JP5803035B2 - ノルボルネン系共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、極性基を有するノルボルネンの共重合体及びその製造方法に関する。
従来、ノルボルネン系重合体を代表とする環状オレフィン系付加重合体は耐熱性及び透明性に優れる有機材料として、光学フィルムなどの分野で工業的に利用されている。このような環状オレフィン系付加重合体はTi、Zr、Cr、Co、Ni、Pdなどの遷移金属化合物を含む触媒を用いて環状オレフィン系モノマーを付加重合することにより製造できることが種々報告されている。
例えば、欧州特許出願公開第0445755号明細書(特許文献1)では、5〜10族元素の遷移金属化合物を主触媒とし、メチルアルミノキサン(MAO)を助触媒として用いることにより数平均分子量が100万を超えるノルボルネンの単独付加重合体が製造できることが報告されている。しかし、この触媒系では、極性基を有する重合の難易度のより高い、ノルボルネンの重合は実施されておらず、極性基の影響による触媒失活が懸念されると共に、得られた重合体の分子量分布(Mw/Mn)も2.5を超え、単分散性のものではなかった。
一方、米国特許第3330815号明細書(特許文献2)には、極性基を有するノルボルネンの単独付加重合体及びノルボルネンとの共重合体が報告されている。しかし、この特許には、数平均分子量が1万を超えた重合体を製造した例が無く、かつ触媒の重合活性も低く、工業的に有用な製造法とは言い難いものであった。
さらに、極性基を有するノルボルネンの単独付加重合及びノルボルネンとの共重合を改善する方法が特許第3678754号明細書(特許文献3)や特開2008−31304号公報(特許文献4)に開示されている。これらの方法では、重合活性と重合体の分子量がいずれも向上したものの、実施例で開示されている共重合体の数平均分子量は20万未満であり、種々の機械物性が実用的な値となる数平均分子量が20万以上の共重合体は製造できていなかった。なお、特許文献4の表1では数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)が入れ替わって記載されている。これはMw/Mnが2.5前後であることからも明かであり、表1を正しく解釈すると、数平均分子量が20万以上の共重合体は存在していなかったことが明白である。
これらの方法に対し、シクロペンタジエニル配位子を有する8〜10族遷移金属化合物を主触媒とし、これに主触媒と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できる助触媒を組み合わせることにより極性基を有するノルボルネンとノルボルネンとの付加共重合を効率良く実施でき、高分子量の共重合体が得られることが国際公開第06/064814号パンフレット(特許文献5)に開示されている。しかし、この公報に開示されている極性基を有するノルボルネン化合物はノルボルネン骨格に直接エステル基が導入された構造を有しており、その炭素−炭素二重結合部と極性基との間の距離が近いために、触媒である遷移金属錯体に容易に配位し、触媒活性の低下を招いていた。従って、ノルボルネン単独付加重合では高活性で高分子量の重合体を製造可能であるが、極性基を有するノルボルネン化合物を使用した場合には高分子量の共重合体が得られるものの触媒活性は低かった。
これらの先行技術文献の記載から、極性基を有するノルボルネン化合物の付加共重合において数平均分子量が20万以上の高分子量の共重合体を得ることができ、高活性で、極性基の入ったノルボルネン化合物であっても活性の低下が小さい触媒系は知られていなかったことがわかる。
このように極性基を有するノルボルネン系付加共重合体の製造方法において、高活性な触媒と極性基を有するノルボルネン化合物の組み合わせを実現して、実用的な機械物性を有する共重合体を得た例は無い。従って、高活性な触媒と極性を有するノルボルネン化合物との適切な組み合わせを見い出し、実用化が可能な共重合体を効率的に製造する方法が望まれていた。
欧州特許出願公開第0445755号明細書 米国特許第3330815号明細書 特許第3678754号明細書 特開2008−31304号公報 国際公開第06/064814号パンフレット
本発明は、極性基を有するノルボルネン化合物の高分子量の付加共重合体及び当該共重合体の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シクロペンタジエニル環を有する8〜10族遷移金属化合物を主触媒とする触媒系と、重合性炭素−炭素二重結合と極性基(エステル基)との間の距離を遠ざけるためにノルボルネン骨格とエステル基の間にメチレン鎖を1つ導入したノルボルネン化合物とを組み合わせることにより、極性基を有するノルボルネン化合物の高分子量付加共重合体を効率的に製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[10]に関する。
[1]一般式(1)
Figure 0005803035
及び一般式(2)
Figure 0005803035
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表わし、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わす。)
で示されるモノマーユニットを含み、数平均分子量(Mn)が300,000〜2,000,000であるノルボルネン系共重合体。
[2]一般式(1)及び一般式(2)で示されるモノマーユニットのみからなる前記[1]に記載のノルボルネン系共重合体。
[3]分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜2.5である前記[1]または[2]に記載のノルボルネン系共重合体。
[4]式(1)中のR1がメチル基である前記[1]または[2]に記載のノルボルネン系共重合体。
[5]式(1)中のR2、及び式(2)中のR3及びR4が水素原子である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のノルボルネン系共重合体。
[6]式(1)で示されるモノマーユニットが10〜70モル%である前記[1]〜[5]のいずれかに記載のノルボルネン系共重合体。
[7]下記の主触媒(A)と助触媒(B)及びホスフィン系配位子(C)からなる触媒を用いることを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載のノルボルネン系共重合体の製造方法:
主触媒(A)
一般式(3)
Figure 0005803035
(式中、Mは周期律表第8族元素、第9族元素、及び第10族元素より選択された1つの遷移金属を表わし、Lはシクロペンタジエニルまたはその誘導体からなるシクロペンタジエニル系配位子を表わし、K1、K2及びK3は互いに異なる陰性配位子または中性配位子を表わし、nは1〜3の整数であり、x、y、zはそれらの和が1〜7である0または整数である。)
で示される錯体、
助触媒(B)
有機アルミニウム化合物(a)、主触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、及び主触媒(A)を構成する錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択された少なくとも1つの化合物、
ホスフィン系配位子(C)。
[8]主触媒(A)を表わす一般式(3)において、Mがニッケルまたはパラジウムであり、Lがシクロペンタジエニルであり、K1、K2及びK3が、各々独立してメチルまたはアリルである前記[7]に記載のノルボルネン系共重合体の製造方法。
[9]主触媒(A)がシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウムである前記[8]に記載のノルボルネン系共重合体の製造方法。
