JP5929005B2 - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基材と、該基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する熱転写受像シートおよびその製造方法に関する。
従来、種々の印字方法が知られているが、その中でも熱拡散型転写方式(昇華型熱転写方式)は、昇華性染料を色材としているため、濃度階調を自由に調節でき、中間色や階調の再現性にも優れ、銀塩写真に匹敵する高品質の画像を形成することができる。
この熱拡散型転写方式とは、色素(昇華性染料)を含有する熱転写インクシートと熱転写受像シートとを重ね合わせ、次いで、電気信号によって発熱が制御されるサーマルヘッドによってインクシートを加熱することでインクシート中の色素を受像シートに転写して画像情報の記録を行うものである。このような熱拡散型転写方式が普及するなかで、印画速度の高速化が進んでおり、従来の熱転写インクシートと熱転写受像シートを用いて従来の熱エネルギーを印画しても十分な発色濃度を得られない等の問題が生じている。
さらに、熱拡散型転写方式では、その他の種々の問題も存在している。例えば、受像シートの白色度や色相を調節するために、原紙を調色する方法が検討されてきたが、塗布面にムラが生じる等の問題が存在した。そこで、受像シートの基材と受容層との間に中間層(調色層)を設けることが検討されてきた。例えば、白色顔料と、その他の顔料や添加剤とを含む有機溶剤系の塗布液を用いて、中間層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。しかし、近年では環境配慮や安全性の観点から、水系の塗布液を用いて受像シートの各層を形成することが望まれている。
したがって、水系塗布液を用いた製造方法により、所望の色度を達成でき、面質等の性能に優れた熱転写受像シートを開発することが切望されている。
特開平6−115260号公報 特開平10−244767号公報
本発明者らは、上記の背景技術を検討した結果、新たに、熱転写受像シートの中間層(調色層)や受容層を形成するために、水系塗布液を用いて同時重層塗布を行うと、中間層用塗布液に含まれる色材が他の層に拡散してしまい、調色の精度が低下するという問題を知見した。また、このような色材の他の層への拡散により、受像シートから得られた印画物の耐光性が低下するという問題も知見した。本発明は上記の背景技術およびこれらの新たに知見した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の色度を達成でき、面質および耐光性等の各性能に優れた熱転写受像シートを提供することにある。特に、水系分散塗布液を用いて形成した中間層の性能を改善することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、基材上に、中間層と、受容層とを有する熱転写受像シートの製造方法において、特定の水系分散塗布液を用いて、中間層を形成することにより上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、
染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程
を含む、熱転写受像シートの製造方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、
基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートであって、
前記中間層が、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて形成される、熱転写受像シートが提供される。
本発明の熱転写受像シートの製造方法によれば、所望の色度を達成でき、面質および耐光性等の各性能に優れた熱転写受像シートを提供することができる。特に、水系分散塗布液を用いて形成した中間層の性能を改善できる。
本発明による熱転写受像シートの一例を示す模式断面図である。 本発明による熱転写受像シートの一例を示す模式断面図である。
熱転写受像シート
本発明の熱転写受像シートは、基材と、該基材上に、少なくとも中間層と、受容層とをこの順に有するものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは、基材上に、断熱層、プライマー層、およびその他の層をさらに有してもよい。
本発明の一態様によれば、基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有してなる熱転写受像シートが提供される。具体的に、本発明による熱転写受像シートの一例の模式断面図を図1に示す。図1に示される熱転写受像シート10は、基材11と、該基材11上に、中間層12と、受容層13とをこの順に有してなるものである。
本発明の他の態様によれば、基材上に、中間層と、断熱層と、受容層とをこの順に有してなる熱転写受像シートが提供される。具体的に、本発明による熱転写受像シートの一例の模式断面図を図2に示す。図2に示される熱転写受像シート20は、基材21と、該基材21上に、中間層22と、断熱層24と、受容層23とをこの順に有してなるものである。
基材
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
このような基材の材料としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用でき、特に限定されない。また、上記基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙或いはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。本発明においては、市販の基材を用いることもでき、例えば、RCペーパー(三菱製紙(株)製)等が好ましい。なお、基材の厚みは、熱転写受像シートに要求される強度や耐熱性等や、基材として採用した素材の材質に応じて、適宜変更可能であり、具体的に、基材の厚みは、50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、100μm〜300μmの範囲内であることがより好ましい。
中間層
