以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、コールター法で測定した個数平均粒径が3.2〜4.0μmであることにより、定着紙の平滑性が低下しても、格段に画像の粒状度が向上し、ガサツキのないなめらかな画像を得ることができる。個数平均粒径が3.2μm未満になると母体の凝集性が非常に高くなってしまうので、非常に多くの添加剤の添加(外添)が必要となり、これにより低温定着性が悪化するので、画像の粒状度が低下する。また母体の凝集性が非常に高いので、添加剤の均一添加が困難となり、長期の使用において添加剤の脱離が発生し、トナーの流動特性が悪化する。個数平均粒径が4.0μmを超えると、定着紙の平滑性が高い場合は大きな不具合は無いが、リサイクル紙のような定着紙の平滑性が低い場合、十分な画像の粒状度が得られなくなる。
本発明において、トナーの個数分布の変動係数(個数分布の標準偏差/個数平均粒径)が17.0〜22.0であるということは、個数の分布が狭分布であるということである。個数平均粒径が3.2〜4.0μmであると母体の凝集性が高いうえに、トナーの個数分布の変動係数(個数分布の標準偏差/個数平均粒径)が17.0未満であると狭分布であるため、さらに母体の凝集性が高まり添加剤の均一固定化が困難となり、長期の使用において添加剤の脱離などが発生し、画像スジやかぶりを発生させる。トナーの個数分布の変動係数が22.0を超えると、定着紙の平滑性が高い場合は大きな不具合は無いが、リサイクル紙のような定着紙の平滑性が低い場合、十分な画像の粒状度が得られなったり、厚紙を使用した場合に粒子サイズの分布幅が広いと、トナーの熱伝導性が不均一となり、定着むらが発生してしまい、紙種対応性が低下する。特に厚紙での定着むらは、出力画像を展示した場合に長期の日光や蛍光とうの光、降水により画像の劣化が顕著になり、色が抜けてしまう。トナーが定着紙に十分に定着している場合は画像の最表面に離型剤が染み出し、その内側に樹脂が溶融して顔料を覆うことができるので、光や水により顔料が分解することを抑制できると考える。定着むらが発生している部分はトナー層の厚みが薄かったり、十分に溶融していないので、顔料が画像の最表面に露出している部分が発生するので、光や水により顔料が分解しやすくなると考える。
つまり、トナーの個数分布の変動係数(個数分布の標準偏差/個数平均粒径)が17.0〜22.0であることにより、安定したトナー流動特性が得られ、定着の紙種対応性が高く、耐光性、耐水性の高い画像を得ることができる。
本発明のトナーは分級工程後のトナー母体粒子において、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有することにより、添加剤の均一分散性と固定化に優れ、添加剤を添加し、篩工程を経たトナー粒子においてもフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有するトナーをえることができる。トナーの0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が10個数%を超えると、トナーの凝集性が高まり、保管による凝集度の悪化が発生してしまう。母体粒子において3個数%以上含有しているので、トナーにおいても3個数%以上含有する。
本発明のトナー母体粒子は小粒径であり凝集性は高いものの、個数の分布が狭分布であり粒子径の均一性が高いため、添加剤混合工程において、混合のトルクが低くなってしまう。これにより、添加剤の解砕性が低下し、添加剤の凝集体が多く存在してしまい、均一分散と固定化が困難になってしまうが、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有することにより、混合のトルクが高まり、適度なトルクを得ることができるため、添加剤の解砕性が向上する。母体粒子にてフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3個数%未満であるとこの効果が不十分であり添加剤の解砕性が低下し、篩工程を経ても、一部凝集した添加剤が篩で除去しきれず、えられたトナーはフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が10個数%を超えてしまう。母体粒子にて10個数%を超えていると、当然のことであるが、トナーの0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が10個数%を超えてしまう。
つまり、本発明のトナーは小粒径で狭分布であるので、添加剤を均一固定化するためには、母体粒子において、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有することが必要であり、これにより十分に添加剤が解砕され、均一固定化したトナーが得られる。このようにして得られたトナーは添加剤の脱離や凝集体がないので、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有しており、これにより保存による凝集度の悪化がなく、安定した流動特性が確保でき、紙種対応性が高いトナーを得ることができる。さらにフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子は、熱伝導性が非常に高いので、この範囲の粒子を3〜10個数%含有することにより、トナーの低温定着性が得られ、耐光性、耐水性の高い画像を得ることができる。3個数%未満ではこの効果が不十分である。この粒度分布の範囲の粒子は生産方式として粉砕法、重合法のいづれで生産された場合でも、組成が不均一となりやすい。粉砕法の場合は、離型剤や、やや凝集している顔料が粉砕界面となり、0.6〜2.0μmの円相当径のトナー粒子には離型剤が多い構成となりやすい。重合法の場合でも均一合成ができず、離型剤が入っていなかったり、コアシェル構造の場合は、コアがなく、シェルのみであったりするので、この範囲の粒子は10個数%未満であることが良い。10個数%を超えると粉砕法からなるトナーは離型剤が多いことによる光沢性の低下や、顔料が粉砕界面となり露出していることによる耐光性、耐水性の低下が発生する。重合法からなるトナーは定着性の低下が発生し、これにより十分な耐光性、耐水性が得られない。フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%含有することにより、不具合なく低温定着性が向上し、十分な定着性が得られることから耐光性、耐水性に高い画像を得ることができる。
本発明において、さらにコールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が1.0〜10.0個数%であることにより前述のトナー母体への添加剤の均一固定化がさらに促進される。個数平均粒径が3.2〜4.0μmである母体粒子と、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子は粒子径が大きく異なってくるので、混合性が良くない。コールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が1.0〜10.0個数%含有することにより、混合エネルギーにより均一混合できる。
コールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が10.0個数%を超えると、粉砕トナーの場合は分級工程のみでは粒度分布としてフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が10個数%を超えやすくなってしまう。コールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が10.0個数%を超えている分布において、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%の分布を得るためには、添加剤混合工程の後の篩工程にて、100メッシュや250メッシュなどを用いて一般的な篩工程を行った後で、再度846メッシュ程度の極めて目開きの小さいメッシュを用いて0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子が3〜10個数%の範囲になるように篩わなければならなく、生産性が低下する。このため、生産方法としては重合トナーのほうが好ましく、製法が限定されてしまう。1.0個数%未満であると混合性が不十分となり個数平均粒径が3.2〜4.0μmである母体粒子と、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子が分離してしまい、混合工程での適度なトルクが得られず、添加剤の均一固定化に不利になるので、添加剤の混合方法を検討する必要がある。混合工程において一度に母体と添加剤の全量を投入し、最初から高速に混合すると、添加剤の凝集体が残存し、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子が10.0個数%を超えてしまう。このような場合は二段混合が良い。二段混合により添加剤の凝集体を解砕し、固定化することができるので、コールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が1.0個数%であってもコールター法で測定した個数平均粒径が3.2〜4.0μmであり、トナーの個数分布の変動係数(個数分布の標準偏差/個数平均粒径)が17.0〜22.0であり、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3.0〜10.0個数%であるトナーを得ることができる。
以下二段混合を説明する。
添加剤の流動性が異なる複数の添加剤を混合する場合や、母体の凝集性が高い場合は、二段混合が良い。複数の添加剤のうち、流動性付与効果の最も低い第一の添加剤を、第一の添加剤の全投入量のうちの50〜100重量%を先添加し混合機により混合し(一段目混合)、ついで、第一の添加剤の残り全量とそれ以外の添加剤全量を加え混合機により混合する工程(二段目混合)を加えることにより、均一に混合され、かつ、適度にトナー母体表面に固定化できる。一段目混合により第一の添加剤とトナー母体表面との粉体トルクがかかり、第一の添加剤は解砕され、均一化する。
一段目混合時は第一の添加剤の全投入量のうちの50〜100重量%添加することにより効果的であり、この割合によりトナーの流動性や帯電量が変化するので、所望の特性により決定すればよい。全投入量のうちの50重量%未満であると一段目混合時の解砕効果が不十分である。一段目混合により第一の添加剤が均一化され、かつトナーの流動性は向上しているので二段目混合に第一の添加剤の残り全量とそれ以外の添加剤全量を加え混合することにより、添加剤のトナー母体表面への均一固定化が進み、長期の使用においてトナー母体表面からの遊離の無いトナーを得ることができる。
添加剤が一種類の場合は添加剤の全投入量のうちの30〜50重量%を先添加し混合機により混合し(一段目混合)、ついで、第一の添加剤の残り全量を加え混合機により混合する工程(二段目混合)を加えることにより、同様の効果が得られる。
このときの混合装置としては、例えばV型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられるが、回転羽根を有する混合装置にて、前記回転羽根の周速が一段目混合において3〜10m/sであり、二段目混合が20〜60m/sであることにより最も効果的に一段目混合での解砕、均一化と二段目混合でのトナー母体への均一固定化が進む。
一段目混合は低速度であるほうが、粉体トルクがかかり、添加剤の解砕、均一化に有利であり、また低速度であるためトナー母体へ負荷をかけないため3〜10m/sが好ましい。3m/s未満であると混合されず、10m/sを超えると解砕、均一化が不十分である。
二段目混合は20〜60m/sである。周速をあげるほうが、トナー母体への添加剤の固定化が進み有利であるが、一般的には40m/sを超えるとトナーに負荷がかかってしまいトナーが融着してしまったりするので、40m/s以上にはできない。ところが、本発明のトナーは、一段目混合によりトナー母体表面に添加剤が被覆されているためトナー母体同士の付着性が低下しており、また母体表面に無機微粒子が付着することで表面硬度が硬くなっているので、60m/sまで高くしてもトナー母体同士の融着による凝集の発生が無い。これにより十分なトナー母体への添加剤の固定化が達成できる。
添加剤は疎水性シリカ、酸化チタン、酸化アルミナ、酸化ジルコニウムのいずれかであることにより帯電の環境安定性やクリーニング性、転写性が高まる。
[トナー粒子の粒度分布の測定方法]
本発明におけるトナー粒子の粒度分布は、コールターマルチサイザーII型(コールター社製)により測定される。以下に測定方法を詳述する。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくは(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)を0.1〜5ml加える。ここで、電解水溶液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。
ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
得られた分布から、下記式1により、トナーの重量平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。
チャンネルとしては、 1.26〜 1.59μm未満;
1.59〜 2.00μm未満;
2.00〜 2.52μm未満;
2.52〜 3.17μm未満;
3.17〜 4.00μm未満;
4.00〜 5.04μm未満;
5.04〜 6.35μm未満;
6.35〜 8.00μm未満;
8.00〜10.08μm未満;
10.08〜12.70μm未満;
12.70〜16.00μm未満;
16.00〜20.20μm未満;
20.20〜25.40μm未満;
25.40〜32.00μm未満;
