以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
実施形態1のアンテナ付き竪樋は、排水流路11を有するアンテナとして一つのユニットを構成しており、図15に示されるように、建物の外壁に沿って配設された竪樋の途中に取り付けられる。このアンテナ付き竪樋は、例えばテレビ側ケーブル120に接続されることで、テレビ用のアンテナとして用いられる。アンテナ付き竪樋は、図2に示されるように、アンテナ部2を有するアンテナ樋本体1と、このアンテナ樋本体1の上下方向の両端部に設けられた接続体5,9とを備えている。
アンテナ樋本体1は、図1,3に示されるように、雨水を流すための排水流路11を内部に有する排水筒部10と、この排水筒部10の外面に設けられたアンテナ部2と、排水筒部10と同心円状に設けられてアンテナ部2を外側から覆う外筒部12とを備えている。
排水筒部10は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料(例えば塩化ビニル)により構成されている。排水筒部10はその内部が排水流路11となっている。なお本実施形態の排水筒部10はおよそ1m程度の長さで形成されている。
アンテナ部2は、断面略C字状の導電性部材20により構成されており、例えば縦長矩形状の鋼板を短辺方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。アンテナ部2は、長辺方向が排水筒部10の軸方向と同方向で、且つ短辺方向が排水筒部10の周方向と同方向となるよう配置され、湾曲した背面が排水筒部10の外周面に沿うように装着される。本実施形態のアンテナ部2は、図4に示されるように、アンテナ樋本体1の軸方向に沿ってスロット21が形成されたスロットアンテナにより構成されており、このスロット21が上下方向に複数並設されている。この複数のスロット21は、溝部28によって接続されている。
このアンテナ部2は、例えば、鋼板や薄い金属板(金属箔も含む)により構成される。
アンテナ部2は、第1の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第1の受信部22と、第2の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第2の受信部23とを有している。第1の受信部22は、スロット21及び当該スロット21の周縁部により構成される。このスロット21の上下方向の長さは、第1の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成される。第2の受信部23は、このスロット21に対し上下方向に隣接する鋼板部分により構成される。この第2の受信部23の周方向の長さは、第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに形成される。
第1の受信部22は、例えば次のように形成される。本実施形態の第1の周波数帯が473〜600MHzであり、この第1の周波数帯内の中心周波数が536.5MHzであることから、第1の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約28cmである。これにより、スロット21の長辺方向の長さは約28cmとなるように形成される。
また第2の受信部23は、例えば次のように形成される。本実施形態の第2の周波数帯が600〜720MHzであり、この第2の周波数帯の中心周波数が660MHzであることから、第2の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約23cmである。これにより、第2の受信部23の周方向の長さは約23cmとなるように形成される。
スロット21は、アンテナ樋本体1の軸方向に沿って長く形成されている。スロット21は、三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。スロット21は、上下方向の略中央部分に給電部24を有している。本実施形態の給電部24は、対向する三角形状の連設片25の頂点部分により構成されている。
給電部24には、図2に示されるように、給電路3となるアンテナ部側ケーブル31が接続されている。本実施形態のアンテナ部側ケーブル31は、同軸ケーブルにより構成されており、内側の線が一方の連設片25に接続され且つ外側の網線が他方の連設片25に接続されている。アンテナ部側ケーブル31は、スロット21に対して周方向にずれた位置に、軸方向に沿って這うように配置される。
