JP5841501B2 - 配線器具用取付枠及びそれを用いた配線装置 - Google Patents

配線器具用取付枠及びそれを用いた配線装置 Download PDF

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Description

本発明は、壁面等の造営面に設けた埋込孔に配線器具を配設するための配線器具用取付枠及びそれを用いた配線装置に関するものである。
従来、スイッチやコンセント等の配線器具を壁面等の造営面に取り付ける場合、造営面に埋込ボックス(スイッチボックス)を埋設し、配線器具が取り付けられた取付枠をボックスねじにより埋込ボックスに取り付けていた(例えば、特許文献1参照)。そして、取付枠の前面側に配線器具用プレートを取り付け、配線器具用プレートにより取付枠に取り付けられたボックスねじの頭部などを隠すことによって、外観の見栄えを良くしている。
特開2010−193553号公報
上記特許文献1に開示された配線器具用プレートは合成樹脂成形品であり、配線器具用プレートの裏面に設けられた突片を、金属製の取付枠に設けられた係合孔の周縁にある爪に係合させることによって、配線器具用プレートが取付枠に取り付けられていた。
配線器具用プレートの突片は合成樹脂で形成されており、この突片を金属で形成された爪に係合させているので、取付枠に対して配線器具用プレートが複数回着脱されると、突片が摩耗し、取付枠の爪との係合力が低下するという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、配線器具用プレートが複数回着脱された場合でも、配線器具用プレートとの係合力が低下しにくい配線器具用取付枠及びそれを用いた配線装置を提供することにある。
本発明の配線器具用取付枠は、配線器具を保持して造営面に固定され、配線器具の前面を露出させる開口を有する配線器具用プレートが前面に着脱自在に取り付けられる。この配線器具用取付枠は、配線器具が取り付けられる金属製の枠部と、合成樹脂により枠部とは別体に形成され、配線器具用プレートに設けられた係合部に対して着脱自在に係合する係合部材とを備える。係合部材は、枠部に対して前面側から取り付けられて、枠部と結合する結合部を備えることを特徴とする。
この配線器具用取付枠において、枠部の前面において配線器具用プレートで覆われる部位に係合部材が取り付けられることも好ましい。
この配線器具用取付枠において、係合部材は、複数の結合部によって枠部に結合されることも好ましい。
この配線器具用取付枠において、係合部材は、枠部の前面に沿って配置され、枠部の前面に沿う方向の端部で係合部と係合する前板部と、前板部から後方に向かってそれぞれ突出する複数の脚部とを備えることも好ましい。複数の脚部の各々は、枠部に設けられた係合孔に挿入されて、係合孔の周縁部に先端が係合しており、脚部により結合部が構成される。
本発明の配線装置は、配線器具と、配線器具を保持して造営面に固定される、上述した何れかの配線器具用取付枠と、配線器具用取付枠の前面に着脱自在に取り付けられる配線器具用プレートとを備えることを特徴とする。
本発明の配線器具用取付枠及び配線装置によれば、合成樹脂製の配線器具用プレートは、配線器具用プレートに設けられた係合部と、配線器具用取付枠に固定された係合部材とを係合させることによって、金属製の枠部に固定されている。係合部材は、配線器具用取付枠とは別体であって、合成樹脂により形成されているので、配線器具用プレートを配線器具用取付枠に対して複数回着脱した場合でも、合成樹脂で形成された配線器具用プレートの係合部が摩耗しにくくなり、配線器具用取付枠と配線器具用プレートとの結合が緩みにくくなる。また係合部材は、枠部に対して前面側から取り付けられているので、枠部の前面側に配線器具用プレートが取り付けられた状態では、配線器具用プレートが係合部材の押さえとなることで、係合部材が外れにくくなる。また、配線器具用取付枠と配線器具用プレートとが造営面に固定された状態でも、配線器具用プレートのみを配線器具用取付枠から取り外すだけで、係合部材の交換を容易に行うことができる。
