プロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が−20〜100℃にて延伸倍率1.05〜1.60倍に延伸する第一延伸工程と、この第一延伸工程で延伸されたプロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が第一延伸工程におけるプロピレン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つプロピレン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸倍率1.05〜3倍に延伸する第二延伸工程とを含み、アニーリング工程において、プロピレン系樹脂フィルムをその表面温度が第二延伸工程時のプロピレン系樹脂フィルムの表面温度以上で且つプロピレン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下にてアニールすることを特徴とする請求項5に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  7. 養生工程において、押出工程で得られたプロピレン系樹脂フィルムをロール状に巻取り、このロール状に巻き取ったプロピレン系樹脂フィルムを、上記プロピレン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記プロピレン系樹脂の融点より1℃低い温度以下にて1時間以上養生することを特徴とする請求項5又は6に記載のプロピレン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
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