JP5775230B2 - 卓球ボールおよび卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

卓球ボールおよび卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、セルロイド製卓球ボールを使用した競技特性を忠実に再現するセルロイドを含まない卓球ボールおよび卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物に関する。
1930年頃からセルロイドが卓球ボールの原料として使われてきた。しかしながら、セルロイドは極めて燃えやすく、摩擦などによって発火し易いこと、光などにより劣化しやすく、耐久性が低いことなどの課題がある。このため、セルロイドを取り扱う工場において、セルロイドは、自己反応性に起因する発火によりしばしば火災の原因となっており、日本では消防法の可燃性の規制対象物(第5類危険物)に指定され、製造、貯蔵、取扱方法が厳しく定められている。
また、セルロイドは、長期にわたる光や酸素などの影響を受けると、セルロースと硝酸に分解・劣化するため、「べとつき」や「亀裂」を生じやすく、長期間安定して保管することが難しい。さらに、分解過程で生じる強酸性ガス(硝酸)は、周囲のセルロイドや金属などを腐食させる可能性がある。
卓球ボールについて、国際卓球連盟(以下ITTF)が定めた規格がある。この規格は、ITTFのテクニカルリーフレットT3(非特許文献1)に記されている。以下に抜粋内容を記載する。
ITTF テクニカルリーフレット T3 抜粋内容
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規則
ボールに関する卓球の規則は次の通りである。
2.03 ボール
2.03.01 ボールは、直径40mmの球状でなければならない。
2.03.02 ボールの重量は2.7gでなければならない。
2.03.03 ボールはセルロイド又は類似のプラスチック材料から成り、白色又は橙色で、つや消しされていなければならない。
材質
セルロイドは不安定で燃えやすいにもかかわらず、セルロイドは卓球ボールの標準的な材質であり続けている。規則は、材質を規定するものではなく、製造者に自由に実験する門戸を開いている。我々は、より良い材質を必要としており、製造者は、より良い材質を探すことが奨励される。
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テクニカルリーフレットT3によると、卓球ボールは直径が40mm、重量が2.7g、表面が“つや消し”であり、材質はセルロイドあるいはそれに似た性質を持つプラスチック材料であること、ボールの材質を規定していないことがわかる。また、長年セルロイド製のボールを使用してきたために標準規格が確立されているが、一方では、ITTFがセルロイドに替わる優れた新素材の提案を期待していることがわかる。
卓球は、動体視力と反射能力、高い瞬発力や持久力が必要であり、技術面・身体能力ともに総合的な実力が要求されるスポーツである。初・中級レベルの卓球は、身体能力よりも技術面の占める割合が高いが、上級レベルの卓球は、他のスポーツ同様に、高い身体能力を要求される。
一方、卓球は、老若男女、二人以上いれば誰でもできる間口の広いスポーツでもあるため、一度も行った経験がないという人がほとんどいない程、別名ピンポン(Ping pong)ともいう名称にて広く親しまれている。このピンポンという名称は、打ち合うときの打球音がそのまま競技の名前となったものであり、これほどまでに打球音が重視され、且つ、広く親しまれている競技は珍しい。
このため、卓球ボールには本質的な素材特性が求められ、打球音についても難しい条件が要求されるため、これだけ多くの種類のプラスチックが誕生した現在でも、セルロイドが使用されているのである。
素材の変更は、軽く打ったときと比べて、強く打ったときの影響が顕著であり、打球音が変わる、スピードが出ない、ミスが多くなるといったことになり、競技中に思いがけない点の取りこぼしをしかねない。また、割れたような音がすることも、精神面に影響を与えてしまう。ほんの僅かの違いで、飛んでいったり弾まなくて試合にならなかったりすることとなるので、卓球ボールに求められる素材特性は、必然的にセルロイドの特性となっているのである。
掛かるに、新素材に求められるのは、セルロイドと同等の数値で表される樹脂特性のみではなく、新素材によって得られた卓球ボールを使用し、実際にプレイした感覚、弾みや打球感によってボールを主観的に判断する競技者の意見を重視すべきことがわかる。
セルロイドに替わる卓球ボールの素材提案はこれまでにも検討されている。例えば、特許文献1には、主鎖に炭素原子のみならずヘテロ原子も有する有機無架橋ポリマーを主成分とするプラスチックで構成させる卓球ボールが開示されている。
また、特許文献2には、アクリロニトリル−スチレン−アクリルエラストマー共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ナイロン6、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群から選ばれた熱可塑性材料から形成された卓球ボールが提案されている。
また、特許文献3には、特許文献2で得られる卓球ボールの打球特性(ラケットからの球離れ、打球音)を改善すべく、熱可塑性合成樹脂にそれよりも比重の大きい無機物を加え、かつ繊維を加えて混合し、均一化した材料を成形してなる卓球ボールが開示されている。
また、特許文献4には、一時成形の中空密封球殻であって、連続な内表面を有する卓球ボールが開示されている。
国際公開第2007/31315号 特公昭50−17897号公報 特開昭54−81936号公報 国際公開第2010/111920号
The Ball(Version for 40mm Balls)Technical Leaflet T3
卓球は多くの人に親しまれるスポーツであり、このスポーツ特性は、卓球ボールの優れた特性に支えられている。卓球ボールの素材であるセルロイドの不安定性と燃え易い危険性は知られているにもかかわらず、依然として、セルロイドの代わりに他の素材を使った卓球ボールが存在しないのは、セルロイド製の卓球ボールの競技特性を再現できていないためである。
一流選手が打ち出すときの卓球ボールのスピードは200km/時にも達するとされており、打った瞬間にボールが割れたり変形したりしたのでは試合にならないことから、ボールの耐衝撃性、硬度、弾力性は重要な要素である。
特許文献1に開示された卓球ボールは密度の高いプラスチックで構成されることから厚みが薄くなり、耐衝撃性が不十分であり、打球時にボールが割れる課題があった。特許文献2〜3に開示された卓球ボールもまた、耐衝撃性が不十分であり、打球時にボールが割れる課題があった。また、特許文献4に開示された卓球ボールは、打球感と耐衝撃性がセルロイド製ボールとは明らかに異なるものであり、セルロイド製卓球ボールの代替品としては実用されていない。