本発明の実施形態を示し、(a)は取付枠の要部を示す断面図、(b)は配線装置の要部を示す断面図、(c)は取付枠の要部を示す一部破断せる斜視図である。 同上の取付枠を示し、(a)は取付枠の分解斜視図、(b)は係合部材を後側から見た斜視図である。 同上の取付枠を示し、(a)は正面図、(b)はA−A線断面図、(c)は裏面図、(d)はB部拡大図である。 同上のプレート本体を示し、(a)は正面図、(b)はC−C線断面図、(c)は裏面図である。 同上の取付枠に配線器具が取り付けられた状態を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は裏面図、(d)は下面図である。 同上の配線装置の分解斜視図である。 同上の配線装置の正面図である。 同上の配線装置の他例を示す正面図である。 (a)(b)は同上の取付枠とプレート本体との結合状態を示す断面図である。
以下、本発明に係る配線器具用取付枠及びそれを用いた配線装置の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。尚、以下の説明では、特に断りが無いかぎり、図5(a)に示す向きにおいて上下左右の各方向を規定し、図5(b)の左側を前側、図5(b)の右側を後側として説明する。
本実施形態の配線装置1は、図6に示すように埋込型の配線器具100と、配線器具用取付枠(以下、取付枠と略称する。)2と、配線器具用プレート(以下、プレートと略称する。)5とで構成される。
取付枠2は、配線器具100を保持して造営面に固定されるものであり、金属製の枠部20と、枠部20に取り付けられた樹脂製の係合部材30とを備える。
枠部20は金属製(鋳造品)であって、上下一対の取付片21と、上下両側にある取付片21の左右の各端間に位置する保持片22とが連続一体に形成されることによって矩形枠状に形成されている。すなわち、取付片21と保持片22とにより囲まれた矩形状の開口23が形成され、この開口23にスイッチ本体101の前側部分が挿入される。
各保持片22は、開口23を囲む部位の内側縁から後方に延長された断面L字状に形成され、後方に延長された部位にはそれぞれ複数の保持孔24が配線器具100を保持する取付部として形成されている。
各取付片21には、壁面などの造営面に埋設された埋込ボックス(図示せず)に枠部20を固定する場合に使用されるネジ挿通用の孔25と、壁材に枠部20を直接ネジ固定する場合に使用されるネジ挿通用の孔26とが、前後方向に貫通する形で設けられている。孔25は左右方向に長い長孔状であって、埋込ボックス(図示せず)のネジ穴に対応する位置に設けられている。枠部20を埋込ボックスに固定する場合は、作業者が、孔25に通した取付ねじを埋込ボックスのネジ穴にねじ込むことによって、枠部20が埋込ボックスに固定される。また、壁材に枠部20を直接ネジ固定する場合は、作業者が、孔26に通した木ねじを壁材に直接ねじ込むことによって、枠部20が壁材に直付けされる。また、各取付片21の左右両端部には、プレート5の突片64が挿入される矩形の係合孔27が、前後方向に貫通する形で設けられている。また枠部20には、各々の係合孔27に対して上下方向の中央部寄りの部位に、矩形状に窪んだ凹部29がそれぞれ設けられている。凹部29の底には、枠部20を前後方向に貫通する矩形の係合孔28が上下方向に並んで2個ずつ設けられている。各々の凹部29に2個ずつ設けられた係合孔28に、係合部材30の脚部32がそれぞれ挿入されることによって、係合部材30が凹部29内に収納された状態で、枠部20に固定される。係合部材30が備える一対の脚部32には、外向きの面に爪34がそれぞれ形成されている。そして、各係合孔28の前端側の周縁部には、対応する脚部32の爪34に当接し、爪34を押すことで脚部32を撓めさせるテーパ面28aが形成されている。また、各係合孔28の後端側の周縁部には、係合孔28から後方に突出した脚部32の爪34が引っ掛かる段部28bが形成されている。