[10]助触媒(B)が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである前記[7]に記載のノルボルネン系共重合体の製造方法
本発明によればノルボルネンと極性基を有するノルボルネン化合物との高分子量付加共重合体を効率よく製造することができる。本発明により得られるノルボルネン系共重合体は優れた透明性、耐熱性、低吸水性、電気絶縁特性などを有し、光学用途、医療用途、電材用途、包装材料用途、構造材料用途などの多くの用途で利用できる。
具体的には、レンズや偏光フィルムなどの光学用成形品、フィルム、キャリアテープ、フィルムコンデンサー、フレキシブルプリント基板などの電気絶縁材料、プレススルーパッケージ、輸液バック、薬液バイアルなどの医療用容器、ラップやトレイなどの食品包装成形品、電気器具などのケーシング、インナーパネルなどの自動車内装部品、カーポートやグレージングなどの建材などに利用可能である。
実施例1で得られた共重合体の1H−NMRスペクトルである。 実施例1で得られた共重合体のIRスペクトルである。 実施例2で得られた共重合体の1H−NMRスペクトルである。 実施例2で得られた共重合体のIRスペクトルである。 実施例1及び比較例1で得られた共重合体のゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)のチャートである。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
[ノルボルネン系付加共重合体]
本発明のノルボルネン系共重合体は、下記一般式(1)
Figure 0005803035
及び一般式(2)
Figure 0005803035
(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表わし、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わす。)
で示されるモノマーユニットからなり、数平均分子量(Mn)が300,000〜2,000,000である共重合体である。
式(1)におけるR1が表わす炭素数1〜10のアルキル基のうち、炭素数3〜10のアルキル基は直鎖状でも分岐していてもよい。
直鎖状のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ぺンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などが挙げられる。
分岐を有するアルキル基の例としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、イソオクチル基、イソデシル基などが挙げられる。
これらの中でもR1としては、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が経済性の面で好ましい。モノマー製造コストの観点からは、メチル基が特に好ましい。
式(1)におけるR2及び式(2)におけるR3及びR4は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わし、炭素数3〜10のアルキル基は分岐していてもよい。これらのアルキル基としては前述のR1のアルキル基と同様のものが挙げられる。これらの中でもR2、R3及びR4としては、モノマー製造コストの観点から、水素原子が好ましい。
なお、R2が水素原子である場合、式(1)で示されるモノマーユニットの元になるノルボルネン系単量体は、R1が炭素数1の直鎖状のアルキル基のとき、5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン、R1が炭素数2の直鎖状のアルキル基のとき、5−[(エチルカルボニルオキシ)メチル]−2−ノルボルネン、R1が炭素数3の直鎖状のアルキル基のとき、5−[(プロピルカルボニルオキシ)メチル]−2−ノルボルネンとなる。
3及びR4が水素原子である場合、式(2)で示されるモノマーユニットの元になるノルボルネン系単量体はノルボルネンとなる。
本発明のノルボルネン系共重合体において、式(1)で示されるモノマーユニットの含有量は10〜70モル%であることが好ましい。式(1)で示されるモノマーユニットが10モル%未満であると共重合体の疎水性が高くなり、有機溶媒に対する溶解性は低下するが、吸水性が低くなる傾向がある。一方、70モル%を超えると共重合体が親水性となり、有機溶媒に対する溶解性が向上するが、吸水性が高くなる傾向がある。従って、式(1)で示されるモノマーユニットの含有量を調整することにより、共重合体の溶媒への溶解性と吸水性を制御することが可能である。
本発明のノルボルネン系共重合体をフィルム、シートなどへ成形する際に必要となる溶媒への適度な溶解性と低吸水性を両立させる観点からは、式(1)で示されるモノマーユニットの含有量は10〜80モル%が好ましく、15〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。なお、式(1)で示されるモノマーユニットの含有量は粉末状もしくはフィルム状の共重合体を適当な重水素化溶媒に溶解させ、1H−NMRを測定し、その積分値より算出することができる。
本発明のノルボルネン系共重合体は、基本的には式(1)および式(2)のモノマーユニットのみで構成される。ただし、この場合であっても本発明のノルボルネン系共重合体の性質をほとんど変化させないような微少量、例えば1モル%以下の第三モノマーユニットの存在を除外するものではない。また、本発明のノルボルネン系共重合体は物性改良のため、本発明の効果を損なわない範囲で第三のモノマーユニットを含んでいてもよい。第三のモノマーには特に制限はないが、エチレン性炭素−炭素二重結合を有するモノマーが好ましい。なかでもエチレン、プロピレン、1−ブテンのようなオレフィン化合物やスチレンのような芳香族ビニル化合物が好ましい。
本発明のノルボルネン系共重合体において、各モノマーユニットの共重合様式は重合条件により、ランダム、ブロック、交互のいずれをもとり得るが、共重合体の物性向上の観点からは、ランダムであることが望ましい。
本発明のノルボルネン系共重合体のゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定したポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は300,000〜2,000,000である。さらには500,000〜1,500,000がより好ましい。ポリスチレン換算数平均分子量が300,000未満であると機械強度が不十分である。ポリスチレン換算数平均分子量が2,000,000を超えると、キャストフィルムを成形する際に溶媒への溶解度が低下するばかりでなく、溶液粘度が高くなり、成形加工性が低下する。また、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.00〜2.50が好ましく、1.05〜2.00がより好ましく、1.10〜1.50がさらに好ましい。分子量分布が広いとキャストフィルム成形時の溶液が均一になりにくいため、良好なフィルムが作製しにくくなる。
本発明のノルボルネン系共重合体の23℃における飽和吸水率は、通常、0.001〜1質量%、好ましくは0.005〜0.7質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%である、飽和吸水率がこの範囲内であると、各種光学特性、例えば透明性、位相差、位相差の均一性、及び寸法精度が、高温多湿のような条件下でも維持され、他材料との密着性や接着性に優れるため使用途中で剥離などが発生せず、また、酸化防止剤などの添加物との相溶性も良好であるため、添加の自由度が大きくなる。なお、上記飽和吸水率はJIS K7209に準拠し、23℃水中で24時間浸漬して増加質量を測定することにより求められる値である。
