図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。周辺基板とは、サブ基板20により制御されるものであり、主に映像、光、音響により演出を行うものである。なお、以下の説明では、便宜上、液晶制御基板200とその他の周辺基板を区別して説明を行う。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
図5は、サブ基板20とその周辺基板の接続の説明図である。図3に示すように、サブ基板20には、液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202が接続されている。これらは、サブ基板20の周辺基板と言うべきものである。
これら複数の周辺基板は、図4のように接続されている(スピーカ基板201の表示は省略している)。すなわち、複数の周辺基板が共通のバスに接続され、当該バスを通じてサブ基板20と通信を行う。当該バスを流れる信号は、パラレル信号(例えば8ビットの線で信号を伝送するもの)あるいはシリアル信号(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)のようにデータ線とクロック線の2本の線で信号を伝送するもの)である。なお、図5の例ではサブ基板20から出た信号がサブ基板20に戻っているが、これは一例であり、一般的なバス構造のように接続端の反対側の端が開放されていてもよい。
サブ基板20から周辺基板へは、アドレスを指定してデータを送る。例えば、周辺基板としての液晶制御基板200へデータを送る場合は、液晶制御基板200に予め対応づけられているアドレスを指定してデータをバスに流す。液晶制御基板200は、アドレスにより自分宛のデータであることを認識すると、アドレスに引き続くデータをラッチに取り込む。取り込んだデータに従って所定の動作を行う。取り込んだデータが、液晶制御基板200で取得したあるいは取得可能なデータをサブ基板20へ送信するコマンドであれば、当該データをサブ基板20へ送信する(所定のデータ受信後は、予めさだめられたデータを常にサブ基板20へ送信するようにすることもできる)。
図5では、本発明の実施の形態に係る遊技機の処理に必要な要素であって、サブ基板20に備えられた処理部CPUと、監視部MNと、タイマTMとを示している。処理部CPUは、少なくとも後述の処理を実行するものであり、監視部MNは、共通通信路BUSの通信状態を監視するものであり、タイマTMは、共通通信路BUSにおける通信の継続時間を測定するためのものである。処理部CPU、監視部MN、及び、タイマTMの処理については、後に詳しく説明する。
タイマTMは、例えば専用のICなどのハードウエアで実現されるが、ソフトウエア(プログラム)で実現するようにしてもよい。
図6は、共通通信路BUSによる通信手順の説明図である。
サブ基板20、液晶制御基板200及びLED基板202は、共通通信路BUSに接続されて相互に通信可能である。
共通通信路BUSにおいて、複数のフェーズを単位として通信が繰り返される。図6の例では、No.1からNo.NまでのN個のフェーズ(ただし、Nは2以上の整数。実際には、少なくとも以下に説明する第1〜第4のフェーズが必要であるから、Nは4以上の整数である)が集まってひとつのまとまり(送信の繰り返し単位)となっている。図6のN個のフェーズが繰り返されることで、サブ基板20と周辺基板の間で定期的な通信が担保されている。
複数のフェーズの時間はそれぞれ予め定められている。図6の例では、N個のフェーズはいずれも同じ時間Tを持っている(これは一例である)。したがって、送信の繰り返し単位は、N×Tである。
説明の便宜上、No.1とNo.Nのフェーズを第1フェーズ、No.(k−1)のフェーズを第2フェーズ、No.kのフェーズを第3フェーズ、No.(k+1)のフェーズを第4フェーズと呼ぶことにする。ただし、3≦k<Nの整数である。なお、図6の例では第3フェーズがひとつであるが、これが複数存在してもよい。
サブ基板20と周辺基板の間の通信は、フェーズごとに行われる。言い換えれば、通信は各フェーズの始まり以降に通信が開始され、その終了までに通信が完了する。
「サブ基板」と表示された行は、サブ基板20が行っている処理を示す。「デバイス制御」はサブ基板20が特定の周辺基板に対して制御を行っている(コマンドを送信している)ことを意味し、「−」は何の処理も行っていないことを意味する(これは、あくまで共通通信路BUSを用いた通信を行っていないことを意味し、サブ基板20は、実際は他の処理、例えばメイン基板10からのコマンドを受信して解析するといった処理を行っている)。
