JP2012006878A - 有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機金属錯体含有組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明 - Google Patents

有機金属錯体、発光材料、有機電界発光素子材料、有機金属錯体含有組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイおよび有機el照明 Download PDF

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Abstract

【課題】溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適し、有機電界発光素子の発光層を湿式成膜法で形成して、発光効率が高く寿命や耐久性などの点で高い性能を有する有機電界発光素子を作製し得る有機金属錯体を提供する。
【解決手段】例えば下式で示した反応で得られる有機金属錯体が例示される。
Figure 2012006878

【選択図】図1

Description

本発明は、有機電解発光素子の発光層等に用いられる有機金属錯体に関する。詳しくは、溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適し、有機電界発光素子の発光層を湿式成膜法で形成して、発光効率が高く寿命や耐久性などの点で高い性能を有する有機電界発光素子を提供し得る有機金属錯体と、この有機金属錯体よりなる発光材料および有機電界発光素子材料、この有機金属錯体を含む有機金属錯体含有組成物、並びに、この有機金属錯体を用いた有機電界発光素子、有機EL表示装置および有機EL照明に関する。
近年、薄膜型の電界発光素子としては、無機材料を使用したものに代わり、有機薄膜を用いた有機電界発光素子の開発が行なわれるようになっている。有機電界発光素子は、通常、陽極と陰極の間に、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層などを有し、各層に適した赤、緑、青などの発光素子の開発が進んでいる。
有機電界発光素子の各層の形成方法としては、蒸着成膜法や湿式成膜法がある。蒸着成膜法では、テレビやモニタ用の中・大型フルカラーパネルなどを製作する場合、歩留まりの観点で課題を有する。そのため、これら大面積の用途には湿式成膜法が好適である。
しかしながら、湿式成膜法で有機電界発光素子の各層を形成するためには、各層を形成する材料が溶剤に溶解し、かつ湿式成膜後にも素子として高い性能を有することが望まれる。
ディスプレイ用途や照明用途に必須な青色発光材料に関しては、これまで主に蒸着成膜法用途に開発されてきた。例えば、特許文献1には、以下に示す化合物(mc3およびmc25)が例示されている。
Figure 2012006878
また、特許文献2には、OLEDデバイスの発光層に使用できる化合物の一例として、以下の化合物が開示されている。
Figure 2012006878
国際公開第2008/054584号パンフレット 国際公開第2007/095118号パンフレット
上述の公知化合物は、いずれも溶剤への溶解性が不十分であり、その物性は湿式成膜用途に最適化されていなかった。
本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適した有機金属錯体を提供することを課題とする。
また、湿式成膜法で形成される発光層に用いても、得られる有機電界発光素子が発光効率が高く、寿命や耐久性などの点で高い性能を保つことができる有機金属錯体を提供することを課題とする。
本発明はまた、この有機金属錯体よりなる発光材料および有機電界発光素子と、この有機金属錯体を含む有機金属錯体含有組成物と、この有機金属錯体を用いた有機電界発光素子、有機EL表示装置および有機EL照明を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の有機金属錯体が、上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される有機金属錯体、に存する。
Figure 2012006878
(上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R〜Rは、それぞれ近接するR〜Rと結合して環を形成していてもよい。ただし、R〜Rのうち少なくとも1つは、炭素数4以上のアルキル基またはこれを有する置換基である。
また、R〜Rのいずれか1つは、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、またはこれらのうちいずれかを含む基である。
Lは1価の2座配位子を表し、mは1〜3の整数を表す。)
本発明はまた、
上記有機金属錯体からなる発光材料、
上記有機金属錯体からなる有機電界発光素子材料、
上記有機金属錯体および溶剤を含有する有機金属錯体含有組成物、
陽極および陰極と、該陽極と該陰極との間に有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層のうち少なくとも一層が、上記有機金属錯体を含有する発光層である有機電界発光素子、
並びに
この有機電界発光素子を含む有機EL表示装置および有機EL照明、
に存する。
本発明によれば、溶剤への溶解性や分散性が高く、湿式成膜に適した有機金属錯体を提供できる。また、この有機金属錯体を発光層に用いた有機電界発光素子は、湿式成膜法で形成される発光層であっても、発光効率が高く、寿命や耐久性などの点で高い性能を保つことができる。
本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図である。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施することができる。
[語句の説明]
本発明において、単に「芳香環」と称した場合には、芳香族炭化水素環および芳香族複素環のいずれも含むものとする。
本発明において、「(ヘテロ)アリール」と称した場合には、芳香族炭化水素環および芳香族複素環のいずれも含むものとする。
本発明において、「置換基を有していてもよい」とは、置換基を1又は2以上有していてもよいことを意味するものとする。
また、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる湿式成膜用の組成物特有の液性に合うためである。
[有機金属錯体]
本発明の有機金属錯体(以下「有機金属錯体(1)」と称す場合がある。)は、下記一般式(1)で表されるものである。
Figure 2012006878
(上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R〜Rは、それぞれ近接するR〜Rと結合して環を形成していてもよい。ただし、R〜Rのうち少なくとも1つは、炭素数4以上のアルキル基またはこれを有する置換基である。
また、R〜Rのいずれか1つは、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、またはこれらいずれかを有する基である。
Lは1価の2座配位子を表し、mは1〜3の整数を表す。)
{構造上の特徴}
本発明の有機金属錯体(1)における特徴の一つとして、R〜Rのいずれか1つが、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、またはこれらいずれかの基を有する基である点が挙げられる。
ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル基を有する基としては、例えばこれらいずれかの基で置換された炭化水素基、アルコキシ基および芳香族複素環基が挙げられる。ここで、炭化水素基としては、好ましくはフェニル基等の芳香族炭化水素基が挙げられるが、R〜Rのいずれかそれ自体が、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
