JP2019124766A - 中間転写体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素化合物をコーティングした中間転写体のクリーニングブレードによるクリーニング性能を長期にわたり維持することを可能とする中間転写体の製造方法を提供する。【解決手段】画像形成装置100にて用いられる中間転写体7の製造方法は、基層7aと表層7bとを有し、表層7bは結着樹脂とパーフルオロポリエーテルとを含有する中間転写体を形成する形成工程と、形成工程の後に、表層7bの表面を研磨する研磨工程と、研磨工程の後に、有機溶剤を使用して表層7bの表面を清掃する清掃工程と、を有し、清掃工程は、該清掃工程後の新品の中間転写体7を、所定の条件で空回転させた場合に、ブレード29に裏回りする付着物の幅が30μm以下となるように行う。【選択図】図5
Description
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置にて用いられる中間転写体の製造方法に関するものである。
従来、電子写真方式などを利用した画像形成装置として、中間転写体を用いる中間転写方式の画像形成装置がある。中間転写方式の画像形成装置では、感光体などの像担持体上に形成されたトナー像が中間転写体に1次転写され、その後中間転写体上のトナー像が記録材上に2次転写される。
中間転写方式の画像形成装置では、2次転写工程後に中間転写体上にトナー(2次転写残トナー)が残留する。そのため、次の画像を中間転写体に転写する前に中間転写体上の2次転写残トナーを除去するクリーニング工程が必要となる。中間転写体上の2次転写残トナーを除去する方式としては、ブレードクリーニング方式が広く用いられている。ブレードクリーニング方式では、中間転写体の表面の移動方向において2次転写部の下流に配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードで、移動する中間転写体上から2次転写残トナーを掻き取って回収する。クリーニングブレードとしては、一般に、ウレタンゴムなどの弾性体の板状部材が用いられている。このクリーニングブレードは、中間転写体の表面の移動方向に対してカウンター方向に、すなわち、クリーニングブレードの短手方向の自由端が該移動方向の上流側を向くようにして、該自由端側の先端のエッジ部で中間転写体の表面に圧接させられることが多い。
中間転写体としては、半導電性の無端状のベルト(以下、単に「ベルト」ともいう。)で構成された中間転写ベルトが一般的である。代表的なものとしては、熱硬化性樹脂であるポリイミドやポリアミドイミド中にカーボンブラックを分散させて形成したベルトが挙げられる。また、最近では、熱可塑性樹脂中にカーボンブラックを分散させた樹脂組成物を溶融押出し成形することによってベルトを製造することが検討されている。
さらに、中間転写体は、更なる高機能化のため、様々な改良が行われている。例えば、中間転写体の表面に撥水性及び撥油性を有するフッ素化合物をコーティングすることで、転写効率を高めることが提案されている(特許文献1、2)。また、中間転写体とクリーニングブレードとの間の接触面積を少なくしてクリーニングブレードの捲れを抑制したり、転写性を改善したりするために、中間転写体の表面を砥粒により研磨して、中間転写体の表面を所望の表面粗さにすることが提案されている(特許文献3、4)。
しかしながら、フッ素化合物をコーティングした中間転写体の、クリーニングブレードによるクリーニング性能を評価したところ、以下のような課題があることがわかった。
つまり、フッ素化合物をコーティングした中間転写体、特に、表面研磨を行った中間転写体では、数千枚の印刷を行うとクリーニングブレードに堆積物が付着することがある。そして、2次転写残トナーが、その堆積物の付着したクリーニングブレードの部分を通過する際に、クリーニングブレードをすり抜け、次の印刷物のトナー像が乱れてしまうことがある。
したがって、本発明の目的は、フッ素化合物をコーティングした中間転写体のクリーニングブレードによるクリーニング性能を長期にわたり維持することを可能とする中間転写体の製造方法を提供することである。
上記目的は本発明に係る中間転写体の製造方法にて達成される。要約すれば、本発明は、中間転写体を周回移動させ、1次転写部に電圧を印加して像担持体から前記中間転写体に1次転写したトナー像を2次転写部に電圧を印加して記録材に2次転写すると共に、2次転写後に前記中間転写体に残留したトナーを、前記中間転写体の移動方向と略直交する方向に配置される長手方向と該長手方向と略直交する短手方向とにそれぞれ所定の長さを有するブレードの短手方向の先端を、該先端が前記中間転写体の移動方向の上流側を向くカウンター方向で前記中間転写体に当接させて掻き取る動作を行う画像形成装置にて用いられる中間転写体の製造方法において、基層と表層とを有し、前記表層が結着樹脂とパーフルオロポリエーテルとを含有する中間転写体を形成する形成工程と、前記形成工程の後に、前記表層の表面を研磨する研磨工程と、前記研磨工程の後に、有機溶剤を使用して前記表層の表面を清掃する清掃工程と、を有し、前記清掃工程は、該清掃工程後の新品の前記中間転写体を、前記1次転写部及び前記2次転写部に対応する電圧印加部で該中間転写体にそれぞれ6.5kVの電圧を印加し、前記ブレードを該中間転写体に当接させた状態で、300mm/secの移動速度で10分間周回移動させた場合に、該ブレードと該中間転写体との当接部より該中間転写体の移動方向の下流側において該中間転写体に対向する該ブレードの面である当接面に付着している付着物の、該ブレードの短手方向における前記当接部側の端部から反対側の端部に向かう方向の幅の最大値が30μm以下となるように行うことを特徴とする中間転写体の製造方法である。
