JP2005350577A - 液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録用インクセット、記録ユニット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット用インク - Google Patents
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Abstract
【課題】液体組成物と着色インクとを付着させて被記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法において、良好な印字品位の画像を与え、更に、インクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成できる液体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明に係る液体組成物は、着色インクと共に使用され、該着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体とを含むことを特徴とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る液体組成物は、着色インクと共に使用され、該着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体とを含むことを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、液体組成物、インクジェット用インク、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置に関する。詳しくは、印字品位が良好で、カラー画像の形成において生じるカラーブリードを低減し、更に、熱エネルギーを利用したインクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成できる液体組成物、インクジェット用インク、インクジェット記録用インクセット、これらの何れかを用いたインクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、装置の小型化、低ランニングコスト、カラー化等が容易であり、カラー画像の形成に優位であるが、画像の高品質化がより求められる中、幾つかの課題がある。例えば、異なる2種のインクが隣接して被記録媒体に付与された場合、該インク同士がそれらの境界部で混ざり合ってしまい、カラー画像の品位が低下する現象(ブリーディング)が発生するという問題がある。ブラックインクとカラーインクの境界部での混色(ブリード)は、特に画像品位低下への影響が大きいため、様々な解決方法の開発が行われている。
例えば、特許文献1〜3に記載されているように、沈殿剤を含む第1の液と、沈殿剤によって沈殿物を生成し得る着色材(色材)を含む第2の液とを併用することで、カラーブリードを制御する技術が開示されている。そして、この沈殿剤として多価金属塩が開示され、多価金属塩によって沈殿し得る着色材として少なくとも1つのカルボキシル基を有する染料等が開示されている。又、更に第1の液は着色材を含んでも良いとされており、その場合は第1の液もインクとして使用できる。
しかしながら、本発明者等の検討によると、上記したブリードを防止するために特開平5−202328号公報に記載されているような多価金属塩を含有する溶液をバブルジェット(登録商標)方式で繰り返し吐出させると、多価金属塩を含有する溶液と接するヒータ上に、この多価金属塩由来のコゲが形成される場合があることを発見した。そして、その結果、吐出する液滴量や吐出する液滴の速度が初期と比べて減少し、それが画像品質に影響を及ぼしてしまうといった問題が生じる場合があった。
更に、ヒータの断線が生じ、多価金属塩溶液の吐出を不能にするという問題が生じる場合があることも発見した。これは、ヒータによって、多価金属塩を含むインク或は液体組成物が過熱されると、該多価金属塩を構成しているアニオンイオンが揮発してしまったり、或は壊れてしまうため、ヒータ近傍のカチオンイオン(多価金属イオン)濃度が上昇し、アルカリ性が強くなるため、タンタル等の金属及び/又は金属の酸化物から成る最表面保護膜が溶解されてしまうためであると考えられる。
そこで、本発明者等は、ブリード防止効果があり、且つ、ヒータの断線やこげを抑制しヘッドの長寿命化が可能な液体組成物、又はインクについて鋭意検討行った結果、本発明に至った。
従って、本発明の目的は、液体組成物と着色インクとを付着させて被記録媒体上に記録を行うインクジェット記録方法において、良好な印字品位の画像を与え、更に、インクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成できる液体組成物を提供することにある。
又、本発明の他の目的は、ブラックインクとカラーインクとを有するインクジェット用インクセットにおいて、良好な印字品位の画像を与え、更に、インクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成できるインクセットを提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、良好な印字品位の画像を与え、更に、インクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成できるインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット及びインクカートリッジ、インクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明に係る液体組成物は、着色インクと共に使用され、該着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体とを含むことを特徴とするものである。
本発明に係るインクジェト記録方法は、
(i)前記の液体組成物にエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、液体組成物を被記録媒体上に付与する工程;
(ii)色材と液媒体とを含み、且つ、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクにエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、着色インクを被記録媒体上に付与する工程;を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で液体組成物と着色インクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするものである。
(i)前記の液体組成物にエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、液体組成物を被記録媒体上に付与する工程;
(ii)色材と液媒体とを含み、且つ、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクにエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、着色インクを被記録媒体上に付与する工程;を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で液体組成物と着色インクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするものである。
本発明に係るインクジェト記録用インクセットは、(1)前記の液体組成物と、(2)色材と液媒体とを含み、且つ、上記液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクとを組み合わせて成ることを特徴とするものである。
本発明に係る記録ユニットは、前記の液体組成物を収容している液体組成物収容部と、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物と該着色インクにエネルギーを付与して該液体組成物と該着色インクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとを具備していることを特徴とするものである。
本発明に係るインクカートリッジは、前記液体組成物を収容している液体組成物収容部と、色材と液媒体とを含み、且つ、上記液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容しているインク収容部とを具備していることを特徴とするものである。
本発明に係るインクジェット記録装置は、液体組成物を収容している液体組成物収容部と、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容している着色インク収容部と、該液体組成物及び該着色インクにエネルギーを付与して該液体組成物と該着色インクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとが搭載されているインクジェット記録装置において、上記液体組成物が前記の液体組成物であることを特徴とするものである。
本発明に係る他の実施態様のインクジェット記録用インクセットは、(1)色材と、液媒体と、多価金属塩と、炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質とを含むカラーインクと、(2)色材と液媒体とを含み、且つ、該カラーインクとの接触によって該カラーインクと反応するブラックインクとを組み合わせて成ることを特徴とするものである。
本発明の他の実施態様に係るインクジェト記録方法は、
(i)前記インクセットに含まれるブラックインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該ブラックインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程;及び、(ii)前記インクセットに含まれるカラーインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該カラーインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で該ブラックインクと該カラーインクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするものである。
(i)前記インクセットに含まれるブラックインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該ブラックインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程;及び、(ii)前記インクセットに含まれるカラーインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該カラーインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で該ブラックインクと該カラーインクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするものである。
本発明の他の実施態様に係る記録ユニットは、前記インクセットを構成しているインクをそれぞれ収容しているインク収容部及び該インク収容部から供給されてくるインクにエネルギーを付与してインクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとを具備していることを特徴とするものである。
本発明の他の実施態様に係るインクカートリッジは、前記インクセットを構成しているインクをそれぞれ収容しているインク収容部を具備していることを特徴とするものである。
本発明の他の実施態様に係るインクジェット記録装置は、少なくともブラックインクとカラーインクとを組み合わせて成るインクセットを収容しているインク収容部と、該インク収容部から供給されてくるインクにエネルギーを付与してインクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとが搭載されているインクジェット記録装置において、上記インクセットが前記インクセットであることを特徴とするものである。
本発明の一実施態様に係るインクジェット用インクは、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体と、(d)色材とを含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、耐水性があり、印字品位が良好で、カラー画像の形成において生ずるカラーブリードを低減した画像が形成でき、更に、インクジェット記録ヘッドの長寿命化を達成することができる液体組成物、インクジェット用インク、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、記録ユニット、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置を提供することができる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
[実施の形態1]
本発明の具体的な実施形態として、着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、且つ、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体とを含むことを特徴とする液体組成物を用い、該液体組成物が、記録媒体上で、通常の記録に用いる着色インクと接触状態が形成されるように、液体組成物と着色インクとを記録媒体上に付与し、記録を行なうことが挙げられる。以下、斯かる実施の形態1について説明する。上記で使用する液体組成物は、記録画像において着色インクの色調には影響を及ぼさないものであることが好ましい。
本発明の具体的な実施形態として、着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、且つ、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体とを含むことを特徴とする液体組成物を用い、該液体組成物が、記録媒体上で、通常の記録に用いる着色インクと接触状態が形成されるように、液体組成物と着色インクとを記録媒体上に付与し、記録を行なうことが挙げられる。以下、斯かる実施の形態1について説明する。上記で使用する液体組成物は、記録画像において着色インクの色調には影響を及ぼさないものであることが好ましい。
先ず、上記の実施形態で使用する液体組成物を構成する多価金属塩(a)について述べる。
多価金属塩としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や、酢酸やヒドロキシカルボン酸等の有機酸、或は、ポリオールリン酸エステル等の、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、銅(II)塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩等が挙げられる。これらの中でも好ましいのは、液媒体に対する溶解性が高い、硝酸マグネシウム塩及びカルシウム塩、硫酸マグネシウム塩及びカルシウム塩、塩化マグネシウム塩及びカルシウム塩、酢酸マグネシウム塩及びカルシウム塩、ヒドロキシカルボン酸マグネシウム塩及びカルシウム塩及びポリオールリン酸エステルのマグネシウム塩及びカルシウム塩である。
上記ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、乳酸や、リンゴ酸、クエン酸及び酒石酸等のアルダン酸(ポリオキシジカルボン酸)類、グルコン酸等のアルドン酸類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのヒドロキシカルボン酸の中でも特に、溶解性及び安全性が優れるアルドン酸の多価金属塩を用いることが好ましい。
以下に、アルドン酸の多価金属塩について詳しく述べる。アルドン酸は、アルドースのアルデヒド基を酸化してカルボキシル基としたものに相当するポリオキシカルボン酸であり、下記一般式で表される。アルドン酸は、マグネシウムやカルシウム等の多価金属イオンと結合して可溶性の多価金属塩を作るので、本発明の液体組成物の構成材料として好適に用いることができる。