本発明のノルボルネン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、共重合体の構成モノマー単位の種類、組成比、添加剤などの有無により異なるが、通常、80〜350℃、好ましくは100〜320℃、さらに好ましくは120〜300℃である。Tgが上記範囲よりも低いと、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる光学フィルムの温度による光学特性の変化が大きくなることがある。また、Tgが上記範囲よりも高いと、延伸加工時にTg近辺まで加熱する場合に樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
本発明のノルボルネン系共重合体には、透明性及び耐熱性を損なわない範囲で公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、石油樹脂、可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、発泡剤などを配合して使用することができる。
熱可塑性樹脂としては高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしてはオレフィン系、スチレン系の各種熱可塑性エラストマーが使用可能である。
ゴム質重合体としてはアクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ポリイソブチレン、シリコーンゴム、フッ素ゴムが挙げられる。
有機微粒子としては各種ポリマーエマルジョンから得られる微粒子が使用可能である。
無機微粒子としては銅、銀、ニッケル、パラジウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ケイ酸塩ガラス、CaO・Al23・SiO2系無機ガラス、珪素化合物、種々のカーボンブラック、金属錯体などの微粒子が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタンなどのフェノール系、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオナートなどの硫黄系、トリスノニルフェニルホスファイトなどのリン系の酸化防止剤が使用可能である。
紫外線吸収剤としては2−(2’−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、4−tert−ブチルフェニルサリシラートなどのサリシラート類、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバシートなどのヒンダートアミン類が挙げられる。
離型剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、フッ素系化合物類、シリコン化合物類が挙げられる。
難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、ビス(テトラブロモフタルイミド)エタン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタンなどの臭素系難燃剤、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェートなどのリン系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤が使用可能である。
抗菌剤としては、ペニシリン系抗菌剤、セフェム系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、ニューキノロン系抗菌剤が挙げられる。
カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤が挙げられる。
石油樹脂としては、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンなどのC9系石油留分の重合体である芳香族系石油樹脂、イソプレン、シクロペンタジエンなどのC5系石油留分の重合体である脂肪族系石油樹脂が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、エポキシ化植物油、ポリエステルが挙げられる。
着色剤としては、アントラキノン系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミン系、インジゴイド系、フタロシアニン系などの有機顔料、アゾイック染料、硫化染料などの有機染料、チタンイエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルトグリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラックなどの無機顔料が挙げられる。
滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤、ステアリルアルコール、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸系滑剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、グリセリンモノ脂肪酸エステル、アセチル化モノグリセライド、有機酸モノグリセライド、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル、エチレンオキシド付加物が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。
発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機発泡剤、アゾジカルボンアミド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などの有機発泡剤が挙げられる。
一般式(1)で示されるノルボルネン系共重合体は溶液流延法(溶液キャスト法)により成膜してフィルムに加工することができる。使用する溶媒としてはトルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン、クロロホルムなどを用いることができる。
[製造方法]
本発明のノルボルネン系共重合体は下記の主触媒(A)と助触媒(B)、及び配位子(C)からなる触媒を用いることにより製造することができる。
主触媒(A)
下記一般式(3)
Figure 0005803035
(式中、Mは周期律表第8族元素、第9族元素、及び第10族元素より選択された1つの遷移金属を表わし、Lはシクロペンタジエニルまたはその誘導体からなるシクロペンタジエニル系配位子を表わし、K1、K2及びK3は互いに異なる陰性配位子または中性配位子を表わし、nは1〜3の整数であり、x、y、zはそれらの和が1〜7である0または整数である。)
で示される錯体。
助触媒(B)
有機アルミニウム化合物(a)、主触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、及び主触媒(A)を構成する錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択される少なくとも1つの化合物からなる助触媒。
ホスフィン系配位子(C)。
本発明で用いられる主触媒(A)、助触媒(B)、及びホスフィン系配位子(C)について説明する。
[主触媒(A)]
式(3)におけるMの具体例としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)などを挙げることができる。これらのうち、触媒の重合活性を高くする観点から好ましい元素は、コバルト、ニッケル、パラジウム及び白金であり、ニッケル及びパラジウムが特に好ましい。
式(3)におけるLは、シクロペンタジエニル及びその誘導体から選択されるシクロペンタジエニル系配位子である。配位子Lの配位数を表わすnは1〜3の整数である。nの値は1が好ましい。