またアンテナ部2は、図5に示されるように、周方向の両端間に、上下方向の全長に亘って隙間26が形成される。この隙間26は、スロット21と対向する位置に設けられ、すなわちアンテナ部2の円弧中心を挟んで、スロット21に対して対極の位置となるように形成される。またアンテナ部2は、スロット21の背部に抜き部27が形成されている。抜き部27は、導電性部材20が存在しない部分であって、背面から見てスロット21と重なる位置に設けられており、上下長さが、スロット21の上下長さよりも長く、且つ周方向長さが、スロット21の周方向長さよりも長く形成されている。
このような構成のアンテナ部2は、図2に示されるように、湾曲した背面が排水筒部10の外周面に沿うように装着され、スロット21が形成された方向が、水平方向における最も強い送受信方向となる。このアンテナ部2は、複数の取付け部材4により固定される。
取付け部材4は、図6に示されるように、非導電性の合成樹脂材料により形成された環状体により構成されている。取付け部材4は、一端に軸部42を有すると共に他端に係止部43を有する平面視略C字状の第1の半体41と、一端に軸受部45を有すると共に他端に被係止部46を有する平面視略C字状の第2の半体44とから構成されている。取付け部材4は、第1の半体41の軸部42と第2の半体44の軸受部45とからなる枢支部47により回動自在に連結されており、係止部43と被係止部46とを介して、着脱自在となるよう構成されている。
取付け部材4は、アンテナ部側ケーブル31のアンテナ部2に対する位置を保持するケーブル保持部48を備えている。このケーブル保持部48は、第1の半体41の内周面の一部及び第2の半体44の内周面の一部にそれぞれ設けられた溝480により構成されている。この溝480は、各半体41,44の内周面から径外方向に凹没し、且つ各半体41,44の外周面から径外方向に突出するよう形成されており、径内方向及び上下方向に開口する。
取付け部材4は、径外方向に突出する複数の突出部49を有している。本実施形態の取付け部材4は、軸受部45と、係止部43及び被係止部46と、溝480の背面側の突出部分との計4箇所の突出部49を有している。本実施形態の突出部49は、外周を4等配するよう配置されており、すなわち90°ごとに径外方向に突出している。この突出部49は、取付け部材4がアンテナ部2の外周に装着された上で外筒部12が取り付けられると、排水筒部10とアンテナ部2とが当該外筒部12の略中心に配置され、外筒部12の内周面に当接又は近接対向するようになっている。
このような取付け部材4は、図2に示されるように、アンテナ部2の上下方向の複数箇所に適宜装着される。取付け部材4は、アンテナ部側ケーブル31がアンテナ部2のスロット21に重ならないよう当該スロット21を避けた位置にケーブル保持部48が向けられた状態で、装着される。本実施形態の取付け部材4は、ケーブル保持部48が中心を挟んで対称な位置に設けられているため、施工者は2つのうちのいずれかを選択すればよい。これにより、施工者は、現場に応じてアンテナ部側ケーブル31の配設位置を決定することができる。さらに、このケーブル保持部48は、溝480により上下方向に貫通しているため、アンテナ部側ケーブル31が保持されていない側のケーブル保持部48を通して、下方に水を流通させる。これにより、取付け部材4の上面に水が滞留してしまうのを防ぐことができる。なお、本実施形態のアンテナ付き竪樋において取付け部材4は、4箇所に装着されている。
外筒部12は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料により構成されている。外筒部12は排水筒部10よりも大径に形成されており、排水筒部10及びアンテナ部2の外側を覆うよう構成されている。外筒部12は、図13に示されるように、その内周面に被係合部15が設けられている。本実施形態の被係合部15は、外筒部12の内周面から径内方向に突出する膨出片16により構成されている。膨出片16は、外筒部12の内周面上端に設けられている。外筒部12は、この被係合部15と後述の接続部6に設けられた係合部67とを介して、排水筒部10に対し周方向に固定されている。これにより外筒部12は、アンテナ部2に対して周方向に位置決め固定されている。
