以下、本発明の一実施形態を図1〜図25に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としての複合機2000の概略構成が示されている。
この複合機2000は、複写機、プリンタ、及びファクシミリの機能を有し、本体装置1001、読取装置1002、及び自動原稿給紙装置1003などを備えている。
本体装置1001は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
読取装置1002は、本体装置1001の上側(+Z側)に配置され、原稿を読み取る。すなわち、読取装置1002は、いわゆるスキャナ装置である。ここで読み取られた原稿の画像情報は、本体装置1001のプリンタ制御装置2090に送られる。
自動原稿給紙装置1003は、読取装置1002の上側(+Z側)に配置され、セットされた原稿を読取装置1002に向けて送り出す。この自動原稿給紙装置1003は、一般にADF(Auto Document Feeder)と呼ばれている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信、及び公衆回線を介したデータ通信を制御する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
プリンタ制御装置2090は、読取装置1002からの画像情報あるいは通信制御装置2080を介した画像情報を光走査装置2010に出力する。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からのブラック画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030aの表面に照射し、シアン画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030bの表面に照射する。
また、光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からのマゼンタ画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030cの表面に照射し、イエロー画像情報に基づいて変調された光束を、帯電された感光体ドラム2030dの表面に照射する。
これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、光走査装置の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
各光源は、いずれも、一例として図6に示されるように、同一基板上に複数の発光部が形成されている面発光レーザアレイ100を有している。
この面発光レーザアレイ100は、2次元的に配列された40個の発光部(ch1〜ch40)が1つの基板上に形成されている。40個の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔dとなるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。また、各発光部の発振波長は、780nm帯である。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。
光束分割プリズム2203aは、開口板2202aの開口部を通過した光束の光路上に配置され、該光束を2つの光束に分割する。また、光束分割プリズム2203bは、開口板2202bの開口部を通過した光束の光路上に配置され、該光束を2つの光束に分割する。
シリンドリカルレンズ2204aは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏向反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。この光偏向器2104の詳細については後述する。
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束は光偏向器2104の+X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束は光偏向器2104の−X側に偏向される。
走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bは、光偏向器2104の+X側に配置され、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dは、光偏向器2104の−X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105aは1段目のポリゴンミラーに対向し、走査レンズ2105bは2段目のポリゴンミラーに対向している。また、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105cは2段目のポリゴンミラーに対向し、走査レンズ2105dは1段目のポリゴンミラーに対向している。