本発明によれば、フッ素化合物をコーティングした中間転写体のクリーニングブレードによるクリーニング性能を長期にわたり維持することが可能となる。
以下、本発明に係る中間転写体の製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明を適用することのできる画像形成装置100の一実施例の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンターである。
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明を適用することのできる画像形成装置100の一実施例の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することが可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザービームプリンターである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKを有する。各画像形成部PY、PM、PC、PKにおける同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。画像形成部Pは、後述する感光ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4、1次転写ローラ5、ドラムクリーニング装置6などを有して構成される。
画像形成部Pは、トナー像を担持する像担持体としての、回転可能なドラム型(円筒形)の感光体(電子写真感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向に回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電処理された感光ドラム1の表面は、各画像形成部Pに対応した画像情報に応じて、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3によってレーザー光が照射されて走査露光され、感光ドラム1上に静電像(静電潜像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像手段としての現像装置4によって、各画像形成部Sに対応した色の現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、感光ドラム1上の、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下したイメージ部(露光部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。つまり、本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。
4個の感光ドラム1の全てと対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての駆動ローラ71、テンションローラ72及び2次転写対向ローラ73によって張架されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラ71が回転駆動されることによって、図中矢印R2方向に周回移動(回転)する。中間転写ベルト7の内周面側には、各感光ドラム1に対応して、1次転写手段としてのローラ型の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて押圧され、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)T1を形成する。本実施例では、1次転写ローラ5は、芯金(芯材)の外周に弾性体層としてゴム層が形成された弾性ローラ(ゴムローラ)で構成されている。上述のように感光ドラム1に形成されたトナー像は、1次転写部T1において、1次転写ローラ5の作用により、回転している中間転写ベルト7上に転写(1次転写)される。1次転写工程時に、1次転写ローラ5には、1次転写電源E1によって、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写電圧が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、各1次転写部T1において中間転写ベルト7上に重ね合わされるようにして順次転写される。
中間転写ベルト7の外周面側において、2次転写対向ローラ73と対向する位置には、2次転写手段としてのローラ型の2次転写部材である2次転写ローラ8が配置されている。2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して2次転写対向ローラ73に向けて押圧され、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)T2を形成する。本実施例では、2次転写ローラ8は、芯金(芯材)の外周に弾性体層としてゴム層が形成された弾性ローラ(ゴムローラ)で構成されている。上述のように中間転写ベルト7上に形成されたトナー像は、2次転写部T2において、2次転写ローラ8の作用により、紙などの記録材(記録媒体、転写材、シート)S上に転写(2次転写)される。2次転写工程時に、2次転写ローラ8には、2次転写電源E2によって、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である2次転写電圧が印加される。記録材Sは、記録材収容部(図示せず)に積載されており、給送ローラ(図示せず)などによってレジストローラ15まで搬送され、このレジストローラ15によって中間転写ベルト7上のトナー像とタイミングが合わされて2次転写部T2に供給される。
