JP5626752B2 - 芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物とのブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物とのブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ブロック共重合体の製造方法に関する。特に高い融点と低いガラス転移温度とを併せ持つブロック共重合体を簡素なプロセスで製造可能な方法に関する。
天然ゴムの発見以来、エラストマーとも呼ばれるゴム材料は多様な用途に用いられるようになり、爆発的に発展した。これに合成ゴムの製造技術の発展も寄与したことは周知の事実であり、現在も広く開発が進められている。ゴムの用途は輪ゴムなどの汎用製品、タイヤやベルトコンベヤ用ベルトなどの産業材製品等、ゴム材料そのものが主要構成成分となる用途でも多様な使用方法が知られている。一方、種々の材料に混合、分散などの形態で組み合わせて用いられ、主に耐衝撃性を付与する改質剤としても大変重要な役割を果たしている。
ゴム材料は室温よりも低いガラス転移温度を有しているので、形状保持などが必要な場合は、主に加硫などで知られる架橋処理を行う事が多い。この場合、可塑性が著しく低下してしまうため、最近の環境問題で重視されるリサイクル等を必要とする用途には使用に制限がある。
熱可塑性エラストマー(TPE)として知られる可塑性を有するエラストマーとしては、スチレンと共役ジエンやオレフィンのブロック共重合体(通常、SBS、SIS、SEBS等の略号が用いられる)や、ポリプロピレンなどの結晶性の樹脂とオレフィン系エラストマーとのラジカル架橋体(TPO)等が知られている。これらの化合物は、ポリスチレン部位やポリプロピレン部位がガラス転移温度や融点以下の領域では架橋点の役割を果たすが、それ以上の温度領域では可塑性を示すため、リサイクル使用の自由度が高い等の強みを持つ。一方で、ポリスチレンのガラス転移温度は100℃程度、ポリプロピレンの融点は160℃程度のため、架橋されたゴム製品に対して耐熱性が低いという弱みがあることが知られている。またスチレン系のTPEは、リビング重合でスチレンと共役ジエンとを交互に少なくとも3回重合させる工程が必要なため、生産性の面では制約があると考えられる。
アイソタクチシチーの高いポリスチレンは高い融点(約230℃)を有し、シンジオタクチシチーの高いポリスチレンも高い融点(約270℃)を有することが知られている。このため、これらのポリスチレン部位を有するブロック共重合体が製造可能であれば、高い耐熱性を有するTPEの製造が可能になるが、これらの重合体は配位アニオン重合で合成可能な重合体であり、リビング重合を必要とするブロック共重合体を得るのは困難とされていた。
これに対し、特開2000−186127号公報(特許文献1)では、ハーフチタノセン化合物を用い、スチレンとブタジエンの混合物を共重合させると融点が250℃未満のスチレンとブタジエンとのブロック共重合体が得られることが報告されている。ここでスチレンブロックの立体規則性はシンジオタクチックであると記載されている。これは従来スチレンの重合プロセスとブタジエンの重合プロセスの2工程が必要と考えられていたブロック共重合体の製造方法を簡素化できる事を示唆した技術である。しかしながら、融点がシンジオタクチックポリスチレンの270℃に及ばず、スチレン連鎖長も20以下の結果が報告されるのみである。
国際公開出願2006/4068号パンフレット(特許文献2)には、特定のハーフメタロセン化合物を用い、スチレンとイソプレンとの混合物を重合させた共重合体が高いスチレンのシンジオタクチシチーを有することが記載されているが、報告されているのは2連子タクチシチーであり、長鎖のスチレンブロックの存在を示唆する記載は無い。
特開2008−308557号公報(特許文献3)には、フルオレニル基を有するハーフメタロセン化合物を用い、スチレンとエチレンの共重合を行った例が開示されているが、これにも長鎖のスチレンブロックを示唆する記載は無い。
特開2000−186127号公報 国際公開第2006/004068号パンフレット 特開2008−308557号公報
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであり、極めて高い融点と、低いガラス転移温度とを併せ持つブロック共重合体を簡易に製造しうる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、スチレンに代表される芳香族ビニル化合物とブタジエンやイソプレンに代表される共役ポリエン化合物との存在下に共重合を行い、従来よりも高い融点を有する芳香族ビニル化合物と共役ポリエンとのブロック共重合体を製造する方法を見出し、本発明に到った。即ち本発明は、
スチレン1,3−ブタジエンとの存在下に共重合を行い、これを化学式[I]で表される遷移金属化合物の存在下で共重合して、示差走査熱量計(DSC)で、10℃/分で300℃まで昇温して測定した融点が250〜300℃、ガラス転移温度が−30〜−150℃を有する芳香族ビニル化合物/共役ポリエン化合物ブロック共重合体を製造する方法である
Figure 0005626752
(化学式[I]中、MはSc原子であり、Cp は組成式C 5−X で表される置換シクロペンタジエニル基であり、xは1〜5の整数を表し、Rはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、またはヒドロカルビル基が置換したメタロイド基であり、その少なくとも一つがトリメチルシリル基であり、Q 及びQ はそれぞれCH ER −o(式中、R は、それぞれ独立に水素またはアルキル基を示し;EはNを示し;R は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を示し;nは2である)で示される基であり、Lは中性ルイス塩基であり、wは0である。)
本発明の効果は、高い融点と低いガラス転移温度を併せ持つブロック共重合体を簡易に製造しうる方法を提供することが可能になったことにある。
以下に本発明の実施形態について説明する。
本願の第1の発明は、高い融点と低いガラス転移温度を併せ持つ重合体の製造方法である。本発明の製造方法では芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物の存在下に共重合を行う。
[芳香族ビニル化合物]
本発明の芳香族ビニル化合物は、スチレン及びその誘導体が挙げられる。スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレンが代表例である。ビニルビフェニル系化合物の様な芳香族置換基を有するものやジビニルベンゼンなどの多官能性化合物も挙げられる。この他、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−トリメチルシロキシスチレン、m−トリメチルシロキシスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンの如き、ハロゲンや嵩高いヘテロ原子含有置換基が挙げられる。