係合部材30は、絶縁性を有する合成樹脂の成形品からなる。係合部材30は、図1及び図2に示すように、前板部31と、一対の脚部32とを一体に備え、側面から見た形状がΠ形に形成されている。前板部31は、その前面が枠部20の前面と並行するようにして凹部29内に配置される。一対の脚部32の各々は、前板部31の後面(図1(a)における下面)から後方に向かって突出し、凹部29の底部に開口する係合孔28に挿入される。係合部材30が枠部20に取り付けられた状態で、前板部31の上下方向における一端部(係合孔27側の端部)は係合孔27内に突出しており、その先端部には側面視の形状が楔形となる爪33が設けられている。前板部31において爪33が設けられた一端側の厚みは、爪33の強度を確保するために、他端側よりも肉厚に形成されている。また、一対の脚部32の先端には、外向きの面(すなわち、一対の脚部32が互いに対向する面の裏面)に爪34が設けられている。
この係合部材30は以下のようにして枠部20に取り付けられる。作業者は、爪33を係合孔27側に向け、一対の脚部32と係合孔28との位置を合わせて、係合部材30を枠部20の前側から凹部29内に押し込む。この時、各脚部32の先端の爪34が、係合孔28の前端側の周縁に設けられたテーパ面28aに当接し、テーパ面28aから押されることによって、各々の脚部32が互いに近付く方向へ撓められる。作業者が係合部材30をさらに後方へと押し込み、爪34がテーパ面28aを越え、係合孔28を通って枠部20の裏側に突出すると、係合孔28の後端側の周縁に設けられた段部28bに爪34が引っ掛かることによって、係合部材30が枠部20に固定される。この時、図1(a)(c)に示すように、前板部31は凹部29内に収納され、前板部31の爪33は、係合孔27内に突出している。
次に、取付枠2の前面に着脱自在に取り付けられるプレート5について説明する。プレート5は、合成樹脂材料によって矩形枠状に形成されたプレート本体6と、前記合成樹脂材料よりも硬質な材料からなり、プレート本体6の前面に貼り付けられる化粧プレート7とを備える。
プレート本体6は、例えば熱可塑性樹脂などの弾性を有する合成樹脂材料からなる樹脂成形品であり、中央部に矩形の開口62を有する矩形枠状の前板部60と、前板部60の周縁部から後方に突出する側板部61とを一体に備えている。開口62の大きさは、取付枠2の開口23の大きさよりやや大きく設定される。またプレート本体6の上下方向寸法、左右方向寸法は、それぞれ、取付枠2の上下方向寸法、左右方向寸法より大きく設定される。
前板部60の左辺には、前面側に突出する台状の突出部63が形成されている。この突出部63は、プレート本体6の長手方向を自身の長手方向とする矩形板状に形成されている。
前板部60の後面には、枠部20の四隅に設けられた係合孔27にそれぞれ対応する位置から後方に向かって突出し、対応する係合孔27内に挿入される4個の突片64が形成されている。突片64は、左右方向の幅寸法よりも上下方向の厚み寸法が小さい矩形板状に形成されており、突片64の先端側は上下方向において撓み自在となっている。突片64の先端部(後端部)において、係合部材30と対向する側面(上側の2つの突片64においては下側面、下側の2つの突片64においては上側面)には、係合部材30の爪33が係止離脱自在に係合する係合溝64a(係合部)が設けられている。すなわち、突片64が対応する係合孔27に挿入され、突片64の係合溝64aに係合部材30の爪33を係合させることによって、プレート本体6が枠部20に取り付けられるようになっている。ここにおいて、突片64の係合溝64aは、前後方向における複数の取付位置(本実施形態では3つの取付位置)で係合部材30の爪33と係合可能なように、3つの三角溝が前後方向に並んだような形状(いわゆる鋸歯形状)に形成されている。
