JP5806953B2 - 転写ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
0.05[μm]≦Rz≦1.21[μm]
0.1≦μs≦1.0
を満たすことを特徴とする。
《1−1》画像形成装置の構成
図1は、本発明の第1の実施形態に係る転写ベルトを適用することができる転写ユニット及び画像形成装置1の縦断面構造を概略的に示す図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、主要な構成として、画像形成部10と、給紙部20と、転写ユニット30と、定着器40と、排紙部50とを有している。画像形成装置1は、電子写真方式を採用する複数の画像形成ユニット11,12,13,14を有するタンデム型のカラープリンタである。ただし、画像形成装置1は、カラープリンタに限定されず、複写機、ファクシミリ、多機能周辺機器(MPF)等の装置であってもよい。
図2は、第1の実施形態に係る転写ベルト34の一部の構造の一例を概略的に示す断面図である。また、図3は、第1の実施形態に係る転写ベルト34aの一部の構造の他の例を概略的に示す断面図である。以下の転写ベルトの説明は、図2を中心に行うが、図3の構成は図2の構成とフィラーの形状を除いて同じである。
0.05[μm]≦Rz≦1.21[μm] (1)
0.1≦μs≦1.0 (2)
0.05[μm]≦Rz≦1.05[μm] (3)
0.1≦μs≦0.65 (4)
転写ベルト34の製造方法(転写ベルト34aも同様)は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のようなプロセスによって作製する。
《1−4−1》トナー
中抜け評価及びクリーニング性評価には、以下のトナーを使用した。トナーは、粉砕法で主構成組成としたポリエステル樹脂を用い、粒径が4.5〜6.5[μm]の範囲内で真球度が0.90〜0.94の範囲内のものを使用した。このような条件を満たすトナーを用いる理由は、転写効率の向上、定着の離型剤レス、及びドット再現性や解像度に優れた現像を行なうことにより、画像のシャープネス及び高画像品位を得ることができるからである。
転写ベルト34の外側の表面のクリーニングには、図5に示されるようなクリーニングブレード37を用いる。クリーニングブレード37は、ゴム硬度がJIS A65〜100°の範囲にある弾性材料で構成することが好適である。例えば、クリーニングブレード37は、ゴム硬度がJIS A83°で、板厚が1.5[mm]のウレタンゴムを使用し、支持部材372によって画像形成装置の転写ユニットに固定した。このようなクリーニングブレード37を用いる理由は、ウレタンゴム等の弾性材からなるクリーニングブレード方式が、残留現像剤や異物等を除去する機能に優れ、その構成が簡単かつコンパクトで低コストであるからである。また、ゴム材料としては、高硬度でしかも弾性に富み、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、耐オゾン性等に卓越しているウレタンゴムが適しているからである。また、クリーニングブレード37は、転写ベルト34に線接触しており(図5の紙面に垂直な転写ベルト34の幅方向の直線状の接触部を有する)、その線圧は、1〜6[g/mm]の範囲内であることが好ましく、2〜5[g/mm]の範囲内であることがより好ましい。第1の実施形態では、図5に示されるように、線圧が4.3[g/mm]となるように設定した。線圧の下限値を設ける理由は、線圧が小さ過ぎると、クリーニングブレード37の転写ベルト34への密着性が不足することにより、クリーニング不良が発生しやすいからである。また、線圧の上限値を設ける理由は、線圧が大き過ぎると転写ベルト34との接触が面接触となることで、摩擦抵抗が過剰になり、掻き取り力よりも押付け力が勝ることで、クリーニングブレード37のメクレといつた不具合が発生しやすくなるからである。
性能評価に用いたクリーニングブレード37は、転写ベルト34の表面特性として、表面の粗さ、表面の滑り性に着目し、表面粗さ(十点平均粗さ)Rzを指標とし、表面の滑り性は静止摩擦係数μsを指標とした。表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、キーエンス(KEYENCE)社製のレーザマイクロスコープ、VK8500(対物レンズ倍率を50倍に設定)を用いて測定した。この測定は、JIS B0601−1944に基づく表面粗さの測定である。静止摩擦係数μsは、新東科学株式会社製、ポータブル摩擦計、ミューズType94i−II(スライダー:ハードクロム処理がされた黄銅40[g])を用いて測定した。
