JP5793870B2 - 印刷装置及び印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
透明な媒体に、白色等の背景色による背景画像と、カラー画像とを印刷することが知られている(特許文献1参照)。媒体の印刷面の側からカラー画像を見る場合には、まず背景画像を媒体に印刷し、その背景画像の上にカラー画像を印刷する。この印刷方法は「表刷り印刷」と呼ばれている。逆に、透明な媒体の背面の側からカラー画像を見る場合には、まずカラー画像を媒体に印刷し、そのカラー画像の上に背景画像を印刷する。この印刷方法は「裏刷り印刷」と呼ばれている。
特開2009−113284号公報
表刷り印刷した場合、媒体の表側から見たときには、カラー画像が背景画像の上に印刷されているため、カラー画像が見易い。但し、媒体の裏側から見たときには、背景画像の下にカラー画像が隠れているため、カラー画像が見難い状態になる。
一方、裏刷り印刷した場合、媒体の裏側か見たときには、カラー画像が背景画像の上に印刷されているため、カラー画像が見易い。但し、媒体の表側から見たときには、背景画像の下にカラー画像が隠れているため、カラー画像が見難い状態になる。
本発明は、背景画像を印刷しつつカラー画像を両面から見易くすることを目的とする。
上記目的を達成するための主たる発明は、透明な媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニットと、カラー画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体にカラードットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第1ノズル列と、背景画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体に背景用ドットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第2ノズル列と、前記搬送方向と交差する移動方向に沿って前記第1ノズル列と前記第2ノズル列を移動させるキャリッジと、を備え、前記移動方向に移動しながら前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記インクを吐出して前記媒体に前記カラードット及び前記背景用ドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記媒体に前記カラー画像と前記背景画像を形成する印刷装置であって、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成されるとともに当該背景用ドットの上にはカラードットが形成されない画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成されるとともに当該カラードットの上には背景用ドットが形成されない画素とを混在させて、前記背景用ドットの上に形成された前記カラードットと前記背景用ドットの下に形成された前記カラードットとから構成された単一の前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域を形成することを特徴とする印刷装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図である。 図2Aは、プリンター1の概略断面図である。図2Bは、プリンター1の概略上面図である。 図3は、キャリッジの下面の説明図である。 図4は、インターレース印刷の説明図である。 図5A及び図5Bは、オーバーラップ印刷の説明図である。図5Aは、パス1〜パス4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図5Bは、パス1〜パス8におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。 図6Aは、表刷り印刷の説明図である。図6Bは、裏刷り印刷の説明図である。 図7は、インターレース印刷による表刷り印刷の説明図である。 図8Aは、表刷り印刷により形成される画像の説明図である。図8Bは、裏刷り印刷により形成される画像の説明図である。図8Cは、本実施形態により形成される画像の説明図である。 図9は、第1実施形態の印刷方法の説明図である。 図10A及び図10Bは、双方向印刷時のカラードットと白ドットの先後関係の説明図である。 図11A及び図11Bは、図9の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。図11Aは、表側から見たドットの様子の説明図である。図11Bは、裏側から見たドットの様子の説明図である。 図12Aは、画像データ上のカラー画像の説明図である。図12Bは、媒体に印刷されたカラー画像を見たときの様子の説明図である。 図13Aは、本実施形態の処理の流れの説明図である。図13Bは、第1変形例の概要の説明図である。図13Cは、第2変形例の概要の説明図である。 図14は、プリンタードライバーが画像描画プログラムから取得した画像データの説明図である。 図15は、第2実施形態の印刷方法の説明図である。 図16A及び図16Bは、図15の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。図16Aは、表側から見たドットの様子の説明図である。図16Bは、裏側から見たドットの様子の説明図である。 図17Aは、第1実施形態及び第2実施形態の処理を示している。図17Bは、第3実施形態の処理を示している。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
透明な媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニットと、カラー画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体にカラードットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第1ノズル列と、背景画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体に背景用ドットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第2ノズル列と、前記搬送方向と交差する移動方向に沿って前記第1ノズル列と前記第2ノズル列を移動させるキャリッジと、を備え、前記移動方向に移動しながら前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記インクを吐出して前記媒体に前記カラードット及び前記背景用ドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記媒体に前記カラー画像と前記背景画像を形成する印刷装置であって、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成された画素とを混在させて、前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域を形成することを特徴とする印刷装置が明らかとなる。
