1.共通する用語の説明
本明細書及び特許請求の範囲で使用する用語を以下に説明する。
Meはメチル基、Etはエチル基、i-Prはイソプロピル基、n-Buはn-ブチル基、t-Buはtert-ブチル基を表す。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×103〜1×108である重合体を意味する。高分子化合物に含まれる構成単位は、合計100モル%である。
「低分子化合物」とは、分子量分布を有さず、分子量が1×104以下の化合物を意味する。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、及びジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
「アルキル基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルキル基を意味する。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、通常1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20である。分岐及び環状のアルキル基の炭素原子数は、通常3〜50であり、好ましくは3〜30であり、より好ましくは4〜20である。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
「アルキル基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等が挙げられる。「アルキル基」はこれらの置換基から選択される1〜20個の置換基を有していてもよい。当該置換アルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-n-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基等が挙げられる。
「アルコキシ基」とは、直鎖、分岐及び環状のアルコキシ基を意味する。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜40であり、好ましくは1〜10である。分岐及び環状のアルコキシ基の炭素原子数は、通常3〜40であり、好ましくは4〜10である。当該アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
「アルコキシ基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等が挙げられる。「アルコキシ基」はこれらの置換基から選択される1〜10個の置換基を有していてもよい。
「アリール基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた1価の基を意味する。アリール基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20であり、より好ましくは6〜10である。当該アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基等が挙げられる。
「アリール基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等が挙げられる。「アリール基」はこれらの置換基から選択される1〜10個の置換基を有していてもよい。当該置換アリール基としては、例えば、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基等が挙げられる。
「アリールオキシ基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を酸素原子に置き換えた1価の基を意味する。アリールオキシ基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜48である。当該アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等が挙げられる。
「アリールオキシ基」における「アリール」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群から選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等が挙げられる。当該「アリール」はこれらの置換基から選択される1〜10個の置換基を有していてもよい。当該置換アリールオキシ基としては、例えば、2−フェニルフェノキシ基、3−フェニルフェノキシ基、4−フェニルフェノキシ基等が挙げられる。
「アリーレン基」とは、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた2価の基を意味する。アリーレン基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18である。当該アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、ナフタセンジイル基、フルオレンジイル基、ピレンジイル基、ペリレンジイル基、クリセンジイル基等が挙げられる。
「アリーレン基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基(ジメチレン基、トリメチレン基等)等が挙げられる。「アリーレン基」は、これらの置換基から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよいアリーレン基として好ましくは、式(A-1)〜式(A-20)で表される基である。
[式中、R及びRaは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基を表す。複数存在するR及びRaは、各々、同一でも異なっていてもよい。隣接するRa同士は互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよい。]
隣接するRa同士が互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子と共に環を形成する場合、当該2個のRa同士が互いに結合した基としては、例えば、アルキレン基、2,2’-ビフェニレン基(当該2,2’-ビフェニレン基が、1〜5個のアルキル基を有していてもよい)等が挙げられる。
「p価の複素環基」(pは、1以上の整数を表し、特に、pは1又は2である。)とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いたp価の基を意味する。p価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いたp価の基である「p価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」としては、例えば、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物;フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮合されている化合物;並びにそれらの化合物が複数結合した化合物のいずれをも意味する。
p価の複素環基の炭素原子数は、通常2〜60であり、好ましくは3〜20である。
「p価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基(ジメチレン基、トリメチレン基等)等が挙げられる。「p価の複素環基」はこれらの置換基から選択される1〜10個の置換基を有していてもよい。
1価の複素環基の炭素原子数は、通常2〜60であり、好ましくは、3〜20であり、より好ましくは、4〜20である。
「1価の複素環基」としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。
「1価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基(ジメチレン基、トリメチレン基等)等が挙げられる。「1価の複素環基」はこれらの置換基から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい。
2価の複素環基の炭素原子数は、通常2〜60であり、好ましくは3〜20であり、より好ましくは4〜15である。
「2価の複素環基」としては、例えば、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾシロール、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ジヒドロアクリジン、フラン、チオフェン、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール等の芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基、及び当該2価の基からなる群から選ばれる複数(例えば、2〜4個)が結合した2価の基が挙げられる。