そこで、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。
そして、走査レンズ2105cと2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dとからYステーションの走査光学系が構成されている。
ここで、前記光偏向器2104について説明する。この光偏向器2104は、前記2段構造のポリゴンミラーを有する回転部材(回転部材10という)、該回転部材10の回転軸となる軸部材(軸部材15という)、該軸部材15を回転可能に保持する保持系(保持系20という)、回転部材10を回転させるモータ(モータ30という)、モータ30を駆動する駆動系(駆動系40という)、不要光を遮光する遮光部材(遮光部材50という)などを備えている。
回転部材10は、一例として図7及び図8に示されるように、2つのポリゴンミラー(12a、12b)、及びフランジ部13を有している。なお、図8は、図7の縦断面図である。
ここでは、回転部材10の−Z側端部がフランジ部13となっている。そして、フランジ部13の+Z側に、連結部を介してポリゴンミラー12bが設けられ、該ポリゴンミラー12bの+Z側に、連結部を介してポリゴンミラー12aが設けられている。すなわち、ポリゴンミラー12aとポリゴンミラー12bは、連結部を介してZ軸方向に積層する形で形成されている。
また、ポリゴンミラー12aとポリゴンミラー12bは、一例として図9に示されるように、Z軸方向からみたときに、頂点が重ならないように形成されている。具体的には、ポリゴンミラー12aとポリゴンミラー12bは、Z軸方向からみたときに、45°ずれている。
回転部材10は、アルミニウム合金の切削加工品である。特に、各ポリゴンミラーの偏向反射面は、超精密切削加工によって形成され、透明な膜によって保護されている。
回転部材10は、中心に、Z軸方向に延びる貫通孔を有している。
軸部材15は、一例として図10に示されるように、回転部材10の貫通孔の−Z側約半分に焼きばめされている。
軸部材15の素材としては、焼入れが可能で表面硬度を高くでき、耐磨耗性が良好なマルテンサイト系のステンレス鋼(例えばSUS420J2)が好適である。
軸部材15の外周には、高速回転での安定性を確保するため、不図示の動圧発生溝が設けられている。
回転部材10は、20krpm程度から60krpmを超える高速回転まで使用される。60krpm超の高速まで回転させるためには、軸受損失を小さくする必要がある。そこで、軸部材15の直径は、2〜3mm程度とされている。
保持系20は、一例として図11に示されるように、軸受ハウジング21、スラスト軸受部材22、軸受部材23、シール部材24を有している。
軸受ハウジング21は、外形がZ軸方向を高さ方向とする略円柱状の部材であり、+Z側の面の中央に−Z方向に延びる穴が形成されている。そして、該穴の底面にスラスト軸受部材22が配置され、該穴の壁面に軸受部材23が配置されている。また、該穴の開口位置近傍に、シール部材24が配置されている。
軸部材15が保持系20に保持されている状態が図12に示されている。
軸受部材23は含油動圧軸受であり、軸受隙間は直径で10μm以下に設定されている。なお、前記動圧発生溝は、焼結材料からなり加工性が良好な軸受部材23の内周面に設けられている。
軸部材15のスラスト方向の軸受は、いわゆるピボット軸受であり、軸部材15の−Z側端部に形成された凸曲面とスラスト軸受部材22とが接触している。
スラスト軸受部材22には、マルテンサイト系ステンレス鋼、セラミックス、表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理等の硬化処理を施した金属部材、及び樹脂材料等が用いられ、良好な潤滑性を有し、磨耗粉の発生を抑えている。
シール部材24は、油の流出を防止している。
モータ30は、一例として図13に示されるように、ロータ磁石31a、ステータコア31b、巻き線コイル31cを有している。
このモータ30は、ステータコア31bの外周部近傍にロータ磁石31aが配置されているアウターロータ型の直流ブラシレスモータである。ロータ磁石31aは、ステータコア31bの外周部とで回転トルクを発生し回転する。
ロータ磁石31aは、樹脂をバインダーに使用したボンド磁石であり、径方向に着磁されている。
