JP5929005B2 - 熱転写受像シートの製造方法 - Google Patents
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Description
基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、
染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程
を含む、熱転写受像シートの製造方法が提供される。
基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートであって、
前記中間層が、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて形成される、熱転写受像シートが提供される。
本発明の熱転写受像シートは、基材と、該基材上に、少なくとも中間層と、受容層とをこの順に有するものである。好ましい態様では、熱転写受像シートは、基材上に、断熱層、プライマー層、およびその他の層をさらに有してもよい。
本発明における基材は、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、過熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。
本発明における中間層は、基材と受容層との間に設けられるものであり、基材シートの隠蔽化と受像シート表面の着色化を果たすものであり、調色層としての機能を発揮するものである。また、本発明における中間層は、下記の水系分散塗布液により形成されるものである。
本発明において中間層の形成に用いる水系分散塗布液は、染料を含んでなる溶剤系溶液が水中に分散(乳化)したものであり、分散剤を含むことが好ましい。また、下記の添加剤をさらに含んでもよい。このような水系分散塗布液は、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させて調製することができる。例えば、分散剤および水溶性ポリマーを含む水系溶液と、高沸点溶媒および染料を含む溶剤系溶液とを混合し、ホモジナイザーなどに分散させることで、分散体を調製することができる。その後、分散体を30〜60℃に加温しながら減圧下で脱溶剤し、脱溶剤分の体積変化を純水の追添加により補正し、固形分を調製することで、水系分散塗布液が得られる。
本発明の好ましい態様によれば、上記の染料としては、キノン系、アゾ系、トリアリールメタン系、シアニン系、フタロシアニン系、およびインジゴ系からなる群から選択される少なくとも1種の染料が挙げられる。このような染料を用いることで、地色の調整を行うことができる。
本発明の好ましい態様によれば、上記の分散剤は、アニオン系界面活性剤であることが好ましい。特に、分散性を向上するため、スルホン酸型アニオン界面活性剤を用いることがさらに好ましい。アニオン系界面活性剤としては、アルキルナフタレンスルホン酸Na、コハク酸ジオクチルスルホン酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、およびフェノールスルホン酸等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、上記の水溶性ポリマー(バインダー樹脂)としては、下記の親水性バインダーを用いることができる。本発明においては、上記の水溶性ポリマーとしては、ゼラチンが好ましく、アルカリ処理ゼラチンが特に好ましい。このような水溶性ポリマーを用いることで、分散安定性を向上させることができる。
本発明の好ましい態様によれば、添加剤としては、紫外線吸収剤や蛍光増白剤が挙げられる。このような添加剤を用いることで、紫外線吸収剤により耐光性を向上させたり、蛍光増白剤により樹脂の黄味を解消して白色度を向上させたりすることができる。
本発明における受容層は、熱転写による画像形成時に熱転写インクシートから転写される昇華性染料を受容するとともに、受容した昇華性染料を受容層に保持することで、受容層の面に画像を形成かつ維持することができる。本発明においては、受容層は、バインダー樹脂を含むものであり、アニオン系界面活性剤、親水性バインダー、離型剤、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。
受容層の形成に用いるバインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩ビアクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、特に好ましいものは、塩酢ビ系樹脂である。本発明においては、市販のバインダー樹脂を用いることもでき、例えば、VB603(塩酢ビ系樹脂)VB985(塩ビ系樹脂)、VB900(塩ビアクリル系樹脂)、およびソルバインC(水分散液、塩酢ビ系樹脂)(以上、日信化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、アニオン系界面活性剤は、有機の強酸と無機の強塩基との塩からなるアニオン系界面活性剤がさらに好ましい。例えば、アルキルナフタレンスルホン酸Na、コハク酸ジオクチルスルホン酸Na、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸、オレイン酸イソブチルエステル硫酸ナトリウム塩、オレイン酸硫酸化ナトリウム塩、天然アルコールエーテルサルフェートNa塩、ラウリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸カリウム塩、およびフェノールスルホン酸等が挙げられる。
