JP5800320B2 - 導電性フィルム並びにそれを備えるタッチパネル及び表示装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、具体的には、ディスプレイの画素配列パターン(例えば、ブラックマトリックス(以下、BMともいう)パターン)等の第1のパターン、及び、例えば、電磁波シールドパターン等の第2のパターンのそれぞれのパターンデータの2次元フーリエスペクトル(2DFFTSp)のスペクトルピーク間の相対距離が、所定の空間周波数、例えば8cm−1を超えている第2のパターンデータによって生成される第2のパターンを自動的に選定することが開示されている。
なお、特許文献1では、上述の相対距離が所定の空間周波数を超えていない場合には、第2のパターンデータの回転角度、ピッチ、パターン幅の1つ以上を変化させて、新たな第2のパターンデータを生成することを、上述の相対距離が所定の空間周波数を超えるまで繰り返すことも開示している。
こうして、特許文献1では、モアレの発生を抑止でき、表面抵抗率の増大や透明性の劣化をも回避することができる電磁波シールドパターンを自動的に選定できるようにしている。
しかしながら、特許文献1では、1層のみのモアレ最適化手法であり、配線が複数層存在するタッチパネル等には適用することができない。
また、特許文献2では、2層構造の透明導電パターンのモアレについて考慮されているものの、視野角が変わった際のモアレについては何ら考慮されていない。
このように、現状では、配線パターンが複数層存在するタッチパネル等において、視野角が変わることによるモアレの発生、及びモアレの発生の低減について考慮されたものがないのが現状である。
また、透明基体の両面に配線層が形成されていることが好ましい。
また、一方の面に配線層が形成された透明基体が複数積層されていることが好ましい。
また、配線層は、メッシュ状に形成された、複数の開口部が配列された配線パターンを有することが好ましい。
また、画素配列パターンは、表示ユニットのブラックマトリックスパターンであることが好ましい。
また、上記目的を達成するために、本発明の第3の態様は、表示ユニットと、この表示ユニットの上に設置される、本発明の第1の態様の導電性フィルムとを有することを特徴とする表示装置を提供するものである。
また、上記目的を達成するために、本発明の第4の態様は、表示ユニットと、この表示ユニットの上に設置される、本発明の第1の態様の導電性フィルムとを有することを特徴とする表示装置を提供するものである。
これにより、本発明の導電性フィルムを備えたタッチパネル及び表示装置について、画質をより向上させることができる。
以下では、本発明の導電性フィルムについて、表示パネルとして液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display Panel)を用いるタッチパネル用の導電性フィルムを代表例として説明するが、本発明は、これに限定されず、後述する種々の表示装置の表示ユニット上に設置される導電性フィルムであれば、タッチパネル用の導電性フィルムに限定されず、どのようなものでも良く、例えば、電磁波シールド用の導電性フィルム等であっても良いのはもちろんである。
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置を示す模式図である。図2(a)は、本発明の実施形態の導電性フィルムの一例を示す模式的断面図であり、(b)は、本発明の実施形態の導電性フィルムの配線パターンの一例を示す模式図である。
ここで、タッチセンサ12は、この順序で積層される第1の粘着層16、本実施形態の導電性フィルム18、第2の粘着層20、及び保護層22と、ケーブル21を介して導電性フィルム18に電気的に接続された検出制御部23とを備える。ここで、タッチセンサ12は、表示ユニット14上に、第1の粘着層16又は接着層を介して貼り付けられるのが良いが、単に載置してもよい。
また、表示ユニット14は、面状照明光を射出するバックライトユニット(BLK)24と、バックライトユニット24によって裏面から照明され、表示部を構成する液晶表示セル(LCC)26とを備える。
図2(a)に示すように、導電性フィルム18は、透明基体30と、透明基体30の表面30a及び裏面30bのそれぞれに形成され、複数の金属製の細線(以下、金属細線という)32で形成された配線層34a及び34bとを有する。
また、透明基体30は、少なくとも1層あればよい。