また、前板部60において各々の突片64の周りの部位には、U字形のスリット65が、前板部60を前後方向に貫通するように形成されている。スリット65は、突片64の係合部材30側(すなわち、上側の突片64においては下側、下側の突片64においては上側)、及び、突片64の左右両側を巡らせるように形成されており、突片64の先端側(後端側)を係合部材30と反対向きに撓みやすくしている。
ところで、作業者がプレート本体6(プレート5)を取付枠2に取り付ける際、及び、プレート本体6を取付枠2から取り外す際に、突片64には係合部材30の爪33で押されることによって、爪33から離れる向きに力が加えられる。爪33が突片64を押す力は、プレート本体6における突片64の根元部分にも加わるが、突片64の周りに設けられたスリット65によりプレート本体6と化粧プレート7との粘着力が低下しているので、突片64の根元部分が撓みやすくなっている。而して、突片64が係合部材30の爪33で押された際に、突片64と共にプレート本体6における突片64の根元部分が撓むことで、突片64に加わる応力を低減しつつ、突片64を係合部材30と係合させたり、係合部材30から離脱させることができる。
化粧プレート7は、プレート本体6の前板部60において突出部63を除いた部位のほぼ全体を覆うことができるように、硬質な板材(例えば、アルミ板)を加工することによってU字形に形成されている。この化粧プレート7は、表裏両面に接着剤が塗布されたU字形の接着シート8によりプレート本体6の前面側に貼り付けられる。尚、本実施形態では接着シート8を用いて化粧プレート7をプレート本体6に貼り付けているが、接着シート8に代えて接着剤(一例としてはゲル状の接着剤)などの接着部材を用いてもよい。また、図1(b)及び図9(a)(b)では接着シート8の図示を省略しているが、プレート本体6と化粧プレート7との間には接着シート8が介在している。
次に取付枠2に取り付けられる配線器具について説明する。図5〜図7に例示する配線器具100は、接点を開閉するスイッチ機構をケース103に内蔵したスイッチ本体101と、左右方向の片側(左側)を支点としてスイッチ本体101に回転自在に支持される操作ハンドル102とを備えている。スイッチ本体101の前面には、ケース103に対して後方に押し込むことができる押釦104が設けられている。ケース103内には、押釦104が押される毎に、接点のオン/オフを反転させるスイッチ機構が内蔵されている。ケース103は、前方から見た形状が矩形状に形成されており、長手方向における両側面には各一対の取付爪105が設けられている。ケース103の片面(本実施形態では右面)に設けられた取付爪105は、ケース103の側面に直交する方向において撓み自在となる可撓片106に設けられている。可撓片106をケース103内に押し込むような力を作用させると、可撓片106に設けられた取付爪105をケース103の内側に向かって後退させることができるようになっている。またケース103の前面には、長手方向の一端側(本実施形態では左側)の側縁に沿って一対の突起107が設けられている。突起107の先端には、軸方向が上下方向と平行する円柱部分が設けられている。突起107の先端の円柱部分を、操作ハンドル102の後面に設けた溝(図示せず)内に嵌合させることによって、操作ハンドル102がスイッチ本体101に対して回転自在に支持される。また、ケース103の前面には、長手方向の他端側(本実施形態では右側)の側縁に沿って溝108が形成されている。操作ハンドル102の後面には、溝108に挿入される突片109が設けられており、突片109の先端の爪109aが溝108の開口縁に引っ掛かることで、操作ハンドル102においてスイッチ本体101に支持されていない端部の浮き上がりを規制している。