このような構成のアンテナ樋本体1は、その上下方向の両端にそれぞれ接続体5,9が設けられている。接続体5,9は、軒先の竪樋やエルボ等の接続継手といった種々の筒状樋に対して、アンテナ樋本体1を接続するために設けられている。この接続体5,9は、排水筒部10に対して外筒部12を着脱自在に保持する。
本実施形態のアンテナ樋本体では、接続体5,9として、アンテナ樋本体1の上端部に装着されたものを上接続体5とし、アンテナ樋本体1の下端部に装着されたものを下接続体9とする。上接続体5は、図3に示されるように、上方に開口した上接続口86を有しており、下接続体9は下方に開口した下接続口91を有している。これら上接続口86及び下接続口91は、いずれも、排水筒部10の排水流路11に連通している。
上接続体5は、図7に示されるように、排水筒部10の上端に接着固定される接続部6と、この接続部6に対し周方向に回動可能となった回動部7とを備えている。
接続部6は、図8に示されるように、円筒状に形成され、内部が上下に貫通している。接続部6は、その下端部に、排水筒部10の上端部が接続される排水筒部接続部60が設けられている。この排水筒部接続部60は、その外径が排水筒部10の内径と略同寸法となっており、当該排水筒部10の上端部が被嵌される。排水筒部接続部60は、排水筒部10の上端面に当接する位置決め当接部61を有しており、この位置決め当接部61が接続部6の周方向全周に亘って設けられている。この位置決め当接部61は、その外周端から下方に向けて突設された覆い片62を有している。覆い片62は、水平断面略C字状に形成されており、周方向の両端に、周方向位置決め突起63が設けられている。この覆い片62は、アンテナ部2の上端部外周面を覆うと共に、周方向位置決め突起63が、アンテナ部2の周方向の両端面に当接又は近接対向するよう構成されている。
接続部6は、その上端部に、回動部7が回転可能に取り付けられる内側支持部64を有している。この内側支持部64は、その外周面に設けられ且つ上方ほど先細り形状となった一対の三角状部650からなる引掛け部65を有している。この引掛け部65は、内側支持部64の外周を3等配する位置に設けられており、すなわち約120°ごとに設けられている。また内側支持部64は、引掛け部65の上方に設けられた下方付勢部66を有している。この下方付勢部66は、接続体5,9と同じ合成樹脂により形成されたものであり、弾性変形可能な細長片660により構成されている。この下方付勢部66は、一方の端部ほど下方に位置する状態で他方の端部のみが内側支持部64に固定されている。下方付勢部66は、この固定された側とは反対側の端部が上方側に押し上げられると、その復元力により下方側に押し返すようになっている。
接続部6は、図13に示されるように、覆い片62の外面から径外方向に突設された係合部67を有している。本実施形態の係合部67は、先端に凹溝部69を有する係合片68により構成されている。この係合片68は、凹溝部69が外筒部12の内周面に近接対向するよう構成されている。凹溝部69は、上下方向及び径外方向に開口している。係合片68は、その凹溝部69内に外筒部12の膨出片16が入り込むことで、外筒部12を周方向に位置決め固定する。一方、この凹溝部69は、上下方向に連通しているため、外筒部12の膨出片16の上下方向への移動を許容する。係合部67は、アンテナ部2の後方の隙間26のすぐ外側に外筒部12の視認手段13(後に詳述する)が位置する状態で、外筒部12の被係合部15に対向する位置に設けられている。
これにより接続部6は、外筒部12とアンテナ部2とを周方向に位置決め固定し、且つ外筒部12の上下方向への移動を許容させ、外筒部12を排水筒部10に対し着脱自在に保持する。
回動部7は、この接続部6に回動可能に接続されており、さらに、回動方向の複数の位置又は任意の位置で固定が可能となっている。回動部7は、図7に示されるように、回動部本体70と、この回動部本体70に取り付けられて当該回動部本体70を覆うカバー体85とを備えている。
回動部本体70は、アンテナ樋本体1の軸廻りに、接続部6の内側支持部64の外周面に沿って、回動可能となっている。回動部本体70は、図9に示されるように、内側支持部64の外周面に沿って配置されて当該内側支持部64に被嵌する外側環状部71と、外側環状部71から側方に突出した側方突出部73と、外筒部12の上端部に接続される外筒部接続部78とを備えている。また回動部本体70は、アンテナ部2に接続されたアンテナ部側ケーブル31を、当該回動部本体70よりも上方に引き出すためのコード挿通孔81をさらに備えている。