配線層34(34a及び34b)を構成する金属細線32は、導電性の高い金属製の細線であれば特に制限的ではなく、例えば、金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)の線材等からなるものを挙げることができる。金属細線32の線幅は、視認性の点からは細い方が好ましいが、例えば、30μm以下であれば良い。なお、タッチパネル用途では、金属細線32の線幅は、0.1μm以上15μm以下が好ましく、1μm以上9μm以下がより好ましく、2μm以上7μm以下が更に好ましい。
第1の粘着層16、第2の粘着層20の材料としては、粘着性や接着性のある樹脂材料であれば良く、ウェットラミネート接着剤、ドライラミネート接着剤、又はホットメルト接着剤等が挙げられる。
なお、第1の粘着層16、及び第2の粘着層20は、同一の材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
相対屈折率nr1の範囲をこの範囲に限定して、透明基体30と保護層22との部材間の光の透過率を制御することにより、モアレの視認性をより向上させ、改善することができる。
ここで、相対屈折率nr2及び相対屈折率nr3は、上述した相対屈折率nr1と同様に、0.86以上1.15以下の範囲にあればよく、より好ましくは、0.91以上1.08以下である。
なお、相対屈折率nr2、及び相対屈折率nr3の範囲をこの範囲に限定することにより、相対屈折率nr1の範囲の限定と同様に、モアレの視認性をより向上させることができる。
フレキシブル基板は、可撓性を備える電子基板である。検出制御部23は、バックライトユニット24の下側に配置しているが、この配置位置は、特に、限定されるものではなく、表示装置10の構成により種々変更することができる。
検出制御部23は、導体である接触体(図示せず)を、配線層34a及び34bが形成された領域において、外部から導電性フィルム18に接触された位置を検出するものである。例えば、導電性フィルム18が静電容量方式のものであれば、検出制御部23は、接触する(又は近づける)際の接触体と導電性フィルム18との間での静電容量の変化を捉えて、その接触位置(又は近接位置)を検出する電子回路で構成される。
具体的には、図3に示すように、上から奇数k(2n−1:n=自然数(1、2、…))番目の導電性フィルム要素19aの配線層34は、全て同一の構成の配線層34cからなり、上から偶数k(2n:n=自然数(1、2、…))番目の導電性フィルム要素19bの配線層34は、全て同一の構成の配線層34dからなるが、配線層34cは、配線層34dに対して、偶数層の配線層34dの金属細線32が奇数層の配線層34cの隣接する2本の金属細線32の間、好ましくはその中心に来るように、位相をずらして配置されている。なお、配線層34dは、配線層34cに対して、同様に位相をずらして配置されていることになる。
なお、配線層34の積層数については、透明基体30の両面にそれぞれ配線層34a及び34bが形成された導電性フィルム18を用いる場合であっても、透明基体30の一方の面だけに配線層34が形成された導電性フィルム要素19(19a、19b)を積層した導電性フィルム18aを用いる場合であっても、特に限定されるものではなく、タッチセンサ、タッチパネルとして要求される仕様に応じて、適宜選択されるものである。
導電性フィルム18、18aは、静電容量方式、抵抗膜方式のいずれの方式であってもよく、また静電容量方式および抵抗膜方式を組み合わせたものであってもよい。
以下の説明では、主として導電性フィルム18を代表例として説明するが、導電性フィルム18aにも適用可能であることは言うまでもない。
バックライトユニット24は、液晶表示セル26に応じた公知のものが適宜利用可能であり、エッジライト(サイドライト、又は導光板)方式のバックライトに限定されず、直下型でも良いのはもちろんである。
また、液晶表示セル26についても、表示ユニット14の表示パネルとして用いられるもので、所定の画素配列パターンを備えるものであれば、公知のものが適宜利用可能である。なお、本発明に用いられる表示パネルとしては、液晶表示セル26に限定されるものではなく、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic ElectroLuminescence Display Panel)、無機ELディスプレイパネル等の表示パネルを用いることもできる。バックライトユニット24としては、用いられる表示パネルに応じたものが適宜利用可能である。したがって、表示パネルによっては、バックライトユニット24は必ずしも設けなくても良い。
