以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
実施形態1のアンテナ付き竪樋は、図7に示されるように、建物の外壁に沿って配設された竪樋の上下方向の一部が取り除かれ、その取り除かれた部分に取り付けられるものである。なお以下、竪樋の一部を切除した後の上流側に位置する竪樋を「上流側の竪樋11」といい、竪樋の一部を切除した後の下流側に位置する竪樋を「下流側の竪樋12」という。
このアンテナ付き竪樋は、例えばテレビ側ケーブル13に接続されることで、テレビ用のアンテナとして用いられる。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図1に示されるように、その側壁32にスロットアンテナ2を有する樋体3と、この樋体3内における水平断面の一部に雨水を流すための仕切り31とを備えている。また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、仕切り31により形成された流通路内に向けて雨水を集水する集水体4をさらに備えている。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、仕切り31と集水部4とにより、スロット21が位置する側とは反対側の樋体3の側壁32に雨水を流すための雨水片寄らせ手段1が構成される。
スロットアンテナ2は、樋体3の側壁32に設けられている。スロットアンテナ2は、樋体3の側壁32に積層又は当該側壁32の肉厚内に埋設されて取り付けられる。本実施形態のスロットアンテナ2は、図2に示されるように、樋体3の側壁32に沿うよう当該樋体3の側壁32に外側から重ねられて、取付部材14により固定される。スロットアンテナ2は、導電性を有する金属板材20(金属箔も含まれる)により構成されており、図3に示されるように、縦長矩形状の金属板材20を短辺方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。
スロットアンテナ2は、上下方向に複数のスロット21が形成されている(本実施形態では2箇所)。スロットアンテナ2は、隣接するスロット21同士がスリット状の細溝22で接続されている。スロットアンテナ2は、各スロット21が周方向の一部に位置している。各スロット21は、金属板材20の厚み方向に貫通する開口により構成されており、一対の三角形の頂点同士を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。各スロット21は、上下方向の略中央部分に給電部23を有している。本実施形態の給電部23は、周方向に対向する三角状片24の頂点部分により構成されている。
なお給電部23には、同軸ケーブル(図示せず)が電気的に接続される。同軸ケーブルは、中央の線が一方の三角状片24に接続され且つ外側の網線が他方の三角状片24に接続される。同軸ケーブルは、スロットアンテナ2により受信した電波を、室内側のテレビ等に送るための伝送路となる。
本実施形態のスロットアンテナ2は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部25と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部26とを有している。
第一の受信部25は、スロット21及び当該スロット21の開口周縁部により構成される。第二の受信部26は、このスロット21に上下方向に隣接する周方向に連続した金属板材20により構成される。
第一の受信部25を構成するスロット21の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。また、第二の受信部26の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。
またスロットアンテナ2は、図4に示されるように、周方向の両端間に、上下方向の全長に亘って隙間27が形成される。この隙間27は、スロット21に対向する位置に設けられ、すなわちスロットアンテナ2の円弧中心を挟んで、スロット21とは対極の位置となるように形成される。
またスロットアンテナ2は、スロット21の背部に抜き部28が形成されている。抜き部28は、金属板材20が存在しない部分であって、正面から見てスロット21と重なる位置に設けられている。抜き部28は、上下長さがスロット21の上下長さよりも長く、且つ周方向長さがスロット21の周方向長さよりも長く形成されている。
このような構成のスロットアンテナ2は、図2に示されるように、湾曲して内向する裏面が、樋体3の側壁32の外面に当接するようにして取り付けられる。これによりスロットアンテナ2は、樋体3の側壁の周方向の一部にスロット21が位置するよう配置される。この状態でスロットアンテナ2は、取付部材14により固定される。
樋体3は、筒状をしており、非導電性の合成樹脂材料により形成されている。本実施形態の樋体3は、円筒状の丸樋により構成されている。樋体3は、上方に開口する上開口(図示せず)と、下方に開口する下開口(図示せず)と、上開口及び下開口を連通する連通路34(図5参照)とを備えている。この連通路34には、当該連通路34の水平断面の一部にのみ雨水を流すための仕切り31が設けられている。