このスイッチ本体101を枠部20に取り付ける場合、作業者は、先ず、スイッチ本体101において可撓片106を備えていない側面(本実施形態では左側面)の取付爪105を保持孔24に挿入する。左側面の取付爪105を保持孔24に係止させた状態で、作業者は、可撓片106を備える側面(本実施形態では右側面)の取付爪105を保持孔24に挿入すると、可撓片106が撓むことによって、右側面の取付爪105が保持孔24と係止する。而して、左右の側面の取付爪105がそれぞれ保持孔24に係止されることで、スイッチ本体101が枠部20(取付枠2)に取り付けられる。一方、枠部20からスイッチ本体101を取り外す場合、作業者は、可撓片106をケース103の内側に押し込み、右側面の取付爪105を保持孔24の外側に離脱させる。そして、保持孔24に対する取付爪105の係合状態を解除した状態で、作業者がスイッチ本体101を枠部20の後側に押すと、スイッチ本体101を枠部20から容易に取り外すことができる。
ここにおいて、図示する配線器具100のスイッチ本体101は1組の取付部(4個の保持孔24)を用いて取付枠2に取り付けることができるものであって、スイッチ本体101の前面の上下寸法は、開口23の上下寸法の略3分の1に形成されている。取付枠2は上記の取付部(4個の保持孔24)を3組備え、1個の取付枠2に対して、スイッチ本体101を3個まで取り付けることが可能になっている。このスイッチ本体101の寸法を配線器具に関する単位寸法とすると、単位寸法のスイッチ本体101が取付枠2に1個だけ取り付けられる場合は、取付枠2の上下方向における中央部の取付部が用いられる。また、単位寸法のスイッチ本体101が取付枠2に2個取り付けられる場合は、取付枠2の上下両側にある2組の取付部が用いられる。また単位寸法のスイッチ本体101が取付枠2に3個取り付けられる場合は、取付枠2に設けられた3箇所の取付部が全て使用される。また、取付枠2にスイッチ本体101が1個だけ取り付けられる場合には、開口23の全体を覆う程度の面積を有した操作ハンドル102を用いればよい。そして、取付枠2にスイッチ本体101が2個取り付けられる場合は、スイッチ本体101が1個だけ取り付けられる場合に使用される操作ハンドル102を上下方向において2等分したのとほぼ同じ大きさの操作ハンドルを使用すれば良い。また、取付枠2にスイッチ本体101が3個取り付けられる場合は、スイッチ本体101が1個だけ取り付けられる場合に使用される操作ハンドル102を上下方向において3等分したのとほぼ同じ大きさの操作ハンドルを使用すれば良い。
ところで、一般に住宅等の建物の内壁には壁紙(クロス)が貼られることが多い。埋込形の配線器具の後部を壁面に埋め込んだ状態で配設するためには、壁面に設けられる埋込孔の部分で壁紙を切り取って孔を開ける必要がある。この孔開け作業において、埋込孔を塞ぐ壁紙をきれいに切り取ることができず、残った壁紙が埋込孔の周りにはみ出す場合がある。施工業者は、通常、壁紙のはみ出した部分を取付枠2と壁面との間に挟み込んでおり、このように施工されていればプレート5の取り付けに不都合は生じない。しかし、施工の都合から取付枠2を埋込ボックスに取り付けて壁面に設置した後に壁紙を貼る作業を行う場合、壁紙のはみ出し部分を取付枠2と壁面との間に挟み込むことができず、プレート5と壁面との間に壁紙が挟み込まれる場合がある。このように、プレート5と壁面との間に壁紙が挟み込まれると、壁紙の厚み分だけプレート本体6が前側に浮き上がった状態となる。そこで、本実施形態ではプレート本体6の後端面(すなわち側板部61の後端面)と、取付枠2の後端面(すなわち壁面)との間に所定の段差を設けた状態で、プレート本体6の係合溝64aが係合部材30の爪33と係合できるように各部の寸法を設定してある。而して、プレート本体6を取付枠2に取り付ける際には、プレート本体6の後端面と壁面との間にできる隙間に壁紙のはみ出した部分が入り込むため、プレート本体6が壁面から浮き上がった状態でプレート本体6を取付枠2に取り付けることが可能になる。