極性基を有するスチレン誘導体は、重合活性を損なう可能性があるが、上記のt−ブチル基やトリメチルシリル基の様な嵩高い置換基を有していれば、この問題点が回避されることが多い。またこれらの置換基は、穏和な加水分解条件下で容易に脱離させることが可能であり、極性基を有する芳香族ビニル化合物連鎖のブロックを有する共重合体を得ることも出来る。
この芳香族ビニル化合物は、主として250℃以上の高い融点を発現する部位を形成する成分である。芳香族ビニル化合物によって形成されるブロックの立体規則性は、上記の融点を示す限り、制限はないが、通常はシンジオタクチシチーが高い立体構造を有することが好ましい。
また、芳香族ビニル化合物には、ビニルナフタレン及びその誘導体が包含される。ビニルナフタレン誘導体とは、ビニルナフタレンに他の基が結合した化合物である。
上記の芳香族ビニル化合物は2種以上を組み合わせて用いることも勿論可能である。
[共役ポリエン化合物]
本発明の共役ポリエン化合物は、共役二重結合を有していれば特に制限はないが、芳香族ビニル化合物以外のものであり、少なくともビニル型の二重結合が1つ以上含まれている直鎖状または分岐鎖状の構造であることが好ましい。また、炭素数は4〜20、好ましくは4〜10、更に好ましくは4〜8である。この共役ポリエン化合物は主として低いガラス転移温度を示す部位を形成する成分である。共役ポリエン化合物の炭素数が多すぎると、側鎖の結晶化等により、本来のゴム弾性を損なう事がある。
ここで共役ポリエン化合物の例としては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−デカジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(所謂イソプレン)、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン(所謂ミルセン)などが挙げられる。
[その他のビニル化合物成分]
本発明においては、その目的を損なわない範囲で他のビニル化合物成分を共重合させても良い。具体的にはエチレンまたは炭素数3〜20のα−オレフィン化合物である。ここで炭素数3〜20のα−オレフィン化合物としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンのような炭素原子数3〜20の直鎖状α−オレフィンや、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテンのような炭素原子数4〜20の分岐状α−オレフィンなどが挙げられる。また、ノルボルネン、テトラシクロドデセンおよびその誘導体などの公知の環状オレフィン化合物を用いることも出来る。
これらの中では、炭素原子数が2のエチレンや、炭素原子数が3〜10の直鎖状α−オレフィンが好ましい。
上記のオレフィン化合物は融点やガラス転移温度の調節などの目的で導入することも出来る。
オレフィンとして、これらのエチレン及びα−オレフィンを、それぞれ単独で用いても、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のブロック共重合体の製造方法は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との存在下に重合を行うにも関わらず、高い融点と、従来の技術水準と同程度の低いガラス転移温度とを併せ持つブロック共重合体を得る方法である。すなわち、本発明のブロック共重合体の製造方法においては、従来の技術水準よりはるかに高い融点を実現しつつも、従来の技術水準と同程度の低いガラス転移温度を維持することができる。このように、本発明のブロック共重合体の製造方法においては、高融点と低ガラス転移温度をバランスよく実現することができる。通常は上記の様な2種類の化合物の存在下に重合を行うと、ランダム共重合体の様な芳香族ビニル化合物や共役ジエン化合物由来の短い連鎖を持つ重合体が得られる場合が殆どである。本願のようなブロック共重合体を得るには、共役ジエンとの重合反応性と芳香族ビニル化合物との重合反応性が大幅に異なり、かつ連鎖移動反応が起こり難い触媒や開始剤の存在下に重合反応を行うことが必要であることが考えられる。
このような触媒や開始剤はこれまで殆ど見出されていなかった。本発明においては、例えば下記のような遷移金属化合物を触媒もしくは開始剤として用いると、前記のような方法でブロック共重合体が得られることを見出した。
本発明のブロック共重合体の製造方法においては、従来は2工程が必要とされていたブロック共重合体の製造が1工程で可能である。
すなわち、従来のブロック共重合体の製造方法においては、たとえば(i)第1および第2のブロックを別々に合成し(第1の工程)、その後第1および第2のブロックを反応させる(第2の工程)方法や、(ii)第1のブロックを重合反応で合成(第1の工程)した後、引き続いて、第1のブロックに対して第2のブロックを重合反応で合成(第2の工程)する方法(例えばリビング重合を用いた方法)が必要とされていたが、本発明では、たとえば2種類のブロックを別々に合成する必要がなく、原料を混在させておくことで所望のブロック共重合体の合成(一工程の合成)が可能である。
本発明においては、たとえば、芳香族ビニル化合物の単独重合を行った後に、芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物の共存下に重合を行えば、更に高次のブロック共重合体を従来より少ない工程数で得ることが可能である。一方、芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物の共存下に重合を行った後に共役ポリエン化合物の単独重合を行えば、更に高次のブロック共重合体を従来より少ない工程数で得ることも可能である。
また、本発明においては、たとえば、芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物の共存下に重合を行った後、再度、芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物の共存下に重合を行うのも高次のブロック共重合体を従来より少ない工程数で得ることができる。
[遷移金属化合物]
上記の様な遷移金属化合物は、周期律表の3族金属元素にシクロペンタジエニル基もしくは置換シクロペンタジエニル基と窒素を含む芳香族置換基とを有する遷移金属化合物である。
具体的には以下のような構造の所謂ハーフメタロセン化合物を例示することが出来る。
Figure 0005626752
(化学式[I]中、Wは0〜3の整数を表す。)
化学式[I]において、Mはメタロセン錯体における中心金属である。中心金属Mはランタノイド金属を含む第3族金属を示す。好ましい例としてはSc、Gd、Y、Luである。
化学式[I]においてCpは、シクロペンタジエニル誘導体を含む配位子であり、中心金属Mにπ結合している。該配位子は、好ましくは非架橋型配位子である。ここで非架橋型配位子とは、シクロペンタジエニル誘導体が中心金属にπ結合して、シクロペンタジエニル誘導体以外の配位原子または配位基を有さない配位子を意味する。
Cpに含まれるシクロペンタジエニル誘導体とは、シクロペンタジエニル環のほか、シクロペンタジエニルを含む縮合環である。例えばインデニル環、フルオレニル環に代表される環状構造を基本骨格とする構造である。最も好ましいシクロペンタジエニル誘導体の基本骨格は、シクロペンタジエニル環である。