「2価の複素環基」は置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、シアノ基、アルキル基、アリール基(当該アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基及びアルキルフェニル基からなる群から選ばれる1〜5個の置換基を有していてもよい)、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基、アルキレン基(ジメチレン基、トリメチレン基等)等が挙げられる。「2価の複素環基」はこれらの置換基から選択される1〜5個の置換基を有していてもよい。当該置換基を有していてもよい2価の複素環基として好ましくは、式(A-21)〜式(A-52)で表される基である。
[式中、R及びRaは、前記と同じ意味を表す。]
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基又は置換アミノ基を表す。
「架橋基」とは、式(B-1)〜式(B-17)で表される基を言う。
[式中、これらの基は置換基を有していてもよい。]
2.液状組成物の製造方法
次に、本実施形態の液状組成物の製造方法について説明する。
本発明は、リン光発光材料及び有機溶媒を含む液状組成物の製造方法であって、
リン光発光材料を含む全溶質を有機溶媒に溶解させて混合液を調製する工程と、前記工程で得られた混合液を濾過器で濾過する工程とを含み、
前記濾過器が、ハウジング又はホルダーと、フッ素樹脂膜フィルターと、フィルターの支持部材とを備え、
前記ハウジング及びホルダーにおける前記混合液と接触する部分の材料が、金属のみ、あるいは、金属と、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種との混合物であり、
前記フィルターの支持部材における前記混合液と接触する部分の材料が、金属、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、製造方法である。
リン系酸化防止剤の酸化体として、例えば、下記式(1):
(式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、フェニル基等のアリール基を示す。複数あるAr2は、同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物、特に、下記式(2):
で表される化合物が挙げられる。
まず、リン光発光材料を有機溶媒に溶解させて混合液を作製する。
[リン光発光材料]
リン光発光材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。リン光発光材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、イリジウム、白金又はユーロピウムを中心金属とする三重項発光錯体が挙げられる。
高分子化合物としては、前記三重項発光錯体から水素原子を1個以上取り除いてなる基を含み、更に、例えば、フェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、フルオレンジイルジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、式(X)で表される基、カルバゾールジイル基、フェノキサジンジイル基、フェノチアジンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等を含む高分子化合物が挙げられる。
なお、リン光発光材料の詳しい説明は、特開2016−029635号公報に記載のとおりである。
三重項発光錯体としては、赤色リン光錯体、青色リン光錯体、及び緑色リン光錯体が挙げられ、好ましくは青色リン光錯体、又は緑色リン光錯体であり、より好ましくは緑色リン光錯体である。なお、三重項発光錯体は、イリジウム錯体であることが好ましい。
三重項発光錯体としては、式Ir-1〜式Ir-5で表される金属錯体が好ましい。
[式中、RD1〜RD8及びRD11〜RD20は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。−AD1---AD2−は、アニオン性の2座配位子を表し、AD1及びAD2は、それぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。nD1は、1、2又は3を表し、nD2は、1又は2を表す。]
[式中、RD21〜RD26及びRD31〜RD37は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。−AD1---AD2−は、アニオン性の2座配位子を表し、AD1及びAD2は、それぞれ独立に、イリジウム原子と結合する炭素原子、酸素原子又は窒素原子を表す。nD1は、1、2又は3を表す。]
式Ir-1で表される三重項発光錯体において、RD1〜RD8の少なくとも1つは、好ましくは、式(Dend-A)で表される基である。
[式中、mDA1、mDA2及びmDA3は、それぞれ独立に、0以上の整数を表す。GDA1は、窒素原子、芳香族炭化水素基又は複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3は、それぞれ独立に、アリーレン基又は2価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。ArDA1、ArDA2及びArDA3が複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。TDA2及びTDA3は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
mDA1、mDA2及びmDA3は、通常10以下である。mDA1、mDA2及びmDA3は、同一であることが好ましい。
GDA1は、好ましくは式(GDA-11)〜式(GDA-15)で表される基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
[式中、*1、*2及び*3は、各々、ArDA1、ArDA2及びArDA3との結合を表す。RDAは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDAが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
RDAは、好ましくは水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子又はアルキル基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArDA1、ArDA2及びArDA3は、好ましくは式(ArDA-1)〜式(ArDA-3)で表される基である。
[式中、RDAは前記と同じ意味を表す。RDBは、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。RDBが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
TDA2及びTDA3は、好ましくは式(TDA-1)〜式(TDA-3)で表される基である。
[式中、RDA及びRDBは前記と同じ意味を表す。]
式Ir-2において、好ましくはRD11〜RD20の少なくとも1つは式(Dend-A)で表される基である。
式Ir-3において、好ましくはRD1〜RD8及びRD11〜RD20の少なくとも1つは式(Dend-A)で表される基である。
式Ir-4において、好ましくはRD21〜RD26の少なくとも1つは式(Dend-A)で表される基である。
式Ir-5において、好ましくはRD31〜RD37の少なくとも1つは式(Dend-A)で表される基である。
式(Dend-A)で表される基は、好ましくは式(Dend-A1)〜式(Dend-A3)で表される基である。
[式中、Rp1、Rp2及びRp3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。Rp1及びRp2が複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。np1は、0〜5の整数を表し、np2は0〜3の整数を表し、np3は0又は1を表す。複数存在するnp1は、同一でも異なっていてもよい。]
np1は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。np2は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。np3は好ましくは0である。
−AD1---AD2−で表されるアニオン性の2座配位子としては、例えば、下記式で表される配位子が挙げられる。
