以下、図面を適宜参照しながら、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、以下で説明する内容は、本実施形態の一例であり、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
はじめに、加熱調理器100の構成について、図1〜図5を参照しながら説明する。加熱調理器100における作用の詳細は、〔作用〕において、〔構成〕の後に後記する。
〔構成〕
図1は、本実施形態の加熱調理器(加熱調理器100)の全体斜視図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1の内部に調理庫3(電気グリル)とを備える。
本体1の上面は、平らなガラス板で覆われて平滑になっている。そして、本体1の上面に例えば金属製の鍋等が載置可能になっている。本体1の上面に載置された例えば金属製の鍋等は、本体1の内部に設けられた誘導コイル(図示しない)を電流が通流するときに発生する磁力により発熱するようになっている。これにより、例えば金属性の鍋等に収容された調理物(食材等)が調理されるようになっている。
本体1の内部には、調理庫3が設けられている。調理庫3は、調理物Fを収容するものである。調理庫3は、把手17と一体となって形成されたドア16により、本体1の側面方向に開閉可能になっている。ドア16は、スライドレール15によって、調理庫3の前後方向に移動可能になっている。即ち、把手17が調理庫3に対して引っ張られたときには、スライドレール15は、調理庫3の外部下隅に設けられた穴を通じて、加熱調理器100の内部から外部に引き出される。これにより、ドア16に一体となって、受皿8及び網部材9も外部に引き出される。また、把手17が調理庫3に対して押し込まれたときには、スライドレール15は、調理庫3の外部下隅に設けられた穴を通じて、加熱調理器100の内部に押し込まれる。これにより、受皿8及び網部材9は、ドア16に一体となって、調理庫3内部に格納される。
受皿8の上面には、魚等の調理物Fが載置される網部材9が設けられている。そして、受皿8の上面にセットされた網部材9上に調理物Fを載置し、把手17を本体1に対して押し込むと、ドア16に嵌合された受皿8が調理庫3に収容されるようになっている。ここで、網部材9は、手前方向に湾曲して形成されている。そのため、ハンドル17を本体1に対して押し込んだ際、後記する下ヒータ20は、受皿8と網部材9(より具体的には、外部に露出する網目部分)との間に挿入されるようになっている。このようにして調理庫3に収容された調理物Fは、後記する上下の加熱手段(上ヒータ21(図1では図示しない)および下ヒータ20)によって、上下方向から加熱されるようになっている。
この加熱に際して発生する煙(排気)は、本体1の後部上面に開口して形成されている排気口18から外部へ排出されるようになっている。なお、煙が外部へ排出される際、図1においては図示しない触媒によって煙が予め酸化分解されるようになっている。
本体1の側面には、調理庫3に隣接して、操作表示部1aが設けられている。操作表示部1aは、電源スイッチ等の操作ボタン、LED(Light Emitting Diode)ランプ等の運転状況を示す表示部により構成されている。
また、本体1の側面であって、操作表示部1aの下部には、操作部1bが設けられている。操作部1bは、通常時には、本体1内部に収容されている。そして、操作部1bが手前側に引き出されることにより、操作部1bの上面に設けられた操作ボタン等が外部に露出するようになっている。このようにして露出した操作ボタンは、作業者によって操作可能になっている。
図2は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる調理庫3の前方斜視図である。また、図3は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる調理庫3の後方斜視図である。図2及び図3に示す調理庫3は、ドア16等が図1に示す加熱調理器100から取り外されたものである。
調理庫3は、図2に示すように、調理庫3の側面及び底面を構成する筐体4と、調理庫3の上面を構成するフード6と、前面に固定され、ドア16(図2では図示しない)に接触するフロントグリル7と、フロントグリル7の下部に回転可能に設けられるハンドル22と、ハンドル22により略水平状態(水平状態を含む)のまま上下方向に移動可能な下ヒータ20(発熱体)と、スライドレール15に接続され、スライドレール15によりドア16を前後方向に移動可能に固定する固定部材28とを備えている。ハンドル22は取り外しが可能になっており、ハンドル22が使用されないときには、ハンドル22を取り外しておくことができる。また、図2では示していないが、調理庫3内には、上ヒータ21等も備えられている(図4参照)。