シクロペンタジエニル環は、組成式C5−Xで表される。ここでxは0〜5の整数を表す。Rはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、またはヒドロカルビル基が置換したメタロイド基である。
前記ヒドロカルビル基は、好ましくは炭素数1〜20のヒドロカルビル基であるが、より好ましくは炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基、フェニル基、ベンジル基などであり、最も好ましくはメチル基である(以下、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す)。
前記置換ヒドロカルビル基におけるヒドロカルビル基は、前記したヒドロカルビル基と同様である。置換ヒドロカルビル基とは、ヒドロカルビル基の少なくとも1の水素原子が、ハロゲン原子、アミド基、ホスフィド基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基などで置換されたヒドロカルビル基である。
前記ヒドロカルビル基が置換したメタロイド基におけるメタロイドは、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiなどが挙げられる。また、メタロイド基に置換したヒドロカルビル基は前記したヒドロカルビル基と同様であり、その置換数は、メタロイドの種類によって決定される(例えばシリル基の場合は、ヒドロカルビル基の置換数は3である)。
好ましくは、シクロペンタジエニル環のRの少なくとも一つが、ヒドロカルビル基が置換したメタロイド基(好ましくはシリル基)であり、より好ましくはトリメチルシリル基である。
好ましいシクロペンタジエニル環としては、以下の構造式で表されるものが具体的に例示されるが、これらに限定されることはない。
Figure 0005626752
配位子Cpに含まれるシクロペンタジエニル誘導体は、インデニル環(組成式:C7−x)またはテトラヒドロインデニル環(組成式:C11−x)などでもよい。ここでRは前記したシクロペンタジエニル環のRと同様であり、Xは、0〜7(インデニル環の場合)または0〜11の整数(テトラヒドロインデニル環の場合)である。
配位子Cpに含まれるシクロペンタジエニル誘導体は、フルオレニル環(組成式:C139−x)、テトラヒドロフルオレニル環(組成式:C1313−x)またはオクタヒドロフルオレニル環(組成式:C1317−x)などでもよい。ここでRは前記したシクロペンタジエニル環のRと同様であり、Xは、0〜9(フルオレニル環の場合)または0〜17(テトラヒドロフルオレニル環の場合)の整数である。
本発明で用いる化学式[I]で表される錯体において、Q及びQは、同一または異なるモノアニオン配位子である。モノアニオン配位子としては、1)ヒドリド、2)ハライド、3)置換もしくは無置換の、炭素数1〜20のヒドロカルビル基、4)アルコキシ基もしくはアリールオキシ基、5)アミド基、または6)ホスフィノ基などが挙げられるがこれらに限定されない。
また、Q及びQは互いに結合するか、あるいは一緒になって、いわゆるジアニオン性の配位子となっていてもよい。ジアニオン性の配位子としては、アルキリデン、ジエン、シクロメタル化されたヒドロカルビル基、または二座のキレート配位子などが挙げられる。
前記ハライドは、クロリド、ブロミド、フルオリド及びアイオダイドのいずれでもよい。
前記炭素数1〜20のヒドロカルビル基は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、ベンジル基などの無置換ヒドロカルビル基のほか、置換ベンジル基やトリアルキルシリルメチル基、ビス(トリアルキルシリル)メチル基などの置換ヒドロカルビル基でもよい。好ましいヒドロカルビル基の例には、置換または無置換ベンジル基やトリアルキルシリルメチル基が含まれ、より好ましい例にはオルト−ジメチルアミノベンジル基やトリメチルシリルメチル基が含まれる。
前記炭素数1〜20のヒドロカルビル基として、さらに好ましくは、
1)η−C (式中、Rは、それぞれ独立に水素またはアルキル基を示す。また、ηはハプト数が3であることを示す。)で示される基、または、
2)CH ER −o(式中、Rは、それぞれ独立に水素またはアルキル基を示し;EはN、P、As、O、またはSを示し;Rは、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を示し;nは1または2である。)で示される基である。
前記η−C におけるRが示すアルキル基は、好ましくはC1〜C12(好ましくはC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4)のアルキル基などであり、最も好ましくはメチル基である。
前記CH ER −oにおけるRが示すアルキル基は、好ましくはC1〜C10(好ましくはC1〜8、さらに好ましくはC1〜C4)のアルキル基などであり、最も好ましくはメチル基である。Rが示すアルキル基は、Rが示すアルキル基と同様である。Rが示すアリール基は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などである。
前記CH ER −oにおけるEはN、P、As、O、またはSを示し、好ましくはNである。
前記アルコキシ基またはアリールオキシ基は、好ましくはメトキシ基、置換または無置換のフェノキシ基などである。
前記アミド基は、好ましくはジメチルアミド基、ジエチルアミド基、メチルエチルアミド基、ジ−t−ブチルアミド基、ジイソプロピルアミド基、無置換または置換ジフェニルアミド基などである。
前記ホスフィノ基は、好ましくはジフェニルホスフィノ基、ジシクロヘキシルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基、ジメチルホスフィノ基などである。
前記アルキリデンは、好ましくはメチリデン、エチリデン、プロピリデンなどである。
前記シクロメタル化されたヒドロカルビル基は、好ましくはプロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、オクチレンなどである。
前記ジエンは、好ましくは1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエンなどである。
本発明で用いる化学式[I]で表される錯体において、Lは中性ルイス塩基である。中性ルイス塩基としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウムなどが挙げられる。中でも窒素原子を有する配位子が好ましい。
また、LはQ及び/又はQと結合して、前記でも示したいわゆる多座配位子となっていてもよい。
化学式[I]におけるLのwは、中性ルイス塩基Lの個数を表す。wは0〜3の整数であり、好ましくは0〜1である。
本発明で用いるメタロセン錯体は、既知の方法、例えば(1)Tardif, O.; Nishiura, M.; Hou, Z. M. Organometallics 22, 1171, (2003). や、(2)Hultzsch, K. C.; Spaniol, T. P.; Okuda, J. Angew. Chem. Int. Ed, 38, 227, (1999). に記載された方法に従って合成することができる。