32.00〜40.30μm未満;
40.30〜50.80μm未満
の16チャンネルを使用し、粒径1.26μm以上50.80μm未満の粒子を対象とする。
(式中、D=2(ch+0.5)/3、chは各チャンネル、nは測定粒子の個数を表わす。)
以下、本発明のトナーにおける更に好ましい点について説明する。
重量平均粒径(Dv)が3.7〜4.5μmであることにより画像の粒状度がさらに向上する。
一般的に重量平均粒径(Dv)が4.5μmよりも小さくなるとトナー粒子が記録紙の凹凸の間に埋まってしまい、定着時のニップ圧がかからず定着不良を起こしやすいこともあるが、本発明のトナーは狭分布で粒子サイズが揃っているため記録紙の凹凸の間に埋まらないので、定着不良が発生しない。重量平均粒径(Dv)が3.7μmよりも小さくなると記録紙の凹凸の間に埋まってしまい、定着時のニップ圧がかからず定着性に不利となる。重量平均粒径(Dv)が4.5μmを超えると紙種対応性が不十分となり、厚紙や平滑性の低い紙に対して粒状度が不利になる。重量平均粒径(Dv)が3.7〜4.5μmであることにより十分な定着性が得られ、画像の粒状度がさらに向上する。
本発明の粒度分布を有するトナーはさまざまな紙種であっても画像の粒状度が良好であるが、低温定着性が向上することにより、使用環境などさまざまな状況においても安定して粒状度の高い画像を得ることができる。結着樹脂として多価アルコール単位及びカルボン酸単位を含む、−OCO−R−COO−(CH2)n−(但し、式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2〜20の整数を示す。)で表される構造を、少なくとも樹脂全体における全エステル結合の60モル%含有する結晶性ポリエステル樹脂が含まれることにより格段に耐光性、耐水性と低温定着性が向上する。さらに合成触媒として無機スズ(II)化合物を触媒として含有することが良い。
結晶性を有するポリエステル樹脂はガラス転移温度で結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融粘度が低下し、非晶性のポリエステル樹脂では得られない定着機能を発現できるためである。これにより結晶性ポリエステルと離型剤が画像の最表面に現れるので、直接顔料が光や水と接触する頻度を低減できるためである。
結晶性ポリエステルは全結着樹脂中に5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%含有することで、不具合の発生なく、十分な低温定着性が得られる。5%未満であると定着性への効果が不十分で、30%を超えると、トナー生産時の混練工程において混練時の発熱などにより急激な溶融粘度低下を発生するため、混練時の機械的分散力やせん断力を受けにくくなり、他材料との均一分散性が得にくくなったり、混練時のシェアをあげて分散を上げていくと結晶性が壊れて本来の機能が得られないという不具合が発生する。
本発明で用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール単位及びカルボン酸単位を含む、−OCO−R−COO−(CH2)n−(但し、式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2〜20の整数を示す。)で表される構造を少なくとも樹脂全体における全エステル結合の60モル%含有する。なお、前記式中、Rは、好ましくは、直鎖状不飽和脂肪族二価カルボン酸残基を示し、炭素数2〜20であり、より好ましくは2〜4の直鎖状不飽和脂肪族基である。nは、好ましくは、2〜6の整数である。
前記直鎖状不飽和脂肪族基の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、1,3−n−プロペンジカルボン酸、1,4−n−ブテンジカルボン酸等の直鎖状不飽和二価カルボン酸由来の直鎖状不飽和脂肪族基を挙げることができる。
前記(CH2)nは直鎖状脂肪族二価アルコール残基を示す。この場合における直鎖状脂肪族二価アルコール残基の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状脂肪族二価アルコールから誘導されたものを示すことができる。結晶性ポリエステル樹脂は、カルボン酸単位として、直鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸単位を用いたことから、芳香族ジカルボン酸単位を用いた場合に比べて結晶構造を形成し易いという作用効果を示す。
結晶性ポリエステル樹脂は、(1)直鎖状不飽和脂肪族二価カルボン酸又はその反応性誘導体(酸無水物、炭素数1〜4の低級アルキルエステル酸ハライド等)からなる多価カルボン酸単位と、(2)直鎖状脂肪族ジオールからなる多価アルコール単位とを、常法により重縮合反応させることによって製造することができる。この場合、多価カルボン酸単位には、必要に応じ、少量の他の多価カルボン酸単位が含有されていてもよい。この場合の多価カルボン酸単位には、(1)分岐鎖を有する不飽和脂肪族二価カルボン酸単位、(2)飽和脂肪族二価カルボン酸や、飽和脂肪族三価カルボン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸単位の他、(3)芳香族二価カルボン酸や芳香族三価カルボン酸等の芳香族多価カルボン酸単位等が包含される。これらの多価カルボン酸単位の含有量は、全カルボン酸に対して、通常、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
本発明の非線状結晶性ポリエステルは、2価以上の多価アルコールからなるアルコール成分と、2価以上の多価カルボン酸化合物からなるカルボン酸成分とを含有した単量体を用いて得られるが、本発明では、非線状ポリエステルを形成するため、前記したように、3価以上の多価アルコール及び3価以上の多価カルボン酸化合物からなる群より選ばれた3価以上の単量体を、全アルコール成分100モルに対して、0.1〜20モル、好ましくは0.5〜15モル、より好ましくは1〜13モル含有した単量体を用いる。
2価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4−ブテンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、これらの中では、樹脂の軟化点及び結晶性の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の炭素数2〜6のジオールが好ましく、α,ω−直鎖アルキレングリコールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
炭素数2〜6のジオールは、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60〜80モル%、特に好ましくは80〜100モル%含有されていることが望ましい。
3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられ、これらの中では樹脂の軟化点及び結晶性の観点からグリセリンが好ましい。
また、2価の多価カルボン酸化合物としては、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸及びドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体等が挙げられ、これらの中では樹脂の軟化点及び結晶性の観点から、脂肪族カルボン酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
脂肪族カルボン酸は、カルボン酸成分中に、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80〜100モル%含有されていることが望ましい。
必要に応じて添加することができる多価カルボン酸単位の具体例を示すと、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の二価カルボン酸単位;無水トリメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単位等を挙げることができる。これらの中では樹脂の軟化点及び結晶性の観点からトリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
アルコール成分とカルボン酸成分は、不活性ガス雰囲気中にて、無機スズ触媒を用いて、150〜250℃の温度で反応させること等により縮重合させることができる。
非線状結晶性ポリエステルの軟化点は、好ましくは85〜140℃、より好ましくは100〜140℃、特に好ましくは100〜130℃である。
このような粒度分布を有するトナーは小粒径で狭分布であるために、トナー濃度が非常に高い状態になったような場合や長期の使用においてクリーンングブレードの磨耗が激しくなったような場合、クリーニング性が不利となることがある。クリーニング性をさらに良好にするためには、トナー母体粒子表面に平均一次粒径が50〜500nmでの微粒子を外添加することがよい。なお、通常の流動性向上剤にシリカ等がよく用いられるが、例えば、このシリカの平均一次粒径は通常10〜30nmである。
本発明において、トナーの表面に適切な特性の微粒子が存在することで、トナー粒子と対象体との間に適度な空隙が形成される。また、微粒子は、トナー粒子、感光体、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体を摩耗または損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体との高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。これらの特性は、トナー粒子の受けるシェアを低減させる作用を示すので、高速定着(低エネルギー定着)のためトナーに含有されている低レオロジー成分によるトナー自身のフィルミングの低減効果を発揮する。しかも、微粒子として、平均一次粒径が50〜500μnmの範囲のものを用いると、十分にその優れたクリーニング性能を活かすことができる上、極めて小粒径であるため、トナーの粉体流動性を低下させることがない。さらに、詳細は明らかでないが、表面処理された微粒子はトナーに外部添加されても、仮にキャリアを汚染した場合においても現像剤劣化の度合が少ない。
微粒子の平均一次粒径(以下、平均粒径という)は、50〜500nmのものが用いられ、特に100〜400nmのものが好ましい。50nm未満であると、微粒子がトナー表面の凹凸の凹部分に埋没してコロの役割を低下する場合が生じる。一方、500nmよりも大きいと、微粒子がブレードと感光体表面の間に位置した場合、トナー自身の接触面積と同レベルのオーダーとなり、クリーニングされるべきトナー粒子を通過させる、即ちクリーニング不良を発生させやすくなる。平均一次粒径が50〜500nmでの微粒子は凝集性が高いので、その混合方法としては前述の二段混合法において、一段目に投入し、十分に解砕し、固定化することが効果的である。
本発明の微粒子において、無機化合物としては、SiO2 、TiO2 、Al2 O3 、MgO、CuO、ZnO、SnO2 、CeO2 、Fe2 O3 、BaO、CaO、K2 O、Na2 O、ZrO2 、CaO・SiO2 、K2 O(TiO2)n、Al2 O3 ・2SiO2 、CaCO3 、MgCO3 、BaSO4 、MgSO4 、SrTiO3等を例示することができ、好ましくは、SiO2 、TiO2 、Al2 O3 があげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。
また,有機化合物の微粒子としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
このような特性を有する本発明のトナーは小粒径でありながら粉体としての流動特性に優れているので、トナーを収容するトナー収容部と、トナーを該収容部からこれよりも下方にある現像部に搬送する補給管とを備える画像形成装置であって、前記補給管が、水平からの傾斜角が45度以上の縦方向搬送部と、水平からの傾斜角が45度未満の横方向搬送部を有する画像形成装置においても、安定したトナー補給性が得られる。とりわけ傾斜角を有する部分にトナーや脱離した添加剤が付着し、詰まりが発生しやすいが、本発明のトナーは添加剤の均一固定化に優れと小粒径、狭分布であり、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3〜10個数%であり、極めて付着しやすい粒子が少ないので詰まりの発生がなく、安定したトナー補給ができる。特にフロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が10個数%を超えたり、トナーの個数分布の変動係数が22.0を超えると一定の補給性が得られなくなる。
以下、本発明を適用するに最も好ましいフルカラー画像形成装置として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)の一実施形態について説明する。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタを示す概略構成図である。同図において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)を備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ(6Y)を例にすると、図2に示すように、ドラム状の感光体(1Y)、ドラムクリーニング装置(2Y)、除電装置(不図示)、帯電装置(4Y)、現像器(5Y)等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスカートリッジ(6Y)は、プリンタ(100)本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