本発明における受容層に含まれる離型剤としては、シリコーンオイル(反応硬化型シリコーンを含む)、リン酸エステル系可塑剤、およびフッ素系化合物を挙げることができ、特にシリコーンオイルが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーン等の各種の変性シリコーンを用いることができる。具体的には、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン、アミド変性シリコーン等を用い、各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。また、2種以上の離型剤を混合して用いてもよい。このような離型剤を用いることで、印画時に熱転写インクシートと熱転写受像シートの受容層との融着および印画感度低下などの問題を改善することができる。本発明においては、ジメチルシリコーンもしくはポリエーテル変性シリコーン型の離型剤を用いることが特に好ましい。これらの離型剤を2種以上用いてもよく、その他の離型剤と併用しても良い。本発明においては、市販の離型剤を用いることもでき、例えば、KF615AおよびKF352A(信越化学工業(株)製)、ならびにFZ2101およびSF8410(東レダウコーニング(株)製)等が好ましい。
本発明における断熱層は、熱転写による画像形成時に加えられた熱が、基材等への伝熱によって損失されることを防止できる断熱性やクッション性を有するものである。本発明における断熱層は、中空粒子を含むものであり、上記の架橋剤、上記の親水性バインダー、およびその他の添加剤をさらに含んでもよい。断熱層は、中空粒子を含むことにより、クッション性を備えることができる。また、好ましい態様によれば、断熱層は2層以上からなるものであってもよい。このように断熱層を2層以上設けることで、印画品質に影響する断熱性およびクッション性と、基材への密着性とを改善することができる。ここで、断熱層のクッション性の程度は、熱転写受像シートの用途等に応じて適宜調整することができるものである。なお、断熱層のクッション性の程度についても、例えば、断熱層の厚みを変更することにより任意の範囲に調整することができる。断熱層の厚みは、断熱性、クッション性等を所望の程度に調整できる範囲内であれば特に限定されるものではないが、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、5μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。また、断熱層の密度は、例えば0.1g/cm3〜0.8g/cm3の範囲内、なかでも0.2g/cm3〜0.7g/cm3の範囲内であることが好ましい。
本発明で用いる中空粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μmである。中空粒子の体積平均粒径が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。また、中空粒子の平均中空率は、好ましくは20%以上、より好ましくは30〜80%である。中空粒子の平均中空率が、上記範囲程度であれば、断熱性およびクッション性を断熱層に与えることができる。さらに、樹脂等から構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラス等から構成される無機系中空粒子であってもよい。また、上記中空粒子は、架橋中空粒子であってもよい。本発明においては、市販の中空粒子を用いることもでき、例えば、HP−1055、HP−91、およびローペイクSE(ロームアンドハース(株)製)、ならびにMH−5055(日本ゼオン)等が好ましい。
本発明おけるプライマー層とは、断熱層と受容層とを良好に接着する役割を有するとともに、高温高湿度環境下における、染料の断熱層側への移行を防止して画像保存性を向上させる機能を有するものである。好ましい態様では、プライマー層は、上記の中空粒子、上記の親水性バインダー、およびバインダー樹脂を含むものであり、バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂を含むものが好ましい。プライマー層の厚みとしては特に限定されるものではないが、例えば1μm〜40μmであることが好ましく、1μm〜20μmがより好ましく、1μm〜10μmがさらに好ましい。
本発明においては、上記の離型剤を受容層に添加せず、受容層上に別途、離型層として設けても良い。
本発明においては、中間層(調色層)、断熱層、プライマー層、受容層、および離型層以外に他の層を設けてもよい。他の層を設けることで、耐溶剤、高温/高湿下での画像保存時の染料拡散バリア、基材のギラつき感/ムラの隠蔽、および帯電防止等の機能を付加するこができる。他の層の形成手段としては公知の手段を用いることができ、例えば、他の層に、導電性フィラーやポリアニリンスルホン酸のような有機導電材等を添加する方法が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、中間層(調色層)、断熱層、プライマー層、受容層、および離型層等の形成に用いる水性溶液には、親水性バインダーを用いることができる。親水性バインダーとしては、ゼラチンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオイキサイド、ポリビニルピロリドン、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、カゼイン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、ならびにアラビアゴムを挙げることができ、特にゼラチンが好ましい。このような親水性バインダーを用いることで、基材上に設けた各層の層間接着性を向上させることができる。特に、水系塗布および同時重層塗布方式により各層を形成する場合には、ゼラチンを用いることで、塗布適性の向上ができる。また、各塗布液の粘度を所望の範囲に調整し、所望の膜厚を得ることができる。本発明においては、市販のゼラチンを用いることもでき、例えば、RR、R、およびCLV(新田ゼラチン(株)製)等が好ましい。