[式中、*は、Irと結合する部位を表す。]
三重項発光錯体としては、例えば、以下に示す金属錯体が挙げられる。
リン光発光材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
混合液には、リン光発光材料に加えて、リン光発光材料のホスト材料として、高分子化合物及び低分子化合物を配合することができる。混合液は、低分子化合物と、リン光発光材料から誘導される構成単位を含む高分子化合物とを有機溶媒に溶解させて調製してもよい。
ホスト材料としては、当該技術分野でリン光発光材料のホスト材料として用いられる公知の高分子化合物及び低分子化合物(特に、高分子化合物)を広く使用することができる。なお、高分子化合物のホスト材料の詳しい説明は、例えば、特開2016−029635号公報に記載のとおりであり、低分子化合物のホスト材料の詳しい説明は、以下に記載の通りである。高分子化合物のホスト材料としては、フルオレンジイル基、フェニレン基等のアリーレン基、トリアジンジイル基等の2価の複素環基、芳香族アミン残基等を組み合わせて有する高分子化合物が好ましい。
<低分子化合物のホスト材料>
低分子化合物のホスト材料としては、式(H−1)で表される化合物が好ましい。
[式中、
ArH1及びArH2は、それぞれ独立に、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。
nH1及びnH2は、それぞれ独立に、0又は1を表す。nH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。複数存在するnH2は、同一でも異なっていてもよい。
nH3は、0以上10以下の整数を表す。
LH1は、アリーレン基、2価の複素環基、又は、−[C(RH11)2]nH11−で表される基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。LH1が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。nH11は、1以上10以下の整数を表す。RH11は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するRH11は、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
LH2は、−N(RH21)−で表される基を表す。RH21は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。]
ArH1及びArH2は、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、インデノカルバゾリル基又はジアザカルバゾリル基であることが好ましく、フェニル基、フルオレニル基、スピロビフルオレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフリル基、カルバゾリル基、インドロカルバゾリル基又はインデノカルバゾリル基であることがより好ましく、フェニル基、カルバゾリル基、インドロカルバゾリル基又はインデノカルバゾリル基であることがさらに好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
ArH1及びArH2が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基又は置換アミノ基が好ましく、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基がより好ましく、アルキル基又はアリール基が更に好ましく、アルキル基が特に好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
nH1は、好ましくは1である。nH2は、好ましくは0である。
nH3は、通常、0以上10以下の整数であり、好ましくは0以上5以下の整数であり、更に好ましくは1以上3以下の整数であり、特に好ましくは1である。
nH11は、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましく1以上3以下の整数であり、更に好ましく1である。
RH11は、水素原子、アルキル基、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
LH1は、アリーレン基又は2価の複素環基であることが好ましく、これらの基は更に置換基を有していてもよい。
LH1は、好ましくは、ベンゼン、フルオレン、スピロビフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、アザナフタレン、ジアザナフタレン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェノキサジン又はフェノチアジンから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基であり、より好ましくは、ベンゼン、フルオレン、スピロビフルオレン、ピリジン、ジアザベンゼン、トリアジン、カルバゾール、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基であり、トリアジン、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンから、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち2個の水素原子を除いた2価の基であり、これらの基は置換基を有していてもよい。
LH1が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の例及び好ましい範囲と同じである。
RH21は、アリール基又は1価の複素環基であることが好ましく、これらの基は置換基を有していてもよい。
RH21で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例は、ArH1及びArH2で表されるアリール基及び1価の複素環基の定義及び例と同様である。
RH21が有していてもよい置換基の定義及び例は、ArH1及びArH2が有していてもよい置換基の定義及び例と同様である。
式(H−1)で表される化合物は、式(H−2)で表される化合物であることが好ましい。
[式中、ArH1、ArH2、nH3及びLH1は、前記と同じ意味を表す。]
式(H−1)で表される化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。なお、式中、Zは、−N=で表される基、又は、−CH=で表される基を表す。
式(H−1)で表される化合物は、Aldrich、Luminescence Technology Corp.等から入手可能である。その他には、例えば、国際公開第2007/063754号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2011/032686号、国際公開第2012/096263号、特開2009−227663号公報、特開2010−275255号公報等に記載されている方法に従って合成することができる。
ホスト材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
混合液には、リン光発光材料、必要に応じて配合される高分子化合物又は低分子化合物に加えて、当該技術分野において通常使用される添加剤を添加することができる。添加剤として、非リン酸系酸化防止剤等が挙げられる。非リン酸系酸化防止剤には、ラジカル連鎖禁止剤、過酸化物分解剤等がある。好ましいラジカル連鎖禁止剤の例としては、特開2015−63662号公報に記載されている、芳香族アミン系ラジカル連鎖禁止剤、モノフェノール系ラジカル連鎖禁止剤、ビスフェノール系ラジカル連鎖禁止剤等が挙げられる。
添加剤は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。添加剤を配合する場合、その配合量は、素子特性等に影響を及ぼさない程度に適宜調整すればよい。
