JP2002305095A - 絶縁性液体から静電気を除去する方法および静電気除去フィルタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】装置に用いられる絶縁性液体から静電気を効果
的に除去すること。 【解決手段】絶縁性液体から静電気を除去する方法であ
って、絶縁性液体を、導電性を有する材料からなり且つ
実質的に接地された微細なフィルタ１６を通過させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性液体から静
電気を除去する方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、機械装置またはプラントなど
において、各種の潤滑油装置または、チラーユニット
（冷却装置）が用いられる。これら潤滑油装置またはチ
ラーユニットには、鉱物油または合成油などの液体が用
いられる。これらの液体は、通常、電気的な絶縁性が高
い（固有抵抗：１０¹⁰オーム・センチメートル以上）。

【０００３】このような液体が装置内を循環すると、流
動帯電が必ず発生する。通常、装置の構成について適切
な設計を行えば、例えば流速を低くしたり、配管材料と
して金属を用いたりすることによって、発生した液体中
の電荷の多くは、装置の金属面から地中や大気中に放電
し、高い電圧には至らない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、装置内の管内
流速を速くしたり、タンクの容量を少なくしたり、不適
当な材料（固有抵抗の高い配管材料）を使用せざるを得
ない場合などには、発生した液体中の電荷が放電され
ず、絶縁性の高い部位に電荷が蓄積される。そして、電
圧が高くなり、ついには放電現象が発生し、機器の損傷
に繋がることがある。火花放電などによる静電気障害と
して、例えば、液体通路の管壁に穴が開いて液体が外部
へ漏洩することがある。

【０００５】また、液体の清浄度を高めたり、水分の含
有量を少なくした場合には、電荷がさらに発生し易くな
り、放電現象が発生し易くなる。これに対処するため、
従来において、液体中にアース棒を設置して電荷を低減
する方法が提案されている。しかし、そのような対処方
法は局部的な対策であり、液体全体の電荷を低減するこ
とができない。

【０００６】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
ので、装置に用いられる絶縁性液体から静電気を効果的
に除去する方法および装置並びに静電気除去フィルタ装
置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る方法は、絶
縁性液体から静電気を除去する方法であって、前記絶縁
性液体を、導電性を有する材料からなり且つ実質的に接
地された微細なフィルタを通過させる。

【０００８】また、本発明に係る装置は、絶縁性液体を
送出するポンプと、前記ポンプから送出された絶縁性液
体を濾過するための、導電性を有する材料からなり且つ
実質的に接地された微細なフィルタとを有する。

【０００９】本発明に係る静電気除去フィルタ装置は、
絶縁性液体から静電気を除去する静電気除去フィルタ装
置であって、金属材料からなり、流入路および流出路が
設けられたカバーと、前記カバーに対して密閉状態で装
着され且つ取り外し可能なケースと、前記ケース内にお
いて前記カバーと電気的に接続された状態で装着され、
絶縁性液体を濾過するための、導電性を有する材料から
なるフィルタカートリッジと、を有してなる。

【００１０】好ましくは、前記ケース内に、前記フィル
タカートリッジを前記カバーに向けて押しつけるための
弾性部材が設けられ、前記弾性部材による付勢力によ
り、前記フィルタカートリッジが前記カバーに設けられ
た当接部に当接することによって、前記フィルタカート
リッジが前記カバーと電気的に接続される。

【００１１】また、前記フィルタカートリッジは、平均
穴径が数ミクロンから数百ミクロン程度の金属メッシュ
を有する。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態の静電
除去装置５を示す液体回路図、図２は静電気除去フィル
タ装置１６の概略の構成を模式的に示す図、図３は静電
気除去フィルタ装置１６Ｂの具体的な一実施形態の断面
正面図、図４は静電気除去フィルタ装置１６の平面図、
図５はフィルタカートリッジ３２の一部断面正面図、図
６はフィルタカートリッジ３２の上面図である。

【００１３】図１において、静電除去装置５は、タンク
１１、ポンプ１２、モータ１３、圧力計１４、液温調整
器１５、および静電気除去フィルタ装置１６などからな
る。タンク１１には、各種の機器または装置３から排出
された液体ＬＱが蓄えられる。タンク１１は、鉄などの
金属材料からなり、実質的に接地されている。

【００１４】ポンプ１２は、モータ１３によって回転駆
動され、タンク１１内の液体ＬＱを送出する。液温調整
器１５によって、液温が所定の適当な値に調整される。
静電気除去フィルタ装置１６によって、液体ＬＱに含ま
れる異物を除去するとともに、液体ＬＱから静電気を除
去する。

【００１５】図２において、静電気除去フィルタ装置１
６は、フィルタケース３１、およびフィルタカートリッ
ジ３２などを有する。帯電した液体ＬＱは、流入路ＩＮ
から入り、フィルタカートリッジ３２を通過し、流出路
ＯＵＴから排出される。

