JP5776883B2 - インクジェット記録用水性顔料インク - Google Patents
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Description
[1]
インクジェット記録用水性顔料インクであって、自己分散型顔料と、4級アミノ酸と、融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料と、トリアルキルアミン及びトリアルカノールアミンのうち少なくともいずれかと、を含有し、前記融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料が、グリセリン脂肪酸エステル、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選択される一種以上であり、前記融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料は、該インクジェット記録用水性顔料インクの総質量に対し、3質量%以上15質量%以下含まれる、インクジェット記録用水性顔料インク。
[2]
前記4級アミノ酸が、トリメチルグリシンである、[1]に記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
[3]
前記自己分散型顔料の原料である顔料が、酸化チタン、無機顔料、有機顔料、金属、及び樹脂粒子からなる群より選択される一種以上である、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
[4]
アセチレングリコール系界面活性剤をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録用水性顔料インクを被記録媒体に対して吐出するインクジェットヘッドを備え、前記インクジェットヘッドは、前記被記録媒体に対して相対的に移動するものである、インクジェット記録装置。
[6]
前記インクジェットヘッドと共にキャリッジに搭載されるインクカートリッジ、又は、前記インクジェットヘッドを搭載したキャリッジと独立して搭載されるとともに、インク供給チューブによって該インクジェットヘッドと接続されたインクカートリッジをさらに備える、[5]に記載のインクジェット記録装置。
[7]
被記録媒体に対してインクジェットヘッドから[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録用水性顔料インクを吐出する吐出工程を含む、インクジェット記録方法。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録用水性顔料インクは、自己分散型顔料と、4級アミノ酸と、所定含有量である融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料(以下、「特定材料」ともいう。)と、トリアルキルアミン及びトリアルカノールアミンのうち少なくともいずれかと、を含有する。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、自己分散型顔料を含有する。この自己分散型顔料は、上記のとおり、その表面が分散性付与基(親水性官能基及びその塩のうち少なくともいずれか)の結合により改質されたものである。このような表面改質により、自己分散型顔料は分散剤を使用しなくとも水性溶媒中で安定的に分散することができる。
上記の金属として、硫酸バリウム及び炭酸カルシウム等の白色顔料、並びに銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、及び銅などのメタリック顔料が挙げられる。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、4級アミノ酸を含有する。この4級アミノ酸は、4つの置換又は無置換のアルキル基を有する4級アンモニウムイオンをアミノ基として有するアミノ酸を意味する。なお、4級アミノ酸は、イオン性、及び非ポリマー性という性質を有する。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料(特定材料)を含有する。なお、当該材料は水溶性のものであると好ましい。
また、融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料は、4級アミノ酸における疎水基(例えば、トリメチルグリシンにおけるトリメチル基)の近傍において、室温で液体の物質よりも強固な層を形成し、顔料の分散安定性を良好なものとする。さらに、この特定材料の含有量は、強固なカプセルが形成されつつ、吐出不良が発生しないような適切な量である必要がある。
その結果、アミンと4級アミノ酸と所定含有量の特定材料とがインクジェット記録用水性顔料インクに含有されると、自己分散型顔料がマイクロカプセル化顔料と同等の機能を有し、これにより顔料の凝集による沈降を抑制でき、自己分散型顔料の分散安定性に優れる。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、アミンとして、トリアルキルアミン及びトリアルカノールアミンのうち少なくともいずれかを含有する。
なお、トリアルキルアミン及びトリアルカノールアミンはいずれも、イオン性、及び非ポリマー性という性質を有する。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、界面活性剤を含有してもよい。この界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。インクジェット記録用水性顔料インクにアセチレングリコール系界面活性剤を含有させることで、4級アミノ酸の自己分散型顔料への吸着阻害を抑制でき、自己分散型顔料の分散安定性に優れたインクジェット記録用水性顔料インクが得られる。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクに含有される水は主溶媒である。この水として、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水が挙げられる。中でも、カビやバクテリアの発生を防止してインク組成物の長期保存が可能となるため、紫外線照射又は過酸化水素の添加などにより滅菌処理した水が好ましい。
本実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクは、上記した添加剤(成分)以外のものを含んでもよい。以下、インクジェット記録用水性顔料インクに含まれ得る添加剤を説明する。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを、被記録媒体に対して、相対的に移動させつつ、インクジェットヘッドからインクを吐出させて記録を行うものであれば、特に制限されない。したがって、プリントヘッド(インクジェットヘッド)がほぼ移動せずに記録が行われるラインプリンターであってもよく、インクジェットヘッドが被記録媒体の搬送方向と直交した方向を往復移動しながら記録が行われるシリアルプリンターであってもよい。これらのうちシリアルプリンターとしては、インクカートリッジ(インクタンク)をインクジェットヘッドと共にキャリッジに搭載するオンキャリッジタイプであってもよく、インクカートリッジをキャリッジに搭載せず別の場所に載置し、当該インクカートリッジとキャリッジ上のインクジェットヘッドとをチューブで繋ぐオフキャリッジタイプであってもよい。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記実施形態のインクジェット記録用水性顔料インクを吐出する吐出工程を含む。当該インクジェット記録方法は、図1に示すようなインクジェット記録装置を用いて、紙送りモーター4の駆動により、被記録媒体Pがプラテン3上に給送される。プラテン3の上方では、キャリッジモーター8の駆動により、キャリッジ6がガイド部材5に沿って、図1に示す矢印方向に往復移動する。