上記帯電装置(4Y)は、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体(1Y)の表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体(1Y)の表面は、レーザ光(L)によって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーと磁性キャリアとを含有するY現像剤を用いる現像器(5Y)によってYトナー像に現像される。そして、中間転写ベルト(8)上に中間転写される。ドラムクリーニング装置(2Y)は、中間転写工程を経た後の感光体(1Y)表面に残留したトナーを除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体(1Y)の残留電荷を除電する。この除電により、感光体(1Y)の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ(6M)、(6C)、(6K)においても、同様にして感光体(1M)、(6C)、(6K)上にM、C、Kトナー像が形成されて、中間転写ベルト(8)上に中間転写される。
上記現像器(5Y)は、そのケーシングの開口から一部露出させるように配設された現像ロール(51Y)を有している。また、互いに平行配設された2つの搬送スクリュウ(55Y)、ドクターブレード(52Y)、トナー濃度センサ(以下、「Tセンサ」という)(56Y)なども有している。
現像器(5Y)のケーシング内には、磁性キャリアとYトナーとを含むY現像剤が収容されている。このY現像剤は2つの搬送スクリュウ(55Y)によって撹拌搬送されながら摩擦帯電せしめられた後、上記現像ロール(51Y)の表面に担持される。そして、ドクターブレード(52Y)によってその層厚が規制されてからY用の感光体(1Y)に対向する現像領域に搬送され、ここで感光体(1Y)上の静電潜像にYトナーを付着させる。この付着により、感光体(1Y)上にYトナー像が形成される。現像器(5Y)において、現像によってYトナーを消費したY現像剤は、現像ロール(51Y)の回転に伴ってケーシング内に戻される。
2つの搬送スクリュウ(55Y)の間には仕切壁が設けられている。この仕切壁により、現像ロール(51Y)や図中右側の搬送スクリュウ(55Y)等を収容する第1供給部(53Y)と、図中左側の搬送スクリュウ(55Y)を収容する第2供給部(54Y)とがケーシング内で分かれている。図中右側の搬送スクリュウ(55Y)は、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部(53Y)内のY現像剤を図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ロール(51Y)に供給する。図中右側の搬送スクリュウ(55Y)によって第1供給部(53Y)の端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられた図示しない開口部を通って第2供給部(54Y)内に進入する。第2供給部(54Y)内において、図中左側の搬送スクリュウ(55Y)は、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられ、第1供給部(53Y)から送られてくるY現像剤を図中右側の搬送スクリュウ(55Y)とは逆方向に搬送する。図中左側の搬送スクリュウ(55Y)によって第2供給部(54Y)の端部付近まで搬送されたY現像剤は、上記仕切壁に設けられたもう一方の開口部(図示せず)を通って第1供給部(53Y)内に戻る。
透磁率センサからなる上述のTセンサ(56Y)は、第2供給部(54Y)の中央付近の底壁に設けられ、その上を通過するY現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤の透磁率は、トナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ(56Y)はYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。この出力電圧の値は、図示しない制御部に送られる。この制御部は、Tセンサ(56Y)からの出力電圧の目標値であるY用Vtrefを格納したRAMを備えている。このRAM内には、他の現像器に搭載された図示しないTセンサからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータも格納されている。Y用Vtrefは、後述するY用のトナー搬送装置の駆動制御に用いられる。具体的には、上記制御部は、Tセンサ(56Y)からの出力電圧の値をY用Vtrefに近づけるように、図示しないY用のトナー補給装置を駆動制御して第2供給部(54Y)内にYトナーを補給させる。この補給により、現像器(5Y)内のY現像剤中のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他のプロセスユニットの現像器についても、M,C,K用のトナー補給装置を用いた同様のトナー補給制御が実施される。
先に示した図1において、プロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)の図中下方には、露光装置(7)が配設されている。潜像形成手段たる露光装置(7)は、画像情報に基づいて発したレーザ光(L)を、プロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)におけるそれぞれの感光体に照射して露光する。この露光により、感光体(1Y),(1M),(1C),(1K)上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。なお、露光装置(7)は、光源から発したレーザ光(L)を、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。露光装置(7)は、プロセスプロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)などとともに、潜像担持体たる感光体上にトナー像を形成するトナー像形成手段を構成している。
露光装置(7)の図中下側には、紙収容カセット(26)、これらに組み込まれた給紙ローラ(27)、レジストローラ対(28)など有する給紙手段が配設されている。紙収容カセット(26)は、記録体たる転写紙(P)を複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の転写紙(P)には給紙ローラ(27)を当接させている。給紙ローラ(27)が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙(P)がレジストローラ対(28)のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対(28)は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。かかる構成の給紙手段においては、給紙ローラ(27)と、タイミングローラ対たるレジストローラ対(28)との組合せによって記録体搬送装置が構成されている。この記録体搬送装置は、転写紙(P)を収容手段たる紙収容カセット(26)から後述の2次転写ニップまで搬送するものである。
プロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)の図中上方には、中間転写体たる中間転写ベルト(8)を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット(15)が配設されている。この中間転写ユニット(15)は、中間転写ベルト(8)の他、クリーニング装置(10)などを備えている。また、4つの1次転写バイアスローラ(9Y)、(9M)、(9C)、(9K)、2次転写バックアップローラ(12)、クリーニングバックアップローラ(13)、テンションローラ(14)なども備えている。中間転写ベルト(8)は、これら7つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ(9Y)、(9M)、(9C)、(9K)は、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト(8)を感光体(1Y),(1M),(1C),(1K)との間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト(8)の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。1次転写バイアスローラ(9Y)、(9M)、(9C)、(9K)を除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト(8)は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体(1Y),(1M),(1C),(1K)上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト(8)上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
上記2次転写バックアップローラ(12)は、2次転写ローラ(19)との間に中間転写ベルト(8)を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト(8)上に形成された可視像たる4色トナー像は、この2次転写ニップで転写紙(P)に転写される。そして、転写紙(P)の白色と相まって、フルカラートナー像となる。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト(8)には、転写紙(P)に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置(10)によってクリーニングされる。
上記2次転写ニップにおいては、転写紙(P)が互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト(8)と2次転写ローラ(19)との間に挟まれて、上記レジストローラ対(28)側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された転写紙(P)は、定着装置(20)のローラ間を通過する際に、熱と圧力と影響を受けて、表面のフルカラートナー像が定着される。その後、転写紙(P)は、排紙ローラ対(29)のローラ間を経て機外へと排出される。プリンタ本体の筺体の上面には、スタック部(50a)が形成されており、上記排紙ローラ対(29)によって機外に排出された転写紙(P)は、このスタック部(50a)に順次スタックされる。
上記中間転写ユニット(15)と、これよりも上方にあるスタック部(50a)との間には、ボトル支持部(31)が配設されている。このボトル支持部(31)は、Y,M,C,Kトナーを収容するトナー収容部たるトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)を搭載している。トナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)は、互いに水平よりも少し傾斜した角度で並ぶように配設され、Y、M、C、Kという順で配設位置が高くなっている。トナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)内のY,M,C,Kトナーは、それぞれ後述するトナー搬送装置により、プロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)の現像器に適宜補給される。これらのトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)は、プロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)とは独立してプリンタ(100)本体に脱着可能である。
上述したように、4つのプロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)は、それぞれ感光体、ドラムクリーニング装置、除電装置、帯電装置及び現像器を有している。そして、これらを一体としてプリンタ本体に対して着脱させるようになっている。古くは、これら感光体等をそれぞれ別々に脱着可能な消耗部品として有し、必要に応じて交換させるようになっていたが、操作者に対してそれぞれの着脱操作を理解させるのが困難であることに起因して、メンテナンス性を悪くしていた。
そこで、これら感光体を一体で交換させることでメンテナンス性の向上を図ったプロセスカートリッジ方式で、且つ現像器内のトナーがなくなった時点を寿命とする方式のものが登場するに至った。しかしながら、かかる構成では、トナーが無くなった時点でまだ十分に寿命の余裕のある部品まで交換しなければならず、無駄が多くなるという不具合があった。
一方、プロセスカートリッジの現像器に供給するためのトナーを収容するトナー収容器を、プロセスカートリッジに対して着脱可能に構成した画像形成装置も知られている(例えば、特開平10−239974号公報に記載のもの)。しかしながら、かかる画像形成装置では、トナー収容器だけを交換する場合であっても、プロセスカートリッジを画像形成装置本体から取り外さなければならず、トナー収容器の交換性が悪いという不具合があった。
本プリンタ(100)においては、プロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)と、トナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)とを、それぞれプリンタ本体に対して別々に着脱可能に構成することで、これらの不具合を解消している。