仕切り31は、図5に示されるように、樋体3の連通路34内を複数の領域に仕切るものである。仕切り31は、樋体3の水平断面において、スロットアンテナ2のスロット21の直ぐ内側に位置する第1の領域35と、スロットアンテナ2のスロット21から離れた箇所に位置する第2の領域36とに、樋体3内部を区画する。第2の領域36は、上流側の竪樋11と下流側の竪樋12とを連通する流通路を構成しており、雨水を上流側の竪樋11から下流側の竪樋12へと流通させる。
本実施形態の仕切り31は、第1の仕切部310及び第2の仕切部311を有しており、断面L字状に形成されている。また仕切り31は、図1に示されるように、樋体3の長手方向の略全長に亘って設けられている。本実施形態の仕切り31は、図5に示されるように、樋体3の側壁32の内面に連設されており、例えば押し出し成形により、樋体3に一体成形されている。本実施形態の仕切り31は、スロットアンテナ2の正面(スロット21の周方向の中央)と樋体3の中心とを通る直線A−Aに対し、対称には配置されていない。本実施形態の仕切り31は、スロットアンテナ2の正面から周方向の細溝22側にずれた位置と樋体3の中心とを通る直線B−Bに対し、対称となるよう配置されている。
したがって仕切り31は、仮に、単一のスロット21しか設けられていないスロットアンテナ29の場合、細溝22が設けられていないため、図6に示されるように、スロットアンテナ29の正面と樋体3の中心とを通る直線A−Aに対し、対称に配置される。
仕切り31は、第2の領域36の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じか、又はそれよりも大きくなるよう設けられている。通常、一般的な竪樋は外径がφ45mm(内径がφ42.7mm)であるから、その流路の断面積は約1432mm2である。そこで仕切り31は、樋体3(内径φ80mm)の中心をXY座標の原点に位置させた場合に、X軸方向に−10mm,Y軸方向に−10mmそれぞれずれた位置に設けられる。これにより、仕切り31に区画された図5中右上の第2の領域36は、断面積が約2148mm2に形成され、竪樋11の断面積よりも大きくなるよう形成されている。なお本実施形態の仕切り31は、仕切り31の頂点部分が、スロットアンテナ2の正面から細溝22側にずれた位置と樋体3の中心とを通る直線B−B上に位置するよう平行移動して配置箇所が決定される。
本実施形態の仕切り31は、第1の領域35を、スロットアンテナ2のスロット21の直ぐ内側の側壁32の内面に面するよう形成すると共に、第2の領域36を、スロット21とは反対側に形成された隙間27の直ぐ内側の側壁32の内面に面するよう形成する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図1に示されるように、上流側の竪樋11から流出した雨水を受ける集水体4を有している。この集水体4は、上流側の竪樋11から流出した雨水を受けて、樋体3内の第2の領域36に向けて集水するための部材である。集水体4は、上下方向に連通し且つ下方ほど断面積が小さくなるよう形成された集水部41と、この集水部41の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部42とにより構成されている。集水体4は、集水部41と下縁部42とが、射出成形や注型成形などにより一体成形されている。
集水部41は、流入側の開口の内径が上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、これにより当該上流側の竪樋11の下端に外嵌される。下縁部42は、樋体3の第2の領域36の上端の開口内に嵌め込まれるような大きさに形成されており、これにより第2の領域36の上端の開口に内嵌される。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、樋体3の外側を覆うように当該樋体3と同心状に設けられた外筒部9を備えている。また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、外筒部9の上端に設けられて上流側の竪樋11に接続される上接続部6と、外筒部9の下端に設けられて下流側の竪樋12に接続される下接続部7とをさらに備えている。
外筒部9は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料により構成されている。外筒部9は、その内径が、樋体3の外径よりも大径に形成されており、樋体3及びスロットアンテナ2の外側を覆うよう構成されている。
上接続部6は、外筒部9の上端と樋体3の上端とを相互に位置決めし、これにより両者を保持する。上接続部6は、上下方向に貫通する上貫通孔61を備えている。上貫通孔61は、その内径が、上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、当該上流側の竪樋11が遊びを持って挿入されるよう構成されている。上接続部6は、その内部に集水体4が配置されている。上接続部6は、上貫通孔61が、集水体4に連通接続されている。