本発明で使用する有機溶媒としては、固形分(リン光発光材料、必要により高分子化合物、又はリン光発光材料から誘導される構成単位を含む高分子化合物)を溶解又は均一に分散できる溶媒が好ましい。このような有機溶媒として、例えば、炭化水素系溶媒、一価アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、窒素原子を含む溶媒、硫黄原子を含む溶媒等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3−エチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2−メチルオクタン、2−メチルノナン、2−メチルデカン、2−メチルウンデカン、2−メチルドデカン、2−メチルトリデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,1−ジメチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、ビシクロヘキシル、デカリン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼル、n−ノニルベンゼン、n−デシルベンゼン、n−ウンデシルベンゼン、n−ドデシルベンゼン、イソプロピルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、イソペンチルベンゼン、イソヘキシルベンゼン、イソオクチルベンゼン、イソノニルベンゼン、イソデシルベンゼン、イソウンデシルベンゼン、イソドデシルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、2−メチルシクロペンチルベンゼン、3−メチルシクロペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン(メシチレン)、o−エチルメチルベンゼン、m−エチルメチルベンゼン、p−エチルメチルベンゼン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、1,2−ジ−n−プロピルベンゼン、1,3−ジ−n−プロピルベンゼン、1,4−ジ−n−プロピルベンゼン、1,2−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ジイソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
一価アルコール系溶媒としては、例えば、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、2−ウンデカノール、2−ドデカノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール等の脂肪族アルコール系溶媒;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール系溶媒が挙げられる。
多価アルコール系溶媒としては、例えば、グリコール類、グリコールモノエーテル類等の2価アルコール系溶媒;グリセリン等の3価アルコール系溶媒が挙げられる。前記グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。前記グリコールモノエーテル類としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸n−オクチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸n−ペンシル、プロピオン酸n−ヘキシル、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸ベンジル等の脂肪族エステル系溶媒;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸n−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸n−ペンチル、安息香酸n−ヘキシル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等の芳香族エステル系溶媒が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル系溶媒;アニソール、エチルフェニルエーテル、n−プロピルフェニルエーテル、イソプロピルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル、n−ペンチルフェニルエーテル、n−ヘキシルフェニルエーテル、n−ヘプチルフェニルエーテル、n−オクチルフェニルエーテル、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2−エチルアニソール、4−エチルアニソール、4−n−プロピルアニソール、4−イソプロピルアニソール、4−n−ブチルアニソール、4−t−ブチルアニソール、n−ペンチルアニソール、n−ヘキシルアニソール、n−ヘプチルアニソール、n−オクチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール、メチルエチルアニソール、ジエチルアニソール、2−エチルトリルエーテル、3−エチルトリルエーテル、4−エチルトリルエーテル、3−n−プロピルトリルエーテル、3−イソプロピルトリルエーテル、n−ブチルトリルエーテル、n−ペンチルトリルエーテル、n−ヘキシルトリルエーテル、n−ヘプチルトリルエーテル、n−オクチルトリルエーテル、n−プロピルシリルエーテル、n−ブチルシリルエーテル、2,3−ジメトキシトルエン、2,4−ジメトキシトルエン、2,5−ジメトキシトルエン、3,4−ジメトキシトルエン、3,5−ジメトキシトルエン、2−メトキシ−3−エトキシトルエン、2,3−ジエトキシトルエン、1,4−ジメトキシ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジエトキシ−2,5−ジメチルベンゼン等の芳香族−脂肪族エーテル系溶媒;ジフェニルエーテル(フェノキシベンゼン)、2−フェノキシトルエン、3−フェノキシトルエン、4−フェノキシトルエン、1−フェノキシ−3,5−ジメチルベンゼン等の芳香族−芳香族エーテル系溶媒が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン;アセトフェノン等の脂肪族芳香族ケトン等が挙げられる。
窒素原子を含む溶媒としては、例えば、アセトアミド、n−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。
硫黄原子を含む溶媒としては、例えば、チオジグリコール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
有機溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の沸点の範囲は、作業性等を考慮して適宜決めればよく、通常、100℃〜330℃、好ましくは120℃〜320℃、より好ましくは160℃〜300℃である。膜の平坦性を向上させるために、沸点の異なる有機溶媒を組み合わせて使用してもよい。
有機溶媒は、リン光材料及びホスト材料に対して適切な溶解度を持っていることが望ましく、通常0.01質量%以上、特には0.1質量%以上の溶解度があることが望ましい。溶解度は単独溶媒で上記の溶解度を持つことは必ずしも必要ではなく、単独溶媒で溶解度が0.01質量%未満であったとしても、他の溶媒を併用した混合溶媒において通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上の溶解度があればよい。
上記有機溶媒の中で、芳香族炭化水素系溶媒等の炭化水素系溶媒;多価アルコール系溶媒等のアルコール系溶媒;芳香族エステル系溶媒等のエステル系溶媒;脂肪族エーテル系溶媒、芳香族−脂肪族エーテル系溶媒、芳香族−芳香族エーテル系溶媒等のエーテル系溶媒;及びケトン系溶媒が好ましく、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族エステル系溶媒、脂肪族エーテル系溶媒、芳香族−脂肪族エーテル系溶媒、及び芳香族−芳香族エーテル系溶媒がより好ましい。
有機溶媒は、不純物を含まないことが望ましい。
不純物として、例えば、金属、金属イオン、ハロゲン、過酸化物、リン酸系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤の酸化体等が挙げられる。
金属又は金属イオンは、有機溶媒中に不純物として存在し、発光素子中に残留すると、短絡、輝点、暗点などの原因となる可能性がある。よって、有機溶媒中の金属又は金属イオンの含有量は、10ppm以下(質量基準)であることが好ましい。
有機溶媒中に塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンを含む不純物が存在し、素子中に残留すると素子特性に影響を与えることがある。よって、有機溶媒に含まれる、ハロゲンを含む不純物は100ppm以下(質量基準)であることが好ましい。
有機溶媒中に過酸化物が存在すると、リン光発光材料又はホスト材料を劣化させ、発光素子の電流効率を低下させることがある。よって、有機溶媒中の過酸化物の含有量は、100ppm以下(質量基準)であることが好ましい。また、溶媒保管中に過酸化物が増加することを抑制するために、特開2015―63662号に記載されているラジカル連鎖禁止剤を添加してもよい。
リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤の酸化体(式(1)の化合物)は、極めて微量存在しても素子中に残留し素子寿命を低下させ得る。よって、リン酸系酸化防止剤、及びリン酸系酸化防止剤の酸化体の含有量は、溶媒量に対して、質量基準で、1ppm以下であることが好ましく、100ppb以下であることがより好ましい。
有機溶媒は、上記不純物を除去するため、精製を行うことが望ましい。精製方法としては、通常、蒸留、精留、吸着剤による不純物の吸着除去などが挙げられる。これらを組み合わせて精製してもよい。精製操作における装置の接液部分には、上記不純物が溶出しない材料を使用することが好ましい。よって、装置の接液部分は、金属、ガラス、フッ素樹脂、リン酸系酸化防止剤及びリン酸系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンから選ばれる材料で構成されていることが好ましい。
有機溶媒を保管する容器は、有機溶媒に対する耐久性を持ち、接液部分に上記不純物が溶出しない材料を使用することが好ましい。よって、有機溶媒を保管する容器は、金属、ガラス、フッ素樹脂、リン酸系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン酸系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンから選ばれる材料で構成されていることが望ましい。
さらに、有機溶媒を保管する容器は、密閉性、及び遮光性を有することが望ましい。
有機溶媒の保管条件は、特に制限されず、通常、-5〜50℃で、通常、直射日光を避けて保管され、好ましくは暗所で保管される。
有機溶媒の保管容器中の気相部は空気でもよいが、有機溶媒の保管容器中の酸素が10質量%以下となるように、窒素、アルゴンなどの不活性ガスで置換することが好ましい。
リン光発光材料等の固形分を有機溶媒に溶解させる工程は、製造する液状組成物の量に応じて、ガラスのスクリュー管、ガラス瓶、ガラス製のフラスコ等のガラス製容器、金属性容器、フッ素樹脂製容器又はグラスライニング(GL)製の容器(例えば、反応釜)で行われる。溶解を速やかに行うためにマグネチックスターラー、攪拌翼等の攪拌手段により攪拌を行うことが好ましい。振とう機を用いて振とうさせてもよい。
溶解操作は、大気下で行うことができる。取り扱う溶媒量が多い場合は、防災安全の観点から気相部を不活性ガスで置換し、酸素濃度10質量%以下とすることが好ましい。不活性ガスは、窒素ガス、及びアルゴンガスが好ましく、窒素ガスがより好ましい。
溶解の際の温度は特に制限されず、通常、溶媒の融点から溶媒の沸点まで、好ましくは0〜60℃、より好ましくは5〜40℃である。30℃以上に加熱して溶解を促進してもよい。
溶解時間は特に制限されず、通常、1分〜96時間である。溶解の確認を行って、溶解操作を終了することが望ましい。溶解の終了は目視、吸光度分析、クロマト分析、蒸発残渣量測定、比重測定、又は粘度測定の手法により確認することができる。目視、又はUVスペクトルの吸光度によって溶解の終了を確認することが好ましい。また、溶解の際に用いる容器、反応釜、配管等は、混合液中に金属、ハロゲン、リン系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤の酸化体が溶出しない材料を使用する必要があり、金属、ガラス、フッ素樹脂、並びにリン系酸化防止剤を含まないポリエチレン、及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種を使用する。好ましい材料としては、ステンレス鋼、ほうけい酸ガラス、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)などの完全フッ素化樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)などの部分フッ素化樹脂;ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などのフッ素化樹脂共重合体;フッ化ビニリデン系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロビニルエーテル系フッ素ゴム(FFKM)などのフッ素ゴム;並びにリン系酸化防止剤及びその酸化体を含まないポリエチレン等が挙げられる。ステンレス鋼、ほうけい酸ガラス、ポリテトラフルオロエチレン(PTEF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系フッ素ゴム(FEPM)、及びテトラフルオロエチレン-パーフルオロビニルエーテル系フッ素ゴム(FFKM)がより好ましい。
混合液中のリン光発光材料の含有量は、0.01質量%〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜4質量%の範囲である。混合液中にホスト材料も含有させる場合、その含有量は、0.01質量%〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜4質量%の範囲である。
次に、前工程で作製した混合液を濾過器で濾過する。本発明において使用される濾過器の一例を示す模式図を図1に示す。濾過器1は、ハウジング2と、フッ素樹脂膜フィルター3と、フィルターの支持部材4とを備えている。あるいは、ホルダーと、フッ素樹脂膜フィルターと、フィルターの支持部材とを備えた濾過器を使用することもできる。
前記ハウジング及びホルダーにおける前記混合液と接触する部分の材料は、金属のみ、あるいは、金属と、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種との混合物である。また、前記フィルターの支持部材における前記混合液と接触する部分の材料は、金属、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種である。このように、本発明で使用する濾過器は、濾過器を構成する部材からリン系酸化防止剤及びその酸化体が溶出することがないことが特徴である。
前記ハウジング及びホルダーは、これらの前記混合液と接触する部分の材料が、金属のみ、あるいは、金属と、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種とを含んでいればよいが、ハウジング全体、及びホルダー全体が、前記材料で構成されていることが好ましい。金属、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンとしては、上記の溶解の際に用いる容器、反応釜、配管等で挙げた材料と同様のものを使用することができる。前記ハウジング及びホルダーにおいて、導電性の観点から、金属は、ハウジング又はホルダー全質量中の40質量%以上含まれることが好ましく、50〜100質量%含まれることがより好ましい。前記ハウジング及びホルダーにおける前記混合液と接触する部分の材料は、ステンレス鋼及びフッ素樹脂であることが好ましい。
前記フィルターの支持部材における前記混合液と接触する部分の材料は、金属、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であればよいが、前記フィルターの支持部材全体が、前記材料で構成されていることが好ましい。金属、ガラス、フッ素樹脂、リン系酸化防止剤を含まないポリエチレン及びリン系酸化防止剤の酸化体を含まないポリエチレンとしては、上記の溶解の際に用いる容器、反応釜、配管等で挙げた材料と同様のものを使用することができる。
濾過方法は、特定の方法に限定されず、加圧方式、減圧方式、遠心方式及び自然濾過から選択することができる。液状組成物の製造の生産性の観点から、加圧方式、又は減圧方式が好ましく、加圧方式がより好ましい。
加圧方式の場合、圧力をかける方法としては、ガスの圧力を利用して送液する方法、及びポンプを用いて加圧する方法の何れも使用することができる。使用するガスは液状組成物に対して不活性であれば特に制限はない。ガスとして、通常空気、窒素ガス、アルゴンガス及びこれらの混合ガスが使用され、窒素ガス、及びアルゴンガスが好ましい。加圧する際の圧力は1kPa以上が好ましい。フィルターが圧力に耐えられる限り、特に圧力の上限はないが、ガス又はポンプで圧力をかける場合は、最大5MPa、好ましくは100kPa以下の圧力をかけて濾過を行う。接液部分の部材の材料は、耐圧性のフッ素樹脂、あるいはフッ素樹脂でコーティングされたゴム、金属等で構成されていることが好ましい。
濾過を行う際の温度は、混合液の溶媒が凝固又は沸騰しない範囲内であれば特に制限されない。作業性の観点から5℃〜60℃の範囲で濾過を行うことが好ましく、より好ましくは10℃〜40℃の範囲である。温度を一定に保持するために、配管、ホルダー、ハウジング等を外部から加温又は冷却してもよい。
フィルターの孔径は、例えば、0.01μm〜10μmの範囲のものを使用することができる。混合液中の固形分を充分に除去するためには、0.02μm〜1μmの範囲が好ましく、0.03μm〜0.5μmの範囲がより好ましい。