図3はY用のトナーボトル(32Y)を示す斜視図である。同図において、Y用のトナーボトル(32Y)は、ボトル部(33Y)と、その先端側に固定されたキャップ部(34Y)とを有している。円柱状に形成されたボトル部(33Y)には、外側から内側に向けて突出するスクリュー状の突起がその円周面に沿うようにエンボス加工されている。Y用のトナーボトル(32Y)が後述のY用のトナー搬送装置によって回転せしめられると、ボトル部(33Y)内のYトナーがこのスクリュー状の突起に沿ってボトル底側からボトル先端側に向けて移動する。そして、ボトル部(33Y)内からキャップ部(34Y)内に進入する。かかる構成では、トナーボトル(32Y)内にトナー搬送手段を設けなくても、ボトル内でトナーを移動させることができるので、トナー搬送手段の付設によるコストアップを回避することができる。また、ボトルの小型化を図ることもできる。
上記キャップ部(34Y)は、ボトル部(33Y)よりも少し径の小さな円柱状に形成され、把手(35Y)と、シャッタ(36Y)と、ギヤ部(37Y)とをその円周面に有している。把手(35Y)は、円柱軸線方向に延在するようにキャップ円周面に突設せしめられている。また、シャッタ(36Y)は、円周方向にスライド移動可能になっており、図示した状態ではキャップ円周面に設けられた図示しないトナー排出口を覆い隠している。また、ギヤ部(37Y)は、キャップ部(34Y)の軸線方向において、把手35Yやシャッタ36Yが設けられていないボトル部(33Y)側の領域に設けられており、円周方向の全域に渡って図示しない複数の歯車を有している。このギヤ部(37Y)の歯車が後述するトナー搬送装置の駆動ギヤと噛み合うことで、Y用のトナーボトル(32Y)が回転せしめられる。他色のM,C,K用のトナーボトル(32M),(32C),(32K)も同様の構成になっている。
図4は、ボトル支持部(31)と、4つのトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)とを示す斜視図である。ボトル支持部(31)は、4つのトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)をそれぞれ別々に取り付けるための4つのボトル取付部(31Y),(31M),(31C),(31K)を有している。同図は、4つのトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)のうち、K用のトナーボトル(32K)が取り付けられる途中の状態を示したものである。操作者は、トナーボトル(32K)をボトル支持部(31)のK用のボトル取付部(31Y)に載せた後、トナーボトル(32K)のキャップ部(34K)に設けられた把手(35Y)を把持して、トナーボトル(32K)を回転させる。この回転に伴い、キャップ部(34K)に設けられた上述のシャッタ(図示せず)が開くとともに、キャップ部(34K)のトナー排出口(図示せず)が露出して鉛直方向下側を向く。また、同時に、キャップ部(34K)が、ボトル取付部(31K)の図示しない係合部で係合して固定される。他色のトナーボトル(32Y),(32M),(32C)も同様の操作によってボトル支持部(31)上に固定されるとともに、トナー排出口を露出させる。
図5は、本プリンタ(100)(図1)におけるY,M,C,K用のトナー補給装置(40Y),(40M),(40C),(40K)の一部を示す斜視図である。これらトナー補給装置(40Y),(40M),(40C),(40K)は、取り扱うトナーの色が互いに異なる点以外が、それぞれほぼ同様の構成となっている。Yトナーを取り扱うY用のトナー補給装置(40Y)を例にすると、次のような構成である。即ち、トナー補給装置(40Y)は、上述のトナーボトル(32Y)の他、駆動モータ(41Y)、駆動ギヤ(42Y)、補給管(43Y)などを有している。また、図示を省略しているが、上述のY用のボトル支持部(図4の(31Y))も有している。Y用のボトル支持部に正しくセットされたトナーボトル(32Y)は、そのキャップ部(34Y)のギヤ部(37Y)を、上記駆動ギヤ(42Y)に噛み合わせる。駆動モータ(41Y)によって駆動ギヤ(42Y)が回転せしめられると、その回転駆動力がギヤ部(37Y)を介してトナーボトル(32Y)全体に伝わり、トナーボトル(32Y)が回転する。そして、キャップ部(34Y)の鉛直方向下側を向いている図示しないトナー排出口からYトナーが排出されて、補給管(43Y)に落下する。この補給管(43Y)内には、図示しない樹脂製のコイルが内設されており、これも上記駆動モータ(41Y)によって回転駆動されるようになっている。樹脂製のコイルは、トナー排出口から搬送管(43Y)内に受け入れられたYトナーに対し、管長さ方向への移動力を付与する移動力付与手段として機能している。そして、補給管(43Y)内に受け入れられたYトナーを移動力の付与によって搬送してY用の現像器(5Y)(図1参照)に補給する。なお、上記駆動モータ(41Y)の駆動のON/OFF、即ち、Y用の現像器(5Y)へのトナー補給のON/OFFについては、上述のように、Y用の現像器に設けられたTセンサ(56Y)による検知結果に基づいてなされる。
このようなTセンサによる検知結果に基づくトナー濃度制御に代えて、他の検知結果に基づくトナー濃度制御を実施させてもよい。例えば、各プロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)について、それぞれ感光体の非画像領域に形成した基準トナー像の画像濃度を光学センサで検知させ、この検知結果をトナー濃度制御に用いるようにしてもよい。
図6は、各色のプロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)と、各色のトナー搬送装置(40Y),(40M),(40C),(40K)の一部とを示す斜視図である。同図において、各色のプロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)は、それぞれ対向するトナー補給装置のトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)よりも重力方向下側に配設されている。かかる構成では、粉体を粉体収容部たるトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)から、これよりも下方にあるプロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)の現像器内に搬送することで、トナーを重力に逆らって搬送することによる不具合を解消することができる。各トナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)と各プロセスカートリッジ(6Y),(6M),(6C),(6K)とは、比較的離れた位置に配設されており、それらの間には中間転写ユニット(15)が介在している。
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図7は、Y用のトナー補給装置(40Y)の一部を示す拡大構成図である。トナーボトル(32Y)のキャップ部(34Y)に設けられた図示しないトナー排出口から排出されたYトナーは、補給管(43Y)内に受け入れられる。この補給管(43Y)は、トナー排出口からのYトナーを受け入れるための受入部(A)、ボトル側から搬送先たる図示しない現像器側に向けて真っ直ぐに水平からの傾斜角が45度以上、好ましくは60から90度で直線下降する縦方向搬送部(B)、水平からの傾斜角が45度未満、好ましくは15〜35度で屈曲する屈曲部(C)を有している。また、図示しない現像器に連結する水平ないし傾斜角度20度未満、好ましくは0〜10度の連結部(D)も有している。これら屈曲部と連結部とで水平からの傾斜角が45度未満の横方向搬送部を形成する。屈曲部(C)が形成されていることで、これよりも下流側で現像器に連結する連結部(D)における水平からの傾斜角度が、直線下降部(B)よりも大幅に低減されていることがわかる。なお、屈曲部は縦搬送から横搬送に移行する部分であり、より正確には、屈曲部の一部は縦搬送部分を構成し、一部は横搬送部分を構成するものといえる。
補給管(43Y)内では、たとえ直線下降部(B)でYトナーがボトル側から現像器側に向けて重力方向に勢い良く流れても、現像器に到達する前に屈曲部(C)でその進路の勾配が緩やかになる。このため、Yトナーの流れの勢いが現像器の手前で弱められる。かかる構成のトナー搬送装置(40Y)では、先に図6に示したようにトナーボトル(32Y)とプロセスカートリッジ(6Y)との間に中間転写ユニット(15)を介在させるほど補給管(43Y)の長さを大きくしていても、現像器の手前でYトナーの流れを弱めることができる。そして、このことにより、補給管(43Y)内からプロセスカートリッジ(6Y)の現像器にYトナーを一気に流れ込ませることによる不具合を抑えることができる。また、補給管(43Y)の長さを比較的大きくしていることで、トナーボトル(32Y)とプロセスカートリッジ(6Y)とを遠く離したレイアウトを採用することが可能になっている。このことにより、トナーボトル(32Y)とプロセスカートリッジ(6Y)とを近接配設することによるレイアウト自由度の悪化を解消することもできる。なお、他色のトナー補給装置(40M),(40C),(40K)も同様の構成になっている。
本プリンタでは、図8に示すように、補給管(43Y)における屈曲後の箇所、即ち、連結部(D)の水平からの傾斜角度θを30度未満に設定している。これは、本発明者らが傾斜角度θを30度未満にすることで、Yトナーの現像器への急激な流れ込みを確実に抑え得ることを見出したからである。
図9は、補給管内に配設されたコイル(44Y)を示す斜視図である。このコイル(44Y)が図示しない補給管内で回転せしめられることにより、管内の図示しないYトナーに対して現像器側に向かう移動力を付与する。このようなコイル(44Y)を補給管内に配設することにより、補給管内のトナーをより確実に搬送することができる。なお、図中の符号A、B、C、Dは、それぞれ上述の受入部(A)、直線下降部(B)、屈曲部(C)及び連結部(D)を示している。
補給管内においては、トナーの滞留性や摩耗性などに応じて、少なくとも屈曲部(C)と直線的な管箇所(A),(B),(D)とで、コイル(44Y)等の移動力付与手段の移動力付与能力を異ならせることが望ましい。例えば、屈曲部(C)内では直線的な管箇所よりもトナーが滞り易くなるため、トナー塊が形成され易くなる。そこで、屈曲部(C)内でのトナー塊の発生が顕著である場合には、屈曲部(C)内における移動力付与能力を、直線的な管箇所における移動力付与能力よりも高めるとよい。そうすると、屈曲部(C)内でのトナー塊の発生を抑えることができる。また例えば、屈曲部(C)内では、管内壁とトナーとの摩擦が他の管箇所よりも大きくなるため、摩耗によるトナー劣化が生じ易くなる。特に、本プリンタのように移動力付与手段としてコイル(44Y)を用いている場合には、コイル(44Y)と管内壁との摩擦も大きくなる(特にカーブ内側)ので、摩耗によるトナー劣化が生じ易くなる。そこで、屈曲部(C)内での摩耗によるトナー劣化が顕著である場合には、トナー塊の発生が顕著である場合とは逆に、屈曲部(C)内における移動力付与能力を、他の管箇所における移動力付与能力よりも低くするとよい。そうすると、屈曲部(C)内での摩耗によるトナー劣化を抑えることができる。本プリンタでは、トナー塊の発生よりも摩耗によるトナー劣化が顕著であったため、図9に示したように、コイル(44Y)の屈曲部(C)内でのコイルピッチを他の管箇所よりも大きくしている。そして、このことにより、屈曲部(C)内における移動力付与能力を他の管箇所よりも小さくしている。
また、補給管内については、上記屈曲部(C)の内径を、直線的な管箇所(A),(B),(D)の内径よりも大きくすることが望ましい。屈曲している屈曲部(C)の内径を大きくすることで、そこでのトナー詰まりを抑えることができるからである。また、本プリンタのように、移動力付与手段としてコイル(44Y)を用いている場合には、屈曲部(C)の内径を大きくすることで、そこでのコイル(44Y)と管内壁との摩擦も低減して、摩耗によるトナー劣化を抑えることもできる。そこで、本プリンタでは、図10に示すように、屈曲部(C)の内径(d2)を、直線下降部(B)や連結部(D)の内径(d1)、(d3)よりも大きくしている。
次に、本発明に係るプリンタの各部に採用することが可能な具体的構造例について説明する。図11は、トナー補給装置(40Y)のトナー補給管(43Y)と、プロセスカートリッジ(6Y)のトナー補給口との係合部の具体的な構造例を示した斜視図である。また、図12は、図11の係合部を異なる角度から見た斜視図である。また、図13は、イエロートナーを搬送するトナー補給装置(40Y)を示す斜視図である。また、図14は、補給管(43Y)の先端付近に設けられたスプリング(46Y)を収縮させた状態の同トナー補給装置(40Y)を示す斜視図である。また、図15は、図11記載のトナー補給装置(40Y;図11)によってイエロートナーが補給されるプロセスカートリッジ(6Y;図11)を補給口(62Y)(図中では、補給口シャッタ(67)により被われているので見えず)の付近で部分的に示す斜視図(63Yは図11の63Yと同じ)である。図中、符号(66Y)は、スプリングを示す。また、図16は、補給口シャッタ(67)を開いた状態のプロセスカートリッジ(6Y)を示す斜視図である。
