JP5783487B2 - エリンギおよびその人工栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エリンギおよびその人工栽培方法に関するものである。
茸類の中でもエリンギは歯ごたえが良く、また大量生産ができるようになったため、人気が定着した食材の一つである。日本国内でエリンギは自生していないため、一般的にエリンギは屋内で人工栽培されている。屋内での人工栽培は温度、湿度、二酸化炭素、光を制御した環境下で行われ、芽出し、生育工程では、温度15〜17℃、湿度85〜95%の範囲が良好な条件で、かつ常時高湿度とならず、光の照射量を制限して栽培されている。このような条件で栽培したエリンギは、傘の色が薄い茶色であり、傘の縁が内側に巻き込み、傘の形はほぼ平らであるが、丸みを帯びた山型状になったり、中心が窪んだりする形状となることもある。更に柄の部分は白くてササクレやしわもなく、傘よりも柄の部分が長い形状のエリンギが販売されている。
一般的なエリンギの栽培方法が非特許文献1に記載されている。
「2010年度版きのこ年鑑別冊最新きのこ栽培技術」、株式会社特産情報/株式会社プランツワールド、2010年4月30日発行、p.182〜185
これまでのエリンギは、傘にひび割れのないものが市場に流通していた。しかし、保存方法にもよるが、凍らせずに低温で一定に保った条件で保存しても数日から1週間程度しか保存できない。
そこで本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、従来のエリンギとは形状が異なり、包装後の品質が劣化しにくく日持ちするエリンギおよびその人工栽培方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明のエリンギは次の構成を備える。すなわち本発明は、傘と柄を有し、傘は球、長球または扁球の一部をなすような上に凸の丸みを帯びた形状から平らな形状を有すると共に、傘の表面にひび割れを有することを特徴とする。この構成によれば、従来の屋内で人工栽培されたエリンギとは形状が異なるエリンギを提供することができる。
前記柄の外表面に、軸方向に伸びるひび割れを有することで、従来のエリンギにはない特徴的な形状を有するエリンギを提供することができる。
前記エリンギの含水率が70〜85%の範囲となることにより、従来の屋内で人工栽培されたエリンギと比べて含水率は低く、品質が劣化しにくくて日持ちするエリンギを提供することができる。
更に、前記エリンギの糖度が6〜25%の範囲となることにより、従来の屋内で人工栽培されたエリンギと比べて甘味や旨味成分が濃縮したエリンギを提供することができる。
また、本発明のエリンギの人工栽培方法は次の構成を備える。すなわち本発明は、上記のいずれかに記載のエリンギの人工栽培方法において、生育時に子実体に向けて500lx以上の光を照射させると共に、生育後期に温度を5〜18℃および湿度を85%以下にすることによって、傘にひび割れを生じさせることを特徴とする。この構成によれば、ひび割れたエリンギの人工栽培方法を提供することができる。
前記生育後期に、前記生育後期の温度範囲外の環境に一時的に変化させることで、生長を促すあるいは子実体組織が緻密になり、確実にひび割れが生じ、一方で含水率が低くなって長期保存できるエリンギの人工栽培方法を提供することができる。
前記生育後期に、子実体に向けて生育初期で照射した照度よりも強い光を照射させることで、ひび割れが生じるまでに掛かる時間を短くできるエリンギの人工栽培方法を提供することができる。
本発明に係るエリンギおよびその人工栽培方法によれば、今までのエリンギの形状が異なり、劣化しにくく日持ちするエリンギおよびその人工栽培方法を提供することができる。
本発明に係るエリンギの形態の一例を示す写真である。 従来の栽培法(左)と本発明に係るエリンギ(右)の形態の一例を示す写真である。 芽だし、芽かき工程後であり、1000lxの光を照射する前においてエリンギの形態の一例を示す写真である。 芽だし、芽かき工程後に1000lxの光を照射した後においてエリンギの形態の一例を示す写真である。 1000lxの光を照射した後、生育後期の温度範囲外の環境に一時的に変化させると同時に10000lxの日光を照射した後においてエリンギの形態の一例を示す写真である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施形態に係るエリンギの一例を示す写真である。このように、本実施形態に係るエリンギは傘と柄を有していて、従来の人工栽培方法で得られるエリンギとは形状が異なり、傘は球、長球または扁球の一部をなすような上に凸の丸みを帯びた形状のものから平らな形状のものまである。更にエリンギの傘の表面はひび割れている。
