JP5828037B2 - ガスエンジン用の予燃焼室構造体 - Google Patents

Description

本発明は、ガスエンジン用の予燃焼室構造体に関するものであって、特に、予燃焼室を形成する予燃焼室チップの分解組立が容易で、ガス漏れ防止のための安定したシール構造を備え、予燃焼室における燃焼性能を向上させることによってエンジン性能を高めることができるガスエンジン用の予燃焼室構造体に関する。

通常、ガスエンジンとは、ガスを燃料として駆動する内燃機関であって、ガソリン燃料よりも燃料費が安く、完全燃焼に近く燃焼され、熱効率が高く、排気ガスの公害が少ない利点を有する。

一方、ガスエンジンの効率および出力を高めるために、ガスエンジンのシリンダーヘッドには、燃料ガス（Fuel gas）を点火させて主燃焼室に提供する予燃焼室構造体が備わっている。

図1は、従来ガスエンジン用の予燃焼室構造体の断面図を示している。

上記予燃焼室構造体は、燃料ガスの予燃焼のための予燃焼室30を形成するボディ10と、上記予燃焼室30に注入されている燃料ガスを点火させるようにボディ10に設置されるスパークプラグ20とからなる。

一方、上記ボディ10は、メインボディ11とウォータージャケット12と予燃焼室チップ13からなり、この時、上記ウォータージャケット12には、予燃焼室30に燃料ガスが供給されるようにするためのガス供給通路14が形成され、上記メインボディ11には、ガス供給通路14の流路を制御して燃焼ガスの逆流を防止する逆止弁15が設けられている。

また、上記ウォータージャケット12は、スパークプラグ20を取り囲むように、メインボディ11の下端部に結合され、その内部には、冷却水循環のための冷却水循環路12aが形成され、スパークプラグ20が過熱することを防止する。

また、上記予燃焼室チップ13は、ウォータージャケット12の下部に結合され、予燃焼室チップ13とウォータージャケット12との結合により、予燃焼室30が形成される。一方、予燃焼室チップ13の下端部には、主燃焼室に通る多数の噴射孔13aが形成され、点火した燃焼ガスが主燃焼室に流動する。

図面符号40はガスケットである。

上記のような構成の予燃焼室構造体は、次のような問題点を有する。

第一に、予燃焼室チップの分解が容易でなく、予燃焼室の内部においてメンテナンスや点検が容易でない。

第二に、予燃焼室に連結されるガス注入通路が短いため、未燃焼ガスが逆止弁に逆流しやうく、このような逆流ガスにより逆止弁が固着して、逆止弁が破損しやすい。

第三に、シール構造が安定できず、ガス漏れの危険性が高い。

本発明は、上記のような問題点を考慮してなされたものであって、本発明の目的は、予燃焼室チップの分解が容易になるように、かつ予燃焼室のメンテナンスや点検が容易になるようにしたガスエンジン用の予燃焼室構造体を提供することにある。

本発明の他の目的は、シール構造の改善により、ガス漏れの危険性を減少させたガスエンジン用の予燃焼室構造体を提供することにある。

本発明の他の目的は、予燃焼室に供給する燃料ガスの注入量を調節できるようにすることにより、エンジン性能を最適化することができるガスエンジン用の予燃焼室構造体を提供することにある。

本発明の他の目的は、予燃焼室内における高温の熱を効果的に外部に放出することにより、予燃焼室チップの寿命を延長させることができるガスエンジン用の予燃焼室構造体を提供することにある。

上記のような目的を達成し、従来の欠点を除去するための課題を遂行する本発明のガスエンジン用の予燃焼室構造体は、メインボディとウォータージャケットと予燃焼室チップからなるボディと、前記ボディ内に形成された予燃焼室に注入した燃料ガスを点火させるスパークプラグとからなり、燃料ガスを点火させた後、主燃焼室に提供するガスエンジン用の予燃焼室構造体において、前記予燃焼室チップには、予燃焼室チップとウォータージャケットの結合部に遊びを形成して分解用のツールが挿入されるようにするツール結合用の溝が形成されたことを特徴とする。

また、前記予燃焼室チップの上面に、予燃焼室を取り囲む溝を形成し、ウォータージャケットと予燃焼室チップとの間の気密性を向上させることができる。

また、前記ウォータージャケットに形成したガス供給通路をウォータージャケットの上端部まで延長して、未燃焼ガスの逆流を最小限にすることが望ましい。

また、前記メインボディとウォータージャケットとの結合部には、スパークプラグが設けられた空間の気密維持のための第1のOリングと、逆止弁が設けられた空間の気密維持のための第2のOリングが、さらに設けられることができる。