ロータ磁石31aは、一例として図14に示されるように、フランジ部13の内面に取り付けられている。この場合は、回転部材10が高速回転しても、ロータ磁石31aが遠心力によって破壊されるのを防止できる。
ステータコア31bは、一例として図15に示されるように、軸受ハウジング21に取り付けられている。
駆動系40は、一例として図16に示されるように、回路基板41、ホール素子42、駆動IC43、コネクタ44を有している。ホール素子42、駆動IC43、コネクタ44は、回路基板41上に実装されている。
そして、回路基板41には、巻き線コイル31cと駆動IC43とを電気的に接続する配線パターン、ホール素子42と駆動IC43とを電気的に接続する配線パターン、コネクタ44と駆動IC43とを電気的に接続する配線パターンなどが形成されている。
また、回路基板41には、軸受ハウジング21が取り付けられている。
ロータ磁石31aは、Z軸方向は磁路を開放している。ホール素子42は、開放磁路内に配置されている。
駆動IC43は、ホール素子42の出力信号を回転部材10の位置信号として参照し、巻線コイル31cの励磁切り替えを行う。これにより、回転部材10の回転が継続される。
コネクタ44には不図示のハーネスが接続され、走査制御装置からの電力供給、モータの起動・停止、回転数等の制御信号の入出力が行われる。
回転部材10は、一例として図17及び図18に示されるように、フランジ部13の内部に軸受ハウジング21が収容されるようになっている。
ところで、回転部材10を25,000rpm以上の高速で回転させる場合、振動を小さくするために適切なバランスを高精度に維持しなければならない。回転部材10には、バランスを修正するための修正部が2ヶ所(第1の修正部、第2の修正部)に設けられている。第1の修正部は、回転部材10の+Z側の面に形成されている第1凹部であり、第2の修正部は、フランジ部13に形成されている第2凹部である。第1凹部及び第2凹部の少なくとも一方に接着剤を塗布することによりバランスの修正が行われる。
この場合の修正量は10mg・mm以下であることが必要である。例えば、半径10mmの箇所での修正量は1mg以下に保たれている。なお、このような微少な修正を行う際に、接着剤等の付着物では管理しにくい場合、あるいは接着剤の量が少なくて接着力が弱く40,000rpm以上の高速回転時に剥離、飛散してしまう場合には、回転部材10の一部を削除する方法(例えば、ドリルによる切削、レーザ加工など)を用いても良い。
本実施形態では、回転部材10の材料を削減し環境負荷を低減する他、各ポリゴンミラーの回転による風損の影響を抑え、騒音及び回転エネルギを低下させることを目的に、各ポリゴンミラーを小型化している。その結果、モータ30よりもポリゴンミラーが小さくなっている。
次に遮光部材50について説明する。この遮光部材50は、一例として図19に示されるように、天板51、4つの遮光板(52a、52b、52c、52d(図19では不図示、図20参照))を有している。
天板51は、回転部材10の+Z側に位置し、回転部材10の回転中心と中心が一致する開口部を有している。天板51の開口部の直径は、回転部材10の穴の直径よりも大きい。
4つの遮光板(52a、52b、52c、52d)は、Z軸方向を長手方向とする板部材であり、天板51の4隅に取り付けられている。
遮光板52bは、光源2200aからの光束が、Mステーション及びYステーションに入射するのを防止し、遮光板52aは、光源2200bからの光束が、Kステーション及びCステーションに入射するのを防止する。
遮光板52cは、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dで反射された光束が、Kステーション及びCステーションに入射するのを防止する。遮光板52dは、走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bで反射された光束が、Mステーション及びYステーションに入射するのを防止する。
すなわち、遮光板52a及び遮光板52cは、光源2200bからの光束による不要光を遮光し、遮光板52b及び遮光板52dは、光源2200aからの光束による不要光を遮光する。
図20には、図19において天板51を取り除いたときの図が示されている。そして、図20の平面図が図21(A)に示され、図20の正面図が図21(B)に示されている。
各光源からの光束は、図22に示されるように、Z軸方向からみたときに、X軸に平行で回転部材10の中心を通る直線L1に対して+Y側から、回転部材10に入射する。
遮光板52a及び遮光板52bは、図22に示されるように、Z軸方向からみたときに、光源2200aからの光束と、光源2200bからの光束との間に配置されている。