詳細は後記するが、本実施形態の加熱調理器100においては、調理庫3内の下ヒータ22を上下方向に移動させるために、回転可能なハンドル22が使用される。従って、従来の移動機構である、使用者が例えば上下方向に移動させるレバー等を設ける必要がない。そのため、取り外し可能なハンドル22を使用することにより、通常使用時には、ハンドル22が接続される回転軸52(図5参照)の端部のみを外部に露出させておけばよい。そして、下ヒータ20の移動時に回転軸52にハンドル22を接続すればよい。このように、通常使用時には回転軸52の端部のみを外部に露出させておけばよいため、加熱調理器100の小型化を図ることができる。また、回転軸52の端部は通常は小さいものであるため、加熱調理器100の意匠性を向上させることができる。ただし、例えば紛失防止等の観点から、ハンドル22は取り外し不可能な構成としてもよい。本実施形態の加熱調理器100においては、ハンドル22の長さを任意に設定できるため、ハンドル22を取り外し不可能な構成としても、加熱調理器100の小型化を図ることができる。
調理庫3の側面には、調理庫3内の前方の温度を測定する温度センサ25と、調理庫3の左右下部外側面に沿って固定され、ガイドレール15を覆う支え板5とが備えられている。また、調理庫3の内側面には、下ヒータ20を支持する支持材23が備えられている。即ち、下ヒータ20が移動されていない通常使用時には、調理庫3内の左右両側面に設けられている支持材23,23と、L型ジョイント59のねじ穴59d(図5参照)の3点で、下ヒータ20が支持されていることになる。
さらに、調理庫3の背面には、図3に示すように、調理庫3内のフード6近傍に固定される上ヒータ21(図2及び図3では図示しない)に通電させる端子21a,21aと、調理庫3内のフード6近傍に固定され、煙を分解する触媒27(図4参照)を加熱する触媒ヒータ24(図2及び図3では図示しない)に通電させる端子24a,24aと、調理庫3内の後方の温度を測定する温度センサ26と、が備えられている。
調理庫3外部の背面及び下面には、調理庫3内の下ヒータ20を上下方向に移動させる可動部組50が固定されている。可動部組50は、図2及び図3では図示しないが、ハンドル22(図2参照)に接続されている。よって、使用者によるハンドル22の操作に応じ、下ヒータ20が調理庫3内で上下に移動可能になっている。可動部組50は、下ヒータ20の固定部材20c(図4参照)においてねじ止め等され、下ヒータ20が可動部組50に固定されている。このとき、下ヒータの端子20a,20aは外部に露出している。そして、可動部組50が駆動することにより、下ヒータ20を上下方向に移動させるようになっている。可動部組50の詳細については、図5を参照しながら後記する。
図4は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる調理庫3の分解斜視図である。前記のように下ヒータ20は調理庫3内で略水平状態のまま上下方向に移動可能であるが、上ヒータ21は、フード6の裏面(調理庫3内の面)に固定されている。この固定は、上ヒータ21の固定部材21b,21bにおいてねじ止め等され、フード6の裏面に固定されている。また、触媒ヒータ24についても同様に、触媒ヒータ24の固定部材24b,24bにおいてねじ止め等され、フード6の裏面に固定されている。触媒ヒータ24は、触媒ヒータカバー24cによって覆われている。
また、筐体4の背面には、調理庫3内の下ヒータ20の一部(端子20a等)を外部に露出させる窓部4aが設けられている。即ち、調理庫3(より具体的には筐体4)の側面には、外部と連通する窓部4aが形成されている。この窓部4aは、詳細は図5を参照しながら後記するが、可動ベース51の窓部51d(図5参照)の位置と一致するように設けられている。
図5は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる可動部組50の分解斜視図である。なお、図5において、ガイド51b、孔51e、孔53a、孔53b、孔54a、孔54b、ねじ穴56a、孔56c、突起56d、ガイド58a、ガイド58b、ねじ穴59cはそれぞれ一対あるが、図示の簡略化のために、符号の記載を片方省略している。