「液晶制御基板」と表示された行は、液晶制御基板200が行っている処理を示す。「デバイス制御」は液晶制御基板200が特定の周辺基板(例えばLED基板202)に対して制御を行っている(コマンドを送信している)ことを意味し、「−」は何の処理も行っていないことを意味する(これは、あくまで共通通信路BUSを用いた通信を行っていないことを意味し、実際は他の処理、例えば受けたコマンドに基づき画像を描画するといった処理を行っている)。
第1フェーズ(No.1とNo.N)でサブ基板20が行う処理は、コマンドを送り、特定の周辺基板に所定の演出を行わせるというものである。例えば、LED基板202へコマンドを送り、LEDの点滅などを行わせる。あるいは、液晶制御基板200へコマンドを送り、特定の画像を描画させる。なお、コマンドの送受信処理はフェーズの期間T内で完了しなければならないが、コマンドを受けた周辺基板におけるLEDの点滅などの所定の演出処理にはそのような制約はない。
第2フェーズでは、サブ基板20から液晶制御基板200への制御権移管が行われる。基本的には、サブ基板20が共通通信路BUSを使用する権限を有しており、周辺基板は自由に共通通信路BUSを使用することができない。例えば、周辺基板はコマンドの受信はできるが、コマンドやデータの送信は、サブ基板20からコマンドやデータを送れという命令に対する応答としてのみ、行うことができる。第2フェーズにおける制御権移管により、液晶制御基板200は共通通信路BUSを自由に使用することができるようになる。他方、サブ基板20は共通通信路BUSを自由に使用できないが、その間、メイン基板10からのコマンドの受信及び解析などの他の処理を行うことができる。制御権移管は、例えば、サブ基板20から液晶制御基板200へ特定のコマンドXを送信することで行われる。コマンドXを受けて、液晶制御基板200は予め定められた周辺基板の制御を開始する。
第3フェーズでは、予め定められた周辺基板の制御を行う。例えば、LED制御基板202のLEDの点滅制御を行う。そのやり方は、サブ基板20によるものと同じであるので、説明は省略する。
第4フェーズでは、液晶制御基板200からサブ基板20への制御権移管が行われる。
例えば、液晶制御基板200からサブ基板20へ特定のコマンドXを送信することで行われる。この制御権移管後の動作はサブ基板20による通常の通信制御であり、具体的には第1フェーズの動作となる。
図7は、発明の実施の形態に係るサブ基板20と液晶制御基板200の機能の説明図である。
液晶制御基板制御処理部20−1は、液晶制御基板200を制御するための機能(プログラム)である。これは従来と変わらないので、説明は省略する。
LED基板制御処理部(その1)20−2は、LED基板201を制御するための機能(プログラム)である。従来は、LED基板201を制御するための機能(プログラム)は全てサブ基板20に設けられていたが、発明の実施の形態ではその一部のみ(例えば、複数の点灯パターンを有するとき、その一部の第1の点灯パターンを実現する機能のみ)が設けられている。これはLED基板201を制御するためのプログラムの大きさが小さくなることを意味するから、ROM容量を削減することができる。
制御権移管処理部20−3は、発明の実施の形態において追加されたものであり、上述の制御権の移管を行うための機能(プログラム)である。従来に比べて、制御権移管処理部20−3の分はプログラムが増加するが、当該プログラムは「特定のコマンドXを送信する」というものであり、上述のLED基板201の制御プログラムの減少分と比べてその大きさはわずかであり、20−1〜20−3全体としては、ROM容量の削減を達成できる。制御権移管処理部20−3は、図6の第2フェーズの処理を行う。
LCD制御処理部200−1は、液晶表示装置LCDを制御するための機能(プログラム)である。これは従来と変わらないので、説明は省略する。
LED基板制御処理部(その2)200−2は、LED基板201を制御するための機能(プログラム)である。これは、発明の実施の形態において追加されたものであり、サブ基板20から削除されたLED基板制御処理が、液晶制御200に移設されたものである。LED基板制御処理部(その2)200−2は、例えば、複数の点灯パターンを有するとき、その一部の第2の点灯パターンを実現する機能である。LED基板制御処理部(その2)200−2は、図6の第3フェーズの処理を行う。
