以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
実施形態1のアンテナ付き竪樋は、図6に示されるように、建物の外壁に沿って配設された竪樋の上下方向の一部が取り除かれ、その取り除かれた部分に取り付けられるものである。なお以下、竪樋の一部を切除した後の上流側に位置する竪樋を「上流側の竪樋11」といい、竪樋の一部を切除した後の下流側に位置する竪樋を「下流側の竪樋12」という。
このアンテナ付き竪樋は、例えばテレビ側ケーブル13に接続されることで、テレビ用のアンテナとして用いられる。アンテナ付き竪樋は、竪樋の一部として用いられるものであり、その内部を雨水が流通する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図1に示されるように、その側壁32にアンテナ2を有する樋体3と、樋体3の側壁32から距離をあけて樋体3内に設けられる内筒体31とを備えている。またアンテナ付き竪樋は、上流側の竪樋から流下した雨水を樋体3の側壁32から距離をあけた内部に集めるための集水体4をさらに備えている。
アンテナ付き竪樋は、雨水を樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に流すことで雨水が樋体3の側壁32の内面に伝うのを防ぐ雨水中流し手段1を備えている。本実施形態の雨水中流し手段1は、集水体4と、樋体3内に配置され且つ当該樋体3の上下方向の略全長に亘って形成された内筒体31とを備えている。
アンテナ2は、樋体3の側壁32に設けられている。アンテナ2は、樋体3の側壁32に積層又は当該側壁32の肉厚内に埋設されて取り付けられる。本実施形態のアンテナ2は、図3に示されるように、樋体3の側壁32に沿うよう当該樋体3の側壁32に外側から重ねられて、取付部材14により固定される。アンテナ2は、導電性を有する金属板材20(金属箔も含まれる)により構成されており、図4に示されるように、縦長矩形状の金属板材20を短辺方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。
アンテナ2は、上下方向に複数のスロット21が形成されたスロットアンテナ2により構成されている。アンテナ2は、このスロット21が上下方向に複数並設されており(本実施形態では2箇所)、隣接するスロット21同士がスリット状の細溝22で接続されている。アンテナ2は、各スロット21が周方向の一部に位置している。各スロット21は、金属板材20の厚み方向に貫通する開口により構成されており、一対の三角形の頂点同士を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。各スロット21は、上下方向の略中央部分に給電部23を有している。本実施形態の給電部23は、周方向に対向する三角状片24の頂点部分により構成されている。
なお給電部23には、同軸ケーブル(図示せず)が電気的に接続される。同軸ケーブルは、中央の線が一方の三角状片24に接続され且つ外側の網線が他方の三角状片24に接続される。同軸ケーブルは、アンテナ2により受信した電波を、室内側のテレビ等に送るための伝送路となる。
本実施形態のアンテナ2は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部25と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部26とを有している。
第一の受信部25は、スロット21及び当該スロット21の開口周縁部により構成される。第二の受信部26は、このスロット21に上下方向に隣接する周方向に連続した金属板材20により構成される。
第一の受信部25を構成するスロット21の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。また、第二の受信部26の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。
またアンテナ2は、図5に示されるように、周方向の両端間に、上下方向の全長に亘って隙間27が形成される。この隙間27は、スロット21に対向する位置に設けられ、すなわちアンテナ2の円弧中心を挟んで、スロット21とは対極の位置となるように形成される。
またアンテナ2は、スロット21の背部に抜き部28が形成されている。抜き部28は、金属板材20が存在しない部分であって、正面から見てスロット21と重なる位置に設けられている。抜き部28は、上下長さがスロット21の上下長さよりも長く、且つ周方向長さがスロット21の周方向長さよりも長く形成されている。
このような構成のアンテナ2は、図3に示されるように、湾曲して内向する裏面が、樋体3の側壁32の外面に当接するようにして取り付けられる。アンテナ2は、取付部材14により固定される。
樋体3は、筒状をしており、非導電性の合成樹脂材料により形成されている。本実施形態の樋体3は、円筒状の丸樋により構成されている。樋体3は、図1に示されるように、上方に開口する上開口300と、下方に開口する下開口301と、上開口300及び下開口301を連通する連通路302とを備えている。この連通路302内には、樋体3よりも径が小さく且つ樋体3の側壁32から距離をあけて配設された内筒体31が収容配置されている。