図11に示したプロセスカートリッジ(6Y)の端部は、プリンタ本体に装着されるときに奥側となる方の端部である。このプロセスカートリッジ(6Y)の長手方向両端部側面には、図示しない感光体、現像スリーブ、2つのトナー搬送スクリュウ等を長手方向端部で支持するように所定の幅をもって対向する一対の側板(61Y)が設けられている。側板(61Y)によって、プロセスカートリッジ(6Y)の構成部品である感光体、現像スリーブ、2つのトナー搬送スクリュウ等の軸が支持されている。そして、上述の現像器における第1供給部(図2の(53Y))の上部に位置するトナー排出口(62Y)を、一対の側板(61Y)の内側領域に該当する現像器ケーシング箇所に設けている。このように、トナー補給口(62Y)を(側板61Y)の内側の所定の幅内に設けることにより、トナー補給口(62Y)を設けるために側板(61Y)の対向幅を所定の幅より広げなくても良くなる。また、側板(61Y)の外に新たはトナー補給領域を設けなくても良くなる。よって、プロセスカートリッジの大型化を防ぐことができる。なお、この具体的構造例においては、一対の側板前面が一定の幅で平行に設けられているが、このような形状に限るものではない。例えば、プロセスカートリッジの各構成部品を端部で支持するために側板が部分的に異なる幅で設けられているものにも、この構造例を適用することができる。プロセスカートリッジの各構成部品を支持するために予め定められた側板間の所定幅を変えることなく、その幅内にトナー排出口を設ければよい。
トナー補給口(62Y)の高さは、図示しない現像スリーブ(図2の(51Y))の上端よりも下方に位置している。そして、トナー補給管(43Y)の先端がトナー排出口(62Y)の上方に位置しており、トナー補給管(43Y)の下側にはトナー排出口(62Y)に対向する開口部(45Y)(図13参照)が形成されている。このトナー補給管(43Y)の先端が、トナー補給管(43Y)のプロセスカートリッジ(6Y)に対するパイプ状の係合部、即ち管状係合部となっている。
このトナー補給管(43Y)の先端は、プロセスカートリッジ(6Y)をプリンタ本体に対して着脱する際のプロセスカートリッジ(6Y)移動方向に対して平行な方向へスライド可能に設けられている。プロセスカートリッジ(6Y)がプリンタに装着されるとき矢印(b)方向にカートリッジが挿入され、トナー補給管(43Y)の開口部(45Y)がトナー排出口(62Y)に対向する位置でプロセスカートリッジ(6Y)が止まって装着が完了する。
プロセスカートリッジ(6Y)上部には、トナー補給管(43Y)の先端が入る大きさのリング状の支持部である支持リング(63Y)を設けても良い。トナー補給管(43Y)がプロセスカートリッジ(6Y)に装着されているとき、トナー搬送パイプ(43Y)の先端が支持リング(63Y)内部に入り込んでいる。プロセスカートリッジ(6Y)をプリンタから離脱させるとき、矢印(a)方向にカートリッジを引き抜くと、トナー補給管(43Y)が支持リング(63Y)から抜け、プロセスカートリッジ(6Y)から離れる。再びプロセスカートリッジ(6Y)をプリンタに装着するとき、矢印(b)方向にカートリッジが挿入され、トナー補給管(43Y)が支持リング(63Y)に入ってトナー補給管(43Y)がプロセスカートリッジ(6Y)に装着される。
トナー補給管(43Y)は、開口部(45Y)に開口部シャッタ(47Y)を有している。一方、プロセスカートリッジ(6Y)は、排出口(62Y)に排出口シャッタ(67Y)を有している。この2つのシャッタは、プロセスカートリッジ(6Y)のプリンタ本体に対する着脱に連動して開閉するものである。
先ずプロセスカートリッジ(6)のプリンタ本体に対する着脱方法は、次のとおりである。即ち、まず、図1に示したようなセット位置にあるプロセスカートリッジ(6Y)を抜き出すとき、図17のように装置前面の前カバー(101)を開く。そして、プロセスカートリッジ(6)を手前に抜き出す。プリンタ本体内部には、プロセスカートリッジをスライドさせて出し入れできるよう、ガイド部材(不図示)を設けてある。プロセスカートリッジ(6)を抜き出し始めるとこの抜き出し操作に伴って、ガイド部材が感光体軸先端を誘導して感光体を退避位置に位置させる。更に抜き出すと、各感光体軸先端のガイド部材に対する係合が解除される。これによって図17に示すようにプロセスカートリッジ(6)が装置前面の開口部(45Y)から抜き出される。逆に、プロセスカートリッジ(6)を奥に挿入し、これ以上押し込めることができない位置で停止したら、前カバー(101)を閉じる。
次に、図11の補給管(43Y)とプロセスカートリッジ(6Y)との係合部における、シャッタの開閉動作の具体例について説明する。 プロセスカートリッジ(6Y)が装着されていない時、トナー補給管(43Y)は図13に示すような状態になっている。また、プロセスカートリッジ(6Y)は図15に示すような状態になっている。補給管(43Y)は、スプリング(46Y)で付勢した開口部シャッタ(47Y)によって、開口部(45Y)を閉じている。また、プロセスカートリッジ(6Y)は、スプリング(66Y)で付勢した開口部シャッタ(67Y)によって、排出口(62Y)を閉じている。
プロセスカートリッジ(6Y)を装着する時は、プロセスカートリッジ(6Y)をスライドさせて、支持リング(63Y)にトナー補給管(43Y)を差し込む。シャッタ(47Y)は支持リング(63Y)の内側を通過できないために支持リングに引っかかり、スプリング(66Y)を収縮せしめて、図14に示すようにシャッタ(47Y)をスライドさせて開口部(45Y)を出現させる。この動作と同時に、支持リング(63Y)を通過したトナー補給管(43Y)の先端が、プロセスカートリッジの更なるスライドによって補給口シャッタ(67Y)を押す。そして、これにより、スプリング(66Y)が収縮して、図16に示すように排出口シャッタ(67Y)がスライドして排出口(62Y)を出現させる。プロセスカートリッジ(6Y)が所定の位置に設置されると、図11に示したような係合状態になる。この係合状態では、開口部(45Y)と、排出口(62Y)とが相対向して連通して、トナーの受け渡しが可能になる。開口部(45Y)と排出口(62Y)とが対向する位置には、間からのトナー漏れを抑えるシール材が設けられている。
プリンタ本体からプロセスカートリッジ(6Y)を取り外す時は、プロセスカートリッジ(6Y)を図11に示した状態から図中矢印(a)方向に引き抜く。この時、プロセスカートリッジ(6Y)側では次のような変化が生じる。すなわち、トナー補給管(43Y)によって収縮していたプロセスカートリッジ(6Y)のスプリング(66Y)の復元力により、排出口シャッタ(67Y)がプリンタ本体奥方向に付勢される。これにより、排出口シャッタ(67)が矢印(a)方向に移動して排出口(62Y)を塞ぎ、プロセスカートリッジ(6Y)が図15の状態に戻る。一方、トナー補給管(43Y)側では次のような変化が生じる。すなわち、プロセスカートリッジ(6Y)の支持リング(63Y)から、トナー補給管(43Y)が抜け、支持リング(63Y)によって収縮していたトナー補給管(43Y)のスプリング(46Y)の復元力により、開口部シャッタ(47Y)はトナー補給管(43Y)の端部方向に付勢される。これにより、開口部シャッタ(47Y)は矢印(b)方向に移動し、開口部(45Y)を塞ぎ、トナー補給管(43Y)は図13の状態に戻る。
これまで、電子写真方式のプリンタに本発明を適用した例について説明したが、直接記録方式など、他の方式によってトナー像を形成する画像形成装置にも、本発明の適用が可能である。この直接記録方式とは、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置からドット状に飛翔させたトナー群を記録体や中間記録体に直接付着させて画素像を形成することで、記録体や中間記録体に対してトナー像を直接形成する方式である。また、粉体としてトナーを搬送するトナー搬送装置を用いるプリンタについて説明したが、トナーとは異なる粉体を用いる粉体搬送装置にも本発明の適用が可能である。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、各トナー搬送装置の補給管(例えば43Y)として、屈曲後の傾斜角度θが45度未満、好ましくは30度未満であるものを用いているので、搬送管から搬送先たる現像器へのトナーの急激な流れ込みをより確実に抑えることができる。
また、ボトル側から現像器側へ向かう移動力を補給管内のトナーに付与する移動力付与手段たるコイル(例えば44Y)を配設しているので、補給管内のトナーをより確実に搬送することができる。更に、このコイルについて、屈曲部(C)における移動力付与能力と、他の管箇所(A),(B),(D)における移動力付与能力とを異ならせているので、屈曲部(C)内におけるトナー塊の発生を抑えたり、摩耗によるトナー劣化を抑えたりすることができる。
また、補給管の屈曲部(C)の内径を他の管箇所の内径よりも大きくしているので、このことによっても、屈曲部(C)内におけるトナー塊の発生を抑えたり、摩耗によるトナー劣化を抑えたりすることができる。
また、トナー像形成手段として、感光体と現像器とが1つのユニットとしてプリンタ本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジ(6Y)、(6M)、(6C)、(6K)を用いるとともに、トナー収容部たるトナーボトル(32Y),(32M),(32C),(32K)をカートリッジとは別にプリンタ本体に対して着脱可能に構成している。かかる構成では、トナーボトルを交換する際に、わざわざプロセスカートリッジを取り外さなければならないといった手間を解消することができる。
以下、本発明のトナーに使用される材料及びトナーの製造方法について説明する。
[結着樹脂]
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、従来より公知の結着樹脂が使用される。例えば、スチレン、ポリ−α−スチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、石油樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラート樹脂などが挙げられるが、特に定着特性の面からポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
また、定着特性を悪化させず本発明における小粒径、狭分布のトナーを得るためには、スチレンアクリル樹脂やハイブリッド樹脂を結着樹脂全量の5〜30重量%の範囲で含有することにより粉砕性が向上する。ハイブリッド樹脂としては、縮重合系樹脂と付加重合系樹脂が化学的に結合されるため、両樹脂のモノマーのいずれとも反応しうる化合物を用いて重合するのが好ましい。このような両反応性モノマーとしては、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸ジメチル等の化合物が挙げられる。
両反応性モノマーの使用量は、付加重合系樹脂の原料モノマー100重量部を基準として、縮重合系樹脂の原料モノマー1〜25重量部、好ましくは2〜10重量部である。1重量部より少ないと着色剤や帯電制御剤の分散が悪くかぶりなどの画像品質が悪化した。25重量部より多いと樹脂がゲル化してしまう不具合があった。
以上のようなハイブリット樹脂は、両反応の進行および完了を同時にする必要はなく、それぞれの反応温度、時間を選択して、独立に反応の進行を完了することができる。
例えば、反応容器中にポリエステル樹脂の縮重合系原料モノマーの混合物中に、ビニル系樹脂の付加重合系原料モノマーおよび重合開始剤からなる混合物を滴下してあらかじめ混合し、まずラジカル反応によりビニル系樹脂からなる重合反応を完了させ、次に反応温度を上昇させることにより縮重合反応によりポリエステル樹脂からなる縮重合反応を完了させる方法がある。
この方法により、反応容器中で独立した2つの反応を並行して進行させることにより、2種の樹脂を効果的に分散させることが可能である。
このときハイブリッド樹脂の酸価は15〜70mgKOH/gであることが良く、好ましくは20〜50mgKOH/g、さらに好ましくは20〜30mgKOH/gである。酸価15〜70mgKOH/gである場合に、離型剤の分散効果が高く、さらに低温定着性および環境安定性に優れていた。酸価を高くすることで紙と樹脂との相溶性がよくなり、さらなる低温定着化が図れたためと考えられる。酸価15mgKOH/g未満であるとハイブリッド樹脂に包括され分散している離型剤がポリエステルから遊離しやすくなり、70mgKOH/gを超えると空気中簿水分の影響が大きくなり、トナー帯電量が不安定となる。
本発明において、好ましく用いられるポリエステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、例えば、芳香族系ジカルボン酸類としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニル−P,P'−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−P,P'−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4'−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−P,P'−ジカルボン酸が使用でき、それ以外の酸としては、マレイン酸、フマル酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、セバチン酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルが使用できる。
2価のアルコールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(13)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
その他の2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールの如きジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAが挙げられる。
その他の酸成分としてはトリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシルが使用できる。但し何らこれに制限されるものではない。