なお壁紙の厚みにも種々のものがあり、一般には厚みが0.5〜1.0mmの壁紙が用いられる。そこで、本実施形態では、プレート本体6の後端面(すなわち側板部61の後端面)と、取付枠2の後端面(すなわち壁面)との間にできる段差を約0.6mm、約1.2mm、約1.8mmの3段階に調整できるようにしてある。上述のように係合溝64aは、係合部材30の爪33とそれぞれ係合可能な3個の三角溝が前後方向に連なったような形状に形成されている(図1(b)参照)。したがって、爪33が係合する係合溝64aの位置を異ならせることによって、取付枠2に対するプレート5の取付位置を前後方向において3段階に調整することができる。図1(b)に示すように、係合溝64aが備える3つの三角溝の内、前側の三角溝に爪33が係合した場合、取付枠2に対するプレート5の取付位置が最も後側となり、プレート5の後端面と壁面との間の隙間は最小(約0.6mm)になる。図9(b)に示すように、係合溝64aが備える3つの三角溝の内、後側の三角溝に爪33が係合した場合、取付枠2に対するプレート5の取付位置が最も前側となり、プレート5の後端面と壁面との間の隙間は最大(約1.2mm)になる。図9(a)に示すように、係合溝64aが備える3つの三角溝の内、中央の三角溝に爪33を係合させた場合、取付枠2に対するプレート5の取付位置は上記2つの取付位置の中間位置となり、プレート5の後端面と壁面との間の隙間は約1.0mmになる。
以上のように、係合部材30の爪33に係合させる係合溝64aの位置を変更することで、プレート5の後端面と壁面との間の隙間を3段階に調節でき、壁紙の厚みに合わせて最適な隙間となるように、爪33に係合させる係合溝64aの位置を変更すればよい。
ところで、本実施形態の取付枠2(配線器具用取付枠)は、配線器具100を保持して造営面に固定され、配線器具100の前面を露出させる開口62を有するプレート5(配線器具用プレート)が前面に着脱自在に取り付けられる。この配線器具用取付枠2は、配線器具100が取り付けられる金属製の枠部20と、合成樹脂により枠部20とは別体に形成され、プレート5に設けられた係合溝64a(係合部)に対して着脱自在に係合する係合部材30とを備える。係合部材30は、枠部20に対して前面側から取り付けられて、枠部20と結合する結合部(爪33を先端に有する脚部32からなる)を備えることを特徴とする。
このように、合成樹脂製のプレート5は、プレート5に設けられた係合部(係合溝64aからなる)と、取付枠2に固定された係合部材30とを係合させることによって、金属製の枠部20に固定されている。係合部材30は、取付枠2とは別体であって、合成樹脂により形成されているので、プレート5を取付枠2に複数回着脱した場合でも、合成樹脂で形成された係合部が摩耗しにくくなり、プレート5との結合が緩みにくい取付枠2を実現できる。また係合部材30は、枠部20に対して前面側から取り付けられているので、枠部20の前面側にプレート5が取り付けられた状態では、プレート5が係合部材30の押さえとなることで係合部材30が外れにくくなる。また、取付枠2とプレート5とが造営面に固定された状態でも、プレート5のみを取付枠2から取り外すだけで、係合部材30の交換を容易に行うことができる。
また本実施形態では、枠部20の前面において、プレート5で覆われる部位に係合部材30が取り付けられている。
これにより、取付枠2にプレート5が取り付けられた状態では、プレート5によって係合部材30が覆われるから、設置状態において外観の見栄えを良くできる。
また本実施形態では、係合部材30が、複数(例えば2個)の結合部(爪33を先端に有する脚部32からなる)によって枠部20に結合されている。
このように、係合部材30は複数箇所で枠部20に結合されているから、プレート5の係合部を係合部材30と係合させたり、係合部材30から外したりする場合に、係合部材30が枠部20から外れにくくなる。