フィルターの濾過面積は濾過する混合液の流量に応じて、例えば、0.0001m2/L〜1m2/L、好ましくは0.001m2/L〜0.1m2/Lの範囲となるように設定することが好ましい。
濾過器を構成する部材の内、フィルターは固形物を除去し、かつ濾過した液状組成物への溶出を起さないようにするため、フッ素樹脂膜であることが好ましい。フッ素樹脂の中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、親水性PTFE、及びポリフッ化ビニリデンが好ましく、PTFE及びポリフッ化ビニリデンがより好ましい。
フィルターを補強又は保持するサポート材の材料は、濾過した液状組成物への溶出を起こさないものから選択される。濾過器の形式がハウジングタイプの場合には、ガスケット、ワッシャ等の材料として、金属、フッ素樹脂、又はフッ素樹脂でコーティングされたゴムを用いることが好ましい。金属としてはステンレスがより好ましい。フッ素樹脂としてはPTEFなどの完全フッ素化樹脂;CTFE、PVDF、PVFなどの部分フッ素化樹脂;PFA、FEP、ETFE、ECTFEなどのフッ素化樹脂共重合体;FKM、FEPM、FFKMなどのフッ素ゴムがより好ましい。濾過器の形式がディスクタイプの場合には、フィルタフォルダ等の材料として、金属、又はフッ素樹脂を用いることが好ましい。金属としては、ステンレスがより好ましい。フッ素樹脂としてはPTEFなどの完全フッ素化樹脂;CTFE、PVDF、PVFなどの部分フッ素化樹脂;PFA、FEP、ETFE、ECTFEなどのフッ素化樹脂共重合体;FKM、FEPM、FFKMなどのフッ素ゴムがより好ましい。
濾過器は、濾過器内で液漏れを防止するために、パッキンを有することが好ましい。濾過器がパッキンを有する場合、パッキンの材料としては、例えば、リン系酸化防止剤及びその酸化体の溶出を起こさないものを使用する。そのような部材としては、フッ素ゴム、PTFE、PFA等のフッ素樹脂製のOリング、前記フッ素樹脂で被覆されたゴム製のOリング等を使用することが好ましい。
濾過器を用いて混合液を濾過する際、ハウジング及びホルダーの材料として金属を使用する。強度及び耐食性を有することから、ステンレスを用いることが好ましい。濾過器のハウジング及びホルダーとして金属製のものを使用するので、ハウジング及びホルダーを接地することが好ましい。接地することで流速帯電をより防止することができ、より安全に高い生産性で液状組成物を製造することが可能となる。
濾過器としては、例えば、以下の製品が挙げられる。
ハウジングと、フィルターの支持部材とを兼ね備えた部材であるADVANTEC製ステンレスシリンジホルダー:KS-13、KS-25、KS-25RA、又は、PTFEホルダー:KSP-47-TF、KSP-90-TF、KSP-142-TF、KSP-293-TF等に、フッ素樹脂膜フィルターとしてADVANTEC製PTFEタイプメンブレンフィルターT010A-、T020A-、T050A-、又は、T080A-シリーズを組み合わせた濾過器、或いは、ハウジングとしてADVANTEC製1本用ステンレスハウジング:1TS、1TS-2、1TS-B、1TS-2B、1TM-1S-MV、1TM-2S-MV、又は、ポール製ステンレスハウジング:A01シリーズ等に、フッ素樹脂膜フィルターと、フィルターの支持部材とを兼ね備えた部材としてADVANTEC製カートリッジフィルター:オールフッ素樹脂カートリッジフィルター:TCFタイプ、又は、ポール製カートリッジフィルター:ウルチクリーンシリーズを組み合わせた濾過器等が挙げられる。
濾過器を用いて混合液を濾過し、混合液に含まれる固形分を除去することにより、液状組成物を塗布して発光層を形成する際の塗布ムラ又はノズルの目詰まりを防止することができる。混合液中の固形分の除去効率を高めるため、一旦濾過した濾液を新しい濾過器に通してさらに濾過してもよいし、濾過器を通過した濾液を再度同じ濾過器に戻して繰り返し濾過してもよい。
濾過後の液状組成物において固形分が除去されているかどうかの確認は、光散乱による粒子数計測により行うことができる。
濾過した液状組成物は保管のため、容器に充填する。容器の材料は、リン系酸化防止剤及びその酸化体が液状組成物へ溶出しないものが好ましい。このような容器として、内壁をフッ素系樹脂でコーティングした樹脂製ボトル、ガラス容器等を使用することができる。容器への充填は濾過器から直接行ってもよいし、濾過器から一旦別容器に受けた後、容器へ移してもよい。
上記製造方法により得られた液状組成物は、従来公知の方法によって画素電極上に塗布することができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリント法等が挙げられる。パターン形成及び多色の塗り分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリント法等の印刷法が好ましい。
液状組成物の粘度は、塗布方法を考慮して適宜決定すればよい。インクジェット法等のように液状組成物が吐出装置を経由する印刷法に液状組成物を適用する場合には、吐出後の目詰まり又は飛行曲がりを防止するために、25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られた液状組成物は、インクジェット法、ノズルプリント法等の印刷法を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「発光素子」という場合もある。)の作製に好適である。
<発光素子>
発光素子は、陽極及び陰極からなる電極と、該電極間に設けられた発光層とを有する。発光層は、本発明の製造方法により得られた液状組成物を塗布することにより形成することが好ましい。
[層構成]
発光素子は、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選ばれる少なくとも1種の層を更に有していてもよい。これらの層は、各々、後述する正孔輸送材料、正孔注入材料、電子輸送材料、及び電子注入材料を含有する。
発光素子は、正孔注入性及び正孔輸送性の観点からは、陽極と発光層との間に、正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層を有することが好ましく、電子注入性及び電子輸送性の観点からは、陰極と発光層との間に、電子注入層及び電子輸送層の少なくとも1層を有することが好ましい。
発光素子における正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層及び電子注入層の形成方法としては、低分子化合物を用いる場合、例えば、粉末からの真空蒸着法、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられ、高分子化合物を用いる場合、例えば、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が挙げられる。
積層する層の順番、数、及び、厚みは、発光効率及び素子寿命を勘案して調整すればよい。
[正孔輸送材料]
正孔輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類され、高分子化合物が好ましく、架橋基を有する高分子化合物がより好ましい。
高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体;側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリアリーレン及びその誘導体が挙げられる。高分子化合物は、電子受容性部位が結合された化合物でもよい。電子受容性部位としては、例えば、フラーレン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン、トリニトロフルオレノン等が挙げられ、好ましくはフラーレンである。
正孔輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[電子輸送材料]
電子輸送材料は、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。電子輸送材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、8-ヒドロキシキノリンを配位子とする金属錯体、オキサジアゾール、アントラキノジメタン、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、テトラシアノアントラキノジメタン、フルオレノン、ジフェニルジシアノエチレン、及び、ジフェノキノン、並びに、これらの誘導体が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリフェニレン、ポリフルオレン、及び、これらの誘導体が挙げられる。高分子化合物は、金属でドープされていてもよい。