そこで、本発明は、セルロイドを使用することなく、セルロイド製の卓球ボールの競技特性を忠実に再現できる卓球ボールを提供すること、および、弾性率と耐衝撃性と密度のバランスに優れた卓球ボールを製造することが可能な卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本願発明者らは、卓球選手に実際に試用してもらって、セルロイド製の卓球ボールの競技特性を再現するために必要な特性を鋭意研究した結果、卓球ボールを構成する熱可塑性樹脂が特定の機械的特性を有する場合にセルロイド製の卓球ボールの競技特性が再現可能であることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ISO178による曲げ弾性率が1650MPa以上、ISO179によるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、ISO1183による密度が1.20g/cm未満である、セルロイドを含まない熱可塑性樹脂組成物から成る、直径が39.0mm以上、重さが2.0〜3.5gである卓球ボールであり、前記熱可塑性樹脂組成物が、ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(A)成分を94〜97重量部、()成分を3〜6重量部含み、(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が下記式(1)および(2)を満足し、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)が、ポリ(ブタジエン−スチレン)を含むゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるゴム質含有グラフト共重合体(I)、ならびに、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(II)を含む、卓球ボール、及び前記熱可塑性樹脂組成物である。
11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
本発明により、セルロイドを使用することなく、セルロイド製の卓球ボールの競技特性を忠実に再現できる卓球ボールを得ることができる。また、本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物によれば、弾性率と耐衝撃性と密度のバランスに優れた卓球ボールを提供することができる。
以下、本発明の卓球ボールについて、具体的に説明する。
本発明の卓球ボールはセルロイドを含まない熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物(以下、あわせて「熱可塑性樹脂」と記載する場合がある)から形成される。熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物は、ISO178による曲げ弾性率が1650MPa以上、ISO179によるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、ISO1183による密度が1.20g/cm未満であり、セルロイドを含まないものであれば、特に限定されない。
本発明において、熱可塑性樹脂のISO178による曲げ弾性率は、打球時のボールの変形、弾み、打球音の観点から、1650MPa以上である。曲げ弾性率が1650MPa未満のものは、打球時にボールが変形し凹んだ状態となる場合があり、また、変形せずともボールの弾みが悪く、さらに、打球音が低くなるため、心地よい競技音が得られない。曲げ弾性率は1800MPa以上が好ましく、2000MPa以上がより好ましく、2100MPa以上がさらに好ましく、2150MPa以上がさらに好ましく、2200MPa以上がさらに好ましい。一方、ISO178による曲げ弾性率の上限値は特に限定されないが、3500MPa以下が一般的であり、3000MPa以下が好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率は、熱可塑性樹脂のペレットからISO294に準拠して射出成形して得られるタイプA試験片について、ISO178に準拠して測定することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂のISO179によるシャルピー衝撃強度は、ボール強度の観点から、20kJ/m以上である。シャルピー衝撃強度が20kJ/m未満では、ボール強打時に割れが生じる。シャルピー衝撃強度は24kJ/m以上が好ましく、26kJ/m以上がより好ましく、27kJ/m以上がより好ましく、28kJ/m以上がより好ましく、30kJ/m以上がより好ましい。一方、シャルピー衝撃強度の上限値は特に限定されないが、90kJ/m以下が一般的であり、85kJ/m以下が好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂のシャルピー衝撃強度は、熱可塑性樹脂のペレットからISO294に準拠して射出成形して得られるタイプA試験片について、ISO2818に準拠してVノッチ加工を施し、ISO179に準拠して測定することができる。
本発明において、熱可塑性樹脂のISO1183による密度は、強度面の観点から、1.20g/cm未満である。重量が数グラムしかない卓球ボールにおいては、熱可塑性樹脂の密度が、ボールの強度を左右する厚みの決定因子となる。密度が1.20g/cm以上では、同じ直径のボールを得るためにはボール肉厚を薄くする必要があるため、硬度、耐衝撃性が低下する。密度は1.19g/cm未満が好ましく、1.10g/cm以下がより好ましく、1.06g/cm以下がさらに好ましい。密度の下限値は特に限定されないが、1.00g/cm以上が一般的であり、1.01g/cm以上が好ましい。
ここで、熱可塑性樹脂の密度は、熱可塑性樹脂のペレットからISO294に準拠して射出成形して得られるタイプA試験片について、ISO1183に準拠して測定することができる。
上記特性を満足する熱可塑性樹脂として、ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)を挙げることができる。かかるゴム強化熱可塑性樹脂(A)を含有することで、ボールの打球感と耐衝撃性を向上させることができる。
ゴム質重合体(a)としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴム、天然ゴム等が挙げられる。具体的には、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ポリ(エチレン−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)、ポリ(エチレン−アクリル酸エチル)およびゴムノキの樹液に含まれる、シス−ポリ1,4−イソプレンを主成分とする物質(天然ゴム)等が挙げられる。これらを2種以上使用してもよい。これらの中でも、弾性率および耐衝撃性をより向上させる観点から、ジエン系ゴムが好ましく、ポリブタジエンまたはポリ(ブタジエン−スチレン)がより好ましく、ポリ(ブタジエン−スチレン)がさらに好ましい。
ゴム質重合体(a)中のポリ(ブタジエン−スチレン)の含有量は、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。また、ポリ(ブタジエン−スチレン)中のブタジエンとスチレンの比率は、特に限定されないが、ブタジエン1モルに対して、スチレン0.10モル以上が好ましく、0.11モル以上がより好ましい。一方、ブタジエン1モルに対して、スチレン0.50モル以下が好ましく、0.45モル以下がより好ましい。
ゴム質重合体(a)の平均粒子径は、耐衝撃性をより向上させる観点から、0.1μm以上が好ましく、0.15μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。一方、成形性、流動性および外観をより向上させる観点から、2.0μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.2μm以下がさらに好ましい。
ここで、ゴム質重合体(a)の平均粒子径は、「Rubber Age Vol.88 p.484-490 (1960), by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法、即ち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率から求められる、累積重量分率50%の粒子径をいう。
ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)(以下、「(A)ゴム強化熱可塑性樹脂」と記載する場合がある)としては、例えば、ゴム質重合体(a)にラジカル重合可能なモノマーをグラフト共重合して得られるサラミ構造を有するゴム質含有グラフト共重合体、ゴム質重合体(a)にラジカル重合可能なモノマーをブロック共重合して得られるゴム質含有ブロック共重合体、ゴム質重合体(a)とスチレン系単量体や不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体などによって構成される層状構造を有するコア・シェルゴムや、前記サラミ構造とコア・シェル構造の中間に属するゴム質重合体(a)とその他の樹脂成分が多層構造を形成するオニオン構造体などが挙げられる。これらの中でも、ゴム質含有グラフト共重合体が好ましい。
ゴム強化熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、MABS(メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ASA(アクリロニトリル−スチレン−アクリレート)樹脂、AES(アクリロニトリル−エチレン−スチレン)樹脂などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でもABS樹脂が好ましく、耐衝撃性と成形性(溶融粘度)のバランスをより高いレベルで両立することができる。
前記ゴム質含有グラフト共重合体としては、ゴム質重合体(a)の存在下で少なくともシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるゴム質含有グラフト共重合体(I)が好ましい。単量体混合物には、必要に応じて、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体を含んでもよい。
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、エタアクリロニトリル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、アクリロニトリルが好ましい。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレン、o,p−ジクロロスチレン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、スチレンとα−メチルスチレンが好ましい。
共重合可能な他のビニル系共重合体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドキシペンチルなどの不飽和カルボン酸アルキルエステル、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、アクリルアミド等の不飽和アミドなど挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、不飽和カルボン酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する原料中のゴム質重合体(a)の含有量は、靱性と剛性のバランスの観点から、ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成するゴム質重合体(a)および単量体混合物の合計100重量%中、20〜80重量%が好ましい。ゴム質重合体(a)の含有量が20重量%以上であれば、靱性をより向上させることができる。30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましい。一方、ゴム質重合体(a)の含有量が80重量%以下であれば、剛性をより向上させることができる。70重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好ましい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する単量体混合物中のシアン化ビニル系単量体の含有量は、1〜50重量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体含有量が1重量%以上であると、剛性と耐衝撃性をより向上させることができる。3重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。一方、シアン化ビニル系単量体の含有量が50重量%以下であると、色調を向上させることができる。40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する単量体混合物中の芳香族ビニル系単量体の含有量は、10〜90重量%が好ましい。芳香族ビニル系単量体の含有量が10重量%以上であると、成形性を向上させることができる。15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。一方、芳香族ビニル系単量体の含有量が90重量%以下であると、耐衝撃性をより向上させることができる。80重量%以下がより好ましい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する単量体混合物中の他のビニル系単量体の含有量は、79重量%以下が好ましい。他のビニル系単量体の含有量が79重量%以下であると、耐衝撃性をより向上させることができる。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)のグラフト率は、15〜80重量%が好ましい。グラフト率が15重量%以上であれば、耐衝撃性をより向上させることができる。20重量%以上がより好ましい。一方、グラフト率が80重量%以下であれば、成形性が向上し、成形時のフローマークの発生などを抑制することができる。70重量%以下がより好ましい。ここで、ゴム質含有グラフト共重合体(I)のグラフト率(%)は、次式で示される。
グラフト率(%)=[ゴム質含有グラフト共重合体(I)にグラフト重合したビニル系重合体量]/[ゴム質含有グラフト共重合体(I)のゴム含有量]×100
ゴム質含有グラフト共重合体(I)の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合および溶液重合等の重合方法が挙げられる。また、各単量体の仕込方法に特に制限はなく、初期に一括して仕込んでもよいし、共重合体の組成分布を調整するために、単量体の一部または全部を連続的にまたは分割して仕込みながら重合してもよい。
本発明における熱可塑性樹脂は、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)とともに、他の成分を含む組成物であってもよい。他の成分としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(B)、後述するビニル系(共)重合体(II)などの、ゴム成分を含まない熱可塑性樹脂や、エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)、樹脂改質剤などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(B)は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンまたは炭酸ジエステルと反応させることによって得ることができる。ポリカーボネート樹脂(B)は、分岐していてもよいし、共重合体であってもよい。ポリカーボネート樹脂(B)を含むことにより、曲げ弾性率を維持しながら、耐衝撃性をより向上させることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、ビスフェノールAが好ましい。