外側環状部71は、その内周面に、内側支持部64の引掛け部65に係止される被引掛け部72が設けられている。この被引掛け部72は、下方ほど先細り形状となった逆三角形状の突起が一定の間隔で周方向に隔設され構成されている。この被引掛け部72の上端は、周方向に一直線状に形成された直線状部721となっており、内側支持部64の下方付勢部66に当接又は近接対向するよう構成されている。また、被引掛け部72は、内周をほぼ3等配する位置に、当該下方付勢部66及び引掛け部65が上下方向に挿通可能な挿通路722が設けられている。
回動部本体70を接続部6に装着するには、回動部本体70の外側環状部71を、接続部6の内側支持部64に嵌め込む。このとき、外側環状部71の挿通路722に、内側支持部64の下方付勢部66及び引掛け部65を挿通させ、回動部本体70を接続部6の所定の位置にまで移動させる。回動部本体70を回動させる場合には、回動部本体70をやや持ち上げて、引掛け部65と被引掛け部72との係合状態を解除させ、この状態で回動させる。
回動部本体70を持ち上げると、被引掛け部72の直線状部721が内側支持部64の下方付勢部66を押し上げ、下方付勢部66が上方に弾性変形する。これにより、回動部本体70を持ち上げた状態では、当該回動部本体70は、常に、下方付勢部66による下方への付勢力を受けた状態となり、ユーザーが手を放すと、回動部本体70と接続部6とが係合状態に復帰するよう構成されている。
このように本実施形態の上接続体5は、回動自在となった回動部本体70を、回動方向の複数の停止位置又は任意の停止位置で停止自在とさせる停止手段を備えている。本実施形態の停止手段は、接続部6に設けられた引掛け部65と、回動部本体70に設けられた被引掛け部72とにより構成されている。
回動部本体70の側方突出部73は、図9に示されるように、テレビ側ケーブルと接続するための接続具32が取り付けられる取着孔74が穿設されている。この取着孔74の周囲には、当該孔74内に水の浸入を防ぐ立ち上がり片75が立設されている。また側方突出部73には、上下方向に貫設された複数の水抜き穴76が設けられている。
側方突出部73は、その下面(裏面)に、取着孔74と水抜き穴76との間に設けられた垂下片77を有している。この垂下片77は、水抜き穴76を全周に亘って囲むよう設けられている。この垂下片77により、水抜き穴76から流下する水が側方突出部73の下面を伝った場合であっても、接続具32が装着された部分に流入するのを防ぐことができる。
なお、水抜き穴76の排水性を良くするために、側方突出部73の水抜き穴76の外周部の全周に亘って下方向に向けて水切り用のリブを突出させることが好ましい。この場合、側方突出部73の下方からの雨水が当該リブによって水切りされて、雨水が水抜き穴76から側方突出部73の上面側へ流入しにくい構造とすることができる。
外筒部接続部78は、外側環状部71と同心円状に設けられており、下方に開口している。外筒部接続部78は、図7に示されるように、外側環状部71の下端から径外方向に連設された外筒端面当接部79と、この外筒端面当接部79の外縁から下方に向けて突設された外嵌部80とを備えている。外筒部接続部78は、外筒部12が接続されると、外筒端面当接部79が外筒部12の上端面に当接すると共に、外嵌部80が外筒部12の外周面に接する。この外筒部接続部78は、外筒部12に接着固定されておらず、外筒部12に対して相対的に回動可能となっている。
コード挿通孔81は、排水筒部10と外筒部12と回動部本体70とに囲まれた位置にあるアンテナ部側ケーブル31を、回動部本体70の上方に引き出すために設けられている。このコード挿通孔81は、図9に示されるように、接続部6が嵌め込まれる外側環状部71と、外筒部接続部78との間に設けられている。コード挿通孔81は、回動部本体70の回動方向に沿って形成された弧状の長孔により構成されている。コード挿通孔81には、弧状の長孔の外縁部から上方に向けて水返し片82が立設されている。
このコード挿通孔81の上方には、アンテナ部側ケーブル31を保持する保持部83が設けられている。この保持部83は、一対の保持片84により構成されており、コード挿通孔81の周方向の中間部分の上方に設けられている。この一対の保持片84は、対向間の距離が、アンテナ部側ケーブル31の直径と略同じか、又はそれよりもやや大きく形成されている。
