JP5775294B2 - 画像形成装置、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム - Google Patents

画像形成装置、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関するものである。
複写機、複合機、又はプリンタ等の電子写真方式のカラー画像形成装置においては、一般的に、所定のテストチャート(パッチ画像)を用いた濃度制御に基づいて色補正処理が行われる。色補正処理においては、例えば、感光体、中間転写体、又は転写材を担持する転写材担持体上に濃度検出用のパッチ画像を形成し、当該パッチ画像の濃度を濃度検出用センサを用いて検出する。さらに、検出した濃度に応じて、帯電バイアス、現像バイアス、露光量等の画像形成プロセスにおける画像形成条件を補正することによって色補正が行われる。
かかる色補正処理では、一般的に、単色ごとのパッチ画像を形成することによって単色ごとに色補正が行われるが、複数色の現像剤(トナー)を重畳した場合に生じる画像濃度の変動に対して適切に対処できないことがある。例えば、複数色のトナーを重畳してトナー像を形成する場合、単色のトナーでトナー像を形成する場合と比較して形成されるトナー層の厚みが増すことに起因して、適切な転写電圧が変化し、トナー像の転写性が低下する転写不良が起こり得る。
例えば、中間転写体の表面に、マゼンタ(M)のトナー層が形成され、その上にシアン(C)のトナー層が重畳的に形成されることによって、多重色のトナー像が形成されるものとする。当該トナー像が中間転写体から記録材へ転写される場合、Cのトナー層が記録材上に直接転写され、その上にMのトナー層が転写される。その際、転写電圧の不足等に起因して、記録材の表面からの距離がCのトナー層よりも離れたMのトナー層において、その一部のみが記録材に転写され、残りが中間転写体に残存してしまう転写不良が生じることがある。このような転写不良が生じると、記録材に重ねて転写された複数のトナーを混合して得られる色が、シート表面から近い距離にあるトナー層の色(この場合、C)に偏ってしまい、形成される画像において多重色の色再現性が劣化してしまう。
この転写不良に対して、特許文献1では、上述の多重色の色再現性の劣化に対処すべく、各色のトナーの重ね合わせで表現される多重色のパッチ画像を含むテストチャートを印刷し、印刷後のテストチャートの測色結果に基づいて色補正を行う手法が提案されている。当該手法によれば、高濃度の多重色の色再現の劣化を生じさせるプロセス不良を検出することができる。
また、パッチ画像を形成する際の、上述のような色再現性の劣化や色むらといった画像不良は、転写処理のみならず、転写後のトナー像をシート上に定着させる定着処理においても生じ得る。一般に、普通紙の表面には段差が数μmの凹凸が存在する。このような普通紙に対して転写されたトナー像を定着させる際に、定着温度に依存して、普通紙の表面上の異なる領域ごとに、定着するトナー層の厚みにむらが生じることがある。具体的には、定着処理における定着温度が高い場合、又は圧接圧が高い場合、溶融したトナーが普通紙表面上の凸部から凹部に押し込まれることによってトナー層の厚みにむらが発生する。これにより、トナー層が厚くなる凹部では高彩度、トナー層が薄くなる凸部では低彩度の発色となり、特にトナー層が薄くなる部分に起因して、形成されるパッチ画像の発色が低彩度に偏ってしまう。また、シートの凹凸に合わせてパッチ画像内の微小な領域ごとに彩度のむらが色むらとして生じてしまう。
上述のような転写及び定着に起因した色むらを色補正処理によって低減し、画像不良の発生を抑制するためには、かかる画像不良を定量的に評価することが要求される。画像不良を定量的に評価する手法としては、例えば、特許文献1及び2による手法が提案されている。特許文献1では、上述のように多重色のパッチ画像を測色して得た測色値と予め定めた目標値との差分に基づいて、転写不良や定着不良を検出するとともに、当該検出結果に基づいて、画像形成装置のプロセス条件を調整する手法が提案されている。また、特許文献2では、画像形成装置から出力された評価用パターンを画像データとして読み取って得た色値に関する色差の最大値に基づいて、色むらを定量的に評価する手法が提案されている。
特開2006−259142号公報 特開2006−174182号公報
しかしながら、色むらが生じた画像の主観的な評価に影響し得る重要な要素として、色むらの空間周波数特性が知られている。このため、色むらを客観的かつ高精度に評価するためには、色むらの空間周波数を考慮することが必要になると考えられる。しかしながら、特許文献2では、色むらの空間周波数を考慮せずに画像品質を定量化しているため、色むらに起因した画像不良ついて客観的な評価を高精度に行うことは難しい。
さらに、色補正用に形成されるパッチ画像においては、画像形成装置本体又はその消耗品の製造時に生じる性能の差異、画像形成装置本体又はその消耗品の寿命、利用環境、印刷環境又は印刷条件に依存して、トナーの載り量が変化し得る。このため、転写や定着による色むらが発生していない場合でも、パッチ画像の色は必ずしも一定とはならない。従って、特許文献1のようにパッチ画像の測色値と目標値との差分に基づいて画像不良を検出する場合、当該検出結果が、印刷環境等の変化によるトナー載り量の変動と、転写や定着による色むらとの何れに起因しているかを判別することが難しいという問題がある。
本発明は、このような課題及び他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。本願発明は、特定のプロセスに起因する画像不良をより的確に評価する仕組みを提供することを目的とする。
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。画像形成装置は、複数のプロセスを含む画像形成プロセスを実行することで、色むらを検出するためのパッチ画像を記録材に形成する画像形成手段と、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じて定められた空間分解能で、記録材に形成されたパッチ画像を測色して測色値を取得する測色手段と、測色手段によって取得された測色値の特定の色成分における、n次(nは2以上の整数)の中心モーメントに基づく統計値と基準値との比較により、特定のプロセスに起因する色むらがパッチ画像に生じたことを検出する検出手段と、特定のプロセスに起因する色むらがパッチ画像に生じたことが検出手段によって検出されると、当該色むらが低減されるように、特定のプロセスに関する画像形成条件を調整する調整手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、例えば、特定のプロセスに起因する画像不良をより的確に評価する仕組みを提供することができる。
