JP5798241B2 - 二水和物/半水和物型のリン酸生成方法 - Google Patents

二水和物/半水和物型のリン酸生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、硫酸によるリン鉱石の侵襲によるリン酸生成方法に関する。
この種の標準方法は、硫酸カルシウム二水和物(二水酸化合物)または石こう(CaSO・2HO)の結晶化条件下でリン鉱石を硫酸と反応させるステップで成る。第1リアクター(反応器)で得られた石こうスラリーはその後、第2リアクターで熟成され、濾過性を向上させるため、得られた硫酸粒子を大きくする。熟成されたスラリーはその後、約25重量%から35重量%の遊離Pを含有する得られたリン酸で濾過される。得られた石こうはまだ、非侵襲または共結晶化(石こうの結晶格子構造に組み込み)された十分なPを含有している。これはリン酸塩に含有されるPの抽出量を制限し、石こうの利用性を制限する。
さらに高温で、また、Pおよび/またはSO濃縮物で、半水和物(CaSO・1/2HO)形態の硫酸カルシウムスラリーまたは無水物を生成する(半水酸基化合物)硫酸での浸襲によるリン酸の生成方法も知られている。これらの方法は一般的に濃縮されたリン酸と、良好に濾過可能な硫酸塩を提供するが、これらの方法のP抽出量は標準的な方法よりも少ない。あるケースではこの侵襲後に、得られた硫酸カルシウム半水和物の硫酸カルシウム二水和物への変換へと進む(ショロドクー他、「リン酸およびリン酸塩」産業化学のウルマン百科事典、2008年度版、8頁および9頁参照)。
先ず半水和物として、その後に二水和物として、そして最終的に再び半水和物としての硫酸カルシウムの三段階結晶化を含む方法も知られている(US‐A‐4588570参照)。
標準的方法の結果を改良することを目的として、石こうを硫酸カルシウム半水和物に変換させるため、リン酸生成物を石こうスラリーから分離した後、石こうスラリーの残りを濃硫酸と混合し、オプションで全体を加熱する。このようにして形成された第2スラリーは濾過され、酸濾過物は侵襲ステップで再利用される(FR1485940参照)。この方法はP抽出量を明らかに向上させる。実際に、侵襲時に石こう中のP共結晶物は、石こう結晶物の溶解中に解放され、半水和物として再結晶化された硫酸カルシウム石こうは非常に純度が高く、極めて良好に濾過できる。しかしながら、この方法は2段階の濾過ステップ、すなわち2つのフィルターを必要とし、産業規模で非常に複雑な設備を必要とする。
別な方法によれば、石こうスラリーを形成するための標準的方法の条件を適用後、石こうスラリーを硫酸との混合に直接的に曝し、オプションで前もってリン酸生成物をそこから分離させることなく加熱する。非常に純度の高い半水和物ケーキを得ながら、得られた半水和物スラリーは、濾過されるが、濾過物が、リン酸と硫酸との混合物で形成される。高品質のリン酸生成物を得るため、この混合物はその後に脱硫設備に供されるため、複雑性の問題は解決されない。これと非常に類似するリン酸を生成するその他の方法も知られており、二水和物を半水和物へと変換するステップを含んでおり、同じ欠点を有している(GB‐1164836;US‐A‐3984525)。
最後に、形成された石こうが良好に濾過される粒子サイズを有している第1スラリーを得るため、リン鉱石が再び標準的方法の侵襲条件に曝される方法が知られている。この第1スラリーの一部はその後サンプリングされ、石こうが半水和物へと変換される条件に曝されることで、第2スラリーを形成する。
第1スラリーの残りは、その後に第2スラリーと混合され、全体が濾過される(WO2005/118470参照)。
リン酸の生成における主な問題点は、Pに富むリン酸塩鉱石堆積物の枯渇である。これらの堆積物は利用され尽くされている。現在、リン鉱石と比較して、例えば30重量%以下、場合によっては20重量%以下のP含有量であるP濃度が低いとされる鉱石に変更することが必要になっている。
そのような鉱石の利用方法と、そこから高品質のリン酸生成物を産出する方法は、未公開の国際特許出願PCT/EP2010/068709にて解説されている。この方法の侵襲条件は、硫酸とリン鉱石に含有されているカルシウムとの間に実質的な化学量論的反応を提供し、結晶化スラリー中の遊離P含有量は38重量%から50重量%との間で維持され、温度は70℃から90℃の間で維持される。驚くべきことに、これらの条件は安定した二水和物の非常に純度の高い結晶体を生成する。その後、このスラリーは加熱され、二水和物粒子が溶解し、非侵襲または共結晶のPが放出され、良好に濾過可能な硫酸カルシウム半水和物の結晶体と、非常に少ない遊離SO含有量のリン酸生成物が得られる。