図2には従来の栽培法(左)と本実施形態(右)に係るエリンギの一例を示す写真である。このように、従来の栽培法により得られるエリンギとは異なり、本実施形態に係るエリンギは光を照射させると共に、生育温度、生育湿度を制御することによって得られるものである。より詳細には、生育時に子実体に向けて500lx以上の光を照射させると共に、生育後期に温度を5〜18℃および湿度を85%以下にすることによって傘にひび割れを生じさせたエリンギである。エリンギの柄の外表面に、軸方向に伸びるひび割れを生じさせることもある。
本実施形態により得られたエリンギは、含水率が70〜85%となる。また、糖度が6〜25%となる。
本実施の形態におけるエリンギの人工栽培で用いる培地としては、培地基材、培地栄養材およびpH調整剤から成る固形分と水を添加したものである。培地基材には、コーンコブミール、針葉樹または広葉樹のオガコ、綿実殻等を単独または組み合わせて使用できる。培地栄養材には、米糠、フスマ、ビートパルプ、ホミニフィード、乾燥オカラ等を単独または組み合わせて使用できる。培地基材のpHを調整するためのpH調整剤として、消石灰(水酸化カルシウム)や貝殻、炭酸カルシウム等を加えることができる。
培地のpHは栽培期間に影響し、培地基材、栄養材および水の配合比は菌糸の生長にも影響する。このため培地のpHは5.8〜6.2の範囲になり、培地の水分の割合は64〜67wt%になるよう加水して混合し、均一な培地を作製する。
栽培ビンの容量は500cc〜1200ccであり、ビン口内径、材質は特に限定されないが好適にはビン口内径が50〜75mm程度のポリプロピレン製のビンを用いる。この栽培ビンに調製した培地を規定の重さになるように詰め込む。また、栽培容器は栽培ビンだけではなく、エリンギの生長の度合いが異なるものの、袋や箱を用いて栽培することもできる。以下、栽培ビンを用いて栽培する実施形態について述べる。
栽培ビン内の培地に植菌孔を開け、栽培ビンを施栓して殺菌し、殺菌後に栽培ビンを18℃程度まで放冷する。冷却後に無菌雰囲気下で栽培ビンの栓を開け、エリンギ菌株の種菌を栽培ビンに所定量入れて接種し、施栓する。エリンギの品種は特に限定されるものではない。
菌回りさせるため栽培ビンを培養室に移動させ、温度15〜25℃、好ましくは20〜22℃、湿度65〜85%、好ましくは75%程度の条件で菌糸をビン内の培地全体に蔓延させる。その後、数日間から数週間熟成して培養を完了させる。
熟成後、発芽促進のために菌掻きをする。ビン上部にある接種した元種および培養基の表面を削って新しく菌床表面を露出させ、エリンギの発生面を形成させる。
子実体を発生させるため栽培ビンを芽だし室に移して、温度14〜15℃、湿度85〜95%程度の環境下で、コンテナ内でビンを上下反転させて乾燥を防ぎながら発芽させる。必要に応じて、芽欠きをして子実体を数本程度にする。
芽欠き後の栽培ビンを生育室に移動し、生育させる。
本実施形態のエリンギの人工栽培方法における生育工程は、生育初期と生育後期に分け、特に後期は従来と大きく異なる条件で生育させるエリンギの人工栽培方法で、生育後期に温度5〜18℃および湿度85%以下の環境下に置くことが重要となる。このことで、傘や柄にひび割れを生じさせる。これに加えて、生育時に500lx以上の強い光を子実体に当てることが重要となる。このことで、エリンギの生育、特に柄の生長が抑えられる。他にも、傘や柄にひび割れを生じさせるだけではなく、傘や柄の表面をより濃く着色させることもできる。従来の栽培法の100〜300lx程度の光よりも強い光を当てることで、エリンギの人工栽培条件を確立して、今までのエリンギとは形状が異なり今までにない食感や食味を呈するエリンギの人工栽培方法を提供することができる。
生育初期の温度、湿度に関しては芽だし工程に準じ、栽培ビンを温度13〜18℃、好適には14〜15℃、湿度85〜95%程度の環境下に置き、子実体に照度500〜1500lx、好適には1000lx程度の光を1日8時間連続または間欠的に照射させる。この期間で芽欠きを実施して最終的には子実体を2本程度残す。また、光を照射するものであれば、その方法や光の波長は特に限定されなく、蛍光灯や発光ダイオードを用いて照射してもよい。