第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。 第1の実施形態に係るカラーセンサ50及び搬送ローラ対37、38の断面図である。 第1の実施形態に係る画像形成装置における制御機構及び画像解析部91の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係るカラーセンサ50の空間周波数特性(CTF特性)の一例を示す図である。 第1の実施形態に係るテストチャートのレイアウトの一例を示す図である。 第1の実施形態に係る画像形成装置における、パッチ画像の主観評価値と客観評価値との関係を示す図である。 の各評価値をグラフ化した図である。 第1の実施形態に係る画像形成装置における色むらの評価及び検出手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る画像形成装置における画像形成条件の調整手順を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係るテストチャートのレイアウトの別の一例を示す図である。 第2の実施形態に係るBのパッチ画像における彩度の標準偏差σCの一例を示す図である。 第2の実施形態に係るBのパッチ画像における色相の標準偏差σHの一例を示す図である。 画像形成装置の転写プロセスに起因した転写不良について説明するための図である。 画像形成装置の定着プロセスに起因した定着不良について説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
[第1の実施形態]
以下では、本発明における第1の実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一例として、電子写真方式のカラー画像形成装置に本発明を適用した場合について説明する。
<画像形成装置の全体構成>
まず、図1を参照して、画像形成装置10の構成について説明するとともに、画像形成プロセスを実行する画像形成部の動作について説明する。画像形成装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4つの現像色にそれぞれ対応する複数の画像形成ステーションを備える。各画像形成ステーションは、各色の現像剤(トナー)を用いて形成される現像剤像(トナー像)を担持する感光ドラム(像担持体)22Y、22M、22C、22Kと、各感光ドラムを帯電させる帯電ローラ23Y、23M、23C、23Kとをそれぞれ備える。帯電ローラ23Y、23M、23C、23Kによって帯電された感光ドラム22Y、22M、22C、22Kは、スキャナ部24Y、24M、24C、24Kによって露光される。スキャナ部24Y、24M、24C、24Kは、入力された画像データ信号に従って感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの表面を露光光で露光することによって、その表面上に静電潜像を形成する。
各画像形成ステーションは、Y、M、C及びKのトナーによる現像を行う現像器26Y、26M、26C、26Kと、これらの現像器にトナーを供給するトナーカートリッジ25Y、25M、25C、25Kとをさらに備える。現像器26Y、26M、26C、26Kは、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSを備える。画像形成装置10は、スリーブ26YS、26MS、26CS、26KSに現像バイアスを印加して感光ドラム22Y、22M、22C、22K上の静電潜像をトナーで現像することによって、感光ドラム上にトナー像を形成する。現像後の各トナー像は、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kから中間転写体27へ順に重ねて1次転写される。その後、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの近傍に設けられたクリーニング部35Y、35M、35C、35Kは、感光ドラム22Y、22M、22C、22K上に残存したトナーをその容器内に回収することによって感光ドラム表面をクリーニングする。
中間転写体27は、画像形成(印字)の際には感光ドラム22Y、22M、22C、22Kに接触した状態で、感光ドラム22Y、22M、22C、22Kの回転に伴って図1において時計回りに回転する。1次転写ローラ36Y、36M、36C、36Kに転写バイアスをそれぞれ印加することによって、感光ドラム22Y、22M、22C、22K上の各色のトナー像が中間転写体27上に転写される。その際、感光ドラム22Y、22M、22C、22K上の各色のトナー像は中間転写体27上に重畳的に転写され、それにより中間転写体27上に多重色のトナー像が形成される。当該トナー像は、中間転写体27の回転に伴って、2次転写ローラ28と対向ローラ34との間の2次転写位置に向かって搬送される。
画像形成装置10では、上述のトナー像の形成処理のタイミングに合わせて、給紙カセット21a又は手差し用の給紙トレイ21bから給紙された記録材(シート)Pが、2次転写位置へ搬送される。2次転写位置において2次転写ローラ28及び対向ローラ34によって狭持搬送されるシートPに対して、中間転写体27上のトナー像が2次転写される。クリーニング部29は、2次転写後に中間転写体27上に残存したトナーをその容器内に回収することによって、中間転写体27の表面をクリーニングする。
2次転写後のシートPは、定着部30へ搬送される。図1に示すように、定着部30は、シートPを加熱する定着ローラ31と、シートPを定着ローラ31へ圧接させる加圧ローラ32とを備える。定着ローラ31は、中空状に形成され、内部にヒータ33を内蔵する。定着部30において、シートPは、定着ローラ31及び加圧ローラ32によって搬送されながら、それらによって熱及び圧力を加えられる。それにより、シートP上のカラーのトナー像がシートPの表面に定着する。定着処理後のシートPは、搬送ローラ対37、38や排出ローラ(図示せず)によって搬送され、装置外部に設けられた排紙トレイ(図示せず)へ最終的に排出される。
(カラーセンサ50の構成)
本実施形態において、画像形成装置10は、シートPの搬送路上で定着部30より下流側に、搬送ローラ対37、38の間の領域にカラーセンサ50を備える。カラーセンサ50は、シートPに形成された色補正用のパッチ画像を読み取るために用いられ、本実施形態において画像情報の入力部(パッチ画像を測色して測色値を取得する測色手段)として機能する。以下では、図2の断面図を参照して、このカラーセンサ50の構成について簡単に説明する。同図に示すように、カラーセンサ50は、対向板51との間に、シートPを搬送するためのギャップGを形成している。定着部30から排出されたシートPが、搬送路上においてギャップGを通過する際に、シートP上のトナー像がカラーセンサ50によって検知される。カラーセンサ50は、シートPの表面を照らす白色LED60と、紙の摺擦や紙紛等からカラーセンサ50の内部を保護するコンタクトガラス61と、シートPからの反射光を導くセルフォックガラス62と、当該反射光を検知するセンサ63とを内部に備える。なお、シートPは、搬送ローラ対37、38によって狭持されることによってばたつきが抑制されながら、定着後のパッチ画像についてカラーセンサ50による測色が行われる。