また上接続部6は、図2に示されるように、スロットアンテナ2に接続された同軸ケーブルに電気的に接続された接続具62を備えている。接続具62は、上接続部6から露出するよう設けられている。この接続具62は、スロットアンテナ2により受信した信号を、同軸ケーブルを介してテレビ側ケーブル13に電気的に接続するために用いられる。
下接続部7は、外筒部9の下端と樋体3の下端とを相互に位置決めし、これにより両者を保持する。下接続部7は、その中央部分に、上下方向に貫通し且つ下流側の竪樋12よりも小径に形成された下貫通孔71が穿設されている。下接続部7は、下流側の竪樋12の上端に載置されるよう構成されている。これによりアンテナ付き竪樋は、下流側の竪樋12の上端に支持される。
以上のような構成の本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図7に示されるように、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部として設置される。
外壁に沿って設置された竪樋は、軒樋15の集水器16に第1のエルボ17と呼び樋18を介して連通した第2のエルボ19に連通接続されている。竪樋は、一部が切除されて、上流側の竪樋11と、下流側の竪樋12とに分離している。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、上接続部6が上流側の軒樋15の下端に連通接続され、下接続部7が下流側の竪樋12の上端に連通接続される。なお、上流側の竪樋11及び下流側の竪樋12は、その端部が控え具80により外壁に固定されている。また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、非導電性樹脂により形成された控え具81により固定されている。このように、設置後のアンテナ付き竪樋は、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部を構成する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋を設置するには、施工者は、上接続部6の上貫通孔61に上流側の竪樋11の下端を挿入した上で、下接続部7を下流側の竪樋12の上端に載置する。この後、アンテナ付き竪樋を樋体3の中心軸回りに回動して、スロットアンテナ2が放送電波を最も強く受信できるような向きに配置する。この状態で、当該アンテナ付き竪樋を控え具81により固定する。
なお本実施形態のアンテナ付き竪樋は、建物の壁面に沿って新たに竪樋を配設する場合はもちろんのこと、既に設置されている竪樋に対しても、簡単にアンテナ付き竪樋を設置することができる。
このような構造において、上流側の竪樋11に雨水が流通すると、雨水は、上接続部6の上貫通孔61を通過して集水体4に流下し、その後、樋体3内で仕切られた第2の領域36内を流通する。次いで雨水は、第2の領域36内を流下し、下接続部7の下貫通孔71を通過して下流側の竪樋12に流入する。
このとき、スロットアンテナ2のスロット21の直ぐ内側に位置する樋体3内の第1の領域35内には、雨水が流通しないため、スロットアンテナ2のスロット21の直ぐ内側の側壁32の内面に水の層が形成されない。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、雨水片寄らせ手段1によりスロット21とは離れた位置に雨水を片寄らせて流すよう構成されているため、竪樋として内部に雨水を流下させるものであっても、アンテナ性能への悪影響を低減させることができる。
ところで、実施形態1において、仮に樋体3内に仕切り31が設けられていない場合、当該樋体3内を流通する雨水は、樋体3の側壁32の内面を伝って流下する。特に本実施形態のように樋体3が丸樋の場合、雨水は、軒樋15に接続された集水器16を通過することで、樋体3の側壁32の内面を螺旋状に伝って流れ落ちる。このため雨水は、流量が多い場合、樋体3が丸樋であっても角樋であっても、側壁32の内面の略全周に亘って水の層を形成する。この水の層はスロットアンテナ2のスロット21を樋体3内から覆ってしまう。
ここで本実施形態のスロットアンテナ2は、スロット21の存在により電波を受信するものであり、具体的に、金属板材20を貫通する開口と、この開口周縁部とを利用して電波を受信する。また空気の比誘電率がおよそ1であるのに対し、水の比誘電率はおよそ80である。このため、仮にスロット21が雨水の層に覆われると、樋体3の側壁32を介しているとはいえ、受信性能である利得が減衰してしまう。
この点、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、雨水片寄らせ手段1を有しているため、スロット21の直ぐ内側に位置する樋体3の側壁32の内面には、雨水が伝って流下しないようにすることができる。これにより、樋体3内を流通した雨水の排水性を確保しながら、アンテナ性能への悪影響を極力防ぐことができる。
