JP2015003969A - オレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法、及びオレフィン系樹脂微孔フィルム - Google Patents

オレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法、及びオレフィン系樹脂微孔フィルム Download PDF

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Yasuhiro Inagaki
泰博 稲垣
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Takahito Takeuchi
敬人 竹内
彰弘 小川
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彰弘 小川
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Abstract

【課題】優れた透気性を有していると共に、透気性のバラツキが低減されたオレフィン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法は、延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムを、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下で、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度を超え且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で、アニールする第1アニーリング工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法、及びオレフィン系樹脂微孔フィルムに関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン電池が用いられている。このリチウムイオン電池は、一般的に正極と、負極と、セパレータとを電解液中に配設することによって構成されている。正極は、アルミニウム箔の表面にコバルト酸リチウム又はマンガン酸リチウムが塗布されることにより形成される。負極は、銅箔の表面にカーボンが塗布されることにより形成される。そして、セパレータは、正極と負極とを仕切るように配設され、これにより正極と負極との短絡を防止している。
リチウムイオン電池の充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に進入する。一方、リチウムイオン電池の放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動する。このような充放電がリチウムイオン電池では繰り返される。従って、リチウムイオン電池に用いられているセパレータには、リチウムイオンなどのイオンを良好に透過できるようにするため、優れた透気性を有していることが必要とされる。
このようなセパレータとしては、オレフィン系樹脂微孔フィルムが使用されている。オレフィン系樹脂微孔フィルムは、多孔質性と機械的強度を得るために、オレフィン系樹脂フィルムを延伸させることによって製造されている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンと、ポリプロピレンより溶融結晶化温度の高いポリマーと、β晶核剤とからなる組成物を溶融押出し、高温でシート状に成形後、少なくとも一軸延伸する方法によって製造された微孔フィルムが開示されている。
特開昭63−199742号公報
しかしながら、従来のオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、フィルム全体において透気性にバラツキがあり、そのためイオン透過性も不均一であった。このようなオレフィン系樹脂微孔フィルムを用いた電池を長期間に亘って使用すると、イオン透過性が高い部位にデンドライトが発生して、電池内部で微小な短絡が起こり易くなり、その結果、電池の寿命を低下させる。そのため、透気性に優れている共に、透気性のバラツキが低減されたオレフィン系樹脂微孔フィルムが所望されている。
したがって、本発明の目的は、優れた透気性を有していると共に、透気性のバラツキが低減されたオレフィン系樹脂微孔フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法は、下記工程、
オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたダイから押し出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
上記押出工程で得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する養生工程と、
上記養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムを延伸して微小孔部を形成する延伸工程と、
上記延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムを、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下で、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度を超え且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で、アニールする第1アニーリング工程と、
を有することを特徴とする。
さらに、本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムは、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部の透気度がそれぞれ100〜600s/100mLであり、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における両端部の透気度と、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部の透気度との差が20s/100mL以下であることを特徴とする。
本発明によれば、優れた透気性を有していると共に、透気性のバラツキが低減されたオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
(押出工程)
本発明の方法では、先ず、オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたダイから押し出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程を実施する。
オレフィン系樹脂フィルムに用いられるオレフィン系樹脂としては、エチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂が挙げられる。なかでも、プロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂によれば、耐熱性に優れているオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体等が挙げられる。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであっても良い。なお、プロピレンと共重合体されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であるオレフィン系樹脂は、成膜安定性に優れ、微小孔部がより均一に形成されたオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
オレフィン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、特に限定されないが、7.5〜12.0が好ましく、8.0〜11.5がより好ましく、8.0〜11.0が特に好ましい。分子量分布が上記範囲内であるオレフィン系樹脂によれば、機械的強度の低下を高く抑制しつつ、表面開口率が高いオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