ハロゲン原子の中でも特にフッ素原子が、以下に述べる効果が顕著に現れる点から好ましい。
また、パーフルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられ、以下に述べる効果が顕著に現れる点から、トリフルオロメチル基が好ましい。
〜Rが置換する位置の置換基は、錯体の発光波長、イオン化ポテンシャル(Ip)の準位、および電子親和性(Ea)準位の調整に大きく影響する。具体的には、結合する基の種類と置換位置との組合せにより、有機金属錯体に及ぼす影響は異なり、例えばハロゲン原子の場合、Irとの結合位のm−位(すなわちRまたはR)に配することにより、得られる有機金属錯体の発光波長に対する強力な短波長化効果が現れ、他の位置へ配することにより弱い短波長化効果が現れる。またパーフルオロアルキル基の場合、Irとの結合位o−位またはp−位(つまりRまたはR)に配することにより、得られる有機金属錯体の発光波長に対する短波長化効果が現れ、他の位置に配すると、逆に長波長化効果をもたらす。
また、ハロゲン原子(特にフッ素原子)やパーフルオロアルキル基(特にトリフルオロメチル基)の導入により、配位子のIrに対する配位強度が高まり、錯体の非発光励起準位を押し上げ、励起状態からの非発光励起準位熱遷移が抑制されるため、発光効率・発光強度が向上する。
本発明の有機金属錯体(1)における他の特徴として、R〜Rのうち少なくとも1つは、炭素数4以上のアルキル基またはこれを有する置換基である点が挙げられる。このような基を有することにより、有機金属錯体の溶剤溶解性が向上するため、後述するように、湿式成膜法による有機電界発光素子の有機層の形成に使用する上で好ましい。
本発明者らの検討によると、例えばフェニルイソキノリル系配位子を有するIr錯体の場合は、本発明とは異なり、配位子に比較的長鎖のアルキル基を導入することにより、化合物の安定性が低下する傾向がある。具体的には、以下に示すイリジウム錯体Piq−1とPiq−2では、アセトニトリルなどの有機溶媒に溶解した状態で室温下に静置した場合、Piq−2に比してPiq−1の分解速度が著しく大きい、すなわち安定性が低いという結果が得られる。この現象は、そもそも錯体自体の安定性が低く、それに対して、錯体を形成する配位子が錯体から遊離し、拡散していくことによるエネルギー的な安定化効果の方が大きいためと推測される。
Figure 2012006878
このように、ただ単に長鎖アルキル基を導入すれば、いずれの金属錯体であっても安定性が向上するわけではなく、逆に安定性を損なう場合もある。
一方、本発明の有機金属錯体(1)では、配位子に炭素数4以上のアルキル基を導入することにより溶剤溶解性が向上することが判明した。さらに当該アルキル基またはこれを有する基を、前記一般式(1)におけるRまたはRに有することにより、溶剤への溶解性や分散性などが向上するとともに、溶剤中に安定して長期間存在できることが判明した。
炭素数4以上のアルキル基を有する置換基としては、アルキル基で置換された芳香族炭化水素基が好ましく、当該炭化水素基の中ではフェニル基が好ましい。炭素数4以上のアルキル基としては、好ましくは炭素数5以上のアルキル基が挙げられ、また好ましくは炭素数15以下、より好ましくは炭素数12以下のアルキル基が挙げられる。
炭素数4以上のアルキル基としては直鎖のアルキル基であることが好ましく、具体的にはn−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などが挙げられる。
なお、前記一般式(1)の配位子に含まれるフェニル基において、Irへの配位位置に対してp−位(すなわちR)にフェニル基を有することにより、Irのd軌道と当該フェニル基(R基)におけるベンゼン環の電子軌道による混成軌道の安定性が向上、つまり錯体の安定性が向上し、耐久性の高い化合物が得られるため、好ましい。
従って、Rは炭素数4以上のアルキル基を有するフェニル基であることが、特に好ましい。中でも、当該フェニル基のp−位が、炭素数4以上のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。p−位に当該アルキル基を有することにより、アルキル基が電子供与性基としての効果を発揮しやすい。
また、前記一般式(1)において、RおよびRのうち少なくとも一方が水素原子以外の基である場合、有機金属錯体(1)の安定性が向上するため好ましい。中でも、RおよびRのうち少なくとも一方が、置換基を有していてもよいアルキル基である場合が、より好ましい。該アルキル基の具体例、およびこれが有しうる置換基の具体例については、後述する。
{R〜R
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
<ハロゲン原子>
ハロゲン原子としては、前述のように、フッ素原子が好ましい。
<炭化水素基>
炭化水素基としては、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基および芳香族炭化水素基が挙げられる。飽和炭化水素基としては、アルキル基が挙げられる。これらのうち炭化水素基としては、溶解性が向上すること、および安定であることにより、アルキル基または芳香族炭化水素基が好ましい。
アルキル基の炭素数は、通常1以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、通常15以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。炭素数を上記下限値以上とすることにより、溶剤溶解性が担保しやすくなり、上記上限値以下とすることにより、熱処理時に酸化劣化する可能性が低減する。
アルキル基は、直鎖であっても分岐であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基などのアルキル基が挙げられる。
なおR〜Rにおいて、R〜Rのいずれか一つがパーフルオロアルキル基である場合、具体的には、前述のように、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基などが挙げられ、中でもトリフルオロメチル基が好ましい。
不飽和炭化水素基としては、アルケニル基およびアルキニル基が挙げられる。
アルケニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。炭素数を上記下限値以上とすることにより、溶剤溶解性が担保しやすくなり、上記上限値以下とすることにより、熱処理時に酸化劣化する可能性が低減する。アルケニル基としては具体的には、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などが挙げられる。
アルキニル基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、通常8以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下である。炭素数を上記下限値以上とすることにより、溶剤溶解性が担保しやすくなり、上記上限値以下とすることにより、熱処理時に酸化劣化する可能性が低減する。アルキニル基としては具体的には、アセチレニル基、プロピニル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基の炭素数は、通常6以上、通常16以下、好ましくは14以下、さらに好ましくは10以下である。炭素数を上限値以下とすることにより、錯体を容易に安定的に形成することができるため好ましい。中でも、6員環の単環、又は2〜5縮合環由来の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの芳香族炭化水素環由来の基が挙げられる。特に、ベンゼン環由来の基(フェニル基)であることが好ましい。
<アルコキシ基>
