JP5779792B2 - 昇華転写シート - Google Patents
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Description
しかしながら、前記高速で高画質のフルカラータイプは転写シートが黄色/紅色/藍色/墨色の構成で写真の様な画像を形成するのが一般的であり、2色のマルチカラー方式において問題があった。サーマルヘッドの装置を用いて画像を形成する場合、2種類の染料と樹脂から形成される単層の色材層を用いて、エネルギーの高低により、異なる色相が発現する転写シートは開発されていなかった。
基材フィルム上に色材層を形成してなる昇華転写シートであって、
該色材層が、色相の異なる少なくとも2種の染料およびアクリル樹脂
を含み、かつ、
アクリル樹脂が、カルボキシル基
を有しており、さらに、
染料総量の固形分重量をaおよびアクリル樹脂の固形分重量をb
とした場合に、
固形分重量比(a/b)が、a/b=0.1〜0.8
であることを特徴とする昇華転写シートに関するものである。
前記色相の異なる少なくとも2種類の染料が、下記の黄色染料、赤色染料および藍色染料から選ばれるいずれか2種類の染料であることを特徴とする請求項1記載の昇華転写シートに関するものである。
黄色染料が、融点170〜300℃であり、キノフタロン系またはジシアノメチン系染料である。
赤色染料が、融点120〜300℃であり、アントラキノン系染料である。
藍色染料が、融点140〜300℃であり、アントラキノン系染料である。
前記アクリル樹脂が、酸価50〜300mgKOH/gおよびガラス転移点20〜
90℃であることを特徴とする請求項1または2記載の昇華転写シートに関するものである。
これらの染料を選択すると、保存安定性に優れ、異なる色相の昇華転写シートが得られる。
各染料の配合比は、いずれの組み合わせにおいても色相は発現するが、特に重量比で40:60〜60:40が好ましい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等が挙げられる。
水酸基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステル等(以後、(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸の両方を総称するものとする。)が挙げられる。
アミノ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸のジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル等、また、エポキシ基を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。
アルキル基を有するモノマーとしては、炭素数が1〜18の、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以後この表現はアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を総称するものとする。)即ち(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステル等、芳香環を有するモノマーとしてはスチレン、α―メチルースチレンが挙げられる。
本発明に使用するアクリル樹脂は、アクリル酸10〜39重量%とスチレン30〜60重量%、エチルアクリレート10〜30重量%を有するアクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂は、アクリル酸とスチレン、エチルアクリレートを有し、更に酸価50〜300mgKOH/g、ガラス転移点20〜90℃が好ましい。
色材層の形成は、公知の印刷法でよく、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷などが適用できる。この色材層なすインキを任意に粘度調整し、これを上記の基材フィルム上に印刷、塗布及び乾燥させて形成する。このようにして形成する色材層は、0.2から5.0μm程度の厚さである。
転写シートの構成が基本的に基材フィルムと色材層を有しているならば、その転写シートは本発明に含まれるものである。例えば、基材フィルム上に接着層、色材層、中間層、滑性層が順次形成された昇華転写シートなども本発明に含まれるものである。更に、このような昇華転写シートの裏面に、サーマルヘッドの熱による悪影響を防止するために耐熱層、滑性層等を設けてもよい。本発明の転写シートは、印字用ラベルシートとして単層で少なくとも2色以上の発現シートとして使用される。