可動部組50には、回転軸52を介して、ハンドル22(図2参照)が接続されている。回転軸52は、ハンドル22からの回転駆動力を可動部組50に伝達するものである。
可動部組50は、その上面と調理庫3下面とが接触して調理庫3の外部下面に固定される可動ベース51と、下ヒータ20の固定部材20c(図4参照)と固定され、下ヒータ20を上下方向に略水平状態のまま移動させるとともに、窓部4aを閉塞する閉塞機構63と、回転軸52に接続され、回転軸52の回転速度を半減させて閉塞機構63に伝達するギヤボックス65とを備えている。
可動ベース51は、図示しないねじにより、ねじ穴51aにおいて、調理庫3の下面に固定されている。また、可動ベース51は、図示しないねじにより、ねじ穴51cにおいて、調理庫3の下面に固定されている。また、可動ベース51には、調理庫3の背面に平行な方向に、ガイド51bが設けられている。このガイド51bは、可動カバー下58の下方に設けられている突起部58cが嵌合し、可動カバー下58が上下方向に移動する際にガイドするものである。
また、可動カバー下58は、その側面に、可動カバー56の断面コの字型の突起56dを係合させ、可動カバー56を上下方向にガイド可能なガイド58aを備えている。さらに、可動カバー下58はガイド58bを備え、これにより、可動カバー下58は、可動ベース51dに対向して上下方向に移動可能になっている。
穴カバー53と穴カバー下54とは、支点ピン55により接続されている。具体的には、支点ピン55は、穴カバー53の孔53aと穴カバー下54の孔54bとを係止することにより、これらをヒンジの如く接続している。また、穴カバー下54と可動カバー56とは、開閉支点ピン57により接続されている。具体的には、開閉支点ピン57は、穴カバー下54の孔54aと可動カバー56の孔56cとを係止することにより、これらを接続している。
さらに、可動ベース51の窓部51dの上部と穴カバー53の上部は、開閉支点ピン62により接続されている。具体的には、開閉支点ピン62は、可動ベース51の孔51eと穴カバー53の孔53bとを係止することにより、これらを接続している。従って、穴カバー53上端の上下方向の位置は固定されつつ、穴カバー53と穴カバー下54と可動カバー56とは一体となって駆動可能になっている。
可動カバー56が下方から押し上げられたとき(即ち、下方向からの力が負荷されたとき)には、可動カバー56(第2閉塞手段)は上方向に移動(摺動)するが、このとき、穴カバー53及び穴カバー下54(第1閉塞手段)は折り畳まれるように駆動する。前記のように、これらは、窓部4aを覆うように、調理庫3外に備えられているものである。そして、可動ベース51において、その側面上方近傍における前後方向の空間には、比較的スペースに余裕がある。そこで、このような折り畳み機構とすることで、可動カバー56の上下方向の移動可能長さを比較的長く取ることができる。
可動カバー56とL型ジョイント59とは、ねじ穴56a及びねじ穴59cに挿入されるリベットがかしめられることにより、固定されている。L型ジョイント59の上面にはねじ穴59dが設けられている。ここで、調理庫3内の下ヒータ20の端子20a,20a近傍は、調理庫3の背面の窓部4a(図4参照)、可動ベースの窓部51d及び可動カバー56の窓部56bを通って、外部に突出している。これにより、下ヒータ20に取り付けられている固定部材20c(基部)が外部に露出している。そして、外部に露出した固定部材20cは、固定部材20cに設けられているねじ穴(図示しない)及びL型ジョイント59の上面に設けられているねじ穴59dにおいて、図示しないねじにより、L型ジョイント59に対して固定されている。
つまり、下ヒータ20とL型ジョイント59とは、固定部材20cがL型ジョイント59の上面と接触して、ねじによってぶれないように固定されている。これにより、L型ジョイント59の上下方向の移動に伴って、下ヒータ20も調理庫3内で略水平状態のまま上下方向に移動可能になっている。
L型ジョイント59の側面には、ねじ穴59bが設けられている。そして、ねじ穴59bとスライダ64のねじ穴64aとにおいて、図示しないねじによって、L型ジョイント59とスライダ64とが固定されている。なお、スライダ64は、スライドレール60に沿って、L型ジョイント59を上下方向に移動させるものである。スライドレール60にはねじ穴60aが設けられ、ねじ穴60aにおいて図示しないねじにより、スライドレール60は、筐体4(図5では図示しない)に固定されている。一方、スライダ64は、筐体4に対して可動である。