これらの鉱石はPが乏しいことが多く、さらに多くの不純物を含んでいる。不純物の含有量は一般的に百分率(Al+Fe+MgO)/PX100によって表され、これはMER(微量元素率)としても知られる。いわゆる標準的なリン酸塩は、約5から8であるMER率によって特徴付けられる。10を越えると、不純物含有量は非常に高いため、硫酸による鉱石の侵襲中に石こうとしての、硫酸カルシウムの結晶化に影響を及ぼし始める。これらの不純物含有量では、硫酸カルシウム二水和物の結晶化と濾過における困難性のため、リン酸生成物が問題となる。したがって、この方法はリン鉱石の侵襲後に濾過が直接的に実施される全ての方法において非常に不利になる。
非公開特許出願PCT/EP2010/068709にて解説されている方法では、石こう結晶作用も不純物によって影響を受けるが、この石こうは濾過対象ではなく、影響はない。
しかしながら、二水和物スラリーを半水和物スラリーへと変換するためのステップは、高不純物含有量のリン酸鉱石の場合、すなわち10以上、特に20以上またはさらに30程度のMER率の場合には特に面倒であることが証明されている。半水和物の結晶化は低品質を導き、この低い結晶化を改善するため、スラリーの変換において全体的な酸(P+SO)の度合いの増加が必要とされる。必然的に、これはスラリー中の遊離SOの高含有量を引き起こし、硫酸でさらに大幅に汚染されているリン酸生成物が形成される。
US‐A‐4588570 FR1485940 GB‐1164836 US‐A‐3984525 WO2005/118470 PCT/EP2010/068709
ショロドクー他、「リン酸およびリン酸塩」産業化学のウルマン百科事典、2008年度版
本発明の目的は、低品質リン鉱石の硫酸による侵襲によってリン酸を生成する方法の開発であり、この方法はリン酸生成の品質を向上させ、得られる鉱石からの良好なP抽出量を可能にする。この方法は既存の標準的設備にも容易に適用でき、よって経済的に問題となる高コストで回避不能な変換を必要としない。
これらの問題を解決する本発明によるリン鉱石の生成方法は、
‐酸性水相中に懸濁された硫酸カルシウム二水和物結晶物の第1スラリーを形成するように、70℃から90℃の間の第1温度の水性媒体において硫酸によりリン鉱石を侵襲するステップを含んでおり、このスラリーの酸性水相は、38重量%から50重量%の間の遊離P含有量と、0.5重量%以下で0.05重量%以上である遊離SO含有量とを有しており、この方法は、
‐リン酸に基づいた水相中に懸濁された硫酸カルシウム半水和物結晶物で形成された第2スラリーを発生させるように、硫酸カルシウム二水和物結晶物の溶解と、溶解した硫酸カルシウムの再結晶化とが伴う90℃以上への加熱による第1スラリーの変換をするステップと、
‐硫酸カルシウム半水和物に基づいて2重量%以下で0.05重量%以上である遊離SO含有量を有するリン酸生成物と、分離ケーキとの間で第2スラリーを分離するステップと、を含んでいる。
この方法は、侵襲中に、リン鉱石に含まれるPに対して、第1スラリーの1重量%から5重量%のFの含有量のフッ素源を追加するステップをさらに含んでいる。
図1は、本発明による方法を利用した例示的設備のフロー図を示している。 図2は、二水和物および半水和物の形成のための領域と、温度、P濃度およびSO濃度との関係を示したグラフである。 図3は、硫酸の侵襲によりリン酸を生成するために利用される異なるプロセスを示したグラフである。
本願では、遊離リン酸含有量と遊離硫酸含有量は、遊離Pおよび遊離SOで表されている。
以降で解説するように、本発明による方法は、当業者であれば、半水和物の形成を予測するであろうが、思いもかけず、特定条件下での侵襲ステップ中に二水和物の結晶のスラリーを発生させた。二水和物の結晶化は最適ではなく、結晶物は小型で、20μm以下のd50の粒子サイズを有している。10以上、特に20以上、特に約30以上である(Al+Fe+MgO)/P×100の百分率を有するリン鉱石の存在下では、石こうの結晶化が問題となる。リン鉱石の侵襲用タンクに有利には直接的にフッ素源を追加した後、二水和物の結晶化は影響を受けて、結晶物が小型になるだけでなく、非均一にもなる。このようなスラリーは非常に低い濾過率を有するであろうし、よってその濾過を必要とする工程では産業的に利用できないであろう。しかしながら、この第1スラリーは濾過対象ではないので、この点は本発明では重要でない。
