JP5823585B2 - 燐光発光材料を含有する液状組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、燐光発光材料を含有する液状組成物、液状組成物を用いて製造された有機電界発光素子、及びその製造方法に関するものである。
近年、有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」ともいう)を用いたカラーディスプレイや照明の開発が活発に進められている。消費電力の抑制などの観点から、より高効率な有機電界発光素子が求められており、燐光発光材料を用いた有機電界発光素子の開発が活発に進められている。
有機電界発光素子に含まれる有機発光層の成膜方法としては、蒸着などの乾式法、及び塗布などの湿式法が挙げられるが、生産性の観点から湿式法が注目されている。
有機発光層を湿式法で製造する際には、発光材料及び溶媒等を含有する液状組成物が使用される。液状組成物の製造は、製造過程を簡略化して生産効率を向上させる観点から通常は大気中で行われる。かかる場合、大気中の酸素が液状組成物に混入する。液状組成物中に混入した酸素が保存中に成分と反応し、成分が酸化等して変質すると、有機電界発光素子の性能が低下する可能性がある。
特許文献1には、発光材料と溶媒とを含む液状体に酸化防止剤を添加して液状化した有機電解発光素子用組成物が記載されている。この組成物の目的は、大気に起因する物性変化や溶質の析出を抑え、デバイスの経時的な劣化又は信頼性低下を防止することである。つまり、液状組成物の経時安定性を向上させることである。
しかしながら、特許文献1には、液状組成物を製造した具体例が無く、酸化防止剤を添加した効果として有機発光素子の性能の持続、及び液状組成物の安定性の向上が示されていない。
特許文献2には、燐光発光材料と溶媒とを含む液状体に、加熱により蒸発もしくは分解する酸化防止剤を添加した有機電解発光素子用液状組成物が記載されている。かかる酸化防止剤は、液状組成物を大気雰囲気下で塗布し、その後加熱乾燥させた場合に、酸素に起因する物性変化及び燐光発光材料の性能低下を抑制する。その一方、これら酸化防止剤は加熱時に蒸発又は分解して発光層中に残存せず、酸化防止剤に起因する燐光発光材料の性能低下も防止する。特許文献2には、酸化防止剤として、アルキレングリコール誘導体、アミノアルコール誘導体、及びシュウ酸が挙げられている。
上記酸化防止剤は加熱により蒸発もしくは分解する性質でありながら、有機発光層の加熱時に酸化防止機能を発揮する必要がある。そのため、特許文献2の液状組成物には比較的多量の酸化防止剤が含有されている。液状組成物の製造において酸化防止剤の使用量が多くなるとコストがかかり、また、酸化防止剤の作用により保存中に液状組成物の成分が変質する可能性が生じる。
特開2004−88094号 国際公開第2012/043774号
特許文献2の液状組成物が液状の酸化防止剤であるアルキレングリコール誘導体又はアミノアルコール誘導体を含む場合、液状組成物に対して1〜50重量%の極めて高い濃度の酸化防止剤が必要となる。また、上記液状組成物が固体状の酸化防止剤であるシュウ酸を含む場合、液状組成物中の固形分に対して0.1〜10質量%の多量の酸化防止剤が必要となる。さらに、シュウ酸は芳香族炭化水素や芳香族エーテルなどの有機溶媒に対して難溶であり、用途が限定されるという問題もある。
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、保存安定性に優れた、燐光発光材料を含有する有機EL素子用液状組成物を提供することである。
尚、燐光発光材料は酸化反応生成物の存在によって、電流効率、および発光寿命に悪影響を受け易い点で蛍光発光材料と相違し、液状組成物中に酸化反応生成物が発生し、又は蓄積することをより厳格に抑制する必要があることを見出した。特に、液状組成物がアリール部分を有する高分子化合物を含み、溶媒として該高分子化合物に対する溶解性が高い芳香族炭化水素あるいは芳香族エーテルを含むものである場合、液状組成物には過酸化物や酸化反応生成物が発生又は蓄積し易くなる。更に、燐光発光材料がイリジウムを含む場合、イリジウムは過酸化物の生成反応を促進するため、燐光発光材料の性能低下が生じ易い。
一般的に、酸化防止剤にはラジカル連鎖禁止剤及び過酸化物分解剤等がある。本願発明者らが鋭意検討した結果、酸化防止剤の中でもラジカル連鎖禁止剤が燐光発光材料を含有するインクの安定性を向上させることを見出した。
本発明は、燐光発光材料、25℃及び1気圧にて液体である溶媒、並びに、ラジカル連鎖禁止剤を含有する液状組成物を提供する。
ある一形態においては、ラジカル連鎖禁止剤が、芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤、及びビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤からなる群から選ばれる1種以上のラジカル連鎖禁止剤である。
ある一形態においては、芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤が、式(1)で示される化合物である。
Figure 0005823585
(1)
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
ある一形態においては、ラジカル連鎖禁止剤が、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤である。
ある一形態においては、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が、式(2)で表される化合物である。
Figure 0005823585
(2)
〔式中、R11、R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基で示される基を表す。ただし、R11、R12、R13、R14、及びR15の少なくとも1つは水素原子とは異なる。〕
ある一形態においては、R11、R12、R13、R14、及びR15が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R11、R13、及びR15の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R11の炭素原子数、R12の炭素原子数、R13の炭素原子数、R14の炭素原子数、及びR15の炭素原子数の合計が20以下である。
ある一形態においては、R11、R13、及びR15の少なくとも1つが、tert−ブチル基である。
ある一形態においては、式(2)で示される化合物が、式(4)で示される化合物である。
Figure 0005823585
(4)
〔式中、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
ある一形態においては、ラジカル連鎖禁止剤が、ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤である。
ある一形態においては、ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が、式(5)、又は式(6)で示される化合物である。
Figure 0005823585
(5) (6)
〔式中、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R28、R29、R30、及びR31の少なくとも1つは水素原子とは異なる。Xは、メチレン基、炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基、又はイオウ原子を表す。〕
ある一形態においては、ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が、式(5)で示される化合物であり、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つがtert−ブチル基であり、Xがメチレン基、又は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基である。
ある一形態においては、ラジカル連鎖禁止剤の含有量が液状組成物の重量に対して、0.1〜10000ppmの範囲である。
ある一形態においては、燐光発光材料が、式(7)で表される化合物である。
Figure 0005823585
(7)
〔式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金を表す。Lは、Mで表される金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも2つの結合を形成して多座配位しうる、中性又は1〜3価のアニオン性の配位子を表す。Zは、カウンターアニオンを表す。kaは1以上の整数を表し、kbは0以上の整数を表す。Lが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。Zが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
ある一形態においては、式(7)におけるMがイリジウムである。
ある一形態においては、上記液状組成物は、さらに、25℃及び1気圧にて固体である有機化合物を含む。
ある一形態においては、25℃及び1気圧にて固体である有機化合物が式(8)で表される構造を少なくとも1つ構成単位として含む高分子化合物である。
Figure 0005823585
(8)
〔式中、Ar1は、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよい2価の芳香族複素環基、又は、該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。〕
ある一形態においては、燐光発光材料が、燐光錯体構造を含む高分子化合物である。
ある一形態においては、溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、又は、芳香族炭化水素と芳香族エーテルとの混合溶媒である。
また、本発明は、上記いずれかの液状組成物を用いて製造された有機電界発光素子を提供する。
また、本発明は、上記いずれかの液状組成物を基材上に塗布して発光層を形成する工程を含む有機電界発光素子の製造方法を提供する。
ある一形態においては、上記有機電界発光素子の製造方法は、液状組成物を塗布した後に、30℃以上250℃以下で加熱する工程を含む。
ある一形態においては、上記有機電界発光素子の製造方法は、液状組成物を塗布した後に100Pa以下の減圧環境で保持する工程を含む。
本発明によれば、燐光発光錯体を含む有機EL素子の発光層の製造に用いられ、長期間保管した場合でも電流効率の低下を抑制しうる液状組成物、さらには、発光寿命の短縮をも抑制しうる液状組成物であって、これらの性能低下を抑制する添加剤が有機溶媒に対する溶解性に優れ、添加剤の含有量が少量でよい液状組成物が提供される。
本発明の有機電界発光素子の一形態の構造を示す模式断面図である。 本発明の有機電界発光素子の他の形態の構造を示す模式断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<添加剤(A)>
本発明の液状組成物は添加剤(A)を含有する。添加剤(A)は、該液状組成物に酸素が混入し、その後長期間保管した場合でも、燐光発光材料の性能低下を抑制する。添加剤(A)としては、酸化防止剤が使用される。酸化防止剤の中でも、添加剤(A)はラジカル連鎖禁止剤である。また、添加剤(A)は、本発明の液状組成物に使用する溶媒に溶解する化合物である。
ラジカル連鎖禁止剤とは、本発明の液状組成物に含まれる溶媒、燐光発光材料、及び必要に応じて用いられる他の成分、並びにこれらの酸化生成物から生成するラジカルによる連鎖反応を抑制しうる材料を意味し、例えば、芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤、及びビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤が挙げられる。
芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤としては、例えば、第2芳香族アミンが挙げられる。芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤としては、式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 0005823585
(1)
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びtert−ペンチル基が挙げられる。
式(1)で示される化合物としては、例えば、ジフェニルアミン、N−フェニル−o−トルイジン、N−フェニル−m−トルイジン、N−フェニル−p−トルイジン、ビス−o−トルイルアミン、ビス−m−トルイルアミン、及びビス−p−トルイルアミンが挙げられる。
モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤としては、例えば、置換基を有するフェノールが挙げられる。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、及びアシルオキシ基が挙げられる。モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤としては、式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005823585
(2)
〔式中、R11、R12、R13、R14、及びR15は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基、又は式(3)で示される基を表す。ただし、R11、R12、R13、R14、及びR15の少なくとも1つは水素原子とは異なる。〕
Figure 0005823585
(3)
〔式中、m及びnは、それぞれ独立に、0〜20の整数を表す。〕