トナー像が転写された転写材Sは、定着手段としての定着装置9へと搬送される。定着装置9は、未定着のトナー像を担持した記録材Sを加熱及び加圧することで、記録材S上にトナー像を定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Sは、画像形成装置100の装置本体の外部に排出(出力)される。
また、1次転写部T1において中間転写ベルト7に転写されずに感光ドラム1上に残留したトナー(1次転写残トナー)は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置11が配置されている。つまり、ベルトクリーニング装置11は、中間転写ベルト7の表面の移動方向において、2次転写部T2より下流かつ1次転写部T1(最上流の1次転写部T1Y)より上流のクリーニング部で中間転写ベルト7をクリーニングするように配置されている。2次転写部T2において記録材Sに転写されずに中間転写ベルト7上に残留したトナー(2次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置11によって中間転写ベルト7上から除去されて回収される。
なお、本実施例では、張架ローラ71、72、73、中間転写ベルト7、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5K、ベルトクリーニング装置11などは、画像形成装置100の装置本体に着脱可能な中間転写ベルトユニット13を構成している。
2.ベルトクリーニング装置
次に、ベルトクリーニング装置11の構成について説明する。図2(a)は、後述するクリーニングブレード29が弾性変形していない場合のクリーニングブレード29の取り付け位置を説明した仮想断面図であり、図2(b)は、ベルトクリーニング装置11の近傍の主断面図である。
次に、ベルトクリーニング装置11の構成について説明する。図2(a)は、後述するクリーニングブレード29が弾性変形していない場合のクリーニングブレード29の取り付け位置を説明した仮想断面図であり、図2(b)は、ベルトクリーニング装置11の近傍の主断面図である。
ベルトクリーニング装置11は、クリーニング容器12と、クリーニング容器12内に設けられたクリーニング作用部28と、を有する。クリーニング作用部28は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード29と、クリーニングブレード29を支持する支持部材30と、を有する。クリーニングブレード29は、弾性材料であるウレタンゴム(ポリウレタン)で形成された弾性ブレード(ゴム部)である。また、支持部材30は、メッキ鋼板を材料とする板金で形成されている(板金部)。本実施例では、クリーニングブレード29が支持部材30に接着されて、クリーニング作用部28が構成されている。
クリーニングブレード29は、所定の厚さを有する一方向に長い板状部材である。クリーニングブレード29は、略直交する2辺のうち長手方向の一辺が中間転写ベルト7の表面の移動方向と略直交する方向に沿って延在し、短手方向の一辺の一方の端部側が中間転写ベルト7の表面に接触する。つまり、クリーニングブレード29は、中間転写ベルト7の表面の移動方向と略直交するように配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する、板状部材(ブレード)である。本実施例では、クリーニングブレード29の厚さは2mmであり、クリーニングブレード29の硬度はJIS K 6253規格で77度である。
クリーニング作用部28は、揺動可能に構成されている。すなわち、支持部材28は、クリーニング容器12に固定された揺動軸32を介して揺動可能に支持されている。そして、クリーニング容器12内に設けられた付勢手段として加圧バネ31で支持部材30が加圧されることで、揺動軸32を中心としてクリーニング作用部28が可動し、クリーニングブレード29が中間転写ベルト7に付勢(押圧)される。クリーニングブレード29に対向して、中間転写ベルト7の内側には、駆動ローラ71が配置されている。クリーニングブレード29は、駆動ローラ71上の位置で、中間転写ベルト7の表面の移動方向に対してカウンター方向に中間転写ベルト7に当接されている。つまり、クリーニングブレード29は、その短手方向における自由端側の先端が中間転写ベルト7の表面の移動方向の上流側を向くようにして、中間転写ベルト7の表面に当接させられている。換言すれば、クリーニングブレード29は、中間転写ベルト7との当接部よりも中間転写ベルト7の表面の移動方向の下流側において中間転写ベルト7の表面の移動方向に対して鋭角となるように傾斜させられた状態で、その先端が中間転写ベルト7に当接させられている。これにより、クリーニングブレード29と中間転写ベルト7との間に、当接部であるブレードニップ部33が形成されている。クリーニングブレード29は、ブレードニップ部33において、移動する中間転写ベルト7の表面からトナーを掻き取る。