本実施形態において、センサ63は、レッド(R)、グリーン(G)及びブルー(B)にそれぞれ対応する3ラインから成るカラーCCDラインセンサであり、例えば、長手方向(主走査方向)に800dpiのピッチで画素が配列されている。カラーセンサ50の位置において、ギャップGを搬送されるシートPに対して白色LED60から照射された光は、シートPの表面上で反射する。シートP表面に定着した画像からの反射光は、センサ63のRGBの各ラインセンサに入力される。センサ63は、シートPがギャップGを搬送される所定のタイミングにおいて、シートPの表面に形成された画像を読み取ることによって、主副走査方向に800dpiの空間分解能でRGB色情報を得ることができる。またカラーセンサ50は、各チャンネルについて12ビット4096階調の信号情報を取得することができる。
また、本実施形態において、画像形成装置10は、カラーセンサ50以外に、中間転写体27の近傍に濃度センサ41を備えていてもよい。この場合、濃度センサ41を用いて、中間転写体27の表面上に形成されるパッチ画像の濃度を測定することができる。
<画像形成装置の制御機構>
次に、図3(a)を参照して、画像形成装置10の制御機構について説明する。画像形成装置10の制御基板301は、CPU72と、画像形成装置10の制御プログラムを記憶したROM70と、CPU72がROM70から読み出した制御プログラムを展開するRAM71とを備える。ROM70及びRAM71は、CPU72に接続されている。RAM71はまた、CPU72が制御プログラムを実行する際に必要なデータを一時的に記憶し、CPU72による処理対象の画像データ信号を展開するためにも使用される。CPU72はまた、インターフェイス素子であるI/O73に接続され、I/O73を介して、A/D変換器74、D/A変換器75、及び制御基板301の外部の装置と接続されている。制御基板301内のCPU72は、I/O73を介してこれらの装置との間で情報をやりとりする。
制御基板301には、上述のカラーセンサ50と、画像形成装置10の動作状態や各種の指示等を表示する表示部90と、カラーセンサ50によって読み取られた画像を解析する画像解析部91とが接続されている。画像解析部91は、解析対象の画像データ、解析処理の途中の画像データ、又は解析結果のデータを保存するためのメモリ910を有する。なお、画像解析部91は、専用のハードウェアとして備えられていてもよいし、CPU72が実行可能なソフトウェアとして備えられていてもよい。また、制御基板301には、画像形成装置10内の各部の制御を行う各種制御部92がさらに接続されている。
このような構成及び制御機構を有する画像形成装置10においては、上述のように、転写プロセスや定着プロセス等の、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因して生じる色むらが問題となる。例えば、図13は、中間転写体27の表面に、Mのトナー層、Cのトナー層の順に重ねて形成された多重色のトナー像がシートPへ2次転写される様子を示しており、2次転写プロセスにおける転写電圧が不足している場合について示している。図13に示すように、転写電圧が不足している場合、Cのトナー層が中間転写体27からシートPへ正常に転写されたとしても、Mのトナー層はその一部のみがシートPへ転写され、残りが中間転写体27に残存してしまう場合がある。このような状態でシートPに定着した多重色の画像には、上述のように、色の偏りによる色再現性の劣化や、それが画像内で不均一に発生することによる色むらが生じてしまう。
また、例えば、図14は、シートPの表面に微小な凹凸が存在する様子とともに、定着温度の変化に応じて、形成されるトナー層の厚みにむらが発生する様子を示している。図14に示すように、定着温度が低い場合には、シートP上の凸部及び凹部に形成されるトナー層の厚みにむらは生じていない。一方で、定着温度が高くなるにつれて、凸部に形成されたトナー層が凸部から凹部へ押し込まれることによって、トナー層の厚みにむらが生じていることがわかる。その結果、トナー層が厚くなる凹部では高彩度、トナー層が薄くなる凸部では低彩度の発色となり、画像内において微小な領域ごとにシートの凹凸に応じて彩度のむらが色むらとして生じてしまう。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置10は、シートPに形成した色補正用のパッチ画像を、当該パッチ画像に生じた色むらを検出するのに適した空間分解能を有するカラーセンサ50によって測色する。また、得られた測色値に対して、画像解析部91において、以下で説明する解析処理を施す。ここで、画像形成装置10は、パッチ画像を測色する際のカラーセンサ50として、転写プロセスや定着プロセス等の特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に対応した空間分解能を有するカラーセンサ50を用いる。それにより、画像形成装置10は、特定のプロセスに起因する色むらを、その客観的な評価を通じて検出する。さらに、画像形成装置10は、当該検出結果に基づいて、色むらが生じる原因となったプロセスに関する画像形成条件を調整することによって、当該プロセスに起因した色むらを低減する。
<画像解析部における解析処理>
以下では、図3(b)を参照しながら、画像解析部91における解析処理について説明する。画像形成装置10による画像形成プロセスによってシートP上に形成されたパッチ画像を測色するカラーセンサ50における空間分解能の指標となる空間周波数特性として、コントラスト伝達関数(CTF:Contrast Transfer Function)がある。ここで、図4は、カラーセンサ50のCTF特性の一例を示す図である。CTF特性は、光学や画像工学において光の伝達特性を評価するために一般的に用いられ、空間周波数に対する像のコントラストを評価するものである。CTF特性は、特に矩形波を入力した場合に観測されるコントラストの伝達特性であり、0から1までの値で表わされる。矩形波の入力に対して、カラーセンサ50からの出力の最大値をImax、最小値をIminとすると、CTF特性は次式で与えられる。
CTF=(Imax−Imin)/(Imax+Imin) (1)
ここで、図4に示すCTF特性を表わす指標として、CTF特性の特性値202が所定のレベル(例えば、0.5)まで低下する空間周波数fCを導入する。
画像形成プロセスにおいて生じた色むらを主観的に評価する場合、色むらの空間周波数特性が評価に影響し得る。このため、色むらを客観的かつ高精度に評価するには色むらの空間周波数特性を考慮に入れる必要があると考えられる。図4では、空間周波数特性の特性値202とともに、一例として、事前の主観的評価に基づいて予め求めた、転写及び定着プロセスに起因した色むらを評価するために適した空間周波数fCについて図示している。これら適切な空間周波数fCは、各プロセスに起因した色むらの空間周波数に応じて変化する。事前の主観的評価によれば、図4に示すように、定着による色むらについて評価(検出)するためには、カラーセンサ50の空間周波数fCは0.5cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下(図4の範囲201)であることが適している。また、転写による色むらについて評価(検出)するためには、カラーセンサ50の空間周波数fCは1.0cycles/mm以上、8.0cycles/mm以下(図4の範囲200)であることが適している。