Lがシクロペンタジエニル誘導体である場合の具体例としては、シクロペンタジエニルの水素原子が後述するような置換基で置換された置換シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどが挙げられる。また、インデニル及びフルオレニルの水素原子が同様の置換基で置換された誘導体も、シクロペンタジエニル誘導体として挙げられる。
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ネオペンチル基などの炭素数1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル基などの炭化水素置換シリル基が挙げられる。
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、ヘテロ原子、例えば、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ハロゲン原子などを有し、極性を示す置換基が挙げられる。その例としては、RO基、RCO基、ROCO基、RCOO基、R2N基、R2NCO基、NC基、RS基、RCS基、RSO基、R2S基などが挙げられる。ここで、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数個のRが存在する場合には同じであっても異なるものであってもよい。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
置換シクロペンタジエニルの置換基としては、さらに、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基、アセチル基、プロピオニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトリル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基が挙げられる。
Lの好ましい例は、シクロペンタジエニル、1〜5個のメチル基を有するシクロペンタジエニル、フェニルシクロペンタジエニル、ベンジルシクロペンタジエニル、インデニルである。
式(3)におけるK1、K2、K3は、互いに異なる陰性配位子または中性配位子である。配位子の数を表わすx、y、zはそれらの和が1〜7である0または整数である。x、y、zはそれぞれ独立して0または1が好ましい。
K1、K2、K3が陰性配位子である場合の例としては、
水素原子;酸素原子;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などの炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖を有するアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基などの炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基などの炭素数6〜20のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、ジ(イソプロピル)アミノ基、ジ(n−ブチル)アミノ基、ジ(t−ブチル)アミノ基、ジ(イソブチル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などの炭素数1〜20のアルキル置換基を有するジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基;π−アリル基;炭素数3〜20の置換アリル基;アセチルアセトナート基;炭素数5〜20の置換アセチルアセトナート基;トリメチルシリル基などの炭化水素置換シリル基;カルボニル基;カルボキシル基などを挙げることができる。
K1、K2、K3が中性配位子である場合の例としては、
酸素分子;窒素分子;エチレン;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;エチルベンゾエートなどのエステル類;トリエチルアミン、2,2−ビピリジン、フェナントロリンなどのアミン類;(トリメチルシリル)メチルなどのケイ素置換炭化水素基;スルホキシド類、イソシアニド類、ホスホン酸類、チオシアネート類などのルイス塩基;ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘプタトリエン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、シクロオクタテトラエンあるいはこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素などを挙げることができる。
式(3)におけるK1、K2、K3は、全てが陰性配位子であってもよいし、全てが中性配位子であってもよいし、いずれかが陰性配位子で残りが中性配位子であってもよい。
一般式(3)で示される主触媒(A)の具体例としては、シクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、メチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ペンタメチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、インデニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、フルオレニル(メチル)(トリフェニルホスフィン)ニッケル、シクロペンタジエニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、ペンタメチルシクロペンタジエニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、インデニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、フルオレニル(メチル)(トリシクロヘキシルホスフィン)ニッケル、シクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム、メチルシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム、インデニル(π−アリル)パラジウム、フルオレニル(π−アリル)パラジウムなどが挙げられる。
このような式(3)で示される遷移金属錯体は、例えばShaw. B. L., Proc. Chem. Soc., 1960, 247に記載の方法で製造することができる。
[助触媒(B)]
本発明で用いられる助触媒(B)は、有機アルミニウム化合物(a)、主触媒(A)と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物(b)、及び主触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)より選択される少なくとも一種の化合物である。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
<有機アルミニウム化合物(a)>
有機アルミニウム化合物(a)とは、炭化水素基を有するアルミニウム化合物のことであり、その例としては、有機アルミニウム、ハロゲン化有機アルミニウム、水素化有機アルミニウム、有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることができる。