式(2)で表される化合物としては、R11、R12、R13、R14、及びR15が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R11、R13、及びR15の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R11の炭素原子数、R12の炭素原子数、R13の炭素原子数、R14の炭素原子数、及びR15の炭素原子数の合計が20以下である化合物が好ましく、炭素数の合計が12以下である化合物がさらに好ましい。また、R11、R13、及びR15の少なくとも1つが、tert−ブチル基であることが好ましい。
式(2)で示される化合物としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、2−ペンチルフェノール、3−ペンチルフェノール、4−ペンチルフェノール、2−ヘキシルフェノール、3−ヘキシルフェノール、4−ヘキシルフェノール、2−ヘプチルフェノール、3−ヘプチルフェノール、4−ヘプチルフェノール、2−オクチルフェノール、3−オクチルフェノール、4−オクチルフェノール、2−ノニルフェノール、3−ノニルフェノール、4−ノニルフェノール、2−デシルフェノール、3−デシルフェノール、4−デシルフェノール、2−ウンデシルフェノール、3−ウンデシルフェノール、4−ウンデシルフェノール、2−ドデシルフェノール、3−ドデシルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−トリデシルフェノール、3−トリデシルフェノール、4−トリデシルフェノール、2−テトラデシルフェノール、3−テトラデシルフェノール、4−テトラデシルフェノール、2−ペンタデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、4−ペンタデシルフェノール、2−ヘキサデシルフェノール、3−ヘキサデシルフェノール、4−ヘキサデシルフェノール、2−ヘプタデシルフェノール、3−ヘプタデシルフェノール、4−ヘプタデシルフェノール、2−オクタデシルフェノール、3−オクタデシルフェノール、4−オクタデシルフェノール、2−ノナデシルフェノール、3−ノナデシルフェノール、4−ノナデシルフェノール、2−イコシルフェノール、3−イコシルフェノール、4−イコシルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,3,4,5−テトラメチルフェノール、2,3,4,6−テトラメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、ペンタメチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシメチルー2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、n−オクタデシル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
式(2)で示される化合物としては、本発明の液状組成物を用いて形成した有機エレクトロルミネッセンス素子の輝度半減寿命の低下を抑制する観点からは、式(4)で示される化合物が好ましい。
Figure 0005823585
(4)
〔式中、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
炭素原子数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びtert−ペンチル基が挙げられる。
式(4)で示される化合物としては、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、及び2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノールが好ましい。これらの化合物は本発明の液状組成物に使用する所望の溶媒に対する溶解性に優れる。
ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤としては、例えば、置換基を有していてもよいフェノール2個が、メチレン基、炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基、又はイオウ原子を介して結合した化合物が挙げられる。該置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤としては、式(5)、又は式(6)で示される化合物が好ましい。
Figure 0005823585
(5) (6)
〔式中、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R28、R29、R30、及びR31の少なくとも1つは水素原子とは異なる。Xは、メチレン基、炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基、又はイオウ原子を表す。〕
式(5)で示される化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、及び2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)が挙げられる。式(6)で示される化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)が挙げられる。
式(5)で示される化合物としては、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つがtert−ブチル基であり、また、Xがメチレン基、又は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基である化合物が好ましい。式(6)で示される化合物としては、R28、R29、R30、及びR31の少なくとも1つがtert−ブチル基である化合物が好ましい。
本発明における液状組成物は、燐光発光材料を含み、またある一形態においてはさらに25℃および1気圧にて固体である有機化合物(以下「第二の発光層用材料」ということもある。)を含んでいてもよい。この燐光発光材料および第二の発光層用材料を総称して本明細書では発光層用材料と呼ぶ。
発光層用材料がアルキル基を持つ場合、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜30である。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子が挙げられる。置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、3,7−ジメチルオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル、オクタデシル基及びエイコシル基等の鎖状アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びアダマンチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
発光層用材料がアルコキシ基を持つ場合、アルコキシ基のアルキル部分は、直鎖状でも分岐状でもよく、環状であってもよい。アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜30であり、置換基としては、例えば、フッ素原子及びアルコキシ基が挙げられる。置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基及び2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
発光層用材料がアリール基を持つ場合、アリール基は、無置換の芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子1個を除いた基を意味し、その炭素原子数は通常6〜60である。アリール基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリール基の具体例としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(C1〜C12アルコキシは、炭素原子数1〜12のアルコキシであることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(C1〜C12アルキルは、炭素原子数1〜12のアルキルであることを示す。以下も同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基及びペンタフルオロフェニル基が挙げられる。
発光層用材料がアラルキル基を持つ場合、アラルキル基は、その炭素原子数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
発光層用材料がアリールアルコキシ基を持つ場合、アリールアルコキシ基は、その炭素原子数が通常7〜60であり、アリール部分が置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が挙げられる。置換基を有していてもよいアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
発光層用材料が1価の複素環基を持つ場合1価の複素環基は、無置換の複素環式化合物から水素原子を1個除いた基を意味する。複素環式化合物としては、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、及びトリアジンが挙げられる。1価の複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が挙げられる。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
発光層用材料が置換アミノ基を持つ場合、置換アミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換されたものであり、置換基は、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基及び置換基を有していてもよいアリール基である。置換アミノ基の炭素原子数は、通常1〜40である。置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
発光層用材料が1価の置換カルボニル基を持つ場合、置換カルボニル基とは、カルボン酸中の水酸基を除いた基を意味し、その炭素原子数が通常2〜20である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基等の炭素原子数2〜20のフッ素原子で置換されていてもよいアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基等のフッ素原子で置換されていてもよいフェニルカルボニル基が挙げられる
発光層用材料が1価の置換オキシカルボニル基を持つ場合、置換オキシカルボニル基とは、カルボン酸中の水素原子を除いた基を意味し、その炭素原子数が通常2〜20である。アシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基及びペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
発光層用材料がアルキレン基を持つ場合、アルキレン基の炭素原子数は、通常1〜30である。アルキレン基の具体例としては、メチレン基、及びエチレン基が挙げられる。
発光層用材料がアリールアルケニル基を持つ場合、アリールアルケニル基の炭素原子は、通常8〜20である。アリールアルケニル基の具体例としては、スチリル基が挙げられる。
発光層用材料がアリールアルキニル基を持つ場合、アリールアルキニル基の炭素原子数は、通常8〜20である。アリールアルキニル基の具体例としては、フェニルアセチレニル基が挙げられる。
発光層用材料がアリールアミノ基を持つ場合、アリールアミノ基とは、アミノ基の水素原子の1個又は2個が置換基を有していてもよいアリール基で置換された基を意味し、アミノ基の水素原子の1個が置換基を有していてもよいアリール基で置換され、かつ、水素原子の1個がアリール基以外の置換基で置換された基も含まれる。アリールアミノ基の炭素原子数は、通常6〜40である。アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
発光層用材料がアリーレン基を持つ場合、アリーレン基とは、無置換の芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環のいずれか又は両方の2個以上が直接又はビニレン基等の共役系連結基を介して結合した基を含む。アリーレン基は置換基を有していてもよい。アリーレン基の置換基を除いた部分の炭素数は、通常、6〜60であり、置換基を含めた全炭素数は、通常、6〜100である。アリーレン基が有していてもよい置換基としては、モノマーの合成の容易性、及び重合性の観点からは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、及びシアノ基が好ましく、有機EL素子の作製の容易性の観点からは、アルケニル基、及びアルキニル基が好ましく、有機EL素子に用いた場合の有機EL素子の発光特性の観点からは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアリール基が好ましい。
発光層用材料がハロゲン原子を持つ場合、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子を表す。
発光層用材料がアルケニル基を持つ場合、アルケニル基の炭素原子数は、通常2〜30である。アルケニル基の具体例としては、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
発光層用材料がアルキニル基を持つ場合、アルキニル基の炭素原子数は、通常2〜30である。アルキニル基の具体例としては、エチニル基及びプロパルギル基が挙げられる。
<燐光発光材料>
本発明の液状組成物は、燐光発光材料を含む。燐光発光材料としては、燐光発光性化合物が挙げられる。