内筒体31は、断面円形状に形成されており、樋体3の長手方向の略全長に亘って形成されている。内筒体31は、上下方向に開口する筒状に形成されており、その内部に、雨水の流通する流通路310を有している。内筒体31は、上方の開口が上流側の竪樋11に連通し、下方の開口が下流側の竪樋12に連通する。内筒体31は、図1に示されるように、その上端が集水体4を介して後述の上接続部6に固定され、その下端が下接続部7に固定されている。
内筒体31は、図2に示されるように、樋体3と同心状に設けられている。内筒体31は、流通路の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じか、又はそれよりも大きくなるよう設けられている。通常、一般的な竪樋は外径がφ45mm(内径がφ42.7mm)である。そこで本実施形態の内筒体31は、その外径がφ45mm(内径がφ42.7mm)のパイプにより構成されている。これにより本実施形態では、内筒体31の流通路の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じになるよう形成されている。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図1に示されるように、上流側の竪樋11から流出した雨水を受ける集水体4を有している。この集水体4は、上流側の竪樋11から流出した雨水を受けて、樋体3内の内筒体31に向けて集水する。集水体4は、上下方向に連通し且つ下方ほど流路の断面積が小さくなるよう形成された集水部41と、この集水部41の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部42とにより構成されている。集水体4は、集水部41と下縁部42とが、射出成形や注型成形などにより一体成形されている。
集水部41は、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集める。集水部41は、流入側の開口の内径が上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、これにより当該上流側の竪樋11の下端に外嵌される。
下縁部42は、内筒体31の上端の開口内に嵌め込まれるような大きさに形成されており、これにより内筒体31の上端の開口に内嵌される。これにより集水体4は、内筒体31の上端を樋体3の上端に固定すると共に、内筒体31に連通接続されている。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、樋体3の外側を覆うように当該樋体3と同心状に設けられた外筒部9を備えている。また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、外筒部9の上端に設けられて上流側の竪樋11に接続される上接続部6と、外筒部9の下端に設けられて下流側の竪樋12に接続される下接続部7とをさらに備えている。
外筒部9は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料により構成されている。外筒部9は、その内径が、樋体3の外径よりも大径に形成されており、樋体3及びアンテナ2の外側を覆うよう構成されている。
上接続部6は、外筒部9の上端と樋体3の上端とを相互に位置決めし、これにより両者を保持する。上接続部6は、上下方向に貫通する上貫通孔61を備えている。上貫通孔61は、その内径が、上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、当該上流側の竪樋11が遊びを持って挿入されるよう構成されている。上接続部6は、その内部に集水体4が配置されている。
また上接続部6は、図3に示されるように、アンテナ2に接続された同軸ケーブルに電気的に接続された接続具62を備えている。接続具62は、上接続部6から露出するよう設けられている。この接続具62は、アンテナ2により受信した信号を、同軸ケーブルを介してテレビ側ケーブル13に電気的に接続するために用いられる。
下接続部7は、外筒部9の下端と樋体3の下端とを相互に位置決めし、これにより両者を保持する。また下接続部7は、内筒体31の下端を固定する。下接続部7は、その中央部分に、上下方向に貫通し且つ下流側の竪樋12よりも小径に形成された下貫通孔71が穿設されている。この下貫通孔71は、内筒体31に連通接続されている。下接続部7は、下流側の竪樋12の上端に載置されるよう構成されている。これによりアンテナ付き竪樋は、下流側の竪樋12の上端に支持される。
以上のような構成の本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図6に示されるように、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部として設置される。