また、前記ウォータージャケットに形成されたガス供給通路には、燃料ガスの注入量を調節するオリフィスが設けられることができる。

また、前記予燃焼室チップを取り囲む予燃焼室ブッシュが更に備われ、前記予燃焼室ブッシュは、銅、銅合金、アルミニウムのうち何れかからなり、予燃焼室内における高温の熱を外部に放出するようになっている。

この時、前記予燃焼室ブッシュは、予燃焼室チップに圧入によって結合され、高温高圧の主燃焼室の燃焼ガスが予燃焼室チップと予燃焼室ブッシュとの間に流入しないように、形成されることが望ましい。

上記のような特徴を有する本発明によれば、予燃焼室チップに形成したツール結合用の溝によって、予燃焼室チップとウォータージャケットとの間に遊びが形成され、このように形成された遊びを通して分解用ツールを挿入して、予燃焼室チップを簡単に分解することができるので、メンテナンスや点検の作業時に、予燃焼室の奥までカーボンを洗浄することができるだけでなく、寿命の尽きた予燃焼室チップの交換が容易になる効果がある。
また、ウォータージャケットに接触する予燃焼室チップの上面に溝が形成されるため、予燃焼室チップの上面が微細に傾斜するか非対称構造で形成された場合でも、安定したシール構造を維持し、燃焼ガスが漏洩することを防止する効果がある。

また、燃焼ガスが流動するガス供給通路が、ウォータージャケットの上端部から予燃焼室へ延長するように形成され、ガス供給通路の長さを従来より長くすることにより、未燃焼ガスが逆流することを減少させる効果がある。

また、スパークプラグが設けられた空間と、逆止弁が設けられた空間に、個々のOリングが設けられ、燃焼ガスの漏れをより安定的に防止できる効果がある。

また、ガス注入通路に設けられたオリフィスが、予燃焼室に注入する燃料ガスの量を調節することにより、予燃焼室の燃焼性能を高め、これにより、エンジンの性能を向上できる効果がある。

また、予燃焼室内における高温の熱を効果的に放出することにより、予燃焼室チップの寿命を延長できる効果がある。

従来におけるガスエンジン用の予燃焼室構造体の断面図である。 本発明の望ましい実施例による予燃焼室構造体の断面図である。 本発明に係る予燃焼室チップとウォータージャケットが結合された状態を示す断面図である。 本発明に係るメインボディとウォータージャケットが結合された状態を示す断面図である。

以下、本発明の望ましい実施例を添付の図面と関連付けて詳細に説明する。本発明の実施例を説明するに当たり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を余計に不明にしかねないと判断された場合、その詳細な説明を省略する。

図2は、本発明の望ましい実施例による予燃焼室構造体の断面図であり、図3は、本発明に係る予燃焼室チップとウォータージャケットが結合された状態を示した断面図であり、図4は、本発明に係るメインボディとウォータージャケットが結合された状態を示した断面図である。

本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、ボディ110とスパークプラグ120からなり、この時、上記のボディ110が、メインボディ111とウォータージャケット112と予燃焼室チップ113からなる点においては、従来の予燃焼室構造体と同様である。しかし、本発明は、メンテナンスや点検時に作業の便益性を向上させるために、予燃焼室チップ113の分解が容易になるようにした特徴と、シール構造を改善することによってガスの漏れをより安定的に防止できる特徴と、予燃焼室114に注入する燃料ガスの量を調節できる特徴を有する点において相違する。

より具体的に、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、予燃焼室チップ113の分解を容易にするために、予燃焼室チップ113にツール結合用の溝1131が形成されている。

上記のツール結合用の溝1131は、予燃焼室チップ113の外面において、予燃焼室114の周囲に沿って延長するように形成され、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112が結合された場合、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間に遊びが形成され、形成された遊びに分解用ツールを挿入して予燃焼室チップ113を分解できるようにすることで、作業の便益性を提供する。

また、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、予燃焼室チップ113の上面に、予燃焼室114を取り囲むように予燃焼室チップ113の周囲に沿って延長する溝1132が形成され、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間の気密性が向上する。