燐光発光性化合物としては、三重項発光錯体等の公知の化合物を適用でき、例えば、Nature,(1998),395,151、Appl.Phys.Lett.(1999),75(1),4、Proc.SPIE−Int.Soc.Opt.Eng.(2001),4105(Organic Light−Emitting Materials and DevicesIV),119、J.Am.Chem.Soc.,(2001),123,4304、Appl.Phys.Lett.,(1997),71(18),2596、Syn.Met.,(1998),94(1),103、Syn.Met.,(1999),99(2),1361、Adv.Mater.,(1999),11(10),852、Inorg.Chem.,(2003),42,8609、Inorg.Chem.,(2004),43,6513、Journal of the SID 11/1、161(2003)、WO2002/066552、WO2004/020504、WO2004/020448等に記載されている金属錯体が挙げられる。
燐光発光性化合物である金属錯体としては、例えば、中心金属が第5周期又は第6周期に属する遷移金属であるオルトメタル化錯体等が挙げられる。
燐光発光性化合物である金属錯体の中心金属としては、原子番号50以上の原子で、錯体にスピン−軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態間の項間交差を起こし得る金属が挙げられ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金が好ましく、白金及びイリジウムがより好ましく、イリジウムがさらに好ましい。
燐光発光性化合物としては、下記一般式(7)で表される燐光発光性化合物が好ましい。
Figure 0005823585
(7)
〔式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金を表す。Lは、Mで表される金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも2つの結合を形成して多座配位しうる、中性又は1〜3価のアニオン性の配位子を表す。Zは、カウンターアニオンを表す。kaは1以上の整数を表し、kbは0以上の整数を表す。Lが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。Zが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
式(7)で表される燐光発光性化合物は全体として中性の原子価である。
式(7)中、Mは、白金及びイリジウムが好ましく、イリジウムがより好ましい。燐光発光材料としては、イリジウム化合物が好ましい。中心金属がイリジウムである燐光発光材料は室温での燐光発光の効率が高く、高効率の発光素子を作成する上で有利である。
式(7)中、Lとしては、例えば、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる酸素原子を含む配位子、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる酸素原子を2個含む配位子、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子を2個含む配位子、並びに、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる燐原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子が挙げられる。
Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる酸素原子を含む配位子としては、8−キノリノール、8−キノリノールの誘導体、ベンゾキノリノール、及びベンゾキノリノールの誘導体が挙げられる。
Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子としては、2−フェニル−ピリジン、2−フェニル−ピリジンの誘導体が挙げられる。Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる酸素原子を2個含む配位子としては、アセチルアセトン、及びアセチルアセトンの誘導体が挙げられる。Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子を2個含む配位子としては、2,2’−ビピリジル、及び2,2’−ビピリジルの誘導体が挙げられる。
Lとしては、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子、並びに、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子を2個含む配位子が好ましく、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子であってモノアニオン性のオルトメタル化配位子(以下、「モノアニオン性のオルトメタル化配位子」ともいう)、並びに、モノアニオン性のオルトメタル化配位子が互いに結合してなる2価又は3価の配位子がより好ましく、Mで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる窒素原子及びMで表される金属原子と配位結合又は共有結合により結合しうる炭素原子を含む配位子であってモノアニオン性のオルトメタル化配位子がさらに好ましい。
式(7)におけるLは、一種単独で用いても二種以上を併用して用いても良いが、一種単独で用いる場合、式(7)で表される燐光発光性化合物はホモレプティック錯体(homoleptic complex)となり、二種以上を併用してが用いる場合、式(7)で表される燐光発光性化合物はヘテロレプティック錯体(heteroleptic complex)となる。
モノアニオン性のオルトメタル化配位子を、以下に例示する。
Figure 0005823585
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〔式中、Raは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよい1価の複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換オキシカルボニル基、フッ素原子又はシアノ基を示す。矢印は配位結合を示す。〕
Raとしては、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、及び置換されていてもよいアリールアルキル基が好ましい。
上記に例示したモノアニオン性のオルトメタル化配位子における任意の水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換オキシカルボニル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。当該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに、環構造を形成していてもよい。
溶媒に対する溶解度の観点から、燐光発光性化合物に含まれる配位子Lは、有機溶媒に対する溶解性を高める置換基を含むことが好ましい。有機溶媒に対する溶解性を高める置換基としては、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基及び置換されていてもよいアラルキル基が好ましい。有機溶媒に対する溶解性を高める置換基の水素原子以外の原子の総数は、3個以上であることが好ましく、5個以上であることがより好ましく、7個以上であることが更に好ましく、10個以上であることが特に好ましい。また、有機溶媒に対する溶解性を高める置換基は、燐光発光性化合物が有する全ての配位子に導入されていることが好ましい。その場合、有機溶媒に対する溶解性を高める置換基は、配位子毎に同一であっても異なっていてもよい。
有機溶媒に対する溶解性を高める置換基としては、置換されていてもよいアリール基及び置換されていても1価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる1種以上の基を含むデンドロンが好ましい。デンドロンとは分枝構造(branching structure)であり、デンドロンを置換基として配位子に導入することにより、燐光発光性化合物は、溶解性の向上に加えて、例えば、塗膜性の向上、電荷輸送性などの機能性(functinality)、発光色を調整等の効果が付与された高密度の機能性を有する燐光発光性化合物となり得る。また、デンドロンを置換基として有する高度に枝分かれした巨大分子はデンドリマーと呼ばれることがある。デンドリマーは、例えば、国際公開第02/066575号、国際公開第02/066552号、及び国際公開第02/067343号に記載されており、種々の機能を目的として設計、合成がされている。
以下に、代表的なデンドロンを例示する。
Figure 0005823585
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〔式中、Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換オキシカルボニル基、フッ素原子又はシアノ基を表すか、2個のRが結合し、それぞれが結合する炭素原子とともに環構造する。複数存在するRは、互いに同一でも異なっていてもよい。〕
Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、及び置換アミノ基が好ましく、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、及び置換されていてもよいアリール基がより好ましい。
2個のRが結合して形成する環構造としては、アルキル基で置換されていてもよいシクロペンチル環、アルキル基で置換されていてもよいシクロヘキシル環、及びアルキル基で置換されていてもよいシクロヘプチル環が好ましい。なお、当該環構造は、更にベンゼン環等が縮合した縮合環構造であってもよい。
式(7)中、Zで表されるカウンターアニオンとしては、ブレンステッド酸の共役塩基が挙げられる。ブレンステッド酸の共役塩基の具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、メタンスルホン酸イオン、及びトリフルオロ酢酸イオンが挙げられる。
式(7)で表される燐光発光性化合物としては、Mが、イリジウム(III)であり、Lが、モノアニオン性のオルトメタル化配位子であり、kaが3であり、kbが0である燐光発光性化合物が好ましい。
式(7)で表される燐光発光性化合物としては、下記燐光発光性化合物が例示される。
Figure 0005823585
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〔式中、t−Buはtert−ブチル基を表す。〕
上記に例示した各燐光発光性化合物における任意の水素原子は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換オキシカルボニル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。当該置換基が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する原子とともに、環構造を形成していてもよい。
上記燐光発光性化合物の例示において、デンドロン部位が有する置換基として記載されているRpとしては、アルキル基、及びアルコキシ基が好ましく、直鎖、分岐、あるいは環状の非置換アルキル基がより好ましい。合成の容易さ、及び得られる燐光発光性化合物を発光素子の作製に用いる際の有機溶媒への溶解のしやすさの観点から、t−Bu(tert−ブチル基)、C613(ヘキシル基)、及びエチルヘキシル基等のアルキル基が好ましい。
式(7)で表される燐光発光性化合物は、輝度寿命の観点から、式Ir−2a〜式Ir−6a、式Ir−10a〜式Ir−13a、式Ir−17a〜式Ir−25a、式Ir−2b〜式Ir−6b、式Ir−10b〜式Ir−13b、式Ir−18b〜式Ir−29b、式Ir−1c〜式Ir−14c、及び式Ir−1d〜式Ir−19dで表される燐光発光性化合物が好ましく、式Ir−10a〜式Ir−13a、式Ir−17a〜式Ir−24a、式Ir−10b〜式Ir−13b、式Ir−18b〜式Ir−29b、式Ir−1c、式Ir−5c、式Ir−8c、式Ir−10c〜式Ir−14c、式Ir−1d〜式Ir−2d、式Ir−6d〜式Ir−12d、及び式Ir−15d〜式Ir−19dで表される燐光発光性化合物がより好ましい。
本発明の液状組成物に含まれる燐光錯体化合物は、燐光錯体構造を含む高分子化合物であってもよい。ここで、高分子化合物とは、ポリスチレン換算の分子量が1000以上で、分子量に分布をもつ化合物である。燐光錯体構造を含む高分子化合物は、後述する第二の発光層用材料に用いられる高分子化合物が有する繰り返し単位を含有することが好ましく、式(8)で表される構造を含むことがより好ましい。該高分子化合物は、燐光錯体化合物から水素原子1個又は2個を除いた基が高分子化合物の主鎖又は側鎖と直接又はスペーサーとなる2価の基を介して結合してもよい。スペーサーとなる2価の基としては、例えば、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアリーレン基、及び置換されていてもよい2価の複素環基が挙げられ、置換されていてもよいアルキレン基、及び置換されていてもよいアリーレン基が好ましい。アルキレン基、アリーレン基、及び2価の複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、及び1価の複素環基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、及びアリールオキシ基が好ましい。
本発明の液状組成物に含まれる燐光発光材料の濃度は、液状組成物の重量に対して、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜2重量%である。
<第二の発光層用材料>
本発明の液状化合物は、さらに、25℃及び1気圧にて固体である有機化合物(以下、「第二の発光層用材料」ということもある)を含んでいてもよい。第二の発光層用材料は、ホスト材料が好ましい。ホスト材料とは、励起状態からのエネルギー移動により燐光発光材料を発光させる材料であり、低分子化合物であっても、高分子化合物であっても、またそれらの混合物であってもよい。ホスト材料としては、電荷輸送性高分子化合物が好ましい。
ホスト材料である低分子化合物の具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体などが挙げられる。中でも、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、及び芳香族第三アミン化合物が好ましい。