このような印刷装置によれば、背景画像を印刷しつつカラー画像を両面から見易くできる。
前記ドット形成動作の際に、前記第1ノズル列の前記インクを吐出する前記ノズルの前記搬送方向の位置と、前記第2ノズル列の前記インクを吐出する前記ノズルの前記搬送方向の位置とを重複させ、且つ、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の往路に移動する前記ドット形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の復路に移動する前記ドット形成動作とを繰り返し行うことによって、前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域に、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成された画素とを混在させるが望ましい。これにより、カラー画像が両面から見易くできる。
前記第1ノズル列の前記複数のノズル、及び前記第2ノズル列の前記複数のノズルは、それぞれ、前記搬送方向に沿って所定間隔で並んでおり、前記ドット形成動作と前記搬送動作を繰り返すことによって、前記所定間隔よりも短い間隔で前記搬送方向に沿って複数のドット列を形成するとともに、前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域に、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された前記ドット列と、前記背景画像用ドットの上に前記カラードットが形成された前記ドット列とを交互に形成することが望ましい。これにより、ほぼ画像データの通りのカラー画像を視認することができる。
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の往路に移動する前記ドット形成動作において間隔を空けて形成された前記カラードット及び前記背景用ドットの間に、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の復路に移動する前記ドット形成動作において形成された前記カラードット及び前記背景用ドットが位置することが望ましい。これにより、移動方向に沿った筋が視認されにくい。
前記カラー画像を示すデータの濃度を濃くする補正処理が行われ、前記補正処理後の前記データに従って、前記媒体に前記カラー画像が形成されることが望ましい。これにより、媒体に印刷されたカラー画像が淡く見えてしまうことを抑制できる。
前記補正処理後の前記カラー画像を構成する前記カラードットの発生率は、前記補正処理を行わない場合に比べて、2倍未満であることが望ましい。これにより、適切な濃度にカラー画像の濃度を補正できる。
透明な媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニットと、カラー画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体にカラードットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第1ノズル列と、背景画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体に背景用ドットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第2ノズル列と、前記搬送方向と交差する移動方向に沿って前記第1ノズル列と前記第2ノズル列を移動させるキャリッジと、を備えた印刷装置を用いて、前記移動方向に移動しながら前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記インクを吐出して前記媒体に前記カラードットと前記背景用ドットとを形成するドット形成動作と、前記媒体を搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記媒体に前記カラー画像と前記背景画像を形成する印刷方法であって、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成された画素とを混在させて、前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域を形成することを特徴とする印刷方法が明らかとなる。
このような印刷方法によれば、背景画像を印刷しつつカラー画像を両面から見易くできる。
===装置の構成===
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図2Aは、プリンター1の概略断面図であり、図2Bは、プリンター1の概略上面図である。以下、印刷装置をインクジェットプリンター(プリンター1)とし、プリンター1とコンピューター90が接続された印刷システムを例に挙げて実施形態を説明する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター90とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体S(ロール紙など)が連続する方向(搬送方向)に、媒体Sを上流側から下流側に搬送するものである。モーターによって駆動する搬送ローラー21によって印刷前のロール状の媒体Sを印刷領域に供給し、その後、印刷済みの媒体Sを巻取機構によりロール状に巻き取る。なお、印刷中に印刷領域に位置する媒体を下からバキューム吸着することで、媒体Sを所定の位置に保持することができる。
キャリッジユニット30は、ヘッドを紙幅方向に往復移動させるものである。キャリッジユニット30は、ヘッドを搭載するキャリッジ31と、キャリッジを往復移動させるためのキャリッジ移動機構32とを有する。
ヘッドユニット40は、キャリッジ31に設けられたヘッドを有する。ヘッドの下面には、インク吐出部であるノズルが複数設けられている。本実施形態では、ノズルからUVインクが吐出される。UVインクは、紫外光が照射されると硬化する性質を有するインクである。
照射ユニット60は、媒体に吐出されたUVインクに紫外光を照射するためのものである。本実施形態の照射ユニット60は、仮硬化用照射部61と、本硬化用照射部62とを有する。