電子輸送材料は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[正孔注入材料及び電子注入材料]
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、低分子化合物と高分子化合物とに分類される。正孔注入材料及び電子注入材料は、架橋基を有していてもよい。
低分子化合物としては、例えば、銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン;カーボン;モリブデン、タングステン等の金属酸化物;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム、フッ化カリウム等の金属フッ化物等が挙げられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン、及び、ポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
正孔注入材料及び電子注入材料は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
[イオンドープ]
正孔注入材料又は電子注入材料が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、好ましくは、1×10-5S/cm〜1×103S/cmである。導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープすることができる。
ドープするイオンの種類は、正孔注入材料であればアニオン、電子注入材料であればカチオンである。アニオンとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられる。カチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
ドープするイオンは、一種のみでも二種以上でもよい。
[基板又は電極]
発光素子における基板は、電極を形成することができ、かつ、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよい。このような基板として、例えば、ガラス、プラスチック、シリコン等の材料からなる基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、基板から最も遠くにある電極が透明又は半透明であることが好ましい。
陽極の材料としては、例えば、導電性の金属酸化物、半透明の金属等が挙げられ、好ましくは、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ;インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等の導電性化合物;銀とパラジウムと銅との複合体(APC);NESA、金、白金、銀、銅等である。
陰極の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、インジウム等の金属;それらのうち2種以上の合金;それらのうち1種以上と、銀、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、及び錫のうち1種以上との合金;並びに、グラファイト及びグラファイト層間化合物が挙げられる。合金としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
陽極及び陰極は、各々、2層以上の積層構造としてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
<合成例1>
(発光材料Aの合成)
国際公開第2009/131255号の合成例5に従って、下記式で表される発光材料Aを合成した。
<合成例2>
(高分子化合物Bの合成)
特開2012-036388号公報の実施例2に従って、高分子化合物Bを合成した。高分子化合物Bは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、式(PA1)で表される繰り返し単位と式(PB1)で表される繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。高分子化合物Bの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、それぞれポリスチレンを標準物質とするGPC分析により測定したところ、Mwは2.3×105であり、Mnは1.0×105であった。
<合成例3>
(高分子化合物Cの合成)
特開2013-047315の合成例3(高分子化合物3の合成)に従って、高分子化合物Cを合成した。高分子化合物Cは、単量体の仕込み比から以下の繰り返し単位及びモル比率を有し、式(PA2)で表される繰り返し単位と式(PB2)で表される繰り返し単位とが交互に重合した高分子化合物と推定される。高分子化合物CのMw及びMnを、合成例2と同様にして測定したところ、Mwは3.3×105であり、Mnは6.2×104であった。
<合成例4>
(低分子化合物Dの合成)
特開2010−189630号公報の合成例10(電子輸送材料ET−Aの合成)に記載の方法に従って、下記式で表される低分子化合物Dを合成した。
(低分子化合物E)
下記式で表される低分子化合物Eは、Luminescence Technology社より購入した。
<合成例5>
(低分子化合物Fの合成)
国際公開第2010/136109号の例37に記載の方法に従って、下記式で表される低分子化合物Fを合成した。
<実施例1>
(液状組成物の調製)
発光材料Aを4.2質量部、高分子化合物Bを4.2質量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100ppm(質量基準)含有するシクロヘキシルベンゼンを784質量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール100ppm含有する4−メチルアニソールを202質量部混合して溶解させ、液状組成物aを調製した。
ADVANTEC社製のステンレスシリンジホルダーKS-13(接液部材料は、SUS316(ステンレス)、SUS304(ステンレス)、及びPTFEで構成)に、ADVANTEC社製のPTFEタイプメンブレンフィルターT050A013A(材料PTFE、孔径0.50μm、フィルター径13mm)を取り付けた濾過器と、ルアーロック付ガラスシリンジとを用いて、3.0mLの液状組成物aを5時間かけて濾過し、液状組成物bを得た。
(素子評価)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、正孔注入材料としてND−3202(日産化学工業製)をスピンコートにより60nmの厚さで成膜し、これを大気雰囲気下、ホットプレート上において230℃で15分間加熱した。
次に、高分子化合物Cをキシレンに溶解させ、0.6質量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより20nmの厚さで成膜し、これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において190℃で60分間加熱した。
液状組成物bを用いてスピンコートにより塗布した後、真空乾燥機において5Paで1分間乾燥し、80nmの厚さで成膜した。液状組成物bにより形成された膜に塗布ムラは見られなかった。これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において150℃で10分加熱した。その後、陰極としてフッ化ナトリウムを約3nm、次いでアルミニウムを約100nm蒸着して、発光素子D1を作製した。なお、真空度が、1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
発光素子D1に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は49cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、6時間であった。
<実施例2>
(液状組成物の調製)
発光材料Aを6.9質量部、低分子化合物Dを16.1質量部、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100ppm(質量基準)含有するキシレンを977質量部混合して溶解させ、液状組成物dを調製した。
実施例1と同様の方法で、液状組成物dを濾過し、液状組成物eを得た。
(素子評価)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、正孔注入材料としてND−3202(日産化学工業製)をスピンコートにより60nmの厚さで成膜し、これを大気雰囲気下、ホットプレート上において230℃で15分間加熱した。