第1の転写部35による1次転写工程におけるドット中抜けの評価は、図1に示す画像形成装置1を使用して転写ベルト34の外側の面にブラック(Bk)、イエロー(Ye)、マゼンダ(Ma)、シアン(Cy)の各色のトナー像を形成させ、そのトナー像を実体顕微鏡で観察し、中抜けの有無及びそのレベル判定を行い評価した。ドット中抜けの試験は、通常温度・通常湿度環境(NN環境)(23[℃]、50[%RH])下で、画像形成装置1の解像度を600[dpi]に設定して行った。また、転写ベルト34の外側の面に形成させる画像としては、ハーフトーンを選択した。ハーフトーンを選択した理由は、ベタ画像とは異なり、ドットを独立して観測することができるからである。細線の中抜けの評価は、転写ベルト34の外側の面に幅1.5[mm]のイエロー(Ye)細線及び赤細線(マゼンタ(Ma)とイエロー(Ye)の混合)を印字し、そのトナー像を実体顕微鏡で観察し、細線中抜けの評価を行った。単一色だけでなく2次色である赤細線の評価をも行った理由は、2次色は単一色に比べ、転写ベルト34上に形成させるトナー像の厚みが厚く、より押圧力に対して応力集中を受けやすく、中抜けがしやすい画像だからである。
「○(丸印)」は、図6(a)の上段に示されるように、ドット中抜けがなく、円形状のドットがきれいに再現されていることを示し、
「△(三角印)」は、図6(a)の中段に示されるように、ドットの中抜けはないが、変形したドットが存在している、又は、極軽微な中抜けが存在していることを示し、
「×(バツ印)」は、図6(a)の下段に示されるように、ドットがドーナツ状になっており、ドットの形状も大きく変形していることを示している。
「○(丸印)」は、図6(b)の上段に示されるように、細線中抜けがないことを示し、「△(三角印)」は、図6(b)の中段に示されるように、細線の中央部がややかすれており、薄くなっていることを示し、
「×(バツ印)」は、図6(c)の下段に示されるように、細線の中央部にトナーが存在しておらず、2本の線のようになっていることを示している。
クリーニング性能評価は、23[℃]、50[%RH]のNN環境下で、転写ベルト34上にイエロー(Ye)のハーフトーンの画像を1次転写させた後に、転写ベルト34の走行に伴うクリーニングブレード37のクリーニングによってトナーの掻き取りを行い、クリーニングブレード37を通過した転写ベルト34表面の状態を目視観察することによって行った。
「◎(二重丸印)」は、200Kページ(200,000枚)印刷しても、トナーのすり抜けや異音が発生しなかったことを示しており、
「○(白丸印)」は、トナーすり抜けが発生しなかったことを示しており、
「△(白三角印)」は、90%以上のトナーは清掃できたが、トナーが線状に転写ベルト34上に残存するトナーのすり抜けが発生したことを示しており、
「×(バツ印)」は、トナーがクリーニングブレード37によって掻き取れず、90%以上のトナーが転写ベルト34上に残存していることを示しており、
「□(白四角印)」は、クリーニングブレード37と転写ベルト34の当接部からクリーニングブレード37のビビリ音(異音)が発生し、十分にトナーが掻き取れなかったことを示している。なお、トナーすり抜けとは、転写ベルト34の外側の面上に残留したトナーが、クリーニングブレード37によって掻き取られずに、クリーニングブレード37よりも転写ベルト移動方向の下流側に移動することを言う。
「◎(二重丸印)」は、中抜けは発生せず、200Kページ印刷しても、トナーのすり抜けや異音が発生しなかったことを示し、
「○(白丸印)」は、中抜けは発生せず、クリーニング異常も無を示し、
「▲(黒三角印)」は、中抜けが発生し、クリーニング異常は無を示し、
「■(黒四角印)」は、中抜けは発生せず、クリーニング異常は発生することを示し、
「×(バツ印)」は、中抜けが発生し、クリーニング異常も発生することを示している。
図7(表1)及び図8の結果より、弾性層342が分散したフィラー342bを含むことで、フィラー無添加の転写ベルト34に比べ、中抜けの発生度合いが低下していることがわかる。また、転写ベルト34の外側の面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが1.2[μm]以下、静止摩擦係数μsが1.0以下にすることで、転写ベルト34表面の残トナーをクリーニングブレード37によって清掃することが可能であることがわかった。一方で、表面層343にフィラー342bが添加された転写ベルト34については、中抜けは発生は少ないものの、クリーニングブレード37によって転写ベルト34上の残トナーを清掃できないことがわかった。