仮硬化用照射部61は、キャリッジ31に設けられており、ヘッドとともに移動可能である。仮硬化用照射部61は、媒体に着弾したUVインク同士が滲まないようにUVインクの表面を硬化(仮硬化)させる程度の強度の紫外光を照射する。例えば、仮硬化用照射部61として、LED(発光ダイオード)などが採用される。コントローラー10は、キャリッジ31を移動させながら仮硬化用照射部61から紫外光を照射させて、印刷領域上のUVインクを仮硬化させる。
本硬化用照射部62は、印刷領域のX方向下流側に設けられており、媒体の幅にわたって紫外光を照射できる。本硬化用照射部62は、媒体上のUVインクを本硬化(完全に固化)させることが可能な強度の紫外光を照射する。例えば、本硬化用照射部62として、UVランプなどが採用される。コントローラー10は、媒体を搬送しながら本硬化用照射部62から紫外光を照射させて、UVインクで形成された画像を硬化させる。
印刷を行うとき、プリンター1は、キャリッジ31を移動方向に移動させる動作(パス)と、搬送動作とを交互に繰り返す。各パスにおいて、プリンター1は、ヘッドからインクを吐出して媒体に画像を形成するとともに、仮硬化用照射部61から紫外光を照射して画像を仮硬化させる。このようにパスと搬送動作とを繰り返すことによって、媒体に画像をつなぎ合わせて形成することができる。
パスと搬送動作が繰り返されることによって、印刷領域で形成された画像が徐々に本硬化用照射部62に向かって搬送される。そして、画像が本硬化用照射部62に対向する位置まで搬送されると、本硬化用照射部62から紫外光が照射されて、画像が本硬化する。
<キャリッジの下面の構成>
図3は、キャリッジの下面の説明図である。
キャリッジ31の下面には、ヘッド41が設けられている。ヘッド41は、5個のノズル列を備えている。5個のノズル列は、ブラックインクを吐出するためのブラックノズル列(K)と、シアンインクを吐出するためのシアンノズル列(C)と、マゼンタインクを吐出するためのマゼンタノズル列(M)と、イエローインクを吐出するためのイエローノズル列(Y)と、白インクを吐出するための白ノズル列(W)である。ブラックノズル列、シアンノズル列、マゼンタノズル列及びイエローノズル列は、カラー画像を形成するためのカラーインクを吐出するノズル列(カラーノズル列)である。白ノズル列は、背景画像を形成するための白インク(背景用インク)を吐出するノズル列である。
なお、白インクは、透明な媒体にカラー画像を形成する際に用いられる特殊なインクである。透明な媒体にカラー画像を単独で形成するとカラー画像の視認性が良くないため、カラー画像と共に白インクで背景画像を形成することによって、カラー画像のコントラストを向上させて、若しくはカラー画像の遮蔽性を向上させて、カラー画像の視認性を高めている。このため、白インクは、カラーインクとは使用方法が全く異なるインクである。
各ノズル列は、それぞれ180個のノズルから構成されている。各ノズル列の180個のノズルは、所定のノズルピッチで搬送方向に沿って並んでおり、本実施形態では1/180インチの間隔で並んでいる(つまり、図中のLは1インチである)。このため、各ノズル列からインクを断続的に吐出することによって、キャリッジ31が移動方向に1回移動する毎に(1回のパス毎に)、搬送方向に沿って1/180インチの間隔でドット列が形成されることになる。
2個の仮硬化用照射部61は、搬送方向に沿って1インチの幅(Lに相当)の照射範囲に紫外光を照射することができる。仮硬化用照射部61の照射範囲と各ノズル列のインクの吐出範囲が移動方向に並んでいるため、あるパスにおいてノズル列から媒体にインクが吐出された直後に、一方の仮硬化用照射部が媒体に着弾したインク(ドット)に紫外光を照射できる。
===参考説明===
<インターレース印刷>
図4は、インターレース印刷の説明図である。図には、パス1〜パス4におけるヘッド(ノズル列)の位置とドットの形成の様子が示されている。
説明の都合上、複数あるノズル列のうちの一つのノズル列のみを示し、ノズル数も少なくしている(ここでは12個)。図中の黒丸で示されるノズルは、インクを吐出可能なノズルである。一方、白丸で示されるノズルは、インクを吐出不可のノズルである。また、説明の便宜上、ヘッド(ノズル列)が媒体に対して移動しているように描かれているが、同図はヘッドと媒体との相対的な位置を示すものであって、実際には媒体が搬送方向に搬送される。また、説明の都合上、各ノズルが数ドット(図中の丸印)しか形成していないように示されているが、実際には、移動方向に移動するノズルから間欠的にインク滴が吐出されるので、移動方向に多数のドットが並ぶことになる。このドットの列をラスタラインともいう。黒丸で示されるドットは、最後のパスで形成されるドットであり、白丸で示されるドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
「インターレース印刷」とは、kが2以上であって、1回のパスで記録されるラスタラインの間に記録されないラスタラインが挟まれるような印刷方法を意味する。例えば、図に示した印刷方法では、1回のパスで形成されるラスタラインの間に、3本のラスタラインが挟まれている。
インターレース印刷では、媒体が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。
同図では、ノズル列は搬送方向に並ぶ12個のノズルを有する。ノズル列のノズルピッチkは4なので、インターレース印刷を行うための条件である「Nとkが互いに素の関係」を満たすため、全てのノズルは用いずに、11個のノズル(ノズル♯1〜ノズル♯11)を用いる。また、11個のノズルが用いられるため、媒体は搬送量11・Dにて搬送される。その結果、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体にドットが形成される。なお、180個のノズルを備えたノズル列によってインターレース印刷を行う場合、179個のノズルを用いたパスと、179・Dの搬送量の搬送動作とが交互に繰り返されることになる。
インターレース印刷の場合、ノズルピッチ幅の連続するラスタラインが完成するためには、k回のパスが必要となる。例えば、180dpiのノズルピッチのノズル列を用いて720dpiのドット間隔にて連続する4つのラスタラインが完成するためには、4回のパスが必要となる。同図によれば、パス3のノズル♯3が形成したラスタライン(図中の矢印で示されるラスタライン)よりも搬送方向上流側に、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成されることが示されている。