また本実施形態では、係合部材30が、枠部20の前面に沿って配置され、枠部20の前面に沿う方向の端部で係合部と係合する前板部31と、前板部31から後方に向かってそれぞれ突出する複数の脚部32とを備えている。そして、複数の脚部32の各々は、枠部20に設けられた係合孔28に挿入されて、係合孔28の周縁部に先端が係合しており、脚部32により結合部が構成されている。
このように、係合部材30は複数の脚部32で枠部20に結合されているから、プレート5の係合部を係合部材30と係合させたり、係合部材30から外したりする場合に、係合部材30が枠部20から外れにくくなる。
また本実施形態の配線装置1は、配線器具100と、配線器具100を保持して造営面に固定される、上述の取付枠2と、取付枠2の前面に着脱自在に取り付けられるプレート5とを備えている。
上述のように、合成樹脂製のプレート5は、プレート5に設けられた係合部(係合溝64a)と、取付枠2に固定された係合部材30とを係合させることによって、金属製の枠部20に固定されている。係合部材30は、取付枠2とは別体であって、合成樹脂により形成されているので、プレート5を取付枠2に複数回着脱した場合でも、合成樹脂で形成された係合部が摩耗しにくくなり、取付枠2とプレート5との結合が緩みにくい配線装置1を実現できる。また係合部材30は、枠部20に対して前面側から取り付けられているので、枠部20の前面側にプレート5が取り付けられた状態では、プレート5が係合部材30の押さえとなることで係合部材30が外れにくくなる。また、取付枠2とプレート5とが造営面に固定された状態でも、プレート5のみを取付枠2から取り外すだけで、係合部材30の交換を容易に行うことができる。
尚、本実施形態では取付枠2に取り付けられる配線器具100としてスイッチを例示したが、配線器具はスイッチに限定されるものではない。例えば、図6に示すような電源プラグの差込口を前面に有するコンセント200であってもよく、様々な種類の配線器具を適用できる。
1 配線装置
2 配線器具用取付枠
5 配線器具用プレート
6 プレート本体
7 化粧プレート
20 枠部
30 係合部材
31 前板部
32 脚部(結合部)
33 爪
34 爪(結合部)
62 開口窓
64 突片
64a 係合溝(係合部)
100 配線器具

Claims (5)

  1. 配線器具を保持して造営面に固定され、前記配線器具の前面を露出させる開口を有する配線器具用プレートが前面に着脱自在に取り付けられる配線器具用取付枠であって、
    前記配線器具が取り付けられる金属製の枠部と、
    合成樹脂により前記枠部とは別体に形成され、前記配線器具用プレートに設けられた係合部に対して着脱自在に係合する係合部材とを備え、
    前記係合部材は、前記枠部に対して前面側から取り付けられて、前記枠部と結合する結合部を備えることを特徴とする配線器具用取付枠。
  2. 前記枠部の前面において前記配線器具用プレートで覆われる部位に前記係合部材が取り付けられることを特徴とする請求項1記載の配線器具用取付枠。
  3. 前記係合部材は、複数の前記結合部によって前記枠部に結合されることを特徴とする請求項1記載の配線器具用取付枠。
  4. 前記係合部材は、前記枠部の前面に沿って配置され、前記枠部の前面に沿う方向の端部で前記係合部と係合する前板部と、前記前板部から後方に向かってそれぞれ突出する複数の脚部とを備え、
    複数の前記脚部の各々は、前記枠部に設けられた係合孔に挿入されて、前記係合孔の周縁部に先端が係合しており、前記脚部により前記結合部が構成されることを特徴とする請求項1記載の配線器具用取付枠。
  5. 配線器具と、
    前記配線器具を保持して造営面に固定される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の配線器具用取付枠と、
    前記配線器具用取付枠の前面に着脱自在に取り付けられる配線器具用プレートとを備えることを特徴とする配線装置。
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