実質的に侵襲条件は、導入された硫酸と、主に炭酸カルシウムおよびリン酸塩の形態であるリン鉱石に含まれるカルシウムとの間の化学量論的反応を提供するものである。侵襲の結果である第1スラリーの酸性水相は遊離硫酸を全く、またはほとんど含んでおらず、その遊離P含有量は非常に多い。
有利には、侵襲温度は70℃から80℃の間でよい。
好適には、侵襲ステップの結果である遊離P濃度は40重量%から45重量%でよい。
第1スラリーの酸性水相の遊離SO濃度は0.1重量%から0.4重量%の間でよい。
第1スラリーはその後に直接的にその全体が、好適には90℃から105℃の間である、90℃以上の温度へ加熱する変換ステップに曝される。この知られた方法の加熱は石こう結晶物の溶解をもたらし、侵襲ステップ中に石こうから共結晶したPを放出させ、半水和物として硫酸カルシウムを再結晶させる。
リン鉱石の侵襲のためにフッ素源を有利には、タンクへ直接的に追加した後、二水和物の第1スラリーの半水和物へのその後の変換が容易となるが、これはこの変換に必要な酸の減少によって表される。
第2スラリーはこのように簡単で容易な方法によって得られ、半水和物結晶物は球形状であり、例えば60μmのd50を有する同様な大きさであり、優れた濾過率を有する濾過ケーキを提供する。
フッ素源を追加することで、不純物を多く含むリン鉱石の条件下でも、硫酸を必ずしも追加しなくとも、半水和物の適切な結晶化を得ることが可能である。
生成された酸は有利には0.05重量%程度から1重量%未満であるが、SO含有量が非常に少なく、リン酸を高品質とする。有利なことに、35重量%から45重量%の遊離P含有量を有するリン酸生成物を得ることが可能である。
本発明の1実施例によれば、第1スラリーの変換ステップは硫酸の追加を含まない。しかしながら、この方法は第1スラリーを変換するステップ中に、硫酸を導入することを含んでいる。しかしながら追加される硫酸は、第2スラリーの濾過後に、リン酸生成物が2重量%以下、好適には0.05重量%程度から1重量%程度、特には約0.05重量%程度から1重量%以下の遊離SO含有量を含むように、正確に計測されなければならない。リン酸としての使用を不都合にし、脱硫ステップを必要とすることになるであろう、リン酸の硫酸による汚染を回避するために、この含有量を越えないことが重要である。
本発明によれば、フッ素源は、フッ素を侵襲対象のスラリーへ放出することができる任意の組成物でよいことは理解されよう。例えばフッ素廃液の回収物からのCaFまたは別な生成物が想定できる。炭酸カルシウムまたは酸化カルシウムなどのカルシウム化合物によって沈殿された、フッ素廃液の中和物からの生成物として得られた化合物の測定された追加物を考慮することも可能である。デカントされ、廃液から分離された固形物を直接的に侵襲タンクへ導入できる。
本発明の1好適実施態様によれば、この方法は、第1リアクターでの侵襲ステップと、第2スラリーの形成を伴う変換ステップが実行される、第1スラリーを第1リアクターから第2リアクターへと移動させるステップとを含んでおり、分離ステップはフィルターで実行される。この方法は、硫酸での標準的な侵襲によるリン酸の生成のための既存の設備を利用できるという利点を有している。第1リアクターは標準設備の侵襲リアクターであり、異なる侵襲条件が適用される。第2リアクターは標準設備の熟成リアクターである。侵襲の結果による石こう粒子の拡大は本発明では不要であるため、この熟成リアクターを変換リアクターとして使用することが可能である。さらには、標準設備のフィルターを石こうの代わりに半水和物の濾過に使用できる。このフィルターは、例えばバンドフィルター、とりわけカルーセルとして配置された濾過セルを備えた装置のごとき任意の知られた適切な濾過装置でよい。
本発明による方法は、有利には継続的に実施される。好適には第1リアクター内での滞留時間は2時間から4時間であり、第2リアクター内での滞留時間は0.5時間から1.5時間である。この滞留時間は、標準設備の侵襲リアクターと熟成リアクターでの滞留時間に相当する。