以上のように、アルドン酸は不斉炭素原子を有するので、光学異性体が多く存在する。炭素数5個以上(上記一般式のn=3以上)のアルドン酸は、単独で水溶液中に存在することは稀で、通常、アルドン酸の一部はγ位或はδ位の水酸基との間にラクトンを形成し、それぞれγ−アルドノラクトン及びδ−アルドノラクトンになり、アルドン酸、γ−アルドノラクトン及びδ−アルドノラクトン3者の平衡混合物として存在すると言われる。又、炭素数4個(前記一般式のn=2)のアルドン酸も単独で水溶液中に存在することは稀で、通常、アルドン酸の一部はγ位の水酸基との間にラクトンを形成し、それぞれγ−アルドノラクトンになり、アルドン酸及びγ−アルドノラクトンの2者の平衡混合物として存在すると言われている。
アルドン酸は炭素数で分類され、炭素数4個(前記一般式のn=2)のものはテトロン酸;炭素数5個(前記一般式のn=3)のものはペントン酸;炭素数6個(前記一般式のn=4)のものはヘキソン酸と総称されている。アルドン酸の具体例として、例えば、炭素数2個(前記一般式のn=0)のグリコール酸(別名:ヒドロキシ酢酸);炭素数3個(前記一般式のn=1)のグリセリン酸;炭素数4個(前記一般式のn=2)のエリトロン酸及びトレオン酸;炭素数5個(前記一般式のn=3)のリボン酸、アラボン酸、キシロン酸及びリキソン酸;炭素数6個(前記一般式のn=4)のグルコン酸、アロン酸、アルトロン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸及びタロン酸;炭素数7個(前記一般式のn=5)のグルコヘプトン酸等が挙げられ、それぞれに、D体、L体及びDL体が存在するものもある。
本発明に係る液体組成物の構成材料として好適なアルドン酸の中でも、特に好ましいグルコン酸(前記一般式のn=4)について述べる。グルコン酸は、食品添加物として広く使用されており、人体に安全である。グルコン酸は単独で水溶液中に存在することは稀で、通常、グルコン酸の一部は、γ位或はδ位の水酸基との間にそれぞれラクトンを形成し、それぞれγ−グルコノラクトンやδ−グルコノラクトンになり、グルコン酸、γ−グルコノラクトン及びδ−グルコノラクトンの3者の平衡混合物として存在すると言われている。
グルコン酸は、D体、L体及びDL体が存在しており、どれを使用しても良いが、一般的に、D体のD−グルコン酸が容易に入手できる。又、グルコン酸の光学異性体として、例えば、アロン酸、アルトロン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸及びタロン酸等が存在し、グルコン酸と似た性質を示すので、これらを使用しても良い。
グルコン酸は、D体、L体及びDL体が存在しており、どれを使用しても良いが、一般的に、D体のD−グルコン酸が容易に入手できる。又、グルコン酸の光学異性体として、例えば、アロン酸、アルトロン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸及びタロン酸等が存在し、グルコン酸と似た性質を示すので、これらを使用しても良い。
上記したグルコン酸の多価金属塩としては、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸バリウム、グルコン酸鉄(II)及びグルコン酸銅(II)等が挙げられるが、本発明においては、グルコン酸マグネシウムやグルコン酸カルシウムを使用することが特に好ましい。又、これら化合物は単独で使用することは勿論、2種類以上併用して使用することもできる。
次に、ポリオールリン酸エステルの多価金属塩について述べる。ポリオールリン酸エステルとしては、例えば、ポリオール、単糖、オリゴ糖及び多糖のリン酸エステル等が挙げられる。具体的には、例えば、グリセロリン酸、グルコース−1−リン酸、グルコース−6−リン酸、マンノース−6−リン酸、ガラクトース−6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、グルコース−1,6−ジリン酸、フルクトース−1,6−ジリン酸、アスコルビン酸リン酸、ショ糖リン酸、ソルビトールリン酸、リン酸化ポリグリセリン及びリン酸化ポリエチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、特に本実施形態において好ましいグリセロリン酸について述べる。グリセロリン酸には、α−グリセロリン酸及びβ−グリセロリン酸の異性体が存在するが、本発明においては、どちらの異性体を使用しても良く、異性体の混合体で使用しても良い。これらのグリセロリン酸の多価金属塩としては、例えば、グリセロリン酸マグネシウム、グリセロリン酸カルシウム、グリセロリン酸バリウム、グリセロリン酸鉄(II)及びグリセロリン酸銅(II)等が挙げられるが、特に、グリセロリン酸マグネシウムやグリセロリン酸カルシウムを使用することが好ましい。
本発明に係る液体組成物において、上記に挙げたような多価金属塩の中から少なくとも1種選択される化合物の総含有量は、より優れたブリード低減効果とヘッドの耐久性を図るためには、液体組成物全量に対して0.005〜20質量%、更には、液体組成物全量に対して0.05〜12質量%であることが好ましい。
次に、本発明に係る液体組成物を構成する(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質について説明する。
炭素数4以上の糖アルコールとしては、例えば、D−ソルビトール(別名:D−グルシトール)、L−ソルビトール(別名:L−グルシトール)、D−マンニトール、L−マンニトール、D−イジトール、L−イジトール、D−タリトール、L−タリトール、ズルシトール、アロズルシトール(別名:アリトール)、キシリトール、リビトール、D−アラビトール、L−アラビトール、meso−エリトリトール、D−トレイトール、L−トレイトール等が挙げられる。これらの中でも、併用する液媒体への溶解性及び入手容易性の点から、D−ソルビトール(別名:D−グルシトール)、D−マンニトール、キシリトールを使用することが好ましい。
上記炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質の液体組成物中の総含有量は、より優れたコゲの低減効果とヘッドの長寿命化を図るためには、液体組成物全量に対して0.005〜20質量%、更には、液体組成物全量に対して0.05〜12質量%の範囲で含有させることが好ましい。
本発明の実施の形態1で使用するインクジェット記録方法は、インクに吐出させるためのエネルギーを付与してインクを吐出し、被記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、上記したような構成を有する液体組成物と、下記に述べるような着色インクとを併用し、これらを被記録媒体上に付与して記録を行うことを特徴とする。以下に、着色インクに用いられる色材について説明する。
次に、前記した本発明の実施の形態(以下、第1実施形態と呼ぶ)で、上記した液体組成物と共に用いる着色インクについて説明する。
着色インクは、少なくとも色材と液媒体とを含有するが、該インクは、前記で述べた特定の液体組成物と接触させた際に、該液体組成物中の多価金属塩に起因する多価金属イオンと反応して、着色インク中の色材を凝集若しくは沈殿を生成させ、或は着色インクの増粘が生起される。着色インクに色材としては、顔料及び染料を用いることができる。顔料としては、無機顔料や有機顔料等、あらゆる顔料を用いることができるが、具体的には、下記のもの等が挙げられる。
カーボンブラック、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、128、129、151、154及び195、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、57(Sr)、112、122、123、168、184及び202、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:34、16、22及び60、C.I.ヴァットブルー4及び6等が挙げられる。
上記に列挙したような顔料を色材として使用する場合には、顔料を着色インク中に安定に分散させるために、分散剤を用いることが好ましい。分散剤としては、高分子分散剤や界面活性剤系分散剤等が挙げられる。高分子分散剤の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合物塩、スチレン−マレイン酸共重合物塩、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合物塩、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びポリビニルアルコール等が挙げられる。
これらの中でも特に、重量平均分子量が1,000〜30,000で、酸価が100〜430の範囲のものを使用することが好ましい。界面活性剤系分散剤としては、例えば、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ラウリルベンゼンカルボン酸塩、ラウリルナフタレンスルホン酸塩、脂肪族アミン塩及びポリエチレンオキサイド縮合物等が挙げられる。これらの分散剤の使用量は、顔料の重量:分散剤の重量=10:5〜10:0.5の範囲で含有させることが好ましい。
着色インクの色材として、特開平5−186704号公報や特開平8−3498号公報に記載されているような、カーボンブラックの表面に水溶性基を導入することにより自己分散を可能とした自己分散型のカーボンブラックを色材として使用することもできる。色材として、上記したような自己分散型カーボンブラックを使用した場合には、前記したような分散剤の使用が必ずしも必要でなくなるため、分散剤の使用量を減少することができるか、場合によっては分散剤を使用しなくても済むようになる。
そして、上記したような顔料インクが、先に説明した第1実施形態に係る液体組成物と接触すると、該液体組成物中の多価金属イオンの塩析作用等によって該顔料インク中の顔料が速やかに凝集、沈殿し、顔料インク中の色材の被記録媒体への定着が高速化される。この結果、隣接して異色の2種以上のインクが付与された場合においても、ブリードが生じ難くなるものと考えられる。第1実施形態においては、着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物を使用するが、着色インクと液体組成物との間における「反応」には、上記したような作用に基づく顔料の分散状態の不安定化も、「反応」に含まれる。
第1実施形態で使用する着色インクを構成する色材に染料を用いる場合には、水溶性染料が好適に用いられる。例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料及び分散染料等の染料を用いることができる。染料を含む着色インクの好ましいものとしては、前記した構成を有する本実施形態に係る液体組成物との接触によって、塩析効果による染料の析出や、多価金属イオンと染料との反応による水難溶性或いは水不溶性の塩又は化合物の形成、或はこれらの作用の複合によって、着色インク中の染料の被記録媒体への定着が高速に進むものが好適に用いられる。このような着色インクに用いることのできる染料としては、本実施形態に係る液体組成物と接触した際に、該液体組成物中の多価金属塩と反応して不溶性の塩又は化合物を形成し易いので、分子中に少なくとも1のカルボキシル基を有する染料を用いることが好ましい。具体的には、下記の例示化合物1〜30に挙げるような構造を有する染料を用いることが好ましいが、本発明は、これらに限定されるものではない。又、例示化合物1〜5中のMはアルカリ金属、アンモニウム、有機アンモニウムの何れかである。
次に、第1実施形態かかる液体組成物、及び併用する着色インクに用いられる液媒体について説明する。液媒体としては、水と水溶性有機溶剤を併用することが好ましい。この場合に使用する水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。又、水の含有量としては、インク全量に対して、35〜96質量%の範囲であることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、インクの粘度を使用上好ましい適当な粘度に調整してインクの乾燥速度を遅らせるため、或は、色材の溶解性を高め記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止するため等、種々の目的で使用される。具体的な水性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びn−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン及びジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール及び1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル及びトリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル及びテトラエチレングリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性有機溶剤は、単独でも、或は混合物として使用しても良い。
又、着色インクのpH値を一定にしてインク中における染料の溶解性及び顔料の分散性を安定化させるために、着色インク中にpH調整剤を含有させても良い。pH調整剤としては、具体的には、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化アンモニウム等の水酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸アンモニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム及び炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩、リン酸リチウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム等のリン酸塩、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム及び酢酸アンモニウム等の酢酸塩、塩酸塩等が挙げられる。
これらのpH調整剤は、前記した液体組成物に添加させても良い。又、これらは、液体組成物及び着色インク中に単独で添加させて使用しても良いが、更に好ましくは、2種類以上のpH調整剤を選択して併用する。特に、pHを安定に保ち、着色インク中に含まれている水溶性染料の溶解安定性を高め、且つ、ノズルの目詰まり等の問題を防止するために、これらのpH調整剤を、好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは、1〜8質量%の範囲で添加する。
更に、第1実施形態に係る液体組成物中及びこれと併用する着色インク中には、上記の成分の他に、必要に応じて従来公知の一般的な各種添加剤、例えば、粘度調整剤、防かび剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤及び尿素等のノズル乾燥防止剤を適宜併用することができる。
又、第1実施形態に係る液体組成物及び併用する着色インクの物性の好適な範囲は、25℃付近でのpH値が、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10、表面張力は、好ましくは10〜60mN/m(dyn/cm)、より好ましくは15〜50mN/m(dyn/cm)、粘度は、好ましくは1〜30cps、より好ましくは1〜10cpsの範囲である。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記で説明したような構成を有する液体組成物と着色インクとを併用し、両者が接触し、反応するようにして被記録媒体上に付与して記録を行うことを特徴とする。この際に使用する被記録媒体は、特に限定されるものではない。しかし、第1実施形態に係るインクジェット記録方法は、特に、従来から使用されている、コピー用紙、ボンド紙等の、所謂、普通紙に画像を形成した場合に、ブリード低減効果が顕著に現れるので、これらを用いることが好ましい。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法は、インクに対して吐出に必要なエネルギーを付与させてインクを吐出し、被記録媒体上に画像を記録する方式のものであれば何れの方式のものであっても良く、特に限定されない。しかし、特に、インクの吐出に熱エネルギーを利用する方式のインクジェット記録方法を用いた場合に、本実施形態に係る記録方法を使用して画像を形成すると、所謂「コゲ」の発生を有効に抑制できるという優れた効果が得られる。熱エネルギーを利用するインクジェット記録方式としては、例えば、熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出する、所謂オンデマンド型のバブルジェット方式が挙げられる。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法においては、上記で説明したような構成を有する液体組成物と着色インクとを併用し、これらが被記録媒体上で接触し、反応するように付与されて記録が行われるものであれば、画像を形成する際の被記録媒体上へ液体組成物と着色インクとを付与する順序は、液体組成物が先であっても、着色インクが先であっても何れでも良い。即ち、第1実施形態においては、付与する順番や方法によらず、液体組成物と着色インクとの接触状態が形成されるように、これらを被記録媒体上に付与することによって、着色インクにより形成される画像の良好な文字品位、定着性、耐水性及びブリーディング抑制効果の向上が達成される。これは、被記録媒体上において、液体組成物と着色インクとが接触すると、液体組成物を構成する多価金属塩に起因する多価金属イオンと、インク中の顔料及び染料が混合されることによって、凝集、沈殿、或は着色インクの増粘が生じるためと考えられる。