ここで、オレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、オレフィン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したオレフィン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)を溶媒として加えてオレフィン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてオレフィン系樹脂を、溶媒に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってオレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
オレフィン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
<測定装置>
TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
<測定条件>
カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
オレフィン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のオレフィン系樹脂の温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも80℃高い温度以下がより好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも50℃高い温度以下が特に好ましい。溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上とすることにより、均一な厚みを有するオレフィン系樹脂微孔フィルムを得ることができる。また、溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下とすることにより、オレフィン系樹脂の配向性を向上させて、ラメラの生成を促進させることができる。
オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を50以上とすることにより、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を300以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微孔フィルムを得ることができる。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。また、Tダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたプロピレン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度は、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜30m/分が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を10m/分以上とすることによって、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの成膜速度を300m/分以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの成膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微孔フィルムを得ることができる。
オレフィン系樹脂の融点は、特に限定されないが、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。融点が160℃以上であるオレフィン系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れているオレフィン系樹脂微孔フィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であるオレフィン系樹脂を用いることにより、オレフィン系樹脂微孔フィルムを安定して成膜することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂の融点は、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社 装置名「DSC220C」など)を用い、下記手順に従って測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂10mgを25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで加熱し、250℃にて3分間に亘って保持する。次に、オレフィン系樹脂を250℃から降温速度10℃/分にて25℃まで冷却して25℃にて3分間に亘って保持する。続いて、オレフィン系樹脂を25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで再加熱し、この再加熱工程における吸熱ピークの頂点の温度を、オレフィン系樹脂の融点とする。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する。このオレフィン系樹脂の養生工程は、押出工程においてオレフィン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。これにより、オレフィン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を形成させることができ、後述するオレフィン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程では、押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点より5℃低い温度以下にて養生することが好ましい。
オレフィン系樹脂フィルムの養生温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも5℃低い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの結晶化を促進させて、後述する延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムのラメラ間において微小孔部を形成し易くすることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも5℃低い温度以下にすることによって、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂の分子配向の緩和によってラメラ構造が崩れることを低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度である。しかしながら、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を測定できないような場合、例えば、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部でオレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
オレフィン系樹脂フィルムの養生は、オレフィン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
オレフィン系樹脂フィルムの養生をオレフィン系樹脂フィルムを走行しながら行う場合、オレフィン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のオレフィン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的にオレフィン系樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、オレフィン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの熱劣化を抑制するために、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させた場合、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムロールからオレフィン系樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及び第1アニーリング工程を実施すればよい。