本発明のその他の実施態様は従属請求項に記載されている。
本発明のその他の詳細は、添付図面を参考にして、非限定的な以降の解説から明らかになるであろう。
図1に示す設備は、約20から32のMER率を有する破砕されたリン鉱石が2で導入され、例えば98重量%から99重量%の濃硫酸が、3で導入される侵襲リアクター1を含んでいる。52重量%のCaOと21%のFを含んだ組成物は例えば有利には17でリアクター1に導入される。
このリアクター内で適用される操作条件は以下の通りである。
温度:70℃から80℃
遊離P%:38重量%から50重量%
遊離SO%:0.05重量%から0.5重量%未満
滞留時間:2時間から4時間
当業者による予測とは異なり、非常に細かく非均一ではあるが安定した二水和物結晶物が得られる。
図2を説明する。図示のグラフは、「A.V.スラック、「リン酸」第1巻、パート1、マーセル デッカー インク編集、1968年、ニューヨーク」からの抜粋である。縦座標の温度は℃で示されており、P濃度とSO濃度は横座標に示されている。曲線は二水和物と半水和物との間の均衡線を示している。これらの曲線の下方に位置するグラフの領域は、二水和物を形成するための条件に対応しており、これらの曲線の上方は半水和物を形成するためのものに対応している。斜線が入れられた楕円は本発明による侵襲の好適条件に合う領域を示している。このグラフが示すものと異なり、本発明によれば、半水和物結晶物ではなく、二水和物の安定したスラリーが得られる。
同じ結果は、「P.ベッカー、「リン酸塩およびリン酸」 第2版、マーセル デッカー インク.編集 1989年,ニューヨーク‐バーゼル」から抜粋した図3のグラフを研究することでも導かれる。このグラフでは、温度は縦座標に示されており、P濃度は横座標に示されている。グラフの左下角には、二水和物の形成のための領域が示されており。右上角には無水石こうを形成するための領域が示され、両者間には、半水和物を形成するための領域が示されている。領域Aは石こう形成の標準方法の条件に対応している。矢印で繋がれた領域BとC、および矢印で繋がれたDとEは、先ず半水和物を形成し、その後に二水和物へと変換する2段階の方法の条件に対応している。矢印によって繋がれた領域FとGは、先ず二水和物を形成し、その後に半水和物へと変換する方法の条件を示している。
アスタリスクでマークされた楕円は、本発明による侵襲条件に合致し、その楕円と矢印によって繋がれた2つのアスタリスクで印された楕円は、本発明による変換条件に適合する。
よって、当業者の一般的な知識によれば、半水和物の形成は、これら2つの楕円に対応する両方の領域内で予測でき、新規であり、それ自体既に驚くべきことである。
リアクター1で得られる石こうスラリー全体はその後、それ自体は知られている送達手段が提供された導管6を通って、変換リアクター7に移動される。このリアクターでは、以下の操作条件が適用される。
温度:90℃から105℃
5%:35重量%から45重量%
SO%:0.1重量%から1.0重量%未満
滞留時間:0.5時間から1.5時間
このリアクターを加熱するため、例えば直接加熱、変換媒体への蒸気注入、または両者の組合せなどの一般的な手段が利用できる。任意のその他の熱源もこの目的のためにもちろん利用できる。熱の上昇によって、石こう結晶物は溶解し、共結晶したPが放出され、硫酸カルシウムが相対的に純粋な半水和物結晶物として再結晶化する。
別な方法によれば、石こうの半水和物への変換をさらに向上させるため、変換リアクター7に少量の計測された硫酸を追加することが可能である。しかしながら、この量は、酸生成物内の遊離SO含有量が2重量%以下、好適には1重量%以下とすべきである。酸生成物はこの硫酸の追加によって汚染されてはならない。
解説の方法は、リアクター7のスラリーを、導管9を通じて通常タイプフィルター10へと移動させるステップを含んでいる。
フィルターの第1セクションでは、リン酸生成物と濾過ケーキである濾過物が11で得られる。
解説の方法は、ケーキ洗浄のための2段階のステップを含んでいる。第2の洗浄ステップは、12で供給され、好適には水である洗浄液で実行される。
13で得られるこの洗浄ステップの生成物は、第1の洗浄ステップに14で供給される洗浄液として利用される低リン酸含有量の水溶液である。15で得られるこの第1洗浄による生成物は、侵襲リアクターに再利用導管16を介して4で再利用できるリン酸の水溶液である。