特に、画像濃度及び定着性を更に向上させるという観点からは、例えば、着色インクを付与した後に、液体組成物を付与し、更にそれに続いて再度着色インクの付与を行うことがより好ましい。又、着色インクの被記録媒体上への付与を、液体組成物の被記録媒体上への付与の後に行い、更に、液体組成物を被記録媒体上へ付与しても良い。
又、液体組成物の付与を着色インクの付与に先立って行う場合に、液体組成物を被記録媒体に付着せしめてから、着色インクを付着させるまでの時間についても特に制限されるものではない。しかし、本発明を一層効果的なものにするためには、例えば、数秒以内、特に好ましくは、1秒以内とすると良い。このことは、液体組成物と着色インクとを逆の順序で被記録媒体上に付与した場合についても同様である。更に、液体組成物と着色インクとを被記録媒体に付与するための別の実施形態としては、図16に示す方法を用いることもできる。斯かる形態では、液体組成物804と着色インク805とを、インクジェット記録装置のそれぞれの記録ヘッド801、802から吐出させ、吐出直後に両者を混合させ、該混合物806を被記録媒体803上へ付与する。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法によれば、以上のように、液体組成物と着色インクとを付与する順番や方法によらず、特定の構成成分から成る本実施形態に係る液体組成物を、着色インクとの接触状態が形成されるようにして被記録媒体上に付与することで、着色インクによって形成される画像の良好な文字品位の達成、定着性及び耐水性の向上が図られ、更に、カラー画像を形成したときにおけるブリーディングの発生が有効に抑制される。これは、被記録媒体上において、液体組成物中に含まれる多価金属イオンと、着色インク中の顔料及び/又は染料とが混合されることによって凝集体が形成される結果、上記した優れた効果が得られるものと考えられる。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法において、前記したような方法で液体組成物と着色インクとを被記録媒体上に付与して記録を行った場合に、画像形成領域における着色インクと液体組成物との被記録媒体の単位面積当たりの付与量の比は、1:1であっても良いが、着色インク:液体組成物=10:1〜10:10としても良い。ここで、画像形成領域における被記録媒体上の単位面積当たりの着色インクと液体組成物の付与量の比の調整は、具体的には、例えば、液体組成物と着色インクの被記録媒体上への付与をインクジェット記録方式で行う場合に、被記録媒体上に付着させる液体組成物の画素数が、被記録媒体上に付着する着色インクの画素数の10〜100%の範囲となるように制御する方法や、液体組成物と着色インクの付与をインクジェット記録方式で行う場合に、液体組成物の吐出量を着色インクの吐出量よりも小さくなるように制御して、被記録媒体上に付着する着色インクの画素数の10〜100%の範囲となるようにする方法、或は、これらを組み合わせた方法等によって行うことができる。
以下、第1実施形態におけるインクジェット記録方法及び斯かる方法を適用したインクジェット記録装置について、更に詳細に説明する。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法においては、本実施形態の液体組成物と着色インクとを被記録媒体上に付着せしめる方法として、インクにエネルギーを付与し、これによってインクを吐出させて、被記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法を用いるが、該記録方法としては、従来公知の種々のインクジェット方式(例えば、圧電素子の変形による機械的エネルギーを利用したインクジェット記録方式等)を用いることができる。しかし、特に、熱エネルギーの作用を利用してインクを吐出させるインクジェット記録方法を用いることが好ましい。
即ち、前記したように、異色間の混色滲み(ブリード)の抑制や記録物の耐水性の向上を目的として、着色インクに多価金属塩入りの液体組成物を併用させ、液体組成物の吐出に熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を用いて画像を形成した場合に生じるコゲの発生、それによって引き起こされる画質の低下は、前記した第1実施形態に係る液体組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法により有効に抑制される。
更に、従来の方法では、ブリードの抑制や記録物の耐水性向上を目的として着色インクと共に使用する溶液が、記録ヘッドから繰り返し吐出されることで、熱エネルギーを付与するヒータ(発熱素子基板)上に設けられている、金属及び/又は金属酸化物、例えば、タンタル又はタンタルの酸化物等からなる最表面保護層が溶解され、これによってヒータの断線が起こり、吐出が不能になるといった事態が生じたり、ヒータ上にコゲ付きが生じ、形成される画像品質に影響を及ぼすこと等があったが、斯かる問題も有効に防止される。
又、前記した第1実施形態に係る液体組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録装置としては、上記液体組成物を収容している液体組成物収容部、着色インクを収容している着色インク収容部及び該液体組成物と着色インクをそれぞれ吐出するためのインクジェット記録ヘッドが搭載されて成る。更に別の好ましい実施形態は、液体組成物と着色インクを熱エネルギーの作用によって吐出する装置であって、液体組成物収容部及び着色インク収容部から導かれた流路内の液体組成物及び着色インクに、熱エネルギーを付与するためのヒータを有するインクジェット記録用ヘッド及び記録情報に応じて上記ヒータにパルス状の電気信号を印加する手段を具備しているインクジェット記録装置が挙げられる。更には、上記ヒータが、金属及び/又は金属酸化物を含む最表面保護層を具備することを特徴とするインクジェット記録装置、特に、金属及び/又は金属酸化物が、タンタル及び/又はタンタルの酸化物である態様のインクジェット記録装置の場合に、本発明の顕著な効果が奏される。
更に、本発明の顕著な効果が奏される実施形態としては、上記ヒーターへ付与されるエネルギーが下記のように制御される装置が挙げられる。
即ち、記録ヘッドから液体組成物を吐出させるためにヒータに投入するエネルギー量をEop、記録ヘッドからインクを吐出させるために必要な最小エネルギー投入量をEthとしたとき、Eop/Ethの値(=γ値)が下記の関係を満たすように制御されたインクジェット記録装置によれば、特に、本発明の顕著な効果が奏される。
1.10≦Eop/Eth≦1.90
下記に、熱エネルギーを利用してインクを吐出させるインクジェット記録方法を適用したインクジェット記録装置について、図を参照しながら説明する。
下記に、熱エネルギーを利用してインクを吐出させるインクジェット記録方法を適用したインクジェット記録装置について、図を参照しながら説明する。
熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の一例を図1及び図2に示す。図1はインク流路に沿った記録ヘッド13の断面図であり、図2は図1のA−B線での切断断面図である。
記録ヘッド13は、インクを通す流路(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコン、ポリサルホン又はプラスチック板等と発熱素子基板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は、酸化シリコン、窒化シリコン及び炭化シリコン等で形成される保護層16−1、白金等の金属又は白金の酸化物等の金属の酸化物、特に、タンタル又はタンタルの酸化物で形成される最表面保護層16−2、アルミニウム、金及びアルミニウム−銅合金等で形成される電極17−1及び17−2、ハフニウムボライド、窒化タンタル及びタンタルアルミニウム等の高融点材料から形成される発熱抵抗体層18及び酸化シリコン、酸化アルミニウム等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム及び窒化アルミニウム等の放熱性の良い材料で形成される基板20より成っている。
熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置では、上記ヘッド13の電極17−1及び17−2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板15のnで示される領域(ヒーター)が急速に発熱し、この表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、インク21が記録ヘッド13のノズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録媒体25に向かって飛翔する。図3には、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したものと同じような発熱ヘッド28を接着して作られている。
(ヒータへの印加エネルギー量)
次に、γ値について説明する。
次に、γ値について説明する。
γ値とは、バブルジェットヘッドが、ぎりぎりインク或は液体組成物を吐出可能な臨界エネルギーに対する実際に投入するエネルギーの比を表わす因子である。即ち、バブルジェットヘッドに印加するパルスの幅をPとし(複数のパルスを分割して与える時はその合計幅)、印加する電圧をV、ヒータの抵抗をRとする時、投入エネルギーEは、下記式(A)で表される。
E=P×V2/R (A)
このとき、バブルジェットヘッドが、ぎりぎりインク或は液体組成物を吐出できる最低限必要なヒータへのエネルギーをEthとし、実際に駆動を行う時の投入エネルギーをEopとすれば、γ値は、下記式(B)で与えられる。
このとき、バブルジェットヘッドが、ぎりぎりインク或は液体組成物を吐出できる最低限必要なヒータへのエネルギーをEthとし、実際に駆動を行う時の投入エネルギーをEopとすれば、γ値は、下記式(B)で与えられる。
γ=Eop/Eth (B)
そして、バブルジェットヘッドの駆動条件から、例えば、液体組成物を吐出させる場合に好適なγ値を求める方法としては、実用上、以下の(1)及び(2)の2つの方法で行われる。
(1)パルス幅が固定しいる場合
先ず、与えられたパルス幅で、バブルジェットヘッドが液体組成物を吐出する適当な電圧を見つけて駆動する。次に、徐々に電圧を下げてゆき、液体組成物の吐出が止まる電圧を見つけ、この電圧の直前の吐出可能な最小電圧をVthとする。実際に駆動で使用されている電圧をVopとすれば、γ値は、下記式(C)で求められる。
そして、バブルジェットヘッドの駆動条件から、例えば、液体組成物を吐出させる場合に好適なγ値を求める方法としては、実用上、以下の(1)及び(2)の2つの方法で行われる。
(1)パルス幅が固定しいる場合
先ず、与えられたパルス幅で、バブルジェットヘッドが液体組成物を吐出する適当な電圧を見つけて駆動する。次に、徐々に電圧を下げてゆき、液体組成物の吐出が止まる電圧を見つけ、この電圧の直前の吐出可能な最小電圧をVthとする。実際に駆動で使用されている電圧をVopとすれば、γ値は、下記式(C)で求められる。
γ=(Vop/Vth)2 (C)
(2)電圧が固定している場合
先ず、与えられた電圧で、バブルジェットヘッドが液体組成物を吐出する適当なパルス幅を見つけて駆動する。次に、徐々にパルス幅を短くしてゆき、液体組成物の吐出が止まるパルス幅を見つける。このパルス幅の直前の吐出可能な最小パルス幅をPthとする。実際に駆動で使用されているパルス幅をPopとすれば、γ値は、下記式(D)で求められる。
(2)電圧が固定している場合
先ず、与えられた電圧で、バブルジェットヘッドが液体組成物を吐出する適当なパルス幅を見つけて駆動する。次に、徐々にパルス幅を短くしてゆき、液体組成物の吐出が止まるパルス幅を見つける。このパルス幅の直前の吐出可能な最小パルス幅をPthとする。実際に駆動で使用されているパルス幅をPopとすれば、γ値は、下記式(D)で求められる。
γ=Pop/Pth (D)
尚、ここでの電圧値は、バブルジェットヒータを発熱させるためにヒータ部に実際に掛かる電圧である。ヘッドの外部から投入した電圧は、接点や配線抵抗等で電圧降下することがあるので、γ値の厳密な意味での算出には用いることはできない。しかし、ヘッドの外部からVthとVopの測定を行う場合、これらの電圧変動分が両方の値に含めて測定されるので、電圧変動分が大きくない限り、これらの値を直接用いてγ値を計算しても誤差は少なく、よって、これによる値を便宜的にγ値として用いることができる。
尚、ここでの電圧値は、バブルジェットヒータを発熱させるためにヒータ部に実際に掛かる電圧である。ヘッドの外部から投入した電圧は、接点や配線抵抗等で電圧降下することがあるので、γ値の厳密な意味での算出には用いることはできない。しかし、ヘッドの外部からVthとVopの測定を行う場合、これらの電圧変動分が両方の値に含めて測定されるので、電圧変動分が大きくない限り、これらの値を直接用いてγ値を計算しても誤差は少なく、よって、これによる値を便宜的にγ値として用いることができる。
又、実際のプリンターで記録を行っている際には、複数のヒータが駆動されるために1つのヒータに対する電圧がこの影響を受けて変動する可能性があることに注意する必要がある。更に、前記式(A)と式(B)とから、同一のγ値においては、Vの2乗とPは反比例するように見えるが、実際には、パルス波形が矩形にならない等の電気的問題、パルス波形が異なるとヒータ周辺の熱拡散が異なる等の熱的問題、電圧が異なるとヒータからインクへの熱流束が異なり発泡状態が変化する等のバブルジェット特有の問題等があって、Vの2乗とPは単純な関係にはない。従って、上記(1)及び(2)で述べた方法は、それぞれ独立して扱われなければならず、一方の値から計算で他方の値に変換することは誤差を生じる原因となることに注意しなければならない。本発明では、特に断らない限り、上記(1)の方法で求めた値をγ値とした。
インクや液体組成物の安定的な吐出のためには、上記のようにして得られるγ値が1.12〜1.96程度となるような条件で、インクジェット記録装置を駆動するのが一般的である。しかし、先に述べた構成を有する液体組成物に熱エネルギーを印加して記録ヘッドから吐出させる第1実施形態においては、γ値が所定の範囲、具体的には、γ値が1.10〜1.90となる範囲でインクジェット記録装置を駆動させれば、上記構成の液体組成物を吐出したことに起因するヒータへのコゲの付着がより防止され、延ては記録ヘッドのより一層の長寿命化を図ることができるので好ましい。
第1実施形態に係る液体組成物に熱エネルギーを印加して記録ヘッドから吐出させる際におけるγ値が上記の範囲である場合に、ヒータへのコゲの付着が特に有効に防止でき、この結果、記録ヘッドの長寿命化を達成される理由は明らかではないが、本発明者等は、以下のように考えている。
即ち、第1に、インクジェット記録装置を、γ値が前記した範囲となるように駆動させれば、本実施形態に係る液体組成物中に含有されている、炭素数4以上の糖アルコールが、ヒータの最表面保護層を保護する結果、該最表面保護層を構成する金属及び/又は該金属の酸化物の侵食が有効に防止されるためである、と考えられる。
第2に、インクジェット記録装置を、γ値が前記した範囲となるように駆動すれば、ヒータに過大にエネルギーが供給されてヒータの表面温度が過大に高くなることがないため、ブリーディングの抑制や、得られる記録物の耐水性の向上を目的として液体組成物に添加された多価金属塩(a)に起因する多価金属イオンによりアルカリ性が強くなり、この結果生じる金属の侵食(溶解)が過度に起こることがなくなるからである、と考えられる。