〜Rにおけるアルコキシ基の炭素数は、通常1以上、好ましくは2以上、通常12以下、好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下である。炭素数を上記下限値以上とすることにより、溶剤溶解性が担保しやすくなり、上記上限値以下とすることにより、熱処理時に酸化劣化する可能性が低減する。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基などのアルコキシ基が挙げられる。
<香族複素環基>
〜Rにおける芳香族複素環基の炭素数は、通常3以上、好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上、通常15以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは8以下である。炭素数を上記下限値以上とすることにより、錯体の安定性が容易に担保され、上記上限値以下とすることにより、錯体を容易に安定的に形成することができるため好ましい。香族複素環基としては、具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
<R〜Rが有しうる置換基>
〜Rが炭化水素基、アルコキシ基または芳香族複素環基である場合、これらは置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アルコキシ基、(ヘテロ)アリールオキシ基、アルキルチオ基、(ヘテロ)アリールチオ基、シアノ基、アミノ基などの有機基が挙げられる。中でも、アルキル基および芳香族炭化水素基が、錯体の安定性の面から好ましく、芳香族炭化水素基が特に好ましい。
なお前述のように、R〜Rのいずれか1つは、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル基であるか、そのいずれかで置換された基である。発光波長の制御や、発光効率・発光強度の観点からは、R〜Rのいずれか一つについては、ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル基で置換されていることが好ましい。ハロゲン原子またはパーフルオロアルキル基の具体例および好ましいものについては、前述のとおりである。
アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられる。中でも、n−ペンチル基などのペンチル基、n−ヘキシル基および2−エチルブチル基などのヘキシル基は非極性溶剤に高い溶解性を持つため好ましい。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜25の芳香族炭化水素基が好ましく、6員環の単環、又は2〜5縮合環由来の芳香族炭化水素基が好ましい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの芳香族炭化水素環由来の基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、炭素数3〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。具体的には、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの芳香族複素環由来の基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。
(ヘテロ)アリールオキシ基としては、炭素数3〜20の(ヘテロ)アリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、9−アントラニルオキシ基、2−チエニルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜20のアルキルチオ基が好ましく、具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
(ヘテロ)アリールチオ基としては、炭素数3〜20の(ヘテロ)アリールチオ基好ましく、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、9−アントラニルチオ基、2−チエニルチオ基等が挙げられる。
{配位子L}
前記一般式(1)において、Lは1価の2座配位子を表す。
1価の2座配位子Lに特に制限は無いが、例えば以下の配位子などが挙げられる。
Figure 2012006878
これらの中でも、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは以下の配位子などが挙げられる。
Figure 2012006878
{m}
前記一般式(1)において、mは1〜3の整数を表す。なお、前述した一般式(I)で表される化合物の性能、特に配位子の効果がより顕著である点から、mは2または3が好ましく、3が最も好ましい。
{分子量}
有機金属錯体(1)の分子量は、通常850以上、好ましくは900以上、通常3000以下、好ましくは2000以下である。上記範囲とすることにより、安定性の高い錯体を得ることができるため好ましい。
{発光強度}
本発明の有機金属錯体(1)は、該錯体の10−5Mのトルエン溶液の波長400〜550nmの範囲における最大発光強度が30以上であることが好ましい。このような発光強度を示す錯体は発光効率が高く、このような錯体を用いて作製された有機電界発光素子は、発光効率が高く非常に有用である。
なお、有機金属錯体(1)の発光強度は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
{具体例}
以下に、本発明の有機金属錯体(1)の具体例を示すが、本発明の有機金属錯体(1)は、以下の例示に限定されるものではない。
Figure 2012006878
Figure 2012006878
Figure 2012006878
Figure 2012006878
{合成方法}
本発明の上記式(1)で表される有機金属錯体の合成方法としては、以下のような方法を用いることができる。
例えば、下記タイプ1の配位子を用いるものに関しては、既知の方法(置換芳香族アルデヒド類と芳香族アミン類をアンモニウム塩存在下で加熱攪拌するなどの方法)によるイミダゾール環を形成後、必要に応じてフェニルボロン酸誘導体などの鈴木カップリングなどにより、配位子であるフェニル−イミダゾール系誘導体である配位子を合成する。(ここで、Xは任意の置換基であり、Xをさらに芳香族基に誘導する場合は、Xは臭素などのハロゲンなどを用いることが好ましい。また、配位子として下記タイプ2のものを用いる場合、こちらも既知の方法により、フェナントリジン環のアミノ化、さらに縮合イミダゾール環形成を経て配位子を形成できる。さらにフェニル−イミダゾール系誘導体である配位子をグリセリンなどの溶媒中で、Ir(acac)(酢酸イリジウム)、IrCl水和物などと200〜250℃で加熱する方法などにより合成することができる。
IrClなどとの反応においては配位子4つとIr原子2個、Cl2個からなるいわゆる二核錯体を経由することもしられており、二核錯体で一旦単離した後、異種配位子との反応により、配位子が3つ同一でない錯体を合成してもよいし、3つ同一のものとしてもよい。
精製方法等は通常公知の方法を用いることができる。
Figure 2012006878
Figure 2012006878
{用途}
本発明の有機金属錯体は、有機電界発光素子に用いられる材料、すなわち有機電界発光素子材料として好適に使用可能であり、有機電界発光素子やその他の発光素子等の発光材料としても好適に使用可能である。
[有機金属錯体含有組成物]
本発明の有機金属錯体(1)は、溶剤溶解性に優れることから、溶剤とともに使用されることが好ましい。以下に、本発明の有機金属錯体(1)と溶剤とを含有する本発明の有機金属錯体含有組成物について説明する。
本発明の有機金属錯体含有組成物は、上述の本発明の有機金属錯体(1)および溶剤を含有する。