なお、背景画像を形成せずにカラー画像をインターレース印刷する場合には、各色のカラーノズル列(シアンノズル列、マゼンタノズル列、イエローノズル列及びブラックノズル列)が、図4に示したようにそれぞれ動作する。つまり、各色のカラーノズル列は、それぞれのノズル♯1〜11(各ノズル列が180個のノズルをそれぞれ備える場合にはノズル♯1〜179)からインクを吐出する。この場合、各色のカラーノズル列において、インクを吐出するノズルの搬送方向の位置は重複している。例えば、シアンインクを吐出するノズルの搬送方向の位置と、マゼンタインクを吐出するノズルの搬送方向の位置は、重複することになる。
但し、背景画像を形成しつつカラー画像を形成するような場合には、カラーインクを吐出するカラーノズルの搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズルの搬送方向の位置が重複することは、これまでの技術では想定されていない。これまでの技術では、背景画像を形成しつつカラー画像を形成するような場合には、後述する表刷り印刷や裏刷り印刷で説明するように、カラーインクを吐出するカラーノズルの搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズルの搬送方向の位置とが重複しないようにしている。この点については、後述する。
<オーバーラップ印刷>
図5A及び図5Bは、オーバーラップ印刷の説明図である。図5Aは、パス1〜パス4におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示し、図5Bは、パス1〜パス8におけるヘッドの位置とドットの形成の様子を示している。
「オーバーラップ印刷」とは、ラスタラインを複数のノズルで形成する印刷方法を意味する。例えば、図5A及び図5Bにおける印刷方法では、各ラスタラインは、2つのノズルで形成されている。
オーバーラップ印刷では、媒体が搬送方向に一定の搬送量Fで搬送される毎に、各ノズルが、数ドットおきに間隔を空けてドットを形成する。そして、他のパスにおいて、間隔を空けて形成されたドットの間に他のノズルが補完するように(ドットの間を埋めるように)ドットを形成することにより、1つラスタラインが複数のノズルにより形成される。このようにM回のパスにて1つのラスタラインが形成される場合、「オーバーラップ数M」と定義する。
図5A及び図5Bでは、各ノズルは1ドットおきに間隔を空けてドットを形成するので、パス毎に奇数番目の画素又は偶数番目の画素にドットが形成される。そして、1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、オーバーラップ数M=2になる。
オーバーラップ印刷において、搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)N/Mが整数であること、(2)N/Mはkと互いに素の関係にあること、(3)搬送量Fが(N/M)・Dに設定されること、が条件となる。
図5A及び図5Bでは、ノズル列は搬送方向に並ぶ12個のノズルを有する。但し、ノズル列のノズルピッチkは4なので、オーバーラップ印刷を行うための条件である「N/Mとkが互いに素の関係」を満たすために、全てのノズルを用いることはできない。そこで、12個のノズルのうち、10個のノズルを用いてオーバーラップ印刷が行われる。また、10個のノズルが用いられるため、媒体は搬送量5・Dにて搬送される。その結果、例えば、180dpi(4・D)のノズルピッチのノズル列を用いて、720dpi(=D)のドット間隔にて媒体にドットが形成される。
1つのラスタラインがM個のノズルにより形成される場合、ノズルピッチ分のラスタラインが完成するためには、k×M回のパスが必要となる。例えば、図5A及び図5Bでは、1つのラスタラインが2つのノズルにより形成されているので、4つのラスタラインが完成するためには、8回のパスが必要となる。同図によれば、パス1のノズル♯9及びパス5のノズル♯4が形成したラスタラインよりも搬送方向上流側に、連続的なラスタラインがドット間隔Dにて形成されることが示されている。
図5A及び図5Bでは、パス1では各ノズルが奇数画素にドットを形成し、パス2では各ノズルが偶数画素にドットを形成し、パス3では各ノズルが奇数画素にドットを形成し、パス4では各ノズルが偶数画素にドットを形成する。つまり、前半の4回のパスでは、奇数画素−偶数画素−奇数画素−偶数画素の順にドットが形成される。そして、後半の4回のパス(パス5〜パス8)では、前半の4回のパスと逆の順にドットが形成され、偶数画素−奇数画素−偶数画素−奇数画素の順にドットが形成される。なお、パス9以降のドットの形成順は、パス1からのドット形成順と同様である。
<表刷り印刷、裏刷り印刷>
図6Aは、表刷り印刷の説明図である。「表刷り印刷」とは、背景画像を媒体に形成した後に、その背景画像の上にカラー画像を形成する印刷である。
表刷り印刷を行う場合、カラーノズル列(例えばシアンノズル列)では搬送方向下流側の半分のノズル(ノズル♯1〜90)が用いられ、白ノズル列では搬送方向上流側の半分のノズル(ノズル♯91〜180)が用いられる。このようにノズルを用いたパスと搬送動作とを交互に繰り返すことによって、白インクによって形成された背景画像の上に、カラー画像が形成される。例えば、図中の領域Aでは、パス1において背景画像が形成され、その後のパス2においてカラー画像が形成されることによって、背景画像の上にカラー画像が形成される。
図6Bは、裏刷り印刷の説明図である。「裏刷り印刷」とは、カラー画像を媒体に形成した後に、そのカラー画像の上に背景画像を形成する印刷である。裏刷り印刷は主に透明な媒体に対して行われ、裏刷り印刷による印刷物のカラー画像は、透明な媒体越しに見ることになる。
裏刷り印刷を行う場合、カラーノズル列では搬送方向上流側の半分のノズル(ノズル♯91〜180)が用いられ、白ノズル列では搬送方向下流側の半分のノズル(ノズル♯1〜90)が用いられる。このようにノズルを用いたパスと搬送動作とを交互に繰り返すことによって、カラー画像の上に背景画像が形成される。例えば、図中の領域Aでは、パス1においてカラー画像が形成され、その後のパス2において背景画像が形成されることによって、カラー画像の上に背景画像が形成される。
図7は、インターレース印刷による表刷り印刷の説明図である。図中では、カラーノズル列のノズルを丸印で示し、白ノズル列のノズルを三角印で示している。
インターレース印刷による表刷り印刷の場合においても、カラーノズル群のカラーノズル列では搬送方向下流側の半分のノズル(ノズル♯1〜6)が用いられ、白ノズル列では搬送方向上流側の半分のノズル(ノズル♯7〜12)が用いられる。既に説明したインターレース印刷の条件((1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はkと互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること)を満たすようにするため、6個のノズルでインターレース印刷を行う場合には、5個のノズルからインクが吐出されると共に、媒体は搬送量5・Dにて搬送される。