このような構成の回動部本体70は、図10に示されるように、側方突出部73に設けられた取着孔74に接続具32が配置固定される。この接続具32は、アンテナ部側ケーブル31をテレビ側ケーブル120に電気的に接続するために用いられる。接続具32は、取着孔74の上方から下方に向けて挿通された状態で装着され、回動部本体70の下面から下方に向けて突出した状態で取り付けられる。アンテナ部側ケーブル31は、接続具32の上端に電気的に接続されており、接続具32の上方で下方に折り返され、コード挿通孔81を挿通した状態でアンテナ部2の給電部24に接続される。アンテナ部側ケーブル31は、コード挿通孔81上部で、保持部83によって回動部本体70に保持される。
本実施形態の回動部本体70は、コード挿通孔81が、回動方向に沿って長い弧状の長孔となっている。このため、回動部本体70がアンテナ部2に対して回動し、それに追従してアンテナ部側ケーブル31が移動したとしても、コード挿通孔81はその移動を許容するようになっている。これにより、回動部本体70が回転しても、アンテナ部側ケーブル31に無理な力を与えにくいようになっている。
カバー体85は、回動部本体70の上方及び側方を覆い、接続具32への浸水や、排水筒部10と外筒部12との間への浸水を防ぐ。カバー体85は、図7に示されるように、上面部850と、側面部851とにより構成されている。カバー体85は、上面部850に上方に開口した上接続口86を有している。この上接続口86は、竪樋などの他の筒状樋111が挿通された状態で、開口内縁が、当該筒状樋111外面に対して隙間を介して離間しており、当該筒状樋111が遊びを持って差し込まれるよう形成されている。またカバー体85の上面部850には、外周の全長に亘って上方に向けて突出した水返し用凸条87が形成されている。
またカバー体85は、側面部851の内面に、回動部本体70に対して上方に係止する係止爪88が設けられている(図2参照)。
カバー体85は、回動部本体70に装着されると、図7に示されるように、上面部850の背面が接続部6の上端面に当接し、上接続口86が接続部6内に連通するようになっている。上接続口86は筒状樋111が遊びを持って差し込まれるよう形成されているため、カバー体85の上面部850に付着した水を、上接続口86と筒状樋111との間の隙間を介して、排水筒部10の排水流路11に流すことができる。
このように上接続口86から流入した雨水は、接続部6・排水筒部10を流下し、下接続体9の下接続口91を介して、他の筒状樋111に排水される。
下接続体9は、図11に示されるように、平面視円環状に形成されており、中央部分に上下方向に連通し且つ他の筒状樋111よりも小径に形成された下接続口91が貫設されている。下接続体9は、排水筒部10の下端が接続される排水筒部接続部92と、外筒部12が接続される外筒部接続部95とを有している。
排水筒部接続部92は、排水筒部10の内側に嵌め込まれる円環状の内側突条部93と、この内側突条部93の下端部から径外方向に向けて連設された奥面部94とを備えている。この排水筒部接続部92に排水筒部10が接続されると、内側突条部93が排水筒部10の内側面に当接し、奥面部94が排水筒部10の下端面に当接する。この排水筒部接続部92は、排水筒部10の下端部に接着剤により固定される。
外筒部接続部95は、内側突条部93と同心円状に設けられた外側突条部96と、この外側突条部96の下端部から径外方向に向けて連設された位置決め段部97とを備えている。この外筒部接続部95に外筒部12が接続されると、外側突条部96が外筒部12の内側面に当接し、位置決め段部97が外筒部12の下端面に当接する。この状態で、下接続体9の外周面は、外筒部12の外周面と略面一となっている。なお、この外筒部接続部95と外筒部12とは非接着となっている。
下接続体9は、外側突条部96から内側突条部93に向けて、アンテナ部2の周方向の両端間に嵌め込まれる一対のリブ部98が突設されている。このリブ部98の内側端面と、内側突条部93との間には、排水筒部10の肉厚程度の隙間が形成されている。
また下接続体9は、その奥面部94に、上下方向に貫通する貫通孔99が複数箇所に形成されている。