このうち、有機アルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。ハロゲン化有機アルミニウムとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが挙げられる。水素化有機アルミニウムとしては、例えば、ジエチルアルミニウムハイドライド、セスキエチルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。有機アルミニウムオキシ化合物はアルミノキサンとも称され、一般式(−Al(R’)O−)mで示される直鎖状、あるいは環状重合体である。ここで、R’は炭素数1〜l0の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/またははR’O基で置換されたものも含む。mは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。R’としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基が挙げられる。
有機アルミニウム化合物(a)として好ましいものは、ハロゲン化有機アルミニウム及び有機アルミニウムオキシ化合物であり、特に、ジエチルアルミニウムクロライド、セスキエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、エチルクロロアルミノキサンが好ましい。
<イオン性化合物(b)>
主触媒(A)と反応してカチオン性錯体を形成できるイオン性化合物(b)としては、以下に挙げる非配位性アニオンとカチオンとを組み合わせたイオン性化合物が挙げられる。
非配位性アニオンとしては、例えば、テトラ(フェニル)ボレート、テトラ(フルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリイル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニルペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
前記カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが挙げられる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例としては、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンが挙げられる。
アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
イオン性化合物(b)の好ましい例は、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラ(フルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
<化合物(c)>
主触媒(A)をなす錯体の配位子の解離を促進する化合物(c)としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(モノフルオロフェニル)ボロン、トリス(ジフルオロフェニル)ボロン、トリフェニルボロン、ビスシクロオクタジエンニッケルなどが挙げられる。
[ホスフィン系配位子(C)]
本発明で用いられるホスフィン系配位子としては、トリメチルホスフィン及びトリエチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリシクロアルキルホスフィン類、ならびにトリフェニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン類を挙げることができる。
本発明では、主触媒(A)として、一般式(3)において、Mがニッケル(Ni)またはパラジウム(Pd)であり、Lがシクロペンタジエニルまたはインデニルであり、他の配位子がメチル(CH3)であるか、塩素(Cl)であるか、アリル(C35)である錯体を用い、助触媒(B)として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン[B(C653]、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{[Ph3C][B(C654]}またはメチルアルミノキサン(MAO)を用い、さらにホスフィン系配位子(C)として、トリシクロヘキシルホスフィンを用いて、ノルボルネン系重合体を製造することが好ましい態様の一つである。
また、主触媒(A)として一般式(3)において、Mがニッケル(Ni)またはパラジウム(Pd)であり、Lがシクロペンタジエニルであり、他の配位子がメチル(CH3)であるか、アリル(C35)である錯体を用い、助触媒(B)として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン[B(C653]またはトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート{[Ph3C][B(C654]}用いて、ノルボルネン系重合体を製造することが最も好ましい態様である。
[重合]
本発明では、上記主触媒(A)、助触媒(B)及びホスフィン系配位子(C)を用いたノルボルネン系単量体の重合は塊状重合で行っても良いし、溶液重合で行っても良い。溶液中で重合を行う場合には、触媒活性に悪影響を与えない溶媒を使用する必要がある。使用可能な溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類が挙げられる。これらの溶媒は混合して使用してもよい。
重合を行う際には、主触媒(A)、助触媒(B)及びホスフィン系配位子(C)を混合するが、その混合順序は、主触媒(A)が助触媒(B)と接触する前にホスフィン系配位子(C)と混合されるようになっていれば、その他は特に限定されない。予め主触媒(A)成分とホスフィン系配位子(C)を混合し、さらに助触媒(B)を混合して反応組成物を得、重合させる単量体を含む溶液にこれを添加してもよい。また、重合させる単量体と主触媒(A)及びホスフィン系配位子(C)を含む溶液に、助触媒(B)を添加してもよく、重合させる単量体と助触媒(B)の混合溶液中に主触媒(A)及びホスフィン系配位子(C)の混合物を添加してもよい。
本発明では、予め主触媒(A)とホスフィン系配位子(C)とを混合し、1分間以上、好ましくは30分〜1時間程度接触させた後に、助触媒(B)と混合して反応系に添加するか、もしくは主触媒(A)とホスフィン系配位子(C)との混合物を助触媒(B)を含む反応系に添加することが好ましい。このような操作を行うことにより、より高い重合活性を発現することが可能になる。
本発明の方法における主触媒(A)と助触媒(B)との使用割合は、各種の条件により異なるため一義的には定められないが、通常は(A)/(B)(モル比)で1/0.1〜1/10,000であり、好ましくは1/0.5〜1/5,000、さらに好ましくは1/1〜1/2,000である。
本発明の方法における主触媒(A)とホスフィン系配位子(C)との使用割合は、各種の条件により異なるため一義的には定められないが、通常は(A)/(C)(モル比)で1/0.1〜1/2であり、好ましくは1/0.5〜1/1.8、さらに好ましくは1/1〜1/1.5である。
重合温度も特に制限されないが、一般には、−100℃〜150℃、好ましくは−50℃〜120℃である。温度が低すぎると重合速度が遅くなり、温度が高すぎると触媒の活性が低下する。上記範囲内で重合温度を選択することにより、重合速度や分子量などを調整することができる。
重合時間も特に制限はなく、例えば1分間〜100時間である。また、反応は窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
重合反応終了後、生成物であるノルボルネン系共重合体は、公知の操作、処理方法(例えば、再沈殿など)により後処理を行い、ろ過分別後、乾燥を行うことで単離される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定を受けるものではない。