本発明のポリエステル樹脂においては、例えばn−ドデセニル基、イソドデセニル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、イソオクチル基、を有したマレイン酸、フマル酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸の如きアルキルもしくはアルケニル置換基を有する酸、及び/又は、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、テトラメチレングリコール、1,4−ブチレンジオール、1,5−ペンチルジオールの如きアルコールを含んでいてもよい。
前述のように本発明で用いられるポリエステル樹脂は、触媒としての無機スズ(II)化合物の存在下で製造されるものが好ましい。
無機スズ(II)化合物としては、Sn−O結合を有する化合物、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物等が好ましく、Sn−O結合を有する化合物がより好ましい。
Sn−O結合を有する化合物としては、オクチル酸スズ(II)、シュウ酸スズ(II)、ジ酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジラウリル酸スズ(II)、ジステアリン酸スズ(II)、ジオレイン酸スズ(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸スズ(II);ジオクチロキシスズ(II)、ジラウロキシスズ(II)、ジステアロキシスズ(II)、ジオレイロキシスズ(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシスズ(II);酸化スズ(II);硫酸スズ(II)等が、Sn−X(Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、塩化スズ(II)、臭化スズ(II)等のハロゲン化スズ(II)等が挙げられ、これらの中では、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ここでR1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸スズ(II)、(R2O)2 Sn(ここでR2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシスズ(II)及びSnOで表される酸化スズ(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸スズ(II)及び酸化スズ(II)がより好ましく、オクチル酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジステアリン酸スズ(II)及び酸化スズ(II)が特に好ましい。
[極性制御剤]
本発明のトナーにおいては、極性を制御するために、極性制御を配合することが可能である。この場合の極性制御剤としては、例えばニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物などが挙げられる。
[離型剤]
本発明で用いる離型剤としては、公知のもの全てが使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナバワックス、モンタンワックス、及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用することにより、ハイブリッド樹脂の分散効果が高まる。カルナバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5mgKOH/g以下であり、トナーバインダー中に分散した時の粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14mgKOH/gであることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は、10〜30mgKOH/gが好ましい。その他の離型剤としては、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。トナーバインダー中に分散させる前の離型剤の体積平均粒径は10〜800μmが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーに使用できる着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラセンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。本発明では、これらの着色剤を単独、もしくは2つ以上混ぜて、本発明のトナーの色となるように調色する。
本発明のシアントナーは、オフセット印刷の色と同等とするため、オフセット印刷で使用されている着色剤と同系統のものが好ましい。具体的には、銅フタロシアニン顔料系で、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 15−1、C.I.Pigment Blue 15−2、C.I.Pigment Blue 15−3、C.I.Pigment Blue 15−4等が挙げられる。
本発明のマゼンタトナーは、オフセット印刷の色と同等とするため、オフセット印刷で使用されている着色剤と同系統のものが好ましい。具体的には、顔料系の着色剤で、C.I.Pigment Red 57−1、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 147、C.I.Pigment Red 176、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red 185、C.I.Pigment Red 269等が挙げられる。
本発明のイエロートナーは、オフセット印刷で使用されている着色剤と同系統のものが好ましい。具体的には、顔料系の着色剤で、C.I.Pigment Yellow 14、C.I.Pigment Yellow 17、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Yellow 180、C.I.Pigment Yellow 185等が挙げられる。
シアン、イエロー、マゼンタトナーの着色剤に顔料を使用した場合、トナー中で顔料が凝集したり、顔料粒径が200nm以上である場合は、トナーが不透明になり、画像の彩度が低下し、画像が上記の色をとり得ることが不可能となる。トナーまたはインクによる画像の発色は、トナー層またはインク層を光が抜けて、紙上で反射して、またトナー層またはインク層を光が抜けて、目に入る。このとき、トナー層またはインク層を光が抜ける際に、特定の吸収波長を吸収し、特定の非吸収波長の光を通すため、非吸収波長の色が発色する。このとき顔料粒子が大きかったり、顔料が凝集していると、特定の非吸収波長の光までが吸収されたり、乱反射して、非吸収波長の光が弱まり、色の彩度が低下する。特に、トナーを使用して出来た画像は、オフセット印刷画像のインク層に比較して、トナー層は厚くなるため、顔料の分散を上げ、光が紙上まで十分に届くようにする必要がある。
そこで本発明では、顔料をトナー中の結着樹脂に分散させ、顔料の1次粒径が200nm以下、更には150nm以下にすることが好ましい。また、画像の彩度が低下する場合は、染料を着色剤として、単独または混合して使用してもよい。一般的に染料は透明性が高く、顔料に比較して画像の彩度が高くなる。特にシアントナーでは、分散が悪かったり、顔料粒径が大きくなり、本発明のトナーの色よりも赤みが強くなる。本発明のトナーを得るには、顔料分散を良好にして、顔料1次粒径が30〜120nmの顔料を使用するのが好ましい。
[マスターバッチの使用]
本発明では、顔料の分散を上げるのに、予め着色剤2重量部に対し樹脂1〜4重量部とで混練したマスターバッチを使用することが好ましい。顔料と少量の樹脂で混練することにより、トナー作成時にはとりえないような高分散を行なえる条件で顔料を分散することができる。顔料と少量の樹脂で混練することにより、粘度が上昇し、顔料自体に掛かる剪断力を上げて、凝集した顔料同士を分離することが出来る。また、剪断力が掛かるように、樹脂の粘度を混練温度を調整することにより、最適な条件に出来る。予め着色剤2重量部に対し樹脂1〜4重量部とで混練する際には、必要に応じてアセトン、トルエン、MEKなどの有機溶剤や水などを加えて、分散の補助をしてもかまわない。 また、必要に応じて、界面活性剤などの分散剤を使用してもかまわない。
分散機については、2本ロール、3本ロール、フラッシング装置、2軸型連続混練機、1軸型連続混練機等、既存のものが使用できる。
高分散化したマスターバッチを使用すると、予め顔料が樹脂で分散されているので、顔料が容易にトナーバインダー樹脂中に分散し、透明性が高く発色のよいトナーが得られる。
記録紙上に形成された画像の色は、トナーの着色剤以外に、画像表面の光沢、トナー付着量、紙の色にも大きく依存する。本発明のトナーの画像の色を得るには、この光沢、トナー付着量の制御も重要となる。
画像表面の光沢が高いほど、画像表面で光が乱反射されることがなく、光がトナー層を通過し易くなり、彩度が高くなる。我々の製造・販売に係る記録紙、即ちISO12647−2(1996)の用紙タイプ4に形成される画像は、光沢を20〜90%、更に好ましくは40〜80%に制御すると良い。画像の光沢制御は、一般的には、トナーを記録紙上で加熱溶融して、記録紙に定着を行なう工程で行なう。実際には、加熱したローラやフィルムなどにトナーが載った記録紙を押し当て、トナーを加熱溶融して定着を行なっている。トナーのバインダー樹脂を十分に溶かし、加熱ローラやフィルムの表面が滑らかで離型性が高ければ、画像表面は平滑になり光沢度が上がる。加熱ローラやフィルムを弾性のあるものにすることによって、トナーとローラやフィルム面が密着し、トナー十分に溶け、光沢が増す。
また、ローラやフィルム表面の離型性が高くなるように、シリコーンやフッ素樹脂を用いたり、シリコーンオイルなどの離型剤を塗ることによっても、トナー表面が平滑になり光沢度が増す。
また、トナーのバインダー樹脂に、定着温度で溶融粘度が低くなるものを使用することによっても、画像表面が十分に滑らかになり、光沢性を上げることができる。
また、トナーに離型剤などのワックスが含まれている場合には、ワックスの影響により低光沢になるが、ワックスなどの分散をあげてトナー中に微細にワックスを微分散することによって、光沢があがる。
逆に低光沢画像を得るには、定着時にトナーの溶融粘度が高くなるようにして、画像表面が滑らかにならないように、定着温度を下げたり、トナーバインダーに高分子量成分の樹脂を混ぜたりする。
(トナー母体粒子の製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、好ましくは更に帯電制御剤を含むトナー成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を戻して再利用する製造方法も含まれる。
ここで言う製品となる粒子以外の粉末(副製品)とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や、引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程や溶融混練する工程で、原料(前記の粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分、分級工程で発生する所望の粒径の製品など)と副製品との混合は、原料50〜99重量部に対して副製品50〜1重量部の比率で混合するのが好ましい。
少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含み、好ましくは更に帯電制御剤を含み、また副製品を含むトナー成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、結着剤樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましいが、本発明の粒度分布を得るための粉砕方法としては、好ましくは対向気流式粉砕機で粉砕することにより製造される。対向気流式粉砕機としては、例えば日本ニューマチック工業製、PJM−I、ホソカワミクロン製ミクロンジェットミル、カウンタジェットミル、クリモト鐵工製クロスジェットミルといったものがあげられる。
対向気流式粉砕機で粉砕することにより、トナーの円形度が上がるとともに、トナーの表面が非常に滑らかに改質される。このようにして得られたトナーは、現像工程で孤立ドットを埋めた際、トナー同士のパッキングが良好で、隙間が少ないため、感光体上の孤立ドットが崩れにくく、粒状度がよくなめらかで階調性に優れた画像が得られる。 粉砕工程に対向気流式粉砕機による粉砕工程を含まない場合は、トナー表面の改質が不充分となり、粒状度に不利になる。
対向気流式粉砕機で粉砕する前に、予め機械式粉砕機で粉砕し、重量平均径および/またはモード値粒径が5〜15μmに粉砕することにより、分級効率が向上し、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が3.0〜10.0個数%のトナー母体粒子が得やすくなる。
対向気流式粉砕機は、表面粉砕が行なわれ、被粉砕粒子の粉砕界面に出現した帯電性のサイトを削り取るように作用するため、発生した2μm以下の超微粉の帯電性が極めて高く、後工程の微粉分級で2μm以下の超微粉を除去するのが極めて困難である。
予め機械式粉砕機で、重量平均径および/またはモード値粒径を15μm以下まで粉砕することにより、対向気流式粉砕機での粉砕の際の、円形度の過度の上昇と超微紛の発生が抑制される。
予め、機械式粉砕機で粉砕しない場合は、対向気流式粉砕機で4〜7μmのトナーサイズまで粉砕される過程で、消費エネルギーの増大につながるのみならず、円形度の過度の上昇が生じ、トナーとして用いた場合はクリーニングが困難となりやすい。また、超微粉の発生量も多く、対向気流式粉砕機で粉砕した粉砕物中に2μm以下の超微粉が30%を超えると、乾式分級工程で除去することが極めて困難となり、1パスの処理で、分級後の粒径分布として、0.6〜2.0μmの粒子の割合を10個%以下のレベルまで低減させることは不可能である。