しかも本実施形態のアンテナ付き竪樋は、仕切り31により区画され且つ雨水が流下する第2の領域36の断面積が、上流側の竪樋11の断面積と略同じか又はそれよりも大きくなるよう形成されている。このため本実施形態のアンテナ付き竪樋は、樋体3内の一部にのみ雨水が流通する構造であっても、上流側の竪樋11から流下する雨水の排水性能が低下するのを防ぐことができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、仕切り31が、樋体3の長手方向の略全長に亘って設けられたものであるため、長手方向の全長に亘って、雨水をスロットアンテナ2のスロット21が位置する側から離れた位置に流すことができる。
次に、実施形態2について図8〜10に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態2のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にスロットアンテナ2を有する筒状の樋体3と、この樋体3内に設けられて当該樋体3内の一部に雨水を片寄らせて流すための雨水片寄らせ手段1とを備えている。実施形態2のアンテナ付き竪樋は、仕切り31の構造と、集水体44の構造とが実施形態1のものとは異なっており、その他の構造は同じである。
本実施形態の雨水片寄らせ手段1は、樋体3内に配置された内筒体37と、集水体44とを備えている。内筒体37は、断面楕円形状に形成されており、樋体3の長手方向の略全長に亘って形成されている。内筒体37は、上下方向に開口する筒状に形成されており、その内部に雨水の流通する流通路を有している。内筒体37は、図9に示されるように、上方の開口が上接続部6の上貫通孔61に連通し、下方の開口が下接続部7の下貫通孔71に連通する。
内筒体37は、図10に示されるように、樋体3内において、スロットアンテナ2のスロット21が位置する側とは反対側に片寄って設けられている。具体的には、スロットアンテナ2の正面(スロット21の周方向の中央C)と対極に位置する樋体3の側壁32に、内筒体37の長軸と当該内筒体37の側壁との交点部分が当接または近接対向するよう当該内筒体37が配置されている。内筒体37は、図8,9に示されるように、その上端が、集水体4を介して上接続部6に固定され、その下端が、下接続部7に固定されている。
内筒体37は、その流通路の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じか、又はそれよりも大きくなるよう設けられている。通常、一般的な竪樋は外径がφ45mm(内径がφ42.7mm)であるから、その流路の断面積は約1432mm2である。そこで本実施形態の内筒体37は、長軸方向の内寸が54.4mm,短軸方向の内寸が30mmとなるよう形成され、流通路の断面積が1438mm2に形成されている。これにより本実施形態では、内筒体37の流通路の断面積が、上流側の竪樋11の流路の断面積と略同じになるよう形成されている。
本実施形態の集水体44は、実施形態1と同様、上流側の竪樋11から流出した雨水を受け、その雨水を内筒体37に向けて集水するための部材である。集水体4は、上下方向に連通し且つ下方ほど断面積が小さくなるよう形成された集水部45と、この集水部45の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部46とにより構成されている。集水体44は、集水部45と下縁部46とが、射出成形や注型成形などにより一体成形されている。
集水部45は、雨水を樋体3のスロット21が位置する側とは反対側の側壁32に雨水を集める。集水部45は、流入側の開口の内径が上流側の竪樋11の外径よりも大きく形成されており、これにより当該上流側の竪樋11の下端に外嵌される。下縁部46は、内筒体37の上端の開口内に嵌め込まれるような形状となっており、これにより内筒体37の上端の開口に内嵌される。
このような構成のアンテナ付き竪樋は、雨水が流下する内筒体37が、スロットアンテナ2のスロット21とは離れた位置に片寄って配設されている。つまり仕切り31となる内筒体37により、樋体3内は、雨水が流通しない第1の領域35と、流通路となる第2の領域36とに仕切られているうえ、第1の領域35が、スロットアンテナ2のスロット21と第2の領域36との間に介在する。このため、流下する雨水をスロットアンテナ2のスロット21から一定距離以上離すことができる。
これにより、雨水の排水に起因するアンテナ性能への悪影響を低減させることができる。しかも内筒体37は、水平断面が楕円形状に形成されており、その断面積が、上流側の竪樋11の断面積と略同じか又はそれよりも大きく形成されているため、排水性能を十分に確保することができる。つまり本実施形態のアンテナ付き竪樋も、実施形態1と同様に、排水性能を確保しながら、アンテナ性能に悪影響を与えることを防ぐことができる。