本発明における中間層は、基材と受容層との間に設けられるものであり、基材シートの隠蔽化と受像シート表面の着色化を果たすものであり、調色層としての機能を発揮するものである。また、本発明における中間層は、下記の水系分散塗布液により形成されるものである。
水系分散塗布液
本発明において中間層の形成に用いる水系分散塗布液は、染料を含んでなる溶剤系溶液が水中に分散(乳化)したものであり、分散剤を含むことが好ましい。また、下記の添加剤をさらに含んでもよい。このような水系分散塗布液は、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させて調製することができる。例えば、分散剤および水溶性ポリマーを含む水系溶液と、高沸点溶媒および染料を含む溶剤系溶液とを混合し、ホモジナイザーなどに分散させることで、分散体を調製することができる。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で脱溶剤し、脱溶剤分の体積変化を純水の追添加により補正し、固形分を調製することで、水系分散塗布液が得られる。
なお、本発明において、「水系溶液」とは、水を媒体とする溶液であり、「溶剤系溶液」とは、有機溶媒を媒体とする溶液である。溶剤系溶液の調製に用いる有機溶媒としては、染料を溶解させるものであれば良く、酢酸エチル、トルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶媒、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。このような有機溶媒を用いることで、分散性を上げ、また水との適度な分散状態を維持する事ができる。これによって受容層用の水系分散塗布液を得ることができる。本発明においては、分散後、または分散と同時に、加熱および/または減圧などの手段によって有機溶剤を除去する工程を入れても良い。
染料
本発明の好ましい態様によれば、上記の染料としては、キノン系、アゾ系、トリアリールメタン系、シアニン系、フタロシアニン系、およびインジゴ系からなる群から選択される少なくとも1種の染料が挙げられる。このような染料を用いることで、地色の調整を行うことができる。
分散剤
本発明の好ましい態様によれば、上記の分散剤は、アニオン系界面活性剤であることが好ましい。特に、分散性を向上するため、スルホン酸型アニオン界面活性剤を用いることがさらに好ましい。アニオン系界面活性剤としては、アルキルナフタレンスルホン酸Na、コハク酸ジオクチルスルホン酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、およびフェノールスルホン酸等が挙げられる。
水溶性ポリマー
本発明の好ましい態様によれば、上記の水溶性ポリマー(バインダー樹脂)としては、下記の親水性バインダーを用いることができる。本発明においては、上記の水溶性ポリマーとしては、ゼラチンが好ましく、アルカリ処理ゼラチンが特に好ましい。このような水溶性ポリマーを用いることで、分散安定性を向上させることができる。
添加剤
本発明の好ましい態様によれば、添加剤としては、紫外線吸収剤や蛍光増白剤が挙げられる。このような添加剤を用いることで、紫外線吸収剤により耐光性を向上させたり、蛍光増白剤により樹脂の黄味を解消して白色度を向上させたりすることができる。
受容層
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、バインダー樹脂を含むものであり、アニオン系界面活性剤、親水性バインダー、離型剤、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。
本発明においては、受容層は2層以上からなるものであってもよい。受容層が2層以上からなる場合、受容層の最上層には、親水性バインダーが含まれてもよいが、少なければ少ない程良く、実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、受容層の性質を改質するために、意図的に親水性バインダー(ゼラチン等)を添加していないことを意味するものである。例えば、親水性バインダーの含有量は、バインダー樹脂の固形分質量に対して、1質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。受容層の最上層に含まれる親水性バインダーの量を上記程度まで低減することで、印画時の画像濃度を改善することができる。また、受容層の乾燥時の膜厚は0.5〜5.0μmであることが好ましい。乾燥時の膜厚がこの範囲内であれば、塗工適性をさらに向上することができる。
バインダー樹脂
受容層の形成に用いるバインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいものは、塩酢ビ系樹脂である。本発明においては、市販のバインダー樹脂を用いることもでき、例えば、VB603(塩酢ビ系樹脂)VB985(塩ビ系樹脂)、VB900(塩ビアクリル系樹脂)、およびソルバインC(水分散液、塩酢ビ系樹脂)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤
本発明の好ましい態様によれば、アニオン系界面活性剤は、有機の強酸と無機の強塩基との塩からなるアニオン系界面活性剤がさらに好ましい。例えば、アルキルナフタレンスルホン酸Na、コハク酸ジオクチルスルホン酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、オレイン酸イソブチルエステル硫酸ナトリウム塩、オレイン酸硫酸化ナトリウム塩、天然アルコールエーテルサルフェートNa塩、ラウリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸カリウム塩、およびフェノールスルホン酸等が挙げられる。
離型剤
本発明における受容層に含まれる離型剤としては、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)、リン酸エステル系可塑剤、およびフッ素系化合物を挙げることができ、特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を用いることで、印画時に熱転写インクシートと熱転写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、ジメチルシリコーンもしくはポリエーテル変性シリコーン型の離型剤を用いることが特に好ましい。これらの離型剤を2種以上用いてもよく、その他の離型剤と併用しても良い。本発明においては、市販の離型剤を用いることもでき、例えば、KF615AおよびKF352A(信越化学工業(株)製)、ならびにFZ2101およびSF8410(東レダウコーニング(株)製)等が好ましい。