特に、ABS樹脂とポリカーボネート(PC)樹脂とが均一に混じり合った、ABS/PCアロイを好ましく用いることができる。ABS/PCアロイにおけるABS樹脂とPC樹脂の配合量は、ABS樹脂100重量部に対してPC樹脂5〜700重量部が好ましく、10〜600重量部がより好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂は、ゴム成分が前記ゴム質含有グラフト共重合体(I)である場合には、ゴム成分を含まない熱可塑性樹脂として、少なくともシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(II)を含むことが好ましい。単量体混合物は、さらに必要に応じて、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体と共重合可能なビニル系単量体を含んでもよい。
ビニル系(共)重合体(II)を構成するシアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体および共重合可能な他のビニル系単量体としては、それぞれ、ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する単量体として例示したものを用いることができる。ビニル系(共)重合体(II)を構成する単量体と、ゴム質含有グラフト共重合体(I)を構成する単量体と同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
ビニル系(共)重合体(II)を構成する単量体混合物中におけるシアン化ビニル系単量体の含有量は、1〜50重量%が好ましい。シアン化ビニル系単量体含有量が1重量%以上であると、剛性と耐衝撃性をより向上させることができる。3重量%以上がより好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。一方、シアン化ビニル系単量体の含有量が50重量%以下であると、色調を向上させることができる。40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
ビニル系(共)重合体(II)を構成する単量体混合物中における芳香族ビニル系単量体の含有量は、10〜90重量%が好ましい。芳香族ビニル系単量体の含有量が10重量%以上であると、成形性を向上させることができる。15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。一方、芳香族ビニル系単量体の含有量が90重量%以下であると、耐衝撃性をより向上させることができる。80重量%以下がより好ましい。
ビニル系(共)重合体(II)を構成する単量体混合物中における他のビニル系単量体の含有量は、79重量%以下が好ましい。他のビニル系単量体の含有量が79重量%以下であると、耐衝撃性をより向上させることができる。
前記ビニル系(共)重合体(II)の30℃における固有粘度は、0.5〜0.9dl/gが好ましい。固有粘度が0.5dl/g以上であると、強度および耐衝撃性をより向上させることができる。0.51dl/g以上がより好ましく、0.52dl/g以上がさらに好ましい。一方、固有粘度が0.9dl/g以下であると、樹脂組成物の流動性を向上させ、薄肉部の成形性を向上させることができる。0.89dl/g以下がより好ましく、0.88dl/g以下がより好ましい。ここで、ビニル系(共)重合体(II)の30℃における固有粘度とは、ビニル系(共)重合体(II)を濃度0.4g/dlでメチルエチルケトンに溶解した溶液について測定した値をいう。なお、固有粘度を前記範囲にする手段としては、例えば、後述するビニル系(共)重合体(II)の製造方法において、スチレンとアクリロニトリルの合計100重量部に対し、重合時に使用する連鎖移動剤の量を0.42〜0.19重量部とすることが挙げられる。
ビニル系(共)重合体(II)の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合および溶液重合等の重合方法が挙げられる。また、各単量体の仕込方法に特に制限はなく、初期に一括して仕込んでもよいし、共重合体の組成分布を調整するために、単量体の一部または全部を連続的または分割して仕込みながら重合してもよい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)とビニル系(共)重合体(II)の含有量に特に制限はないが、これらの合計100重量部に対して、ゴム質含有グラフト共重合体(I)10〜60重量部、ビニル系(共)重合体(II)40〜90重量部が好ましい。ゴム質含有グラフト共重合体(I)含有量が10重量部以上であると、耐衝撃性をより向上させることができる。ゴム質含有グラフト共重合体(I)20重量部以上、ビニル系(共)重合体(II)80重量部以下がより好ましい。一方、ゴム質含有グラフト共重合体(I)含有量が60重量部以下であると、成形性を向上させることができる。ゴム質含有グラフト共重合体(I)50重量部以下、ビニル系(共)重合体(II)50重量部以上がより好ましい。
ゴム質含有グラフト共重合体(I)とビニル系(共)重合体(II)は、任意の方法により混合して用いることができる。
本発明における熱可塑性樹脂は、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)とともに、エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含むことが好ましい。エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含むことにより、耐衝撃性をより向上させることができる。
エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を構成する(メタ)アクリル酸エステルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。エステル(COOR)を構成する炭化水素基の炭素数は1〜18が好ましく、かかる炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、ウンデシル基、ステアリル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜8の基がより好ましい。
エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)の組成比は、エチレンが好ましくは10〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%、一酸化炭素が好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜20重量%、(メタ)アクリル酸エステルが好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%であり、必要に応じて、その他の共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。ここで、その他の共重合可能な単量体としては、例えば、プロピレン等のα−オレフィン、芳香族ビニル、アクリル酸、ジエン系ゴム、シリコンなどを挙げることができる。