本実施形態に係る画像形成装置10は、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因した色むらの空間周波数に対応した空間分解能を有するカラーセンサ50によってパッチ画像を測色する。これにより、当該特定のプロセスに起因した色むらの検出精度を向上させ、当該プロセスに起因する画像不良をより的確に評価することを可能にする。また、画像形成装置10は、パッチ画像から色むらが検出された場合には、カラーセンサ50の空間分解能に対応するプロセスが、パッチ画像に生じた色むらの原因のプロセスであり、かつ、色むらによる画像品質の劣化原因となり得るプロセスであると特定できる。以下では、画像形成装置10におけるカラーセンサ50による測色の空間分解能を定めるパラメータとして、上記の空間周波数fCを用いる。具体的には、画像形成装置10では、空間周波数fCが、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じた範囲に含まれるカラーセンサ50を測色に用いる。例えば、転写プロセスや定着プロセスについては、空間周波数fCが図4に示す範囲に含まれるカラーセンサ50を測色に用いればよい。
なお、図4からわかるように、転写による色むらを検出するための空間周波数fCは、定着による色むらを検出する場合に比較して高い周波数となることがわかる。これは、定着による色むらよりも転写による色むらの方が、比較的高い空間周波数が主観的な評価に影響するためである。また、図4からわかるように、転写及び定着による色むらの何れも精度よく検出するためには、空間周波数fCが、範囲200と範囲201とが重複する範囲である1.0cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下となる空間分解能で測色すればよい。一方、転写及び定着による色むらの少なくとも何れかを精度良く検出するためには、空間周波数fCが、0.5cycles/mm以上、8.0cycles/mm以下となる空間分解能で測色すればよい。
(前処理部100)
以下では、転写及び定着プロセスの何れにも起因した色むらを精度よく検出できるように、各プロセスに共通の1.0cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下の空間周波数fCによって定まる空間分解能のカラーセンサ50を使用する。ただし、カラーセンサ50は、空間周波数fCによって定まる空間分解能よりも高い空間分解能で測色するものであってもよい。その場合、カラーセンサ50による測色値に対して、画像解析部91内の前処理部100において以下の処理を施すことによって、空間分解能を調整すればよい。
本実施形態に係る画像形成装置10において、カラーセンサ50による測色によって得られた測色値(RGB色情報)は、制御基板301を介して画像解析部91内の前処理部100に入力される。前処理部100は、入力された測色値から、特定のプロセスに起因した色むらを検出するために適した空間分解能の測色値を取得するために、隣接する複数の測色位置の測色値ごとに平均化処理を実行する。具体的には、前処理部100は、カラーセンサ50による読取対象のパッチ画像内における所定の面積を有する領域ごとに、その領域内に属する複数の測色位置における測色値の平均値を算出する。平均化を行う領域の面積については、空間周波数fCに応じて設定することができる。例えば、定着及び転写による色むらのそれぞれに対応して異なる面積が設定され、定着による色むらについて32×32ピクセル程度、転写による色むらについて8×8ピクセル程度の大きさの画素領域を平均化のための領域とすればよい。これにより、前処理部100は、空間周波数fCによって定まる空間分解能の測色値を算出することができる。最終的に、前処理部100は、算出したRGB色情報の平均値を、各測色位置の測色値(RGB色情報)として色処理部101へ出力する。前処理部100においてこのような平均化処理を実行する場合、カラーセンサ50と前処理部100とが測色手段として機能する。
ここで、1.0cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下の空間周波数fCの範囲については、実空間においておおよそ0.25mm以上、1.0mm以下の範囲に相当する。当該範囲は、例えば、カラーセンサ50が800dpiのカラーCCDセンサの場合、おおよそ4×4ピクセルから64×64ピクセルまでの画素領域について平均化したものに相当する。また、0.5cycles/mm以上、8.0cycles/mm以下の空間周波数fCの範囲については、実空間においておおよそ0.13以上、2.0mm以下の範囲に相当する。当該範囲は、例えば、カラーセンサ50が800dpiのカラーCCDセンサの場合、おおよそ4×4ピクセルから64×64ピクセルまでの画素領域について平均化したものに相当する。
(色処理部101)
前処理部100によって求められたRGB色情報は、次に色処理部101によって色度座標がLab色情報へ変換される。ここで、色度とは、色値のことであり、色度座標によって定められる色刺激の性質を定量化したものである。色度座標(色値座標)には「L(明度)ab」、「Lc(彩度)h(色相)」、「xyz」、「RGB」等の表色系がある。色処理部101は、RGB色情報からLab色情報へ色度座標を変換するための変換テーブルを保持している。色処理部101による変換後のLab色情報は、画像解析部91の内部のメモリ910に保持される。また、色処理部101は、例えば、パッチ画像内の異なる複数の測色位置について、前処理部100及び色処理部101による処理によって得られる測色値(色度)に対して所定回数(N回)の標本化を行う。これにより、色処理部101は、得られたLab色情報を、標本値としてメモリ910に保存する。ここで、一例として、図5に示すように、矢印の方向に搬送されるシートP上にパッチ画像601〜607が印刷されており、これらがカラーセンサ50によって測色されるものとする。この場合、拡大したMのパッチ画像605に示すように、各パッチ画像内で異なる複数の測色位置(図5の610)においてカラーセンサ50による測色が行われる。
(色度ばらつき算出部102)
次に、色度ばらつき算出部102は、メモリ910に保存されたN個の色度を読み出して、読み出した色度の平均値に対するばらつきとして、特定の色成分における2次の中心モーメントに基づく統計値を算出する。本実施形態では、当該統計値の一例として、メモリ910に保存されたN個の色度についての標準偏差を算出する場合について説明する。なお、当該統計値としては、標準偏差に代えて、分散を用いてもよい。また、当該統計値として、2次のみならず、3次以上の中心モーメントを用いてもよく、n次(nは2以上の整数)の中心モーメントであればよい。まず、測色された色度の平均値をLave、aave、bave、これらの平均値からの、明度、彩度、及び色相の各色成分の偏差をそれぞれΔLi、ΔCi、ΔHiとする。この場合、i=1〜N(Nは標本数)について、各偏差ΔLi、ΔCi、ΔHiは、
Figure 0005775294
のように算出される。ここで、θ=tan-1(bave/aave)である。さらに、明度、彩度、及び色相の各色成分の標準偏差σL、σC、σHは、
Figure 0005775294
のように算出される。