また、後述の参考例にも、これらの錯体の製造方法の具体例が記載されている。
[イオン性化合物]
本発明に用いる触媒や開始剤にはイオン性化合物(上記(b))が含まれていても良い。ここでイオン性化合物とは、非配位性アニオンとカチオンからなるイオン性化合物を含む。該イオン性化合物は、前記したメタロセン錯体と組み合わされることにより、前記メタロセン錯体に重合触媒としての活性を発揮させる。そのメカニズムとして、イオン性化合物が、メタロセン錯体と反応し、カチオン性の錯体(活性種)を生成させると考えることができる。
イオン性化合物の構成成分である非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが好ましく、テトラ(フェニル)ボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル,ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル),フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレートなどが挙げられる。
これらの非配位性アニオンのうち、好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
イオン性化合物の構成成分であるカチオンの例には、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが含まれる。
カルボニウムカチオンの具体例には、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ置換フェニルカルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが含まれる。トリ置換フェニルカルボニウムカチオンの具体例には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンが含まれる。
アンモニウムカチオンの具体例には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン、などのジアルキルアンモニウムカチオンが含まれる。
ホスホニウムカチオンの具体例には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが含まれる。
これらのカチオンのうち、好ましくはアニリニウムカチオンまたはカルボニウムカチオンであり、さらに好ましくはトリフェニルカルボニウムカチオン、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオンが挙げられる。
すなわち、本発明に用いる重合触媒組成物に含まれるイオン性化合物は、前記した非配位性アニオンおよびカチオンからそれぞれ選ばれるものを組み合わせたものであり得る。 好ましくは、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1'−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。イオン性化合物は1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのイオン性化合物のうち、特に好ましいものは、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(n−オクタデシル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
また、遷移金属化合物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成させることができるルイス酸である、B(C、Al(Cなどをイオン性化合物として用いてもよく、これらを前記のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。
さらに、アルキルアルミ化合物(アルミノオキサン、好ましくはMAOまたはMMAO)、またはアルキルアルミ化合物とボレート化合物の組み合わせも、イオン性化合物として用いることができ、また他のイオン性化合物と組み合わせて用いてもよい。特に、前記した本発明で用いる錯体(化学式[I])のモノアニオン配位子Qが、アルキルまたはヒドリド以外である場合(例えばハロゲンである場合)は、アルキルアルミ化合物、またはアルキルアルミ化合物とボレート化合物の組み合わせを用いることが好ましいと考えられる。
本発明に用いる触媒もしくは開始剤は、メタロセン錯体及びイオン性化合物以外にも、任意の成分を含むことができる。任意の成分とは、周期律表の2族、12族、13属の金属を含む有機金属化合物、シラン化合物、水素などが挙げられる。上記の有機金属化合物としては、アルキルアルミニウム化合物やアルキルマグネシウム化合物、アルキル亜鉛などが代表例としてあげられる。
アルキルアルミニウム化合物とは、通常、メタロセン重合触媒で用いられるアルミノオキサン(アルモキサン)と称される有機アルミニウム化合物を含む。例えば、メチルアルミノキサン(MAO)などが挙げられる。
シラン化合物とは、フェニルシランなどが挙げられる。
上記の有機金属化合物成分を併用すると、連鎖移動反応を誘発することが出来、触媒もしくは開始剤によって得られるブロック重合体連鎖を起点として更にブロック重合連鎖を形成する、所謂マルチブロックな構造の重合体を得ることも可能である。
前記の通り、本発明に好ましく用いられる遷移金属化合物は前記イオン性化合物等との組成物として用いることも出来る。(以下、重合触媒組成物と言う事がある。) 本発明に用いる重合触媒組成物において、イオン性化合物のメタロセン錯体に対するモル比率は、錯体とイオン性化合物の種類によって異なる場合がある。
前記モル比率は、例えば、イオン性化合物がカルボニウムカチオンとホウ素アニオンからなるもの(例えば[PhC][B(C])である場合は0.5〜5、さらに0.5〜1であることが好ましく、MAOなどである場合は300〜4000程度であることが好ましい。
イオン性化合物は、メタロセン錯体をイオン化、即ちカチオン化させて、触媒活性種とすると考えられるため、上記した比率以下であると、十分にメタロセン錯体を活性化することができない可能性がある。
一方、カルボニウムカチオンとホウ素アニオンからなるイオン性化合物が過剰に存在すると、重合反応させるべきモノマーとそれらが反応してしまう恐れがある。
本発明に用いる重合触媒組成物は、以下のように用いることができる。
例えば、1)各構成成分(メタロセン錯体およびイオン性化合物など)を含む組成物を重合反応系中に提供する、あるいは2)各構成成分を別個に重合反応系中に提供し、反応系中において組成物を構成させることにより、重合触媒組成物として用いることができる。
上記1)において、「組成物として提供する」とは、イオン性化合物との反応により活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することを含む。