本実施例では、クリーニングブレード29の取り付け位置は、次のように設定されている。図2(a)に示すように、設定角θが24°、侵入量δが1.5mm、当接圧が0.6N/cmである。ここで、設定角θは、中間転写ベルト7とクリーニングブレード29(より詳細にはその自由端側の端面)との交点における駆動ローラ71の接線と、クリーニングブレード29(より詳細にはその厚さ方向に略直交する一方の表面)とがなす角度である。また、侵入量δは、クリーニングブレード29が駆動ローラ71に対して重なる厚さ方向の長さである。また、当接圧は、ブレードニップ33におけるクリーニングブレード29からの押圧力(長手方向における線圧)で定義され、例えばフィルム式加圧力測定システム(商品名:PINCH,ニッタ社製)を用いて測定される。このように設定することで、高温高湿環境下(30℃/80%)でのクリーニングブレード29の捲れやスリップ音を抑制でき、良好なクリーニング性能を得ることができる。また、このように設定することで、低温低湿環境下(15℃/10%)でのクリーニング不良を抑制して、良好なクリーニング性能を得ることができる。
なお、中間転写ベルト7の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード29のゴム硬度は、JIS K 6253規格で、70度以上、80度以下の範囲が好ましい。ゴム硬度が上記範囲よりも低いと、使用による摩耗量が増加して、耐久性が低下することがあり、上記範囲よりも高いと弾性力が減少して、中間転写ベルト7との摩擦により欠けなどが発生することがある。また、中間転写ベルト7の材料などに応じて適宜選定されるものであるが、クリーニングブレード29の当接圧は、0.4N/cm以上、0.8N/cm以下の範囲が好ましい。当接圧が上記範囲よりも小さいと、良好なクリーニング性能が得られないことがあり、上記範囲よりも大きいと中間転写ベルト7を回転駆動するための負荷が大きくなりすぎることがある。また、クリーニングブレード29の厚さは、1.5mm以上、2.5mm以下の範囲が好適である。また、設定角θは、15°以上、30°以下の範囲、侵入量δは、1.0mm以上、2.0mm以下の範囲が好適である。
3.中間転写ベルト
次に、本実施例における中間転写ベルト7について説明する。図3は、本実施例における中間転写ベルト7の模式的な断面図である。本実施例では、中間転写ベルト7は、基層7aと、表層7bと、を有する。なお、中間転写ベルト7は、例えば基層7aと表層7bとの間に配置される中間層などの他の層を有していてもよく、基層7aと表層7bとを含む多層構成であればよい。そして、表層7bは、結着樹脂(バインダー樹脂)と、フッ素化合物としてのパーフルオロポリエーテルを含有する。このような中間転写ベルト7は、特許文献1、2に記載されるものと同様のものであってよい。特許文献1に記載される中間転写ベルトは、表層がその厚み方向において、マトリックス中にドメインが存在してなるマトリックス−ドメイン構造を有しており、マトリックスが結着樹脂を含み、ドメインがパーフルオロポリエーテルを含んでいる。また、特許文献2に記載される中間転写ベルトは、表層が、バインダー樹脂、パーフルオロポリマー微粒子、フッ素樹脂分散剤及びフッ素化合物を有している。そして、該パーフルオロポリマー微粒子が表面に該フッ素化合物を担持しており、該フッ素化合物がパーフルオロポリエーテル化合物又はパーフルオロアルキル基を有する分岐状ポリマー化合物である。
次に、本実施例における中間転写ベルト7について説明する。図3は、本実施例における中間転写ベルト7の模式的な断面図である。本実施例では、中間転写ベルト7は、基層7aと、表層7bと、を有する。なお、中間転写ベルト7は、例えば基層7aと表層7bとの間に配置される中間層などの他の層を有していてもよく、基層7aと表層7bとを含む多層構成であればよい。そして、表層7bは、結着樹脂(バインダー樹脂)と、フッ素化合物としてのパーフルオロポリエーテルを含有する。このような中間転写ベルト7は、特許文献1、2に記載されるものと同様のものであってよい。特許文献1に記載される中間転写ベルトは、表層がその厚み方向において、マトリックス中にドメインが存在してなるマトリックス−ドメイン構造を有しており、マトリックスが結着樹脂を含み、ドメインがパーフルオロポリエーテルを含んでいる。また、特許文献2に記載される中間転写ベルトは、表層が、バインダー樹脂、パーフルオロポリマー微粒子、フッ素樹脂分散剤及びフッ素化合物を有している。そして、該パーフルオロポリマー微粒子が表面に該フッ素化合物を担持しており、該フッ素化合物がパーフルオロポリエーテル化合物又はパーフルオロアルキル基を有する分岐状ポリマー化合物である。
基層としては、代表的には、樹脂に導電剤を含有させた半導電性のベルトが挙げられる。基層の樹脂としては、熱硬化性又は熱可塑性のいずれの樹脂を使用することも可能である。代表的には、高強度かつ高耐久性であることから、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、又は、ポリエステルが使用される。この樹脂は、単一のものでもよく、ブレンド、アロイされた混合体でもよく、目的とされる機械強度などの特性に応じて最適に選択される。基層は、例えばポリイミドなどの熱硬化性樹脂の場合、次のようにして形成することができる。導電剤であるカーボンブラックを、ポリイミド前駆体又は可溶性ポリイミド中に溶剤とともに分散してワニスとし、遠心成型などの装置を用いてコーティング、焼成工程を経てシームレスベルトとして成型することができる。また、基層は、熱可塑性樹脂の場合、次のようにして形成することができる。導電剤であるカーボンブラックと樹脂、必要であれば添加剤を混合し、2軸の混練装置の如き混練手段で溶融混練して半導電性のペレットを作成する。次に、該樹脂組成物を溶融押出しによりシート、フィルムあるいはシームレスベルト形状に押出す方法により半導電性ベルトを得ることができる。熱プレス、射出成型を使用して成型することもできる。