デカンター型遠心分離機等の湿式法により0.6〜2.0μmの粒子を除くことも可能だが、湿式法は生産性の点で好ましくなく、また、トナーを水に分散させる目的で界面活性剤を用いるため、充分な洗浄を行なわないと、トナーの帯電性への影響が懸念されるため乾式分級が望ましい。
前記トナーの粉砕工程においては、重量平均径および/またはモード値粒径が5〜15μm、好ましくは、5〜10μmとなるように機械式粉砕機で粉砕することにより、対向気流式粉砕機での粉砕の際の、円形度の過度の上昇と超微紛の発生を抑制しつつ、トナー粒子表面の改質を充分に行なうことができる。
機械式粉砕機としては、例えば川崎重工業社のクリプトロン、ターボ工業社製ターボミルや、ホソカワミクロン社製ACMパルベライザ、イノマイザーといったものがあげられ、それぞれ粉砕ロータの回転数を調整することで粒径は任意に調整可能である。
前記分級工程が、分級カバーと分級板とを上下に設け、分級カバーの下面および分級板の上面を中心に向けて高くなる円錐形とし、その円錐形下面と円錐形上面間に形成された分級室の外周部に複数のルーバーを環状に配置して隣接するルーバー間に二次エアの流入路を設け、上記分級室内に供給された粉体を高速度で旋回させて微粉と粗粉とに遠心分離し、微粉を分級板の中心部に接続された微粉排出筒から排出し、粗粉を分級板の外周囲に形成された粗粉排出口から排出させるようにした旋回気流式分級であることにより、2μm以下の超微粉を効率よく除去することが可能となる。このような旋回気流式分級機としては、日本ニューマチック工業製、マイクロスピンがあげられる。
前記旋回気流式分級の具体例としては、図18に示す分級機である。前記旋回気流式分級機について図面に基づいて説明する。図18に示すように、ケーシング(1)は、円筒形の上部ケーシング(2)と下部が小径の円錐形の下部ケーシング(3)とから成り、供給装置(10)は、カバー(4)の上側に設けられている。供給装置(10)は、カバー(4)の中心部に接続した粉体供給筒(20)の上部にホッパ(21)を接続し、そのホッパ(21)内に設けたエア噴射ノズル(22)から粉体供給筒(20)内に圧縮エアを噴射し、ホッパ(21)内の粉体を粉体供給筒(20)内に吸引して送るようにしている。
カバー(4)は上部ケーシング(2)にボルトの締付け等による手段によって着脱自在に取付けられている。このカバー(4)の下方には、そのカバー(4)との間に分級室(5)を形成する分級板(6)が設けられ、その分級板(6)の外周と上部ケーシング(2)の内周間に環状の粗粉排出口(7)が形成されている。
カバー(4)の下面(4a)および分級板(6)の上面(6a)は中心部が高くなる円錐形とされ、その円錐形下面(4a)の水平面に対する傾斜角(α)は、円錐形上面(6a)の水平面に対する傾斜角(β)より大きくなっている。
上部ケーシング(2)は、上部リング(2a)と下部リング(2b)に分割され、その分割面間に複数のルーバー(8)が分級室(5)の周方向に間隔をおいて環状に配置されている。
ルーバー(8)は図では省略したが垂直な軸心を中心として角度調整自在とされ、隣接するルーバー(8)間に流通路が形成されている。流通路は、分級室(5)内において旋回される粉体の旋回方向に向けて外部から分級室(5)内に二次エアを流入させるようになっている。
ここで、前記カバー(4)における円錐形下面(4a)の外周縁の外径は上部ケーシング(2)の内面と同径とされ、その外周縁はルーバー(8)の上縁と略同レベルの配置とされている。
粉体供給筒(20)にはエア噴射孔(23)を形成し、そのエア噴射孔(23)から粉体供給筒(20)内の外周部に向けて圧縮エアを噴射し、その圧縮エアによって粉体供給筒(20)内を下向きに流れる固気混合流体を旋回させるようにしており、その旋回する固気混合流体を粉体供給筒(20)の下端開口に設けたコーン(24)の外周に沿って分級室(5)内に供給している。分級板(6)の中心部には微粉排出筒(12)が接続されている。微粉排出筒(12)は下部ケーシング(3)を貫通している。
前記ルーバー(8)の外周部には、隣接するルーバー(8)間から分級室(5)内に圧縮エアを噴射する圧縮エア供給装置(9)が設けられている。供給装置(9)は、隣接するルーバー(8)間に噴射端部が挿入された噴射ノズル(11)から成り、この噴射ノズル(11)によって圧縮流体を分級室(5)内の外周部に向けて噴射するようになっている。
実施の形態で示す気流分級機は上記の構造から成り、粉体の分級に際しては、微粉排出筒(12)内に吸引力を付与する状態で、粉体供給筒(20)の下端開口に設けたコーン(24)から分級室(5)内の外周部に向けて粉体と圧縮エアの固気混合流体を噴射する。このような固気混合流体の噴射手段は、予め機械式粉砕方式を用いて重量平均径および/またはモード値粒径が5〜15μmに粉砕された粗粉の円滑かつ均一なフィーデイングに特に適しているが、5〜15μmに粉砕された粗粉の円滑かつ均一なフィーデイングは、また、本発明における粉砕トナーの製造に非常に適してもいる。しかしながら、コーン(24)の内壁には、必須ではないが螺旋状のガイド壁を設けることができる。
分級室(5)内に固気混合流体を噴射すると、その固気混合流体は分級室(5)内で旋回する。このとき、ルーバー(8)内の流通路から分級室(5)内に二次エアが流入し、その二次エアによって分級室(5)内で旋回する粉体は加速され、粉体は微粉と粗粉とに遠心分離される。
微粉は、分級室(5)の中心に向けて移動して微粉排出筒(12)から吸引排出される。一方、粗粉は分級室(5)内の外周部に向けて移動し、粗粉排出口(7)から下部ケーシング(3)内に排出される。
分級室(5)内に固気混合流体を供給する供給装置を、カバー(4)の上側に設けることも可能である。
被粉砕物を得るためには、原材料を予備混合後、エクストルーダー等の混練機で混練後、冷却し、1mmパス程度に粗粉砕することにより得ることができる。
本発明により、トナー平均円形度が適度に高く、転写性に優れ潜像画像がよく、充分クリーニング可能であり、また、孤立ドットに対する充填性も向上する。
円形度は、分級ロータ回転数とブロワーの吸引風量によって丸め処理で調整可能である。
トナー平均円形度が0.92〜0.97、好ましくは0.94〜0.96である。円形度0.92未満では、粒状度が極めて不良である。
また、本発明のトナーは、粉砕や分級工程で発生する微粉を回収し再練りができる。
画質の評価の1つとしての粒状度とは、「ファインイメージングとハードコピー(日本写真学会、日本画像学会編:1999年1月7日発行)」に記載されているとおり、画像の荒れを表現する物理量であり、均一な濃度を持つ画像について微小な開口をマイクロデンシトメーター等で走査して、その画像濃度もしくは明度分布の標準偏差を求める。モノクロ画像の場合は、これをDooleyの定義した式で粒状度を求める。
粒状度(Granularity)とは、図3(図中のA、B、Cはザラツキ因子)に示されるように、均一であるべき画像が、どれだけざらついているかを客観的に表わした量で、下記の式で表わされる。
(L:平均明度、f:空間周波数(c/mm)、WSL(f):明度変動のパワースペクトラム、VTF(f):視覚の空間周波数特性、a,b:係数)
粒状度は画像の濃度もしくは明度分布の標準偏差であるから、数値が小さいことが望ましく、グラフィック原稿の画像としては1.0以下が必要である。
[キャリア]
また、本発明のトナーを混合して二成分現像剤として使用するキャリアとしては、ガラス、鉄、フェライト、ニッケル、ジルコン、シリカ等を主成分とする、粒径30〜1000μm程度の粉末、または、該粉末を芯材としてスチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等をコーティングしたものから適宜選択して使用可能であるが、帯電能力の点から粒径30〜80μmが好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお以降、特に断わらない限り,「部」は重量部,「%」は重量%を表す。
[実施例1]
(線状ポリエステル樹脂L1の合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物525g(1.5モル)とビスフェノールAプロピレンオキサイド2.0モル付加物780g(1.5モル)とコハク酸240g(2.0モル)とイソフタル酸167g(1.0モル)とオクチル酸錫(II) 5gを窒素雰囲気下、5℃/分の昇温速度で230℃まで加温し、次いで1−10mmHgの減圧下で8時間反応、室温まで冷却後粉砕した。線状ポリエステル樹脂L1のピークトップ分子量は2800、重量平均分子量は8500であった。
(線状ポリエステル樹脂L2の合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物175g(0.5モル)とビスフェノールAプロピレンオキサイド2.0モル付加物1300g(2.5モル)とイソドデセニルコハク酸267g(1.0モル)とテレフタル酸386g(2.0モル)とオクチル酸錫(II)8gを窒素雰囲気下、5℃/分の昇温速度で230℃まで加温し、次いで1−10mmHgの減圧下で8時間反応、室温まで冷却後粉砕した。線状ポリエステル樹脂L2のピークトップ分子量は4800、重量平均分子量は12000であった。
(非線状ポリエステル樹脂H1の合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物350g(1.0モル)とビスフェノールAプロピレンオキサイド2.0モル付加物1040g(2.0モル)と無水トリメリト酸384g(2.0モル)とコハク酸60g(0.5モル)とオクチル酸錫(II)8gを窒素雰囲気下、190℃で攪拌しつつ、3時間反応後、オクチル酸錫(II)4gを追加投入し、5℃/分の昇温速度で230℃まで加温し、次いで1−10mmHgの減圧下で7時間反応、室温まで冷却後粉砕した。H1の架橋成分量は30重量%であった。
(非線状ポリエステル樹脂H2の合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物350g(1.0モル)とビスフェノールAプロピレンオキサイド2.0モル付加物1040g(2.0モル)と無水トリメリト酸154g(0.8モル)とコハク酸60g(0.5モル)とオクチル酸錫(II)3gを窒素雰囲気下、190℃で攪拌しつつ、3時間反応後、オクチル酸錫(II)4gを追加投入し、5℃/分の昇温速度で230℃まで加温し、次いで1−10mmHgの減圧下で7時間反応、室温まで冷却後粉砕した。H2の架橋成分量は8重量%であった。
(結晶性ポリエステル樹脂C1の合成)
1.4-ブタンジオール1150g、エチレングリコール120g、マロン酸1100g、フタル酸350g、オクチル酸錫10.5g及びハイドロキノン1.5gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに1−10mmHgの減圧下で2時間反応させ、結晶性ポリエステルC1を得た。結晶性ポリエステルC1の融点は110℃であった。
[実施例1]
(シアントナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 15部
非線状ポリエステル樹脂H1 60部
線状ポリエステル樹脂L2 10部
SP−105(サゾール社製 ポリエチレンワックス) 8部
シアン顔料(pigment blue 15−3) 5部
オリエント化学工業社製E−84 2部
(マゼンタトナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 14部
非線状ポリエステル樹脂H1 60部
線状ポリエステル樹脂L2 9部
SP−105(サゾール社製 ポリエチレンワックス) 8部
マゼンタ顔料(pigment red 122) 7部
オリエント化学工業社製E−84 2部
(イエロートナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 14部
非線状ポリエステル樹脂H1 60部
線状ポリエステル樹脂L2 9部
SP−105(サゾール社製 ポリエチレンワックス) 8部
イエロー顔料(pigment yellow 180) 7部
オリエント化学工業社製E−84 2部
(ブラックトナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 14部
非線状ポリエステル樹脂H1 60部
線状ポリエステル樹脂L2 9部
SP−105(サゾール社製 ポリエチレンワックス) 8部
カーボンブラック(モーガルL :キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製) 7部
オリエント化学工業社製E−84 2部
上記材料のうち、シアン、イエロー、マゼンタについては顔料、線状ポリエステル樹脂L2 、純水を1:1:0.5の割合で、混合し、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作製した。
シアン、イエロー、マゼンタについては作製したマスターバッチを使用して上記処方と同じになるように、ブラックについては上記処方通りに材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。次いでホソカワミクロン社製ACMパルベライザを用いて粗粉砕したあと、日本ニューマチック工業社製のPJM−Iにて粉砕し、日本ニューマチック工業社製のマイクロスピンにて分級し、トナー粒子1を得た。ついで、30Lスーパーミキサーを使用しトナー粒子100部にコロイダルシリカ[H-2000:クラリアント(株)製] 1.0部と平均一次粒径が120nmのシリカ X−24−9163A(信越化学工業製)を1.0部(日本アエロジル製)を周速にて40m/sにて冷却水を流しながら15分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、実施例1のトナーを得た。
[実施例2]