[使用材料]
〔顔料分散体〕
・CAB−O−JET300(キャボット社製商品名、固形分15%)
・BONJET BLACK CW−1(オリエント化学工業社製商品名、顔料分20%)
・NanoTek(R)Slurry(シーアイ化成社製商品名、平均粒径36nm、酸化チタンのスラリー)
〔4級アミノ酸〕
・トリメチルグリシン(無水ベタイン、東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製)
〔1級アミノ酸〕
・グリシン(東京化成工業社製)
〔融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料〕
・1,6−ヘキサンジオール(東京化成工業社製、融点42℃)
・グリセリン脂肪酸エステル(レオドールMS−50〔商品名〕、花王社(Kao Corporation)製、融点55〜60℃)
・トリメチロールプロパン(東京化成工業社製、融点58℃)
なお、表1中、融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料は、単に「融点40℃以上の材料」と略記した。
・1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業社製)
・1,5−ペンタンジオール(東京化成工業社製)
・1,3−プロパンジオール(東京化成工業社製)
・グリセリン(東京化成工業社製)
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(東京化成工業社製)(表1中「TEGmBE」と略記した。)
〔界面活性剤〕
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(東京化成工業社製)
・オルフィンE1010(エアープロダクツ社製商品名、アセチレングリコール系界面活性剤)
・サーフィノール104(日信化学工業社製商品名、アセチレングリコール系界面活性剤)
・PF−151N(OMNOVA社製商品名、フッ素系界面活性剤)
〔アミン〕
・トリエタノールアミン(東京化成工業社製)
・トリイソプロパノールアミン(東京化成工業社製)
〔pH調整剤〕
・水酸化カリウム(KOH)
〔防腐剤・防黴剤〕
・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)
・プロキセルXL−2(Avecia社製商品名、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン)
〔水〕
・イオン交換水
表1に示す含有量で各材料を混合し、室温にて2時間攪拌した後、孔径5μmのメンブランフィルターで濾過して、実施例1〜5及び比較例1〜14の各インクジェット記録用水性顔料インクを作製した。
なお、表1中に示す含有量の単位は質量%であり、顔料分散体は固形分濃度で表している。また、空欄部は無添加であることを表す。また、イオン交換水の「残量」とは、インク全量が100質量%となるようにイオン交換水を加えたことを意味する。
上記で作製したインクを、顔料濃度(質量%)が1/1000となるように純水で希釈した。その際の顔料の平均粒径を、マイクロトラックUPA150を用いて測定することで、層形成を確認した。層が形成されていれば、擬似的なマイクロカプセルが形成されているものと推測することができる。
なお、表2中、顔料の平均粒径における増大度評価を、「粒径増大度」と略記した。評価基準は以下のとおりである。結果を表2に示す。
◎:顔料の平均粒径が6nm以上大きくなっていたため、厚みの大きな層が形成されていると推測される。
△:顔料の平均粒径が2nm以上6nm未満大きくなっていたため、層が形成されていると推測される。
×:顔料の平均粒径が添加前と比較して2nm未満の範囲で大きくなっていたため、層が形成できていない。
作製したインクを、遠心分離機Himac社製DR20B2を用いて、10,000rpmで16分間遠心分離を行い、上澄み液を4,000倍に希釈して分光光度計HITACHI U−3300での吸光度の変化率を沈降率として測定した。評価基準は以下のとおりである。結果を表2に示す。
◎:沈降率15%未満、
△:沈降率15%以上25%未満、
×:沈降率25%以上。
作製したインクを、EPSON社製インクジェットプリンタPX−500のカートリッジに入れ、インクジェット吐出観察装置「Dot View」(トライテック社製)によりインクの吐出速度を観察した。評価基準は以下のとおりである。結果を表2に示す。
○:インク吐出速度 7m/s以上
×:インク吐出速度 7m/s未満
Claims (7)
- インクジェット記録用水性顔料インクであって、
自己分散型顔料と、4級アミノ酸と、融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料と、トリアルキルアミン及びトリアルカノールアミンのうち少なくともいずれかと、を含有し、
前記融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料が、グリセリン脂肪酸エステル、及び1,6−ヘキサンジオールからなる群より選択される一種以上であり、
前記融点40℃以上の非ポリマー型かつ非イオン性の材料は、該インクジェット記録用水性顔料インクの総質量に対し、3質量%以上15質量%以下含まれる、インクジェット記録用水性顔料インク。 - 前記4級アミノ酸が、トリメチルグリシンである、請求項1に記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
- 前記自己分散型顔料の原料である顔料が、酸化チタン、無機顔料、有機顔料、金属、及び樹脂粒子からなる群より選択される一種以上である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
- アセチレングリコール系界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性顔料インクを被記録媒体に対して吐出するインクジェットヘッドを備え、
前記インクジェットヘッドは、前記被記録媒体に対して相対的に移動するものである、インクジェット記録装置。 - 前記インクジェットヘッドと共にキャリッジに搭載されるインクカートリッジ、又は、前記インクジェットヘッドを搭載したキャリッジと独立して搭載されるとともに、インク供給チューブによって該インクジェットヘッドと接続されたインクカートリッジをさらに備える、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
- 被記録媒体に対してインクジェットヘッドから請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用水性顔料インクを吐出する吐出工程を含む、インクジェット記録方法。
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