ここで、スライドレール60は例えばボールスライドであり、これにより、スライドレール60とスライダ64との間に生じる摩擦を低減させることができる。特に、下ヒータ20は、詳細は後記するが、移動されるときには、L型ジョイント59のねじ穴59dによってのみ支持(一点支持)されている。従って、L型ジョイント59には、下ヒータ20の荷重が負荷される。そこで、図示しないボールにより、スライドレール60とスライダ64との間に働く摩擦力を小さくすることで、小さな力でも、スライダ64等の移動をできるだけスムーズに行うことができる。また、一点支持とすることで、調理庫3内の左右側面に下ヒータ20の移動機構を設ける必要が無い。そのため、調理庫3内の側面の掃除等を行い易いという利点がある。
可動カバー56には、ねじ穴56a,59cにおいて図示しないねじにより、L型ジョイント59が固定されている。また、L型ジョイント59には、ねじ穴59a,61bにおいて図示しないねじにより、回転アーム押さえ61が固定されている。ここで、回転アーム押さえ61には、後記する回転アーム72の先端に固定されたアームピン71が摺動可能なレール61aが設けられている。レール61a内は、摺動性向上のため、例えばフッ素コーティング加工が為されている。
また、レール61aは、図示のように、傾斜を有して設けられている。レール61aは、水平な部分と勾配を有する部分とが繋がっている。水平な部分は、下ヒータ20を上方向に移動させた場合に、下ヒータ20が上方で安定して留まるように作用する。このようにレール61aを設けることにより、回転アーム72(後記する)の長さが短い場合でも、回転アーム押さえ61(及びそれが固定されているL型ジョイント59等)の上下方向の移動可能距離を長くとることができる。
さらに、レール61aは、図示のように、角を有することなく、カーブを描いて設けられている。このようにレール61aを設けることにより、使用者がハンドル22の操作時、アームピン71が角の部分に差し掛かったときに生じうる反動や違和感を使用者が受け取ることを防止することができる。なお、図示はしていないが、水平な部分と勾配を有する部分との境目に溝や突起等を設け、使用者がハンドル22を操作したときにクリック感を生じさせるようにしてもよい。
このように、可動ベース51の窓部51dに対向して、調理庫3の正面側から背面側に向かって、可動カバー下58、穴カバー53と穴カバー下54と可動カバー56の一体物、L型ジョイント59及び回転アーム押さえ61がこの順で設けられている。そして、可動カバー56の上方に設けられた窓部56bは、可動ベース51に設けられている窓部51dに重なるようになっている。
可動ベース51の窓部51dは、下ヒータ20を調理庫3内で上下方向に移動させるためのものである。加熱調理器100の使用時、即ち、下ヒータ20が完全に下方にある状態では、窓部51dは、大部分が穴カバー53と穴カバー下54と可動カバー56の窓部56bによって覆われるようになっている。また、前記のように、窓部56bには、調理庫3内の下ヒータ20の発熱管が通って外部に露出している。従って、可動カバー56の窓部56bは発熱管及びそれを固定する固定部材20cにより完全に閉塞されている。よって、可動ベース51の窓部51dは、穴カバー53と穴カバー下54と下ヒータ20の発熱管とそれを固定する固定部材20cとによって、完全に閉塞されている。
即ち、窓部51d(4a)において、外部に露出した下ヒータ20(発熱体)の上側には穴カバー53及び穴カバー下54(第1閉塞手段)が備えられている。また、外部に露出した下ヒータ20(発熱体)の下側には可動カバー56(第2閉塞手段)が備えられ、より具体的には、下ヒータ20の下側には、可動カバー56の窓51dを覆う部分が設けられている。
また、詳細は後記するが、下ヒータ20が上方に移動したときには、固定部材20cとL型ジョイント59と可動カバー下58とにより、窓部51dは完全に閉塞されている。このように、下ヒータ20の位置によらず、窓部51d(4a)は閉塞されている。そのため、下ヒータ20を上方に移動させて清掃やメンテナンス等の際に、窓部51dから調理庫3の外部であって加熱調理器100内部に掃除カス等が排出されることを防止することができる。