各実施例で得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)は、ポリスチレンを標準物質として用いたゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)により求めた。また、共重合体中のノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの組成比は、1H−NMRにより得られたピーク[δ:3.5−4.5ppm,5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの「−COOCH2−」ユニット]とδ:0.5−3.0(ノルボルネン及び5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの「CH3COO−」、「−CH2−」及び「−CH=」ユニット)]の積分比から求めた。
実施例及び比較例で合成した物質の諸物性は、以下の通りに測定した。
1.1H−NMR,13C−NMR
使用機種:JEOL EX−400(400MHz,日本電子社製)、
測定方法:重水素化クロロホルムに溶解し、内部標準物質にテトラメチルシランを使用して測定した。
2.FT−IR
使用機種
システム:Spectrum GX(パーキンエルマー社製)、
ATR:MIRacleTM(Pike Technologies社製)。
測定方法
1回反射ATR法により測定した。
3.ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)
使用機種
カラム:Shodex GPC K−G+KF−806L×2(昭和電工社製)、
検出器:Shodex SE−61(昭和電工社製)。
測定条件
溶媒:テトラヒドロフラン、
測定温度:40℃、
流速:1.0ml/分、
試料濃度:1.0mg/ml、
注入量:1.0μl、
検量線:Universal Calibration curve、
解析プログラム:SIC 480II (システム インスツルメンツ社製)。
4.引張試験(強さ、伸び)
使用機種:5582型万能材料試験機(インストロン社製)、
試験方法:JIS K 7162に準じて測定した、
試験片形状:5A形、厚さ約0.03mm。
測定条件
測定温度:23℃、
試験速度:2mm/min、
チャック間距離:50mm。
5.全光線透過率
ASTM D1003に準じて測定した。
6.ガラス転移温度(Tg)
動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)との比(E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定は、レオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数:10Hz、昇温速度:4℃/分、加振モード:単一波形、加振振幅:2.5μmの条件でTanδのピーク温度を測定した。
6.吸水率
試験方法:JIS K 7209に準じて測定した。
測定条件
試験片形状:50×50×0.02(mm)、
浸漬条件:23℃×24時間、
事前乾燥:50℃×24時間。
また、シクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウムは、Shawらの合成法(Shaw. B. L., Proc. Chem. Soc., 1960, 247)に従って合成した。
合成例1:5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの合成
1Lのステンレス製オートクレーブにジシクロペンタジエン(和光純薬工業社製,165.00g,1.248mol)、酢酸アリル(東京化成工業社製,312.40g,3.120mol)及びヒドロキノン(和光純薬工業社製,0.50g,0.0045mol)を加えた。系内を窒素置換した後、400rpmで撹拌しながら、このオートクレーブを180℃まで昇温し、5時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、内容物を蒸留装置に移し、減圧下に蒸留を行い、0.9MPa、38℃の留分として、無色透明液状物207.56gを得た。
得られた液状物の1H−NMRを測定し、目的の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンであることを確認した。また、得られた5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンのエキソ異性体とエンド異性体のモル比率はエキソ/エンド=80/20であった。
実施例1:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
三方コックを装備した二口フラスコを窒素置換し、それにノルボルネン(東京化成工業社製,11.80g,0.125mol)、合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(41.50g,0.250mol)及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3C][B(C654](東ソー・ファインケム社製,93mg,0.100mmol)を加え、トルエン60mlで溶解した。そこへ別途調製したシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](21mg,0.100mmol)とトリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](ストレム社製,28mg,0.100mmol)をトルエン15mlに溶解した触媒溶液を添加し、室温で1.5時間重合反応を行った。その後、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(東京化成工業社製,11.80g,0.125mol)をトルエン60mlで溶解した溶液を加え、さらに3時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に60℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー42.5gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=700,000、分子量分布はMw/Mn=1.12であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は36.0mol%であった。1H−NMRスペクトルを図1、IRスペクトルを図2、GPCチャートを図5に示す。
さらに、このポリマーを濃度10wt%となるようにトルエンに溶解し、ガーゼを使用してろ過した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布して120℃で10時間乾燥してキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.5%、引張破断強度は53.1MPa、破断伸度は6.9%、Tgは270℃、吸水率は0.1%であった。
実施例2:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
触媒系をトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3C][B(C654](185mg,0.200mmol)、シクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](43mg,0.200mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](56mg,0.200mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で重合反応を行い、白色粉末状のポリマー50.0gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=303,700、分子量分布はMw/Mn=1.22であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は37.5mol%であった。1H−NMRスペクトルを図3、IRスペクトルを図4に示す。