いずれのラスタラインの位置においても、白ノズル列のノズル(白ノズル)によって白ドットが形成されてから、カラーノズル列のノズル(カラーノズル)によってカラードットが形成されている。例えば、図中の点線の位置のラスタラインでは、パス1において白ドットが形成された後、パス5においてカラードットが形成される。このため、背景画像の上にカラー画像を形成することができる。
上記の通り、背景画像とカラー画像を形成する場合には、表刷り印刷と裏刷り印刷のいずれの場合とも、これまでの技術では、カラーインクを吐出するカラーノズルの搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズルの搬送方向の位置とが重複しないようにしている。なぜならば、これまでの技術では、媒体の一方の側からカラー画像を見ることを想定しており、カラー画像と背景画像が重複する全ての領域において、カラー画像を見る者の側に配置させる必要があるためである。(言い換えると、これまでの技術では、媒体の両側からカラー画像を見ることを想定しておらず、カラー画像と背景画像が重複する領域において、カラードットの上に白ドットが形成される画素と、白ドットの上にカラードットが形成される画素とを混在させることは全く想定していない。)
===第1実施形態===
<概要>
図8Aは、表刷り印刷により形成される画像の説明図である。表刷り印刷した場合、媒体の表側から見たときには、カラー画像が背景画像の上に印刷されているため、カラー画像が見易い。但し、媒体の裏側から見たときには、背景画像の下にカラー画像が隠れているため、カラー画像が見難い状態になる。
図8Bは、裏刷り印刷により形成される画像の説明図である。裏刷り印刷した場合、媒体の裏側か見たときには、カラー画像が背景画像の上に印刷されているため、カラー画像が見易い。但し、媒体の表側から見たときには、背景画像の下にカラー画像が隠れているため、カラー画像が見難い状態になる。
図8Cは、本実施形態により形成される画像の説明図である。本実施形態によれば、カラー画像と背景画像とが重複する領域において、カラードットの上に白ドットが形成される画素と、白ドットの上にカラードットが形成される画素が混在する。これにより、背景画像が印刷されているにも関わらず、媒体の両面からカラー画像が見易くなる。
以下、このような画像の印刷方法について説明する。
<印刷方法>
図9は、第1実施形態の印刷方法の説明図である。カラーノズル列と白ノズル列のそれぞれの動作に着目すると、いずれも図4のインターレース印刷を行っている。
前述の表刷り印刷や裏刷り印刷では、カラーインクを吐出するカラーノズルの搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズルの搬送方向の位置とが重複しないようになっていた。これに対し、本実施形態では、カラーインクを吐出するカラーノズル(ノズル♯1〜11)の搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズル(ノズル♯1〜11)の搬送方向の位置とが重複している。このため、本実施形態では、インクを吐出するノズルが多くなり、この結果、搬送量も多くなっている。
また、本実施形態では、双方向印刷が行われている。図に示すように、奇数パス(パス1、パス3、・・・)ではキャリッジが往路を移動し、偶数パス(パス2、パス4、・・・)ではキャリッジが復路を移動する。
図10A及び図10Bは、双方向印刷時のカラードットと白ドットの先後関係の説明図である。図10Aに示すように、キャリッジが往路を移動するパス(奇数パス)では、白ノズルがカラーノズルに対してキャリッジの移動方向下流側に位置しているため、白ドットの上にカラードットが形成される。一方、図10Bに示すように、キャリッジが復路を移動するパス(偶数パス)では、カラーノズルが白ノズルに対してキャリッジの移動方向下流側に位置しているため、カラードットの上に白ドットが形成される。
図11A及び図11Bは、図9の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。図11Aは、表側から見たドットの様子の説明図である。図11Bは、裏側から見たドットの様子の説明図である。図中では、カラードットを黒丸印で示し、白ドットを白三角印で示し、カラードットと白ドットの上下関係を黒丸印と白三角印の上下関係で示している。ここでは説明の簡略化のため、全ての画素にカラードット及び白ドットを形成している。
領域Aの上から偶数番目のラスタラインは、キャリッジが往路に移動するときに形成されるため、白ドットの上にカラードットが形成される。例えば、領域Aの上から2番目のラスタラインは、キャリッジが往路を移動するパス3のときにノズル♯4によって形成されるため(図9参照)、白ドットの上にカラードットが形成される。このため、領域Aの上から偶数番目のラスタラインでは、表側から見たときには、カラードットが視認されやすく、白ドットはカラードットに隠れるため視認されにくい。但し、裏側から見たときには、白ドットが視認されやすく、カラードットは白ドットに隠れるため視認されにくい。
一方、領域Aの上から奇数番目のラスタラインは、キャリッジが復路に移動するときに形成されるため、カラードットの上に白ドットが形成される。例えば、領域Aの上から1番目のラスタラインは、キャリッジが復路を移動するパス4のときにノズル♯1によって形成されるため(図9参照)、カラードットの上に白ドットが形成される。このため、領域Aの裏から奇数番目のラスタラインでは、表側から見たときには、白ドットが視認されやすく、カラードットは白ドットに隠れるため視認されにくい。但し、裏側から見たときには、カラードットが視認されやすく、白ドットはカラードットに隠れるため視認されにくい。
つまり、第1実施形態の印刷方法によれば、媒体の表裏のどちら側から見ても、カラードットを視認しやすいラスタラインと、カラードットを視認しにくいラスタラインとが交互に並ぶことになる。
ところで、上記の説明では、全ての画素にカラードットが形成されている。但し、実際には、印刷すべきカラー画像に応じて、カラードットが形成される画素と、カラードットが形成されない画素とがある。そこで、次に、このような場合のカラー画像の視認性について説明する。
図12Aは、画像データ上のカラー画像の説明図である。ここでは、塗り潰し画像である背景画像とともに、カラー画像として文字「A」が媒体に印刷されるものとする。
画像データ上では、カラー画像である文字「A」は塗り潰し画像になっている。このため、塗り潰すべき領域の各画素に対して、カラードットが形成されることになる。言い換えると、文字「A」の領域が、カラー画像と背景画像とが重複する領域となる。なお、文字「A」の領域外では、カラードットは形成されず、白ドットのみが形成される。

図12Bは、媒体に印刷されたカラー画像を見たときの様子の説明図である。