ここで、本実施形態に係る客観評価について検証するために、階調レベルが均一の(ベタの)、19枚の青色(B)のパッチ画像ついて、主観評価及び客観評価を行った結果について示す。用意した19枚のパッチ画像については、それぞれ転写条件及び定着条件を独立に変化させることによって異なる複数の画像形成条件で形成した。このように、パッチ画像ごとに、転写及び定着によって生じる色むらの程度を変化させている。主観評価における評価条件については、色温度5000ケルビン、照度600ルクスの環境において14人の被験者による目視による評価を行うことを条件とした。主観評価として順位尺度法を用いるとともに、転写及び定着による色むらについて被験者が順序付けを行うことによって評価を行った。さらに、色むらの客観評価値として、プロセスごとに測色値の特定の色成分における標準偏差を取得した。具体的には、転写による色むらについては色相成分の標準偏差σHを、定着による色むらについては彩度成分の標準偏差σCを取得した。
図6には、上述の評価の結果として、転写(702)及び定着(701)による色むらの主観評価値と客観評価値との関係について示している。また、図7は、図6に示す値をグラフ化した図である。ここで、主観評価値は、各画像についての評価値を100点で規格化した値であり、点数が高いほど、パッチ画像の品質がより劣化した印象を被験者が受けたことを表す。図6及び図7に示すように、主観評価値と客観評価値との間には強い相関があり、転写による色むらについては相関係数0.94、定着による色むらについては相関係数0.96という、何れも高い相関値が得られた。この結果から、主観評価に代えて、測色値(色度)の標準偏差を使用することによって、転写及び定着のプロセスによる色むらを客観的に評価可能であることが明らかとなった。特に、色成分のうち、色相成分の標準偏差σH、及び彩度成分の標準偏差σCをそれぞれ用いることによって、転写及び定着プロセスによる色むらのそれぞれを客観的に評価できることが明らかとなった。
画像解析部91の評価処理部10は、色度ばらつき算出部102によって上述のようにして得られた値に基づいて、入力された画像を客観的に評価する。本実施形態では、評価処理部10は、色度ばらつき算出部102において式(3)によって算出される測色値の各色成分の標準偏差と所定の閾値(基準値)との比較結果に基づいて、転写及び定着に起因した色むらに関する客観的な評価を行う。具体的には、評価処理部10は、色度ばらつき算出部102によって算出された各色成分の標準偏差が所定の閾値以下である場合には、転写又は定着による色むらが許容範囲内であることを示す判定結果を出力する。一方で、各色成分の標準偏差が所定の閾値を超える場合には、特定のプロセスに起因した色むらが検出されたことを示す判定結果を出力する。
ここで、評価処理部10において使用する閾値は、種々の方法によって決定することができる。例えば、図6及び図7に示す主観評価値と客観評価値との関係に基づいて予め定めてもよい。あるいは、主観評価において限度(閾値)に相当する色むらを有する画像を予め用意するとともに、その客観的な評価値に対応する主観評価値を閾値として定めてもよい。なお、当該閾値には、主として画像形成装置の製品出荷時に予め設定されるが、製品の出荷後にサービスマンやユーザによって入力された値が設定されてもよい。
本実施形態では、一例として、図7のグラフにおいて主観評価値が50の場合に対応する客観評価値(転写及び定着による色むらのそれぞれについて15、8.6)を、評価処理部10において使用する閾値として設定している。これらの値は、画像解析部91内のメモリ910に保存される。評価処理部10は、色度ばらつき算出部102によって算出される各色成分の標準偏差σL、σC、σHのうち、σHと閾値との比較によって転写による色むらを、σCと閾値との比較によって定着による色むらをそれぞれ検出する。
評価処理部10は、パッチ画像に色むらが生じたことを検出すると、測色に用いたカラーセンサ50についてのパラメータである空間周波数fCに対応するプロセスが、パッチ画像に色むらを生じさせた原因であると特定できる。
<色むらの評価及び検出手順>
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態に係る画像形成装置10における、特定のプロセスに起因した色むらの客観的な評価手順について説明する。なお、当該フローチャートの各ステップにおける処理は、制御基板301上のCPU72による制御に基づいて実行される。
S101で、CPU72は、色むらの評価用のテストチャートをシートPに印刷する。図5はテストチャートのレイアウト一例を示したものであり、それぞれ階調レベルが均一のパッチ画像601〜607がシートPに印刷されている。図5は、多重色R、G、Bのパッチ画像601〜603と、単色C、M、Y、Kのパッチ画像604〜607とが、矢印で示すシートPの搬送方向に沿って、搬送路上でカラーセンサ50によって測色され得る位置に直列に配置された場合を示している。テストチャートの印刷の後、S102へ移行する。
S102で、CPU72は、テストチャートの印刷後のシートPを搬送路上でカラーセンサ50の位置まで搬送するとともに、シートP上に印刷された各パッチ画像をカラーセンサ50を用いて測色する。当該測色には、空間周波数fCが評価対象の特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じた範囲内となる空間周波数特性によって定まる空間分解能のカラーセンサ50が用いられる。即ち、当該特定のプロセスに起因する色むらを検出するのに適した空間分解能を有するカラーセンサ50が用いられる。例えば、CPU72は、転写プロセスに起因した色むらを検出する場合には、1.0cycles/mm以上、8.0cycles/mm以下の空間周波数の範囲から、空間周波数fCを設定すればよい。なお、カラーセンサ50については、上述の空間分解能を有するハードウェアを画像形成装置10に設けることで実現できる。あるいは、カラーセンサ50は、その空間周波数fCをCPU72がソフトウェア処理により調整可能なものであってもよい。
あるいは、CPU72は、単一の特定のプロセスではなく、複数の特定のプロセスにそれぞれ起因する色むらを同時に検出する場合、当該複数のプロセスの何れにも対応した空間分解能のカラーセンサ50で測色を行えばよい。例えば、転写及び定着プロセスに起因した色むらを同時に検出する場合、カラーセンサ50は、空間周波数fCが1.0cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下の空間周波数の範囲内となる空間周波数特性であればよい。
CPU72は、このようなカラーセンサ50を用いて、シートP上の各パッチ画像の測色を開始する。カラーセンサ50は、シートPの搬送に伴って、図5の620の線に沿って、各パッチ画像内で異なる複数の測色位置(例えば、図5の610に丸で示す22箇所の位置)を測色する。その後、S103へ移行する。なお、S102では、特定の色むらの検出に適した空間周波数fCよりも高い空間分解能のカラーセンサ50で測色し、得られた測色値に対して上述の平均化処理を実行することで、低い空間分解能へ調整してもよい。