以上に説明したように、基層341、弾性層342、及び表面層343を有する転写ベルト34において、弾性層342内部にフィラー342bを分散させることで、転写ベルト34上にトナー像が積層した2次色を形成した場合においても、感光ドラム61と転写ベルト34の接触部において、トナー像の圧力吸収及び分散することが可能となり、1次転写工程における中抜け現象が発生せず、良好な画像を提供することができる。
《2−1》転写ベルトの製造方法
第2の実施形態において、第1の実施形態と同じ又は対応する構成には、同じ符号を付与する。第1の実施形態に示した弾性層342を構成するウレタン溶液に、粒径が3[μm]の弾性ウレタンゴム粉を分散させた塗料を、基層341に塗布し過熱することで、弾性ウレタンフィラー342cを弾性層342に内包する、弾性層342の膜厚10〜200[μm]である2層転写ベルトを得た。第2の実施形態で使用した弾性フィラー342cは、タイプA硬度が30°であるウレタンゴムを粉砕し、ふるいにかけ分級した粒子を弾性層342に内包するフィラー342cとした。得られた2層体の外側の面に、第1の実施形態と同様に、アクリルコートを施し、転写ベルト34を得た。
第1の実施形態と同様に1次転写工程における転写ベルト34上の中抜けの評価は、図1に示す画像形成装置1を使用して転写ベルト34の外側の面に2次色である赤細線(マゼンタ(Ma)とイエロー(Ye)の混合)を形成させ、そのトナー像を実体顕微鏡で観察し、中抜けの有無及びそのレベル判定を行い評価した。2次色を選択した理由は、単一色の画像に比べて転写ベルト34上にトナー像を多く積層するため、感光ドラム61と転写ベルト34の押し圧力によって、トナー像に加わる応力が分散されにくく、細線の中央が白く抜けやすくなるからである。
1次転写工程における転写ベルト34上の細線中抜け評価の判定は、第1の実施形態と同様に、図6(b)に示すような基準を用いて、実体顕微鏡による観察結果からレベル判定した。すなわち、1次転写工程における転写ベルト34上の細線中抜けの評価結果を示した図9(表2)において、転写ベルト34上の細線中抜け判定の結果は、以下のように示されている。
「○(丸印)」は、細線中抜けが無いことを示し、
「△(三角印)」は、細線の中央部がややかすれており、薄くなっていることを示し、
「×(ばつ印)」は、細線の中央部にトナー存在しておらず、2本の線になっていることを示している。
図9は、第2の実施形態に係る転写ベルトの実施例12〜19及び5、並びに、比較例12〜14において、転写ベルトの外側の面上にトナー像を形成した場合における、トナー像の評価結果(表2)を示す図である。図9(表2)の結果より、弾性フィラー342cを用いた第2の実施形態に係る転写ベルトは、第1の実施形態に示したような硬質のアクリルフィラー342bを弾性層342の弾性材料342a内に分散した場合に比べて、弾性層342の膜厚を薄くしても中抜けを改善できる。すなわち、第1の実施形態の場合のように、硬質のフィラー342bを使用した場合、弾性層342の膜厚が50[μm]以上必要であるのに対し、第2の実施形態の場合のように弾性フィラー342cを使用した場合には、弾性層342の膜厚が30[μm]以上で中抜けが発生しないことが確認できた。これは、第1の実施形態において既に説明したように、中抜け現象は、トナー像が、感光ドラム61と転写ベルト34との間の押し圧力の集中領域を通過することによって発生するからである。すなわち、弾性フィラー342cを含む弾性層342を構成要素とする転写ベルト34は、硬質のフィラー342bを分散させた第1の実施形態の場合に比べ、フィラー342cと弾性層342を合わせた転写ベルト34としての硬さが軟らかくなり、転写ベルト34上のトナー像が受ける応力をより吸収しやすくなったためであると考えられる。
以上に説明したように、第2の実施形態に係る転写ベルトは、弾性層342に内包させるフィラー342cにゴム弾性を持たせることで、硬質のフィラー342bを内包させた場合(第1の実施形態)に比べ、より効率的にトナー像に加わる応力を吸収及び分散することができる。このため、第2の実施形態に係る転写ベルトは、弾性層342の薄膜化が可能であり、転写ベルト34の膜厚ムラを小さくすることができる。よって、第2の実施形態に係る転写ベルトによれば、中抜けの改善と共に、転写ベルト34の膜厚ムラに起因する画ずれを抑制することができる。