(延伸工程)
次に、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムを延伸して微小孔部を形成する延伸工程を実施する。
この延伸工程は、下記工程、
オレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が−20℃以上100℃未満にて、延伸倍率1.05〜2倍に延伸する第1延伸工程と、
上記第1延伸工程で延伸されたオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が上記第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて、延伸倍率1.05〜3倍に延伸する第2延伸工程と、
を有していることが好ましい。
(第1延伸工程)
第1延伸工程では、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.05〜2倍に延伸を施す。第1延伸工程では、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向(長さ方向)にのみ一軸延伸する。第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させることができる。
第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、−20℃以上100℃未満が好ましく、0〜80℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を−20℃以上とすることにより、延伸時におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を低減することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を100℃未満とすることにより、ラメラ間の非結晶部において亀裂を発生させることができる。
第1延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.05〜2倍が好ましく、1.05〜1.6倍がより好ましく、1.2〜1.6倍が特に好ましく、1.25〜1.5倍が最も好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.05倍以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部が形成され、これにより透気性に優れ、イオンが透過する際の抵抗が低いオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を2倍以下とすることにより、オレフィン系樹脂微孔フィルムに微小孔部を均一に形成することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のオレフィン系樹脂フィルムの長さを延伸前のオレフィン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
オレフィン系樹脂フィルムの第1延伸工程における延伸速度は、20〜3000%/分が好ましく、20〜1000%/分がより好ましく、100〜1000%/分が特に好ましい。延伸速度を20%/分以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部を均一に形成することができる。延伸速度を3000%/分以下とすることにより、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を抑制することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのオレフィン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第2延伸工程)
第2延伸工程では、第1延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸倍率1.05〜3倍に延伸処理を施す。第2延伸工程においても、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向(長さ方向)にのみ一軸延伸する。このような第2延伸工程における延伸処理を行うことによって、第1延伸工程にてオレフィン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下が好ましく、第1延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度よりも高く且つオレフィン系樹脂の融点より15〜80℃低い温度以下がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を上記範囲内とすることによって、微小孔部をその閉塞を抑制しつつ成長させて、オレフィン系樹脂微孔フィルムの透気性を向上させることができる。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.05〜3倍が好ましく、1.8〜2.5倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を上記範囲内とすることによって、微小孔部の閉塞を抑制しつつ、微小孔部を成長させて、オレフィン系樹脂微孔フィルムの透気性を向上させることができる。
第2延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度は、15〜150%/分が好ましく、15〜100%/分がより好ましく、15〜60%/分が特に好ましい。延伸速度を上記範囲内とすることによって、オレフィン系樹脂フィルム中に微小孔部を均一に形成することができる。
上記第2延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第1アニーリング工程)
次に、上記延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムを、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下で、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度を超え且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で、アニールする第1アニーリング工程を行う。
この第1アニーリング工程では、上述した延伸工程において加えられた延伸によってオレフィン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和させ、これにより熱収縮の発生が高く低減されたオレフィン系樹脂微多孔フィルムを提供することができる。
特に、上述した延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムを延伸する際に、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部よりも両端部の方が延伸応力が高く負荷されるため、延伸されたオレフィン系樹脂フィルム中では、幅方向における中央部よりも両端部に残存歪みが高く発生している。そこで、本発明の方法では、第1アニーリング工程においてオレフィン系樹脂フィルムをアニーリングする際に、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部を比較的高い温度で加熱する。これによりオレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部に比較的高く生じていた残存歪みを効率的に緩和させることが可能となる。このような第1アニーリング工程を経て得られるオレフィン系樹脂微多孔フィルムでは、フィルム全体で残存歪みが均一に緩和されていることから、同等の形状を有する微小孔部が均一に形成されており、優れた透気性を有すると共に、透気性のバラツキの発生が高く低減されている。