S103で、CPU72は、色度ばらつき算出部102を制御して、カラーセンサ50による測色によって得られた測色値の特定の色成分における2次の中心モーメントに基づく統計値として、標準偏差を算出する。さらに、S104で、CPU72は、評価処理部10を制御して、算出された標準偏差に基づいて色むらを評価する。具体的には、CPU72は、算出された標準偏差と基準値との比較により、が所定の許容範囲内にあるか否かに基づいて、特定のプロセスに起因した色むらがパッチ画像に生じたことを検出する。さらに、S104で、CPU72は、パッチ画像に色むらが生じたことを検出すると、S102の測色で用いたカラーセンサ50の空間周波数fCに対応するプロセスが、パッチ画像に色むらを生じさせた原因であると評価する。
また、CPU72は、複数の特定のプロセスに起因した色むらを同時に検出する場合には、S103で、各プロセスによる色むらを特定するための色成分について、測色値の標準偏差を算出する。さらに、S104で、CPU72は、算出した各色成分についての標準偏差に基づいて、パッチ画像に色むらが生じたことを評価処理部10によって検出する。例えば、評価処理部10は、算出された測色値の標準偏差のうち、色相成分の標準偏差σHに基づいて転写による色むらを検出することができ、彩度成分の標準偏差σCに基づいて定着による色むらを検出することができる。
その後、CPU72は、S105で、S103の検出結果を表示部90に表示してもよい。これにより、サービスマン又はユーザが色むらの検出の有無を視覚的に確認することができる。あるいは、検出結果を画像形成装置10内部のメモリ(メモリ910等)に保持しておき、サービスマン又はユーザの指示に応じて表示部90に表示してもよい。これにより、サービスマン又はユーザが画像不良の原因を認識することができ、当該画像不良に対して適切かつ迅速な対処をすることが可能となる。画像形成装置10がインターネットに接続されている場合には、メモリに保持した検出結果を外部のネットワーク装置から取得できるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に対応した空間分解能で、パッチ画像を測色する。また、当該空間分解能でパッチ画像を測色して得た測色値の特定の色成分における2次の中心モーメントに基づく統計値と基準値との比較により、当該特定のプロセスに起因する色むらがパッチ画像に生じたことを検出する。このように、本実施形態では、特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数を考慮してパッチ画像を評価する。これにより、測色の空間分解能に対応したプロセスを色むらの原因として特定できる。また、当該色むらの検出精度を向上させることができるとともに、色むらによる画像品質の劣化を招くプロセスを特定することが可能となる。即ち、特定のプロセスに起因する画像不良をより的確に評価することができる。
また、本実施形態では、測色値の特定の色成分について、絶対的な目標値との差分ではなく、標準偏差等の2次の中心モーメントに基づく統計値を用いてパッチ画像を評価する。これにより、パッチ画像に生じた画像品質の劣化の原因として、印刷環境によるトナー載り量の変動等の他の要因と、特定のプロセスによる色むらとを判別することが可能となる。
なお、本実施形態では、色むらの評価に使用する色度の色成分として、Lch表色系における明度、彩度、及び色相といった色成分を用いたが、本発明はこれらに限定されない。例えば、Lch表色系に対して、Lab表色系のa*やb*を含む、他の色度座標の色成分を任意に組み合わせてばらつきを算出してもよい。
本実施形態では、カラーセンサ50としてCCDラインセンサを用いたが、本発明はこれらに限定されない。例えば、0.5mm以下のアパーチャー径を有するマイクロフォトメータやマイクロデンシトメータ等の、光電子倍増管を光の強度検出に使用するカラーセンサ50であってもよい。また、RGB3色フィルタのカラーセンサを用いる場合について説明したが、多色のフィルタを追加した4種類以上のフィルタを用いたカラーセンサや、分光タイプのカラーセンサを用いることによっても高精度の測色が可能である。
本実施形態では、搬送路上で定着部30の下流にカラーセンサ50が配置された系について説明してきたが、画像形成装置10に対して一体又は外付けでイメージリーダ等を接続されていてもよい。その場合、当該イメージリーダをカラーセンサ50の代わりに測色器として使用すればよい。ただし、本実施形態における配置によれば、テストチャート(パッチ画像)の印刷を実行しながらオンラインでパッチ画像の測色を行うことができる。これにより、パッチ画像が印刷されたシートPをイメージリーダにセットして測色させる手間を省くことができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスの色むらの空間周波数を考慮した空間分解能でパッチ画像を評価することによって、当該特定のプロセスに起因した色むらの検出精度を向上させる実施形態を説明した。第2の実施形態では、第1の実施形態に係る画像形成装置における評価結果に基づいて、当該特定にプロセスに係る画像形成条件を調整することによって、そのプロセスに起因する色むらを低減し、画像品質の劣化を低減する実施形態について説明する。なお、説明の簡略化のため、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
以下では、図9のフローチャートを参照して、本実施形態に係る画像形成装置10における画像形成条件の調整手順について説明する。以下では、特に、転写及び定着プロセスによる色むらを、測色値の彩度及び色相の標準偏差からそれぞれ検出するとともに、色むらが検出されたプロセスの画像形成条件を調整する場合について説明する。なお、当該フローチャートの各ステップにおける処理は、制御基板301上のCPU72による制御に基づいて実行される。まず、S201〜S203の処理は、第1の実施形態におけるS101〜S103と同様である。なお、シートPに印刷されるテストチャートには、図5に示したテストチャートが使用される。
(定着プロセスに関する処理)
次に、S204で、CPU72は、評価処理部104によって彩度の標準偏差σCについて評価することによって、定着プロセスに起因する色むらについて評価する。図11は、ブルー(B)のパッチ画像における定着温度と彩度の標準偏差σCとの関係の一例を示す図である。図11に示すように、彩度の標準偏差σCは定着温度の上昇に伴って単調に増加し、所定の基準値(閾値)を超えるとパッチ画像に色むらが発生する。従って、当該閾値以下の範囲が、パッチ画像に色むらが生じない所定の許容範囲である。そこで、S204で、CPU72は、算出した彩度の標準偏差σCが当該許容範囲内であるか否かを判定する。CPU72は、彩度の標準偏差σCが許容範囲内である場合には、色むらが生じたことを検出するとともに、当該色むらの原因が定着プロセスであると特定した後、S205へ移行する。一方で、CPU72は、彩度の標準偏差σCが許容範囲内でない場合には、色むらは生じていないと判断し、S207へ移行する。
S207で、CPU72は、定着プロセスに起因する色むらを低減するために、定着プロセスに関する画像形成条件を調整する。具体的には、図11に示すように、現在の定着温度が、所定の閾値を超えた彩度の標準偏差σCに対応するT1度である場合、当該定着温度をΔtだけ低いT2度に変更する。その後、CPU72は、S209で、変更後の定着温度その他の画像形成条件に関する情報を表示部90に表示することによって、定着温度を変更したことをサービスマンやユーザに通知してもよい。なお、S201〜S204、S207及びS209の処理は、彩度の標準偏差σCが所定の許容範囲内となるまで実行される。それにより、定着プロセスに起因した色むらを許容範囲内まで低減することができる。