ホスト材料である電荷輸送性高分子化合物としては、電荷注入性及び電荷輸送性の観点から、式(8)で表される構成単位を含む高分子化合物が好ましい。式(8)で表される構成単位を含む高分子化合物は、さらに、式(9)で表される構成単位を含んでいてもよい。
Figure 0005823585
(8)
〔式中、Ar1は、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよい2価の芳香族複素環基、又は、該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。〕
式(8)におけるアリーレン基としては、フェニレン基(式Ar1〜Ar3)、ナフタレンジイル基(式Ar4〜Ar13)、アントラセンジイル基(式Ar14〜Ar19)、ビフェニルジイル基(式Ar20〜Ar25)、ターフェニルジイル基(式Ar26〜Ar28)、縮合環化合物基(式Ar29〜Ar35)、フルオレンジイル基(式Ar36〜Ar68)、及び、ベンゾフルオレンジイル基(式Ar69〜Ar88)が挙げられる。本発明の液状組成物を用いて製造した有機EL素子の発光特性の観点からは、アリーレン基は、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ターフェニルジイル基、及び、フルオレンジイル基が好ましく、フェニレン基、及び、フルオレンジイル基がより好ましく、フルオレンジイル基が特に好ましい。Ar1〜Ar88で表される基は、置換基を有していてもよい。
Figure 0005823585
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式(8)における2価の複素環基とは、無置換の複素環式化合物から2個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。2価の複素環基は、2価の芳香族複素環基が好ましい。2価の芳香族複素環基とは、無置換の芳香族複素環式化合物から2個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。芳香族複素環式化合物とは、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等のヘテロ原子を含む複素環式化合物であり、該複素環自体が芳香族性を示す化合物、並びに、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等のヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくても、該複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。2価の複素環基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、及びシアノ基が挙げられる。
2価の芳香族複素環基としては、例えば、ピリジンジイル基(式B1〜B3);ジアザフェニレン基(式B4〜B8);トリアジンジイル基(式B9);キノリン−ジイル基(式B10〜B12);キノキサリン−ジイル基(式B13〜B15);アクリジンジイル基(式B16、B17);フェナントロリンジイル基(式B18、B19);ヘテロ原子を含む環構造にベンゾ縮環した構造を有する基(式B20〜B26);フェノキサジンジイル基(式B27、B28);フェノチアジンジイル基(式B29、B30);含窒素結合多環系ジイル基(式B31〜B35);ヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環基(式B36〜B39);ヘテロ原子として、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子等を含む5員環縮合基(式B40〜B47)が挙げられる。B1〜B47で表される2価の芳香族複素環基における水素原子は、アルキル基、アリール基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基で置換されていてもよい。
Figure 0005823585
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〔式中、Raは、前述と同じ意味を表す。〕
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(9)
〔式中、Ar2、Ar3、Ar4及びAr5は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよい2価の芳香族複素環基、又は、該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。Ar6、Ar7及びAr8は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよい1価の芳香族複素環基を表す。p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。Ar5、Ar6、Ar7及びAr8で表される基に含まれる炭素原子は、それぞれ、該基が結合する窒素原子と結合しているAr2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6、Ar7、及びAr8で表される基に含まれる炭素原子と、直接結合し、又は、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−N(RA)−、−C(=O)−N(RA)−若しくは−C(RA2−を介して結合して、5〜7員環を形成していてもよい。RAは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基又は置換されていてもよいアラルキル基を表す。〕
ホスト材料である電荷輸送性高分子化合物としては、式(8)で表される構成単位と式(9)で表される構成単位とを含み、式(8)で表される構成単位のモル比率が80%以上であり、かつ、前記式(9)で表される構成単位のモル比率が20%未満である高分子化合物が好ましく、式(8)で表される構成単位のモル比率が90%以上であり、かつ、式(9)で表される構成単位のモル比率が10%未満である高分子化合物が特に好ましい。
式(8)で表される構成単位は、電荷注入性及び電荷輸送性の観点からは、式(10)で表される構成単位、及び式(11)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005823585
(10)
〔式中、R50及びR51は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基又は置換されていてもよいアラルキル基を表すか、R50とR51が結合して環状構造を形成する。R52及びR53は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。r1及びr2は、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R52が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。R53が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。〕
Figure 0005823585
(11)
〔式中、R54及びR57は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。R55及びR56は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよい1価の芳香族複素環基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、置換カルボキシル基、フッ素原子又はシアノ基を表す。〕
本発明の液状組成物を用いて製造した有機EL素子の駆動電圧を下げる観点からは、ホスト材料である電荷輸送性高分子化合物が、式(8)で表される構成単位として、式(10)で表される構成単位、及び/又は、式(11)で表される構成単位を含むことが好ましい。
式(8)で表される構成単位としては、例えば、以下の式Ka−1〜Ka−52で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005823585
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式(9)中、Ar6、Ar7及びAr8で表されるアリール基は、炭素原子数が、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20である。該炭素原子数には置換基の炭素原子数は含まない。Ar6、Ar7及びAr8で表されるアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、9−フルオレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、及び4−ビフェニリル基が例示される。前記アリール基は、置換基を有していてもよい。
Ar6、Ar7及びAr8で表される置換されていてもよいアリール基としては、置換又は非置換のフェニル基、及び置換又は非置換の4−ビフェニリル基が好ましい。これらのフェニル基、及び4−ビフェニリル基が有する置換基としては、アルキル基、1価の芳香族複素環基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
式(9)中、Ar6、Ar7及びAr8で表される1価の芳香族複素環基は、炭素原子数が、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。該炭素原子数には置換基の炭素数は含まない。Ar6、Ar7及びAr8で表される1価の芳香族複素環基としては、2−オキサジアゾール基、2−チアジアゾール基、2−チアゾール基、2−オキサゾール基、2−チエニル基、2−ピロリル基、2−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−ピリミジル基、2−トリアジル基、3−ピリダジル基、3−カルバゾリル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、2−フェノチアジニル基、及び3−フェノチアジニル基が例示され、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−ピリミジル基、2−トリアジル基、及び3−ピリダジル基が好ましい。Ar6、Ar7及びAr8で表される1価の芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、アルキル基、アリール基、及び1価の芳香族複素環基が好ましい。
式(9)中、p及びqは、それぞれ独立に、0又は1を表す。p及びqの少なくとも一方が1であることが好ましい。
式(9)で表される構成単位としては、例えば、以下の式Am1〜Am6、及びKb−1〜Kb−7で表される構成単位が挙げられる。本発明の液状組成物を用いて製造した有機EL素子の正孔輸送性及び発光特性の観点から、式Am2〜Am5で表される構成単位が好ましい。なお、これらの構成単位は、置換基を有していてもよい。
Figure 0005823585
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前記電荷輸送性高分子化合物は、有機EL素子中で架橋させて用いてもよい。
前記電荷輸送性高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1×103〜1×108であり、好ましくは5×104〜5×106である。前記電荷輸送性高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、通常、1×103〜1×108であり、好ましくは1×104〜1×105である。
前記電荷輸送性高分子化合物としては、以下の化合物EP−1〜EP−4が挙げられる。
Figure 0005823585
表1中、v、w、x、y及びzは、モル比率を表す数である。これらのうち、前記式(8)で表される構成単位のモル比率が、v、w及びxの合計値であり、前記式(9)で表される構成単位のモル比率がyであり、その他の構成単位のモル比率がzである。また、v、w、x、y及びzは、v+w+x+y+z=1であり、かつ、1≧v+w+x+y≧0.7を満たす。
ここで、前記式Ar1〜Ar35、式Ar36〜Ar88、式B1〜B47、及び式Am1〜Am6は、前記式と同じ意味を有する。また、「その他」は、前記式Ar1〜Ar35、式Ar36〜Ar88、式B1〜B47、及び式Am1〜Am6で表される構成単位以外の構成単位(以下、その他の構成単位という場合がる)を表す。
本発明の液状組成物に含まれる電荷輸送性高分子化合物は、一種単独であっても二種以上であってもよい。二種以上の電荷輸送性高分子化合物を含む場合、表において、該二種以上の電荷輸送性高分子化合物が有する式Ar1〜Ar35で表される構成単位のモル比率の相加平均値、即ち、それぞれの電荷輸送性高分子化合物のモル比率にそれぞれの電荷輸送性高分子化合物の重量組成比を乗じたものを合計した値をvとみなし、該二種以上の電荷輸送性高分子化合物が有する式Ar36〜Ar67で表される構成単位のモル比率の相加平均値をwとみなし、該二種以上の電荷輸送性高分子化合物が有する式B1〜B42で表される構成単位のモル比率の相加平均値をxとみなし、該二種以上の電荷輸送性高分子化合物が有する式Am1〜Am6で表される構成単位のモル比率の相加平均値をyとみなし、該二種以上の電荷輸送性高分子化合物が有するその他の構成単位のモル比率の相加平均値をzとみなし、v、w、x、y、及びzが、化合物EP−1〜EP−4が有するv、w、x、y、及びzの範囲となることが好ましい。
本発明の液状組成物を用いて製造した有機EL素子において、発光層は、燐光発光材料及び第二の発光層用材料と、それら以外の成分を含んでいてもよい。
<溶媒>
本発明の液状組成物に含まれる25℃及び1気圧にて液体である溶媒は前記燐光発光材料等を溶解し、燐光発光材料等と反応しないものであれば特に限定されないが、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、脂肪族炭化水素、脂肪族エーテル、アルコール、ケトン、アミド、エステル、カーボネートなどが挙げられる。