実施例1で得たトナー粒子1の100部にコロイダルシリカ[H-2000:クラリアント(株)製] 2.0部と酸化チタンP-25を1.0部(日本アエロジル製)を周速にて40m/sにて冷却水を流しながら15分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、実施例2のトナーを得た。
[参考例1]
(シアントナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 5部
非線状ポリエステル樹脂H1 65部
線状ポリエステル樹脂L1 10部
線状ポリエステル樹脂L2 5部
NP−056(三井化学社製 ポリプロピレンワックス) 8部
シアン顔料(pigment blue 15−3) 5部
LR−147 日本カートリット 2部
(マゼンタトナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 5部
非線状ポリエステル樹脂H1 61部
線状ポリエステル樹脂L1 10部
線状ポリエステル樹脂L2 7部
NP−056(三井化学社製 ポリプロピレンワックス) 8部
マゼンタ顔料(pigment red 269) 7部
LR-147 日本カートリット 2部
(イエロートナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 5部
非線状ポリエステル樹脂H1 61部
線状ポリエステル樹脂L1 10部
線状ポリエステル樹脂L2 7部
NP−056(三井化学社製 ポリプロピレンワックス) 8部
イエロー顔料(pigment yellow 185) 7部
LR-147 日本カートリット 2部
(ブラックトナー処方):
結晶性ポリエステル樹脂C1 5部
非線状ポリエステル樹脂H1 61部
線状ポリエステル樹脂L1 10部
線状ポリエステル樹脂L2 7部
NP−056(三井化学社製 ポリプロピレンワックス) 8部
カーボンブラック(モーガルL :キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製) 7部
LR-147 日本カートリット 2部
上記材料のうち、シアン、イエロー、マゼンタについては顔料、線状ポリエステル樹脂L2、純水を1:1:0.5の割合で、混合し、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作製した。
シアン、イエロー、マゼンタについては作製したマスターバッチを使用して上記処方と同じになるように、ブラックについては上記処方通りに材料をヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。次いでホソカワミクロン社製ACMパルベライザを用いて粗粉砕したあと、日本ニューマチック工業社製のPJM−Iにて粉砕し、日本ニューマチック工業社製のマイクロスピンにて分級し、トナー粒子3を得た。トナー粒子3はコールター法で測定した粒径2.0〜2.5μmのトナー粒子が0.8個数%であったので、添加剤混合は二段混合を行った。30Lスーパーミキサーを使用しトナー粒子3の100部と酸化チタンSTT−30A(チタン工業)を0.5部投入し、周速にて10m/sにて冷却水を流しながら5分間混合後、STT−30A(チタン工業)を0.2部、コロイダルシリカ[R−972:日本アエロジル(株)製] 2.0部投入し、周速50m/sにて冷却水を流しながら10分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、参考例1のトナーを得た。
[参考例2、実施例3のトナー粒子母体処方]
(シアントナー処方):
非線状ポリエステル樹脂H2 40部
線状ポリエステル樹脂L1 43部
WEP−1(日本油脂社製 エステルワックス) 8部
シアン顔料(pigment blue 15−3) 5部
オリエント化学工業社製E−84 4部
(マゼンタトナー処方):
非線状ポリエステル樹脂H2 40部
線状ポリエステル樹脂L1 41部
WEP-1(日本油脂社製 エステルワックス) 8部
マゼンタ顔料(pigment red 122) 4部
マゼンタ顔料(pigment red 269) 3部
オリエント化学工業社製E−84 4部
(イエロートナー処方):
非線状ポリエステル樹脂H2 40部
線状ポリエステル樹脂L1 41部
WEP-1(日本油脂社製 エステルワックス) 8部
イエロー顔料(pigment yellow 74) 7部
オリエント化学工業社製E−84 4部
(ブラックトナー処方):
非線状ポリエステル樹脂H2 40部
線状ポリエステル樹脂L1 41部
WEP-1(日本油脂社製 エステルワックス) 8部
カーボンブラック(モーガルL :キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製) 7部
オリエント化学工業社製E−84 4部
上記処方通りに材料をヘンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。次いでホソカワミクロン社製ACMパルベライザを用いて粗粉砕したあと、日本ニューマチック工業社製のPJM−Iにて粉砕し、日本ニューマチック工業社製のマイクロスピンにて分級し、粉砕フィードと粉砕エアー圧、分級のルーバー高さや吸引エアー量を調整してトナー粒子4〜6を得た。ついで、30Lスーパーミキサーを使用しトナー粒子4〜6の100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製] 1.0部と平均一次粒径が120nmのシリカ X−24−9163A(信越化学工業製)を1.0部(日本アエロジル製)を周速にて40m/sにて冷却水を流しながら15分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、参考例2、実施例3のトナーを得た。
[参考例3]
〔ポリエステル樹脂1の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[ポリエステル樹脂1]を得た。[ポリエステル樹脂1]は、数平均分子量2600、重量平均分子量6600、Tg45℃、酸価23であった。
〔ケチミンの化合物1合成〕
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
〔反応性ポリエステル樹脂1の合成〕
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応し、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2150、重量平均分子量9700、Tg56℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート90部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[反応性ポリエステル樹脂1]を得た。[反応性ポリエステル樹脂1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[ポリエステル樹脂1]800部、カルナバWAX120部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)20部、酢酸エチル1000部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器にC.I.Disperse Red 91 100部、2(2’ヒドロキシ−3,5ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール5部、ビス(ジチオベンジル)ニッケルのテトラブチルアンモニウム塩2部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合した。
得られた混合物をさらに、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填して染料、WAXの分散を行った。次いで、前記[ポリエステル樹脂1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え染料・WAX分散液を得た。
該染料・WAX分散液648部、前記[反応性ポリエステル樹脂1]154部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に前記[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数10000rpmで20分間混合し乳化スラリーを得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、該乳化スラリーを投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリーを得た。
該分散スラリー100部を減圧濾過した後、得られた濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。それから超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。さらに、得られた濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、参考例3のトナー母体粒子6を得た。
ついで、30Lスーパーミキサーを使用しトナー粒子6の100部にコロイダルシリカ[H−2000:クラリアント(株)製] 1.0部と平均一次粒径が120nmのシリカ X−24−9163A(信越化学工業製)を1.0部(日本アエロジル製)を周速にて40m/sにて冷却水を流しながら15分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、参考例3のトナーを得た。
[比較例1〜4]
実施例1のトナー母体処方と同じ処方において、材料のうち、シアン、イエロー、マゼンタについては顔料、線状ポリエステル樹脂L2 、純水を1:1:0.5の割合で、混合し、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させマスターバッチを予め作製した。
シアン、イエロー、マゼンタについては作製したマスターバッチを使用して実施例1のトナー母体処方と同じになるように、ブラックについては実施例1の処方通りに材料をへンシェルミキサ[三井三池化工機(株)製FM10B]を用いて予備混合した後、ニ軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。
次いでホソカワミクロン社製ACMパルベライザを用いて粗粉砕したあと、日本ニューマチック工業社製のPJM−Iにて粉砕し、日本ニューマチック工業社製のマイクロスピンにて分級し、粉砕フィードと粉砕エアー圧、分級のルーバー高さや吸引エアー量を調整して 比較例1〜4のトナー粒子を得た。
ついで、30Lスーパーミキサーを使用し、以下の添加剤処方にて周速にて40m/sにて冷却水を流しながら15分間混合後、350メッシュ(44μm)の篩にて篩って、比較例1〜4のトナーを得た。
[添加剤処方]
(比較例1):比較例1のトナー母体 100部にコロイダルシリカ[H-2000:クラリアント(株)製] 3.0部と平均一次粒径が120nmのシリカ X−24−9163A(信越化学工業製)を0.5部(日本アエロジル製)。
(比較例2〜4):比較例1のトナー母体 100部にコロイダルシリカ[H-2000:クラリアント(株)製] 1.0部と平均一次粒径が120nmのシリカ X−24−9163A(信越化学工業製)を1.0部(日本アエロジル製)。
[評価方法]
[(1)評価画像作成]
定着紙をNBSリコー製FCホワイト<220>(坪量252.1(g/m2) 厚み249(μm))として、 複写機により付着量1.0〜1.5mg/cm2のカラー画像を用いた。
[(2)退色性]
耐退色性の評価装置はXenon Tester XW−l50(島津社製)を用い、上記(1)で作成した画像に対し、1030W/m2のキセノン光と25ml/minの降水を12時間照射、及び降水し、X−Rite938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)で分光濃度を測定して、退色率%として以下のように定量値化して評価した。退色率の測定は上記のサンプルのいずれかを用い、サンプルを約1cm×10cm片にし、上側約5cm程度の部分はそのままの状態で、下側約5cm程の部分をアルミ板でカバーし、キセノンテスターで5時間照射後、暴露部の分光濃度(IDB)とカバー部の分光濃度(IDC)をマクべス濃度計で測定し、式(A)から退色率を計算した。値が小さい方が良好で、0%は全く退色しないことを意味する。
[(3)粒状度]
ファインイメージングとハードコピー(日本写真学会、日本画像学会編:1999年1月7日発行)」に記載されているとおり、画像の荒れを表現する物理量であり、上記(1)で作成した画像について微小な開口をマイクロデンシトメーター等で走査して、その明度分布の標準偏差をDooleyの定義した式で粒状度を求める。
粒状度(Granularity)とは、図3(図中のA、B、Cはザラツキ因子)に示されるように、均一であるべき画像が、どれだけざらついているかを客観的に表わした量で、下記の式で表わされる。
(L:平均明度、f:空間周波数(c/mm)、WSL(f):明度変動のパワースペクトラム、VTF(f):視覚の空間周波数特性、a,b:係数)
粒状度は明度分布の標準偏差であるから、数値が小さいことが望ましい。
[(4)画像スジ、トナー補給性評価方法]
図1記載の画像形成装置を用いて、2%画像面積チャートを使用し、1度に2枚出力、その後120秒待ち、動作が完全に停止してから、さらに同様に出力という、低画像面積、低コピー使用のモードにて初期と100,00枚出力後、画像スジを評価した。 画像スジは目視にて発生本数を数え評価値とし、3本以下は合格、4本以上は不合格とした。トナー補給性としては、同評価において、トナーエンド時のトナー容器内の残トナー率にて評価した。残トナー率=(残トナー重量)/(評価前のトナー充填量)×100(%)
これらの結果は、つぎの表1に纏めて示される。