表層の結着樹脂(バインダー樹脂)としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂が用いられ、それらの混合樹脂も用いることができる。その中でも特に、メタクリル樹脂又はアクリル樹脂(ここでは、これらを総称してアクリル系樹脂ということがある。)を好ましく用いることができる。表層は、例えば、次のようにして形成することができる。アクリル系樹脂を形成するための重合性モノマー、溶媒、パーフルオロポリエーテル(あるいはパーフルオロポリマー微粒子及びフッ素化合物)、分散剤を湿式分散装置で均一分散する。その分散性液体を基層上にバーコート、スプレーコート、リングコートなどの方法でコート(塗布)して、分散液の塗膜を形成する。次いで、溶媒を乾燥させて、塗膜から溶媒を除去したのち、その塗膜を熱硬化、電子線硬化又はUV硬化の如き硬化方法で重合して最終的な表層を形成する。このとき、重合を行うための重合開始剤を適宜使用してもよい。また、その他、導電剤、酸化防止剤、レベリング剤、架橋剤及び難燃剤の如き公知の添加剤を適宜配合して使用してもよい。表層の膜厚は、実機耐久条件での摩耗及び損耗に対する耐久性を考慮すると1μm以上であることが好ましく、また、ベルトを張架したときの耐屈曲性を考慮すると20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。表層の膜厚についての成膜条件(例えば固形分濃度、成膜速度)を調整することにより適宜所望の膜厚を形成することが可能である。
フッ素化合物としてのパーフルオロポリエーテル(ここでは、「PFPE」ともいう。)は、パーフルオロアルキレンエーテルを繰り返し単位とするオリゴマー又はポリマーを総称して呼ばれている。パーフルオロアルキレンエーテルの繰り返し単位としては、パーフルオロメチレンエーテル、パーフルオロエチレンエーテル、及び、パーフルオロプロピレンエーテルが挙げられる。本実施例では、そのいずれのパーフルオロポリエーテル化合物も使用することが可能である。PFPEとしては、オイル状のポリマーであるフッ素オイルとして知られているものがある。具体的には、ダイキン工業のデムナム、デュポン社のクライトックス、ソルベイソレクシス社のフォンブリンが挙げられる。具体的には、フッ素を含有していないアルキルユニットを末端に持つPFPEであるソルベイソレクシス(株)のFluorolinkMD500、MD700、5101X、5113X、AD1700、Fomblin MD40やダイキン工業(株)のオプツールDAC−HPや信越化学工業(株)のKY1203がある。アクリル基以外では、シリル基を有するPFPEであるソルベイソレクシス(株)のFluorolinkS10や、ダイキン工業(株)のオプツールDAC−DSX、信越化学工業(株)のKY164、KY108が挙げられる。
また、中間転写ベルト7の表層7bの表面は、中間転写ベルト7とクリーニングブレード29との間の摩擦係数を下げて、クリーニングブレード29の捲れを抑制するなどのために、研磨処理を行うことができる。研磨処理は、ラッピングフィルムやサンドペーパーを使用して行うことができる。研磨処理は、研磨剤を使用して行ってもよい。
ここで、前述のように、フッ素化合物をコーティングした中間転写ベルト7、特に、表面研磨を行った中間転写ベルト7では、数千枚の印刷を行うとクリーニングブレード29に堆積物が付着することがあることがわかった。そして、2次転写残トナーが、その堆積物の付着したクリーニングブレード29の部分を通過する際に、クリーニングブレード29をすり抜け、次の印刷物のトナー像が乱れてしまうことがあることがわかった。
そこで、本実施例では、フッ素化合物をコーティングした中間転写ベルト7、特に、表面研磨を行った中間転写ベルト7は、その表層7bの表面が有機溶剤を使用して清掃される。これにより、中間転写ベルト7の表層7bの表面、特に、表面研磨を行った中間転写ベルト7の表層7bの表面から、中間転写ベルト7の製造過程、特に、研磨処理の残留物(低分子フッ素化合物成分など)が効果的に除去される。典型的には、この清掃処理は、中間転写ベルト7の製造工程の一部として又は工場出荷に先立つ処理として行われる。また、典型的には、この清掃処理は、アルコールを含有したクリーニングクロスで表層7bの表面を拭くことで行う。
そして、この清掃処理を、後述する所定の条件で中間転写ベルト7の空回転を行った場合にクリーニングブレード29に裏回りする付着物の幅が所定値以下になるように行うことで、上記クリーニングブレード29への堆積物の付着を抑制することができる。つまり、上記クリーニングブレード29への堆積物の付着は、中間転写ベルト7の表層7bの表面に、中間転写ベルト7の製造過程、特に、研磨処理の残留物(低分子フッ素化合物成分など)が付着することによるものである。そのため、上記中間転写ベルト7の表層7bの表面の清掃処理を一度十分に行えば、該表面から残留物が除去されるため、その後は上記クリーニングブレード29への堆積物の付着による問題を十分に抑制することができる。