芳香族炭化水素としては、1分子中の炭素数が8〜20、好ましくは8〜14の範囲にあり、1〜3個の置換基をもつベンゼンがこのましい。置換基としては、炭素数1〜14のアルキル基、メチル基で置換されていてもよいシクロペンチル基、メチル基で置換されていてもよいシクロヘキシル基、メチル基で置換されていてもよいシクロへプチル基が好ましい。アルキル基同士が結合して環を形成していても良い。このような化合物は沸点が好ましい範囲にあり、燐光発光材料の溶解性が比較的良好であり、25℃及び1気圧にて固体である有機化合物が式(8)で表される構造を少なくとも1つ構成単位として含む高分子化合物に対する溶解性が良好である。
好ましい芳香族炭化水素の具体例としては、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、2-メチルシクロペンチルベンゼン、3-メチルシクロペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2-メチルシクロヘキシルベンゼン、3-メチルシクロヘキシルベンゼン、4-メチルシクロヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、シクロヘプチルベンゼン、2-メチルシクロヘプチルベンゼン、3-メチルシクロヘプチルベンゼン、4-メチルシクロヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンテトラリンなどが挙げられ、芳香族炭化水素の中でも、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭素環、及び、芳香族炭素環に直接結合した炭素原子を含み、該炭素原子に水素原子が結合した化合物が好ましい。
芳香族エーテルとしては、1分子中の炭素数が7〜18、好ましくは7〜12の範囲にあり、炭素数4以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基と炭素数4以下のアルキル基とがエーテル結合を介して結合したエーテル、1分子中の炭素数が11〜18の範囲にあり、炭素数4以下のアルキル基で置換されていてもよいナフチル基と炭素数4以下のアルキル基とがエーテル結合を介して結合したエーテル、1分子中の炭素数が11〜18の範囲にあり、炭素数4以下のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基同士がエーテル結合を介して結合したエーテル(ここで、エーテル結合で結合した2つのフェニル基は同一のフェニル基であったも良いし、異なるフェニル基であってもよい)が好ましい。このような化合物は沸点が好ましい範囲にあり、燐光発光材料の溶解性に優れる。好ましい芳香族エーテルの具体例としては、アニソール、エトキシベンゼン、1−プロポキシベンゼン、2−プロポキシベンゼン、1−ブトキシベンゼン、2−ブトキシベンゼン、(2−メチル)プロポキシベンゼン、tert−ブトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2−エトキシトルエン、3−エトキシトルエン、4−エトキシトルエン、1-メトキシナフタレン、1-エトキシナフタレン、3−フェノキシトルエン、4−フェノキシトルエンが挙げられ、特に好ましい芳香族エーテルの具体例としては、アニソール、エトキシベンゼン、2−プロポキシベンゼン、tert−ブトキシベンゼン、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、1-メトキシナフタレン、1-エトキシナフタレン、3−フェノキシトルエン、4−フェノキシトルエンが挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、1分子中の炭素数が5〜20の範囲にあるものが好ましい。なかでも直鎖、分岐、環状飽和炭化水素が特に好ましく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ビシクロヘキシルが挙げられる。
脂肪族エーテルとしては、1分子中の炭素数が5〜12、酸素数が1〜4の範囲にある、エーテルが好ましく、直鎖、分岐、環状飽和脂肪族エーテルが特に好ましく、たとえば、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジ−n-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
アルコールとしては、1分子中の炭素数が2〜15の範囲にあるものが好ましい。たとえば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロパンジオール、グリセリンなどが挙げられる。
ケトンとしては、1分子中の炭素数が3〜12のケトンが好ましく、アルケンあるいはアルキン部位をもたないケトンが特に好ましく、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、フェニルアセトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロンが挙げられる。
アミドとしては、好ましいものとして、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチルー2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
エステルとしては、1分子中の炭素数が4〜12のエステルが好ましく、たとえば、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシピロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸プロピル、乳酸プロピル、フェニル酢酸エチル、安息香酸エチル、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトンが挙げられる。
カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
溶媒は、上記の溶媒を単独で使用してもよいし、2種類以上の溶媒を混合して用いてもよい。単独溶媒として1気圧における沸点が60〜300℃、好ましくは80〜280℃のものを使用する。溶媒の1気圧における沸点が60℃未満であると保存中に乾燥し易くなり、300℃を超えると発光層中に残存し易くなる。溶媒としては、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、及び、芳香族炭化水素と芳香族エーテルとの混合溶媒が好ましい。
さらに、上記溶媒を少なくとも10重量パーセント以上の比率で混合溶媒の第1溶媒として使用することにより、混合溶媒として25℃1気圧で液体であれば、25℃1気圧で固体であるものも混合溶媒の形態で使用することが出来る。
好ましい具体例として列挙した上記芳香族炭化水素、芳香族エーテル、脂肪族炭化水素、脂肪族エーテルはラジカル連鎖反応で酸素と反応して過酸化物や、酸化生成物を生成し易い。それゆえ、添加剤(A)を添加してラジカル連鎖を防止、あるいは過酸化物の分解をして過酸化物や酸化生成物の発生又は蓄積を防止することは、液状組成物がこれらの芳香族炭化水素、芳香族エーテル、脂肪族炭化水素、脂肪族エーテルを含有する場合、保存安定性を向上させるために特に有効である。
上記溶媒は、液状組成物を製造する前に、精製処理を施すことが好ましい。精製処理により溶媒中に含まれる酸化物を除去したり、溶媒の製造工程で添加されている、又は予期せずに混入してしまった有機EL素子に好ましくない酸化防止剤、光安定剤、及びその他添加剤を除去できる。精製方法としては蒸留による精製、シリカゲル、アルミナ、イオン交換樹脂、活性炭などを用いた、カラムによる精製あるいは吸着処理が好ましい。精製した溶媒は、添加剤を含まない樹脂容器、フッ素系樹脂容器、ガラス容器又は金属容器等に保管することが好ましい。精製した溶媒の保管時の酸化劣化を防止するために、溶媒保管容器の気相部分を不活性ガスで置換してもよく、20℃以下に温度を保って保管してもよい。また、精製処理が終了した直後に添加剤(A)を添加してもよく、このとき、添加剤(A)の添加量は溶媒の重量に対して0.1〜10000ppmが好ましい。溶媒の保管において、窒素置換、低温保管、及び添加剤(A)の添加はそれぞれ単独で実施してもよく、組み合わせて実施してもよい。
<液状組成物の製造方法>
本発明の液状組成物は、溶媒に、燐光発光材料、添加剤(A)、必要に応じて第二の発光層用材料を溶解させて液状組成物を製造する。溶解工程における溶媒、燐光発光材料、添加剤(A)、第二の発光層用材料の仕込み順序は特に限定されない。添加剤(A)については、液状組成物を保管容器に充填する時に液状組成物中に存在していればよく、本発明の液状組成物の製造に用いられる溶媒中に添加剤(A)が添加されていてもよく、燐光発光材料中に添加剤(A)が添加されていてもよく、第二の発光層用材料中に添加剤(A)が添加されていてもよく、溶媒に燐光発光材料や第二の発光層用材料を溶解させる時に添加剤(A)を添加してもよい。さらに、添加剤(A)を溶媒に溶解させた溶液を後から添加してもよい。添加剤(A)の添加方法に関わらず、本発明の液状組成物中の添加剤(A)の濃度は、液状組成物の重量に対して、通常0.1〜10000ppm、好ましくは1ppm〜1000ppmである。添加剤(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。添加剤(A)の含有量が0.1ppm以上であると保存安定性の観点から好ましく、10000ppm以下であると、発光素子の発光寿命の観点から好ましい。
燐光発光材料等の溶媒への溶解は、大気下で実施してもよいが、体積分率で酸素濃度が5%以下の不活性ガス雰囲気下で溶解させることが好ましく、酸素濃度が0.5%以下の不活性ガス雰囲気下で溶解させることがさらに好ましい。攪拌翼、攪拌子、振とう機、ホモジナイザー、超音波発生器などを用いて燐光発光材料等の溶媒への溶解を促進させてもよく、攪拌翼を攪拌させながら燐光発光材料等を溶媒に溶解させることが好ましい。溶解温度は、通常、−20℃から溶媒の沸点までであるが、0℃〜80℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。溶解時間は、通常、5分〜1週間であり、30分〜3日が好ましい。
燐光発光材料等の溶媒への溶解を確認した後、必要に応じて、本発明の液状組成物を用いて作製した有機EL素子の特性が不良となる原因となりうるパーティクルを除くための濾過を行い、液状組成物保管容器に充填する。濾過としては、自然濾過、減圧濾過、及び加圧濾過が挙げられ、加圧濾過が好ましい。濾材としては、濾紙、濾布、焼結金属フィルタ、及びメンブランフィルタが挙げられ、メンブランフィルタが好ましく、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブランフィルタがより好ましい。メンブランフィルタを用いる場合の濾過機としては、平膜フィルタ、カプセルフィルタ、カートリッジフィルタのいずれも使用可能である。濾材の目開きとしては、通常、孔径2μm以下の濾材を用い、孔径0.5μm以下の濾材を用いることが好ましく、孔径0.2μm以下の濾材を用いることがより好ましい。
<液状組成物の保管方法>
本発明の液状組成物の保管容器は、本発明の液状組成物に対して安定であり、添加剤(A)以外の添加剤が使用されていない保管容器が望ましい。保管容器としては、例えば、褐色ガラス瓶、フッ素樹脂でコートされた瓶、フッ素樹脂の内袋を持つ容器、及び、ステンレス容器が挙げられる。保管容器は、400nm以下の波長の光を透過させない容器が好ましい。
本発明の液状組成物を保管容器に充填させる際に、保管容器内の空気を窒素やアルゴンなどの不活性ガスで置換して保管してもよい。保管温度は、通常−10℃〜50℃であり、−5℃〜30℃が好ましい。
本発明の液状組成物は、さらに、粘度及を調節するための高分子量の化合物を含んでいてもよい。高分子量の化合物としては、発光や電荷輸送を阻害しない化合物であればよく、通常、本発明の液状組成物の構成要素の一つである溶媒に可溶性の化合物である。高分子量の化合物としては、例えば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレートが挙げられる。前記高分子量の化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。
<有機電界発光素子>
次に、本発明の有機電界発光素子について説明する。図1は、本発明の有機電界発光素子の構造の一形態を模式的に示す断面図である。この有機電界発光素子1は、基板2上に、第1の電極3、第2の電極7、及び該第1の電極及び該第2の電極の間に設けられた発光層6を有している。以下、図1に示す有機電界発光素子1を例として、発光層6の形成工程について説明し、有機電界発光素子1のその他の構成要素の詳細については、後述する。
<発光層6の形成工程>
発光層6の形成工程は、通常、第1の電極3上に、本発明の液状組成物を塗布する塗布工程、及び液状組成物を第1の電極3上に塗布して形成した有機膜を加熱する加熱工程を有する。
<発光層6を形成するための塗布工程>
本発明の液状組成物を第1の電極3上に塗布する塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、及びインクジェットプリント法が挙げられる。
本発明の液状組成物の第1の電極3上への塗布は、通常、大気圧下で実施する。
本発明の液状組成物の第1の電極3上への塗布は、雰囲気中の不活性気体の濃度が大気雰囲気中に含まれる不活性気体の濃度以上である雰囲気下で実施されることが好ましい。不活性気体としては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの気体の混合ガスが挙げられ、有機電界発光素子作製の容易さの観点からは、窒素ガスが好ましい。