塗り潰すべき領域内の連続するラスタラインには、カラードットが形成されることになる。そして、既に説明した通り、第1実施形態の印刷方法によれば、媒体の表裏のどちら側から見ても、カラードットを視認しやすいラスタラインと、カラードットを視認しにくいラスタラインとが交互に並ぶことになる。ラスタラインの幅は非常に狭いため、印刷されたカラー画像を巨視的に見れば、ほぼ画像データの通りのカラー画像を視認することができる。これにより、図12Bに示すように、媒体の表裏のどちら側から見ても、ほぼ画像データの通りのカラー画像(文字「A」)を視認することができる。
なお、カラー画像が文字「A」の例を説明したが、カラー画像は文字(テキスト)に限られるものではない。特に、カラー画像は、塗り潰し画像になるものに限られるものではない。例えば、カラー画像が自然画であっても良い。自然画を媒体に印刷する場合、カラードットが分散して形成されることになるが、第1実施形態の印刷方法によれば、媒体の表裏のどちら側から見ても、カラードットを視認しやすいラスタラインと、カラードットを視認しにくいラスタラインとが交互に並ぶことになり、ほぼ画像データの通りのカラー画像を視認することができる。
<全体的な処理の流れ>
ここでは、画像描画プログラムを用いてコンピューター上で作成した画像データを印刷する場合の処理の流れについて説明する。
図13Aは、本実施形態の処理の流れの説明図である。コンピューター90には、予めプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、以下に説明する各処理をコンピューター90に実現させるためのプログラムに相当する。このプリンタードライバーは、インターネットを経由してコンピューター90にダウンロードしてインストールしたものでも良いし、DVD−ROMなどの記憶媒体に記憶されたプログラムをコンピューター90にインストールしたものでも良い。
まず、プリンタードライバーは、画像描画プログラムから画像データを取得する。ここでは、プリンタードライバーは、図14に示すような画像データを取得することとする。この画像データは、RGB色空間のカラー画像である文字「A」を示すカラー画像レイヤと、背景画像を示す背景画像レイヤとから構成されたベクター形式のデータである。このように、通常、背景画像はカラー画像と別のレイヤで管理される。
プリンタードライバーは、取得した画像データ(ベクター形式)を印刷解像度に変換する処理を行う(解像度変換処理)。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、取得したベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間のカラー画像を示すための256階調のデータと、白を256階調で示すデータとから構成されている。
解像度変換処理の後、プリンタードライバーは、RGB色空間のデータをCMYK色空間のデータに変換する処理を行う(色変換処理)。CMYK色空間のデータは、プリンターが有するカラーインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB色空間の階調値とCMYK色空間の階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)に基づいて、行われる。なお、白の階調を示すデータは、既にインクの色と対応しているので、色変換処理は行う必要は無い。
色変換処理の後、プリンタードライバーは、256階調のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理を行う(ハーフトーン処理)。ハーフトーン処理によって、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などが利用される。ハーフトーン処理されたデータは、印刷解像度(例えば720×720dpi)と同等の解像度である。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごと1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。
ハーフトーン処理の後、プリンタードライバーは、2次元のマトリクス状に並ぶ画素データを、印刷時のドット形成順序に従って並べ替える処理を行う(ラスタライズ処理)。例えば、印刷時に数回に分けてパス(ドット形成処理)が行われる場合、各パスに対応する画素データをそれぞれ抽出し、パスの順序に従って画素データを並び替える。
本実施形態では、図9に示すように各パスの各ノズルが形成するドットの位置が決まっている。そこで、プリンタードライバーは、図9の各パスの各ノズルの位置に従って、各パスの各ノズルに対応する画素データを抽出し、画素データを並び替える。
そして、プリンタードライバーは、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じた制御データを付加して印刷データを生成し、印刷データをプリンターに送信する。制御データとしては、例えば搬送量を示す搬送データや、キャリッジの移動方向(往路又は復路)を示す移動データなどが含まれる。
印刷データを受信したプリンターは、印刷データに従って、各ユニットを制御する。例えば、コントローラーは、搬送データの示す搬送量に従って搬送ユニット20に媒体を搬送させ、移動データの示す移動方向に従ってキャリッジユニット40にキャリッジを移動させ、画素データに従ってヘッド41の各ノズルからインクを吐出させる。これにより、プリンターは、図9に示すような印刷処理を実現する。この結果、図12Bのように見えるカラー画像を媒体に印刷することができる。
第1実施形態によれば、媒体の表裏のどちら側から見ても、カラードットを視認しやすいラスタラインと、カラードットを視認しにくいラスタラインとが交互に並ぶことになる。ラスタラインの幅は非常に狭いため、印刷されたカラー画像を巨視的に見れば、ほぼ画像データの通りのカラー画像を視認することができる。
図13Bは、第1変形例の概要の説明図である。第1変形例では、図13Aにおいてコンピューター90側で行われていた処理の一部をプリンター1が行っている。例えば、コンピューター90は、解像度変換処理と色変換処理を行い、ハーフトーン処理やラスタライズ処理までは行わず、色変換後の画素データと制御データをプリンター1に送信する。そして、プリンター1が、受信した画素データ及び制御データに基づいて、ハーフトーン処理及びラスタライズ処理を行う。その後、プリンターは、制御データに従って各ユニットを制御し、画素データに従ってヘッド41の各ノズルからインクを吐出させる。これにより、プリンター1は、図9に示すような印刷処理を実現する。