さらに、このポリマーを実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.3%、引張破断強度は42.4MPa、破断伸度は8.1%、Tgは265℃、吸水率は0.1%であった。
実施例3:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
三方コックを装備した三口フラスコを窒素置換し、それにノルボルネン(5.90g,0.0625mol)、合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(33.20g,0.200mol)及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3C][B(C654](46mg,0.050mmol)を加え、トルエン47mlで溶解した。そこへ別途調製したシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](10.6mg,0.050mmol)とトリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](14mg,0.050mmol)をトルエン15mlに溶解した触媒溶液を添加し、室温で1.5時間重合反応を行った。その後、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(5.90g,0.0625mol)をトルエン30mlで溶解した溶液を加え、さらに2時間重合反応を行った。引き続き、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(7.10g,0.0750mol)をトルエン36mlで溶解した溶液を加え、さらに3時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に80℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー27.5gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=896,000、分子量分布はMw/Mn=1.65であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は27.5mol%であった。
さらに、このポリマーを実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.3%、引張破断強度は60.4MPa、破断伸度は5.6%、Tgは270℃、吸水率は0.1%であった。
実施例4:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
三方コックを装備した三口フラスコを窒素置換し、それにノルボルネン(6.89g,0.073mol)、合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(18.89g,0.114mol)及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3C][B(C654](46mg,0.050mmol)を加え、トルエン33mlで溶解した。そこへ別途調製したシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](10.6mg,0.050mmol)とトリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](14mg,0.050mmol)をトルエン15mlに溶解した触媒溶液を添加し、室温で1.5時間重合反応を行った。その後、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(6.89g,0.073mol)をトルエン30mlで溶解した溶液を加え、さらに2時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に80℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー26.3gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=355,000、分子量分布はMw/Mn=1.35であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は28.9mol%であった。
さらに、このポリマーを実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.6%、引張破断強度は43.4MPa、破断伸度は7.9%、Tgは270℃、吸水率は0.1%であった。
実施例5:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
三方コックを装備した三口フラスコを窒素置換し、それにノルボルネン(5.90g,0.0625mol)、合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(20.75g,0.125mol)及びトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Ph3C][B(C654](46mg,0.050mmol)を加え、トルエン33mlで溶解した。そこへ別途調製したシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](10.6mg,0.050mmol)とトリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](14mg,0.050mmol)をトルエン15mlに溶解した触媒溶液を添加し、50℃で1.5時間重合反応を行った。その後、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(5.90g,0.0625mol)をトルエン30mlで溶解した溶液を加え、さらに50℃で2時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に80℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー18.0gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=345,000、分子量分布はMw/Mn=1.77であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は42.4mol%であった。
さらに、このポリマーを実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.5%、引張破断強度は43.1MPa、破断伸度は8.1%、Tgは267℃、吸水率は0.1%であった。
実施例6:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合