図4に、先に説明した記録ヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブレード保持部材によって保持固定されており、カンチレバーの形態をなす。斯かるブレード61は、記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、又、図示した例の場合は、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
62は記録ヘッド65の突出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。上記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によって吐出口面に水分、塵埃等の除去が行われる。
65は、吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は、記録ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うためのキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部は、モーター68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
51は、被記録媒体を挿入するための紙給部、52は、不図示のモーターにより駆動される紙送りローラーである。これらの構成により記録ヘッドの65吐出口面と対向する位置へ被記録媒体が給紙され、記録が進行につれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙される。以上の構成において記録ヘッド65が記録終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は、移動経路中に突出している。その結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例えば、チューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収納したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にする。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。
第1実施形態に係るインクジェット記録装置は、上述のように記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体になったものでも良い。図6において、70は記録ユニットであり、この中にはインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、斯かるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いることが好ましい。又、インク吸収体を用いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋であるような構造でも良い。72は、カートリッジ内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4に示す記録ヘッド65に換えて用いられるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在になっている。
第1実施形態に係るインクジェット記録方法によってカラー画像を形成する場合には、例えば、図3に示した記録ヘッドを5つキャリッジ96上に並べた記録装置を使用する。図7はその一例である。91、92、93、94は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック各色のインクを吐出するための記録ヘッドである。又、95は液体組成物を吐出するヘッドである。該ヘッドは前記した記録装置に配置され、記録信号に応じて、各色インクを吐出する。又、液体組成物は、例えば、各色インクの吐出に先立ち、少なくともインクが被記録媒体に付着する画像形成部分に付着させておく。
図7では記録ヘッドを5つ使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、図8に示したように1つの記録ヘッドでイエロー101、マゼンタ102、シアン103及びブラック104、液体組成物105とを液流路を分けて行う場合も好ましい。勿論、各インクと液体組成物の記録順が、上記した順序と逆になるようなヘッドの配置をとっても良い。
第1実施形態で好適に使用されるインクジェット記録ヘッドの配置の具体的な構成例としては、図9〜11に示したような3種が挙げられる。
図9〜11において、111〜114、121〜124及び131〜134は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各色のインクを吐出するための記録ヘッドである。又、115、125及び135は液体組成物(S)を吐出するための記録ヘッドである。各記録ヘッドは、図7で示したと同様にキャリッジ上に並べられる(構成例によって異なる)。各記録ヘッドは前記したような記録装置に配置され、記録信号に応じて、各色のインクを吐出する。又、液体組成物はそれに先立ち或は後に、少なくとも各色のインクが被記録媒体に付着する画像領域に付着させる。尚、各記録ヘッドは矢印(1)の方向にキャリッジによって移動し、被記録媒体は矢印(2)方向に給紙ローラー等によって移動する。
先ず、図9に示した第1の構成例では、S(115)、Bk(114)、C(113)、M(112)及びY(111)用の記録ヘッドが、並列にキャリッジ上に配置されている。図10に示した第2の構成例は、並列に配置された液体組成物及びブラックインク用の記録ヘッドと、これらの記録ヘッドとは並列で、且つ、互いに直列に配置されたY(121)、M(122)及びC(123)用の記録ヘッドとから成る。ここで、各記録ヘッドの1ドット当たりの吐出体積は、必ずしも同一である必要はなく、液体組成物の組成等により、最適な記録が行われるように、各記録ヘッドの1ドット当たりの吐出体積(Vd)を調整しても良い。好適には、S、Y、M、CのVdを同一にしてBkをその2倍とする構成が良いが、これに限定されない。更に、図11に示した第3の構成例では、吐出体積が同一のBk(134)、S(135)、Bk(134)、C(133)、M(132)及びY(131)用の記録ヘッドが並列にキャリッジ上に配置されており、ブラックインクの吐出量を、他の液体組成物及びカラーインクの吐出量の倍量とすることができる。尚、図11に示した構成例においても、S、Bk、Y、M及びCの吐出体積(Vd)は、必ずしも同一でなくても良い。
又、先に述べたように、第1実施形態においては、画像形成領域における液体組成物と着色インク、特に、マゼンタインクとの被記録媒体の単位面積当たりの付与量の比は、1:1であっても良いが、着色インク:液体組成物=10:1〜10:10としても良い。画像形成領域における被記録媒体上の単位面積当たりの液体組成物と着色インクの付与量の比の調整は、具体的には、例えば、被記録媒体上に付着させる液体組成物の画素数が、被記録媒体上に付着する着色インクの画素数の10〜100%の範囲となるように制御する方法、液体組成物と着色インクの付与の際に液体組成物の吐出量を着色インクの吐出量よりも小さくなるように制御する方法、或は、これらを組み合わせて、被記録媒体上に付着させる液体組成物の画素数が被記録媒体上に付着する着色インクの画素数の10〜100%の範囲となるように制御し、且つ、液体組成物と着色インクの被記録媒体上への付与の際の液体組成物の吐出量を着色インクの吐出量よりも小さくする方法等によって行えば良い。
[実施の形態2]
次に、本発明の具体的な実施の形態2(第2実施形態と呼ぶ)について説明する。
次に、本発明の具体的な実施の形態2(第2実施形態と呼ぶ)について説明する。
第2実施形態では、(1)色材と、液媒体と、多価金属塩と、炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質とを含むカラーインクと、(2)色材と液媒体とを含み、且つ、該カラーインクとの接触によって該カラーインクと反応するブラックインクとを組み合わせてなることを特徴とするインクジェット記録用インクセットを用い、該インクセットに含まれるブラックインクとカラーインクとが被記録媒体上で接触状態を形成するように付与し、記録を行う。
上記構成の第2実施形態に係るインクセットでは、ブラックインクとカラーインクとの間のブリード防止を目的としており、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等のカラーインク同士のブリード防止に対しては特に処置をしてない。しかし、カラーインクに、サイジングされた普通紙に対しても速い浸透性を持たせるような処理を施せば、具体的には、例えば、カラーインクに界面活性剤を添加する等のインク設計を行えば、異なる色のカラーインク間におけるブリード防止にも効果的である。
先ず、第2実施形態に係るインクセットを構成するカラーインクについて説明する。
該カラーインクは、色材と、液媒体と、多価金属塩と、炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質とを含む。多価金属塩、炭素数4以上の糖アルコールについては、前記第1の実施形態で詳述した通りである。
次に、第2実施形態に係るインクセットを構成するカラーインクに含有される色材について説明する。
色材としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料及び顔料が挙げられるが、多価金属塩と調合された時にも、反応せずに可溶性が維持される色材であることが好ましい。このような色材としては、下記に列挙したもの等が使用できる。
例えば、C.I.アシッドイエロー23;C.I.アシッドレッド52、289;C.I.アシッドブルー9;C.I.リアクティブレッド180;C.I.ダイレクトブルー189、199;C.I.ベーシックイエロー1、2、11、13、14、19、21、25、32、33、36、51;C.I.ベーシックオレンジ2、15、21、22;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、37、38、39、92;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、24、25、26、28、29、45、54、65;C.I.ベーシックグリーン1、4;C.I.ベーシックブラウン1、12;C.I.ベーシックブラック2、8等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの水溶性染料は、1種類で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。又、これらの水溶性染料の濃度は、インク全量に対して0.1〜20質量%の範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットを構成するカラーインク中には、上記で述べた成分の他に、少なくとも1種の界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤を含有させることによって、カラーインクに所望の浸透性及び粘度を付与することが可能となる。即ち、先に述べたように、第2実施形態では、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク等のカラーインク同士のブリード防止に対しては特に処置をしていないが、上記のように、カラーインクに界面活性剤を添加することで、サイジングされた普通紙に対しても速い浸透性を有するインクが得られる。この結果、カラーインク同士のブリード防止が可能となり、実用的に大きな印字品位の低下を生じることがなくなる。
上記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等、従来公知の界面活性剤を使用すれば良い。中でも、ノニオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。これらの界面活性剤のカラーインク中の添加量については特に制限はないが、所望の浸透性が得られ、適当なインク粘度を得るためにはインク全量の0.01〜10質量%の範囲とすることが好ましい。更に好ましくは、0.1〜10質量%の範囲とする。
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットを構成するブラックインクについて説明する。
第2実施形態で使用するブラックインクは、色材と液媒体を含み、上記した構成のカラーインクとの接触によって該カラーインクと反応するものであることを特徴とする。具体的には、カラーインク中の多価金属塩に起因する多価金属イオンと反応する色材を使用することが好ましい。ここで言う「反応」は、前記した第1実施形態の場合と同義である。ブラックインクに使用される色材としては、前記した第1の実施形態の着色インクに使用し得るブラックの色材が挙げられる。これらの色材は、単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。又、これらの色材の添加量は、インク全量に対して0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。
第2実施形態においては、ブラックインク中に、更にノニオン性界面活性剤を添加させることがより好ましい。即ち、このようにすれば、ブラックインクとカラーインクとの間のブリーディングをより一層抑制することが可能になると共に、ノニオン性界面活性剤を添加することによって、下記に説明するように、ブラックインクとカラーインクとの境界部におけるブラックインクの濃度の低下、所謂、「白もや」の発生をより有効に抑制できるという効果も得られる。
第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットに用いられるカラーインクには、先に述べたように、インクジェット記録用インクとしての特性向上を目的として、界面活性剤が含有されていることが好ましいため、普通紙等の被記録媒体への浸透性が高く表面張力が低いものが多い。そして、このような表面張力が低いカラーインクと、第2実施形態で使用するような表面張力の高いブラックインクが隣接すると、ブラックインクの隣接界面に色材が少ない領域が生じてしまい、「白もや」と呼ばれる現象が発生する場合がある。そこで、ブラックインクにノニオン性界面活性剤を添加させ、表面張力を低下させれば、上記の「白もや」現象を抑制することが可能となる。
第2実施形態において、ブラックインク中に含有させるノニオン性界面活性剤の含有量は、ブリーディングや白もやを抑制し得れば特に限定はないが、ブラックインクとカラーインク間のブリーディング抑制の向上が図れ、白もやの発生を効果的に抑制でき、且つ、インク吐出性や印字品位を良好に保つために、インク全量の0.1〜0.5質量%の範囲とするのが好ましく、特に好ましくは、0.2〜0.4質量%の範囲とする。
この際に使用されるノニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪族エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪族アミドエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルカノールアミンの脂肪酸アミド類のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらのものはいずれも好ましく使用されるが、より好ましくは、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン性界面活性剤を用いる。更に、上記エチレンオキサイド付加物の付加モル数が4〜20の範囲のものが特に好ましい。
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットを構成するブラックインク及びカラーインクに用いられる液媒体としては、上記第1の実施形態の液体組成物及びこれと共に用いられる着色インクに用いられる液媒体として詳述した水溶性有機溶剤、添加剤、添加量、物性値等を用いることができる。
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録方法及びこれを実現し得る第2実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