断熱層
本発明における断熱層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。本発明における断熱層は、中空粒子を含むものであり、上記の架橋剤、上記の親水性バインダー、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。また、好ましい態様によれば、断熱層は2層以上からなるものであってもよい。このように断熱層を2層以上設けることで、印画品質に影響する断熱性およびクッション性と、基材への密着性とを改善することができる。ここで、断熱層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、断熱層のクッション性の程度についても、例えば、断熱層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。断熱層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、断熱層の密度は、例えば0.1g/cm〜0.8g/cmの範囲内、なかでも0.2g/cm〜0.7g/cmの範囲内であることが好ましい。
中空粒子
本発明で用いる中空粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の体積平均粒径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)等が好ましい。
プライマー層
本発明おけるプライマー層とは、断熱層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の断熱層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、上記の中空粒子、上記の親水性バインダー、およびバインダー樹脂を含むものであり、バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明において、アクリル系樹脂とは、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーの重合体もしくはその誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸のモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体、およびアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を含むものである。
本発明の好ましい態様によれば、アクリル系樹脂は、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーと他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体であるのが好ましい。アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのモノマーとしては、例えば、アルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート等、好ましくは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、およびラウリルメタクリレート等を挙げることができる。他のモノマーとしては、例えば、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、アミド基含有化合物、および塩化ビニル等、好ましくは、スチレン、ベンジルスチレン、フェノキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、およびメタクリルアミド等を挙げることができる。本発明においては、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートと、芳香族炭化水素、アリール基含有化合物、およびアミド基含有化合物からなる群から選択される少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体もしくはその誘導体を用いることが特に好ましい。上記のようなモノマーを共重合させることで、濃度および離型性を向上させることができる。なお、2種以上のアクリル系樹脂を混合して用いてもよい。
離型層
本発明においては、上記の離型剤を受容層に添加せず、受容層上に別途、離型層として設けても良い。
他の層
本発明においては、中間層(調色層)、断熱層、プライマー層、受容層、および離型層以外に他の層を設けてもよい。他の層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。他の層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、他の層に、導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
親水性バインダー
本発明の好ましい態様によれば、中間層(調色層)、断熱層、プライマー層、受容層、および離型層等の形成に用いる水性溶液には、親水性バインダーを用いることができる。親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、基材上に設けた各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
熱転写受像シートの製造方法