図3は芽だし、芽かき工程後で、1000lxの光を照射する前におけるエリンギの形態の一例を示す写真である。図4は芽だし、芽かき工程後に1000lxの光を照射した後におけるエリンギの形態の一例を示す写真である。それぞれの図より、生育初期工程を終えた時点では、従来のエリンギの人工栽培法の同じ生育工程段階で得られるエリンギと形状と色はほとんど変わらない。
生育初期の環境下に置く期間はエリンギの傘径と茎径とが同程度になるまでであり、図3に示す傘径が小さい形状から図4に示す傘径と茎径とが同程度の大きさの形状になるまでの期間である。傘径が茎径と同程度の大きさに生長した時点で生育後期の温度、湿度環境に移行させる。傘径と茎径と同程度になるには栽培容器によって異なるものの、栽培ビンの場合は2〜5日間程度掛かる。
生育後期の湿度、温度環境は、湿度85%以下、好ましくは湿度60〜85%である。この時の温度は5〜18℃の範囲であれば特に限定されないが、通常の人工栽培条件よりは低温であることが好ましく、より好適には6〜9℃である。更に生育後期で、上記生育後期の温度範囲外の環境に一時的に変化させることで確実にひび割れが生じる。また、上記生育後期の湿度範囲外の環境に一時的に変化させてもひび割れる。更に、生育後期の温度と湿度の両方を上記範囲外に一時的に変化させてもひび割れが生じる。ただし湿度条件に関して、より確実にひび割れさせるためには、湿度が生育後期の範囲内の85%以下であり、より好ましくは湿度60%以下の低湿度環境に一時的に変化させることが好ましい。
生育後期の光照射条件は、照度500lx以上であり、状況に応じて連続または間欠的に照射させる。生育初期と生育後期に照射する光は同じ照度でもひび割れ、なお好適には、きのこの状態を見て生育後期に子実体に向けて、生育初期で照射した照度より強い光を照射させることであり、このことで確実にひび割れてひび割れが生じるまでに掛かる時間を短くできる。更に照射する光の照度を高くすれば、ひび割れる確率が高くなる。
生育初期よりも強い光を照射するため、日光によってまたはハロゲンランプ等の人工光を用いて光を照射してもよい。いずれの場合も生育初期よりも強い光であれば照度は限定されない。なお好ましくは、日光を照射するときは照度10000lx以上の光を1日2〜3時間、曇天・雨天時で照度が足りないときはハロゲンランプ等の器具により補い、同程度の照度を持つ光を1日2〜3時間連続的に照射させる。このような環境下に5日〜2週間、好ましくは10日間程度置く。日光を照射させる時間帯は栽培ビンを屋外に出すことで、または屋内でも気温や湿度が生育条件の範囲外になることもあるが、より確実にひび割れが生じて含水率を低くすることができる。この時、範囲外温度は0〜5℃または18℃以上となる。生育温度が0℃未満となるとエリンギに含まれる水分が凍結するおそれがあるため、0℃未満の温度では生育させないことが好ましい。またハロゲンランプ等の器具により同程度の光照射が行えれば屋内で照射しても構わなく、この光照射工程を含めてすべての工程を屋内で行うことができる。このように、日中の自然光または日中と同程度の明るさを持つ人工光による栽培条件を確立させたエリンギの人工栽培方法を提供することができる。更に従来と異なる強い光を当てて傘の表面の色が茶色に着色し、糖度が高く、含水率が低くて長期保存できるエリンギの人工栽培方法を提供することができる。
以上のことから、生育後期に500lx以上の光を照射、温度を5〜18℃および湿度を85%以下にすることによって、エリンギにひび割れが生じるものの、生育後期の環境条件をより著しく変化させることで、より確実にエリンギにひび割れを生じさせる。すなわち温度範囲外となる0〜5℃または18℃以上に、湿度をより低湿度側に、光をより高照度側に積極的に値を変化させることでエリンギの傘や柄の表面にひび割れを生じさせるエリンギの人工栽培方法である。
図5は1000lxの光を照射した後、10000lxの日光を照射した後においてエリンギの形態の一例を示す写真である。このように、本実施形態の生育後期の栽培環境は強い光を当てることに加え、温度、湿度を制御した条件であるため、子実体の傘表面の色が茶色に、柄の表面が薄茶色に着色して、子実体の傘にひび割れが生じ、柄にもひび割れが生じたと考えられる。収穫はこのような色と形状になり、傘径が5〜6cm程度になったものから行う。