第2実施形態に係るインクジェット記録方法は、先ず(i)第2実施形態に係るインクセットに含まれるブラックインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該ブラックインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程及び(ii)第2実施形態に係るインクセットに含まれるカラーインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該カラーインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程を有することを特徴とする。この場合に好適なインクジェット記録方式としては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出させるものが挙げられる。
この際に使用する被記録媒体は、特に限定されるものではない。しかし、本発明においては、特に、従来から使用されている、コピー用紙、ボンド紙等の、所謂普通紙に、第2実施形態に係るインクセットを用いて画像を形成した場合に、ブリード低減効果が顕著に現れるので好ましい。勿論、第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットは、例えば、インクジェット記録用に特別に作成されたコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使用できるが、更に、一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用することができる。
又、第2実施形態に係るインクジェット記録方法は、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で該ブラックインクと該カラーインクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とする。ブラックインクとカラーインクとを上記のようにして被記録媒体上へ付与する具体的な態様としては、ブラックインクとカラーインクが境界で接するように付与する方法が挙げられる。
他の態様として、ブラックインク(1)とカラーインク(2)を被記録媒体上で重なるように付与し、且つ、カラーインクの被記録媒体への付与をブラックインクに先立って行う方法(以下、下打ち方法と呼ぶ)が挙げられる。下打ち方法を行うことで、ブラックインクとカラーインク間のブリードの更なる向上が図られ、更に上述した「白もや」の軽減が図られる。上記の下打ち方法において、カラーインクを被記録媒体に付着せしめてから、ブラックインクを付着させるまでの時間についても特に制限されるものではないが、上記した第2実施形態を一層効果的なものにするためには、数秒以内、特に好ましくは1秒以内とすることが好ましい。又、ブラックインクを付与した後、カラーインクを付与する(上打ち)、或は図16に示すようにカラーインクとブラックインクを吐出直後に混合する形態もある。
又、下打ち方法において、画像形成領域におけるブラックインク(1)とカラーインク(2)との被記録媒体の単位面積当たりの付与量の比は、1:1であっても良いが、ブラックインク(1):カラーインク(2)=10:1〜10:10としても良い。このようにすれば、得られる画像の白もやが軽減されて、特にベタ画像において均一性が達成される。尚、画像形成領域における被記録媒体上の単位面積当たりのブラックインクとカラーインクの付与量の比の調整は、具体的には、例えば、ブラックインクとカラーインクの付与をインクジェット記録方式で行う場合に、被記録媒体上に付着させるカラーインクの画素数が被記録媒体上に付着するブラックインクの画素数の10〜100%の範囲となるように制御する、又、カラーインクの吐出量をブラックインクの吐出量よりも小さくなるように制御する、或は、これらの方法を組み合わせて、被記録媒体上に付着させるカラーインクの画素数が被記録媒体上に付着するカラーインクとブラックインクの画素数の10〜100%の範囲となるように制御し、その際のカラーインクの吐出量をブラックインクの吐出量よりも小さくする方法等が挙げられる。
第2実施形態に係るインクジェット記録用インクセットを構成するブラックインクとカラーインクを被記録媒体上に付着せしめる方法として、第2実施形態ではインクジェット記録方法を用いるが、インクジェット記録方法としては、従来公知の種々のインクジェット方式(例えば、圧電素子の変形による機械的エネルギーを利用したインクジェット記録方法等)を用いることができるが、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を用いると、特に、本発明の顕著な効果が得られるため好ましい。
即ち、前記したように、ブラックインクとカラーインク間の混色滲み(ブリード)の抑制の向上を目的として、多価金属塩を含有するカラーインクを用いた場合に、該カラーインクの吐出に熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を用いて画像を形成した場合に生じるコゲの発生、それによって引き起こされる画質の低下は、第2実施形態に係る特定のブラックインク(1)とカラーインク(2)との組み合わせから成るインクセットを用いたインクジェット記録方法により有効に抑制される。更に、従来の方法では、ブリードの抑制を目的とした多価金属塩を有するカラーインクが記録ヘッドから繰り返し吐出された場合に、熱エネルギー付与するヒータ(発熱素子基板)上に形成されている金属及び/又は金属酸化物、例えば、タンタル又はタンタルの酸化物等から成る最表面保護層が溶解され、これによってヒータの断線が起こり、吐出が不能になるといった事態が生じたり、ヒータ上にコゲ付きが生じ、形成される画像品質に影響を及ぼす場合があったが、斯かる問題が有効に防止される。熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置については、第1の実施形態の説明で詳述した通りである。
第2実施形態に係るインクジェット記録方法によってカラー画像を形成する場合には、例えば、図3に示した記録ヘッドを4つキャリッジ上に並べた記録装置を使用する。図12はその一例である。141、142、143、144はそれぞれイエローインク(Y)、マゼンタインク(M)、シアンインク(C)及びブラックインク(Bk)を吐出するための記録ヘッドである。該ヘッドは前記した記録装置に配置され、例えば、キャリッジを矢印方向に移動させながら、各色のインクを吐出する記録信号に応じて各色のインクを吐出する。
図12では4個の記録ヘッドを使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、図13に示したように、1つの記録ヘッドで、ブラックインク154、シアンインク153、マゼンタインク152及びイエローインク151の液流路を分けて行う場合も好ましい。第2実施形態で好適に使用されるインクジェット記録ヘッドの配置の具体的な構成例としては、図14及び図15に示したような2種が挙げられる。図14及び図15において、161〜164及び171〜174は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各種のインクを吐出するための記録ヘッドである。各記録ヘッドは、図12で示したと同様にキャリッジ上に並べられる(構成例によって異なる)。各記録ヘッドは、前記で説明したようなインクジェット記録装置に配置され、記録信号に応じて各種のインクを吐出する。尚、各記録ヘッドは矢印(1)方向にキャリッジによって移動し、被記録媒体は矢印(2)方向に給紙ローラー等によって移動する。
先ず、図14に示した構成例では、Bk(164)、C(163)、M(162)及びY(161)用の記録ヘッドが並列にキャリッジ上に配置されている。図15に示した第2の構成例では、ブラックインク(174)用の記録ヘッドと、この記録ヘッドとは並列で、且つ、互いに直列に配置されたC(173)、M(172)、Y(171)用の記録ヘッドとから成る。尚、図14において、キャリッジを固定し、被記録媒体を矢印(2)方向に給紙ローラー等によって移動させるようにした、所謂ラインプリンタに適用しても良い。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
[第1の実施形態の実施例及び比較例]
(実施例1〜36及び比較例1〜12)
各々の液体組成物及び着色インクは下記に挙げる成分を用いた。作製方法としては、液体組成物及び染料を色材とする着色インクについては、下記の成分を溶解した後、更に、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過して、それぞれの液体組成物及び染料を色材とする着色インクを調製した。顔料を色材とする着色インクの場合は、先ず、それぞれの方法で顔料分散液を作成した後、得られた分散液を液媒体等と混合した後、ポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過してそれぞれの顔料を色材とする着色インクを調製した。
[第1の実施形態の実施例及び比較例]
(実施例1〜36及び比較例1〜12)
各々の液体組成物及び着色インクは下記に挙げる成分を用いた。作製方法としては、液体組成物及び染料を色材とする着色インクについては、下記の成分を溶解した後、更に、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過して、それぞれの液体組成物及び染料を色材とする着色インクを調製した。顔料を色材とする着色インクの場合は、先ず、それぞれの方法で顔料分散液を作成した後、得られた分散液を液媒体等と混合した後、ポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過してそれぞれの顔料を色材とする着色インクを調製した。
下記成分で液体組成物1〜4を調整した。尚、液体組成物4は比較例に相当する。
<液体組成物1>
・ジエチレングリコール
20部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 2部
・硝酸マグネシウム・6水和物 2部
・D−ソルビトール
5部
・水
71部
<液体組成物2>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・硝酸マグネシウム・6水和物 3部
・D−マンニトール
5部
・水
72部
<液体組成物3>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・グリセロリン酸カルシウム
1部
・キシリトール
5部
・水
74部
<液体組成物4>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・硝酸マグネシウム・6水和物 3部
・水
77部
<ブラックインク1>
(顔料分散液1の調製)
市販の酸性カーボンブラック「MA77」(pH3;三菱化学(株)製)300gを水1000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを東洋ろ紙No.2(アドバンティス社製)でろ過し、顔料粒子を十分に水洗した。この顔料ウェットケーキを水3,000mlに再分散し、電導度0.2μsまで逆浸透膜で脱塩した。更に、この顔料分散液(pH=8〜10)を顔料濃度10質量%に濃縮した。以上の方法によりカーボンブラックの表面に−COONa基を導入し、斯かる自己分散型のカーボンブラックを有する顔料分散液1を得た。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液1を含む下記の成分を混合して、更に、ポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、ブラックインク1を調製した。
・上記顔料分散液1
40部
・グリセリン
8部
・トリメチロールプロパン
5部
・イソプロピルアルコール
4部
・水
43部
<ブラックインク2>
(顔料分散液2の調製)
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重
合体(酸価116、平均分子量3,700)5部
・トリエタノールアミン
0.5部
・ジエチレングリコール
5部
・水
69.5部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂成分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラック「MA−100」(pH3.5;三菱化学(株)製)15部、2−プロパノール5部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行って粗大粒子を除去して、カーボンブラックを含む顔料分散液2とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液2を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧ろ過し、ブラックインク2を調製した。
・上記顔料分散液2
20部
・トリメチロールプロパン
5部
・ジエチレングリコール
10部
・2−ピロリドン
5部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.2部
・水
59.8部
<ブラックインク3>
前記例示化合物1を色材として含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、ブラックインク3を調製した。
・前記例示化合物1(式中のMはNH4+)
2部
・ジエチレングリコール
10部
・2−ピロリドン
5部
・2−プロパノール 5部
・水酸化ナトリウム
0.1部
・水
77.9部
<イエローインク1>
(顔料分散液3の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、
平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液に、C.I.Pigment Yellow
93を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行なった。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液3とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液3を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、イエローインク1を調製した。
・上記顔料分散液3
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<イエローインク2>
前記例示化合物2を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、イエローインク2を調製した。
・前記例示化合物2(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
<マゼンタインク1>
(顔料分散液4の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、
平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液にC.I.Pigment Red
122を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液4とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液4を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、マゼンタインク1を調製した。
・顔料分散液4
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<マゼンタインク2>
前記例示化合物3を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、マゼンタインク2を調製した。
・前記例示化合物3(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
<シアンインク1>
(顔料分散液5の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。更に、この溶液にC.I.Pigment
Blue 15:3を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して、顔料分散液5とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液5を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、シアンインク1を調製した。
・顔料分散液5