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程を含むものである。水系分散塗布液の詳細については、上記で説明したとおりである。このような水系分散塗布液を用いて、基材上に中間層(調色層)を形成することで、染料を含む溶剤系溶液(油滴)を単一の層中に留め、受容層等の他の層への染料の拡散を防止できる。その結果、調色の精度を向上させることができる。好ましい態様によれば、中間層および受容層を、より好ましくは基材上に形成する全ての層を、水系塗布および同時重層塗布方式により形成するのがよい。このような製造方法により、熱転写受像シートの各層の層間接着性の向上やコスト改善等の効果が得られる。このように同時重層塗布を行う場合には、各層を形成する塗工液に界面活性剤を添加して、表面張力を調整することもできる。界面活性剤としては、例えば、サーノフィール440(日信化学工業(株)製)、コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P)が挙げられる。
他の態様によれば、中間層や受容層を形成する工程以外に、断熱層やプライマー層を形成する工程をさらに含んでなることが好ましい。断熱層やプライマー層も、水系塗布液を用いて形成することが好ましい。
熱転写受像シートの各層の塗布には、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ダイコート、スライドコート、およびカーテンコート等の公知の方法を用いることができ、スライドコートやカーテンコート等の複数の層を同時重層塗布できる方法が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材上に中間層と受容層を水系塗布により形成した後に、セット工程や乾燥工程をさらに経るものであってもよい。本発明でいうセット工程とは、例えば、冷風等を支持体上の塗膜面に吹き付けて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間及び各層内の物質流動性を鈍化させるゲル化促進の工程をいう。冷風を用いる場合の温度条件としては、25℃以下が好ましく、10℃以下であることがより好ましい。また、塗膜が冷風に晒される時間は、塗布搬送速度にもよるが、10秒以上120秒以下であることが好ましい。
熱転写インクシート
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられており、基材シートの他方の面に耐熱滑性層が設けられている層構成を有するものがよい。以下、熱転写インクシートを構成する各層について説明する。
基材シート
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材シートの厚さは、強度、耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は0.5〜50μm程度が好ましく、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
基材シートは、隣接する層との接着性を向上させるため、表面処理が施されていてもよい。上記表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、およびグラフト化処理等の、公知の樹脂表面改質技術を適用することができる。上記表面処理は、1種のみ施されてもよいし、2種以上施されてもよい。
さらに、上記基材シートの接着処理として、基材シート上に接着層を塗工して形成することも可能である。接着層は、例えば、以下の有機材料および無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドンおよびその変性体等のビニル系樹脂、ならびにポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、および酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
また、上記の表面処理として、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる(プライマー処理)。
熱転写性色材層
本発明に用いられる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられている。熱転写インクシートが昇華型熱転写インクシートの場合には、熱転写性色材層として昇華性染料を含有する層を形成し、熱溶融型熱転写インクシートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層を形成する。なお、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域と、を連続した1枚の基材シート上に面順次に設けてもよい。
熱転写性色材層の材料は、従来公知の染料を使用することができるが、印画材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。例えば、赤色染料としては、MS Red G(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)等が、黄色染料としては、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)等が、青色染料としては、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)等が挙げられる。
上記染料を担持するためのバインダー樹脂としては、例えば、エチルセルロース樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、エチルヒドロキシセルロース樹脂、メチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルアミド等のアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、セルロース系、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の樹脂が耐熱性、染料の移行性等の点から好ましい。
熱転写性色材層の形成方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。上記染料およびバインダー樹脂に、必要に応じて離型剤等の添加剤を加え、トルエン、メチルエチルケトン等の適当な有機溶剤に溶解させ、あるいは、水に分散させ、得られた熱転写性色材層用塗布液(溶解液または分散液)を、例えば、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法、ロールコーター、バーコーター等の形成手段により、基材シートの一方の面に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。熱転写性色材層は、厚みが0.2〜5.0μm程度であり、また、熱転写性色材層中の昇華性染料の含有量は、5〜90重量%、好ましくは5〜70重量%であることが好ましい。