次に、高分子化合物Cをキシレンに溶解させ、0.6質量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより20nmの厚さで成膜し、これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において190℃で60分間加熱した。
液状組成物eを用いてスピンコートにより塗布し、80nmの厚さで成膜した。液状組成物eにより形成された膜に塗布ムラは見られなかった。これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において150℃で10分加熱した。その後、陰極としてフッ化ナトリウムを約1.5nm、次いでアルミニウムを約100nm蒸着して、発光素子D2を作製した。なお、真空度が、1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
発光素子D2に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は8.7cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、60.3時間であった。
<実施例3>
(液状組成物の調製)
発光材料Aを6.9質量部、低分子化合物Eを16.1質量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール100ppm(質量基準)含有するシクロヘキシルベンゼンを776.7質量部、及び2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール100ppm含有する4−メチルアニソールを200.3質量部混合して溶解させ、液状組成物gを調製した。
実施例1と同様の方法で、液状組成物gを濾過し、液状組成物hを得た。
(素子評価)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、正孔注入材料としてND−3202(日産化学工業製)をスピンコートにより60nmの厚さで成膜し、これを大気雰囲気下、ホットプレート上において230℃で15分間加熱した。
次に、高分子化合物Cをキシレンに溶解させ、0.6質量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより20nmの厚さで成膜し、これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において190℃で60分間加熱した。
液状組成物hを用いてスピンコートにより塗布し、真空乾燥機において5Paで1分間乾燥し、80nmの厚さで成膜した。液状組成物hにより形成された膜に塗布ムラは見られなかった。これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において180℃で10分加熱した。その後、陰極としてフッ化ナトリウムを約1.5nm、次いでアルミニウムを約100nm蒸着して、発光素子D3を作製した。なお、真空度が、1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
発光素子D3に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は22.3cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、18.3時間であった。
<実施例4>
(液状組成物の調製)
発光材料Aを6.9質量部、低分子化合物Fを16.1質量部、及び3−フェノキシトルエンを977質量部混合して溶解させ、液状組成物jを調製した。
実施例1と同様の方法で、液状組成物jを濾過し、液状組成物kを得た。
(素子評価)
スパッタ法により45nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、正孔注入材料としてND−3202(日産化学工業製)をスピンコートにより60nmの厚さで成膜し、これを大気雰囲気下、ホットプレート上において230℃で15分間加熱した。
次に、高分子化合物Cをキシレンに溶解させ、0.6質量%のキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより20nmの厚さで成膜し、これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において190℃で60分間加熱した。
液状組成物kを用いてスピンコートにより塗布し、真空乾燥機において5Paで3分間乾燥し、80nmの厚さで成膜した。液状組成物kにより形成された膜に塗布ムラは見られなかった。これを窒素ガス雰囲気下、ホットプレート上において180℃で10分加熱した。その後、陰極としてフッ化ナトリウムを約1.5nm、次いでアルミニウムを約100nm蒸着して、発光素子D4を作製した。なお、真空度が、1×10-4Pa以下に到達した後に金属の蒸着を開始した。
発光素子D4に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は42.6cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、16.1時間であった。
<比較例1>
(液状組成物の調製)
ADVANTEC社製のステンレスシリンジホルダーKS-13に、ADVANTEC社製のPTFEタイプメンブレンフィルターT050A013を取り付けた濾過器の代わりに、ADVANEC社製のDISMIC(登録商標)13JP050AN(フィルター材質PTFE、ハウジング材質ポリプロピレン、孔径0.50μm、フィルター径13mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、液状組成物cを得た。
(素子評価)
液状組成物bの代わりに、液状組成物cを用いた以外は実施例1と同様にして、発光素子CD1を作成した。
発光素子CD1に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は45cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、2時間であった。
<比較例2>
(液状組成物の調製)
ADVANTEC社製のステンレスシリンジホルダーKS-13に、ADVANTEC社製のPTFEタイプメンブレンフィルターT050A013を取り付けた濾過器の代わりに、ADVANEC社製のDISMIC(登録商標)13JP050AN(フィルター材質PTFE、ハウジング材質ポリプロピレン、孔径0.50μm、フィルター径13mm)を用いた以外は、実施例2と同様にして、液状組成物fを得た。
(素子評価)
液状組成物eの代わりに、液状組成物fを用いた以外は実施例2と同様にして、発光素子CD2を作成した。
発光素子CD2に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は8.3cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、26.7時間であった。
<比較例3>
(液状組成物の調製)
ADVANTEC社製のステンレスシリンジホルダーKS-13に、ADVANTEC社製のPTFEタイプメンブレンフィルターT050A013を取り付けた濾過器の代わりに、ADVANEC社製のDISMIC(登録商標)13JP050AN(フィルター材質PTFE、ハウジング材質ポリプロピレン、孔径0.50μm、フィルター径13mm)を用いた以外は、実施例3と同様にして、液状組成物iを得た。
(素子評価)
液状組成物hの代わりに、液状組成物iを用いた以外は実施例3と同様にして、発光素子CD3を作成した。
発光素子CD3に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は22.0cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、9.6時間であった。
<比較例4>
(液状組成物の調製)
ADVANTEC社製のステンレスシリンジホルダーKS-13に、ADVANTEC社製のPTFEタイプメンブレンフィルターT050A013を取り付けた濾過器の代わりに、ADVANEC社製のDISMIC(登録商標)13JP050AN(フィルター材質PTFE、ハウジング材質ポリプロピレン、孔径0.50μm、フィルター径13mm)を用いた以外は、実施例4と同様にして、液状組成物lを得た。
(素子評価)
液状組成物kの代わりに、液状組成物lを用いた以外は実施例4と同様にして、発光素子CD3を作成した。
発光素子CD4に電圧を印加したところ、緑色のEL発光が得られ、1000cd/m2で発光する際の効率は45.0cd/Aであった。初期輝度が8000cd/m2となるように電流値を設定した後、定電流で駆動させ、輝度の時間変化を測定した。その結果、輝度が初期輝度の95%となるまでの時間は、8.9時間であった。