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<シアンインク2>
前記例示化合物4を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、シアンインク2を調製した。
・前記例示化合物4(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
(評価及び評価基準)
<評価試験>
評価試験について以下に示す。
[評価1]
前記のようにして得られた本発明の構成を有する液体組成物1〜3及び比較例の液体組成物4を、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することにより液体組成物を吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッド(BC−02(キヤノン(株)製):ヒーター上の最表面保護層はタンタル及びタンタルの酸化物より成る)を有するインクジェット記録装置を用い、下記の条件で液体組成物を吐出させて評価した。上記インクジェット記録装置の液体組成物の吐出条件は、パルス幅1.1μs(On)+3.0μs(Off)+3.2μs(On)、駆動周波数6,250Hzで、Vth(吐出するぎりぎりの臨界電圧)を実測し、γ値=1.6に相当するVop(駆動電圧)を掛けて液体組成物を吐出させた。そして、この条件でインクジェット記録を行った場合の、インクジェット記録ヘッドにおける吐出耐久性及びヒータへのコゲ付着の発生状態を下記の方法及び基準で評価した。その結果を表1に示した。
<液体組成物1>
・ジエチレングリコール
20部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 2部
・硝酸マグネシウム・6水和物 2部
・D−ソルビトール
5部
・水
71部
<液体組成物2>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・硝酸マグネシウム・6水和物 3部
・D−マンニトール
5部
・水
72部
<液体組成物3>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・グリセロリン酸カルシウム
1部
・キシリトール
5部
・水
74部
<液体組成物4>
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
・グリセリン
10部
・硝酸マグネシウム・6水和物 3部
・水
77部
<ブラックインク1>
(顔料分散液1の調製)
市販の酸性カーボンブラック「MA77」(pH3;三菱化学(株)製)300gを水1000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを東洋ろ紙No.2(アドバンティス社製)でろ過し、顔料粒子を十分に水洗した。この顔料ウェットケーキを水3,000mlに再分散し、電導度0.2μsまで逆浸透膜で脱塩した。更に、この顔料分散液(pH=8〜10)を顔料濃度10質量%に濃縮した。以上の方法によりカーボンブラックの表面に−COONa基を導入し、斯かる自己分散型のカーボンブラックを有する顔料分散液1を得た。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液1を含む下記の成分を混合して、更に、ポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、ブラックインク1を調製した。
・上記顔料分散液1
40部
・グリセリン
8部
・トリメチロールプロパン
5部
・イソプロピルアルコール
4部
・水
43部
<ブラックインク2>
(顔料分散液2の調製)
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重
合体(酸価116、平均分子量3,700)5部
・トリエタノールアミン
0.5部
・ジエチレングリコール
5部
・水
69.5部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂成分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラック「MA−100」(pH3.5;三菱化学(株)製)15部、2−プロパノール5部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行って粗大粒子を除去して、カーボンブラックを含む顔料分散液2とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液2を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧ろ過し、ブラックインク2を調製した。
・上記顔料分散液2
20部
・トリメチロールプロパン
5部
・ジエチレングリコール
10部
・2−ピロリドン
5部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.2部
・水
59.8部
<ブラックインク3>
前記例示化合物1を色材として含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、ブラックインク3を調製した。
・前記例示化合物1(式中のMはNH4+)
2部
・ジエチレングリコール
10部
・2−ピロリドン
5部
・2−プロパノール 5部
・水酸化ナトリウム
0.1部
・水
77.9部
<イエローインク1>
(顔料分散液3の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、
平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液に、C.I.Pigment Yellow
93を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行なった。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液3とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液3を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、イエローインク1を調製した。
・上記顔料分散液3
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<イエローインク2>
前記例示化合物2を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、イエローインク2を調製した。
・前記例示化合物2(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
<マゼンタインク1>
(顔料分散液4の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、
平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液にC.I.Pigment Red
122を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液4とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液4を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、マゼンタインク1を調製した。
・顔料分散液4
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<マゼンタインク2>
前記例示化合物3を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、マゼンタインク2を調製した。
・前記例示化合物3(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
<シアンインク1>
(顔料分散液5の調製)
・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、平均分子量7,000)
5.5部
・モノエタノールアミン
1.0部
・イオン交換水
67.5部
・ジエチレングリコール
5.0部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。更に、この溶液にC.I.Pigment
Blue 15:3を20部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー
・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して、顔料分散液5とした。
(インクの調製)
上記で得られた顔料分散液5を含む下記の成分を混合して、更にポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、シアンインク1を調製した。
・顔料分散液5
20部
・グリセリン
15部
・ジエチレングリコール
10部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製)0.3部
・水
54.7部
<シアンインク2>
前記例示化合物4を色材として含む下記の成分を用い、これらを溶解した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過し、シアンインク2を調製した。
・前記例示化合物4(式中のMはNH4+)
3部
・グリセリン
7部
・ジエチレングリコール
5部
・尿素
5部
・エタノール
2部
・水
78部
(評価及び評価基準)
<評価試験>
評価試験について以下に示す。
[評価1]
前記のようにして得られた本発明の構成を有する液体組成物1〜3及び比較例の液体組成物4を、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することにより液体組成物を吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッド(BC−02(キヤノン(株)製):ヒーター上の最表面保護層はタンタル及びタンタルの酸化物より成る)を有するインクジェット記録装置を用い、下記の条件で液体組成物を吐出させて評価した。上記インクジェット記録装置の液体組成物の吐出条件は、パルス幅1.1μs(On)+3.0μs(Off)+3.2μs(On)、駆動周波数6,250Hzで、Vth(吐出するぎりぎりの臨界電圧)を実測し、γ値=1.6に相当するVop(駆動電圧)を掛けて液体組成物を吐出させた。そして、この条件でインクジェット記録を行った場合の、インクジェット記録ヘッドにおける吐出耐久性及びヒータへのコゲ付着の発生状態を下記の方法及び基準で評価した。その結果を表1に示した。
1.吐出耐久性
前記装置と駆動条件で連続吐出を行い、1×106発おきに記録ヘッドから吐出される液滴を容器に収集して、電子天秤で秤量した。容器の増加量より1×106発における平均の吐出液滴量を算出した。尚、連続吐出は1×108発まで行い、下記の基準で評価した。
前記装置と駆動条件で連続吐出を行い、1×106発おきに記録ヘッドから吐出される液滴を容器に収集して、電子天秤で秤量した。容器の増加量より1×106発における平均の吐出液滴量を算出した。尚、連続吐出は1×108発まで行い、下記の基準で評価した。
A:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%以上
B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%未満〜70%
C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70%未満
D:途中で吐出不能に陥った
B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%未満〜70%
C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70%未満
D:途中で吐出不能に陥った
上記で得られた各着色インクと各液体組成物1〜3とを表2に示した組合わせを用いて記録紙に記録を行った。使用したインクジェット記録装置としては、図4に示したと同様の構成の記録装置を用い、図7に示した5つの記録ヘッドの内の2つの記録ヘッドを用いて画像を形成した。この際、液体組成物を先打ちして先ず記録紙上に付着させ、その後、着色インクを付着させる構成とした。記録紙上への液体組成物を付与する位置が、記録紙上へ着色インクが付与される位置と正確に重なるように調整した。尚、ここで用いた記録ヘッドは、360dpiの記録密度を有し、駆動周波数は5kHzとした。又、1ドット当たりの吐出体積は着色インクは80pl/dot、液体組成物は40pl/dotのヘッドを使用した。又、記録紙はPB用紙(キヤノン株式会社製:複写機用とインクジェット記録用の共用紙)と、XEROX 4024紙(ゼロックス株式会社製)を使用した。
2.画像の耐水性
各着色インクと液体組成物とをそれぞれ表2に示した組合わせを用いて、上記方法で印字して、印字物を1時間放置後、印字濃度をマクベスRD915(商品名:マクベス社製)にて測定を行う。その後、この印字物を水道水を満たした容器に3分間浸漬した後、放置、乾燥して再度印字濃度を測定し、印字物濃度の残存率を求め耐水性の評価とした。印字濃度の残存率が95%以上であることが実用上好ましい。評価結果を表2に示した。
各着色インクと液体組成物とをそれぞれ表2に示した組合わせを用いて、上記方法で印字して、印字物を1時間放置後、印字濃度をマクベスRD915(商品名:マクベス社製)にて測定を行う。その後、この印字物を水道水を満たした容器に3分間浸漬した後、放置、乾燥して再度印字濃度を測定し、印字物濃度の残存率を求め耐水性の評価とした。印字濃度の残存率が95%以上であることが実用上好ましい。評価結果を表2に示した。
印字物濃度の残存率=(水に浸漬後の印字濃度/水に浸漬前の印字濃度)×100
A:印字物濃度の残存率が95%以上
B:印字物濃度の残存率が85%以上95%未満
C:印字物濃度の残存率が85%未満
3.画像の印字品質(滲み)
同様の方法で英数文字(12ポイント)を印字し、1時間放置した後、目視で文字のシャープさや、文字の縁辺に発生するヒゲ状の滲みの発生度合いで評価した。評価結果を表2に示した。
A:印字物濃度の残存率が95%以上
B:印字物濃度の残存率が85%以上95%未満
C:印字物濃度の残存率が85%未満
3.画像の印字品質(滲み)
同様の方法で英数文字(12ポイント)を印字し、1時間放置した後、目視で文字のシャープさや、文字の縁辺に発生するヒゲ状の滲みの発生度合いで評価した。評価結果を表2に示した。
A:文字がシャープでヒゲ状の滲みもない
B:文字にシャープさがなく、滲みも少し発生
C:文字にシャープさがなく、滲みも多い
B:文字にシャープさがなく、滲みも少し発生
C:文字にシャープさがなく、滲みも多い
上記の普通紙2紙に、表3に示した組合わせの液体組成物と着色インクのセットとから成る各インクセットを用い、先ず液体組成物でベタ部を印字し、その直後液体組成物のベタ部の範囲上をブラックインクでベタ部を印字し、その直後にブラックインクのベタ部と隣接するように液体組成物のベタ部の範囲上をイエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクで各色のインクのベタ部を印字した。以上のようにして得られたベタ印字の境界部分を目視にて観察して、各着色インクとの間のブリーディングの評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
A:全ての境界部でブリーディングが認められない
B:僅かにブリーディングが見られるが、余り気にならない
C:殆ど全ての境界部でブリーディングがひどい
この評価結果を表3に示す。
B:僅かにブリーディングが見られるが、余り気にならない
C:殆ど全ての境界部でブリーディングがひどい
この評価結果を表3に示す。
(実施例37〜39及び比較例13)
ブラックインク及びイエロー、マゼンタ、シアンのカラーインクを組み合わせて実施例37〜39及び比較例13のインクセットを作製した。各々のインクは、下記に挙げる成分を用いて以下の方法で作製した。各インクセットを構成するブラックインクについては、前記した第1の実施形態の際に説明したと同様の顔料分散液1及び2を用い、下記に挙げた各成分と混合した後、ポアサイズが3μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過して作成した。又、各インクセットを構成するカラーインクについては、作製方法としては、液体組成物及び染料を色材とする着色インクについては、下記に挙げた各成分と混合した後、ポアサイズが0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)を用いて加圧濾過してそれぞれのカラーインクを調整した。表4に、実施例37〜39及び比較例13のインクセットの主な組成を示した。