図4にその一部を示すように、液晶表示セル26には、複数の画素40がマトリクス状に配列されて所定の画素配列パターンが構成されている。1つの画素40は、3つの副画素(赤色副画素40r、緑色副画素40g及び青色副画素40b)が水平方向に配列されて構成されている。1つの副画素は垂直方向に縦長とされた長方形状とされている。画素40の水平方向の配列ピッチ(水平画素ピッチPh)と画素40の垂直方向の配列ピッチ(垂直画素ピッチPv)は略同じとされている。つまり、1つの画素40とこの1つの画素40を囲むブラックマトリクス(BM)42によって構成される形状(網掛けにて示す領域44を参照)は正方形となっている。また、1つの画素40のアスペクト比は1ではなく、水平方向(横)の長さ>垂直方向(縦)の長さとなっている。
上述した本発明の導電性フィルム18及び18aは、例えば、図1に模式的に示す表示ユニット14の液晶表示セル26のタッチセンサ12に適用されるが、表示ユニット14の画素配列パターン、したがってBM(ブラックマトリックス)パターン46に対して、モアレ視認性の点で、表示ユニット14の液晶表示セル26に対する視野角(観察角)に依存することなく最適化された配線パターン35を持つものである。なお、本発明では、BM(画素配列)パターンに対してモアレ視認性の点で最適化された配線パターンとは、所定のBMパターンに対して、視野角を変えてもモアレが人間の視覚に知覚されない1又は2以上の1群の配線パターンを言う。
本実施形態の表示装置10及び導電性フィルム18、18aは、基本的に以上のような構成である。
ここでは、所定のBMパターンに対する配線パターンのモアレ視認性の視野角に依存しない最適化、すなわち視野角(観察角)に依存することなくBMパターンと配線パターンとの干渉によるモアレの発生を低減することについて説明するが、その前に、まず、導電性フィルムの配線パターンと視野角との関係について説明する。
同図に示すように、視野角θがゼロ(θ=0)、すなわち、透明基体30の表面30aに対して垂直方向から見た場合、導電性フィルム18の配線層34a及び34bの配線パターン35は、透明基体30の表面30aに平行な面50上に、合成配線パターン像54として投影されたものとして観察される。
一方、視野角θがゼロでない(θ≠0)、すなわち、透明基体30の表面30aに垂直な方向に対して所定の角度θ傾斜した方向から見た場合、導電性フィルム18の配線層34a及び34bは、上述の面50に対して上記角度θだけ傾斜した面52上に、合成配線パターン像56として投影される。
ここで、面50上に形成された合成配線パターン像54及び面52上に形成された合成配線パターン像56において、白マークは表(観察)側の配線層34aの配線パターン35を形成する金属細線32による投影像であり、黒マークは裏側の配線層34bの配線パターン35を形成する金属細線32による投影像である。
これは、正面(視野角0)から傾斜した位置(視野角θ)から観察するために、透明基体30の厚さdの影響を受けるからである。このように、視野角θにより、配線層34a及び34bの合成配線パターン像56が、透明基体30の厚さdによる影響を受けることになる。なお、図5では、配線パターン35を構成する金属細線32を明確に示すため、その厚みが透明基体30の厚みに対して強調されているが、金属細線32の厚みは、透明基体30の厚みに比して無視できるので、透明基体30の厚さdは、配線パターン35を構成する金属細線32の厚みを含めたものとして示している。
一方、パターンの空間周波数特性を表す2次元フーリエスペクトル(FFT)画像(空間周波数座標)においては、スペクトルピークがパターンのピッチの逆数で現れるので、液晶表示セル26のBMパターンと導電性フィルム18の配線層34の配線パターンとの2つのパターンの干渉によって視認されるモアレを予測するには、BMパターンのピッチ(μm)、配線層の配線パターンのピッチ(μm)が分かればよい。
したがって、本来、モアレの視認性の最適化の観点からは、上述したように、モアレの強度についても考慮すべきであるが、BMパターンと配線パターンとの2つのパターンの干渉によって視認されるモアレを考える場合、BMパターン、すなわち液晶表示セル26の表示画面を観察する角度、すなわち視野角に依存したモアレを考慮する場合、視野角に応じてモアレの強度を定義することは困難である。これは、視野角θが変化すると、上述したように、配線層34a及び34bの各配線パターン35の投影像のピッチが、配線パターン35自体のピッチP1とすると、視野角θをパラメータとして、P1cosθで変化すると共に、一方の配線層(例えば、34a)の配線パターン35に対して、もう一方の配線層(例えば、34b)の配線パターン35の位相が、その透明基体30の厚みd及び視野角θをパラメータとして、dsinθで変化し、スペクトルピークのピーク周波数及びピーク強度が変化し、その結果、モアレの周波数及びモアレの強度もその分変化するためである。なお、θは視野角であり、図5に示すように、正面をθ=0°とする。