図13Cは、第2変形例の概要の説明図である。第2変形例では、図13Aにおいてコンピューター90側で行われていた処理をプリンター1が行っている。コンピューター90は、画像データに制御データを付加してプリンター1に送信するだけである。そして、プリンター1は、受信した画像データに基づいて、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理及びラスタラインズ処理を行い、印刷データを生成する。その後、プリンター1は、制御データに従って各ユニットを制御し、画素データに従ってヘッド41の各ノズルからインクを吐出させる。これにより、プリンター1は、図9に示すような印刷処理を実現する。
第1変形例や第2変形例のような処理の流れであっても、プリンターが図9に示すような印刷処理を行えば、ほぼ画像データの通りのカラー画像を媒体の両側から視認できる。
===第2実施形態===
図15は、第2実施形態の印刷方法の説明図である。カラーノズル列と白ノズル列のそれぞれの動作に着目すると、いずれもオーバーラップ印刷を行っている。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、カラーインクを吐出するカラーノズル(ノズル♯1〜10)の搬送方向の位置と、白インクを吐出する白ノズル(ノズル♯1〜10)の搬送方向の位置とが重複している。また、本実施形態においても、双方向印刷が行われている。図に示すように、パス1、3、6、8ではキャリッジが往路を移動し、パス2、4、5、7ではキャリッジが復路を移動する。
図16A及び図16Bは、図15の領域Aにおける8個のラスタラインのドットの様子の説明図である。図16Aは、表側から見たドットの様子の説明図である。図16Bは、裏側から見たドットの様子の説明図である。ここでは説明の簡略化のため、全ての画素にカラードット及び白ドットを形成している。
領域Aのいずれのラスタラインにおいても、キャリッジが往路に移動するときにドットが形成される画素と、キャリッジが復路に移動するときにドットが形成される画素とが、移動方向に交互に並んでいる。言い換えると、領域Aのいずれのラスタラインにおいても、キャリッジが往路に移動するパスにおいて間隔を形成されたカラードット及び白ドットの間に、キャリッジが復路に移動するパスにおいて形成されたカラードット及び白ドットが位置する。このため、いずれのラスタラインにおいても、カラードットの上に白ドットが形成された画素と、白ドットの上にカラードットが形成された画素とが、移動方向に交互に並ぶことになる。この結果、媒体の表裏のどちら側から見ても、いずれのラスタラインにおいても、カラードットを視認しやすい画素と、カラードットを視認しにくい画素とが移動方向に交互に並ぶことになる。
第1実施形態の印刷方法では、カラードットを視認しやすいラスタラインと、カラードットを視認しにくいラスタラインとが交互に並ぶため、移動方向に沿った筋が視認されるおそれがある(図12B参照)。これに対し、第2実施形態では、いずれのラスタラインにおいても、カラードットを視認しやすい画素と、カラードットを視認しにくい画素とが移動方向に交互に並ぶため、移動方向に沿った筋は視認されにくい。
===第3実施形態===
図17Aは、第1実施形態及び第2実施形態の処理を示している。ここでは、説明の都合上、色変換処理後の16個の画素データが全て同じ階調値「64」を示しているものとする。また、色変換処理後のCMYK色空間のデータのうち、ブラックのみに着目する。
図17Aに示すように、256階調のデータが、ハーフトーン処理によって、16個の画素のうちの4個の画素にドットを形成するようなデータに変換される(ドット生成率が25%)。そして、このデータに従って4個のドット(カラードット)が媒体に形成されるが、第1実施形態又は第2実施形態の印刷方法によれば、半分のドットは白ドットに隠れて視認しにくい状態になる。このため、第1実施形態及び第2実施形態では、画像データの示すカラー画像の濃度に対して、媒体に印刷されたカラー画像は淡く見えてしまう。
図17Bは、第3実施形態の処理を示している。第3実施形態によれば、色変換処理後の画素データが濃くなるような階調補正処理が施される。ここでは、階調補正処理によって、元の階調値「64」が濃い階調値「96」に補正されるものとする。これにより、第3実施形態では、256階調のデータが、第1実施形態や第2実施形態と同じハーフトーン処理を施されても、6個の画素にドットを形成するようなデータに変換される(ドット生成率が高くなる)。このため、このデータに従って第1実施形態又は第2実施形態の印刷方法が行われて半分のドットが白ドットに隠れても、第1実施形態や第2実施形態と比べて、媒体に印刷されたカラー画像は濃く補正される。
なお、図中の点線で示したカラードットは、白ドットに隠れたカラードットである。このカラードットは白ドットに隠れているものの、カラードットが形成されていない画素と比べると、若干濃く視認される。そこで、階調補正処理では、白ドットに隠れたカラードットの濃度を考慮して、ハーフトーン処理後のドット生成率が2倍未満になるように、階調値を補正することが望ましい。
カラー画像が自然画の場合、色変換処理後の画素データが中間調の階調値を示すことが多い。このような場合に第3実施形態の階調補正処理は有効である。但し、カラー画像が文字(テキスト)の場合、塗り潰すべき領域の画素は最大濃度の階調値になっていることが多いため、第3実施形態の効果は小さい。
===その他===
上記の実施形態は、主としてプリンターについて記載されているが、その中には、印刷装置、印刷方法、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
<インクについて>
前述の実施形態では、紫外線が照射されると硬化する性質を有するUVインクが用いられていた。但し、必ずしもUVインクが用いられなくても良い。UVインクを用いない場合には、前述の照射ユニット60も不要である。
1 プリンター、10 コントローラー、
11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジ移動機構、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、60 照射ユニット、61 仮硬化用照射部、62 本硬化用照射部、
90 コンピューター

Claims (7)

  1. 透明な媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニットと、
    カラー画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体にカラードットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第1ノズル列と、