本発明の液状組成物の第1の電極3上への塗布は、有機電界発光素子の寿命特性の観点からは、酸素濃度が体積比で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で1000ppm以下の雰囲気下で実施されることが好ましく、酸素濃度が体積比で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で10ppm以下の雰囲気下で実施されることがより好ましい。また、酸素分圧が100Pa以下及び/又は水分分圧が100Pa以下の雰囲気下で実施されることが好ましく、酸素分圧が1Pa以下及び/又は水分分圧が1Pa以下の雰囲気下で実施されることがより好ましい。
<発光層6を形成するための加熱工程>
発光層6を形成するための加熱工程は、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度を、体積比でそれぞれ1000ppm以下に保った状態で有機膜を加熱することが好ましい。また、雰囲気中の酸素分圧及び水分分圧を、それぞれ100Pa以下に保った状態で有機膜を加熱することが好ましい。前記有機膜の加熱は、通常、塗布工程に続いて行う。該加熱によって、有機膜に含まれる溶媒が除去され、発光層6が形成される。加熱は、有機電界発光素子の発光特性及び寿命特性の観点から、通常30℃〜250℃の範囲内の温度で行なわれ、好ましくは、80℃〜200℃、さらに好ましくは100℃〜180℃である。加熱時間は、発光層6に含まれる有機化合物の成分によって適宜選択され、例えば、通常5分〜2時間程度である。
発光層6を形成するための加熱工程は、有機電界発光素子の長寿命化の観点からは、不活性気体を含有する雰囲気下において行うことが好ましい。不活性気体としては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの気体の混合ガスが挙げられ、有機電界発光素子作製の容易さから窒素ガスが好ましい。不活性気体は、有機電界発光素子前駆体を収容する収容装置内に導入される。雰囲気中の不活性気体の濃度は、体積比で通常99%以上であり、好ましくは、99.5%以上である。
また発光層6を形成するための加熱工程は、有機電界発光素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ600ppm以下に保った状態で行われることが好ましく、より好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ300ppm以下であり、さらに好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ100ppm以下であり、特に好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ10ppm以下である。また、雰囲気中の酸素分圧及び水分分圧がそれぞれ60Pa以下に保った状態で行われることが好ましく、より好ましくは、酸素分圧及び水分分圧がそれぞれ30Pa以下であり、さらに好ましくは、酸素分圧及び水分分圧がそれぞれ10Pa以下であり、特に好ましくは、酸素分圧及び水分分圧がそれぞれ1Pa以下である。
また、発光層6を形成するための加熱工程は、有機電界発光素子の長寿命化の観点からは、100Pa以下の雰囲気下において行われることが好ましく、10Pa以下の雰囲気下において行われることがより好ましい。発光層6を形成するための加熱工程は、不活性気体が導入されるとともに、減圧された収容装置内で行われることが好ましい。減圧された雰囲気下で加熱を行うと、大気圧下での加熱に比べ、発光層6に含まれる溶媒をより除去することができる。
発光層6を形成するための加熱工程は、異なる加熱条件を用いて、2段階以上にわたって実施してもよい。
発光層6を形成した後に、第2の電極7を発光層6上に形成することによって、有機電界発光素子1が製造される。
本発明の好ましい一実施形態では、有機電界発光素子1における第1の電極3は陽極であり、第2の電極7は陰極である。
図2は、本発明の有機電界発光素子の構造の他の形態を模式的に示す断面図である。この有機電界発光素子1’は、基板2の上に、第1の電極3と、第2の電極7と、該第1の電極3及び該第2の電極7の間に設けられた第1の有機層4、第2の有機層5及び第3の有機層6’とを有している。
本発明の好ましい一実施形態では、有機電界発光素子1’における第1の電極3は陽極であり、第2の電極7は陰極である。この場合、有機層の構成は、陰極と隣接している第3の有機層6’が発光層である。そして、第3の有機層と第1の電極との間に位置する第1の有機層4は正孔注入層であり、第2の有機層5は正孔輸送層である。
以下、図2に示す有機電界発光素子を例として、前記第1〜第3の有機層の形成工程について説明し、有機電界発光素子の他の構成要素の詳細については後述する。
第1の有機層は、第1の電極の表面上に第1の有機層を形成するための液状組成物を塗布して形成される。第2の有機層は、第1の有機層の表面上に第2の有機層を形成するための液状組成物を塗布して形成される。第3の有機層は、第2の有機層の表面上に第3の有機層を形成するための液状組成物を塗布して形成される。
第3の有機層6’が発光層である場合、第3の有機層6’の形成工程は、前述の有機電界発光素子1中の発光層6の形成工程と同様である。
第3の有機層6’が発光層である場合、第2の有機層5は、発光層に隣接しており、電荷を輸送する層(電荷輸送層)として機能する。
以下、第2の有機層5が正孔輸送層として機能する場合を例として、第2の有機層の形成方法について説明する。この場合、第1の有機層4は正孔注入層として機能する。
まず、第1の電極3及び第1の有機層4を基板2上に形成する。その後、第1の有機層4上に、第2の有機層を形成するための液状組成物を塗布して有機膜(以下、正孔輸送層5用有機膜ともいう)を形成し、要すれば該有機膜を加熱して第2の有機層(正孔輸送層)5を形成する。
正孔輸送層5用有機膜の形成は、有機電界発光素子を容易に製造する点から、大気圧下、不活性気体を含有する雰囲気下において形成することが好ましい。不活性気体としては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの気体の混合ガスが挙げられ、有機電界発光素子作製の容易さから窒素ガスが好ましい。
正孔輸送層5用有機膜は、大気雰囲気下で形成されてもよいし、雰囲気中の不活性気体の濃度が、体積比で通常99%以上である雰囲気下で形成されてもよい。素子寿命の長寿命化の観点からは、不活性気体の濃度が99.5%以上の雰囲気下で形成されることが好ましい。
正孔輸送層5用有機膜は、有機電界発光素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、酸素濃度が体積比で1000ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で1000ppm以下の雰囲気下で形成されることが好ましく、酸素濃度が体積比で10ppm以下及び/又は水分濃度が体積比で10ppm以下の雰囲気下で形成されることがさらに好ましい。また、酸素分圧が100Pa以下及び/又は水分分圧が100Pa以下の雰囲気下で形成されることが好ましく、酸素分圧が1Pa以下及び/又は水分分圧が1Pa以下の雰囲気下で形成されることがさらに好ましい。
正孔輸送層5用有機膜を形成した後、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度を、体積比でそれぞれ1000ppm以下に保った状態で正孔輸送層5用有機膜を加熱することが好ましい。また、雰囲気中の酸素分圧及び水分分圧を、それぞれ100Pa以下に保った状態で正孔輸送層5用有機膜を加熱することが好ましい。
この加熱によって、正孔輸送層5用有機膜に含まれる溶媒が除去される。
加熱は、有機電界発光素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、30℃〜250℃の範囲内の温度で行うことが好ましい。加熱時間は、正孔輸送層5に含まれる有機化合物の成分によって適宜選択され、通常、5分〜2時間程度である。
正孔輸送層5用有機膜の加熱は、有機電界発光素子の長寿命化の観点からは、不活性気体を含有する雰囲気下において行うことが好ましい。不活性気体としては、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス、及びこれらの気体の混合ガスが挙げられ、有機電界発光素子作製の容易さから窒素ガスが好ましい。不活性気体は、素子前駆体を収容する収容装置内に導入される。雰囲気中の不活性気体の濃度は、体積比で通常99%以上であり、好ましくは、99.5%以上である。
また、正孔輸送層5用有機膜の加熱は、有機電界発光素子の長寿命化の観点からは、100Pa以下の雰囲気下において行われることが好ましく、10Pa以下の雰囲気下において行われることがより好ましい。正孔輸送層5の加熱は、不活性気体が導入されるとともに、減圧された収容装置内で行われることが好ましい。
また、正孔輸送層5用有機膜の形成及び該正孔輸送層の加熱は、有機電界発光素子の発光特性及び寿命特性の観点からは、雰囲気中の酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ600ppm以下に保った状態で行われることが好ましく、より好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ300ppm以下であり、さらに好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ100ppm以下であり、特に好ましくは、酸素濃度及び水分濃度が体積比でそれぞれ10ppm以下である。また、雰囲気中の酸素分圧および水分分圧がそれぞれ60Pa以下であることが好ましく、より好ましくは、酸素分圧および水分分圧がそれぞれ30Pa以下であり、さらに好ましくは、酸素分圧および水分分圧がそれぞれ10Pa以下であり、特に好ましくは、酸素分圧および水分分圧がそれぞれ1Pa以下である。
正孔輸送層5を形成した後に、正孔輸送層5上に、前記の方法によって、発光層としての第3の有機層6’を形成し、さらにその上に、第2の陰極7を形成することによって、有機電界発光素子1’が製造される。
以下、有機電界発光素子の素子構成及び各構成要素についてさらに詳細に説明する。本発明の有機電界発光素子は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極及び第2の電極の間に配置される発光層6を必須の構成要件として有している。なお、第1の電極(例えば、陽極)と第2の電極(例えば、陰極)との間には、例えば素子特性を向上させるために、前述の発光層6に加えて、さらなる機能層が設けられる場合がある。
陰極と発光層との間に設けられる機能層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入と電子輸送の両方の機能を有する層が複数設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、電子注入層を除く層を電子輸送層という場合がある。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層又は陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば正孔ブロック層を備えず、ホール電流のみを流す素子と、該素子に正孔ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、正孔ブロック層を備える素子の電流値の減少で、正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、正孔注入と正孔輸送の両方の機能を有する層が複数設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、正孔注入層を除く層を正孔輸送層という場合がある。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層又は陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、例えば電子電流のみを流す素子を作製することによって確認することができる。例えば電子ブロック層を備えず、電子電流のみを流す素子と、該素子に電子ブロック層を挿入した構成の素子とを作製し、電子ブロック層を備える素子の電流値の減少で、電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を示すことを確認できる。
本実施の形態の有機電界発光素子がとりうる素子構成の一例を以下に示す。
a)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
k)陽極/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
以下同じ。)
有機電界発光素子は、2層以上の発光層を有していてもよい。a)〜n)に示す各構成において、陽極と陰極との間に設けられる層をそれぞれ「繰り返し単位A」とすると、2層の発光層を有する有機電界発光素子としては、以下のo)に示す素子構成を挙げることができる。
o)陽極/(繰り返し単位A)/電荷発生層/(繰り返し単位A)/陰極
また「(繰り返し単位A)/電荷発生層」を「繰り返し単位B」とすると、3層以上の発光層を有する有機電界発光素子としては、具体的には、以下のp)に示す素子構成を挙げることができる。
p)陽極/(繰り返し単位B)x/(繰り返し単位A)/陰極
ここで、記号「x」は2以上の整数を表し、「(繰り返し単位B)x」は、(繰り返し単位B)を「x」段積層した構成を表す。電荷発生層とは電界を印加することにより、正孔と電子とが発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
有機電界発光素子は、さらに封止のための封止膜又は封止板などの封止部材で覆われていてもよい。有機電界発光素子を基板上に設ける場合は、通常基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
本実施の形態の有機電界発光素子は、内部で発生した光を外に取出すために、通常、発光層を基準にして光が取出される側に配置される全ての層を透明な層とする。光の取出される側の有機電界発光素子の最表面と、発光層との間の可視光透過率が40%以上であることが好ましい。紫外領域又は赤外領域の発光が求められる有機電界発光素子の場合には、光の取出される側の有機電界発光素子の最表面と発光層との間で当該紫外又は赤外領域において40%以上の光透過率を示す層が好ましい。