第1アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下に限定されるが、オレフィン系樹脂の融点よりも20℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。上記表面温度が低いと、プロピレン系樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となる虞れがある。また、上記表面温度が高いと、延伸工程で形成された微小孔部が閉塞する虞れがある。
第1アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度を超え且つオレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下に限定されるが、オレフィン系樹脂の融点よりも8℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下が好ましい。このように比較的高い温度でオレフィン系樹脂フィルムの両端部を加熱することにより、オレフィン系樹脂フィルムの両端部に高く生じていた残存歪みを十分に緩和して、全体で残存歪みを均一に緩和させることが可能となる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部とは、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中心点から左右に等しく、オレフィン系樹脂フィルムの全幅に対して25%ずつ広がった合計50%の範囲を意味する。また、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向におけるにおける端部とは、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における端縁から中心点に向かって、オレフィン系樹脂フィルムの全幅に対して25%広がった範囲を意味する。
第1アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の収縮率は、0.1〜10%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。収縮率を上記範囲内とすることによって、微小孔部の閉塞を抑制しつつ残存歪みを高く緩和することができる。
第1アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の収縮率は、0.1〜10%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。収縮率を上記範囲内とすることによって、微小孔部の閉塞を抑制しつつ残存歪みを高く緩和することができる。
なお、プロピレン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの収縮長さを、延伸工程後の延伸方向におけるプロピレン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
(第2アニーリング工程)
さらに、本発明では、第1アニーリング工程後のオレフィン系樹脂フィルムを、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部及び両端部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下で、アニールする第2アニーリング工程を実施することが好ましい。このように第2アニーリング工程を実施することによって、オレフィン系樹脂フィルム中に生じた残存歪みをさらに緩和させることができる。
第2アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部及び両端部の表面温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも20℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。上記表面温度が低いと、プロピレン系樹脂フィルム中に残存した歪みの緩和が不充分となることがある。また、上記表面温度が高いと、延伸工程で形成された微小孔部が閉塞してしまうことがある。
第2アニーリング工程において、オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部及び両端部の収縮率は、0.5〜10%が好ましく、0.5〜5%がより好ましい。収縮率を上記範囲内とすることによって、微小孔部の閉塞を抑制しつつ残存歪みを高く緩和することができる。
上述した本発明の方法によれば、延伸による残存歪みが均一に緩和されているオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。このようなオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、同等の形状を有する微小孔部が均一に形成されていることから、優れた透気性を有すると共に透気性のバラツキの発生も少ない。
本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部のそれぞれの透気度は、100〜600s/100mLに限定されるが、100〜400s/100mLが好ましく、100〜200s/100mLがより好ましい。中央部及び両端部の透気度が上記範囲内であるオレフィン系樹脂微孔フィルムは、これを通過する気体の割合が高いことから、空隙率が高く、優れたイオン透過性を有する。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における両端部の透気度と、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部の透気度との差は、20s/100mL以下に限定されるが、0〜15s/100mLが好ましく、0〜10s/100mL以下がより好ましい。このように本発明によれば、透気度のバラツキが少ないオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムの透気度は、JIS P8117に準拠して、温度23℃、相対湿度65%の環境下にて測定することができる。そして、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部又は両端部の透気度とは、中央部又は両端部のそれぞれにおいて少なくとも10箇所、透気度を測定し、得られた値の相加平均値とする。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部のそれぞれの表面開口率は、20〜55%が好ましく、20〜50%がより好ましい。本発明によれば、残存歪みが均一に緩和されており、同等の形状を有する微小孔部が均一に形成されていることから、表面開口率に優れたオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における両端部の表面開口率と、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部の表面開口率との差は、10%以下が好ましく、0〜5%がより好ましい。本発明によれば、残存歪みが均一に緩和されており、同等の形状を有する微小孔部が均一に形成されていることから、表面開口率のバラツキも高く低減されたオレフィン系樹脂微孔フィルムを提供することができる。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部の表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部又は両端部のそれぞれの表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成されている各微小孔部を長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