以上のことから、本発明では、周波数だけを用いてモアレを予測する。
また、図8(a)に示す斜め観察(視野角が0°ではない)における配線層34a及び34bの合成配線パターン像56に対して2次元フーリエ変換を行い、配線層34a及び34bの合成配線パターン像56の周波数特性(FFT画像)を求めた。その結果を、図8(b)に示す。
ここで、上記図5に示すように、斜め観察(視野角が0°ではない)時の合成配線パターン像56のピッチP1bは、観察方向に応じて正面観察(視野角が0°)時の合成配線パターン像54のピッチP1aに対して狭くなる。後に詳細に説明するが、斜め観察(視野角が0°ではない)時の合成配線パターン像56の周波数特性(FFT画像)を求める際、斜め観察時の合成配線パターン像56のピッチP1bを拡大し、正面観察時のピッチP1aと同じにしている。
このため、斜め観察(図8(b)参照)のFFT画像の方が、正面観察(図7(b)参照)のFFT画像に比して、スペクトルピークのピーク間隔が短く、配線パターンがBMパターンに重畳された場合に視野角に依存した画質劣化が生じる。
なお、配線パターン(合成配線パターン)及びBMパターンのスペクトルピークのピーク周波数を求める場合には、例えば、各パターンの周波数特性(ピーク周波数及びピーク強度)に人間の標準視覚応答特性を畳み込んだ際に、特定の強度以上のもののみを選定しておいてもよい。こうすることにより、選定されたピーク同士の差分のみを求めることになるので、計算時間を短縮することができる。
図3に示すように、配線層の配線パターンが複数層重なった場合、k=1(第1層)、k=2(第2層)では、配線層34(34cと34d)が上述した入れ子の状態となり、正面観察時に、合成配線パターン像54が、単一周波数を持つことが前提となる。
なお、製造バラツキはもちろん含むため、配線層の配線パターンにおいて、5%程度の誤差が生じたとしても、略一定の規則的なパターンとしてみなす。
ここで、配線層の配線パターンは全て等ピッチである。すなわち、金属細線32の間隔は同じである。本発明では、最上層の配線層の金属細線32のピッチ間に下層の配線層の金属細線32も位置することを前提としている。図3に示す例では、1番上の配線層34において、左から2つの金属細線32の間に、その2番目の配線層34の金属細線32が配置されている。3番目の配線層34以降でも、1番上の配線層34の左から2つの金属細線32の間に、配線層34の金属細線32が配置されている。積層数が多くても、最上層の配線層の金属細線32のピッチ間に下層の配線層の金属細線32が位置している。
以下、k=2の場合を例にして、より具体的に説明する。
なお、k=2の場合、構成としては、例えば、図2(a)に示す1つの透明基体30の両面にそれぞれ配線層34a、34bを有する導電性フィルム18、及び図3に示すように透明基体30の表面30aに配線層34cが形成されたものと透明基体30の表面30aに配線層34dが形成されたものが積層された導電性フィルム18aが挙げられる。
一方、図10(a)に示す斜めから観察された配線パターンについて、2DFFT処理を施し、2次元フーリエスペクトルを求めることにより、図10(b)に示す空間周波数特性(FFT画像)が得られる。
図9(b)、図10(b)においても、後に詳細に説明するが、上記図7(b)、図8(b)の場合と同じく、斜め観察(視野角が0°ではない)時の配線パターン像の周波数特性(FFT画像)を求める際、斜め観察時の合成配線パターン像56のピッチP1bを拡大し、正面観察時のピッチP1aと同じにしている。
図9(b)に示す正面から観察したものの空間周波数特性と、図10(b)に示す斜めから観察した空間周波数特性とを比較すると、ピーク間隔については、斜め観察の方が、正面観察のFFT画像のスペクトルピークのピーク間隔が半分になっている。これは、視野角を与えることで、一方の配線パターンに対して他方の配線パターンの位相がずれて、配線パターンの周期が倍になっていることを意味している。このことは、上述の視野角に依存する周波数特性はf1/2となることと一致している。
なお、視野角が生じた場合の配線パターンのピッチを、正面から観察される配線パターンのピッチとなるように拡大することを、以下、単に「規格化」という。
これ以外にも、BMパターンを用いて、以下のようにして規格化できる。
例えば、正面観察時のBMパターンが正方形であり、斜め観察時に、BMパターンが長方形に見える場合、その長方形を、正面観察時の正方形となるように拡大するための係数(拡大率)を求める。この係数を用いることにより規格化できる。BMパターンについても、配線パターンのピッチと同様に、その係数を用いることにより、正面観察時と同じにできる。なお、規格化ができれば、その方法は上述の方法に限定されるものではない。