いわゆる標準方法と比較して、本発明による方法では、再結晶化により当初の鉱石の不純物の含有量が多いにもかかわらず、標準方法で得られる、25重量%から30重量%ではなく、35重量%以上の含有量を有する高P含有量の酸の生成を可能にし、抽出量が向上するという利点を提供する。乾半水和物ケーキは産業において十分に回収が可能である。水または湿度の存在下では、半水和物は石こうに再変換するので、そのパッキング特性は優れている。これらの改良は既存設備において、その複雑性を増加させることなく、単純な方法で得られる。この方法はフッ素産業廃液の産業廃棄物の再利用を可能にするだけでなく、そこから機能を取り出すことができ、このことは、この方法に有益である。
本発明によるこの方法は、非限定的実施例を手段として以降にてさらに詳説されている。
を17%、CaOを29%、Fを2%、SiOを34.7%含有し、MERが32である中央アジア産の堆積リン酸塩でパイロット試験を実行した。
粉砕鉱石の粒子サイズはリン酸プラントで一般的に利用されるもの(500μmを99.8%通過、150μmを60%通過および75μmを40%通過)に近かった。
2つのケースに分けられた。
a)侵襲タンクには、リン酸塩は外部フッ素源無しで導入される。
b)侵襲タンクには、外部フッ素源とリン酸塩の混合物(有利には処方された産業廃液の回収物からの生成物)が、二水和物‐半水和物変換を促すために導入される。
a)侵襲リアクターにリン酸塩が30リットル、供給スクリューによって導入され、処理量(3.2kg/h)は減量システムによって制御される。2つの計測ポンプが、硫酸(1.1kg/h)と、半水和物スラリーの濾過ケーキの洗浄ステップからの再利用酸(12kg/h)とを注入する。
硫酸でのリン酸塩の侵襲は以下の条件で実行された。
含有量:39.1重量%
SO超過: 0.46重量%
温度: 80℃
固形物含有量: 32重量%
侵襲パルプの出流量は約11l/hである。侵襲リアクター内の平均滞留時間(リアクターの容積と二水和物スラリーの出流量との間の比として計算)はしたがって約30 l / 11 l/h=2.7時間である。これらの条件下で、小型サイズの二水和物の結晶の安定したスラリー(20μm以下のd50)が単一サイズ分布で得られる。これらは主に孤立した結晶物であるが、十字および星形結晶物も観察される。これらの結晶物は非常に濾過性が低く、従来の方法では濾過されない。
この第1のステップで得られる石こうスラリーはその後、第2の15リットルのリアクター内で101℃に加熱される。侵襲スラリー内に多くの不純物が存在する場合にも、石こう結晶物の半水和物への変換を得るため、硫酸(約892g/h)の第2の追加が実行される。この変換には7重量%の遊離SO含有量が必要である。これは45重量%の《総酸度》(Pの%+SOの%)によって特徴付けられるような極端なSO条件下においてのみ、石こうの半水和物への再結晶化が得られた。
球状と、d50=42μmによって特徴付けられた結晶物が得られた。
そのように生成されたリン酸は、38重量%のPと7重量%の遊離SOを含んでいる。そのような操作手順が利用されたならば、本発明では回避されるべき酸の脱硫ステップが必要となっていたであろう。
b)第2のケースでは、実験パラメータは前述のケースと類似しているが、フッ素産業廃液(5重量%のFに相当する)の回収物からの10重量%(Pに対する)の生成物とのリン酸塩の混合物が侵襲タンクに導入される。二水和物‐半水和物変換は明らかにさらに容易であり、同じ101℃の温度にて、38重量%の《総酸度》(Pの%+SOの%)が達成され、リン酸生成物中での2重量%以下のSO含有量の観測を可能にする。これらの条件下で、本発明の方法が利用できる。
生成されたリン酸は、36.2重量%のPと1.8%重量%の遊離SOを含んでいる。得られた半水和物の濾過ケーキは、97.8重量%の総P抽出量(侵襲および濾過)に対応する、総含有量が0.54重量%のPを含んでいる。半水和物ケーキの遊離水含有量は22.9%である。半水和物に典型的な結晶水は6.4%であり、X線回析によって実際にそれが半水和物であることが確認される。
4.16重量%のP、0.4重量%のSO、0.24重量%のAl、および0.99重量%のFを滴定する硫酸カルシウムとリン酸で形成されるスラリーは、北アフリカ産のリン酸塩の侵襲によって得られる。