4.具体例
次に、本実施例に従う中間転写ベルトの具体例について説明する。ただし、本発明は、以下の具体例に限定されるものではない。
次に、本実施例に従う中間転写ベルトの具体例について説明する。ただし、本発明は、以下の具体例に限定されるものではない。
ここでは、概略、次のような比較評価を行った。つまり、ポリイミド製のベルトを基層とし、この基層上にフッ素化合物を含有する分散液をリングコート法により塗布した。この分散液の塗膜をUV硬化することで表層(フッ素含有アクリルコート)を形成した。このベルトの表層の表面を、エタノールを含有した超極細繊維のクロスで清掃して、本実施例に従う中間転写ベルト(表層の膜厚4μm)を得た。また、上記清掃処理の量を変えた比較例の中間転写ベルトと、上記清掃処理を行わない比較例の中間転写ベルトと、を用意した。なお、上記ポリイミド製のベルトとしては、キヤノン社製imageRUNNER ADVANCE C7270(ここでは、「試験機」ともいう。)の中間転写ベルトを用いた。そして、高温高湿環境下で上記試験機に実施例及び比較例の中間転写ベルトをそれぞれ組み込み、トナーや紙を使わず1次転写部及び2次転写部に電圧を印加した状態で空回転を行った。その後、クリーニングブレードに裏回りした付着物の幅を計測した。また、上記試験機に実施例及び比較例の中間転写ベルトをそれぞれ組み込み、上記クリーニングブレードに裏回りした付着物の幅と、クリーニング性能との関係を調べた。
<中間転写ベルト>
下記の材料を、ホモジナイザーで撹拌し、ナノマイザーで分散処理をし、塗料A1を作成した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 32.0質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10.0質量部
・メチルエチルケトン 27.5質量部
・酢酸ブチル 27.5質量部
・2−プロパノール 15.0質量部
・光重合開始剤1(イルガキュア184) 2.0質量部
・光重合開始剤2(イルガキュア369) 1.4質量部
・パーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製MD700)
26.6質量部
・フッ素−アクリルグラフト重合体(東亜合成社製GF420、固形分35wt%)
49.6質量部
下記の材料を、ホモジナイザーで撹拌し、ナノマイザーで分散処理をし、塗料A1を作成した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 32.0質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10.0質量部
・メチルエチルケトン 27.5質量部
・酢酸ブチル 27.5質量部
・2−プロパノール 15.0質量部
・光重合開始剤1(イルガキュア184) 2.0質量部
・光重合開始剤2(イルガキュア369) 1.4質量部
・パーフルオロポリエーテル(ソルベイスペシャルティポリマーズ社製MD700)
26.6質量部
・フッ素−アクリルグラフト重合体(東亜合成社製GF420、固形分35wt%)
49.6質量部
次に、塗料A1に、下記の割合で導電剤を添加し、導電性塗料A2を作成した。
・塗料A1 77.0質量部
・導電性微粒子分散液1(セルナックスCX−S200IP) 7.2質量部
・導電性微粒子分散液2(セルナックスCX−Z400K) 3.6質量部
・塗料A1 77.0質量部
・導電性微粒子分散液1(セルナックスCX−S200IP) 7.2質量部
・導電性微粒子分散液2(セルナックスCX−Z400K) 3.6質量部
キヤノン社製imageRUNNER ADVANCE C7270の中間転写ベルト(ポリイミド製)を基層とし、この基層上に導電性塗料A2を塗布し、紫外線硬化することで平均厚み65μmの中間転写ベルトB1を得た。
上記中間転写ベルトB1の表層の表面を、有機溶剤であるエタノール(液体アルコール)を含有させた超極細繊維のクリーニングクロスである東レ社製トレシーMK(商品名)で拭き取ることによって清掃した。この清掃処理は、次のようにして行った。つまり、中間転写ベルトB1は、画像形成装置におけるものと同様の張架ローラに張架して、300mm/secの移動速度(周速度、回転速度)で回転させた。クリーニングクロスは、中間転写ベルトの幅(表面の移動方向と略直交する方向)の全域に接触可能な幅を有する。また、クリーニングクロスは、給送ローラから送り出し、巻取りローラで巻き取りながら、給送ローラと巻取りローラとの間において、中間転写ベルトの張架ローラのうち1つに対向する位置で中間転写ベルトに押圧させた。そして、クリーニングクロスの送り速度を50mm/minとし、中間転写ベルトの4周分清掃を行うことで、中間転写ベルトB2を得た。
また、上記中間転写ベルトB2を、さらに上記同様の条件で6周分(合計10周分)清掃することで、中間転写ベルトB3を得た。
<付着物の幅の測定方法>