外壁に沿って設置された竪樋は、軒樋15の集水器16に第1のエルボ17と呼び樋18を介して連通した第2のエルボ19に連通接続されている。竪樋は、一部が切除されて、上流側の竪樋11と、下流側の竪樋12とに分離している。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、上接続部6が上流側の竪樋11の下端に連通接続され、下接続部7が下流側の竪樋12の上端に連通接続される。なお、上流側の竪樋11及び下流側の竪樋12は、その端部が控え具80により外壁に固定されている。また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、非導電性樹脂により形成された控え具81により固定されている。このように、設置後のアンテナ付き竪樋は、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部を構成する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋を設置するには、施工者は、上接続部6の上貫通孔61に上流側の竪樋11の下端を挿入した上で、下接続部7を下流側の竪樋12の上端に載置する。この後、アンテナ付き竪樋を樋体3の中心軸回りに回動して、アンテナ2が放送電波を最も強く受信できるような向きに配置する。この状態で、当該アンテナ付き竪樋を控え具81により固定する。
なお本実施形態のアンテナ付き竪樋は、建物の壁面に沿って新たに竪樋を配設する場合はもちろんのこと、既に設置されている竪樋に対しても、簡単にアンテナ付き竪樋を設置することができる。
このような構造において、上流側の竪樋11に雨水が流通すると、雨水は、上接続部6の上貫通孔61を通過して集水体4に流下し、その後、内筒体31内部を流通する。次いで雨水は、内筒体31内部を流下し、下接続部7の下貫通孔71を通過して下流側の竪樋12に流入する。
このとき、雨水が流通する内筒体31は、樋体3の側壁32とは一定距離離れた樋体3の中央に設けられているため、アンテナ2のスロット21の直ぐ内側の側壁32の内面に水が流通しない。すなわち、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、内部を流下する雨水により、アンテナ2のスロット21を覆うことがないから、アンテナ性能に悪影響を受けるのを低減させることができる。
ところで、実施形態1において、仮に樋体3内に内筒体31が設けられていない場合、当該樋体3内を流通する雨水は、樋体3の側壁32の内面を伝って流下する。特に本実施形態のように樋体3が丸樋の場合、雨水は、軒樋15に接続された集水器16を通過することで、樋体3の側壁32の内面を螺旋状に伝って流れ落ちる。このため雨水は、流量が多い場合、樋体3が丸樋であっても角樋であっても、側壁32の内面の略全周に亘って水の層を形成する。この水の層はアンテナ2のスロット21を樋体3内から覆ってしまう。
ここで本実施形態のアンテナ2は、スロット21の存在により電波を受信するものであり、具体的に、金属板材20を貫通する開口と、この開口周縁部とを利用して電波を受信する。また空気の比誘電率がおよそ1であるのに対し、水の比誘電率はおよそ80である。このため、仮にスロット21が雨水の層に覆われると、樋体3の側壁32を介しているとはいえ、受信性能である利得が減衰してしまう。
この点、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、内筒体31と集水部41とを備える雨水中流し手段1を有しているため、樋体3の側壁32の内面に、雨水が伝って流下しないようにすることができる。これにより、樋体3内を流通した雨水の排水性を確保しながら、アンテナ性能に悪影響を受けるのを極力防ぐことができる。
しかも本実施形態のアンテナ付き竪樋は、内筒体31の流通路の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じか又はそれよりも大きくなるよう形成されている。このため本実施形態のアンテナ付き竪樋は、樋体3内の一部にのみ雨水が流通する構造であっても、上流側の竪樋11から流下する雨水の排水性能が低下するのを防ぐことができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、内筒体31が、樋体3の長手方向の略全長に亘って設けられたものであるため、長手方向の全長に亘って、雨水をアンテナ2のスロット21が位置する側から離れた位置に流すことができる。
次に、実施形態2について図7に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態2のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にアンテナ2を有する筒状の樋体3と、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を流すための雨水中流し手段1とを備えている。本実施形態の雨水中流し手段1も、実施形態1と同様、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集めるための集水部41と、樋体3よりも径が小さく側壁32から距離をあけて樋体3内に設けられた内筒体31とを備えている。なお、実施形態2のアンテナ付き竪樋は、集水体4の取付位置が実施形態3とは異なっており、その他の構造は同じである。
本実施形態の集水体4は、実施形態1と同様、上流側の竪樋11から流出した雨水を受け、その雨水を内筒体31の流通路に向けて集水するための部材である。集水体4は、図7(a)に示されるように、上下方向に連通し且つ下方ほど断面積が小さくなるよう形成された集水部41と、この集水部41の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部42とを備えている。