そして、遮光板52aの端部は、Z軸方向からみたときに、上記直線L1に平行で直線L1に対して+Y側でポリゴンミラーの外接円に接する接線L2と、入射する光源2200bからの光束と、前記外接円とによって囲まれた領域A内に位置している。
遮光板52bの端部は、Z軸方向からみたときに、上記接線L2と、光源2200aからの光束と、前記外接円とによって囲まれた領域B内に位置している。
遮光板52cは、Z軸方向からみたときに、上記直線L1に対して遮光板52aと対称に配置されている。
遮光板52dは、Z軸方向からみたときに、上記直線L1に対して遮光板52bと対称に配置されている。
そこで、各遮光板とポリゴンミラーの外接円との最も近い距離はほぼ等しくなり、ここでは、その距離は約0.8mmである。
各遮光板は、天板51の開口部を基準にして、高精度な位置関係で配置される必要があるため、各遮光板と天板51とが一体で製作されるのが好ましい。例えば、黒色の樹脂材料による一体成形で製作される。
また、各遮光板の一部は、フランジ部13の外周部より内側に位置している。これにより、光偏向器2104が天地逆になったとき、回転部材10が抜けるのを防止することができる。
遮光板52aの−Z側端部には、突起部が形成されている。また、回路基板41の対応する位置には該突起部が嵌合される位置決め用の穴が形成されている。
回路基板41は、例えば、金属ベースの片面プリント基板が用いられる。位置決め用の穴は、金型による打ち抜き加工等により、軸受ハウジング21が固定される穴とともに形成される。
本実施形態では、光源2200bからの光束は、遮光板52aと遮光板52cの間からポリゴンミラーに入射し、偏向された光が遮光板52aと遮光板52cの間から射出される。
また、光源2200aからの光束は、遮光板52bと遮光板52dの間からポリゴンミラーに入射し、偏向された光が遮光板52bと遮光板52dの間から射出される。
遮光部材50の組み付け方法について説明する。ここでは、一例として図23(A)に示されるように、直径aの丸棒60aと直径b(b<a)の丸棒60bとが一体となっている組立調整治具60が用いられる。直径aは天板51の開口部の直径よりわずかに小さい値である。直径bは回転部材10の穴の直径よりわずかに小さい値である。
1−1:回転部材10の穴に組立調整治具60の丸棒60bを挿入する(図23(B)参照)。
1−2:組立調整治具60の丸棒60aが天板51の開口部に挿入されるように、遮光部材50を回路基板41上に載置する(図24(A)及び図24(B)参照)。このとき、遮光板52aの突起部を、回路基板41の位置決め用の穴に嵌合させる。
1−3:接着剤や両面テープ等を用いて遮光部材50を回路基板41に固定する。なお、回路基板41に穴を設け、裏側からネジで遮光部材50を固定しても良い。
1−4:組立調整治具60を遮光部材50の上側から抜き取る(図25参照)。
ここでは、回転部材10の穴は軸部材15が焼きばめされる穴とほぼ同軸に形成されているため、各遮光板を回転部材10の回転中心に対して所望の位置に配置することができる。
なお、組立調整治具60は、例えば、丸棒60aの上面に把持を設け、組立時の操作が容易な形態としても良い。
また、上記組み付け方法は、工程1−1と工程1−2を入れ替えても良い。その場合は、あらかじめ組立調整治具60側に遮光部材50をセットした後、回転部材10の穴に組立調整治具60をセットし、遮光部材50をスライドさせて、回路基板41に載置させれば良い。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、光偏向器2104によって本発明の光偏向器が構成されている。
以上説明したように、本実施形態に係る光偏向器2104によると、回転部材10、軸部材15、保持系20、モータ30、駆動系40、及び遮光部材50などを備えている。
遮光部材50は、天板51、及び4つの遮光板(52a、52b、52c、52d)を有している。
天板51は、回転部材10の+Z側に位置し、中心が回転部材10の回転中心と一致し、直径が回転部材10の穴の直径よりも大きい開口部を有している。
遮光板52a及び遮光板52cは、光源2200bからの光束による不要光を遮光し、遮光板52b及び遮光板52dは、光源2200aからの光束による不要光を遮光する。
そして、Z軸方向からみたときに、遮光板52aの端部は領域A内に位置し、遮光板52bの端部は領域B内に位置している。
また、Z軸方向からみたときに、遮光板52cは直線L1に対して遮光板52aと対称に配置され、遮光板52dは、直線L1に対して遮光板52bと対称に配置されている。
この場合は、不要光を十分に遮光することができる。
そして、本実施形態に係る光走査装置2010によると、光偏向器2104を有しているため、高精度の光走査を行うことができる。
また、本実施形態に係る複合機2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することができる。