収穫したエリンギは特徴的な形状をしている。傘の直径と柄の長さの比が1:0.6〜1.6の範囲となり、傘の直径と柄の直径の比が1:0.5〜0.9の範囲となる。これは従来の屋内で人工栽培されたエリンギとは形状が異なる。更に言えば、栽培条件にもよるが、柄の長さが短くなりやすい。
ひび割れの位置、大きさ、数は様々である。ひび割れは傘の頭頂部にできることもあるし、傘の縁の部分にできることもある。また、ひび割れの長さ、幅、深さは様々で、ひび割れ同士が交わることもある。数は少ないものもあれば多いものもある。これらひび割れの位置、大きさ、数は光、温度、湿度等の栽培環境によって変わる。
図1、図2、図5の本実施形態の人工栽培方法により得られたエリンギを見ると、本実施形態に係るエリンギは柄の外表面に軸方向に伸びるひび割れを有するものもある。更に、軸方向に伸びるひび割れと繋がった柄の周方向に伸びるひび割れを有する。この周方向のひび割れによって、ササクレのように外表面が剥がれてめくれた状態のものもある。柄のひび割れは傘と同様に光、温度、湿度等の栽培環境によって位置、大きさ、数は変わる。このことで、従来のエリンギにはない特徴的な形状を有するエリンギを提供することができる。
傘はほぼ一様に茶色を呈し、エリンギの傘表面の色が濃くなるものもあるが、傘のひび割れの箇所は薄茶色である。柄は傘への付け根から中途部にかけて傘の直径と比較して半分以上の太さを有し、中途部から根本の石突きに向かって細くなる。エリンギの柄の表面は黄白色から薄茶色で、ひび割れの箇所は色が薄く、内部は白い。また、ササクレのように剥がれが生じて部分的に黄白色や茶色が濃くなる場所もあるが全体的には薄茶色である。
また、生育時に子実体に向けて強い光を照射することにより、従来のエリンギとは異なり、傘の表面をより濃く着色させることができる。また柄の表面も薄茶の色合いを加えることができる。
このように、強い光を当てて栽培したエリンギの含水率は、従来の栽培方法で得られたエリンギよりも低く85%以下となる。このため、包装後のエリンギの品質は劣化しにくくて日持ちする。更に、光、温度、湿度条件を制御することで含水率を70%程度にまで下げたエリンギを得ることができる。また、含水率が85%を超えるとひび割れしないエリンギとなることもある。その他の栽培条件を考慮し、本実施形態により得られるエリンギの含水率は75〜85%の範囲になるものが多い。
また、エリンギの糖度が6〜25%となり、傘や柄(茎)が硬く肉質が緻密で、成分の濃縮による旨味や香りが強い。糖度は生育後期での光の照度、温度、湿度によって変えることができる。更に、光、温度、湿度条件を制御することで糖度を25%程度にまで上げたエリンギを得ることができる。ただし、その他の栽培条件を考慮すると6〜20%の範囲になるものが多い。
以下、実施例により本発明の一例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(実施例1)
エリンギの培地基には、杉オガコ、コーンコブミール、米糠、フスマ、ビートパルプ、綿実殻を用いた。この他に、pH調整材として消石灰を加え、培養基の水分が66〜67%になるように加水して撹拌混合した。混合して調製した培養基はpH=6.0となった。ポリプロピレン製の1100cc、75mm口径ビンに調製した培養基735gを詰め込んだ。培地に植菌孔を開けて施栓して殺菌、放冷後種菌を接種した。
栽培ビンを殺菌釜に入れ、121℃、50分の条件で殺菌した。その後栽培ビンを放冷室で18℃以下になるまで冷却した。
冷却後、エリンギ菌株(チクマッシュE−40)の種菌約20gを栽培ビンに入れて接種して蓋をした。
次に、温度20〜22℃、湿度75%程度の培養条件で菌糸をビン内の培養基全体に蔓延させ、30日間培養を完了させた。
熟成後、ビン上部にある接種した元種および培養基の表面を削り、菌掻きを行った。
温度14〜15℃、湿度85〜95%程度の環境下で、コンテナ内でビンを上下反転させて発芽させた。13日間かけて芽がビン口付近まで生長した時点でビンを上向きに戻した。
その後、芽欠きをして子実体を数本程度にし、生育室に移動させた。
生育初期の処理として、栽培ビンを温度14〜15℃、湿度85〜95%程度の環境下に3日間置き、その間の光照射は、子実体に照度1000lx程度の光を照射できる蛍光灯を用いて1日8時間行った。また芽欠きを実施して子実体を2本以下にした。