本発明において、エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)の含有量は、ゴム強化熱可塑性樹脂(A)との合計100重量部に対して、3〜6重量部が好ましい。エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)の含有量が3重量部以上であると、耐衝撃性をより向上させることができる。3.5重量部以上がより好ましく、4.0重量部以上がさらに好ましい。一方、エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)の含有量が6重量部以下であると、成形品表面における層状剥離を抑制し、強打した場合にも卓球ボールの凹みを回復させやすく、割れを抑制することができる。5.5重量部以下がより好ましく、5.0重量部以下がさらに好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂は、上記ポリ(ブタジエン−スチレン)を含むゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が、下記式(1)および(2)を満足することが好ましい。
11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
式(1)について、〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100の値が11.2以上であると、耐衝撃性をより向上させ、卓球ボールの強度をより向上させることができる。11.4以上がより好ましい。一方、上記値が14.5以下であれば、曲げ弾性率をより向上させ、剛性および硬度をより向上させることができ、打球時のボールの弾みをより向上させ、ボールの凹みをより回復しやすくすることができる。14.3以下がより好ましい。
式(2)について、〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100の値が18.5未満であると、曲げ弾性率をより向上させ、剛性および硬度をより向上させることができ、打球時のボールの弾みをより向上させ、ボールの凹みをより回復しやすくすることができる。18.4未満がより好ましい。一方、上記値の下限は特に限定されないが、14.0以上が好ましく、14.2以上がより好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂には、目的とする耐衝撃性、曲げ弾性率、密度を阻害しない限りにおいて、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エステル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアルキルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料又は染料などを含有してもよい。これらの含有量は、本発明の効果に悪影響を与えない範囲であり、特に、前記ISO178による曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度および密度を満足する範囲であり、熱可塑性樹脂組成物中、10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましい。
さらに、各種強化材や充填材を含有してもよい。これらの含有量は、本発明の効果に悪影響を与えない範囲であり、特に、前記ISO178による曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度および密度を満足する範囲であり、熱可塑性樹脂組成物中、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂は、2種以上の成分を含む樹脂組成物である場合、例えば、構成成分を溶融混練することにより得ることができる。溶融混練方法に特に制限はないが、例えば、加熱装置、ベントを有する溶融混練装置を用いて溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練装置としては、例えば、シリンダーに単軸または二軸のスクリューを有する押出機などが挙げられる。溶融混練時の加熱温度は、200〜300℃が一般的である。本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混練時の温度勾配等を自由に設定することもできる。
本発明の卓球ボールは、直径が39.0mm以上であり、重さが2.0〜3.5gであることが好ましい。公式試合にて使用される卓球ボールは、ITTFで定められた規格に準拠する必要があるため、直径は39.70mm以上40.75mm未満がより好ましく、40.00mm以上40.60mm以下がさらに好ましい。また、重さは2.67〜2.77gが好ましい。
次に、本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物について説明する。本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物は、少なくとも、ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(A)成分を94〜97重量部、()成分を3〜6重量部含み、(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が下記式(1)および(2)を満足することが好ましい。
11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
本発明の本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分は、本発明の卓球ボールに用いられる熱可塑性樹脂として説明したとおりである。本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、前記特性をよりバランスよく有する卓球ボールを得ることができる。
前記熱可塑性樹脂または本発明の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、本発明の卓球ボールを製造することができる。卓球ボールの製造方法としては、例えば、射出成形やブロー成形を挙げることができる。射出成形やブロー成形は、常法により行うことができる。射出成形における成形温度は、200〜280℃が一般的である。射出成形時の金型温度は、30〜80℃が一般的である。
射出成形により卓球ボールを製造する方法としては、具体的には、射出成形により数個の中空半球体を成形し、得られた中空半球体同士を接合することにより中空全球体とし、必要に応じて研磨する方法が挙げられる。中空半球体同士の接合は、従来のセルロイド製卓球ボールと同様に行うことができる。また、ブロー成形においては、接合工程を省くことが可能であり、射出成形同様に研磨することが可能である。
前記熱可塑性樹脂または卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる卓球ボールは、打球時の弾み、打球音、強度などの従来のセルロイドボールの競技特性を忠実に再現するばかりか、セルロイドボールの欠点である不安定性と燃え易い危険性を回避できるものである。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例および比較例を挙げるが、これら実施例は本発明を何ら制限するものではない。実施例と比較例に示す卓球ボールは、射出成形した中空半球状の成形品同士を、それぞれの素材に適切な方法にて接合し、ITTFのテクニカルリーフレットT3で定められる規準に準拠した寸法のものを使用した。なお、ここで特に断りのない限り「%」は重量%、「部」は重量部を示す。
まず、原料、各実施例および比較例における評価方法について説明する。
(1)ゴム質重合体(a)の平均粒子径
「Rubber Age Vol.88 p.484-490 (1960), by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法、即ち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率から累積重量分率50%の粒子径を求めた。