集水部41は、樋体3の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集める。集水部41は、その側壁32が下方ほど樋体3の中央に位置するよう漸次傾斜している。集水部41は、流入側の開口の内径が上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、これにより当該上流側の竪樋11の下端に外嵌される。下縁部42は、内筒体31の上端の開口内に嵌め込まれるような形状となっており、これにより内筒体31の上端の開口に内嵌される。
このような構成の集水体4は、集水部41がアンテナ2よりも上方に位置するよう配置されている。すなわち集水体4は、集水部41の下端がアンテナ2の上端と略同じ位置か又はそれよりも上方に位置するよう配置されている。なお図7中の点線ハッチング部分は、アンテナ2の存在する領域を示している。
ここで集水部41は、内筒体31よりも大径に形成されているうえに上方ほど漸次大径に形成されている。このため、実施形態1のアンテナ付き竪樋のように集水体4が配置されると、集水部41を流下する雨水がアンテナ2上端と近接してしまう(図7(b)の概略図参照)。
この点、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ2が、集水部41よりも下方に位置し、側方から見て集水部41とは重ならない位置に配置された構造となっているため、アンテナ2の上端部と雨水とが近接してしまうのを防ぐことができる。これにより本実施形態のアンテナ付き竪樋によれば、確実に雨水とアンテナ2とを一定距離以上離すことができ、アンテナ性能に悪影響を受けてしまうのを防ぐことができる。
次に、実施形態3について図8に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態3のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にアンテナ2を有する筒状の樋体3と、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を流すための雨水中流し手段1とを備えている。本実施形態の雨水中流し手段1は、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集めるための集水部41と、この集水部41の流出側の開口に連通接続された内筒体33とを備えている。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、内筒体33の構造が実施形態1の構造とは異なっている。なお内筒体33以外の構造は、実施形態1と同じである。
本実施形態の内筒体33は、短管により構成されており、その下端部が樋体3の上下方向の途中に位置している。内筒体33は、その下端部が、水平から傾斜した切断面で切断されており、これにより下端面が鋭角に傾斜している。特に本実施形態の内筒体33は、その傾斜面が、スロット21側に向くよう切断されており、つまりその下端が樋体3の側壁23から離れるようにして切断されている。内筒体33は、その上端が集水体4の下縁部42に嵌合されて連通接続されており、下端が自由端となっている。
アンテナ付き竪樋が竪樋に取り付けられた状態で、上流側の竪樋11から雨水が流出されると、雨水は、上貫通孔61を通過して集水体4の集水部41に流通し、次いで内筒体33に流入する。このとき、上流側の竪樋11を流通する雨水は、広がりながら螺旋状に流下する。
内筒体33に流入した雨水は、当該内筒体33の内周壁に沿って螺旋状に流下し、傾斜した下端面に到達する。雨水は、図8中の矢印のように、この鋭角傾斜した下端面を伝い、最下端の鋭角な先端から放水される。
樋体3内で放水された雨水は、線状に収斂した状態で樋体3内の断面略中央を流れ落ちる。この後、雨水は、樋体3の側壁32下部又は下接続部7で受けられ、下貫通孔71を介して下流側の竪樋12に流入する。
このように、内筒体33の下端が傾斜した構成によれば、雨水は、内筒体33内を螺旋状に流下しても、内筒体33から放出される際には、鋭角な先端から線状に収斂した状態で、一定方向に放出される。このため、内筒体33の傾斜した下端を樋体3内部の略中央に臨ませるよう内筒体33が配置されていると、雨水を樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に流すことができる。
次に、実施形態4について図9に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態4のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にアンテナ2を有する筒状の樋体3と、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を流すための雨水中流し手段1とを備えている。本実施形態の雨水中流し手段1は、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集めるための集水部41と、この集水部41の流出側の開口に設けられた鎖樋35とを備えている。
実施形態4のアンテナ付き竪樋は、内筒体34の構造及び鎖樋35が設けられている点で、実施形態1の構造とは異なっている。なおそれ以外の構造は、実施形態1と同じである。