上述の図7(b)と図8(b)とを重ねると、図7(b)のスペクトルピークは図8(b)のスペクトルピークにぴったり重なる。これは、上述の前提条件のもとでは、視野角が生じた場合に観察される配線パターンの繰り返し周期が、正面から観察される配線パターンの繰り返し周期に対して倍になるためである。これにより、視野角が生じた場合に観察される配線パターンの周波数ピークが、正面から観察される配線パターンの周波数ピークの位置の半分のところに現れ、スペクトルピークがぴったり重なる。従って、図7(b)のスペクトルピークは図8(b)のスペクトルピークの位置を全て含むことになる。
上述のように、モアレの周波数は、配線パターンとBMパターンのピークの空間周波数差(空間周波数座標上のピーク間の相対距離)で与えられる。このことから、斜め方向から視認されるモアレの周波数は、正面方向から視認されるモアレの周波数+斜め方向から観察することにより増加した配線パターンのピーク分+αが追加されたものとなる。
図12(a)及び(b)に、本発明のモアレの空間周波数条件fm1≦fm2を満たさない比較例の正面観察画像及び斜め観察画像の一例をそれぞれ示す。
図11(a)及び(b)に示すfm1≦fm2を満たす本発明例では、観察方向が正面から斜めに変わったことによる配線パターンの変化を示すために配線パターンを強調して示しているが、観察方向が正面から斜めに変わっても、新たな低周波モアレは発生しないことが分かる。
これに対し、図12(a)及び(b)に示すfm1≦fm2を満たさない比較例では、観察方向が正面の場合にはモアレは全く視認されないが、観察方向が斜めの場合、図12(b)中に矢印で示すように、新たな低周波モアレが発生することが分かる。
このように、本発明において、モアレの空間周波数条件fm1≦fm2を満たすことにより、モアレの発生を低減できることは明らかである。
なお、視認可能なモアレとは、例えば強度が常用対数で−4.0以上(真数で10−4以上)のものである。
図13は、本発明の導電性フィルムの配線層の配線パターンの決定方法の一例を示すフローチャートである。
この場合、配線層34a、34bについては、視野角がゼロ、すなわち、正面観察での合成配線パターンと、視野角がある場合、すなわち、斜め観察の合成配線パターンについて、透過率画像データの作成を行う。
本実施形態は、2次元フーリエスペクトルから、いかに精度よく周波数を抽出するかが重要な点であるため、周期境界条件を用いて、BMパターン及び配線層の配線パターンの透過率画像データを作成する。
なお、予め、BMパターン46の透過率画像データと、配線層34a、34bの配線パターンの透過率画像データ(視野角がゼロと視野角有)とが準備、又は蓄えられている場合には、準備、又は蓄えられた中から取得するようにしても良い。
なお、ここでは、BMパターン46及び配線層34a、34bの配線パターンの透過率画像データのサイズは、BMパターン46及び配線層34a、34bの配線パターンの透過率画像データを、周期境界条件を用いて周期的に切り取ることができれば、特に限定されるものではない。ここで、周期的とは、画像が周期で繰り返されるものであり、例えば配線層34a、34bの配線パターンであれば、図9(a)に示すような形態のことをいう。上述のように、周期境界条件を用いて周期的に切り取ることができれば、画像が周期で繰り返されるため、折り返し(flip)処理は不要である。
配線層34a、34bについては、例えば、視野角がゼロの場合、すなわち、正面の場合には、図9(b)に示す2次元フーリエスペクトルの空間周波数特性が用いられ、視野角がある場合、すなわち、斜めの場合には、図10(b)に示す2次元フーリエスペクトルの空間周波数特性が用いられる。
ピーク周波数の取得については、上述のようにして、BMパターン46及び配線層34a、34bの配線パターンのピーク周波数を取得することができる。
実空間においては、モアレは、本来、配線層34a、34bの配線パターンとBMパターン46との透過率画像データの掛け算によって起こるため、周波数空間においては、両者の畳み込み積分(コンボリューション)を行う。これにより、BMパターン46と正面の配線層34a、34bとのモアレ周波数が得られる。また、BMパターン46と視野角ある場合の配線層34a、34bとのモアレ周波数が得られる。
具体的には、まず、図13に示すように、ステップS16において、ステップS14で得られたモアレの周波数情報を用いて、BMパターン46と正面の配線層34a、34bの合成配線パターンとの多数のモアレ周波数の中から、最低周波数を算出し、この最低周波数を第1の最低周波数fm1とする。