    背景画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体に背景用ドットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第2ノズル列と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に沿って前記第1ノズル列と前記第2ノズル列を移動させるキャリッジと、
    所定の画像を形成するべく、前記搬送ユニット、前記第1ノズル列、前記第2ノズル列及び前記キャリッジを制御する制御手段と、
    を備え、
    前記移動方向に移動しながら前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記インクを吐出して前記媒体に前記カラードット及び前記背景用ドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記媒体に前記カラー画像と前記背景画像を形成する印刷装置であって、
    前記制御手段は、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成されるとともに当該背景用ドットの上にはカラードットが形成されない画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成されるとともに当該カラードットの上には背景用ドットが形成されない画素とを混在させて、前記背景用ドットの上に形成された前記カラードットと前記背景用ドットの下に形成された前記カラードットとから構成された単一の前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域を形成させる
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記制御手段は、前記ドット形成動作の際に、前記第1ノズル列の前記インクを吐出する前記ノズルの前記搬送方向の位置と、前記第2ノズル列の前記インクを吐出する前記ノズルの前記搬送方向の位置とを重複させ、且つ
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の往路に移動する前記ドット形成動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の復路に移動する前記ドット形成動作とを繰り返し行わせることによって、
    前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域に、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成された画素とを混在させる
    ことを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
    前記第1ノズル列の前記複数のノズル、及び前記第2ノズル列の前記複数のノズルは、それぞれ、前記搬送方向に沿って所定間隔で並んでおり、
    前記制御手段は、前記ドット形成動作と前記搬送動作を繰り返すことによって、前記所定間隔よりも短い間隔で前記搬送方向に沿って複数のドット列を形成させるとともに、
    前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域に、前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成された前記ドット列と、前記背景画像用ドットの上に前記カラードットが形成された前記ドット列とを交互に形成させる
    ことを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1又は2に記載の印刷装置であって、
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の往路に移動する前記ドット形成動作において間隔を空けて形成された前記カラードット及び前記背景用ドットの間に、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列が前記移動方向の復路に移動する前記ドット形成動作において形成された前記カラードット及び前記背景用ドットが位置する
    ことを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記制御手段は、前記カラー画像を示すデータの濃度を濃くする補正処理が行われたデータを記憶し、
    前記制御手段は、前記補正処理後の前記データに従って、前記媒体に前記カラー画像を形成させる
    ことを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項5に記載の印刷装置であって、
    前記補正処理後の前記カラー画像を構成する前記カラードットの発生率は、前記補正処理を行わない場合に比べて、2倍未満であることを特徴とする印刷装置。
  7. 透明な媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニットと、
    カラー画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体にカラードットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第1ノズル列と、
    背景画像を形成するためのインクを吐出して前記媒体に背景用ドットを形成する複数のノズルが前記搬送方向に並ぶ第2ノズル列と、
    前記搬送方向と交差する移動方向に沿って前記第1ノズル列と前記第2ノズル列を移動させるキャリッジと、
    を備えた印刷装置を用いて、
    前記移動方向に移動しながら前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記インクを吐出して前記媒体に前記カラードット及び前記背景用ドットを形成するドット形成動作と、前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作とを繰り返すことによって、前記媒体に前記カラー画像と前記背景画像を形成する印刷方法であって、
    前記カラードットの上に前記背景用ドットが形成されるとともに当該背景用ドットの上にはカラードットが形成されない画素と、前記背景用ドットの上に前記カラードットが形成されるとともに当該カラードットの上には背景用ドットが形成されない画素とを混在させて、前記背景用ドットの上に形成された前記カラードットと前記背景用ドットの下に形成された前記カラードットとから構成された単一の前記カラー画像と前記背景画像とが重複する領域を形成する
    ことを特徴とする印刷方法。
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