三方コックを装備した三口フラスコを窒素置換し、それにノルボルネン(5.90g,0.0625mol)、合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(20.75g,0.125mol)を加え、トルエン30mlで溶解し、さらにN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C65)(CH32NH][B(C654](ストレム社製、40mg,0.050mmol)をジクロロメタン2mlで溶解した溶液を加えた。そこへ別途調製したシクロペンタジエニル(π−アリル)パラジウム[(C55)Pd(C35)](10.6mg,0.050mmol)とトリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](14mg,0.050mmol)をトルエン15mlに溶解した触媒溶液を添加し、室温で1.5時間重合反応を行った。その後、その反応溶液に別途調製したノルボルネン(東京化成工業社製,5.90g,0.0625mol)をトルエン30mlで溶解した溶液を加え、さらに2時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に80℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー17.2gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=409,000、分子量分布はMw/Mn=1.36であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は31.4mol%であった。
さらに、このポリマーを濃度10wt%となるようにトルエンに溶解し、ガーゼを使用してろ過した後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布して120℃で10時間乾燥してキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.3%、引張破断強度は46.4MPa、破断伸度は7.5%、Tgは268℃、吸水率は0.1%であった。
比較例1:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合(特許文献4の方法による重合)
三方コックを装備した二口フラスコを窒素置換し、それに合成例1で調製した5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(14.13g,0.085mol)を加え、トルエン50mlで溶解した。さらに、アリルパラジウムクロライドダイマー[[(C35)PdCl]2](和光純薬工業社製,9mg,0.025mmol)をトルエン1mlに溶解した溶液、トリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](ストレム社製,14mg,0.050mmol)をトルエン1mlに溶解した溶液、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C65)(CH32NH][B(C654](ストレム社製,60mg,0.075mmol)をジクロロメタン1mlに溶解した溶液をそれぞれ順番に加えた後、フラスコをオイルバスに浸し、撹拌しながら90℃まで昇温した。これに別途調製したノルボルネン(東京化成工業社製,8.00g,0.085mol)をトルエン10mlに溶解した溶液を添加することで反応を開始し、90℃で2時間重合反応を行った。反応終了後、反応液を多量のメタノール中に注いでポリマーを析出させ、ろ別洗浄後、減圧下に60℃で5時間乾燥して白色粉末状のポリマー19.4gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=58,000、分子量分布はMw/Mn=2.06であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は37.3mol%であった。
さらに、実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.0%、引張破断強度は31.8MPa、破断伸度は3.8%、Tgは260℃、吸水率は0.1%であった。GPCチャートを図5に示す。
比較例2:ノルボルネンと5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンの付加共重合(特許文献4の方法による重合)
触媒系としてアリルパラジウムクロライドダイマー[[(C35)PdCl]2](4.5mg,0.0125mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン[P(C6113](7mg,0.025mmol)、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(C65)(CH32NH][B(C654](30mg,0.0375mmol)を用い、反応を60℃で行うこと以外は比較例1と同様の方法で重合反応を行い、白色粉末状のポリマー4.3gを得た。
得られたポリマーはTHFやクロロホルムなどの一般溶剤に容易に溶解し、数平均分子量はMn=105,400、分子量分布はMw/Mn=1.98であった。また、1H−NMRの積分値から算出したポリマー中の5−アセトキシメチル−2−ノルボルネンモノマーユニットの組成は18.2mol%であった。
さらに、実施例1と同様にしてキャストフィルムを得た。このキャストフィルムの全光線透過率は91.0%、引張破断強度は30.7MPa、破断伸度は5.6%、Tgは300℃、吸水率は0.1%であった。
実施例1〜6及び比較例1〜2について、用いた触媒(主触媒、助触媒、配位子)、仕込みノルボルネン(NB)と5−アセトキシメチル−2−ノルボルネン(PNB)のモル比(NB/PNB)、付加共重合で得られた共重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)、共重合体中のNBとPNBのモル比(NB/PNB)、共重合体の物性(全光線透過率(%)、引張破断強度(Pa)、破断伸度(%)、ガラス転移温度(Tg;℃)及び吸水率(%))をまとめて表1に示す。
Figure 0005803035
特許文献4の方法では分子量Mnが200,000を超える共重合体は製造できなかった。本発明のノルボルネン系共重合体は分子量が高く、機械的性質に優れている。
本発明の製造方法により得られるノルボルネン系共重合体は優れた透明性、耐熱性、低吸水性、電気絶縁特性などを有することにより、レンズや偏光フィルムなどの光学用成形品、フィルム、キャリアテープ、フィルムコンデンサー、フレキシブルプリント基板などの電気絶縁材料、プレススルーパッケージ、輸液バック、薬液バイアルなどの医療用容器、ラップやトレイなどの食品包装成形品、電気器具などのケーシング、インナーパネルなどの自動車内装部品、カーポートやグレージングなどの建材などに利用可能である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)
    Figure 0005803035
    及び一般式(2)
    Figure 0005803035
    (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を表わし、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表わす。)
    で示されるモノマーユニットを含み、数平均分子量(Mn)が300,000〜896,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.12〜1.77であるノルボルネン系共重合体。
  2. 一般式(1)及び一般式(2)で示されるモノマーユニットのみからなる請求項1に記載のノルボルネン系共重合体。
  3. 式(1)中のR1がメチル基である請求項1または2に記載のノルボルネン系共重合体。
  4. 式(1)中のR2、及び式(2)中のR3及びR4が水素原子である請求項1または2に記載のノルボルネン系共重合体。
  5. 式(1)で示されるモノマーユニットが10〜70モル%である請求項1または2に記載のノルボルネン系共重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のノルボルネン系共重合体を成形して得られるフィルム。
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