ギヤボックス65は、回転軸52の回転による駆動力(回転駆動力)を、閉塞機構63に伝達するものである。ギヤボックス65は、第1軸受70と、アームピン71と、回転アーム72と、第1ギヤ73と、第2ギヤ75と、第3ギヤ74と、ピン76と、ピン77と、第2軸受78と、ギヤ軸79とを備えて構成されている。これのうち、アームピン71と、回転アーム72と、第1ギヤ73と、第2ギヤ75と、第3ギヤ74と、ピン76と、ピン77と、ギヤ軸79とは、第1軸受70と第2軸受78とに狭持され、ギヤボックス65が構成されている。
回転軸52の正面側端部には、図5では図示しないハンドル22が接続されている。そのため、ハンドル22が回転操作されると、これに伴って回転軸52が回転するようになっている。また、回転軸52の背面側端部には、ギヤ軸79が接続されている。ギヤ軸79には、第1ギヤ73が固定されている。即ち、可動部組50において、第1ギヤ73側には、回転軸52が接続されていることになる。よって、回転軸52が回転すると、それに伴って、第1ギヤ73が回転するようになっている。
第1ギヤ73は、ピン77によって回転可能に第1軸受70と第2軸受78との間に狭持されている第3ギヤ74に噛合されている。第3ギヤ74は、ピン76によって回転可能に第1軸受70と第2軸受78との間に狭持されている第2ギヤ75に噛合されている。従って、回転軸52の回転による動力は、第1ギヤ73及び第3ギヤ74を介して、第2ギヤ75の回転に用いられる。なお、第1ギヤ73、第2ギヤ75及び第3ギヤ74は、回転軸方向に垂直な方向視で同一平面上において、それぞれ噛合されている。
第2ギヤ75には、第2ギヤ75の正面側端面の矩形突起(図5では図示しない)に嵌合されて、回転アーム72が固定されている。よって、第2ギヤ75の回転に伴って、回転アーム72が回転するようになっている。また、前記したように、回転アーム72には、第2ギヤ75が固定されている端部とは反体側の端部に、アームピン71が固定されている。アームピン71は、閉塞機構63の回転アーム押さえ61のレール61aに摺動可能に嵌合されている。従って、回転アーム72が回転すると、アームピン71が、傾斜を有するレール61a上で摺動するようになっている。これにより、回転アーム押さえ61が上下方向に移動可能になっている。これにより、回転アーム押さえ61に各部材を介して接続された下ヒータ20が、上下方向に移動可能になっている。即ち、可動部組50において、第2ギヤ75側には、下ヒータ20(発熱体)が接続されていることになる。
本実施形態の加熱調理器100において、ギヤボックス65は、減速ギヤ機構を利用している。即ち、第2ギヤ75の歯数は、第1ギヤ73の歯数よりも多くなっている。具体的には、本実施形態においては、第1ギヤ73と第2ギヤ75とのギヤ比は、2:1になっている。そのため、回転軸52に接続されているハンドル22を180°回転させると、減速ギヤ機構を利用して動力が伝達された回転アーム72は90°回転するようになっている。このようにすることで、小さな力でハンドル22を回転させ、下ヒータ22を上下方向に移動することができるようになっている。
〔作用〕
次に、調理庫3内で下ヒータ20が上下に移動する機構について、図6〜図8を参照しながら説明する。
図6及び図7は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる可動部組50による移動機構を説明する図である。図6(a)及び図7(a)は通常使用時(ハンドル22が操作されていない状態)、図6(b)及び図7(b)はハンドル22が操作され、90°回転された状態、図6(c)及び図7(c)はハンドル22が操作され、180°回転された状態である。図6は前方向から見たときの断面図、図7は右方向から見たときの断面図である。
ハンドル22が操作されない通常使用時には、下ヒータ20は、調理庫3の下方に配置されている(図6(a)及び図7(a))。このとき、可動部組50(図5参照)は駆動していないので、穴カバー53及び穴カバー下54は上下方向に直立した状態になっている。さらに、筐体4の窓部4a(及び可動ベース51の窓部51d)の下方には、固定部材20cにより背面側に露出された下ヒータ20が配置されている。従って、筐体4の窓部4aは、穴カバー53、穴カバー下54及び固定部材20cにより、閉塞された状態になっている。よって、通常使用時には、図6及び図7では図示しない調理物Fから発生しうる煙や油等が、窓部4aを通じて、調理庫3の外部であって加熱調理器100内部に排出されることがない。