本発明のブロック共重合体の製造方法では、芳香族ビニル化合物と共役ポリエンとの共存下に、好ましくは前記の遷移金属化合物を含む重合触媒組成物を用いて共重合を行うだけで、ブロック共重合体が得られる。芳香族ビニル化合物と共役ポリエンの合計量を100モル%とした場合、それぞれの比率は以下の通りであることが好ましい。芳香族ビニル化合物の下限値は5モル%、より好ましくは10モル%、更に好ましくは15モル%である。好ましい上限値は80モル%、より好ましくは60モル%、更に好ましくは50モル%、特に好ましくは40モル%である。一方、共役ポリエン化合物の好ましい下限値は20モル%、より好ましくは40モル%、更に好ましくは50モル%、特に好ましくは60モル%である。好ましい上限値は95モル%、より好ましくは90モル%、更に好ましくは85モル%である。
本発明のブロック共重合体の製造方法は、−80〜160℃、好ましくは、−20〜100℃、更に好ましくは20〜90℃、特に好ましくは30〜80℃で行われる。また、重合方法は公知の方法を制限無く用いることが出来る。具体的には、芳香族ビニル化合物成分や共役ポリエン化合物自身を溶媒とする所謂塊状重合を行うことも出来るが、公知の不活性炭化水素媒体を用いた溶液重合やスラリー重合を行うことが好ましい。ここでの不活性炭化水素媒体として具体的には、ヘキサン、デカン、シクロヘキサン等の炭素数6以上の脂肪族炭化水素や脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、o−ジクロロトルエンなどのハロゲン含有化合物を好ましい例として挙げることが出来る。
前記の遷移金属化合物は、芳香族ビニル化合物と共役ポリエンの合計量に対して、好ましくは0.0001〜1モル%、より好ましくは0.001〜0.1モル%、特に好ましくは0.01〜0.05モル%の割合で使用される。
前記のその他の成分である有機金属化合物やシラン化合物、水素は、芳香族ビニル化合物と共役ポリエンの合計量に対して、好ましくは0.0001〜100モル%、より好ましくは0.001〜50モル%、特に好ましくは0.01〜10モル%の割合で使用される。
これらの重合触媒組成物の各成分は、製造するブロック共重合体の分子量や、ブロック構造形態、生産性を考慮して組み合わせた条件が選択される。
重合時間に特に制限はないが、生産性などを考慮して好ましくは15分〜48時間、より好ましくは30分〜24時間、更に好ましくは1〜12時間の範囲に設定される。
[ブロック共重合体]
本願の第2の発明は、前記の製造方法で得られるブロック共重合体である。
本発明のブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物由来の単位と共役ポリエン由来の単位とから主に構成される。本発明のブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物との存在下に重合を行って得られる重合体であるが、前記のようにブロック共重合体の構造を有し、好ましくは芳香族ビニル化合物由来の単位の連鎖に起因すると考えられる高い融点と、好ましくは共役ジエン化合物由来の単位の連絡に起因すると考えられる低いガラス転移温度とを示す。
本発明のブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物由来の単位と共役ポリエン由来の単位とから主に構成される。
芳香族ビニル化合物由来の単位と共役ポリエン由来の単位の合計を100モル%とした場合の好ましい割合は、芳香族ビニル化合物の下限値は5モル%、より好ましくは10モル%、更に好ましくは15モル%である。好ましい上限値は80モル%、より好ましくは60モル%、更に好ましくは50モル%、特に好ましくは40モル%である。一方、共役ポリエン化合物の好ましい下限値は20モル%、より好ましくは40モル%、更に好ましくは50モル%、特に好ましくは60モル%である。好ましい上限値は95モル%、より好ましくは90モル%、更に好ましくは85モル%である。芳香族ビニル化合物由来の単位が少な過ぎると融点が低い、もしくは、融点を持たない重合体になってしまう場合があり、芳香族ビニル化合物由来の単位が多過ぎるとゴム弾性に基づく性質が低下したり、ガラス転移温度が上昇する可能性がある。
これらの組成情報は、NMR測定や熱分解ガスクロマトグラフィー、赤外分光分析などを用いたり併用したりして得ることが出来る。
オレフィンなどのその他の化合物に由来する単位は、芳香族ビニル化合物と共役ポリエンの合計量を100モル%として好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、特に好ましくは0〜2モル%である。
本発明のブロック共重合体は、250〜300℃の融点を示す。好ましくは255〜290℃、より好ましくは260〜280℃である。この融点は示差走査熱量測定(DSC)によって決定される値である。
またねじりモードでの固体粘弾性測定によっても類似の値を得ることが出来る。
本発明のブロック共重合体は、−30〜−150℃のガラス転移温度を示す。好ましくは−40〜−120℃、より好ましくは−50〜−110℃である。このガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)によって決定される値である。またねじりモードでの固体粘弾性測定によっても類似の値を得ることが出来る。
本発明のブロック共重合体がブロック構造をとることを証明する手段としては、NMR測定によって芳香族ビニル化合物と共役ポリエンとの結合に由来する水素、もしくは13Cのシグナルの有無を測定することが挙げられる。
また、溶媒分別も簡易且つ確実な手段として挙げることが出来る。即ち、共役ポリエンの重合体の良溶媒且つ芳香族ビニル化合物の重合体の貧溶媒の性質を示す媒体で、得られた重合体の溶媒分別操作を行い、溶媒不溶部が共役ポリエン化合物由来構造を有していたり、共役ポリエン化合物重合体由来の性質を示せば、この重合体はブロック重合体であると言える。
本発明のブロック重合体は、従来のシンジオタクチックポリスチレンに対して高い結晶化速度を有している。この結晶化速度を比較する方法としては、例えば本発明のブロック共重合体と、従来のシンジオタクチックポリスチレンと共役ポリエン重合体との混合物を同一条件で成形したサンプルのDSC測定による融解熱量を比較する方法が挙げられる。
本発明のブロック共重合体の結晶化速度が速い理由の詳細は不明であるが、芳香族ビニル化合物由来の連鎖部位がミクロ層分離し易く、同層構造では分子運動の自由度が高い可能性が挙げられる。また、この分子運動の自由度の高さには、ガラス転移温度が低い即ち運動性の高い共役ポリエン由来の連鎖部位が関与している可能性も考えられる。
本発明のブロック共重合体は、必要に応じて他の重合体と組み合わせて用いることが出来る。例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどの公知のポリオレフィンやポリスチレン、アクリル系樹脂、塩ビ樹脂等の汎用樹脂やポリエステル、エチレン/ブテン共重合体などの公知のオレフィン系エラストマーや、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、立体規則性ポリスチレンなどの機能性樹脂と組み合わせて用いることも出来る。