例えば、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の結合時に向かい合って密着する予燃焼室チップ113の上面とウォータージャケット112の底面が、平行状態を維持しながらぴったり密着することにより、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間に安定した気密構造を確保できる。しかし、加工誤差または組立誤差により、予燃焼室チップ113の上面またはウォータージャケット112の底面が、微細に傾斜するか非対称構造で形成される場合、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間にガスが漏洩する現象が生じる。

しかし、本発明のように、予燃焼室チップ113の上面に溝1132が形成されると、溝1132が微細な傾斜や非対称を補完することにより、燃焼ガスが予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間の隙間に漏れることを防止できる。

また、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、燃焼ガスの漏れをより効果的に防止するために、第1のOリング131及び第２のOリング132が、スパークプラグ120が設けられた空間S1と逆止弁が設けられた空間S2に、それぞれ設けられる。

図1に示されるように、従来の予燃焼室構造体は、スパークプラグ20が設けられた空間と逆止弁が設けられた空間が、1つのOリング51により気密性を維持するようになっており、逆止弁が設けられた空間内の未燃焼ガスがスパークプラグが設けられた空間に漏れ出る恐れがあるが、本発明は、スパークプラグ120が設けられた空間S1の気密維持のために、第1のOリング131がメインボディ111とウォータージャケット112の結合部に設けられ、逆止弁が設けられた空間S2の気密維持のための第2のOリング132が、メインボディ111とウォータージャケット112の結合部に設けられる。

上記のような第1のOリング131と第2のOリング132の設置のために、本発明では、ウォータージャケット112の上端部の直径を拡大させ、スパークプラグ120が設けられた空間S1と逆止弁が設けられた空間S2の間に置かれている隔壁130の厚さを増加させることにより、第1のOリング131及び第２のOリング132を設けるためのスペースを確保することになる。

また、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、燃焼ガスが流動するガス供給通路1121がウォータージャケット112の上端部から予燃焼室114に延長するように形成され、このような構造のガス供給通路1121は、その長さが従来のガス供給通路より長く形成され、未燃焼ガスが逆流することを最小限に抑えることができる。

また、前記ガス供給通路1121には、予燃焼室114に注入する燃料ガスの注入量を調節するためのオリフィス1122が設けられる。このように、ガス供給通路1121に設けられたオリフィス1122によるとエンジンが最大のパフォーマンスを出せるように、予燃焼室114に注入する燃料ガスの量を調節できる。

また、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、予燃焼室114内で発生した高温の熱を外部に効果的に排出するとともに、予燃焼室チップ113と主燃焼室との間の気密を維持する予燃焼室ブッシュ115がさらに備わる。

上記の予燃焼室ブッシュ115は、予燃焼室チップ113を取り囲むように設けられ、この予燃焼室ブッシュ115は予燃焼室114内の熱を外部に効果的に放出するために、熱伝導性に優れた銅、銅合金、アルミニウムのうち何れかの材料からなり、このように熱伝導性に優れた材料からなる予燃焼室ブッシュ115が、予燃焼室114内の熱を外部に放出することにより、予燃焼室チップ113の寿命を延長できる。

このような予燃焼室ブッシュ115は、予燃焼室チップ113との結合時に、圧入公差により結合されるため、予燃焼室チップ113と予燃焼室ブッシュ115との間に強固なシール構造が形成される。これは、主燃焼室内における高温高圧の燃焼ガスが、予燃焼室チップ113と予燃焼室ブッシュ115の間に入り込む場合、予燃焼室ブッシュ115の放熱性能を低下させることになるため、予燃焼室チップ113と予燃焼室ブッシュ115の間に高温高圧の燃焼ガスが入り込まないように、上記のような圧入により、予燃焼室ブッシュ115と予燃焼室チップ113を結合することが望ましい。

上記のような構成の本発明のガスエンジン用予燃焼室構造体は、ガス供給通路1121を通って流動する燃料ガスが予燃焼室114の内部に注入し、予燃焼室114に注入した燃料ガスはスパークプラグ120によって点火され、その際に発生する火炎が予燃焼室チップ113に形成された噴射孔1133を介して主燃焼室に供給され、主燃焼室の混合ガスを燃焼させる。