(2)ゴム質含有グラフト共重合体(I)のグラフト率
80℃の温度で4時間真空乾燥を行ったゴム質含有グラフト共重合体(I)の所定量(m;1g)にアセトン100mlを加え、70℃の温度の湯浴中で3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離した後、不溶分を濾過し、この不溶分を80℃の温度で4時間真空乾燥し、重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式により算出した。ここでLは、グラフト共重合体のゴム含有率である。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100。
(3)ビニル系(共)重合体(II)の固有粘度
0.2gに秤量したビニル系(共)重合体(II)を50mlのメスフラスコに入れ、メチルエチルケトン溶媒を50mlまで添加し、0.4g/dlの溶液を30℃に調整した高温槽内で、ウベローデ粘度計にて固有粘度を求めた。
(4)タイプA試験片作製
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度265に設定した住友重機製SE50DU成形機内に充填し、ISO294に準拠し、射出成形によりタイプA試験片を得た。
(5)曲げ弾性率
上記タイプA試験片を用い、ISO178に準拠した曲げ弾性率(MPa)を測定した。
(6)シャルピー衝撃強度
上記タイプA試験片を用い、ISO2818に準拠してVノッチ加工を施した試験片を用い、ISO179に準拠したシャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
(7)密度
上記タイプA試験片を用い、ISO1183に準拠した密度(g/cm)を測定した。
次に、各実施例および比較例に用いた原料を示す。
[参考例1]ゴム質含有グラフト共重合体(I−1)
窒素置換した反応器に、純水150重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫酸第一鉄0.005重量部および平均粒子径が1.00μmである、スチレンとブタジエンの重量比が25/75のポリ(ブタジエン−スチレン)ラテックス45重量部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン39重量部、アクリロニトリル16重量部および連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン混合物0.2重量部を4時間掛けて連続添加した。同時に並行して、重合開始剤クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部およびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に対して1重量部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で酸凝固後、水酸化ナトリウムで硫酸を中和し、洗浄濾過後、乾燥し、パウダー状のゴム質含有グラフト共重合体(I−1)を得た。このゴム質含有グラフト共重合体(I−1)に占めるゴム質重合体(a)の割合は45重量%であり、グラフト率は30%であった。
[参考例2]ゴム質含有グラフト共重合体(I−2)
窒素置換した反応器に、純水150重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫酸第一鉄0.005重量部および平均粒子径が0.35μmであるポリブタジエンラテックス60重量部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン28重量部、アクリロニトリル12重量部および連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン混合物0.2重量部を4時間掛けて連続添加した。同時に並行して、重合開始剤クメンハイドロパーオキサイド0.2重量部およびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に対して1重量部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で酸凝固後、水酸化ナトリウムで硫酸を中和し、洗浄濾過後、乾燥し、パウダー状のゴム質含有グラフト共重合体(I−2)を得た。このゴム質含有グラフト共重合体(I−2)に占めるゴム質重合体(a)の割合は60重量%であり、グラフト率は40%であった。
[参考例3]ビニル系共重合体(II−1)
バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、特公昭45−24151号公報の実施例1に記載の水中でのラジカル重合方法で製造したアクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05重量部を、イオン交換水165重量部に溶解した溶液を入れて400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、スチレン72重量部,アクリロニトリル28重量部の合計100重量部とt−ドデシルメルカプタン:0.40重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.32重量部、脱イオン水:150重量部の混合溶液を撹拌下の系内に添加し、60℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、15分間かけて反応温度を65℃まで昇温した後、50分間かけて100℃の温度まで昇温した。以後、系内を室温まで冷却し、ポリマーの分離、洗浄および乾燥することでビーズ状のビニル系共重合体(II−1)を得た。得られたビニル系共重合体(II−1)の固有粘度は、0.53dl/gであった。
[参考例4]ビニル系共重合体(II−2)
上記(II−1)の条件のうち、混合溶液におけるt−ドデシルメルカプタンの量を0.39重量部とした他は(II−1)と同様の方法でビーズ状のビニル系共重合体(II−2)を得た。得られたビニル系共重合体(II−2)の固有粘度は、0.56dl/gであった。
[参考例5]ビニル系共重合体(II−3)
上記(II−1)の条件のうち、混合溶液におけるt−ドデシルメルカプタンの量を0.34重量部とした他は(II−1)と同様の方法でビーズ状のビニル系共重合体(II−3)を得た。得られたビニル系共重合体(II−3)の固有粘度は、0.64dl/gであった。
[参考例6]ビニル系共重合体(II−4)
上記(II−1)の条件のうち、混合溶液におけるt−ドデシルメルカプタンの量を0.25重量部とした他は(II−1)と同様の方法でビーズ状のビニル系共重合体(II−4)を得た。得られたビニル系共重合体(II−4)の固有粘度は、0.79dl/gであった。
[参考例7]ビニル系共重合体(II−5)
上記(II−1)の条件のうち、混合溶液におけるt−ドデシルメルカプタンの量を0.23重量部とした他は(II−1)と同様の方法でビーズ状のビニル系共重合体(II−5)を得た。得られたビニル系共重合体(II−5)の固有粘度は、0.83dl/gであった。
[参考例8]ビニル系共重合体(II−6)
上記(II−1)の条件のうち、混合溶液におけるt−ドデシルメルカプタンの量を0.16重量部とした他は(II−1)と同様の方法でビーズ状のビニル系共重合体(II−6)を得た。得られたビニル系共重合体(II−6)の固有粘度は、0.95dl/gであった。
エチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)