本発明のブロック共重合体は、公知の添加剤、例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、スリップ剤、流動付与剤などを添加することも勿論可能である。
本発明のブロック共重合体は、従来のTPEの用途は勿論、これまで耐熱性の関係で使用に制限のあった、各種架橋ゴムが使用されていた用途にも適用できる可能性がある。例えば、自動車のエンジン廻りに使用される樹脂材料の改質剤等が挙げられる。
本発明によれば、従来、架橋ゴムが適用されていた用途にも使用可能な熱可塑性エラストマーをより簡便な方法で提供できる可能性がある。
以上、本発明の実施形態について説明したが、発明の目的を損なわない範囲で適宜変更を加えた態様も、本発明の実施形態に含まれる。
[実施例の各種測定条件]
H−NMR測定]
日本電子社製「ECX400P型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
パルスシーケンス: シングルパルス
パルスアングル:45°
積算回数:512 回
繰り返し時間:7.0sec
溶媒: 重水素化テトラクロロエタン(TCE−d2)
試料濃度:3〜4g/L
測定温度:50℃(スチレン・ブタジエン共重合体の場合)
120℃(スチレン単独重合体、スチレン・エチレン共重合体の場合)
ケミカルシフト基準:テトラクロロエタン=5.95ppm
(スチレン/エチレン共重合体の場合は、メチレン水素=1.20ppm)

スチレン/ブタジエン共重合体のH−NMRスペクトルにおける各シグナルは、以下の様に帰属される。
スチレン構造由来のフェニル水素 7.10ppm および 6.55ppm
スチレン構造由来のメチレンおよびメチン水素 2.10ppm
ブタジエン構造由来のペンダントビニル基のメチン水素 5.60ppm,
ブタジエン構造由来のペンダントビニル基のメチレン水素 5.10ppm,
ブタジエン構造由来の主鎖中の二重結合のメチン水素 5.35ppm (CHCH=CHCH),

シンジオタクチックポリスチレンのH−NMRスペクトルにおける各シグナルは、以下の様に帰属される。
メタ位、パラ位のフェニル水素 7.00ppm
オルト位のフェニル水素 6.55ppm
主鎖メチン水素 2.10ppm
主鎖メチレン水素 1.35ppm

エチレン/スチレン共重合体のH−NMRスペクトルにおける各シグナルは、以下の様に帰属される。
スチレン構造由来のフェニル水素 6.4〜7.2ppm,
主鎖メチレンおよびメチン水素 1.1〜2.4ppm
13C−NMR測定]
日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
パルスシーケンス: シングルパルスプロトンデカップリング
パルスアングル:45°
積算回数:16000回
(スチレン・エチレン共重合体の場合、4000回)
パルス繰り返し時間:5.5秒
溶媒:重水素化テトラクロロエタン(TCE−d2)
試料濃度:8〜9g/l
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:テトラクロロエタンシグナル=74.0ppm
(スチレン/エチレン共重合体の場合は、メチレン炭素=29.73ppm

シンジオタクチックポリスチレンの13C−NMRスペクトルにおける各シグナルは、以下の様に帰属される。
1位のフェニル炭素 145ppm,
オルト位、メタ位のフェニル炭素 128ppm,
パラ位のフェニル炭素 125ppm,
主鎖のメチン炭素 44.5ppm,
主鎖のメチレン炭素 41ppm

エチレン/スチレン共重合体の13C−NMRスペクトルにおける各シグナルは、特許文献3とほぼ同じく以下の様に帰属される。
スチレン連鎖構造由来の3級炭素(Tδδ) 46.2ppm,
スチレン連鎖構造由来の2級炭素(Sαα) 44.4ppm
孤立したスチレン構造由来の3級炭素(Tββ) 41.3ppm,
スチレン−エチレン−スチレン連鎖のメチレン炭素(Sαβ) 37.0〜38.0ppm,
孤立したスチレン構造由来のメチレン炭素(Sγδ)およびエチレン連鎖のメチレン炭素(Sδδ) 29.4〜30.0ppm,
孤立したスチレン構造由来のメチレン炭素(Sβδ) 27.7−27.2ppm
[示差走査熱量測定(DSC)]
セイコー電子社製DSC220を用い、以下のように融点(Tm)の測定を行う。
窒素雰囲気下(20ml/min)、約5〜10mgの試料を300℃まで昇温し、5分間300℃で保持した後、10℃/分で−150℃まで冷却した。
次いで−150℃で5分間保持した後、10℃/分で300℃まで昇温させた。この2度目の昇温時のチャートからガラス転移点(Tg)や結晶溶融ピークの頂点の温度で決定される融点(Tm)および融解熱量(ΔH)を算出した。
[固体粘弾性]
(ねじりモード)
Anton Paar社製のMCR301を用いて、以下の条件で実施する。
空気下、厚さ2mm、45mmx10mm厚さの短冊状シートを用い、周波数10rad./sec.、測定温度:−100℃〜300℃(昇温速度3℃/min)で測定を行い、貯蔵弾性率G',損失弾性率G"、損失正接tanδの温度依存性を測定する。
(引張モード)
アイティー計測制御社製のDVA−225を用いて、以下の条件で実施する。
空気下、厚さ0.5mm、45mmx10mm厚さの短冊状シートを用い、測定モードは引張モードで周波数1Hz、測定温度:−150℃〜300℃(昇温速度3℃/min)で測定を行い、貯蔵弾性率E',損失弾性率E"、損失正接tanδの温度依存性を測定する。
[溶媒分別の操作]
白色固体サンプル5.0gを、300mLのTHFに装入し、一晩室温で攪拌し、濾過分別により可溶成分と不溶成分に分離した。可溶部は濾液の濃縮と60℃、12時間の減圧乾燥によって得た。不溶部は洗浄後に60℃、12時間減圧乾燥することで得た。
[極限粘度[η]]
移動粘度計(離合社製、タイプVNR053U型)を用い、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち重合ポリマー約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/0の値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
実施例1
ガス供給ラインを付した内容積1.5LのSUS製オートクレーブを充分に窒素置換し、精製トルエンを450mL、スチレン7.5mL、1.0モル/Lのトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液0.4mLを窒素気流下で装入した。オートクレーブを密閉した後に氷水で冷却し、1,3−ブタジエン12.4gをガス供給ラインから導入した。
オートクレーブを密閉後、攪拌しながら50℃まで昇温したところで0.005mol/Lの(η−テトラメチルトリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムのトルエン溶液を7mL、0.005mol /Lのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液を7mLを高圧窒素でオートクレーブに圧送し、60分間保持した。この時攪拌回転数は1000rpmを保持した。所定時間経過後、失活剤のメタノールを添加し反応終了とした。