本発明の有機金属錯体含有組成物は通常湿式成膜法で層や膜を形成するために用いられ、特に有機電界発光素子の有機層を形成するために用いられることが好ましい。該有機層は、特に発光層であることが好ましい。
{有機金属錯体(1)}
該有機金属錯体含有組成物における本発明の有機金属錯体(1)の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、通常99.99重量%以下、好ましくは99.9重量%以下である。組成物中の有機金属錯体(1)の含有量をこの範囲とすることにより、有機電界発光素子において隣接する層(例えば、正孔輸送層や正孔阻止層)から発光層へ効率よく、正孔や電子の注入が行われ、駆動電圧を低減することができる。尚、本発明の有機金属錯体(1)は、本発明の有機金属錯体含有組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
{溶剤}
本発明の有機金属錯体含有組成物に含有される溶剤は、湿式成膜により有機金属錯体(1)を含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分である。
該溶剤は、溶質である本発明の有機金属錯体(1)や後述の電荷輸送性化合物が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、好ましい溶剤としては以下のものが挙げられる。
例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル類、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類である。
溶剤の沸点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、特に好ましくは200℃以上である。この範囲を下回ると、湿式成膜時において、組成物からの溶剤蒸発により、成膜安定性が低下する可能性がある。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが好ましい。このため、溶剤の沸点は、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
これらの溶剤は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
本発明の有機金属錯体含有組成物において、溶剤の含有量は、組成物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、より好ましくは50重量部以上、特に好ましくは80重量部以上、また、好ましくは99.99重量部以下、より好ましくは99.8重量部以下、特に好ましくは99.5重量部以下である。溶剤の含有量がこの下限を下回ると、組成物の粘性が高くなりすぎ、成膜作業性が低下する可能性がある。一方、この上限を上回ると、成膜後、溶剤を除去して得られる膜の厚みが稼げなくなるため、成膜が困難となる傾向がある。
{電荷輸送性化合物}
本発明の有機金属錯体含有組成物を例えば有機電界発光素子用に用いる場合には、上述の有機金属錯体や溶剤の他、有機電界発光素子、特に発光層に用いられる電荷輸送性化合物を含有することができる。
本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて、有機電界発光素子の発光層を形成する場合には、本発明の有機金属錯体(1)をドーパント材料とし、電荷輸送性化合物をホスト材料として含むことが好ましい。
本発明の有機金属錯体含有組成物が含有し得る他の電荷輸送性化合物としては、従来有機電界発光素子用材料として用いられているものを使用することができる。例えば、ピリジン、カルバゾール、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クリセン、ナフタセン、フェナントレン、コロネン、フルオランテン、ベンゾフェナントレン、フルオレン、アセトナフトフルオランテン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼンおよびそれらの誘導体、キナクリドン誘導体、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン、アリールアミノ基が置換された縮合芳香族環化合物、アリールアミノ基が置換されたスチリル誘導体等が挙げられる。
その他、以下に挙げる各化合物も、好適に使用することができる。
Figure 2012006878
Figure 2012006878
Figure 2012006878
Figure 2012006878
Figure 2012006878
これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
本発明の有機金属錯体含有組成物中の電荷輸送性化合物の含有量は、該組成物を100重量部とすると、通常1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
また、有機金属錯体含有組成物中の電荷輸送性化合物の含有量は、有機金属錯体含有組成物中の本発明の有機金属錯体(1)に対して、通常50重量%以下、特に30重量%以下で、通常0.1重量%以上、特に0.5重量%以上であることが好ましい。
{他の成分}
本発明の有機金属錯体含有組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の成分を含有していてもよい。
例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有していてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
また、本発明の有機金属錯体含有組成物は成膜性の向上を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、陽極および陰極と、該陽極と該陰極との間に有機層を有し、該有機層のうちの少なくとも一層が、上記本発明の有機金属錯体(1)を含有する発光層であることを特徴とする。該有機層としては、以下詳述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層などが挙げられる。
本発明の有機電界発光素子において、発光層は、前述の有機金属錯体含有組成物を用いて湿式成膜法で形成された層であることが好ましく、また、この発光層に接して、架橋性化合物を架橋して形成した正孔輸送層を有することが、正孔輸送層と発光層の機能を、共に十分に発揮させる上で好ましい。すなわち架橋させることで、発光層の湿式成膜時に、正孔輸送層が消失あるいは一部溶解して機能損失することを防ぐことができる。また、発光層を構成する材料が、正孔輸送層にしっかり結合された形になり、両層を構成する材料がよく親和し、高い電荷注入効率が実現される点からも好ましい。
以下に、本発明の有機電界発光素子の層構成およびその一般的形成方法等について、図1を参照にして説明する。
図1は本発明の有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
{基板}
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
{陽極}
陽極2は発光層側の層(正孔注入層3など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
{正孔注入層}
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層3を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物および溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのものおよび芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種または2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種または2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2012006878