保護層
本発明に用いられる熱転写インクシートは、熱転写性色材層と同一面側に面順次で保護層を設けてもよい。熱転写受像シートに色材を転写した後、この保護層を転写して画像を被覆することにより、画像を光、ガス、液体、擦過等から保護することができる。保護層として接着層、剥離層、離型層、または、下引き層等のその他の層を設けてなるものであってもよい。
耐熱滑性層
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
耐熱滑性層は、上記耐熱性樹脂に加え、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粉末、無機粉末等の添加剤を配合してなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、一般に、上述の耐熱性樹脂、並びに、所望により添加する上記滑り性付与剤および添加剤を溶剤中に加えて、各成分を溶解または分散させて耐熱滑性層塗布液を調製した後、該耐熱滑性層塗布液を基材の上に塗工し、乾燥させて形成することができる。上記耐熱滑性層塗布液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
耐熱滑性層塗布液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。耐熱滑性層塗布液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m、より好ましくは1.5g/m以下となるよう塗布すればよい。
画像形成方法
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
このような画像形成方法で用いることのできる熱転写記録装置としては、公知のものを用いることができ、特に限定されない。本発明においては、市販の熱転写記録装置を用いることができ、例えば、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)が挙げられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。なお、表記の質量部は固形分で記載し、純水を用いて希釈して、各塗布液の全固形分が5〜30%となるように調整した。
実施例1
1.中間層用塗布液の調製
まず、下記の組成となるように、溶剤系溶液1および水系溶液1を調製した。この溶剤系溶液1と水系溶液1とを、混合・攪拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、染料を含む溶剤系溶液を水溶液中に乳化させ、染料を含む分散体を調製した。その後、有機溶媒を除去して、水系分散塗布液を調製した。調製した水系分散塗布液の固形分量は、10%であった。この水系分散塗布液を中間層塗布液1として用いた。
溶剤系溶液1の組成
・分散染料(DISPERSE RED 60) 0.05質量部
・分散染料(DISPERSE VIOLET 26) 0.10質量部
・分散染料(DISPERSE BLUE 354) 0.05質量部
・紫外線吸収剤(BASF(株)製、商品名:TINUVIN171) 19.6質量部
・酢酸エチル 52.7質量部
水系溶液1の組成
・アルカリ処理ゼラチン 48.4質量部
・10%アニオン系界面活性剤(商品名:ペレックスNBL、花王(株)製)
8.6質量部
・純水 357.9質量部
2.熱転写受像シートの作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、上記の中間層用塗布液1および下記の受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ1μm、3μmとなるように塗布した。塗布後、5℃にて30秒間冷却した後、40℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:基材/中間層/受容層)を得た。この熱転写受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
受容層用塗布液1
・塩酢ビニル樹脂(日信化学工業(株)製、商品名:VB603) 100質量部
・シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF−615A) 15質量部
・アニオン系界面活性剤(コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P) 1質量部
実施例2
まず、下記の組成となるように、溶剤系溶液2および水系溶液2を調製した。この溶剤系溶液2および水系溶液2を、実施例1と同様に調整して、水系分散塗布液を調製した。この水系分散塗布液を中間層塗布液2として用いた以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート2を作製した。
溶剤系溶液2の組成
・分散染料(DISPERSE RED 60) 0.05質量部
・分散染料(DISPERSE VIOLET 26) 0.10質量部
・分散染料(DISPERSE BLUE 354) 0.05質量部
・酢酸エチル 52.7質量部
水系溶液2の組成
・アルカリ処理ゼラチン 48.4質量部
・10%アニオン系界面活性剤(花王(株)製、商品名:ペレックスNBL)
8.6質量部
・純水 357.9質量部
実施例3
熱転写受像シート3の作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、上記組成の中間層用塗布液1、下記組成の断熱層用塗布液1、および上記組成の受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ1μm、10μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、40℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート3(層構成:基材/中間層/断熱層/受容層)を得た。この熱転写受像シートは、図2に示されるような層構成を有していた。