【００１６】フィルタケース３１は、少なくとも一部が
金属材料などからなり、その取り付けのためのフレーム
などを通じて、または電線などを用いて、実質的に接地
されている。フィルタケース３１は、その内部のフィル
タカートリッジ３２と電気的に接続されて同電位である
ので、フィルタカートリッジ３２も実質的に接地され
る。実質的に接地されるとは、例えば電位がほぼ０であ
り、電荷は大地または空中に放散される状態をいう。

【００１７】フィルタカートリッジ３２として、金属メ
シュまたは焼結金属などの金属材料からなる濾材、導電
性を有する濾紙、天然繊維または合成繊維にカーボンフ
ァイバーを混合した導電性の濾紙、導電性のある化学繊
維からなる濾材などが用いられる。

【００１８】フィルタカートリッジ３２は、微細なフィ
ルタであり、平均穴径は数ミクロンから数百ミクロン程
度である。穴径が小さいほど、除電効果は大きい。液体
ＬＱとの接触時間を長くするため、金属メッシュまたは
導電性の濾紙の場合に、プリーツ状に成形される。

【００１９】静電気除去フィルタ装置１６Ｂのさらに具
体的を説明する。図３および図４において、静電気除去
フィルタ装置１６Ｂは、フィルタケース３１、フィルタ
カートリッジ３２、ドレン排出口３３、および支持棒３
４などを有する。

【００２０】フィルタケース３１は、カバー３１１、ケ
ース３１２、およびナット３１３などからなる。カバー
３１１は、炭素鋼、ステンレス鋼などの導電性の良好な
金属材料からなる。両側に流入路ＩＮおよび流出路ＯＵ
Ｔが設けられ、外面の前後それぞれ２箇所にネジ穴３１
５が設けられる。ネジ穴３１５は、静電気除去フィルタ
装置１６Ｂの全体を装置のフレームなどに取り付けるた
めに用いられるとともに、接地のための端子としても用
いられる。

【００２１】ケース３１２は、炭素鋼、ステンレス鋼な
どの金属材料からなり、ほぼ円筒状に形成されている。
上端縁は、カバー３１１の下面に嵌まり込み、パッキン
によって密封される。下端部の中央には、ドレン排出口
３３の口金３３１が溶接などにより固定される。口金３
３１の上面の中央には、支持棒３４が、上方へ垂直に延
びた状態で、溶接などによって固定されている。口金３
３１には、プラグ３３２がネジ込まれており、これによ
って密封されている。プラグ３３２を緩めると、ケース
３１２の内部に溜まったドレンが下方へ排出される。

【００２２】口金３３１の上面の支持棒３４の外周に
は、圧縮バネ３３が装着される。圧縮バネ３３３は、一
枚または複数枚の座金を介して、押さえ板３３４を上方
へ付勢する。

【００２３】支持棒３４は、金属材料からなり、上端部
にネジが設けられている。ナット３１３の軸部に設けた
ネジ穴を支持棒３４の上端部のネジにネジ込むことによ
り、カバー３１１とケース３１２とが一体的に固定され
る。支持棒３４の上方には、フィルタカートリッジ３２
のセンタリングのためのバネ部材３１４が装着されてい
る。

【００２４】ケース３１２の内部にはフィルタカートリ
ッジ３２が装着されている。図５および図６に示される
ように、フィルタカートリッジ３２は、インナーチュー
ブ３２１、フィルタエレメント３２２、リテーニングバ
ンド３２３、およびエンドキャップ３２４などからな
る。

【００２５】フィルタエレメント３２２は、平均穴径が
数ミクロンから数百ミクロン程度である。本実施形態で
は、１０ミクロン程度の微細な穴を有した金属メシュで
あり、表面積を大きくするために波状に形成されてい
る。インナーチューブ３２１は、液体ＬＱを透過するよ
う、適当な穴またはスリットなどが設けられている。エ
ンドキャップ３２４は、その中央部に円筒状部を有し、
円筒状部を通って液体ＬＱが流通可能である。

【００２６】フィルタカートリッジ３２は、それぞれの
構成要素が、炭素鋼またはステンレス鋼などの導電性の
良好な金属材料からなっており、且つ、それらの要素が
互いに接することにより電気的に接続されている。した
がって、フィルタカートリッジ３２は、その全体が電気
的に同電位である。

【００２７】フィルタカートリッジ３２は、エンドキャ
ップ３２４の中央の穴に支持棒３４が挿通されるように
して、ケース３１２の中に入れられる。下端のエンドキ
ャップ３２４には、押さえ板３３４が嵌まり込む。上端
のエンドキャップ３２４には、バネ部材３１４が嵌まり
込み、これによってフィルタカートリッジ３２の大体の
センタリングが行われる。ケース３１２の上からカバー
３１１を被せ、ナット３１３によって締め付ける。

【００２８】これによって、フィルタカートリッジ３２
は、カバー３１１の当接部３１１ａと押さえ板３３４と
の間で、圧縮バネ３３３による付勢力によって位置決め
されて装着される。