<C>三井・デュポンポリケミカル株式会社製“エルバロイ”HP−4051を使用した。
セルロイド製卓球ボールとしては、日本卓球株式会社製 3スター(プレミアム)硬球40mmを使用した。
実施例1
熱可塑性樹脂として「ABS樹脂」を使用した。ゴム質重合体としてポリブタジエンとポリ(ブタジエン−スチレン)を使用し、樹脂改質剤としてエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を5重量%添加することで以下に示す機械的特性を付与し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.530mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールと同等の、打球時の弾み、打球音、強度を再現しており、セルロイド製卓球ボールに比べて遜色のない卓球競技が可能であった。
・ISO178による曲げ弾性率=2260MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=33kJ/m
・ISO1183による密度=1.04g/cm
参考例9
熱可塑性樹脂として「ABS樹脂」を使用した。ゴム質重合体としてポリブタジエンを使用することで以下に示す機械的特性を付与し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.530mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールと同等の、打球時の弾み、打球音、強度を再現しており、セルロイド製卓球ボールに比べて遜色のない卓球競技が可能であった。
・ISO178による曲げ弾性率=2350MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=20kJ/m
・ISO1183による密度=1.04g/cm
参考例10
熱可塑性樹脂として「ABS樹脂」を使用した。ゴム質重合体としてポリブタジエンを使用し、樹脂改質剤としてエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を5重量%添加することで以下に示す機械的特性を付与し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.530mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールと同等の、打球時の弾み、打球音、強度を再現しており、セルロイド製卓球ボールに比べて遜色のない卓球競技が可能であった。
・ISO178による曲げ弾性率=1900MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=26kJ/m
・ISO1183による密度=1.04g/cm
参考例11
熱可塑性樹脂として「ABS/PCアロイ樹脂」を使用した。ゴム質重合体としてポリブタジエンを使用したABS樹脂とPC樹脂を溶融混練することで以下に示す機械的強度特性を付与し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.492mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールと同等の、打球時の弾み、打球音、強度を再現しており、セルロイド製卓球ボールに比べて遜色のない卓球競技が可能であった。
・ISO178による曲げ弾性率=2180MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=55kJ/m
・ISO1183による密度=1.12g/cm
比較例1
以下に示す機械的特性を有する「耐衝撃性ポリプロピレン」を使用し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.616mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールに比べて、打球時の弾み、打球音が悪く、セルロイド製卓球ボールの特徴を再現できなかった。曲げ弾性率が本発明の範囲外であるため、求める打球時の弾み、打球音が得られていないことがわかる。
・ISO178による曲げ弾性率=1300MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=30kJ/m
・ISO1183による密度=0.9g/cm
比較例2
以下に示す機械的特性を有する「高密度ポリエチレン」を使用し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.576mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、中空半球体同士の接合部とは別の部分が強打によって割れてしまい、打球時の弾み、打球音が悪く、セルロイド製卓球ボールの特徴を再現できなかった。曲げ弾性率が本発明の範囲外であるため、求める打球時の弾み、打球音が得られず、また、シャルピー衝撃強度が本発明の範囲外であるため、強度が不足していることがわかる。
・ISO178による曲げ弾性率=1300MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=7kJ/m
・ISO1183による密度=0.96g/cm
比較例3
以下に示す機械的特性を有する「塩化ビニル樹脂」を使用し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.397mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、中空半球体同士の接合部とは別の部分が強打によって割れてしまい、セルロイド製卓球ボールの特徴を再現できなかった。シャルピー衝撃強度が本発明の範囲外であるため、強度が不足していることがわかる。
・ISO178による曲げ弾性率=2300MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=10kJ/m
・ISO1183による密度=1.38g/cm
比較例4
以下に示す機械的特性を有する「酢酸セルロース樹脂」を使用し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.432mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、中空半球体同士の接合部とは別の部分が強打によって割れてしまい、打球時の弾み、打球音が悪く、セルロイド製卓球ボールの特徴を再現できなかった。曲げ弾性率が本発明の範囲外であるため、求める打球時の弾み、打球音が得られず、また、密度が本発明の範囲外であるため、成形品の厚みが薄くなり、強度が不足していることがわかる。
・ISO178による曲げ弾性率=1600MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=21kJ/m
・ISO1183による密度=1.27g/cm
比較例5
熱可塑性樹脂として「ABS樹脂」を使用した。ゴム質重合体としてポリブタジエンを使用することで以下に示す機械的強度特性を付与し、射出成形した中空半球状の成形品同士を接合後に表面を研磨し、直径40.0mm、重さ2.70g、厚み0.525mmの卓球ボールを得た。この卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、中空半球体同士の接合部とは別の部分が強打によって割れてしまい、セルロイド製卓球ボールの特徴を再現できなかった。シャルピー衝撃強度が本発明の範囲外であるため、強度が不足していることがわかる。
・ISO178による曲げ弾性率=2540MPa
・ISO179によるシャルピー衝撃強度=17kJ/m
・ISO1183による密度=1.05g/cm