加熱調理器100の調理庫3内の掃除やメンテナンス等が行われる場合、調理庫3内の下ヒータ20を上方向に移動させる。具体的には、ハンドル22が、使用者の操作によって正面から見て時計回りに90°回転されると(図6(b)及び図7(b))、ハンドル22の回転駆動力が、回転軸52等を介して、可動部組50(図5参照)に伝達する。具体的には、ハンドル22の回転によりL型ジョイントカバー59が上方向に移動され、これにより、L型ジョイントカバー59に固定されている下ヒータ20が上方向に移動する。
前記したように、穴カバー53及び穴カバー下54は折り畳み可能に形成されている。そのため、L型ジョイントカバー59の上方向への移動に伴って、穴カバー53及び穴カバー下54は、後方向に「く」の字状に折り畳まれる(図7(b))。このとき、下ヒータ20の下方の窓部4aの部分は、上方向に移動されたL型ジョイント59により、閉塞される。
そして、ハンドル22をさらに90°時計回りに回転させると(即ち、通常運転時の位置から180°回転させると)、下ヒータ20は、調理庫3の上方まで移動する。このとき、穴カバー53及び穴カバー下54は、面同士が重なるように略完全に折り畳まれる(図7(c))。このとき、下ヒータ20の下方の窓部4aの部分は、上方向に移動されたL型ジョイント59と、可動カバー下58により、閉塞される。
このようにして、下ヒータ20は、ハンドル22の回転により、上方向に移動する。そして、下ヒータ20の移動後には、調理庫3内の掃除やメンテナンス等が行われる。このとき、調理庫3の背面に形成されている窓部4aは、閉塞されている。従って、掃除中に発生する掃除カス等が、窓部4aを通じて外部に排出されることを防止することができる。
なお、掃除やメンテナンス等が終了したら、ハンドル22を通常運転時の位置に戻せば、下ヒータ20の位置を通常運転時の位置に戻すことができる。
ここで、ハンドル22による下ヒータ20の移動機構について、調理庫3を後方向から見た図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施形態の加熱調理器100に備えられる可動部組50による移動機構を説明する図である。図8(a)〜(c)のそれぞれにおけるハンドル22(図8では図示しない)の位置は、図6(a)〜(c)のそれぞれにおけるハンドル22の位置と同様である。即ち、図8(a)は通常使用時、図8(b)はハンドル22が操作され、90°回転された状態、図8(c)はハンドル22が操作され、180°回転された状態である。
前記のように、通常使用時(図8(a))には、可動ベース51の窓部51d(及び筐体4の窓部4a)は、穴カバー53、穴カバー下54及び固定部材20cにより、閉塞されている。そして、第1ギヤ73に接続されているハンドル22が90°回転されると(図8(b))、ハンドル22の回転駆動力は、回転軸52、第1ギヤ73、第3ギヤ74及び第2ギヤ75をこの順で伝達して、回転アーム72に伝達される。ここで、前記のように、第1ギヤ73及び第2ギヤ75のギヤ比は2:1である。そのため、ハンドル22が90°回転されると、回転アーム72は45°だけ回転する。
回転アーム72に固定されたアームピン71は、レール61aに摺動可能に嵌合している。従って、回転アーム72が回転すると、レール61aに沿って、アームピン71は摺動する。ここで、回転アーム72の回転軸である第2ギヤ75の水平面を基準として、レール61aまでの高さ(上下方向の高さ)は、アームピン71の摺動開始点である左端の方が、アームピン71の摺動終了点である右端よりも高く(長く)なっている。よって、回転アーム72の長さは一定であるから、回転アーム72が回転すると、レール61aが設けられている回転アーム押さえ61は、上下方向に移動する。このようにして、アームピン71がレール61aを摺動することにより、回転アーム押さえ61は上方向に移動する。
回転アーム押さえ61の上方向への移動により、L型ジョイント59を介して固定された可動カバー56も上方向に移動する。可動カバー56には、前記のように、下ヒータ20が固定部材20cにより固定されている。従って、ハンドル22が回転されることにより、下ヒータ20の位置が上方向に移動する。
図8(b)の状態において、ハンドル22がさらに回転されると、アームピン71はレール61aをさらに摺動する。これにより、回転アーム押さえ61、L型ジョイント59、可動カバー56及び可動カバー下58が上方向にさらに移動する。このようにこれらが移動することで、下ヒータ20が上方向に移動しても、窓部51dが開口することなく、閉塞状態が維持される。