そして、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部又は両端部のそれぞれにおいて少なくとも10箇所、表面開口率を上述した手順に従って測定し、得られた値の相加平均値をオレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部又は両端部の表面開口率とする。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の中央部及び両端部のそれぞれにおいて、オレフィン系樹脂微孔フィルムを105℃で1時間加熱した時の上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの長さ方向の熱収縮率は、0〜7%が好ましく、0〜4%がより好ましい。このように、本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、残存歪みが高く緩和されていることから、熱収縮の発生が高く低減されている。したがって、このようなオレフィン系樹脂微孔フィルムが組み込まれている電池内部の温度が高温となった際に、オレフィン系樹脂微孔フィルムが熱収縮して、正極と負極とが接触して内部短絡が発生することを高く低減することができる。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の中央部における上記熱収縮率と、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の両端部における上記熱収縮率との差は、1%以下が好ましく、0〜0.5%がより好ましい。このように、本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、フィルム幅方向において残存歪みが均一に緩和されており、熱収縮のバラツキも少ない。したがって、このようなオレフィン系樹脂微孔フィルムが組み込まれている電池内部の温度が高温となった際に、オレフィン系樹脂微孔フィルムが均一に熱収縮することから、デンドライトの発生を高く抑制することができる。これにより、デンドライトショートの発生やオレフィン系樹脂微孔フィルムの機械的強度の低下が起こり易くなる。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムの熱収縮率の測定は、以下の要領にて行うことができる。まず、オレフィン系樹脂微孔フィルムの任意の箇所から幅2cm×長さ10cmの試験片を切り出す。この時、プロピレン系樹脂微孔フィルムの長さ方向(押出方向)が試験片の長さ方向となるようにする。試験片の一方の短辺における中央部と試験片の他方の短辺における中央部とを結ぶ直線状の仮想線上に長さ8cmの標線を引く。次に、試験片を、内部の温度が105℃である恒温槽中に設置して1時間加熱した後、試験片を温度23℃の雰囲気下に5分間放置する。次に、試験片に引いた標線の長さ(L[mm])を測定し、下記式に基づいて熱収縮率(%)を算出する。そして、上記と同様の手順にて、オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の中央部又は両端部のそれぞれにおいて少なくとも10箇所、熱収縮率を測定し、その相加平均値をオレフィン系樹脂微孔フィルムの中央部又は両端部の熱収縮率(%)とする。
熱収縮率(%)=100×(8−L)/8
オレフィン系樹脂微孔フィルムの空隙率は、30〜70%が好ましく、35〜67%がより好ましい。空隙率が上記範囲内であるオレフィン系樹脂微孔フィルムは、透気性及び機械的強度に優れている。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムの空隙率は下記の要領で測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂微孔フィルムを切断することにより縦10cm×横10cmの平面正方形状(面積100cm2)の試験片を得る。次に、試験片の重量W(g)及び厚みT(cm)を測定し、下記式(I)により見掛け密度ρ(g/cm3)を算出する。なお、試験片の厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いて、試験片の厚みを15箇所測定し、その相加平均値とする。そして、この見掛け密度ρ(g/cm3)及びプロピレン系樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)を用いて下記式(II)に基づいてオレフィン系樹脂微孔フィルムの空隙率P(%)を算出することができる。
見掛け密度ρ(g/cm3)=W/(100×T) (I)
空隙率P[%]=100×[(ρ0−ρ)/ρ0] (II)
オレフィン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径は、1μm以下が好ましく、100nm〜900nmがより好ましい。開口端の最大長径が大きい微小孔部を含むオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、局所的なイオンの移動によってデンドライトショートが発生したり、機械的強度が低下したりすることがある。
オレフィン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の平均長径は、500nm以下が好ましく、10nm〜400nmがより好ましい。開口端の平均長径が大きい微小孔部を含むオレフィン系樹脂微孔フィルムでは、デンドライトショートが発生する虞れがある。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、オレフィン系樹脂微孔フィルムの表面をカーボンでコーティングする。次に、オレフィン系樹脂微孔フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、オレフィン系樹脂微孔フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち最大の長径を、微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を、微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部は、測定対象から除外する。
オレフィン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、15個/μm2以上が好ましく、15〜100個/μm2がより好ましく15〜50個/μm2がより好ましい。孔密度が上記範囲内であるオレフィン系樹脂微孔フィルムは、デンドライトショートが発生しにくい。
なお、オレフィン系樹脂微孔フィルムの孔密度は、下記の要領で測定する。先ず、オレフィン系樹脂微孔フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。そして、測定部分において微小孔部の個数を測定し、微小孔部の個数を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除すことによって孔密度を算出することができる。
本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムは、当該フィルムの表裏面を貫通している多数の微小孔部を均一に含有しており、これにより優れた透気性を有していると共に透気性が均一である。このようなオレフィン系樹脂微孔フィルムは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、及びマグネシウムイオンなどのイオンを円滑に且つ均一に透過させることができる。したがって、オレフィン系樹脂微孔フィルムは、電池用セパレータとして有用である。
本発明のオレフィン系樹脂微孔フィルムをセパレータとして用いることができる電池としては、上述したリチウムイオン電池の他にも、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、銀亜鉛電池などが挙げられる。なかでも、リチウムイオン電池が好ましい。オレフィン系樹脂微孔フィルムを用いることによって、高電流密度での充放電を行った場合であっても、デンドライトの発生が高く低減され且つ優れた電池性能を安定して長期間に亘って発揮することができる電池を提供することができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1]
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量:427,000、数平均分子量:45,100、融点:165℃)を一軸押出機に供給して、樹脂温度200℃にて溶融混練し、一軸押出機の先端に取り付けられたTダイから95℃のキャストロール上にフィルム状に押し出すことにより、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを得た。続いて、このホモポリプロピレンフィルムに冷風を当てて、表面温度が30℃となるまで冷却した。長尺状のホモポリプロピレンフィルムは、幅が500mmであり、厚みが28μmであった。なお、押出量は32kg/時間、成膜速度は25m/分、ドロー比は75であった。