実施例1、参考例9〜11および比較例1〜5の結果を表1に示す。表1において、卓球ボール競技特性がセルロイド製卓球ボールの特徴を再現できた場合をA、再現できなかった場合をBとした。
Figure 0005775230
[実施例5〜19、参考例12〜16、比較例6〜7]
表2〜5に示す原料を、表2〜5に示す配合比でヘンシェルミキサーで混合した後、ベント付き30mmφ二軸押出機PCM30(L/D=30)、樹脂温度250℃にて溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
実施例5〜24および比較例6〜7の結果を表2〜5に示す。表2〜5において、卓球ボール競技特性がセルロイド製卓球ボールの特徴を再現できた場合をA、再現できなかった場合をBとした。
Figure 0005775230
Figure 0005775230
Figure 0005775230
Figure 0005775230
上記結果から、以下のことが明らかになった。
実施例1、5〜21は、卓球ボール用樹脂組成物として必要な曲げ弾性率とシャルピー衝撃強度と比重を満足していることから、この卓球ボール用樹脂組成物からなる卓球ボールを使用し、実際にプレイした結果、セルロイド製卓球ボールと同等の、打球時の弾み、打球音、強度を再現しており、セルロイド製卓球ボールに比べて遜色のない卓球競技が可能であった。
実施例5〜15と参考例12の比較から、ゴム強化可塑性樹脂(A)とエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が、前記式(1)および(2)を満足する場合に、弾性率がより向上する。
実施例7と参考例16の比較から、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含む場合に、シャルピー衝撃強度がより向上する。
実施例5と実施例18、実施例9と実施例19の比較から、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(C)を3〜6重量部含む場合に、曲げ弾性率およびシャルピー衝撃強度がより向上する。

Claims (10)

  1. ISO178による曲げ弾性率が1650MPa以上、ISO179によるシャルピー衝撃強度が20kJ/m以上、ISO1183による密度が1.20g/cm未満である、セルロイドを含まない熱可塑性樹脂組成物から成る、直径が39.0mm以上、重さが2.0〜3.5gである卓球ボールであり、前記熱可塑性樹脂組成物が、ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(A)成分を94〜97重量部、(C)成分を3〜6重量部含み、(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が下記式(1)および(2)を満足し、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)が、ポリ(ブタジエン−スチレン)を含むゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるゴム質含有グラフト共重合体(I)、ならびに、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(II)を含む、卓球ボール。
    11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
    〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物が、ゴム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびポリカーボネート樹脂(B)を含む、請求項1記載の卓球ボール。
  3. ム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含み、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)が、ポリ(ブタジエン−スチレン)を含むゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるゴム質含有グラフト共重合体(I)、ならびに、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(II)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(A)成分を94〜97重量部、(C)成分を3〜6重量部含み、(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が下記式(1)および(2)を満足する、セルロイドを含まない熱可塑性樹脂組成物からなる、卓球ボール。
    11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
    〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
  4. 前記ビニル系共重合体(II)の固有粘度が0.5〜0.9dl/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の卓球ボール。
  5. 射出成形により成形された中空半球体同士を接合して得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の卓球ボール。
  6. インジェクションブローにより成形して得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の卓球ボール。
  7. ム質重合体(a)を配合してなるゴム強化熱可塑性樹脂(A)およびエチレン・一酸化炭素・(メタ)アクリル酸エステル共重合体(C)を含み、ゴム質重合体(a)がポリ(ブタジエン−スチレン)を含み、前記ゴム強化熱可塑性樹脂(A)が、ポリ(ブタジエン−スチレン)を含むゴム質重合体(a)の存在下に、シアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるゴム質含有グラフト共重合体(I)、ならびにシアン化ビニル系単量体および芳香族ビニル系単量体を含む単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体(II)を含み、前記(A)と(C)の合計100重量部に対して、(A)成分を94〜97重量部、()成分を3〜6重量部含み、(A)と(C)の合計100重量%に占める各成分の重量比が下記式(1)および(2)を満足する、セルロイドを含まない卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物。
    11.2≦〔(a)の重量比÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100≦14.5 (1)
    〔{(a)の重量比+(C)の重量比}÷{(A)の重量比+(C)の重量比}〕×100<18.5 (2)
  8. 前記ビニル系共重合体(II)の固有粘度が0.5〜0.9dl/gである、請求項7記載の卓球ボール。
  9. 請求項7又は8記載の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより中空半球体を得て、該中空半球体を接合することにより中空全球体とする、卓球ボールの製造方法。
  10. 請求項7又は8記載の卓球ボール用熱可塑性樹脂組成物をインジェクションブロー成形することにより中空全球体とする、卓球ボールの製造方法。
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