次に、クリーニングブレード29の付着物の幅の測定方法について説明する。図4は、クリーニングブレード29の付着物の幅の測定系の模式図である。中間転写ベルト7を張架ローラ71、72、73によって張架する。そして、高温高湿環境下(30℃/80%)で、次の条件で中間転写ベルト7の空回転を行った。つまり、1次転写ローラ5及び2次転写ローラ73を介して1次転写部T1(本実施例ではT1Y、T1M、T1C、T1Kの4箇所)及び2次転写部T2にそれぞれ6.5kV(本実施例では正極性)の電圧を印加した。また、クリーニングブレード29(JIS K6253規格でゴム硬度70度以上80度以下のウレタンゴム製ブレード)を0.6N/cmの当接圧で中間転写ベルト7に当接させた。このとき、クリーニングブレード29は、前述のように中間転写ベルト7の表面の移動方向に対してカウンター方向となる向きで中間転写ベルト7に当接させた。そして、中間転写ベルト7を300mm/secの移動速度(周速度、回転速度)で10分間回転させた。なお、本実施例では、この中間転写ベルト7の空回転は、中間転写ベルト7をキヤノン社製imageRUNNER ADVANCE C7270に装着して行ったが、同様の機能を有する治具を用いて行ってもよい。
次に、クリーニングブレード29の付着物の幅の測定方法について説明する。図4は、クリーニングブレード29の付着物の幅の測定系の模式図である。中間転写ベルト7を張架ローラ71、72、73によって張架する。そして、高温高湿環境下(30℃/80%)で、次の条件で中間転写ベルト7の空回転を行った。つまり、1次転写ローラ5及び2次転写ローラ73を介して1次転写部T1(本実施例ではT1Y、T1M、T1C、T1Kの4箇所)及び2次転写部T2にそれぞれ6.5kV(本実施例では正極性)の電圧を印加した。また、クリーニングブレード29(JIS K6253規格でゴム硬度70度以上80度以下のウレタンゴム製ブレード)を0.6N/cmの当接圧で中間転写ベルト7に当接させた。このとき、クリーニングブレード29は、前述のように中間転写ベルト7の表面の移動方向に対してカウンター方向となる向きで中間転写ベルト7に当接させた。そして、中間転写ベルト7を300mm/secの移動速度(周速度、回転速度)で10分間回転させた。なお、本実施例では、この中間転写ベルト7の空回転は、中間転写ベルト7をキヤノン社製imageRUNNER ADVANCE C7270に装着して行ったが、同様の機能を有する治具を用いて行ってもよい。
その後、クリーニングブレード29を取り出し、形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製)を使用して、クリーニングブレード11に裏回りした付着物の幅を測定した。このとき観察される付着物は、主に中間転写ベルト7の表層7bの低分子フッ素成分であると考えられる。
図5は、クリーニングブレード29に裏回りした付着物の幅を説明するための模式図である。ここでは、ブレードニップ部33より中間転写ベルト7の表面の移動方向の下流側において中間転写ベルト7に対向する、クリーニングブレード29の長手方向に延在する面を当接面29aとする。そして、この当接面29aに付着している付着物の、クリーニングブレード29の短手方向におけるブレードニップ部33側の端部29bから反対側の端部29cに向かう方向の幅の最大値を、クリーニングブレード29に裏回りした付着物の幅とする。
<クリーニング性能の評価方法>
中間転写ベルト7のクリーニングブレード7によるクリーニング性能の評価を、次のようにして行った。
中間転写ベルト7のクリーニングブレード7によるクリーニング性能の評価を、次のようにして行った。
キヤノン社製imageRUNNER ADVANCE C7270に中間転写ベルトB1、B2、B3をそれぞれ組み込み、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色の像密度が1.5%の印字物を10,000枚分印刷した。次に、2次転写電流を0μAにした状態で全面ブルー(シアンとマゼンタがそれぞれ100%)の画像をA4用紙3枚分印刷した。このようにすることで、2次転写部T2で転写されなかった多量のトナーを、クリーニング部であるクリーニングブレード29と中間転写ベルト7との当接部(ブレードニップ部)33に送り、すり抜けが起きやすい状態を意図的に作り出した。
続いて、2次転写電流を通常の画像形成時の設定に戻し、1次転写部T1で当接している中間転写ベルト7と感光ドラム1とを離間させたあとに、2次転写部T2に白紙を通紙した。そして、2次転写部T2を通過した後の紙上にトナーが転写されている場合はブレードニップ部33でトナーのすり抜けが発生したとして評価をB、転写されていない場合はトナーのすり抜けが発生していないとして評価をAとした。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、クリーニングブレード29に裏回りした付着物の幅を30μm以下にすることで、フッ素化合物を含有したコート層を有する中間転写ベルト7のクリーニング性が良好になることが分かった。これは、有機溶剤による中間転写ベルト7の表層7bの表面の清掃処理によって、中間転写ベルト7の表層7bの低分子フッ素成分が除去されて、クリーニングブレード7による中間転写ベルト7の削れが抑制されることが要因であると考えられる。
また、中間転写ベルトB1の表層7bの表面をラッピングフィルムで研磨した中間転写ベルトB1’、この中間転写ベルトB1’に対して上記中間転写ベルトB2、B3を得た場合と同様の清掃処理を行った中間転写ベルトB2’、B3’も用意した。そして、これら中間転写ベルトB1’、B2’、B3’についても、上記同様の付着物の幅の測定及びクリーニング性能の評価を行った。その結果、中間転写ベルトB1’、B2’、B3’では、それぞれ中間転写ベルトB1、B2、B3の場合よりもクリーニングブレード29に裏回りする付着物の幅が大きくなる傾向があった。しかし、この場合も、該付着物の幅を30μm以下にするように清掃処理を行うことで、良好なクリーニング性能が得られることがわかった。