制御権移管処理部200−3は、制御権移管処理部20−3と同様のものであり、上述の制御権の移管を行うための機能(プログラム)である。制御権移管処理部200−3は、図6の第4フェーズの処理を行う。
図8は発明の実施の形態に係る遊技機の処理フローチャートである。同図の処理は、図6のタイミングチャートに対応している。符号も図6に対応させている。
SS1:(フェーズ1、第1フェーズ)
サブ基板20が周辺基板を制御する。例えば、LED基板202の制御を行うが、これは図7の符号20−2に対応する。
SS(k−1)及びSL(k−1):(フェーズ(k−1)、第2フェーズ)
制御権を、サブ基板20から液晶制御基板200へ移動させる。例えば、予め定められたコマンドXをサブ基板20から液晶制御基板200へ送る。
SLk:(フェーズk、第3フェーズ)
液晶制御基板200が周辺基板を制御する。例えば、LED基板202の制御を行うが、これは図7の符号200−2に対応する。
SS(k+1)及びSL(k+1):(フェーズ(k+1)、第4フェーズ)
制御権を、液晶制御基板200からサブ基板20へ戻す。例えば、予め定められたコマンドXを液晶制御基板200からサブ基板20へ送る。
SSN:(フェーズN、第1フェーズ)
サブ基板20が他の周辺基板を制御する。
図9及び図10は、監視部MNとタイマTMの動作フローチャートである。
少なくとも第3フェーズ又は第4フェーズにおいて、図9及び/又は図10の処理を実行する。第3フェーズ又は第4フェーズでは、制御権が液晶制御基板200に移っているので、CPUの暴走などが起きてもサブ基板20はこれを検知できない。共通通信路BUSを監視することで、液晶制御基板200に異常が起きているかどうか判定することができる。
図9は、サブ基板20から液晶制御基板200へ問い合わせを行い、正しく応答できるかどうかで異常の有無を判定するものである。
S50
サブ基板20から液晶制御基板200へ所定のコマンドを送る。例えば、問い合わせ用のコマンドYを予め用意しておく。当該コマンドYを受けた液晶制御基板200は、所定時間内に(例えば、当該フェーズあるいは次のフェーズで)、サブ基板20へ所定の応答(特定のコマンドあるいはデータ)を送るように、予め取り決めておく。
S51
応答があるかどうか判定する。応答があれば(YES)、正常であるから図9の処理を終了する。応答がなければ(NO)、通信異常と判定する(S52)。ここで、予め定められた異常復帰処理(例えば、液晶制御基板200を強制的にリセットする)を行うようにしてもよい。これに代えて又はこれとともにエラー報知を行うようにしてもよい。
図10は、通信がフェーズ内で終わらないときに異常と判定するものである。
S60
サブ基板20から液晶制御基板200へ所定のコマンドを送る。
S61
タイマTMを起動する。通信の開始時点で計時を開始する。そのタイムアウトの時間は予め定められている。例えば、図6のフェーズの時間Tに設定する。
S62
タイムアウトになったとき、S63の処理を行う。
S63
タイムアウトの時点で通信中(YES)であれば、通信異常と判定する(S52)。ここで、予め定められた異常復帰処理(例えば、液晶制御基板200を強制的にリセットする)を行うようにしてもよい。これに代えて又はこれとともにエラー報知を行うようにしてもよい。通信中でなければ(NO)、正常であるから図10の処理を終了する。
発明の実施の形態によれば、サブ基板の処理の一部を、CPUなどを備え一定の処理能力を持ち、かつ、ROMの容量と処理能力について余裕のある液晶制御基板(周辺基板)に受け持たせたので、サブ基板のプログラムを削減することができ、そのROM容量に余裕をもたせることができるようになった。
また、監視部により周辺基板の異常を検知でき、異常が発生した場合にそれを正常に復帰させることが可能である。
なお、以上の説明において、専ら液晶制御基板200が他の周辺基板を制御する例について説明を加えたが、本発明はこれに限定されない。例えば、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺機器であって、CPU・マイクロプロセッサ・マイクロコントローラなどの処理部やメモリを内蔵し、上述した処理が可能な基板であれば、液晶制御基板200と同様に他の周辺基板の制御を行うことが可能である。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。