アームピン71がレール61aを摺動し続けると、アームピン71の位置は、レール61aの端部に到達する(図8(c))。このとき、回転アーム72は、通常使用時の回転アーム72の位置に対して、90°回転された状態になる。この状態で、下ヒータ72は、調理庫3内で最も高い位置に移動することになる。また、下ヒータ72が調理庫3内で移動しても、窓部51dは閉塞された状態が維持される。
このように、本実施形態の加熱調理器100においては、ハンドル22を回転させることで、下ヒータ22の位置が上下方向に移動される。
〔効果〕
本実施形態の加熱調理器100においては、下ヒータ20を最上部に移動させ、調理庫3内の掃除やメンテナンス等を行うとき、調理庫3の背面に設けられている窓部4aは閉塞されている。従って、掃除やメンテナンス時に、掃除カス等が調理庫3の外部であって加熱調理器100内部に排出されることがない。さらには、下ヒータ20が通常位置にある通常使用時にも、調理庫3の背面に設けられている窓部4aは閉塞されている。そのため、通常使用時にも、窓部4aから、調理中に発生しうる煙や油等が調理庫3の外部であって加熱調理器100内部に排出されることがなく、排気口18から外部に排出可能である。
このように、本実施形態の加熱調理器100においては、調理庫3内での下ヒータ20の位置によらず、調理庫3側面の窓部41aが閉塞されている。従って、通常使用時や掃除、メンテナンス時等の異物の予期せぬ外部への排出を防止することができる。また、予期せぬ異物の外部への漏出を防止することができるため、調理庫3から漏出した異物が加熱調理器100の内部に侵入することがない。従って、このような異物の侵入による、加熱調理器100の故障や不具合をより確実に防止することができる。
〔変更例〕
以上、本実施形態の加熱調理器100を説明したが、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施可能である。
例えば、前記の回転アーム押さえ61の形状は、図9に示す回転アーム押さえ611の形状としてもよい。回転アーム押さえ611のレール61a1は、図8等に示すレール61aとは異なり、右側端部がやや跳ね上がって形成されている。即ち、レール61a1においては、左側端部の高さが最も高く、部位61a2の位置で最も低くなっている。このようにすることで、ハンドル22を回転させた場合に、アームピン71は、部位61a2を経由し、前記の回転アーム押さえ61と同様に右側端部に到達する。ここで、アームピン71は、下ヒータ20の重みにより、レール61a1の右方向に移動しようとする。しかしながら、部位61a2によりその移動が阻止され、下ヒータ20を安定して上方で保持することができる。
図5に示した回転アーム押さえ61の例では、レール61aの水平部分と勾配を有する部分との境目に溝や突起等を設けることにより、下ヒータ20をより安定して上方に保持させることができる。しかしながら、使用者がハンドル22を操作して下ヒータ20を下方に降ろす際、溝や突起等がアームピン71のスムーズな動きを阻害することがある。そのため、アームピン71が溝や突起等の部位を通過した瞬間に、勢いあまって下ヒータ20が大きく下方に移動することがある。しかしながら、回転アーム押さえの形状を図9に示す形状とすることにより、このような現象をより確実に防止することができる。
また、例えば、加熱調理器に備えられる閉塞手段は、どのようなものであってもよい。即ち、前記した例に何ら限られず、例えば折り畳み可能な閉塞手段を外部に露出している発熱体の下方に設けてもよく、上方向に摺動可能な閉塞手段を外部に露出している発熱体の上方に設けてもよい。また、折り畳み可能な閉塞手段を発熱体の上方及び下方の両方に設けてもよく、上方向に摺動可能な閉塞手段を発熱体の上方及び下方の両方に設けてもよい。他にも、閉塞手段はこれらの例に限られず、任意に設計可能である。
さらに、例えば、調理庫3の外部に設けられ、調理庫3内の発熱体を上下方向に移動可能な移動手段としては、前記した例に何ら限定されない。即ち、前記の回転軸52を利用した移動手段ではなく、例えば上下方向に移動する移動レバーを用いて下ヒータ20を上下方向に移動させてもよい。
また、例えば、加熱調理器100においては、下ヒータ20のみを移動させているが、例えば上ヒータ21についても、同様に移動可能な構成としてもよい。このようにすれば、調理庫3内の上面の掃除やメンテナンス等が容易になる。
さらに、例えば、前記の実施形態においては、可動部組50に閉塞機構63が含まれているが、これらは別体に構成されていてもよい。即ち、下ヒータ20を移動させる移動機構と、窓部4aを閉塞する閉塞機構とが別体に構成されていてもよい。