一方、上記のような機能は、従来の予燃焼室構造体と同様である。

しかし、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、ガス供給通路1121が、ウォータージャケット112の上端部から予燃焼室114へ延長した構造であって、従来より長く形成されることにより、予燃焼室114内の未燃焼ガスがガス供給通路1121を通って逆止弁に逆流することを減少でき、このような逆流ガスの減少により、逆止弁の固着を防ぐことができ、逆止弁の耐久性を向上することができる利点がある。

また、予燃焼室チップ113の上面に形成した溝1132により、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112との間の気密が安定的に維持されるため、予燃焼室114に注入した燃料ガスや米燃焼ガスが、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112との接触面を介して漏洩することを防止できる利点がある。

また、スパークプラグ120が設けられた空間S1の気密を維持する第1のOリング131と、逆止弁が設けられた空間S2の気密を維持する第2のOリング132が、個別に設けられ、当該空間の気密を維持することにより、未燃焼ガスがメインボディ111とウォータージャケット112の結合部を介して、スパークプラグ120が設けられた空間に流入することを防げる利点がある。

また、ガス供給通路1121を通って予燃焼室114に注入する燃料ガスの量を、オリフィス 1122が調節することにより、予燃焼室114の燃焼性能を高めることができ、これにより、エンジンの最大パフォーマンスを引き出すことができる利点がある。

特に、本発明に係るガスエンジン用の予燃焼室構造体は、予燃焼室チップ113に形成されたツール結合用の溝1131によって、予燃焼室チップ113とウォータージャケット112の間に遊びが形成され、この遊びを介して分解用ツールを挿入できるようになるため、予燃焼室構造体に対するメンテナンスや点検の作業時に、予燃焼室チップ113が分解しやすくなり、予燃焼室チップ113の分解によって、予燃焼室114の奥までカーボンを洗浄できるようになり、予燃焼室114の性能低下を防止するとともに、予燃焼室構造体の寿命をさらに延ばすことができる利点がある。

一方、予燃焼室チップ113の寿命を延ばすためには、噴射孔1133の形成された部分の厚さを減らすことにより、熱伝達がよりよくできるようにすることが望ましい。

本発明は、上述した特定の好適な実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば誰でも多様な変形実施が可能なのはもちろん、そのような変形は、特許請求の範囲の記載範囲内になる。

１１０ ボディ
１１１ メインボディ
１１２ ウォータージャケット
１１２１ ガス供給通路
１１２２ オリフィス
１１３ 予燃焼室チップ
１１３１ ツール結合用の溝
１１３２ 溝
１１４ 予燃焼室
１１５ 予燃焼室ブッシュ
１２０ スパークプラグ
１３１ 第1のOリング
１３２ 第2のOリング

Claims (5)

1. メインボディとウォータージャケットと予燃焼室チップからなるボディと、前記ボディ内に形成された予燃焼室に注入された燃料ガスを点火させるスパークプラグとからなり、燃料ガスを点火させた後、主燃焼室に提供するガスエンジン用の予燃焼室構造体において、
   前記予燃焼室チップには、予燃焼室チップとウォータージャケットの結合部に遊びを形成することによって分解用ツールが挿入されるようにするツール結合用の溝が形成され、
   前記予燃焼室チップの上面には、予燃焼室を取り囲む凹溝が形成され、ウォータージャケットと予燃焼室チップとの間の気密性が向上しており、
   前記メインボディとウォータージャケットの結合部には、スパークプラグが設けられた空間の気密を維持する第1のOリングと、逆止弁が設けられた空間の気密を維持する第2のOリングと、がそれぞれ設けられていることを特徴とするガスエンジン用の予燃焼室構造体。
2. 前記ウォータージャケットに形成されたガス供給通路は、ウォータージャケットの上端部まで延長するように形成されたことを特徴とする請求項１に記載のガスエンジン用の予燃焼室構造体。
3. 前記ウォータージャケットに形成されたガス供給通路には、燃料ガスの注入量を調節するオリフィスが設けられたことを特徴とする請求項１に記載のガスエンジン用の予燃焼室構造体。
4. 前記予燃焼室チップを取り囲む予燃焼室ブッシュがさらに備わり、
   前記予燃焼室ブッシュは、銅、銅合金、アルミニウムのうち何れかからなり、予燃焼室内の高温の熱を外部に放出することを特徴とする請求項１に記載のガスエンジン用の予燃焼室構造体。
5. 前記予燃焼室ブッシュは、予燃焼室チップに圧入されて結合したことを特徴とする請求項４に記載のガスエンジン用の予燃焼室構造体。

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