本実施の形態の有機電界発光素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順序、層数、及び各層の厚さについては、有機電界発光素子の発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。次に、有機電界発光素子を構成する各層の材料及び形成方法について、より具体的に説明する。
<基板>
基板は、有機電界発光素子を製造する工程において化学的に変化しない材料が好適に用いられ、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、及びシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。前記基板としては、市販のものが使用可能であり、また公知の方法により製造することができる。
<陽極>
陽極は、陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機電界発光素子の場合、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極又は半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、及び銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。
陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化ルテニウム、及び酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及びポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、前述した有機溶媒等を用いてもよい。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、ノズルコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、及びインクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリフルオレン誘導体、芳香族アミン残基を有する高分子化合物である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、前述した有機溶媒等を用いてもよい。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、長寿命化の観点からは、前述した有機層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層に含まれる材料としては、例えば、燐光発光材料、及び第二の発光層用材料が挙げられる。
燐光発光材料を含む発光層の厚さは、通常約2nm〜200nm、好ましくは50〜150nmである。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液又は溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができ、前述した隣接層形成工程と同様の雰囲気中において成膜することが好ましい。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、又はこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、及び炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数が小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。陽極側から光を取出す有機電界発光素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射させる観点から、陰極の材料は、可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極には、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及びIII−B族金属を用いることができる。陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の金属の合金、前記金属のうちの1種以上の金属と金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上の金属との合金、グラファイト、及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、及びカルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。また、導電性金属酸化物や導電性有機物などから成る透明導電性電極を陰極に用いてもよい。
導電性金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、及びIZOが挙げられる。導電性有機物としては、例えば、ポリアニリン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン、及びポリチオフェン誘導体が挙げられる。陰極は、2層以上の層が積層された積層体であってもよい。なお、電子注入層が積層体である陰極の1層として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及び金属薄膜を熱圧着させるラミネート法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
合成例1
(高分子化合物1の合成)
攪拌翼、バッフル、冷却管、及び温度計を付けた1Lセパラブルフラスコに、2,2’−[9,9−ビス(3−ヘキシルフェニル)−9H−フルオレン−2,7−ジイル]−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−[1.3.2]−ジオキサボロラン)を15.24g、2,7−ビス[N−(4−ブロモフェニル)−N−(4−メチルフェニル)アミノ]−9,9−ジオクチルフルオレンを15.97g、2,7−ジブロモ−9,9−ビス(ビシクロ[4,2,0]オクタ−1,3,5−トリエン−3−イル)フルオレンを1.33g、及びトルエンを495g仕込み、フラスコ内の空気を窒素で置換した。該フラスコをオイルバスに漬け、内温が90℃になるまで昇温し、酢酸パラジウムを0.005g、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィンを0.03g仕込んだ後、20重量%の水酸化テトラエチルアンモニウム水73gを1時間かけて滴下した。オイルバスの温度を100℃にして5時間攪拌した後、フェニルホウ酸を0.25g、及びジクロロビストリフェニルホスフィンを0.015g加え、さらにオイルバスの温度を100℃にして15時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、トルエンで稀釈した。その後、15重量%のN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、イオン交換水で洗浄した。溶液中の水を共沸脱水により除いた後、析出した結晶を濾過して除いた。濾液を10重量%塩酸、3重量%アンモニア水、及びイオン交換水で洗浄した後、濾液をシリカゲル/アルミナ混合カラム(アルミナの重量に対するシリカゲルの重量の比が1)に通した。カラムを通液した液をメタノールに滴下し、生じたポリマーを濾過した。得られたポリマーをメタノールで洗浄した後、乾燥させ21gの高分子化合物1を得た。高分子化合物1をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.5×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×105であった。
合成例2
(高分子化合物2の合成)
攪拌翼、バッフル、冷却管、及び温度計を付けた1Lセパラブルフラスコに、2,2’−(2,5−ジヘキシル−1,4−フェニレン)−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−[1.3.2]−ジオキサボロラン)を16.44g、9,9’−ビス(4−ヘキシルフェニル)−2,7−ジブロモ−9H−フルオレンを17.01g、2,4−ビス(4−ブロモフェニル)−6−(4−n−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジンを4.19g、及びトルエンを446g仕込み、フラスコ内の空気を窒素で置換した。該フラスコをオイルバスに漬け、内温が90℃になるまで昇温し、酢酸パラジウムを0.007g、及びトリ(o−メトキシフェニル)ホスフィンを0.05g仕込んだ後、20重量%の水酸化テトラエチルアンモニウム水117gを1時間かけて滴下した。オイルバスの温度を100℃にして5時間攪拌した後、フェニルホウ酸を0.40g、ジクロロビストリフェニルホスフィンを0.023g、及び20重量%の水酸化テトラエチルアンモニウム水を117g加え、さらにオイルバスの温度を100℃にして15時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、トルエンで稀釈した。その後、15重量%のN,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、イオン交換水で洗浄した。溶液中の水を共沸脱水により除いた後、析出した結晶を濾過して除いた。濾液を10重量%塩酸、3重量%アンモニア水、及びイオン交換水で洗浄した後、濾液をシリカゲル/アルミナ混合カラム(アルミナの重量に対するシリカゲルの重量の比が1)に通した。カラムを通液した液をメタノールに滴下し、生じたポリマーを濾過した。得られたポリマーをメタノールで洗浄した後、乾燥させ、20gの高分子化合物2を得た。高分子化合物2をGPCで分析したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量は9.7×104であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.3×105であった。
合成例3
(燐光発光材料1の合成)
燐光発光材料1は、国際公開第2002/066552号に記載された合成法に従い合成した。
Figure 0005823585
実施例1
(液状組成物1の製造)
高分子化合物2を70重量部、燐光発光材料1を30重量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを1重量部、およびシクロヘキシルベンゼンを9899重量部加え、大気雰囲気下、室温にて溶解させ、液状組成物1を得た。
Figure 0005823585
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
実施例2
(液状組成物2の製造)
高分子化合物2を70重量部、燐光発光材料1を30重量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを0.1重量部、およびシクロヘキシルベンゼンを9899.9重量部加え、大気雰囲気下、室温にて溶解させ、液状組成物2を得た。
Figure 0005823585
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
比較例1
(液状組成物3の製造)
高分子化合物2を70重量部、燐光発光材料1を30重量部、およびシクロヘキシルベンゼンを9900重量部加え、大気雰囲気下、室温にて溶解させ、液状組成物3を得た。
実施例3
(液状組成物1を用いた有機電界発光素子D1の作製)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテルと水とを(水の体積):(ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテルの体積)=3:2となるように混合させた混合溶液(シグマアルドリッチ社、商品名:Plexcore OC 1200)を用いてスピンコート法により65nmの厚さとなるように薄膜を成膜し、ホットプレート上で170℃で15分間加熱することによって薄膜を形成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の成膜工程及び加熱工程は大気雰囲気下において行った。
次に、正孔輸送材料である高分子化合物1をキシレンに溶解させキシレン溶液を調製した。該キシレン溶液における高分子化合物1の濃度を0.7重量%とした。該キシレン溶液を正孔注入層上にスピンコートすることにより、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において190℃、1時間加熱することによって薄膜を形成し、正孔輸送層を得た。
次に、製造後60℃の恒温槽内にて、2週間保管した液状組成物1を、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布した。その後、100Pa以下の減圧環境下にて乾燥し、膜厚が75nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において150℃、10分間加熱することによって薄膜を形成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の塗布工程及び加熱工程における圧力は大気圧とした。
次に1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、フッ化ナトリウムを5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを100nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子D1を作製した。
作製した有機電界発光素子D1は、緑色発光し、最大電流効率は40cd/Aであった。また、初期輝度24,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%となるまでの時間(T60)は、51時間であった。
実施例4
(液状組成物2を用いた有機電界発光素子D2の作製)
実施例3における液状組成物1に代えて、液状組成物2を用いたこと以外は、実施例3と同様にして有機電界発光素子D2を作製した。