(式(I)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2012006878
(上記各式中、Ar〜Ar16は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R31およびR32は、それぞれ独立して、水素原子または任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基および芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
31およびR32が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種または2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましい。
成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
成膜後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブンおよびホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種または2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合はそれぞれ独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。
蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。
蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
{正孔輸送層}
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層を省いた構成であってもよい。
本発明に係る正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、ArまたはArが異なっているものであってもよい。
Figure 2012006878
(式(II)中、ArおよびArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の基およびこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、ArおよびArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)およびフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
ArおよびArにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2012006878
(式(III−1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。tおよびsは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。tまたはsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRまたはRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2012006878
(式(III−2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、上記式(III−1)におけるR、Rb、RまたはRと同義である。rおよびuは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表す。rまたはuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRおよびRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRまたはR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環または6員環を構成する原子または原子群を表す。)
Xの具体例としては、酸素原子、置換基を有していてもよいホウ素原子、置換基を有していてもよい窒素原子、置換基を有していてもよいケイ素原子、置換基を有していてもよいリン原子、置換基を有していてもよいイオウ原子、置換基を有していてもよい炭素原子またはこれらが結合してなる基が挙げられる。
また、ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)および/または下記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2012006878
(式(III−3)中、Ar〜Arは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。vおよびwは、それぞれ独立に0または1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、ArおよびArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例およびポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖または側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接または連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層4を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解または分散させた正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤および重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱および/または光などの電磁エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。
加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの電磁エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の電磁エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱および光などの電磁エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
{発光層}
正孔注入層3の上、または正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
<発光層の材料>
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよいが、本発明の有機電界発光素子においては、この発光材料として有機金属錯体(1)を用いる。
特に、本発明の有機電界発光素子は、その発光層が、本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて湿式成膜法で形成されることが好ましい。
更に、発光層5は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層5を形成する場合は、低分子量の材料(分子量通常10000以下、好ましくは5000以下)を使用することが好ましい。