<実施例37のインクセット>
(ブラックインク組成)
・上記顔料分散液1
40部
・グリセリン 8部
・トリメチロールプロパン
5部
・イソプロピルアルコール
4部
・水
43部
(イエローインク組成)
・C.I.アシッド・イエロー23 2.5部
・グリセリン
5部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・酢酸マグネシウム・4水和物 2部
・D−マンニトール
5部
・水
79.5部
(マゼンタインク組成)
・C.Iアシッド・レッド289 2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・硝酸マグネシウム・6水和物 1部
・D−ソルビトール
5部
・水
78部
(シアンインク組成)
・C.Iアシッド・ブルー9
2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製) 1部
・硝酸マグネシウム・6水和物 1部
・D−マンニトール
5部
・水
78部
<実施例38のインクセット>
(ブラックインク組成)
・上記顔料分散液1
40部
・グリセリン
5部
・ジエチレングリコール
5部
・2−ピロリドン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製) 0.3部
・水
44.7部
(イエローインク組成)
・C.I.アシッド・イエロー23 2.5部
・グリセリン
5部
・ジエチレングリコール
5部
・トリメチロールプロパン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・グルコン酸マグネシウム
1部
・D−マンニトール
5部
・水
75.5部
(マゼンタインク組成)
・C.Iアシッド・レッド289 2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・チオジグリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・硫酸マグネシウム・7水和物 2部
・D−マンニトール
5部
・水
73部
(シアンインク組成)
・C.Iアシッド・ブルー9
2部
・エチレングリコール
8部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・硝酸カルシウム・4水和物
1部
・D−マンニトール
5部
・水
73部
<実施例39のインクセット>
(ブラックインク組成)
・上記顔料分散液2
20部
・トリメチロールプロパン
5部
・ジエチレングリコール
10部
・2−ピロリドン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製) 0.2部
・水
59.8部
(イエローインク組成)
・C.I.アシッド・イエロー23 2.5部
・グリセリン
5部
・ジエチレングリコール 5部
・トリメチロールプロパン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・グリセロリン酸カルシウム
1部
・D−マンニトール
5部
・水
74.5部
(マゼンタインク組成)
・C.Iアシッド・レッド289 2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・チオジグリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・硫酸マグネシウム・7水和物 1部
・D−ソルビトール
5部
・水
73部
(シアンインク組成)
・C.Iアシッド・ブルー9
2部
・エチレングリコール
8部
・ジエチレングリコール
5部
・トリメチロールプロパン
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・硝酸マグネシウム・6水和物 1部
・キシリトール
5部
・水
73部
<比較例13のインクセット>
(ブラックインク組成)
・上記顔料分散液1
40部
・グリセリン
8部
・トリメチロールプロパン
5部
・イソプロピルアルコール
4部
・水
43部
(イエローインク組成)
・C.I.アシッド・イエロー23 2.5部
・グリセリン
5部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・水
86.5部
(マゼンタインク組成)
・C.Iアシッド・レッド289 2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製) 1部
・水
84部
(シアンインク組成)
・C.Iアシッド・ブルー9
2部
・グリセリン
8部
・ジエチレングリコール
5部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製)
1部
・水
84部
(評価及び評価基準)
<評価試験>
評価試験について以下に示す。
[評価1]
上記の実施例37〜39及び比較例13のインクセットのインクと、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッド(BC−02(キヤノン(株)製):ヒーター上の最表面保護層はタンタル及びタンタルの酸化物より成る)を有するインクジェット記録装置を用い、下記の条件でインクを吐出させて評価した。上記インクジェット記録装置のインクの吐出条件は、パルス幅1.1μs(On)+3.0μs(Off)+3.2μs(On)、駆動周波数6,250Hzで、Vth(吐出するぎりぎりの臨界電圧)を実測し、γ値=1.6に相当するVop(駆動電圧)を掛けてインクを吐出させた。そして、この条件でインクジェット記録を行った場合のインクジェット記録ヘッドにおける吐出耐久性及びヒータへのコゲ付着量を下記の方法及び基準で評価した。その結果を表5に示した。
(1)吐出耐久性
前記装置と駆動条件で連続吐出を行い、1×106発おきに記録ヘッドから吐出される液滴を容器に収集して、電子天秤で秤量した。容器の増加量より1×106における平均の吐出液滴量を算出した。尚、連続吐出は1×108発まで行い、下記の基準で評価した。
A:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%以上
B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%未満〜70%
C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70%未満
D:途中で吐出不能に陥った
(2)コゲ付着量
上記ヘッドの吐出耐久性で評価の終了した記録ヘッドを分解し、吐出耐久性の評価に使用したノズルのヒーター表面を光学顕微鏡(倍率400倍)で目視して、コゲの付着量を下記の基準で評価した。
B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90%未満〜70%
C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70%未満
D:途中で吐出不能に陥った
(2)コゲ付着量
上記ヘッドの吐出耐久性で評価の終了した記録ヘッドを分解し、吐出耐久性の評価に使用したノズルのヒーター表面を光学顕微鏡(倍率400倍)で目視して、コゲの付着量を下記の基準で評価した。
A:コゲの付着が殆ど見られない
B:コゲの付着が僅かに見られる
C:コゲの付着が多く見られる
D:コゲの付着が非常に多く見られる
B:コゲの付着が僅かに見られる
C:コゲの付着が多く見られる
D:コゲの付着が非常に多く見られる
実施例37〜42及び比較例13及び14
上記で得られた本発明の実施例37〜39及び比較例13のインクセットの各インクをそれぞれ搭載した、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するインクジェット記録装置であるカラーインクジェットプリンター(BJC−700J:キヤノン(株)製)を用いて画像を形成し、以下の(3)及び(4)についての評価を行った。
更に、本発明の実施例37〜39及び比較例13のインクセットをそれぞれ用いて、ブラックインクとカラーインクを被記録媒体上の同じ位置に付与し、且つ、カラーインクの被記録媒体への付与をブラックインクに先立って行える(下打ち)ようにして画像を作成した。この実施例37〜39のインクセットを用いた下打ち方法によるインクジェット記録方法を実施例40〜42とし、比較例13のインクセットを用いた下打ち方法によるインクジェット記録方法を比較例14とし、同様の評価を行った。尚、下打ち方法におけるブラックインクとカラーインクとの被記録媒体の単位面積当たりの付与量の比は、ブラックインク:カラーインク=10:2.5とし、該カラーインクの付与量の比は、イエローインク:マゼンタインク:シアンインク=1:1:1とした。
評価試験の用紙には、キヤノン製コピー用紙(商品名:PB PAPER)と、ゼロックス製コピー用紙(商品名:4024 PAPER)の普通紙2紙を用いた。又、得られた結果を表6に示した。
(3)ブラックインクとカラーインクとの間のブリーディング上記の普通紙2紙に各インクセット中のブラックインクでベタ部を印字し、その直後にそれと隣接するようにイエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクで各色のインクのベタ部を印字した。得られたベタ印字の境界部分を目視にて観察して、ブラックインクとカラーインクとの間のブリーディングの評価を行った。評価基準は以下の通りとした
A:全ての境界部でブリーディングが認められない
B:若干のブリーディングが見られる
C:殆ど全ての境界部でブリーディングがひどい
(4)ブラックインクとカラーインクとの隣接境界部におけるブラックインク部の濃度(白もやの発生)
上記の普通紙2紙に各インクセットでブラックインクでベタ部を印字し、その直後にそれと隣接するように、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクでベタ部を印字し、ブラックインクとの隣接境界部における白もやの発生を目視にて観察して評価した。評価基準は以下の通りとした。
評価試験の用紙には、キヤノン製コピー用紙(商品名:PB PAPER)と、ゼロックス製コピー用紙(商品名:4024 PAPER)の普通紙2紙を用いた。又、得られた結果を表6に示した。
(3)ブラックインクとカラーインクとの間のブリーディング上記の普通紙2紙に各インクセット中のブラックインクでベタ部を印字し、その直後にそれと隣接するようにイエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクで各色のインクのベタ部を印字した。得られたベタ印字の境界部分を目視にて観察して、ブラックインクとカラーインクとの間のブリーディングの評価を行った。評価基準は以下の通りとした
A:全ての境界部でブリーディングが認められない
B:若干のブリーディングが見られる
C:殆ど全ての境界部でブリーディングがひどい
(4)ブラックインクとカラーインクとの隣接境界部におけるブラックインク部の濃度(白もやの発生)
上記の普通紙2紙に各インクセットでブラックインクでベタ部を印字し、その直後にそれと隣接するように、イエロー、又はマゼンタ、又はシアンインクでベタ部を印字し、ブラックインクとの隣接境界部における白もやの発生を目視にて観察して評価した。評価基準は以下の通りとした。
A:境界部におけるブラックインク部の濃度の低下は見られず、白もやは発生していない
B:境界部のブラックインク部の濃度が低下し、白もやが発生しているのが分かるが実用上問題ない
C:境界部のブラックインク部の濃度の低下がひどく、白もやの発生が著しい
B:境界部のブラックインク部の濃度が低下し、白もやが発生しているのが分かるが実用上問題ない
C:境界部のブラックインク部の濃度の低下がひどく、白もやの発生が著しい
13 記録ヘッド
14 インク溝(ノズル)
15 発熱素子基板
16−1 保護層
16−2 最表面保護層
17−1,17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス
23 メニスカス
24 インク小滴
25 被記録媒体
26 マルチ溝(マルチノズル)
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 駆動ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基体
85 吐出口
91 イエローインク記録ヘッド
92 マゼンタインク記録ヘッド
93 シアンインク記録ヘッド
94 ブラックインク記録ヘッド
95 液体組成物記録ヘッド
96 キャリッジ
101 イエローインク流路
102 マゼンタインク流路
103 シアンインク流路
104 ブラックインク流路
105 液体組成物流路
111 イエローインク記録ヘッド
112 マゼンタインク記録ヘッド
113 シアンインク記録ヘッド
114 ブラックインク記録ヘッド
115 液体組成物記録ヘッド
121 イエローインク記録ヘッド
122 マゼンタインク記録ヘッド
123 シアンインク記録ヘッド
124 ブラックインク記録ヘッド
125 液体組成物記録ヘッド
131 イエローインク記録ヘッド
132 マゼンタインク記録ヘッド
133 シアンインク記録ヘッド
134 ブラックインク記録ヘッド
135 液体組成物記録ヘッド
141 イエローインク記録ヘッド
142 マゼンタインク記録ヘッド
143 シアンインク記録ヘッド
144 ブラックインク記録ヘッド
145 キャリッジ
151 イエローインク流路
152 マゼンタインク流路
153 シアンインク流路
154 ブラックインク流路
161 イエローインク記録ヘッド
162 マゼンタインク記録ヘッド
163 シアンインク記録ヘッド
164 ブラックインク記録ヘッド
171 イエローインク記録ヘッド
172 マゼンタインク記録ヘッド
173 シアンインク記録ヘッド
174 ブラックインク記録ヘッド
801 液体組成物記録ヘッド
802 着色インク記録ヘッド
803 被記録媒体
804 液体組成物
805 着色インク
806 液体組成物と着色インクの混合状態
14 インク溝(ノズル)
15 発熱素子基板
16−1 保護層
16−2 最表面保護層
17−1,17−2 電極
18 発熱抵抗体層
19 蓄熱層
20 基板
21 インク
22 吐出オリフィス
23 メニスカス
24 インク小滴
25 被記録媒体
26 マルチ溝(マルチノズル)
27 ガラス板
28 発熱ヘッド
40 インク袋
42 栓
44 インク吸収体
45 インクカートリッジ
51 給紙部
52 紙送りローラー
53 排紙ローラー
61 ブレード
62 キャップ
63 インク吸収体
64 吐出回復部
65 記録ヘッド
66 キャリッジ
67 ガイド軸
68 モーター
69 駆動ベルト
70 記録ユニット
71 ヘッド部
72 大気連通口
80 インク流路
81 オリフィスプレート
82 振動板
83 圧電素子
84 基体
85 吐出口
91 イエローインク記録ヘッド
92 マゼンタインク記録ヘッド
93 シアンインク記録ヘッド
94 ブラックインク記録ヘッド
95 液体組成物記録ヘッド
96 キャリッジ
101 イエローインク流路
102 マゼンタインク流路
103 シアンインク流路
104 ブラックインク流路
105 液体組成物流路
111 イエローインク記録ヘッド
112 マゼンタインク記録ヘッド
113 シアンインク記録ヘッド
114 ブラックインク記録ヘッド
115 液体組成物記録ヘッド
121 イエローインク記録ヘッド
122 マゼンタインク記録ヘッド
123 シアンインク記録ヘッド
124 ブラックインク記録ヘッド
125 液体組成物記録ヘッド
131 イエローインク記録ヘッド
132 マゼンタインク記録ヘッド
133 シアンインク記録ヘッド
134 ブラックインク記録ヘッド
135 液体組成物記録ヘッド
141 イエローインク記録ヘッド
142 マゼンタインク記録ヘッド
143 シアンインク記録ヘッド
144 ブラックインク記録ヘッド
145 キャリッジ
151 イエローインク流路
152 マゼンタインク流路
153 シアンインク流路
154 ブラックインク流路
161 イエローインク記録ヘッド
162 マゼンタインク記録ヘッド
163 シアンインク記録ヘッド
164 ブラックインク記録ヘッド
171 イエローインク記録ヘッド
172 マゼンタインク記録ヘッド
173 シアンインク記録ヘッド
174 ブラックインク記録ヘッド
801 液体組成物記録ヘッド
802 着色インク記録ヘッド