次に、実施形態3について図11,12に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態3のアンテナ付き竪樋は、実施形態1と同様、側壁32にスロットアンテナ2を有する筒状の樋体3と、この樋体3内に設けられて当該樋体3内の一部に雨水を片寄らせて流すための雨水片寄らせ手段1とを備えている。実施形態3のアンテナ付き竪樋は、雨水片寄らせ手段1を構成する集水体54が実施形態1のものとは異なっており、その他の構造は同じである。
本実施形態の集水体54は、図11に示されるように、上下方向に連通し且つ下方ほど断面積が小さくなるよう形成された集水部55と、この集水部55の下端の開口周縁から下方に向けて突設された下縁部56とにより構成されている。本実施形態の集水部55には、スロットアンテナ2のスロット21が位置する側とは反対側に雨水を集水するための段差部58が設けられている。
段差部58は、集水体54の集水部55の側壁に設けられている。段差部58は、雨水を伝わせて流下させる流水面580を有している。段差部58は、その上端から下端に亘って連続して設けられており、下方ほどスロットアンテナ2のスロット21とは反対側に位置するよう傾斜している。段差部58は、集水部55の側壁を伝って流下する雨水を、流水面580上を伝わせて流下させ、スロットアンテナ2のスロット21とは反対側の樋体3の側壁32に向けて流下させる。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、集水体54の下縁部56が、樋体3内の仕切り31により形成された第2の領域36の上方の開口に連通接続されている。これにより、段差部58を流下した雨水を、樋体3内の第2の領域36内に流入させることができるだけでなく、第2の領域36内におけるスロット21とは反対側の側壁32を伝わせて雨水を流下させることができる。
このように本実施形態のアンテナ付き竪樋は、集水体54が、スロットアンテナ2のスロット21とは反対側の樋体3の側壁32に雨水を流下させる段差部58を有しているため、スロット21とは離れた位置に雨水を流下させることができる。これにより、雨水の排水に起因するアンテナ性能への悪影響を低減させることができる。
なお、本実施形態の集水体54は、実施形態2の内筒体37に対しても適用可能である。
また本実施形態の集水体54は、第2の領域内に向けて集水するものであったが、仕切り31が設けられていない樋体3に対して適用することもできる。この場合、集水体54は、筒状をした樋体3の上端に取り付けられる。集水体54は、スロット21が位置する側とは反対側の樋体3の側壁32に雨水を伝わせて流下させるよう構成される。
このような構成によれば、雨水をスロット21とは反対側の樋体3の側壁32を伝わせて流下させることができ、より一層、雨水をスロットから離すことができる。しかも内筒体37を省くことができ、コストダウンを図ることができる。なおこの場合、集水体54が雨水片寄らせ手段1を構成する。
次に、実施形態4について図13に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態2と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施形態4のアンテナ付き竪樋は、実施形態2と同様、側壁32にスロットアンテナ2を有する筒状の樋体3と、この樋体3内に設けられて当該樋体3内の一部に雨水を片寄らせて流すための雨水片寄らせ手段1とを備えている。実施形態4のアンテナ付き竪樋は、集水体44の取付位置が実施形態2とは異なっており、その他の構造は同じである。
本実施形態の集水体44は、実施形態2のものと同じ構造となっている。本実施形態の集水体44は、集水部45がスロットアンテナ2よりも上方に設けられている。すなわち集水体44は、集水部45の下端がスロットアンテナ2の上端と略同じ位置か又はそれよりも上方に位置するよう配置されている。なお図13中の二重ハッチング部分は、スロットアンテナ2の存在する領域を示している。
ここで、集水部44は、内筒体37よりも大径に形成されているうえに上方ほど大径となり、その外径が樋体11と略同じ外径に形成されている。このため、図13(b)のように、集水部44が樋体3の上端部に単に配置されただけであると、集水部44を流下する雨水がアンテナ上端と近接してしまうことも考えられる。
この点、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、集水部44がスロットアンテナ2よりも上方に位置し、側方から見てスロットアンテナ2とは重ならない構造となっているため、スロットアンテナ2の上端部と雨水とが近接してしまうのを防ぐことができる。これにより本実施形態のアンテナ付き竪樋によれば、確実に雨水とスロットアンテナ2とを一定距離以上離すことができ、アンテナ性能に悪影響を与えてしまうのを防ぐことができる。
なお、本実施形態のように集水体44の径の大きくなった一部を、アンテナに重ならないよう配置する点は、実施形態1〜3のアンテナ付き竪樋いずれにも適用することが可能である。
以上、本発明のアンテナ付き竪樋を実施形態1〜4に基づいて説明した。実施形態1〜4のアンテナ付き竪樋は、外筒部9や上接続部6や下接続部7が設けられていたが、本発明のアンテナ付き竪樋においては、外筒部9や上接続部6や下接続部7が設けられていなくてもよい。