<発光層の形成>
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、発光層に用いる材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物(本発明の有機金属錯体(1)を含む場合は本発明の有機金属錯体含有組成物)を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層5を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、上記本発明の有機金属錯体含有組成物に含有される溶剤として説明したものと同様である。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、電荷輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層5の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層5の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
{正孔阻止層}
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層6の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層6の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
なお、正孔阻止層にかえて、正孔緩和層を設けてもよい。
{電子輸送層}
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極9または電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層7の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子輸送層7の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層7の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
{電子注入層}
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率良く発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。
電子注入層の形成材料としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化リチウム(LiO)、炭酸セシウム(II)(CsCO)等が挙げられる(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。この場合、電子注入層8の膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子注入層8の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
{陰極}
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8または発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極9の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
陰極9の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極9を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
{その他の層}
本発明の有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層3または正孔輸送層4と発光層5との間に設けられ、発光層5から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層5内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層5を本発明の有機金属錯体含有組成物を用いて湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図1の層構成であれば、基板1上に他の構成要素を陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V2O5)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
[有機EL表示装置]
本発明の有機EL表示装置は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機EL表示装置を形成することができる。
[有機EL照明]
本発明の有機EL照明は、上述の本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の
実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実
施できる。
〔イリジウム錯体の合成例〕
[合成例1:イリジウム錯体D−1の合成]
<4−n−ヘキシルフェニルボロン酸の合成>
Figure 2012006878
Ar気流下、p−ブロモヘキシルベンゼン99.8g(0.414mol)と脱水THF(テトラヒドロフラン)2400mLを仕込んだ。−70℃付近まで冷却後、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液300mL(0.501mol)を内温−73〜−70℃で滴下し、同温度下で1.5時間撹拌した。原料の消失を確認した後、同温度下でトリメトキシボラン128.2g(1.23mol)を添加した。約2時間撹拌した後、6N塩酸800mLを滴下し、室温まで昇温、終夜撹拌した。分液、酢酸エチル抽出を行い、硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去した。残渣にクロロホルムを添加した後、結晶を濾過した。溶媒を留去し、4−n−ヘキシルフェニルボロン酸88.8g(0.431mol)を得た。
<中間体1の合成>
Figure 2012006878
アルゴン置換した300mL四つ口フラスコに40%グリオキサール23.9g(165mmol,2.00eq.)と、メタノール150mLを仕込み、氷浴で内温0℃に冷却した。2,6−ジメチルアニリン10.0g(82.5mmol,1.00eq.)を反応液に滴下し、氷浴をはずして、室温で20時間攪拌した。反応液に3−ブロモ−4−フルオロベンズアルデヒド33.5g(165mmol,2.00eq.)と、塩化アンモニウム8.83g(165mmol,2.00eq.)を加え、1時間還流した。還流状態で85%リン酸23.8g(206mmol,2.50eq.)を10分間かけ滴下し、24時間還流した。その後放冷し、反応液を氷が入った水酸化ナトリウム水溶液に加えアルカリ性とした。ここへ酢酸エチルを加えて分液した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、濃縮した。残渣をヘプタン/酢酸エチル=3/1に溶解させ、シリカゲルカラム精製し(溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=3/1〜1/1)、褐色ろう状の中間体1を2.48g(7.18mmol,収率8.71%)得た。
<中間体2の合成>
Figure 2012006878