(転写プロセスに関する処理)
上述の定着プロセスに関する処理が完了すると、S204からS205へ処理が移行する。S205で、CPU72は、算出した色相の標準偏差σHが所定の許容範囲内であるか否かを判定する。ここで、図12は、ブルー(B)のパッチ画像における転写電圧と色相の標準偏差σHとの関係の一例を示す図である。図12に示すように、色相の標準偏差σHは転写電圧に対して、1つの変曲点を含む下に凸の変化を示し、所定の閾値より色相の標準偏差σHが超える領域は、転写不良が生じる領域に相当する。例えば、Vtr2よりも低い部分に存在する転写不良が生じる領域は、転写電圧が不足する領域であり、一方で、Vtr5よりも高い部分に存在する転写不良を生じる領域は、転写電圧が過剰な領域である。
転写プロセスに関する評価を行うために、図5に示したテストチャートのレイアウトに代えて、図10に示すレイアウトを使用してもよい。図10にテストチャートでは、矢印の方向に搬送されるシートP上にパッチ画像1101〜1106が印刷されており、図5の場合と同様、これらがカラーセンサ50によって測色される。画像形成装置10は、当該テストチャートを印刷する際、パッチ画像ごとに2次転写電圧を変化させながら印刷する。例えば、図10に示すように、パッチ画像1101〜1106について、2次転写電圧を昇順にVtr1からVtr6に設定して印刷する。このようにすることで、1枚のテストチャートの印刷により、S203で、複数の2次転写電圧について色相の標準偏差σHを同時に算出可能となる。
この場合、S205で、CPU72は、算出した各標準偏差σHが、所定の許容範囲内であるか否かを判定する。具体的には、CPU72は、各標準偏差σHが何れも図12に示す所定の閾値を超える場合には、色むらが生じたことを検出するとともに、当該色むらの原因が転写プロセスであると特定した後、S20へ移行する。S208で、CPU72は、転写プロセスに起因する色むらを低減するために、転写プロセスに関する画像形成条件を調整する。例えば、CPU72は、転写電圧Vtr1〜Vtr6に対する色相の標準偏差σHの変化を観察することによって、標準偏差が減少する方向に2次転写電圧を変化させ、かつ再設定すればよい。その後、S209で、必要に応じて転写プロセスの画像形成条件の変更に関する情報を表示部90に表示するとともに、S201〜S205の処理を再度実行する。なお、S208における2次転写電圧の変更によって、トナーの載り量の変化等が生じる結果、定着プロセスに起因した色むらが再び生じる可能性がある。このため、2次転写電圧をS208で変化させた場合には、上述の定着プロセスに関する処理を再び実行することによって、定着温度を調整することが望ましい。
S205で、CPU72は、何れかの標準偏差σHが許容範囲内である場合には、それら標準偏差に対応する2次転写電圧から、その後の印刷において使用する2次転写電圧を選択する。例えば、図12の場合、CPU72は、Vtr2〜Vtr5の何れかから2次転写電圧に選択する。ここで、複数の2次転写電圧が選択肢として存在する場合には、最も低い値(図12ではVtr2)を2次転写電圧として選択することが望ましい。これは、多重色のトナー像をシートPに重ねて形成する場合と単色のトナー像をシートPに形成する場合の何れにおいても、良好な転写効率を維持するためである。即ち、多重色の場合には適切な2次転写電圧であっても、単色の場合には過剰な2次転写電圧となり得るため、単色及び多重色の何れにも対応するためには、2次転写電圧を可能な限り低く設定することが望ましい。
S205で、適切な2次転写電圧が設定されると、処理がS206へ移行する。S206でCPU72は、それまでの処理結果に関する情報を、表示部90に表示することによって、それらの情報をサービスマンやユーザに通知してもよい。その後、処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置は、色むらの原因として特定されたプロセスについて、さらに、色むらを低減するように画像形成条件を調整する。これにより、第1の実施形態による効果に加えて、さらに、特定のプロセスに起因した色むらが招く画像品質の劣化を的確に低減することが可能となるという効果を奏する。
とりわけ、本実施形態に係る画像形成装置は、上述のように、転写不良の原因となる色むらが許容範囲内に低減されるまで、転写プロセスに関する画像形成条件の調整を繰り返す。このため、従来のPTVC制御等では対処できなかった比較的高い抵抗値の記録材についても、転写不良を低減することが可能となる。即ち、記録材の種類に依存せずに、転写プロセスに起因した画像品質の劣化を軽減することが可能となる。
[その他の実施形態]
上述の第1及び第2の実施形態において図8及び図9を参照して説明した処理の一部は、画像形成装置に限られず、画像の読取(スキャナ)機能を備えるホストコンピュータ(ホストPC)等の画像処理装置において実行することも可能である。この場合、まず、色むらに起因する画像不良の評価対象である画像形成装置10において、S101(S201)の処理を実行して、色むらの評価用テストチャート(パッチ画像)をシートに印刷する。ホストPCは、シート上に印刷されたパッチ画像を読み取って得た画像データに基づいて、特定のプロセスに起因した色むらを検出及び評価する。即ち、S102〜S105(S202及びS203)の処理をホストPCにおいて実行する。
具体的には、S102(S202)で、ホストPCは、画像形成装置10において印刷されたシート上のパッチ画像をスキャナ機能により読み取って、画像データを得る。また、ホストPCは、当該画像データから、所定の画像処理により、上述の特定のプロセスに対応した空間分解能でパッチ画像を測色した際の測色値を取得する。次に、S103(S203)で、ホストPCは、S102(S202)で得られた測色値の特定の色成分における2次の中心モーメントに基づく統計値(例えば、標準偏差)を算出する。さらに、ホストPCは、当該算出結果に基づいて、第1及び第2の実施形態の画像形成装置と同様の処理により、特定のプロセスに起因した色むらがパッチ画像に生じたことを検出する。
ホストPCにおける色むらの検出結果は、画像形成装置における特定のプロセスに関する画像形成条件の調整に使用することが可能である。即ち、ホストPCにおける色むらの検出結果を示すデータをホストPCから画像形成装置に提供するとともに、画像形成装置において当該データに基づいてS207及びS208の処理を実行すればよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

Claims (11)

  1. 画像形成装置であって、
    複数のプロセスを含む画像形成プロセスを実行することで、色むらを検出するためのパッチ画像を記録材に形成する画像形成手段と、
    前記画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じて定められた空間分解能で、前記記録材に形成された前記パッチ画像を測色して測色値を取得する測色手段と、