(養生工程)
得られた長尺状のホモポリプロピレンフィルム50mを外径が3インチの円筒状の芯体にロール状に巻取り、ロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムを、このホモポリプロピレンフィルムを設置している場所の雰囲気温度が150℃である熱風炉中に24時間に亘って放置して養生した。このとき、長尺状のホモポリプロピレンフィルムのロールの表面から内部まで全体的にホモポリプロピレンフィルムの温度が熱風炉内部の温度と同じ温度になっていた。
(第1延伸工程)
次に、養生を施したロール状に巻き取ったホモポリプロピレンフィルムからホモポリプロピレンフィルムを巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムを表面温度が23℃となるようにして600%/分の延伸速度にて延伸倍率1.4倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(第2延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて表面温度が125℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率2.5倍に押出方向にのみ一軸延伸した。
(第1アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムをその幅方向における中央部の表面温度が155℃となるにし、幅方向における両端部の表面温度が162℃となるようにし、そして、ホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして1分間に亘って、ホモポリプロピレンフィルムにアニーリングを施した。なお、第1アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの幅方向における中央部及び両端部の収縮率はそれぞれ2.5%とした。
(第2アニーリング工程)
さらに、ホモポリプロピレンフィルムをその幅方向における中央部及び両端部の表面温度がそれぞれ155℃となるにして、ホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして1分間に亘って、ホモポリプロピレンフィルムにアニーリングを施して、ホモポリプロピレン微多孔フィルム(厚み25μm、幅450mm)を得た。なお、第2アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの幅方向における中央部及び両端部の収縮率はそれぞれ収縮率は1.5%とした。
[比較例1]
第1アニーリング工程において、ホモポリプロピレンフィルムの幅方向における中央部及び両端部の表面温度を共に155℃とした以外は、実施例1と同様にして、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを得た。
[評価]
ホモポリプロピレン微多孔フィルムの幅方向における中央部、一方の端部及び他方の端部について、透気度、表面開口率、105℃で1時間加熱した時のフィルムの長さ方向における熱収縮率を、上述した手順に従って測定した。また、ホモポリプロピレン微多孔フィルムについて、空隙率、微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径、並びに孔密度を、上述した手順に従って測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015003969

Claims (6)

  1. オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたダイから押し出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、
    上記押出工程で得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する養生工程と、
    上記養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムを延伸して微小孔部を形成する延伸工程と、
    上記延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムを、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における中央部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下で、上記オレフィン系樹脂フィルムの幅方向における両端部の表面温度を上記オレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度を超え且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で、アニールする第1アニーリング工程と、
    を有することを特徴とするオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  2. 押出工程において、オレフィン系樹脂を押出機にて上記オレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練することを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  3. 延伸工程が、
    オレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.05〜2倍に延伸する第1延伸工程と、
    上記第1延伸工程で延伸された上記オレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が第1延伸工程における上記オレフィン系樹脂フィルムの表面温度より高く且つオレフィン系樹脂の融点より10〜100℃低い温度以下にて延伸倍率1.05〜3倍に延伸する第2延伸工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン系樹脂微孔フィルムの製造方法。
  4. オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部の透気度がそれぞれ100〜600s/100mLであり、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における両端部の透気度と、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部の透気度との差が20s/100mL以下であることを特徴とするオレフィン系樹脂微孔フィルム。
  5. オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部及び両端部の表面開口率が20〜55%であり、且つ上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における両端部の表面開口率と、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向における中央部の表面開口率との差が10%以下であることを特徴とする請求項4に記載のオレフィン系樹脂微孔フィルム。
  6. 上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の中央部及び両端部のそれぞれにおいて、オレフィン系樹脂微孔フィルムを105℃で1時間加熱した時の上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの長さ方向の熱収縮率が0〜7%であり、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の中央部における上記熱収縮率と、上記オレフィン系樹脂微孔フィルムの幅方向の両端部における上記熱収縮率との差が1%以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載のオレフィン系樹脂微孔フィルム。
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