生育後期では、温度6.8〜8.5℃、湿度60〜80%の環境下に10日間置き、この期間中で、芽の傘直径が茎径と同程度の約1.5cmに生長した時点から光照射を開始した。日光の照射するときは照度10000lx以上の光を1日2〜3時間、曇り・雨天時はハロゲンランプ等により同程度の照度を持つ光を1日2〜3時間照射した。
得られたエリンギは傘表面にひび割れが生じていて、柄表面にもひび割れが生じたものもあり、特徴的な形状をしていた。実施例1で栽培したエリンギ8本について、傘の直径と柄の長さ、直径を測定し、(柄の長さ/傘径)、(柄の直径/傘径)の値を求めた。測定結果、計算結果を下記の表1に示す。
実施例1で栽培したエリンギ8本について、含水率および糖度を測定した。測定結果を下記の表2に示す。
(実施例2)
実施例2の栽培条件について、実施例2で使用する培養基は、実施例1で使用した培養基とは各材料の配合割合を変えたものである。その他の栽培条件は実施例1と同じである。実施例2で栽培したエリンギ8本について、含水率および糖度を測定した。測定結果を下記の表3に示す。
(実施例3〜5)
実施例3〜5の栽培条件について、実施例3〜5で使用するそれぞれの品種は、実施例1および2のチクマッシュE−40とは異なる3種類の品種である。その他の栽培条件は実施例1と同じである。実施例3〜5で栽培したそれぞれのエリンギ8本について、含水率および糖度を測定した。測定結果を下記の表4に示す。
(比較例1〜5)
従来の栽培方法により得られたエリンギと本発明の各実施例により得られたエリンギを比較した。従来の栽培方法と本発明の実施例の条件を比較すると生育時の光、温度、湿度条件が異なり、その他の条件は同一である。従来の栽培方法により得られたエリンギを比較例1〜5とし、それぞれの栽培条件は実施例1〜5と対応させたものである。
従来のエリンギの生育時の栽培条件は、照度100〜300lxの光を生育初期の3日間に1日2時間照射、温度14〜15℃、湿度85〜95%である。比較例のエリンギはこの環境下に4〜7日間置いて、傘径が5〜6cm程度になってから収穫したものである。
比較例1で栽培したエリンギ8本について、傘の直径と柄の長さ、直径を測定し、(柄の長さ/傘径)、(柄の直径/傘径)の値を求めた。測定結果、計算結果を下記の表5に示す。含水率および糖度を下記の表6に示す。
比較例2で栽培したエリンギ8本について、含水率および糖度を下記の表7に示す。
比較例3〜5で栽培したそれぞれのエリンギ8本について、含水率および糖度を下記の表8に示す。
本実施形態によるエリンギと従来の光、温度、湿度条件により栽培されたエリンギの品質が維持される期間を調査した。それぞれのエリンギを包装状態のまま温度5℃の環境に置いた状態で品質の変化を調べ、比較した。
その結果、本実施形態によるエリンギは20日経過した状態でも傘や柄の軟弱化や変色が見られず、従来のエリンギと比較して格段に品質が劣化しにくくなり日持ちすることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 傘と柄を有し、傘は球、長球または扁球の一部をなすような上に凸の丸みを帯びた形状から平らな形状を有すると共に、傘の表面にひび割れを有することを特徴とするエリンギ。
  2. 前記柄の外表面に、軸方向に伸びるひび割れを有することを特徴とする請求項1に記載のエリンギ。
  3. 前記エリンギの含水率が70〜85%の範囲となることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエリンギ。
  4. 前記エリンギの糖度が6〜25%の範囲となることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のエリンギ。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のエリンギの人工栽培方法において、生育時に子実体に向けて500lx以上の光を照射させると共に、生育後期に温度を5〜18℃および湿度を85%以下にすることによって、傘にひび割れを生じさせることを特徴とするエリンギの人工栽培方法。
  6. 前記生育後期に、前記生育後期の温度範囲外の環境に一時的に変化させることを特徴とする請求項5に記載のエリンギの人工栽培方法。
  7. 前記生育後期に、子実体に向けて生育初期で照射した照度よりも強い光を照射させることを特徴とする請求項5または6に記載のエリンギの人工栽培方法。
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