下接続体9は、図12に示されるように、奥面部94よりも下方側に、他の筒状樋111が接続される下接続部100を有している。この下接続部100は、断面角形状の筒状樋、又は断面円形状の筒状樋のいずれかが選択的に接続可能に構成されている。下接続部100は、径外方向に膨出する凸状膨出部101が周方向に一定のピッチで形成された内嵌筒部102と、この内嵌筒部102の凸状膨出部101の径外方向に位置し且つ径内方向に屈曲した凹没部103を有する外嵌筒部104とにより構成されている。凸状膨出部101と凹没部103とは近接対向しており、この凸状膨出部101と凹没部103との間に、他の筒状樋111の側壁部が嵌め込まれ保持される。内嵌筒部102は、他の筒状樋111の内周面に沿って配置されるようになっており、その内部が下接続口91に連通している。
このような構成のアンテナ付き竪樋は、排水筒部10の外面にアンテナ部2が設けられており、さらに排水筒部10とアンテナ部2とを覆うようにして外筒部12が設けられている。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、外筒部12によってアンテナ部2が外面に露出しないよう構成されているため、施工者がアンテナ部2の向きを把握したい場合に、簡単には把握できないような構造となっている。このためアンテナ付き竪樋は、図14に示されるように、アンテナ樋本体1の外面に、アンテナ部2における最も強い送受信方向を示す視認手段13が設けられている。
本実施形態の視認手段13は、外筒部12の外面に設けられた背方表示部14により構成されている。この背方表示部14は、アンテナ部2における最も強い送受信方向とは反対側に対応する箇所に設けられており、具体的には、アンテナ部2の隙間26のすぐ外側に設けられている。この背方表示部14は、例えば、「ウラ」や「裏」等と外筒部12の外面に印刷又は刻印されて構成されている。これにより施工者は、アンテナ部の最も強い送受信方向とは反対側が簡単に把握でき、この結果、アンテナ部の最も強い送受信方向を一見して把握することができる。
以上のような構成の本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図15に示されるように、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部として設置される。
外壁に沿って設置された竪樋は、軒樋の集水器112にエルボと呼び樋116を介して連通したエルボ113に連通接続されている。竪樋は、一部が分断されており、上側の短管からなる筒状樋111と、下側の長管からなる筒状樋111とから構成されている。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、上接続口86が上側の短管の下端部に連通接続され、下接続口91が下側の長管の上端部に連通接続される。短管及び長管は、控え具114により外壁に固定されており、アンテナ付き竪樋も非導電性樹脂により形成された控え具110により固定されている。このように、設置後のアンテナ付き竪樋は、建物の外壁に沿って設置された竪樋の一部となっている。
本実施形態のアンテナ付き竪樋を設置するに当たっては、施工者は、視認手段13を確認することにより、アンテナ部2が放送電波を最も強く送受信できる向きとなるよう配置し、控え具110により固定して設置する。このとき、回動部7は任意の角度に位置しており、建物壁面から突出して目立った状態となっている場合がある。この場合、回動部7を壁面側に回動させ、カバー体85の側面部851を壁面に沿った状態となるまで回転させる。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ部2における最も強い送受信方向を示す視認手段13が設けられているため、施工者が一見してアンテナ部2の最も強い送受信方向を把握できる。これにより施工者は、素早く且つ容易に施工できるようになる。しかも施工者は、視認手段13を確認しながらアンテナ部2の送受信方向を調整することができるので、調整が容易となる。