本発明の熱転写受像シートの製造方法は、基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程を含むものである。水系分散塗布液の詳細については、上記で説明したとおりである。このような水系分散塗布液を用いて、基材上に中間層(調色層)を形成することで、染料を含む溶剤系溶液(油滴)を単一の層中に留め、受容層等の他の層への染料の拡散を防止できる。その結果、調色の精度を向上させることができる。好ましい態様によれば、中間層および受容層を、より好ましくは基材上に形成する全ての層を、水系塗布および同時重層塗布方式により形成するのがよい。このような製造方法により、熱転写受像シートの各層の層間接着性の向上やコスト改善等の効果が得られる。このように同時重層塗布を行う場合には、各層を形成する塗工液に界面活性剤を添加して、表面張力を調整することもできる。界面活性剤としては、例えば、サーノフィール440(日信化学工業(株)製)、コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P)が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートと共に用いる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられており、基材シートの他方の面に耐熱滑性層が設けられている層構成を有するものがよい。以下、熱転写インクシートを構成する各層について説明する。
本発明に用いられる熱転写インクシートを構成する基材シートの材料は、従来公知のものを使用することができ、また、それ以外のものであっても、ある程度の耐熱性と強度とを有していれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ナイロン、酢酸セルロース、アイオノマー等の樹脂フィルム、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等が挙げられる。これらを単独で使用してもよいし、これらを任意に組み合わせた積層体を使用してもよい。これらの中でも、薄膜化可能で安価な汎用性プラスチックであるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、基材シートの一方の面に熱転写性色材層が設けられている。熱転写インクシートが昇華型熱転写インクシートの場合には、熱転写性色材層として昇華性染料を含有する層を形成し、熱溶融型熱転写インクシートの場合には、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層を形成する。なお、昇華性染料を含有する層領域と、着色剤を含む熱溶融組成物からなる熱溶融性のインクを含有する層領域と、を連続した1枚の基材シート上に面順次に設けてもよい。
本発明に用いられる熱転写インクシートは、熱転写性色材層と同一面側に面順次で保護層を設けてもよい。熱転写受像シートに色材を転写した後、この保護層を転写して画像を被覆することにより、画像を光、ガス、液体、擦過等から保護することができる。保護層として接着層、剥離層、離型層、または、下引き層等のその他の層を設けてなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンまたはエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、および塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
本発明の熱転写受像シートを用いる画像形成方法においては、熱転写受像シートと、熱拡散性色素を含有する熱転写インクシートとを重ね合わせて、記録信号に応じて加熱することにより、該熱転写インクシートが含有する熱拡散性色素を、該熱転写受像シートに転写することにより画像形成することできる。
1.中間層用塗布液の調製
まず、下記の組成となるように、溶剤系溶液1および水系溶液1を調製した。この溶剤系溶液1と水系溶液1とを、混合・攪拌した後、ホモジナイザーを用いて分散を行い、染料を含む溶剤系溶液を水溶液中に乳化させ、染料を含む分散体を調製した。その後、有機溶媒を除去して、水系分散塗布液を調製した。調製した水系分散塗布液の固形分量は、10%であった。この水系分散塗布液を中間層塗布液1として用いた。
溶剤系溶液1の組成
・分散染料(DISPERSE RED 60) 0.05質量部
・分散染料(DISPERSE VIOLET 26) 0.10質量部
・分散染料(DISPERSE BLUE 354) 0.05質量部
・紫外線吸収剤(BASF(株)製、商品名:TINUVIN171) 19.6質量部
・酢酸エチル 52.7質量部
水系溶液1の組成
・アルカリ処理ゼラチン 48.4質量部
・10%アニオン系界面活性剤(商品名:ペレックスNBL、花王(株)製)
8.6質量部
・純水 357.9質量部
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、上記の中間層用塗布液1および下記の受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ1μm、3μmとなるように塗布した。塗布後、5℃にて30秒間冷却した後、40℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート1(層構成:基材/中間層/受容層)を得た。この熱転写受像シートは、図1に示されるような層構成を有していた。
受容層用塗布液1
・塩酢ビニル樹脂(日信化学工業(株)製、商品名:VB603) 100質量部
・シリコーンオイル(信越化学工業(株)製、商品名:KF−615A) 15質量部
・アニオン系界面活性剤(コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P) 1質量部
まず、下記の組成となるように、溶剤系溶液2および水系溶液2を調製した。この溶剤系溶液2および水系溶液2を、実施例1と同様に調整して、水系分散塗布液を調製した。この水系分散塗布液を中間層塗布液2として用いた以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート2を作製した。
溶剤系溶液2の組成
・分散染料(DISPERSE RED 60) 0.05質量部
・分散染料(DISPERSE VIOLET 26) 0.10質量部
・分散染料(DISPERSE BLUE 354) 0.05質量部
・酢酸エチル 52.7質量部
水系溶液2の組成
・アルカリ処理ゼラチン 48.4質量部
・10%アニオン系界面活性剤(花王(株)製、商品名:ペレックスNBL)
8.6質量部
・純水 357.9質量部
熱転写受像シート3の作製