作製した有機電界発光素子D2は、緑色発光し、最大電流効率は38cd/Aであった。また、初期輝度24,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%となるまでの時間(T60)は、46時間であった。
比較例2
(液状組成物3を用いた有機電界発光素子CD1の作製)
実施例3における液状組成物1に代えて、液状組成物3を用いたこと以外は、実施例3と同様にして有機電界発光素子CD1を作製した。
作製した有機電界発光素子CD1は、緑色発光し、最大電流効率は41cd/Aであった。また、初期輝度24,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の60%となるまでの時間(T60)は、13時間であった。
合成例4
(高分子化合物3の合成)
不活性ガス雰囲気下、9,9−ビス(3,5−ジ−n−ヘキシルフェニル)−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9H−フルオレン(18.88g)、N,N'−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N'−ビス(2,6−ジメチル−4−n−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(9.227g)、9,9−ジオクチル−2,7−ジブロモフルオレン(2.855g)、9,9−ビス(ベンゾシクロブテン−4−イル)−2,7−ジブロモフルオレン(1.650g)、及び、トルエン(493g)を混合し、加熱しながら攪拌した。反応液に、酢酸パラジウム(4.7mg)、及び、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(29mg)を加え、100℃に加熱した後、20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(73.6g)を滴下し、11時間加熱しながら還流させた。
次に、反応液に、フェニルホウ酸(0.25g)、酢酸パラジウム(4.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(29mg)、及び20重量%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(73.6g)を加え、終夜加熱しながら還流させた。
反応液から水層を除いた後、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム三水和物(11.7g)、及び、イオン交換水(120g)を加え、40℃で3時間攪拌した。
有機層を水層と分離した後、有機層をイオン交換水で洗浄した。 得られた有機層を圧力40kPaで濃縮して脱水した後、トルエンを加えて液重量が1920gになるように希釈したのち、シリカゲル126gアルミナ42gを混合したカラムに通液した。
得られた溶液を10%塩酸、3%アンモニア水、イオン交換水で洗浄した後、有機層をシリカゲル288g、アルミナ288gを混合したカラムに通液した。
得られた溶液を電子材料用メタノール7200gに滴下し、生じた固体を濾過、電子材料用メタノールで洗浄した後、乾燥し高分子化合物20gを得た。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれ、Mn=6.9×10、Mw=2.3×10であった。
実施例5〜実施例8
(液状組成物4〜7の調製)
燐光発光材料1、高分子化合物2、ラジカル連鎖禁止剤、および溶媒を下表の通り大気雰囲気下、室温にて溶解させ、液状組成物4〜7を得た。
Figure 0005823585
液状組成物4〜6の製造に使用したラジカル連鎖禁止剤の化学構造を以下に示す。
Figure 0005823585
ジ−(p−トルイル)アミン
Figure 0005823585
6−tert−ブチル−m−クレゾール
Figure 0005823585
2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)
比較例3〜比較例6
(液状組成物8〜11の調製)
燐光発光材料1、高分子化合物2、過酸化物分解剤、および溶媒を下表の通り大気雰囲気下、室温にて溶解させ、液状組成物8〜11を得た。
Figure 0005823585
液状組成物8〜10の製造に使用した過酸化物分解剤の化学構造を以下に示す。
Figure 0005823585
3,3−チオジプロピオン酸ジドデシル
Figure 0005823585
亜リン酸トリフェニル
Figure 0005823585
トリフェニルホスフィン
実施例9
(液状組成物1を用いた有機電界発光素子D3の作製)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテルと水とを(水の体積):(ポリチオフェンスルホン酸のエチレングリコールモノブチルエーテルの体積)=3:2となるように混合させた混合溶液(シグマアルドリッチ社、商品名:Plexcore OC 1200)を用いてスピンコート法により50nmの厚さとなるように薄膜を成膜し、ホットプレート上で170℃で15分間加熱することによって薄膜を形成し、正孔注入層を得た。なお正孔注入層の形成において、薄膜の成膜工程及び加熱工程は大気雰囲気下において行った。
次に、正孔輸送材料である高分子化合物3をキシレンに溶解させキシレン溶液を調製した。該キシレン溶液における高分子化合物3の濃度を0.7重量%とした。該キシレン溶液を正孔注入層上にスピンコートすることにより、膜厚が20nmの正孔輸送層用の薄膜を形成し、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された窒素雰囲気下において190℃、1時間加熱することによって薄膜を形成し、正孔輸送層を得た。
次に、液状組成物1を製造後直ちに、大気雰囲気下において、スピンコート法により正孔輸送層上に塗布した。その後、100Pa以下の減圧環境下にて乾燥し、膜厚が75nmの発光層用の薄膜を成膜した。さらに、酸素濃度及び水分濃度が、体積比でそれぞれ10ppm以下に制御された雰囲気下において150℃、10分間加熱することによって薄膜を形成し、発光層を得た。なお正孔輸送層及び発光層の形成において、薄膜の塗布工程及び加熱工程における圧力は大気圧とした。
次に1.0×10-4Pa以下にまで減圧した後、陰極として、フッ化ナトリウムを5nmの厚さで蒸着し、次いでアルミニウムを100nmの厚さで蒸着した。蒸着後、ガラス基板を用いて封止を行うことで、有機電界発光素子D3を作製した。
作製した有機電界発光素子D3は、緑色発光し、最大電流効率は20cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の75%となるまでの時間(T75)は、23時間であった。
実施例10
(60℃で1ヶ月保管した液状組成物1を用いた有機電界発光素子D4の作製)
実施例9において、製造直後の液状組成物1の代わりに、褐色ガラス瓶中、60℃の保管庫で1ヶ月保管した液状組成物1を用いた以外は、実施例9と同様にして有機電界発光素子D4を作成した。
作成した有機電界発光素子D4は、緑色発光し、最大電流効率は21cd/Aであった。また、初期輝度12,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の75%となるまでの時間(T75)は、22時間であった。
実施例11〜15、比較例7〜11
実施例10において、液状組成物1代わりに下表の液状組成物を用いた以外は実施例10と同様にして、有機電界発光素子D5〜D9、CD2〜CD6を作成した。
作成した有機電界発光素子の発光色、最大電流効率、初期輝度12,000cd/m2で定電流駆動した際に、輝度が初期輝度の75%となるまでの時間(T75)は下表の通りであった。
Figure 0005823585
1、1’ 有機電界発光素子、
2 基板、
3 第1の電極、
4 第1の有機層、
5 第2の有機層、
6 発光層、
6’ 第3の有機層、
7 第2の電極。

Claims (17)

  1. 燐光発光材料、25℃及び1気圧にて液体である溶媒、並びに、ラジカル連鎖禁止剤を含有する液状組成物であって、
    該ラジカル連鎖禁止剤が、式(2)で表される化合物である液状組成物。
    Figure 0005823585
    (2)
    〔式中、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 15 は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基で示される基を表す。ただし、R 11 、R 12 、R 13 、R 14 、及びR 15 の少なくとも1つは水素原子とは異なる。〕
  2. 11、R12、R13、R14、及びR15が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は炭素原子数1〜4のヒドロキシアルキル基を表し、R11、R13、及びR15の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R11の炭素原子数、R12の炭素原子数、R13の炭素原子数、R14の炭素原子数、及びR15の炭素原子数の合計が20以下である請求項1に記載の液状組成物。
  3. 11、R13、及びR15の少なくとも1つが、tert−ブチル基である請求項1又は2に記載の液状組成物。
  4. 式(2)で示される化合物が、式(4)で示される化合物である請求項1に記載の液状組成物。
    Figure 0005823585
    (4)
    〔式中、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
  5. 燐光発光材料、25℃及び1気圧にて液体である溶媒、並びに、ラジカル連鎖禁止剤を含有する液状組成物であって、
    ラジカル連鎖禁止剤が、式(1)で示される化合物である液状組成物。
    Figure 0005823585
    (1)
    〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。〕
  6. 燐光発光材料、25℃及び1気圧にて液体である溶媒、並びに、ラジカル連鎖禁止剤を含有する液状組成物であって、
    ラジカル連鎖禁止剤が、式(5)、又は式(6)で示される化合物である液状組成物。
    Figure 0005823585
    (5) (6)
    〔式中、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、及びR31は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。ただし、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つは水素原子とは異なり、R28、R29、R30、及びR31の少なくとも1つは水素原子とは異なる。Xは、メチレン基、炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基、又はイオウ原子を表す。〕
  7. ラジカル連鎖禁止剤が、式(5)で示される化合物であり、R24、R25、R26、及びR27の少なくとも1つがtert−ブチル基であり、Xがメチレン基、又は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されたメチレン基である請求項6に記載の液状組成物。
  8. ラジカル連鎖禁止剤の含有量が液状組成物の重量に対して、0.1〜10000ppmの範囲である請求項1〜7のいずれか一項に記載の液状組成物。
  9. 燐光発光材料が、式(7)で表される化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の液状組成物。
    Figure 0005823585
    (7)
    〔式中、Mは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム又は白金を表す。Lは、Mで表される金属原子との間に、配位結合及び共有結合からなる群から選ばれる少なくとも2つの結合を形成して多座配位しうる、中性又は1〜3価のアニオン性の配位子を表す。Zは、カウンターアニオンを表す。kaは1以上の整数を表し、kbは0以上の整数を表す。Lが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。Zが複数存在する場合、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。〕
  10. 式(7)におけるMがイリジウムである請求項9に記載の液状組成物。
  11. さらに、25℃及び1気圧にて固体であるホスト材料を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の液状組成物。
  12. 25℃及び1気圧にて固体であるホスト材料が式(8)で表される構造を少なくとも1つ構成単位として含む高分子化合物である請求項11に記載の液状組成物。
    Figure 0005823585
    (8)
    〔式中、Ar1は、置換されていてもよいアリーレン基、置換されていてもよい2価の芳香族複素環基、又は、該アリーレン基及び該2価の芳香族複素環基からなる群から選ばれる同一若しくは異なる2個以上の基が直接結合した2価の基を表す。〕
  13. 溶媒が、芳香族炭化水素、芳香族エーテル、又は、芳香族炭化水素と芳香族エーテルとの混合溶媒である請求項1〜12のいずれか一項に記載の液状組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の液状組成物の乾燥物を有する有機電界発光素子。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の液状組成物を基材上に塗布して発光層を形成する工程を含む有機電界発光素子の製造方法。
  16. 液状組成物を塗布した後に、30℃以上250℃以下で加熱する工程を含む請求項15に記載の製造方法。
  17. 液状組成物を塗布した後に100Pa以下の減圧環境で保持する工程を含む請求項15又は16に記載の製造方法。
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