内筒体34は、短管により構成されている。内筒体34は、下方の開口部内に、鎖樋35を引掛けるための係止部36を有している。係止部36は、平面視X字状に形成されたものであり、鎖樋35を引掛けて吊るすことができるよう構成されている。
鎖樋35は、内筒体34の下方の開口部内に設けられた係止部36に吊るされており、樋体3の側壁32から離間している。鎖樋35は、樋体3の水平断面の略中央に位置するよう配置されている。鎖樋35は、内筒体34を流下した雨水が、当該鎖樋35を伝って下方に流下する。
なお、本実施形態の鎖樋35の下端部は自由端となっているが、当該下端部は下接続体7に連結されていてもよい。
このような構成によれば、簡単な構成で確実に、樋体3内の側壁32から距離をあけて雨水を流下させることができる。
次に、実施形態5について図10に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態5のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にアンテナ2を有する筒状の樋体3と、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を流すための雨水中流し手段1とを備えている。本実施形態の雨水中流し手段1は、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に雨水を集めるための集水部51を有する集水体5と、集水部51により集められた雨水を放出する流出部38とを備えている。
集水体5は、上下方向に開口した集水部51と、この集水部51の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部52とを備えている。
集水部51は、上流側の竪樋から流出した雨水を、樋体3内の側壁32から距離をあけた内部に集める。集水部51は、上方に開口する上方開口部53と、下方に開口する下方開口部54と、上方開口部53と下方開口部54とを連設する斜面部55とを備えている。下方開口部54は、上方開口部53よりも開口面積が小さくなるよう形成されている。
斜面部55は、上方開口部53の下端から下方ほど樋体3の中央側に位置するよう傾斜している。斜面部55は、上方開口部53を通過して流入した雨水を、下方開口部54に向けて導水する。この斜面部55は、下方開口部54周りに放射状に並設された複数の仕切りリブ56を有している。
仕切りリブ56は、斜面部55の上面から上方に向けて突出している。仕切りリブ56は、下方開口部54の周縁から上方開口部53の側壁32に亘って連続して設けられている。仕切りリブ56は、斜面部55上の雨水が、横方向(つまり周方向)に移動するのを規制する。
仕切りリブ56は、斜面部55に着水した雨水を整流して、下方開口部54に向けてガイドする。
放出部38は、集水体5の集水部51の下方開口部54に連通接続される。具体的に放出部38は、筒状の短管により構成されており、集水体5の下縁部52に外嵌される。放出部38は、樋体3の側壁32から距離をあけた状態で、当該樋体3内部に収容配置されている。放出部38は、その下方側の開口が、樋体3の上下方向の途中に位置している。
このような構成のアンテナ付き竪樋に雨水が流通する場合につき説明する。
上流側の竪樋11内を流通する雨水は、螺旋状に流下しながら、上流側の竪樋11から放出される。雨水は、上流側の竪樋11から放出されると、螺旋状に拡がりながら落下し、集水体5の斜面部55に到達する。雨水は、周方向や径方向や重力方向への速度を有しているため、斜面部55上では乱流となって落下する。この後、雨水は、斜面部55により下方開口部54に向けて導水され、それと同時に仕切りリブ56により整流される。
整流された雨水は、下方開口部54を通過し、その後流出部38を介して、樋体3の内部に放出される。このとき、雨水は、整流されており、重力方向以外の速度はほとんど有していないため、樋体3の内部で広がりにくい。これにより雨水は、樋体3の側壁32に付着しにくく、樋体3内の側壁32から距離をあけた状態で落下する。
このような構成によれば、雨水を樋体3内の側壁32から距離をあけて流下させることができ、雨水を樋体3内に伝わせないで流下させることができる。これにより、排水性を確保しつつ、アンテナ性能に悪影響を受けるのを防ぐことができる。
なお、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、流出部38として短管が取り付けられていたが、集水体5の下縁部52を流出部38としてもよい。また、集水体5の下縁部52を設けずに、集水部51の下方開口部54を流出部38としてもよい。
以上、本発明のアンテナ付き竪樋を実施形態1〜5に基づいて説明した。実施形態1〜5のアンテナ付き竪樋は、外筒部9や上接続部6や下接続部7が設けられていたが、本発明のアンテナ付き竪樋においては、外筒部9や上接続部6や下接続部7が設けられていなくてもよい。
また実施形態1〜5のアンテナ付き竪樋は、アンテナ2がスロットアンテナ2により構成されていたが、本発明においてアンテナ2は、スロットアンテナ2に限定されない。
また実施形態1〜5のアンテナ付き竪樋は、集水部41,51の側面が、下方ほど樋体3の中央側に位置するよう傾斜していたが、図11のように、傾斜したものでなくてもよい。
また、実施形態1〜5のアンテナ付き竪樋は、集水体5が円筒状に形成されていたが、本発明においては、角筒状であってもよく、その形状は限定されない。