803 被記録媒体
804 液体組成物
805 着色インク
806 液体組成物と着色インクの混合状態
Claims (46)
- 着色インクと共に使用され、該着色インクと接触すると反応を生じるインクジェット記録用液体組成物であって、(a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される少なくとも1の化合物と、(c)液媒体とを含むことを特徴とする液体組成物。
- 前記多価金属塩の総含有量が、液体組成物全量に対して0.005〜20質量%、且つ、前記炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質の総含有量が液体組成物全量に対して0.005〜20質量%である請求項1記載の液体組成物。
- 前記多価金属塩が、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸及びポリオールリン酸エステルの多価金属塩から選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の液体組成物。
- 前記硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸及びポリオールリン酸エステルの多価金属塩が、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸鉄(II)、硝酸銅(II)、硝酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸鉄(II)、酢酸銅(II)、酢酸亜鉛、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸バリウム、グルコン酸鉄(II)、グルコン酸銅(II)、グルコン酸亜鉛、グリセロリン酸マグネシウム及びグリセロリン酸カルシウムを含む請求項3記載の液体組成物。
- 前記炭素数4以上の糖アルコールが、D−ソルビトール(別名:D−グルシトール)、L−ソルビトール(別名:L−グルシトール)、D−マンニトール、L−マンニトール、D−イジトール、L−イジトール、D−タリトール、L−タリトール、ズルシトール、アロズルシトール(別名:アリトール)、キシリトール、リビトール、D−アラビトール、L−アラビトール、meso−エリトリトール、D−トレイトール、L−トレイトールから選択される少なくとも1種である請求項1〜4の何れか1項に記載の液体組成物。
- (i)請求項1〜5の何れか1項に記載の液体組成物にエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、液体組成物を被記録媒体上に付与する工程;
(ii)色材と液媒体とを含み、且つ、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクにエネルギーを付与して被記録媒体に向けて吐出し、着色インクを被記録媒体上に付与する工程;を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で液体組成物と着色インクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするインクジェト記録方法。 - 前記着色インクの色材が、顔料である請求項6記載のインクジェット記録方法。
- 前記着色インクの色材が、少なくとも1つのカルボキシル基を有する染料である請求項6記載のインクジェット記録方法。
- 前記エネルギーが、熱エネルギーである請求項6〜8の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 液体組成物の被記録媒体上への付与を、着色インクの被記録媒体上への付与に先立って行う請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 液体組成物の被記録媒体上への付与を、着色インクの被記録媒体上への付与の後に行う請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 液体組成物の被記録媒体上への付与を、着色インクの被記録媒体上への付与の後に行い、その後、更に着色インクを被記録媒体上へ付与する請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 着色インクの被記録媒体上への付与を、液体組成物の被記録媒体上への付与の後に行い、その後、更に液体組成物を被記録媒体上へ付与する請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記液体組成物と前記着色インクとを、インクジェット記録装置から吐出直後に混合させ、その後、混合物を被記録媒体上へ付与する請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録方法。
- (1)請求項1〜5の何れか1項に記載の液体組成物と、(2)色材と液媒体とを含み、且つ、上記液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクとを組み合わせて成ることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の液体組成物を収容している液体組成物収容部と、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容しているインク収容部と、該液体組成物と該着色インクにエネルギーを付与して該液体組成物と該着色インクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとを具備していることを特徴とする記録ユニット。
- 前記インクジェット記録ヘッドが、金属及び金属酸化物から選ばれる物質を含む最表面保護層を備えたヒータを具備している請求項16記載の記録ユニット。
- 前記最表面保護層が、金属及び金属酸化物から選ばれる物質として、タンタル又はタンタルの酸化物を含む請求項17記載の記録ユニット。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の液体組成物を収容している液体組成物収容部と、色材と液媒体とを含み、且つ、上記液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容しているインク収容部とを具備していることを特徴とするインクカートリッジ。
- 液体組成物を収容している液体組成物収容部と、該液体組成物との接触によって該液体組成物と反応する着色インクを収容している着色インク収容部と、該液体組成物及び該着色インクにエネルギーを付与して該液体組成物と該着色インクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとが搭載されているインクジェット記録装置において、
上記液体組成物が請求項1〜5の何れか1項に記載の液体組成物であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録ヘッドが金属及び金属酸化物から選ばれる物質を含む最表面保護層を備えたヒータを具備し、且つ、該インクジェット記録装置が記録情報に応じて該ヒータにパルス状の電気信号を印加する手段を具備している請求項20記載のインクジェット記録装置。
- 前記金属及び金属酸化物から選ばれる物質が、タンタル又はタンタルの酸化物を含む請求項21記載のインクジェット記録装置。
- 前記液体組成物を吐出するために投入する前記エネルギー(Eop)が、下記の関係を満たす請求項20〜22の何れか1項に記載のインクジェット記録装置
1.10≦Eop/Eth≦1.90
(Ethは、記録ヘッドから液体組成物を吐出させるために必要な最小エネルギーである)。 - (1)色材と、液媒体と、多価金属塩と、炭素数4以上の糖アルコールから選択される少なくとも1つの化合物とを含むカラーインクと、(2)色材と液媒体とを含み、且つ、上記カラーインクとの接触によって該カラーインクと反応するブラックインクとを組み合わせて成ることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
- 前記カラーインクに含まれる多価金属塩の総含有量が、カラーインク全量に対して0.005〜20質量%、且つ、炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質の総含有量が、カラーインク全量に対して0.005〜20質量%である請求項24記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記多価金属塩が、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸及びポリオールリン酸エステルの多価金属塩から選択される少なくとも1種である請求項24又は25記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸及びポリオールリン酸エステルの多価金属塩が、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸鉄(II)、硝酸銅(II)、硝酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸鉄(II)、酢酸銅(II)、酢酸亜鉛、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸バリウム、グルコン酸鉄(II)、グルコン酸銅(II)、グルコン酸亜鉛、グリセロリン酸マグネシウム、グリセロリン酸カルシウムを含む請求項26記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記炭素数4以上の糖アルコールが、D−ソルビトール(別名:D−グルシトール)、L−ソルビトール(別名:L−グルシトール)、D−マンニトール、L−マンニトール、D−イジトール、L−イジトール、D−タリトール、L−タリトール、ズルシトール、アロズルシトール(別名:アリトール)、キシリトール、リビトール、D−アラビトール、L−アラビトール、meso−エリトリトール、D−トレイトール、L−トレイトールから選択される少なくとも1種である請求項24〜27の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ブラックインクの色材が、カーボンブラック及び顔料から選択される少なくとも1種である請求項24〜28の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ブラックインクの色材が、少なくとも1つのカルボキシル基を有する染料である請求項24〜28の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記ブラックインク及びカラーインク中の水の含有量が、それぞれインク全質量に対して35〜96質量%である請求項24〜30の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記カラーインクが、イエローインク、マゼンタインク及びシアンインクからなる群より選択される少なくとも1つのインクである請求項24〜31の何れか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記インクセットが、インクに熱エネルギーを印加してオリフィスから該インクを吐出させるためのヒータと、該ヒータを保護する金属及び金属酸化物から選択される物質を含む最表面保護層とを備えた記録ヘッドを有するインクジェットプリンタに使用されるインクセットである請求項24〜32の何れか1項に記載のインクジェット 記録用インクセット。
- 前記最表面保護層が、金属及び金属の酸化物から選ばれる物質として、タンタル又はタンタルの酸化物を含む請求項33記載のインクジェット記録用インクセット。
- (i)請求項24〜34の何れか1項に記載のインクセットに含まれるブラックインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該ブラックインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程;及び(ii)請求項24〜34の何れか1項に記載のインクセットに含まれるカラーインクにインクを吐出させるためのエネルギーを付与し、該カラーインクを被記録媒体に向けて吐出させて被記録媒体上に付与する工程;を有し、且つ、上記工程(i)及び(ii)を、被記録媒体上で該ブラックインクと該カラーインクとの接触状態が形成されるようにして行うことを特徴とするインクジェト記録方法。
- 前記ブラックインクと前記カラーインクを被記録媒体上において重なるように付与し、且つ、前記カラーインクの被記録媒体への付与を前記ブラックインクに先立って行う請求項35記載のインクジェット記録方法。
- 前記エネルギーが熱エネルギーである請求項35又は36記載のインクジェット記録方法。
- 請求項24〜34の何れか1項に記載のインクセットを構成しているインクをそれぞれ収容しているインク収容部、及び該インク収容部から供給されてくるインクにエネルギーを付与してインクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドを具備していることを特徴とする記録ユニット。
- 前記インクジェット記録用ヘッドが、金属及び金属酸化物から選ばれる物質を含む最表面保護層を備えたヒータを具備している請求項38記載の記録ユニット。
- 前記金属及び金属酸化物から選ばれる物質が、タンタル又はタンタルの酸化物を含む請求項39記載の記録ユニット。
- 請求項24〜34の何れか1項に記載のインクセットを構成しているインクをそれぞれ収容しているインク収容部を具備していることを特徴とするインクカートリッジ。
- 少なくともブラックインクとカラーインクとを組み合わせて成るインクセットを収容しているインク収容部と、該インク収容部から供給されてくるインクにエネルギーを付与してインクをそれぞれ吐出させるためのインクジェット記録ヘッドとが搭載されているインクジェット記録装置において、
前記インクセットが請求項24〜34の何れか1項に記載のインクセットであることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録ヘッドが、金属及び金属酸化物から選ばれる物質を含む最表面保護層を備えたヒータを具備し、且つ、該インクジェット記録装置が記録情報に応じて上記ヒータにパルス状の電気信号を印加する手段を具備している請求項42記載のインクジェット記録装置。
- 前記金属及び金属酸化物から選ばれる物質が、タンタル又はタンタルの酸化物を含む請求項43記載のインクジェット記録装置。
- 前記インクを吐出するために投入する前記エネルギー(Eop)が、下記の関係を満たす請求項42〜44の何れかに記載のインクジェット記録装置
1.10≦Eop/Eth≦1.90
(Ethは、記録ヘッドからインクを吐出させるために必要な最小エネルギーである)。 - (a)多価金属塩と、(b)炭素数4以上の糖アルコールから選択される物質と、(c)液媒体と、(d)色材とを含むことを特徴とするインクジェット用インク。
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JP2004173329A JP2005350577A (ja) | 2004-06-11 | 2004-06-11 | 液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録用インクセット、記録ユニット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット用インク |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004173329A JP2005350577A (ja) | 2004-06-11 | 2004-06-11 | 液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録用インクセット、記録ユニット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及びインクジェット用インク |
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-
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- 2004-06-11 JP JP2004173329A patent/JP2005350577A/ja not_active Withdrawn
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