    前記測色手段によって取得された測色値の特定の色成分における、n次(nは2以上の整数)の中心モーメントに基づく統計値と基準値との比較により、前記特定のプロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出する検出手段と、
    前記特定のプロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことが前記検出手段によって検出されると、当該色むらが低減されるように、前記特定のプロセスに関する画像形成条件を調整する調整手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記測色手段は、
    前記特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に対応した空間分解能で、前記記録材に形成された前記パッチ画像内の複数の測色位置をそれぞれ測色して複数の測色値を取得し、
    前記検出手段は、
    前記特定の色成分について、前記測色手段によって取得された前記複数の測色値の前記統計値を算出する算出手段と、
    前記算出手段によって算出された前記統計値と前記基準値との比較により、当該統計値が許容範囲内にあるか否かを判定する判定手段とを備え、
    前記判定手段によって前記統計値が前記許容範囲内にないと判定されると、前記パッチ画像に前記特定のプロセスに起因する色むらが生じたことを検出すること
    を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記測色手段は、
    前記特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に対応した空間分解能よりも高い空間分解能で、前記記録材に形成された前記パッチ画像内の複数の測色位置をそれぞれ測色して得た複数の測色値について、隣接する複数の測色位置ごとに平均化処理を実行して、当該色むらの空間周波数に対応した空間分解能による測色値を取得すること
    を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記特定のプロセスは、転写プロセスであり、
    前記測色手段の空間分解能は、1.0cycles/mm以上、8.0cycles/mm以下の空間周波数の範囲内において特性値が0.5になる空間周波数特性によって定まる空間分解能であり、
    前記検出手段は、前記測色手段によって取得された測色値の色相成分についての前記統計値に基づいて、前記転写プロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記特定のプロセスは、定着プロセスであり、
    前記測色手段の空間分解能は、0.5cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下の空間周波数の範囲内において特性値が0.5になる空間周波数特性によって定まる空間分解能であり、
    前記検出手段は、前記測色手段によって取得された測色値の彩度成分についての前記統計値に基づいて、前記定着プロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記測色手段の空間分解能は、前記画像形成プロセスに含まれる複数の特定のプロセスにそれぞれ起因する色むらの空間周波数に対応した空間分解能であり、
    前記検出手段は、前記複数の特定のプロセスのそれぞれについて、対応する色成分の前記統計値と前記基準値との比較により、当該特定のプロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出し、
    前記調整手段は、前記複数の特定のプロセスのうち、前記検出手段によって検出された色むらの原因となったプロセスに関する画像形成条件を調整すること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記複数の特定のプロセスは、転写プロセスおよび定着プロセスであり、
    前記測色手段の空間分解能は、1.0cycles/mm以上、4.0cycles/mm以下の空間周波数の範囲内において特性値が0.5になる空間周波数特性によって定まる空間分解能であり、
    前記検出手段は、前記測色手段によって取得された測色値の、色相成分についての前記統計値に基づいて、前記転写プロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出し、彩度成分についての前記統計値に基づいて、前記定着プロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出すること
    を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記統計値は、標準偏差又は分散であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
  9. 複数のプロセスを含む画像形成プロセスを実行する画像形成装置によって記録材に形成される画像に生じた色むらを検出するための画像処理装置であって、
    色むらを検出するためのパッチ画像が前記画像形成装置によって形成された記録材を読み取る読取手段と、
    前記読取手段で読み取って得た画像データから、前記画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じて定められた空間分解能で前記パッチ画像を測色した際の測色値を取得する測色手段と、
    前記測色手段によって取得された測色値の特定の色成分における、n次(nは2以上の整数)の中心モーメントに基づく統計値と基準値との比較により、前記特定のプロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出する検出手段と
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  10. 複数のプロセスを含む画像形成プロセスを実行する画像形成装置によって記録材に形成される画像に生じた色むらを検出するための画像処理方法であって、
    色むらを検出するためのパッチ画像が前記画像形成装置によって形成された記録材を読み取る読取工程と、
    前記読取工程において読み取って得た画像データから、前記画像形成プロセスに含まれる特定のプロセスに起因する色むらの空間周波数に応じて定められた空間分解能で前記パッチ画像を測色した際の測色値を取得する測色工程と、
    前記測色工程において取得された測色値の特定の色成分における、n次(nは2以上の整数)の中心モーメントに基づく統計値と基準値との比較により、前記特定のプロセスに起因する色むらが前記パッチ画像に生じたことを検出する検出工程と
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  11. 請求項10に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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