断熱層用塗布液1の組成
・アクリル系中空粒子(体積平均粒径1.0μm、ロームアンドハース(株)製、商品名:HP−91) 70質量部
・アルカリ処理ゼラチン 30質量部
・アニオン系界面活性剤(コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P) 0.1質量部
比較例1
中間層用塗布液の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート4を作製した。
中間層用塗布液3の組成
・塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋化成(株)製、商品名:ハードレン15LPB)
100質量部
・酸化チタン(トーケムプロダクツ(株)製、商品名:TCR−10) 100質量部
・トルエン 100質量部
なお、中間層用塗布液3は、上記の塩素化ポリプロピレン樹脂と酸化チタンをトルエンに分散・溶解させた、溶剤系塗布液である。
比較例2
中間層用塗布液の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート5を作製した。
中間層用塗布液4の組成
・C.I.ベイシックレッド 11 0.05質量部
・C.I.ベイシックバイオレット 1 0.05質量部
・C.I.ベイシックブルー 9 0.05質量部
なお、中間層用塗布液4は、上記の水溶性染料を純水に溶解させた、水系塗布液である。
熱転写受像シートの評価
上記で作製した中間層用塗布液1〜4および熱転写受像シート1〜5について、(1)安定性評価、(2)面質評価、(3)耐光性評価、および(4)調色性評価を行った。
(1)安定性評価
下記の条件で一定期間保存後の中間層用塗布液(水系分散塗布液)の(静置)安定性を、目視外観にて評価した。
(i)安定性評価の条件
・保存期間:24時間
・保存温度:37℃
・保存状態:オーブン内(暗所)で静置。
(ii)安定性評価の基準
○:塗布液の沈降・液分離が生じなかった。
×:塗布液の沈降・液分離が生じた。
(2)面質評価
上記で作製した熱転写受像シートを目視観察することにより、下記の基準で判断した。
評価基準
・○:塗布面質にムラが全く認められなかった。
・×:一見して印画ムラが認められた。
(3)耐光性評価
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画した。得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性(7色ΔE)の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス(株)製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA
外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m2)−420(nm)での積算値
(ii)耐光性評価の方法
次に、上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を、光学濃度計(グレタグマクベス(株)製spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、L、a,bを算出し、下記の色相変化式により色相変化(ΔE)を算出した。なお、7色ΔEは、各色(Yellow、Magenta、Cyan、Red、Green、Blue、Black)のΔEの合計値であり、数値が小さいほど耐光性が高いことを示すものである。
・分光測定器
測定器名:Gretag Macbeth(株)製SpectroLino
光源:D65
視野角:2°
濃度測定用フィルター:ANSI Status A
・L、a、bの説明
CIE1976L表色系に基づくものであり、Lは明度を、a及びbは、知覚色度指数を表す。
・色相変化式
Δa=保存後のa−保存前のa
Δb=保存後のb−保存前のb
としたとき、
ΔE=(Δaの2乗+Δbの2乗)の平方根
評価基準
・◎: ΔE≦3
・○: 3<ΔE≦5
・×: 5<ΔE
(4)調色性(白色度)評価
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、白ベタ画像を印画した。得られた印画物について、白色度計にて、L、a、b値を測定し、目視評価を行った。
評価基準
・○:見た目黄色味がかっておらず、白かった。
・×:見た目が黄色かった。
上記の各評価の結果を表1に示す。本発明の製造方法により製造された実施例1〜3の熱転写受像シートは、比較例1および2の熱転写受像シートと比較して、各性能を改善できたことがわかる。
Figure 0005929005
10 熱転写受像シート
11 基材
12 中間層
13 受容層
20 熱転写受像シート
21 基材
22 中間層
23 受容層
24 断熱層

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、
    染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程
    を含む、熱転写受像シートの製造方法。
  2. 前記染料が、キノン系、アゾ系、トリアリールメタン系、シアニン系、フタロシアニン系、およびインジゴ系からなる群から選択される少なくとも1種の染料である、請求項1に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  3. 前記水系溶液が、分散剤を含んでなる、請求項1または2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  4. 前記分散剤が、アニオン系界面活性剤である、請求項3に記載の熱転写受像シートの製造方法。
  5. 前記基材上に形成する全ての層を同時重層塗布により形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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