得られた反応溶液を過剰量のアセトンに投入し、反応物を析出させた。析出した白色固体を濾別、洗浄後に、60℃で12時間真空乾燥した。得られた白色固体は19.2gであり、これは使用したスチレンと1,3−ブタジエンの量に相当する。従って、触媒活性は0.5Kg/(mmol−Sc*Hr)であり、得られた析出物の組成はスチレン含量率22.2mol%に相当する。
得られた白色固体100質量部に対して酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部、IRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部に相当する量を加えた。
得られた白色固体のDSC測定によって決定される融点(Tm)は267.5℃、融解熱量(ΔH)は3.86J/gであった。これは後述する参考例のシンジオタクチックポリスチレンに相当する値である。一方、観測されたガラス転移点(Tg)は、−95.6℃であった。これは、ポリブタジエン由来のTgに相当する値である。
Anton Paar社製のMCR301を用いて、得られた白色固体の固体粘弾性(ねじりモード)を以下の方法に基づき測定した。
空気下、厚さ2mm、45mmx10mm厚さの短冊状シートを用い、周波数10rad./sec.、測定温度:−80℃〜300℃(昇温速度3℃/min)で測定を行い、貯蔵弾性率G',損失弾性率G"、損失正接tanδの温度依存性を測定したところ、−80℃以下にポリブタジエン由来のガラス転移に伴うtanδのピークが現れ、100℃付近にポリスチレンのガラス転移に伴うtanδのピークが現れ、その後270℃付近で軟化した後、弾性率が上昇した。この弾性率上昇は、ブタジエン由来の構造単位の二重結合による架橋反応に由来すると考えられる。
また、得られた白色固体は、ブロック共重合体であることが確認された。
実施例2
スチレンを18.0mL、1,3−ブタジエンを5.8g用いた以外は、実施例1と同様にして共重合を行った。白色固体は22.1gで使用したスチレンと1,3−ブタジエンの合計重量に相当する。従って、触媒活性は0.6Kg/(mmol−Sc*Hr)、組成はスチレン含量率59.3mol%となる。
得られた白色固体のDSC測定で決定される融点(Tm)は267.8℃、融解熱量(ΔH)は8.21J/gであった。
固体粘弾性(引張モード)の測定では−100℃付近にガラス転移に伴うtanδのピークが現れ、その後270℃付近で軟化し、架橋反応により弾性率の向上がみられた。
また、得られた白色固体は、ブロック共重合体であることが確認された。
実施例3
ガス供給ラインを付した内容積1.5LのSUS製オートクレーブを充分に窒素置換し、精製トルエンを500mL、スチレン2.5mL、1.0mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液0.4mLオートクレーブを密閉後、攪拌しながら50℃まで昇温したところで0.005mol/Lの(η−テトラメチルトリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムのトルエン溶液を7ml、0.005mol/Lのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液7mLを高圧窒素でオートクレーブに圧送し、60分間保持した。この時攪拌回転数は1000rpmを保持した。
その後、オートクレーブを氷水で冷却し、スチレン2.5mL、1,3−ブタジエン19.2gを新たに装入した。次いで50℃に昇温し、120分間保持した後、メタノールを添加した。
得られた反応溶液を過剰量のアセトンに投入し、反応物を析出させた。析出した白色固体を濾別、洗浄後に、60℃で12時間真空乾燥した。得られた白色固体は20.8gであり、これは収率87%に該当する。従って、触媒活性は0.2Kg/(mmol−Sc*Hr)である。
得られた白色固体100質量部に対して酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部、IRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部に相当する量を加えた。
得られた白色固体のH−NMR測定により、スチレン6.3mol%、ブタジエンの1,4付加構造が79.4mol%、ブタジエンの1,2付加構造が14.4mol%の結果を得た。
Anton Paar社製のMCR301を用いて、得られた白色固体の固体粘弾性(ねじりモード)を以下の方法に基づき測定した。
空気下、厚さ2mm、45mmx10mm厚さの短冊状シートを用い、周波数10rad./sec.、測定温度:−80℃〜300℃(昇温速度3℃/min)で測定を行い、貯蔵弾性率G',損失弾性率G"、損失正接tanδの温度依存性を測定したところ、−80℃以下にポリブタジエン由来のガラス転移に伴うtanδのピークが現れ、その後270℃付近で軟化した後、弾性率が上昇した。この弾性率上昇は、ブタジエン由来の構造単位の二重結合による架橋反応に由来すると考えられる。
得られた白色固体のDSC測定で決定される融点(Tm)は273.6℃、融解熱量(ΔH)は1.70J/gであった。
また、得られた白色固体は、ブロック共重合体であることが確認された。
実施例4
最初のスチレンを9.0mL、追加装入するスチレンを9.0mL、1,3−ブタジエンを5.8gとした以外は、実施例3と同様にして共重合を行った。
収量は10.4gで収率79%に相当する。触媒活性は0.1Kg/(mmol−Sc*Hr)であった。得られたポリマー100質量部に対して酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1質量部、IRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1質量部を加えた。
得られた白色固体5.0gを、300mLのテトラヒドロフラン(THF)に加え、一晩室温で攪拌し、THF可溶成分と不溶成分に分離した。可溶成分は22wt%、不溶成分は78wt%であった。(THFは、ポリブタジエンは可溶、シンジオタクチックポリスチレンは不溶な媒体である。)
上記のTHF可溶成分と不溶成分とを各々H−NMRスペクトルにより分析した。THF可溶成分のスチレン含量率は4.4mol%、ブタジエンの1,4−付加構造が81.3mol%、ブタジエンの1,2−付加構造は14.3mol%であった。THF不溶成分のスチレン含量率は75.9mol%、ブタジエンの1,4−付加構造は20.4mol%、ブタジエンの1,2−付加構造は3.7mol%であった。
THF可溶成分のDSCによる融点(Tm)は271.1℃、融解熱量(ΔH)は0.49J/gであり、ガラス転移点(Tg)が−93.3℃に観測された。THF不溶成分のDSCによる融点(Tm)は270.9℃、融解熱量(ΔH)は5.83J/gであり、ガラス転移点(Tg)の温度が−94.4℃に観測された。
参考例1