100mL四つ口フラスコに4−ヘキシルフェニルボロン酸2.96g(14.4mmol,2.00eq.)と、中間体1 2.48g(0.56mmol)を加え、アルゴン置換、脱気した。ここへ特級トルエン38.0mL、特級エタノール21.0mLと2M炭酸ナトリウム水溶液7.20mL(14.4mmol,2.00eq.)を加え、30分間アルゴンバブリングした。アルゴン気流下でPd(PhP)415mg(0.36mmol,0.05eq.)を加え、内温75℃で3時間撹拌した。放冷後、反応液に水30mLとトルエン30mLを加えてセライト濾過した。濾液を分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過した。濾液をシリカゲル50gでショートカラムをして原点物質を除去した。濾液を濃縮、乾固し、4.30gの褐色オイルを得た。褐色オイルをシリカゲルカラム精製(溶媒:ヘプタン/酢酸エチル=4/1)し、茶色オイル2.15g(5.04mmol,収率70.2%)を中間体2として得た。
<イリジウム錯体D−1の合成>
Figure 2012006878
アルゴン置換した試験管に中間体2 2.14g(5.03mmol,6.00eq.)とIr(acac)(酢酸イリジウム)410mg(0.84mmol,1.00eq.)を仕込んだ。内温240℃で5時間、内温260℃で6時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー上配位子より非極性側に新たなスポットが出現していたので放冷した。タール状の反応液をクロロホルムで均一にしてフロリジール10gに通液して不溶物を除去した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製(溶媒:ヘプタン/クロロホルム=1/1)し、淡黄色結晶250mg(0.17mmol,収率20.3%)のイリジウム錯体D−1を得た。MALDI TOF MSで分子量1472.31のピークを確認した。
[合成例2:イリジウム錯体D−2の合成]
<中間体3の合成>
Figure 2012006878
2,6−ジメチル−4−ブロモアニリン192.0g(0.96mol)とメタノール1.9Lを仕込んだ。ここへ40%グリオキザール水溶液108mLを添加した後、室温で終夜撹拌を行った。次いで、トリフルオロメチルベンズアルデヒド331.4g(1.9mol)と塩化アンモニウム101.7g(1.9mol)を添加し、昇温して、約2時間還流した。室温まで冷却後、リン酸133mLを添加し、昇温して、終夜撹拌した。冷却後、濃縮し、メタノールを留去した。これを氷水1kgに注加し、28%水酸化ナトリウム水溶液でpH11に調整した。析出結晶を濾過した後、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、淡褐色固体の中間体3を35.2g(収率9.3%)得た。
<中間体4の合成>
Figure 2012006878
中間体335.0g(88.5mmol)と、ヘキシルベンゼンボロン酸36.7g(178mmol)を仕込み、容器内を脱気、Ar置換した。ここへトルエン480mL、エタノール260mL、および2M炭酸ナトリウム水溶液89mLを加え、30分間アルゴンでバブリングした。アルゴンを流しながらPd(PPh(トリフェニルホスフィンパラジウム)5.1g(4.4mmol)を添加し、昇温して、約3時間還流した。室温まで冷却後反応液を分液し、有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。ショートカラムにてPd残渣を除去し、粗体69.5gを得た。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体の中間体4を34.9g(収率82.7%)得た。
<イリジウム錯体D−2の合成>
Figure 2012006878
中間体4が1.64.g(3.43mmol,6.00eq.)が入った試験管を脱気、アルゴン置換し、Ir(acac)280mg(0.57mmol,1.00eq.)を仕込んだ。内温250℃で13時間攪拌加熱し、放冷した。タール状の反応液をクロロホルムで均一としてフロリジール10gに通液して不溶物を除去した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製し、淡黄色結晶105mg(0.065mmol,収率11.3%)のイリジウム錯体D−2を得た。MALDI TOF MSで分子量1622.23のピークを確認した。
[合成例3:イリジウム錯体D−3の合成]
Figure 2012006878
既知の方法により合成した中間体5が2.09g(5.15mmol,6.00eq.)入った試験管を脱気、アルゴン置換し、Ir(acac)420mg(0.86mmol,1.00eq.)を仕込み、内温250℃で10時間攪拌した。その後、放冷してタール状の反応液をクロロホルムで均一としてフロリジール10gに通液して不溶物を除去し、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製し、イリジウム錯体D−3を淡黄色結晶190mg(0.14mmol,収率15.7%)で得た。MALDI TOF MSで分子量1409.77のピークを確認した。
[合成例4:イリジウム錯体D−4の合成]
Figure 2012006878
トリフルオロメチルベンズアルデヒドの代りにベンズアルデヒドを用いたこと以外は、中間体3,4の合成と同様にして合成し、中間体6が7.01g(17.2mmol,6.00eq.)入った試験管を脱気、アルゴン置換し、Ir(acac)1.40g(2.86mmol,1.00eq.)を仕込んだ。内温250℃で10時間攪拌した。タール状の反応液をクロロホルムで均一としてフロリジール50gに通液して不溶物を除去した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製し、茶色結晶のイリジウム錯体D−4を1.80g(1.27mmol,収率44.5%)得た。このものは非常に安定性が悪く、溶液状態で室温大気化に放置すると徐々に分解することがわかった。
[イリジウム錯体の溶液発光スペクトルの発光強度の測定]
合成例1〜4で得られたイリジウム錯体D−1〜D−4と、下記構造式のイリジウム錯体D−5について、溶液発光スペクトルの発光強度を以下の方法で測定し、結果を表1に示した。
Figure 2012006878
<溶液発光スペクトルの発光強度の測定方法>
イリジウム錯体を正確に秤量し、トルエンに溶解させて1×10−5mol/Lのイリジウム錯体のトルエン溶液を調製した。
得られた溶液につき、Nを用いて10分間バブリングした後、日立製作所社製分光光度計F4500を用いて、25℃で測定した。
測定にあたり、まず励起スペクトルを測定し、300〜400nmにおける極大発光波長を見出し、その波長を励起波長とした。また、測定溶液を更に10分間Nバブリングしても、測定値に変化が無いことを確認した。
Figure 2012006878
〔有機電界発光素子の作成〕
[実施例1]
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を70nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、正孔注入層3を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層3の材料として、下記式に示す芳香族アミノ基を有する高分子化合物PB−1(重量平均分子量:52000,数平均分子量:32500))と下記に示す構造式の電子受容性化合物A−2とを用い、下記組成の正孔注入層形成用組成物を用いて以下の成膜条件でスピンコートした。
Figure 2012006878
<正孔注入層形成用組成物>
溶剤:安息香酸エチル
PB−1濃度:2.0重量%
A−2濃度:0.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数:2250rpm
スピナ回転時間:30秒
スピンコート雰囲気:大気下,25℃
乾燥条件:230℃×60分