基材としてRCペーパー(三菱製紙(株)製)を用い、上記組成の中間層用塗布液1、下記組成の断熱層用塗布液1、および上記組成の受容層用塗布液1を40℃にそれぞれ加熱し、スライドコーティングを用いて、乾燥時の厚みがそれぞれ1μm、10μm、3μmとなるように塗布し、5℃にて30秒間冷却した後、40℃にて5分間乾燥し、熱転写受像シート3(層構成:基材/中間層/断熱層/受容層)を得た。この熱転写受像シートは、図2に示されるような層構成を有していた。
・アクリル系中空粒子(体積平均粒径1.0μm、ロームアンドハース(株)製、商品名:HP−91) 70質量部
・アルカリ処理ゼラチン 30質量部
・アニオン系界面活性剤(コハク酸ジオクチルスルホン酸ナトリウム、花王(株)製、商品名:ペレックス OT−P) 0.1質量部
中間層用塗布液の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート4を作製した。
中間層用塗布液3の組成
・塩素化ポリプロピレン樹脂(東洋化成(株)製、商品名:ハードレン15LPB)
100質量部
・酸化チタン(トーケムプロダクツ(株)製、商品名:TCR−10) 100質量部
・トルエン 100質量部
なお、中間層用塗布液3は、上記の塩素化ポリプロピレン樹脂と酸化チタンをトルエンに分散・溶解させた、溶剤系塗布液である。
中間層用塗布液の組成を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様に、熱転写受像シート5を作製した。
中間層用塗布液4の組成
・C.I.ベイシックレッド 11 0.05質量部
・C.I.ベイシックバイオレット 1 0.05質量部
・C.I.ベイシックブルー 9 0.05質量部
なお、中間層用塗布液4は、上記の水溶性染料を純水に溶解させた、水系塗布液である。
上記で作製した中間層用塗布液1〜4および熱転写受像シート1〜5について、(1)安定性評価、(2)面質評価、(3)耐光性評価、および(4)調色性評価を行った。
下記の条件で一定期間保存後の中間層用塗布液(水系分散塗布液)の(静置)安定性を、目視外観にて評価した。
(i)安定性評価の条件
・保存期間:24時間
・保存温度:37℃
・保存状態:オーブン内(暗所)で静置。
(ii)安定性評価の基準
○:塗布液の沈降・液分離が生じなかった。
×:塗布液の沈降・液分離が生じた。
上記で作製した熱転写受像シートを目視観察することにより、下記の基準で判断した。
評価基準
・○:塗布面質にムラが全く認められなかった。
・×:一見して印画ムラが認められた。
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、RGB値が15×n(n=0〜17)の18階調グラデーション画像を印画した。得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性(7色ΔE)の評価を行った。
(i)耐光性評価の条件
・照射試験器:アトラス(株)製Ci4000
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=CIRA
外側=ソーダライム
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:300(kJ/m2)−420(nm)での積算値
(ii)耐光性評価の方法
次に、上記の耐光性条件の照射前後の光学反射濃度の変化を、光学濃度計(グレタグマクベス(株)製spectrolino)により測定し、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、L*、a*,b*を算出し、下記の色相変化式により色相変化(ΔE)を算出した。なお、7色ΔEは、各色(Yellow、Magenta、Cyan、Red、Green、Blue、Black)のΔEの合計値であり、数値が小さいほど耐光性が高いことを示すものである。
・分光測定器
測定器名:Gretag Macbeth(株)製SpectroLino
光源:D65
視野角:2°
濃度測定用フィルター:ANSI Status A
・L*、a*、b*の説明
CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、L*は明度を、a*及びb*は、知覚色度指数を表す。
・色相変化式
Δa=保存後のa*−保存前のa*
Δb=保存後のb*−保存前のb*
としたとき、
ΔE=(Δaの2乗+Δbの2乗)の平方根
評価基準
・◎: ΔE≦3
・○: 3<ΔE≦5
・×: 5<ΔE
上記で作製した熱転写受像シートに、昇華型熱転写プリンター(ALTECH ADS社製、型式:MEGAPIXELIII)と、インクリボン(メガピクセルIII用、アルテックエーディーエス(株)純正品)とを使用して、白ベタ画像を印画した。得られた印画物について、白色度計にて、L、a、b値を測定し、目視評価を行った。
評価基準
・○:見た目黄色味がかっておらず、白かった。
・×:見た目が黄色かった。
11 基材
12 中間層
13 受容層
20 熱転写受像シート
21 基材
22 中間層
23 受容層
24 断熱層
Claims (5)
- 基材と、前記基材上に、中間層と、受容層とをこの順に有する、熱転写受像シートの製造方法であって、
染料を含んでなる溶剤系溶液を水系溶液中に乳化させた水系分散塗布液を用いて、前記基材上に中間層を形成する工程
を含む、熱転写受像シートの製造方法。 - 前記染料が、キノン系、アゾ系、トリアリールメタン系、シアニン系、フタロシアニン系、およびインジゴ系からなる群から選択される少なくとも1種の染料である、請求項1に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記水系溶液が、分散剤を含んでなる、請求項1または2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記分散剤が、アニオン系界面活性剤である、請求項3に記載の熱転写受像シートの製造方法。
- 前記基材上に形成する全ての層を同時重層塗布により形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写受像シートの製造方法。
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