【００２９】この状態で、エンドキャップ３２４の上面
が当接部３１１ａと当接し、これによってフィルタカー
トリッジ３２とカバー３１１とが電気的に接続される。
また、フィルタカートリッジ３２の下端のエンドキャッ
プ３２４、圧縮バネ３３３、口金３３１、支持棒３４、
およびナット３１３を介する回路によっても、フィルタ
カートリッジ３２とカバー３１１とが電気的に接続され
る。

【００３０】したがって、カバー３１１が接地された装
置のフレームなどに取り付けられることによって、また
はネジ穴３１５を利用してアース線を接続することによ
って、静電気除去フィルタ装置１６Ｂは接地された状態
になる。

【００３１】静電気除去フィルタ装置１６Ｂの作用は次
のとおりである。静電気除去フィルタ装置１６Ｂのカバ
ー３１１の流入路ＩＮから入った液体ＬＱは、ケース３
１２内に入り、フィルタエレメント３２２の円筒状の表
面から裏面へ通過し、その上端のエンドキャップ３２４
の穴から出て、流出路ＯＵＴから排出される。その際
に、フィルタエレメント３２２によって微細な異物が濾
過される。これとともに、液体ＬＱの静電気が、フィル
タエレメント３２２を通過する際に除電される。

【００３２】このように、液体ＬＱがフィルタエレメン
ト３２２の微細な穴を通過する際に、液体ＬＱ中の電荷
とフィルタエレメント３２２との距離が僅かであるた
め、電荷はフィルタエレメント３２２に引き寄せられて
大地へ逃がされる。

【００３３】これによって、液体ＬＱ中の電荷が効率的
に除電される。例えば数百ボルト以下の低い電圧となる
ので、機器の内部での放電現象が発生しなくなる。した
がって、液体ＬＱの流動によって必ず発生する静電気を
逃がし、低い電荷量とすることによって、静電気障害の
発生を防止することができる。

【００３４】しかも、静電気除去フィルタ装置１６，１
６Ｂによって異物の除去も行うことができる。つまり、
比較的簡単な構成の静電気除去フィルタ装置１６，１６
Ｂまたは静電除去装置５によって、液体ＬＱ中に含まれ
る異物の除去および静電気の除去の両方を行うことがで
きる。

【００３５】上述の実施形態において、静電気除去フィ
ルタ装置１６，１６Ｂおよび静電除去装置５の構造、形
状、寸法、材料などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更
することができる。

【００３６】

【発明の効果】本発明によると、絶縁性液体から静電気
を効果的に除去することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態の静電除去装置を示す液体
回路図である。

【図２】静電気除去フィルタ装置の概略の構成を模式的
に示す図である。

【図３】静電気除去フィルタ装置の具体例を示す断面正
面図である。

【図４】静電気除去フィルタ装置の平面図である。

【図５】フィルタカートリッジの一部断面正面図であ
る。

【図６】フィルタカートリッジの上面図である。

【符号の説明】

５ 静電除去装置 １２ ポンプ １６ 静電気除去フィルタ装置 １６Ｂ 静電気除去フィルタ装置 ３２ フィルタカートリッジ ３１１ カバー ３１１ａ 当接部 ３１２ ケース ３３３ 圧縮バネ（弾性部材） ３２２ フィルタエレメント

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁性液体から静電気を除去する方法であ
   って、 前記絶縁性液体を、導電性を有する材料からなり且つ実
   質的に接地された微細なフィルタを通過させる、 ことを特徴とする絶縁性液体から静電気を除去する方
   法。
2. 【請求項２】絶縁性液体から静電気を除去する装置であ
   って、 前記絶縁性液体を送出するポンプと、 前記ポンプから送出された絶縁性液体を濾過するため
   の、導電性を有する材料からなり且つ実質的に接地され
   た微細なフィルタと、 を有することを特徴とする絶縁性液体から静電気を除去
   する装置。
3. 【請求項３】絶縁性液体から静電気を除去する静電気除
   去フィルタ装置であって、 金属材料からなり、流入路および流出路が設けられたカ
   バーと、 前記カバーに対して密閉状態で装着され且つ取り外し可
   能なケースと、 前記ケース内において前記カバーと電気的に接続された
   状態で装着され、絶縁性液体を濾過するための、導電性
   を有する材料からなるフィルタカートリッジと、 を有してなることを特徴とする静電気除去フィルタ装
   置。
4. 【請求項４】前記ケース内に、前記フィルタカートリッ
   ジを前記カバーに向けて押しつけるための弾性部材が設
   けられ、 前記弾性部材による付勢力により、前記フィルタカート
   リッジが前記カバーに設けられた当接部に当接すること
   によって、前記フィルタカートリッジが前記カバーと電
   気的に接続される、 請求項３記載の静電気除去フィルタ装置。
5. 【請求項５】前記フィルタカートリッジは、平均穴径が
   数ミクロンから数百ミクロン程度の金属メッシュを有す
   る、 請求項３記載の静電気除去フィルタ装置。