ガス供給ラインを付した内容積1.5LのSUS製オートクレーブを充分に窒素置換し、精製トルエンを500mL、スチレン40mL、1.0mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液0.3mLを装入した。オートクレーブを密閉後、攪拌しながら80℃まで昇温したところで0.005mol/Lの(η−テトラメチルトリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムのトルエン溶液を7mL、0.005mol/Lのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液7mLを高圧窒素でオートクレーブに圧送し、10分間保持した。この時攪拌回転数は1000rpmを保持した。
得られた反応溶液を過剰量のアセトンに投入し、反応物を析出させた。析出した白色固体を濾別、洗浄後に、130℃で12時間真空乾燥した。得られた白色固体は31.2gであり、これは収率91.5%に該当する。従って、触媒活性は5.3Kg/(mmol−Sc*Hr)である。
得られた白色固体100質量部に対して酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部、IRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部に相当する量を加えた。
得られた白色固体のDSCによる融点は274.1℃、融解熱は15.3J/gであった。
H−NMR測定、13C−NMR測定より、得られた白色固体のシンジオタクチシチーは100%であった。
比較例1
ガス供給ラインを付した内容積1.5LのSUS製オートクレーブを充分に窒素置換し、精製トルエンを500mL、スチレン10mL、1.0mol/Lのトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液0.3mLを装入した。オートクレーブを密閉後、エチレンを内圧が0.7MPa−Gとなるまで圧入した。
次いで、攪拌しながら80℃まで昇温したところで0.005mol/Lの(η−テトラメチルトリメチルシリルシクロペンタジエニル)ビス(N,N−ジメチルアミノベンジル)スカンジウムのトルエン溶液を7ml、0.005mol/Lのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトルエン溶液7mLを高圧窒素でオートクレーブに圧送し、30分間保持した。この時攪拌回転数は1000rpmを保持した。
得られた反応溶液を過剰量のアセトンに投入し、反応物を析出させた。析出した白色固体を濾別、洗浄後に、110℃で12時間真空乾燥した。得られた白色固体は20.2gであった。従って、触媒活性は1.2Kg/(mmol−Sc*Hr)である。
得られた白色固体100質量部に対して酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部、IRGAFOS168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.1質量部に相当する量を加えた。
得られた白色固体の[η]は1.39dl/g、DSCによる融点は80.4℃、融解熱は30.4J/gであった。(270℃付近のピークは観測されなかった。)
H−NMR測定、13C−NMR測定より、得られた白色固体のスチレン含量率は13.9モル%であった。
固体粘弾性測定においては、9.5℃付近でガラス転移に伴うtanδのピークが観測され、100℃付近で融解に伴う軟化が観測された。(270℃付近、−40〜−80℃領域には融解もガラス転移の現象も見られなかった。)
比較例2
シンジオタクチックポリスチレン(出光興産社製、商品名 ザレックS104)50質量部およびゴム状重合体としてSEBS(旭化成社製、商品名 タフテックH1062)50質量部の合計100質量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.1質量部をプラスチック光学研究社製30mmφ2軸押出成形機BT−30を用いて混錬し組成物を得た。混練条件は、溶融温度290℃、吐出量を3Kg/Hrとした。
得られた組成物のDSCによる融点(Tm)は271.5℃、融解熱量(ΔH)は0.70J/gであり、SEBSのエチレン/ブテン共重合体部位に由来すると考えられるガラス転移点(Tg)が−59.6℃に観測された。
組成物製造に用いられたシンジオタクチックポリスチレン(出光興産社製、商品名 ザレックS104)の融点(Tm)はシンジオタクチックポリスチレンに由来する273.3℃、融解熱量(ΔH)は12.0J/gであり、SEBS(旭化成社製、商品名 タフテックH1062)のガラス転移点(Tg)は−60.5℃に観測された。
固体粘弾性測定では、−50℃付近にエチレン/ブテン共重合体部位に由来すると考えられるガラス転移点(Tg)に伴うtanδのピークが現れた。
本発明のブロック共重合体が高い融点を示す理由は定かではないが、たとえば、芳香族ビニル化合物由来単位連鎖の立体規則性を高いか、前記単位の連鎖長が長いため、安定した結晶構造を形成できるためではないかと考えられる。
また、芳香族ビニル化合物重合体ブロックにおいて、たとえば、そのブロックの立体規則性を高くするか、芳香族ビニル化合物連鎖の長さ(連鎖長)を長くすることにより、融点を高くすることができると考えられる。
以下、態様の例を付記する。
1.芳香族ビニル化合物と共役ポリエン化合物との存在下に共重合を行い、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が250〜300℃、ガラス転移温度が−30〜−150℃を有する芳香族ビニル化合物/共役ポリエン化合物ブロック共重合体の製造方法。
2.前記芳香族ビニル化合物がスチレンであることを特徴とする1に記載のブロック共重合体の製造方法。
3.前記共役ポリエン化合物が1,3−ブタジエン、イソプレンから選ばれる1または2に記載のブロック共重合体の製造方法。
4.周期律表の3族金属元素に、シクロペンタジエニル基もしくは置換シクロペンタジエニル基と窒素を含む芳香族置換基とを有する遷移金属化合物の存在下に、前記芳香族ビニル化合物と前記共役ポリエン化合物との共重合を行うことを特徴とする1から3のいずれかに記載のブロック共重合体の製造方法。
5.1から4のいずれかに記載の製造方法で得られるブロック共重合体。

Claims (1)

  1. スチレン1,3−ブタジエンとの存在下に共重合を行い、これを化学式[I]で表される遷移金属化合物の存在下で共重合して、示差走査熱量計(DSC)で、10℃/分で300℃まで昇温して測定した融点が250〜300℃、ガラス転移温度が−30〜−150℃を有する芳香族ビニル化合物/共役ポリエン化合物ブロック共重合体を製造する方法。
    Figure 0005626752
    (化学式[I]中、MはSc原子であり、Cp は組成式C 5−X で表される置換シクロペンタジエニル基であり、xは1〜5の整数を表し、Rはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、またはヒドロカルビル基が置換したメタロイド基であり、その少なくとも一つがトリメチルシリル基であり、Q 及びQ はそれぞれCH ER −o(式中、R は、それぞれ独立に水素またはアルキル基を示し;EはNを示し;R は、それぞれ独立にアルキル基またはアリール基を示し;nは2である)で示される基であり、Lは中性ルイス塩基であり、wは0である。)
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