なお、上記実施形態において、前記光偏向器2104に代えて、一例として図26に示される光偏向器2104Aを用いても良い。この光偏向器2104Aは、遮光部材の天板が、前記光偏向器2104と異なる点に特徴を有する。従って、以下においては、前記光偏向器2104との相違点を中心に説明するとともに、前述した光偏向器2104と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
光偏向器2104Aでは、天板51は、中心が回転部材10の中心と一致し、直径がポリゴンミラーの外接円の直径よりも大きな開口部を有している。
光偏向器2104Aにおける遮光部材50の組み付け方法について説明する。ここでは、一例として図27(A)及び図27(B)に示されるように、内径c、外径dの円筒状の組立調整治具60’が用いられる。直径cはポリゴンミラーの外接円の直径よりわずかに大きい値である。直径dは天板51の開口部の直径よりわずかに小さい値である。
2−1:組立調整治具60’をポリゴンミラーにかぶせる(図28(A)及び図28(B)参照)。ここでは、組立調整治具60’の−Z側端部は、回転部材10のフランジ部13上にのっている。
2−2:組立調整治具60’が天板51の開口部に挿入されるように、遮光部材50を回路基板41上に載置する(図29(A)及び図29(B)参照)。このとき、遮光板52aの突起部を、回路基板41の位置決め用の穴に嵌合させる。
2−3:接着剤や両面テープ等を用いて遮光部材50を回路基板41に固定する。なお、回路基板41に穴を設け、裏側からネジで遮光部材50を固定しても良い。
2−4:組立調整治具60’を遮光部材50の上側から抜き取る(図30参照)。
この場合であっても、各遮光板を回転部材10の回転中心に対して所望の位置に配置することができる。
なお、組立調整治具60’は、例えば、+Z側端部を板部材等で被覆して容器状とし、該板部材の上面に把持を設け、組立時の操作が容易な形態としても良い。
また、上記組み付け方法は、工程2−1と工程2−2を入れ替えても良い。その場合は、あらかじめ組立調整治具60’側に遮光部材50をセットした後、回転部材10の穴に組立調整治具60’をセットし、遮光部材50をスライドさせて、回路基板41に載置させれば良い。
また、上記実施形態において、一例として図31(A)及び図31(B)に示されるように、ポリゴンミラーの角がR形状で面取りされていても良い。この場合は、組付け作業において、回転部材10に組立調整治具を嵌装する際の操作性を改善させることができる。また、回転部材10が回転した際に、遮光部材50との間で発生する騒音や乱流を低減させることができる。
また、上記実施形態では、面発光レーザアレイ100が40個の発光部を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、一例として図32及び図33に示されるように、遮光部材50は、各遮光板に、回転部材10が回転した際に一部の気流の流路となる貫通穴53がそれぞれ形成されていても良い。この場合は、ポリゴンミラー外周部での層流の乱れが低減され、ポリゴンミラー外周の角の部分と遮光板との間の流体振動が抑制されて騒音の発生を低減することができる。ここでは、各遮光板に、2つの貫通穴53がそれぞれ形成されているが、これに限定されるものではない。
各貫通穴53は、回転部材10の回転中心を中心とし該貫通穴との接点を有する円の、該接点における略接線方向に形成された貫通穴である(図34参照)。この場合は、ポリゴンミラー外周部での層流の乱れを最小とすることができる。
また、各貫通穴は、一例として図35に示されるように、回転部材10の回転軸方向(ここでは、Z軸方向)に関して、連結部と2つのポリゴンミラーとが含まれる大きさで、それぞれ形成されている。
そして、図36には、各貫通穴を通過する気流の方向が示されている。
なお、一例として図37に示されるように、各貫通穴は、該貫通穴を通過する気流の上流側のほうが下流側よりも断面積が大きくなるように形成されても良い。この場合は、遮光板による流体抵抗を小さくし、層流の乱れをさらに抑えることができる。
ところで、一例として図38に示されるように、貫通穴53に代えて、各遮光板に、回転部材10が回転した際に一部の気流の流路となるスリット54がそれぞれ形成されていても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として複合機の場合について説明したが、これに限定されるものではない。画像形成装置が、単独の複写機、プリンタ、及びファクシミリ装置であっても良い。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。