これは少なくとも8時間、78℃の温度で二水和物として安定している。
次に、0.2%の硫酸を徐々に追加する。液相でのSO含有量が0.6%であるとき、両相(二水和物と半水和物)は安定しており、共存する。液相でのSO含有量が0.8%のSOであるとき、半水和物への変換は完了し、半水和物相はこれ以降安定形態となる。変換は、結晶物を顕微鏡で観察することと、結晶水(6.18%)を測定することと、X線回析(XRD)とによって確認される。
本発明は前述の実施例に限定されず、添付の請求の範囲内で多くの変更が可能である。

Claims (11)

  1. リン酸の生成方法であって、
    酸性水相中に懸濁された硫酸カルシウム二水和物の結晶の第1スラリーを形成するように、70℃から90℃の間の第1温度の水性媒体において硫酸によりリン鉱石を侵襲するステップを含んでおり、前記スラリーの酸性水相は、38重量%から50重量%の間の遊離P含有量と、0.5重量%以下で0.05重量%以上である遊離SO含有量とを有しており、
    本方法は、
    リン酸に基づいた水相中に懸濁された硫酸カルシウム半水和物の結晶で形成された第2スラリーを発生させるように、硫酸カルシウム二水和物結晶物の溶解と、溶解した硫酸カルシウムの再結晶化とが伴う90℃以上への加熱による前記第1スラリーの変換をするステップと、
    2重量%以下で0.05重量%以上である遊離SO含有量を有するリン酸生成物と、硫酸カルシウム半水和物に基づく分離ケーキとの間で第2スラリーを分離するステップと、を含んでおり、
    前記侵襲中に、リン鉱石に含まれるPに対し1重量%から5重量%のFの含有量のフッ素源を、前記第1スラリーに追加するステップをさらに含んでいることを特徴とする生成方法。
  2. リン鉱石は10以上の重量百分率(Al+Fe+MgO)/P ×100を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記フッ素源は、フッ素を前記侵襲スラリーへ放出することができるフッ素化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記フッ素源は、カルシウム化合物によるフッ素廃液の回収物の中和と、沈殿とによって得られるフッ素廃液の回収物からの生成物であり、この沈殿した組成物は前記スラリーに導入されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記第1スラリーの変換ステップ中に、該第1スラリー内に硫酸を導入するステップを含んでいることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記第1スラリーの変換ステップは、硫酸の追加ステップを含んでいないことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 第1リアクターでの侵襲ステップと、前記第1スラリーを該第1リアクターから第2リアクターへ移動させるステップとを含んでおり、前記第2リアクターでは、前記第2スラリーの形成を伴う前記変換ステップが実行され、前記分離ステップはフィルターで実行されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 加熱ステップは、前記第2リアクターの加熱、前記第2スラリーへの蒸気注入、またはこれらの工程の両方を同時的に実行することによって実行されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第1リアクター内での滞留時間は2時間から4時間であり、前記第2リアクター内での滞留時間は0.5時間から1.5時間であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
  10. リン酸の生成物は、35重量%から45重量%のP含有量を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 継続的に実行されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
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