なお、中間転写ベルト7の表層7bの表面の清掃処理に使用する有機溶剤は、アルコールには限定されるものではなく、例えば、酢酸ブチルやメチルエチルケトンのような有機溶剤でもよい。また、中間転写ベルト7の表層7bの表面の清掃処理に使用する清掃部材は、クロスに限らず、ブラシなど任意の部材を使用することができる。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、中間転写体7を周回移動させ、1次転写部T1に電圧を印加して像担持体1から中間転写体7に1次転写したトナー像を2次転写部T2に電圧を印加して記録材Sに2次転写する動作を行う。また、それと共に、この画像形成装置100は、2次転写後に中間転写体7に残留したトナーを、クリーニングブレード29で掻き取るクリーニング動作を行う。なお、クリーニングブレード29は、中間転写体7の移動方向と略直交する方向に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有する。そして、クリーニング動作は、このクリーニングブレード29の短手方向の先端を、該先端が中間転写体7の移動方向の上流側を向くカウンター方向で中間転写体7に当接させて行う。そして、本実施例では、この画像形成装置100にて用いられる中間転写体7は、基層7aと表層7bとを有し、表層7bは結着樹脂とパーフルオロポリエーテルとを含有する。そして、この中間転写体7は、次のような所定の条件で空回転させた場合にブレード29に裏回りする付着物の幅が30μm以下である。つまり、新品の中間転写体7を、1次転写部T1及び2次転写部T2に対応する電圧印加部で該中間転写体7にそれぞれ6.5kVの電圧を印加する。また、クリーニングブレード79を該中間転写体7に当接させた状態で、300mm/secの移動速度で10分間周回移動させる。また、この所定の条件で空回転を行った場合の上記ブレード29に裏回りする付着物の幅は、次の値で代表される。つまり、該ブレード29と該中間転写体7との当接部33より該中間転写体7の移動方向の下流側において該中間転写体7に対向する該ブレード29の面を当接面29aとする。この場合に、該当接面29aに付着している付着物の、該ブレード29の短手方向における上記当接部側の端部29bから反対側の端部29cに向かう方向の幅の最大値である。
また、本実施例では、中間転写体7の製造方法は、次の各工程を有する。第1に、基層7aと表層7bとを有し、表層7bが結着樹脂とパーフルオロポリエーテルとを含有する中間転写体7を形成する形成工程である。第2に、形成工程の後に、表層7bの表面を研磨する研磨工程である。第3に、研磨工程の後に、有機溶剤を使用して表層7bの表面を清掃する清掃工程である。そして、この清掃工程は、該清掃工程後の新品の中間転写体7を、上記所定の条件で空回転させた場合に、ブレード29に裏回りする付着物の幅が30μm以下となるように行う。典型的には、上記清掃工程は、アルコールを含有したクリーニングクロスで表層の表面を拭くことで行う。
以上のように、本実施例によれば、フッ素化合物をコーティングした中間転写ベルト7のクリーニングブレード29によるクリーニング性能を長期にわたり維持することが可能となる。
1 感光ドラム
7 中間転写ベルト
11 ベルトクリーニング装置
29 クリーニングブレード
7 中間転写ベルト
11 ベルトクリーニング装置
29 クリーニングブレード
Claims (2)
- 中間転写体を周回移動させ、1次転写部に電圧を印加して像担持体から前記中間転写体に1次転写したトナー像を2次転写部に電圧を印加して記録材に2次転写すると共に、2次転写後に前記中間転写体に残留したトナーを、前記中間転写体の移動方向と略直交する方向に配置される長手方向と該長手方向と略直交する短手方向とにそれぞれ所定の長さを有するブレードの短手方向の先端を、該先端が前記中間転写体の移動方向の上流側を向くカウンター方向で前記中間転写体に当接させて掻き取る動作を行う画像形成装置にて用いられる中間転写体の製造方法において、
基層と表層とを有し、前記表層が結着樹脂とパーフルオロポリエーテルとを含有する中間転写体を形成する形成工程と、
前記形成工程の後に、前記表層の表面を研磨する研磨工程と、
前記研磨工程の後に、有機溶剤を使用して前記表層の表面を清掃する清掃工程と、
を有し、
前記清掃工程は、該清掃工程後の新品の前記中間転写体を、前記1次転写部及び前記2次転写部に対応する電圧印加部で該中間転写体にそれぞれ6.5kVの電圧を印加し、前記ブレードを該中間転写体に当接させた状態で、300mm/secの移動速度で10分間周回移動させた場合に、該ブレードと該中間転写体との当接部より該中間転写体の移動方向の下流側において該中間転写体に対向する該ブレードの面である当接面に付着している付着物の、該ブレードの短手方向における前記当接部側の端部から反対側の端部に向かう方向の幅の最大値が30μm以下となるように行うことを特徴とする中間転写体の製造方法。 - 前記清掃工程は、アルコールを含有したクリーニングクロスで前記表層の表面を拭くことで行うことを特徴とする請求項1に記載の中間転写体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018003842A JP2019124766A (ja) | 2018-01-12 | 2018-01-12 | 中間転写体の製造方法 |
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