次に、BMパターン46と視野角ある場合の配線層34a、34bの合成配線パターンとの多数のモアレ周波数の中から、最低周波数を算出し、この最低周波数を第2の最低周波数fm2とする。
第1の最低周波数fm1が第2の最低周波数fm2以下であれば、すなわち、fm1≦fm2であれば、配線層の配線パターンを決定する(ステップS22)。
一方、第1の最低周波数fm1が第2の最低周波数fm2以下でなければ、すなわち、fm1≦fm2を満たさなければ、配線層の配線パターンの透過率画像データを更新する(ステップS20)。そして、ステップS12に戻る。
ここで、更新される新たな配線層の配線パターンは、予め準備されたものであっても、新たに作成されたものであっても良い。なお、新たに作成され場合には、配線層の配線パターンの透過率画像データの回転角度、ピッチ、パターン幅のいずれか1つ以上を変化させても良いし、配線層の配線パターンの開口部の形状又はサイズを変更するようにしても良く、これらを適宜組み合わせてもよい。
このようにして、本発明の導電性フィルムの配線層の配線パターンの決定方法は、終了し、表示装置の表示ユニットのBMパターンに重畳してもモアレの発生が抑止され、しかも、視野角を有する場合でもモアレの発生が抑制された、配線パターンを持つ本発明の導電性フィルムを得ることができる。更には、上述の配線パターンを持つ導電性フィルム18を備えたタッチセンサ12(タッチパネル)及び表示装置10を得ることができる。
12 タッチセンサ
14 表示ユニット
16 第1の粘着層
18 導電性フィルム
19、19a、19b 導電性フィルム要素
20 第2の粘着層
21 ケーブル
22 保護層
23 検出制御部
24 バックライトユニット
26 液晶表示セル
30 透明基体
34、34a、34b、34c、34d 配線層
35 配線パターン
40 画素
42 ブラックマトリクス(BM)
46 BMパターン
54、56 合成配線パターン像
Claims (9)
- 表示装置の表示ユニット上に設置される導電性フィルムであって、
1つ、又は2以上の透明基体と、
前記1つの透明基体の両面、又は前記2以上の透明基体の各々の一方の片面に形成されて、層状に配置され、規則的な配列を持つ2層以上の配線層とを有し、
前記配線層の配線パターンは、前記表示ユニットの画素配列パターンに重畳されるものであり、上層に対して下層の配線層の配線パターンは位相をずらして配置されており、
前記配線層の配線パターンの空間周波数特性と前記表示ユニットの画素配列パターンの空間周波数特性との畳み込みで得られるモアレの空間周波数のうち、最低周波数を第1の最低周波数fm1とし、
前記配線層の配線パターンの半分の空間周波数特性と前記表示ユニットの画素配列パターンの空間周波数特性との畳み込みで得られるモアレの空間周波数のうち、最低周波数を第2の最低周波数fm2とするとき、fm1≦fm2であることを特徴とする導電性フィルム。 - 前記配線層の配線パターンの空間周波数特性は、前記透明基体に対して垂直な方向における空間周波数特性であり、
前記配線層の配線パターンの半分の空間周波数特性は、前記透明基体に対して所定の角度傾いた方向における空間周波数特性である請求項1に記載の導電性フィルム。 - 前記透明基体の両面に前記配線層が形成されている請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
- 一方の面に前記配線層が形成された前記透明基体が複数積層されている請求項1又は2に記載の導電性フィルム。
- 前記配線層は、メッシュ状に形成された、複数の開口部が配列された配線パターンを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
- 前記画素配列パターンは、表示ユニットのブラックマトリックスパターンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性フィルムと、
前記配線層が形成された領域において、外部から前記導電性フィルムに接触された位置を検出する検出制御部とを有することを特徴とするタッチパネル。 - 表示ユニットと、
この表示ユニットの上に設置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性フィルムとを有することを特徴とする表示装置。 - 表示ユニットと、
この表示ユニットの上に設置される、請求項7に記載のタッチパネルとを有することを特徴とする表示装置。
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