Claims (15)
- 現像剤像を担持する無端状の転写ベルトであって、
基層と、
弾性材料と該弾性材料内に分散するフィラーとを含み、前記基層の外側に積層された弾性層と、
前記弾性層の外側に積層された表面層と
を有し、
前記フィラーは、ウレタンゴム粒子であって、
前記弾性層の膜厚は30[μm]〜200[μm]であって、
前記表面層の表面の十点平均粗さをRzで表し、
前記表面層の表面の静止摩擦係数をμsで表したときに、
0.05[μm]≦Rz≦1.21[μm]
0.1≦μs≦1.0
を満たすことを特徴とする転写ベルト。 - 前記弾性層を厚み方向に切る断面において、前記断面の面積に対する前記フィラーが占める面積の割合である面積分率が、1以上30[%]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の転写ベルト。
- 前記フィラーは、前記弾性材料の硬さよりも高い硬さを持つことを特徴とする請求項1又は2に記載の転写ベルト。
- 前記フィラーは、前記弾性材料の硬さと異なる硬さを持つことを特徴とする請求項1又は2に記載の転写ベルト。
- 0.05[μm]≦Rz≦1.05[μm]
を満たすことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の転写ベルト。 - 0.1≦μs≦0.65
を満たすことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の転写ベルト。 - 前記弾性層のタイプA硬度が、70°以下であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の転写ベルト。
- 前記弾性層のタイプA硬度が、25°以上50°以下の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載の転写ベルト。
- 前記フィラーの体積平均粒径が、0.3[μm]以上30[μm]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載の転写ベルト。
- 前記フィラーの体積平均粒径が、1.5[μm]以上10[μm]以下の範囲内にあることを特徴とする請求項9に記載の転写ベルト。
- 前記転写ベルトの体積抵抗率が、108[Ω・cm]以上1014[Ω・cm]以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の転写ベルト。
- 回転可能に支持された複数のローラと、
前記複数のローラに張架された無端状の、請求項1から11までのいずれか1項に記載の転写ベルトと、
像担持体上に担持された現像剤像を前記転写ベルト上に転写する第1の転写部と、
前記転写ベルト上に転写された前記現像剤像を記録媒体上に転写する第2の転写部と
を有することを特徴とする転写ユニット。 - 現像剤像を担持するための像担持体を有する画像形成ユニットと、
回転可能に支持された複数のローラと、
前記複数のローラに張架された無端状の、請求項1から11までのいずれか1項に記載の転写ベルトと、
前記像担持体上に担持された現像剤像を前記転写ベルト上に転写する第1の転写部と、
前記転写ベルト上に転写された前記現像剤像を記録媒体上に転写する第2の転写部と
を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記現像剤像を形成する現像剤は、主成分がポリエステル樹脂を用いたトナーであって、粒径が4.5[μm]〜6.5[μm]の範囲内であり、かつ、真球度が0.90〜0.94の範囲内であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
- 前記転写ベルトと当接し、前記転写ベルト上の前記現像剤をクリーニングするためのクリーニングブレードを有し、
前記クリーニングブレードは、ウレタンゴムで形成され、前記転写ベルトに1[g/mm]〜6[g/mm]の線圧で当接する
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
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