本発明において、融点は、JIS K0064に準じる光透過方式にて測定した。
また、酸価は、JIS K2501-2003石油製品及び潤滑油・中和価試験方法に基づいて測定した。
さらに、ガラス転移温度(Tg)は、熱重量測定と示差熱分析とを組み合わせた、示差熱−熱重量同時測定(TG-DTA)にて測定した。
基材フィルムとして裏面に滑性耐熱層を有するPETフィルム(厚さ:4.5μm)に黄色染料−1(キノフタロン系 C.I.Solvent Yellow 33 融点243℃)1.0重量部、赤色染料−1(アントラキノン系 C.I.Solvent Red 207 融点228℃)1.0重量部、活性剤10.0重量部(花王株式会社 デモールEP)、アクリル樹脂−1(岐阜セラック製 アクリス53D 酸価262mgKOH/g Tg 64 ℃ 固形分40%)30.0重量部、イソプロピルアルコール26.0重量部、水32.0重量部からなる塗液をサンドミルで分散し、その塗液をグラビア印刷し、乾燥させ、厚さ1.0μmの色材層を形成し、昇華転写シート(実施例1)を得た。
表1、2の配合(重量部)にて、実施例1と同様の方法で、色材層を形成するインキ組成物を作成し昇華転写シートを得た。尚、実施例2〜5、比較例1〜4に用いたその他の原料としては
アクリル樹脂―2:BASF製 ジョンクリル537 酸価40mgKOH/g Tg49℃ 固形分46%
アクリル樹脂―3:BASF製 PDX−7111B 酸価3mgKOH/g Tg19℃ 固形分55%
アクリル樹脂―4:BASF製 ジョンクリル775 酸価55mgKOH/g Tg37℃ 固形分45%
アクリル樹脂―5:BASF製 ジョンクリル62 酸価200mgKOH/g Tg85℃ 固形分34%
ウレタン樹脂:DSM NeoResins製 NeoRezR−985固形分35%
カゼイン樹脂:BASF製 ルロンバインダーUD 固形分20.5%
赤色染料―2:アントラキノン系 C.I.DispersRed22 融点138℃
藍色染料―1:アントラキノン系 C.I.SolventBlue 87 融点 243℃
藍色染料―2:アントラキノン系 C.I.SolventBlue 78 融点 208℃
(1)転写記録試験
前記実施例及び比較例の昇華転写シート(実施例1〜9)〜(比較例1〜4)を被転写材とを対向させて重ね合わせる。本記録試験は、被転写材としてナイロン布を使用し、昇華転写用ナオプリンターにて、圧力10〜20kPa、低エネルギー(150℃―50秒)、高エネルギー(210℃―50秒)にて転写し被転写材の色相、濃度の評価を行なった。色相は目視にて判別し、濃度はマクベスの反射濃度計にて測定した。
転写後の色相は、L*a*b*表色系にて黄色a値−10〜10 b値30以上、黄赤色a値30以上 b値30〜60 赤色a値30以上 b値−20〜20 紫色a値15以上b値−20以下 藍色a値−20〜20 b値−30以下 緑色a値−30以下 b値−30〜30であることが必要である。反射濃度は実用上、0.2以上であることが必要である。また、転写後においては何れの温度条件でも転写されることが必要である。
保存安定性については、色材層を形成した転写シートを40℃雰囲気に保管し1週間後、上記同様の方法にて転写を行い、被転写材50cm2の中に凝集0.1mm以上の析出が5個未満の場合を良好(◎)、析出が5個以上10個未満発生した場合を僅かに劣る(○)、析出が10個以上20個未満発生した場合を劣る(△)、析出が20個以上発生した場合を不良(×)と判定した。実用レベルは△以上である。
以上、評価結果を表1、2に示す。
Claims (3)
- 基材フィルム上に色材層を形成してなる昇華転写シートであって、
該色材層が、色相の異なる少なくとも2種の染料およびアクリル樹脂
を含み、かつ、
アクリル樹脂が、カルボキシル基
を有しており、さらに、
染料総量の固形分重量をaおよびアクリル樹脂の固形分重量をb
とした場合に、
固形分重量比(a/b)が、a/b=0.1〜0.8
であることを特徴とする昇華転写シート。 - 前記色相の異なる少なくとも2種類の染料が、下記の黄色染料、赤色染料および藍色染料から選ばれるいずれか2種類の染料であることを特徴とする請求項1記載の昇華転写シート。
黄色染料が、融点170〜300℃であり、キノフタロン系またはジシアノメチン系染
料である。
赤色染料が、融点120〜300℃であり、アントラキノン系染料である。
藍色染料が、融点140〜300℃であり、アントラキノン系染料である。 - 前記アクリル樹脂が、酸価50〜300mgKOH/gおよびガラス転移点20〜
90℃であることを特徴とする請求項1または2記載の昇華転写シート。
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