また、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、外筒部12が設けられているため、アンテナ部2が雨水や太陽光、外気に直接晒されることがない。しかも外部から物が当たったり、引っ掛ったりしても、アンテナ部2は外筒部12により保護される。これによりアンテナ部2の劣化や損傷を防止することができる。さらに本実施形態のアンテナ付き竪樋は、排水筒部10と外筒部12との間の隙間を挿通してアンテナ部側ケーブル31を配線することで、アンテナ部側ケーブル31が露出しないようにできる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、視認手段13が、アンテナ部2における最も強い送受信方向とは反対方向を表示する背方表示部14により構成されているため、背方表示部14を、壁面に臨む側に配置することができる。アンテナ部2における最も強い送受信方向は、壁面に臨む側とは反対側に向くことになるため、背方表示部14を壁面に対向する方向に向く。この結果、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、背方表示部14を設置状態でも目立たないようにできる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、係合部67及び被係合部15を介してアンテナ部2と外筒部12とが周方向に位置決め固定されているため、輸送時にアンテナ部2の向きと外筒部12の向きがずれてしまうのを防ぐことができる。これによりアンテナ付き竪樋を、アンテナ部2を外筒部12にて覆った状態のままで、工場から輸送して現場に搬入することができ、しかもそのまま取付作業を行なうことができる。
ここで、本実施形態のアンテナ付き竪樋の設置後、施工者がメンテナンスを行なう場合の一例につき説明する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、上述のとおり、他の筒状樋111に対して接着固定されていない。施工者は、控え具110を取り外し、アンテナ付き竪樋を持ち上げて、上側の短管111の下端を上接続口86の奥まで挿通した上で、下接続口91を側方に移動させ、アンテナ付き竪樋を他の筒状樋111から取り外す。
施工者は、アンテナ付き竪樋のカバー体85及び回動部本体70を取り外す。次いで、施工者は、外筒部12のみを把持して持ち上げ、排水筒部10から外筒部12を取り外す。このとき、本実施形態の外筒部12は、その内径が、接続部6よりも大きく形成されているため、施工者が上方に持ち上げるだけで簡単に当該外筒部12を取り外すことができる。これによりアンテナ部2が露出するため、施工者はアンテナ部2のメンテナンスを容易に行なうことができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ部2が軸方向に沿うスロット21が形成されたスロットアンテナであるため、水平方向に指向性を有している。このため、排水筒部10を軸廻りに向きを変えるだけで、電波の送受信方向を調整することができる。しかも、スロット21の長さ方向が排水筒部10に沿って形成されているため、スロット21の長さの設計上の自由度が高くなる。これにより本実施形態のアンテナ部2は、良好に水平偏波を受信することができるようになる。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ樋本体1に接続体5,9が設けられているため、建物の壁面に沿って新たに竪樋を配設する場合はもちろんのこと、既に設置された竪樋に対しても、簡単にアンテナ付き竪樋を設置することができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、工場出荷時に既に、アンテナ部2と排水筒部10とが一体となっており、しかもアンテナ樋本体1には接続体5,9が設けられているため、運搬性がよい上に作業性がよい。特に、竪樋の上部に設置する場合のように、足場等の作業スペースが限られた場所での作業に対しても、多くの部品を持ち運ぶ必要がない。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ樋本体1に接続体5,9が設けられた樋部品である。このため、建物の外壁面に沿って新たに竪樋を設置する場合に、ユニット化された樋部品として、竪樋の一部に設置することができる。また、既存の竪樋の一部を切断除去し、この除去した部分にユニット化された樋部品である本実施形態のアンテナ付き竪樋を設置することができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋によれば、雨水を流すための排水筒部10と、アンテナとを兼用することができるので、屋根上に専用のアンテナを設置する必要がなくて、外観を向上させることができる。