上記のスピンコートにより膜厚40nmの均一な薄膜が形成された。
続いて、正孔輸送層4を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔輸送層4の材料として、下記に示す構造式の電荷輸送材料PB−2を、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを用い、下記組成の正孔輸送層形成用組成物を調製し、この正孔輸送層形成用組成物を用いて以下の成膜条件でスピンコートした。
Figure 2012006878
<正孔輸送層形成用組成物>
溶剤:シクロヘキシルベンゼン
PB−2濃度:1.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数:1500rpm
スピナ回転時間:120秒
スピンコート雰囲気:乾燥窒素中,25℃
乾燥条件:230℃×60分(乾燥窒素下)
上記のスピンコートにより膜厚20nmの均一な薄膜が形成された。
次に、発光層を形成するにあたり、電荷輸送性化合物として、以下に示す化合物HO−1、並びに、発光材料として、以下に示すイリジウム錯体D−1を用いて下記に示す発光層形成用組成物(本発明の有機金属錯体含有組成物)を調製し、以下に示す成膜条件で正孔輸送層4上にスピンコートして膜厚40nmで発光層5を得た。
Figure 2012006878
<発光層形成用組成物>
溶剤:シクロヘキシルベンゼン
HO−1濃度:5重量%
D−1濃度:0.5重量%
<成膜条件>
スピナ回転数:2000rpm
スピナ回転時間:120秒
スピンコート雰囲気:乾燥窒素中、25℃
乾燥条件:130℃×60分(減圧下)
次に、正孔阻止層6として下記に示すピリジン誘導体HB−1をるつぼ温度251〜252℃として、蒸着速度0.08〜0.12nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は2.1〜2.4×10−4Pa(約1.6〜1.8×10−6Torr)であった。
Figure 2012006878
次に、正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体ET−1を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体ET−1のるつぼ温度は222〜239℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は1.7〜2.0×10−4Pa(約1.3〜1.5×10−6Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2012006878
上記の正孔阻止層6および電子輸送層7を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.3×10−6Torr(約3.0×10−4Pa)以下になるまで排気した。
次に、電子輸送層7の上に、電子注入層8として、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.015nm/秒、真空度2.5×10−6Torr(約3.3×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、電子注入層8の上に、陰極9として、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜3.0nm/秒、真空度3.3〜7.5×10−6Torr(約4.4〜10.0×10−4Pa)で成膜して膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極9を完成させた。
以上の電子注入層8、陰極9の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
この素子の発光スペクトルの極大波長は603nmであり、イリジウム錯体D−1からのものと同定された。
[実施例2]
実施例1において、発光層を形成する際に用いたイリジウム錯体D−1を、下記のイリジウム錯体D−2に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作成した。
Figure 2012006878
[比較例1〜3]
実施例1において、発光層を形成する際に用いたイリジウム錯体D−1を、それぞれ下記のイリジウム錯体D−3〜D−5に変更した以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ素子を作成した。
Figure 2012006878
実施例1、2および比較例1〜3において作製した有機電界発光素子の素子効率を、用いたイリジウム錯体D−1〜5の溶液発光スペクトルのPL強度と共に表2に示す。
なお、有機電界発光素子の素子効率は、作製した素子に10mAの電流を流したときの電流効率(cd/A)の値であり、実施例1の素子の素子効率を1とした相対値で示す。
Figure 2012006878
表2に示す如く、本発明の有機金属錯体(1)は溶液発光スペクトル強度が強く、この有機金属錯体(1)を含む発光層を有する有機電界発光素子は発光効率が高い。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される有機金属錯体。
    Figure 2012006878
    (上記一般式(1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R〜Rは、それぞれ近接するR〜Rと結合して環を形成していてもよい。ただし、R〜Rのうち少なくとも1つは、炭素数4以上のアルキル基またはこれを有する置換基である。
    また、R〜Rのいずれか1つは、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、またはこれらのうちいずれかを含む基である。
    Lは1価の2座配位子を表し、mは1〜3の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)において、R〜Rにおける置換基を有していてもよい炭化水素基が、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である、請求項1に記載の有機金属錯体。
  3. 前記一般式(1)において、m=3である、請求項1または2に記載の有機金属錯体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなる、発光材料。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなる、有機電界発光素子材料。
  6. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体および溶剤を含有する、有機金属錯体含有組成物。
  7. 陽極および陰極と、該陽極と該陰極との間に有機層を有する有機電界発光素子において、該有機層のうち少なくとも一層が、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有する発光層である、有機電界発光素子。
  8. 前記発光層が、請求項6に記載の有機金属錯体含有組成物を用いて形成された層である、請求項7に記載の有機電界発光素子。
  9. 前記有機層が、架橋性化合物を架橋して形成した正孔輸送層を含み、該正孔輸送層に接して前記発光層を有する、請求項7または8に記載の有機電界発光素子。
  10. 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL表示装置。
  11. 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を含むことを特徴とする、有機EL照明。
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