しかも、屋根上に専用のアンテナを設置する場合、屋根に沿ってケーブルを配設する必要があるが、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、竪樋から直ぐに建物内にケーブルを配設することができる。これにより、ケーブルの配設距離を極力短くでき、より一層外観を向上させることができる。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、排水筒部10の外面にアンテナ部2が設けられているため、排水筒部10の外面からの突出部分を少なくできて、見栄えを低下させないようにできる。しかも本実施形態のアンテナ部2は、薄板状に構成されており、排水筒部10の外面に沿って配設されているため、外観上目立たないようになっている。
また本実施形態のアンテナ付き竪樋は、接続体5,9によって排水筒部10と外筒部12とが相互に位置決めされているため、排水筒部10と外筒部12との間の寸法を保つことができる。
次に、実施形態2を説明する。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、視認手段13が、下接続体9を介してアンテナ樋本体1に設けられている。なお、それ以外の構成は実施形態1と同様であるため、説明は省略する。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図16に示されるように、背方表示部14が下接続体9に設けられている。背方表示部14は、下接続体9のリブ部98の外側に設けられており、アンテナ部2の最も強い送受信方向とは反対側を表示する。
これにより施工者は、アンテナ部2の最も強い送受信方向とは反対側が簡単に把握でき、この結果、アンテナ部2の最も強い送受信方向を一見して把握することができる。
次に、実施形態3を説明する。本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ部2が、排水筒部10の周壁の肉厚内に埋設されており、外部に露出していない。従って、本実施形態のアンテナ付き竪樋は、外筒部12が設けられていない。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、図17に示されるように、アンテナ樋本体1が、排水筒部10と、排水筒部10の周壁の肉厚内にインサート成形等により埋設されたアンテナ部2とを備えている。排水筒部10には、アンテナ部2の最も強い送受信方向とは反対側に対応する箇所に、背方表示部14からなる視認手段13が設けられている。
本実施形態のアンテナ付き竪樋は、アンテナ部2が埋設されて外部から視認することができないが、視認手段13が設けられていることにより、施工者は、アンテナ部2の最も強い送受信方向を簡単に把握することができる。
なお実施形態1〜3のアンテナ付き竪樋は、排水筒部10の外周に設けられたアンテナ部2が、鋼板により断面略C字状に形成されたものであったが、本発明のアンテナ部はこのものに限定されない。アンテナ部としては断面略C字状のものだけでなく、排水筒部10の長手方向に沿って形成された棒状のものや帯状のもの等、種々の形状が考えられる。さらにアンテナ部は、例えば、排水筒部の外周面にアンテナパターンを貼着したり印刷したりして設けられたものであってもよいし、外筒部の内面にアンテナパターンを貼着したり印刷したりして設けられたものであってもよい。
また実施形態1,2のアンテナ付き竪樋は、外筒部12が設けられた構成となっていたが、本発明のアンテナ付き竪樋は、実施形態3のように、外筒部が設けられていなくてもよく、つまり外筒部は必ずしも必要な構成ではない。
また実施形態1は、視認手段13が、アンテナ樋本体1に直接設けられていたが、本発明のアンテナ付き竪樋は、実施形態2のように、視認手段13が他の部材(例えば下接続体)を介して設けられていてもよい。
また実施形態1〜3のアンテナ付き竪樋は、視認手段13が背方表示部14により構成されており、アンテナ部2における最も強い送受信方向を間接的に示すものであった。しかし本発明のアンテナ付き竪樋は、視認手段が、アンテナ部における最も強い送受信方向を直接示すものであってもよい。つまり本発明のアンテナ付き竪樋においては、アンテナ部における最も強い送受信方向に対応する位置に表示部を設けることで、視認手段を構成してもよい。