JP2010121005A - グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物並びに樹脂成形体 - Google Patents

グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物並びに樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂組成物に配合した場合に、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体の形成を可能とするグラフト共重合体を提供すること。
【解決手段】 スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の存在下、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスに、少なくともメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を乳化グラフト重合して得られ、上記乳化グラフト重合における上記スルホン酸系塩化合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部以下とし、上記乳化グラフト重合における上記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下として、グラフト共重合体中の上記スルホン酸系塩化合物の含有量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以下としたことを特徴とする、グラフト共重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物並びに樹脂成形体に関する。
事務機器分野、電気・電子機器分野、自動車分野などの分野では、樹脂成形体が広く使用されている。近年は、ポリカーボネート系樹脂が配合された熱可塑性樹脂組成物から形成される樹脂成形体が、事務機器、電子電気機器の筐体などの部品に多く使用されるようになっている。高度な機械的強度が要求される部品の場合、熱可塑性樹脂では耐衝撃性を向上させることが必要となる。
ポリカーボネート系樹脂を用いた樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる方法として、下記特許文献1には、添加剤としてMBS樹脂などのグラフト共重合体を配合する方法が提案されている。
他方、最近では、リサイクル対応の観点から、事務機器分野における樹脂成形体は、十分な耐加水分解性及び耐熱着色性を有していることが求められている。
樹脂成形体の耐加水分解性や耐熱着色性を改善する方法として、例えば、ヒンダードフェノール系、チオ系、リン系などの安定剤を樹脂組成物に配合する方法がある(例えば、特許文献2)。
特公昭62−25179号公報 特開平10−25409号公報
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に配合した場合に、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体の形成を可能とするグラフト共重合体を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の存在下、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスに、少なくともメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を乳化グラフト重合して得られ、上記乳化グラフト重合における上記スルホン酸系塩化合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部以下とし、上記乳化グラフト重合における上記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下として、グラフト共重合体中の上記スルホン酸系塩化合物の含有量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以下としたことを特徴とする、グラフト共重合体にある。
また、請求項2に記載の発明は、ポリカーボネート系樹脂を含有する熱可塑性樹脂と、請求項1に記載のグラフト共重合体とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記熱可塑性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、50質量部以上99質量部以下であり、上記グラフト共重合体の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物にある。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる、樹脂成形体にある。
請求項1に記載の発明は、本構成を有しないグラフト共重合体と比較して、熱可塑性樹脂組成物に配合した場合に、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体の形成が可能であるという効果を有する。
請求項2に記載の発明は、本構成を有しない熱可塑性樹脂組成物と比較して、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体の形成が可能であるという効果を有する。
請求項3に記載の発明は、本構成を有しない樹脂成形体と比較して、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足するという効果を有する。
以下、発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るグラフト共重合体は、スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の存在下、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスに、少なくともメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を乳化グラフト重合して得られるグラフト共重合体であって、上記乳化グラフト重合における上記スルホン酸系塩化合物の総使用量を、上記グラフト共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部以下とし、上記乳化グラフト重合における上記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量を、上記グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下として、上記グラフト共重合体中の上記スルホン酸系塩化合物の含有量を、上記グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以下としたことを特徴とする。
上記ブタジエン系ゴム質重合体は、1,3−ブタジエンと、1,3−ブタジエンと共重合し得る1種又は複数のビニル系単量体との重合により得られる重合体を示す。上記ブタジエン系ゴム質重合体は、ブタジエン系ゴム質重合体を得るのに用いる単量体全量を100質量部とした場合に、1,3−ブタジエンが60質量部以上使用された重合体であることが好ましく、65質量部以上使用された重合体であることがより好ましい。このようなブタジエン系ゴム質重合体を用いることにより、耐衝撃性の向上効果に一層優れるグラフト共重合体が得られやすくなる。
1,3−ブタジエンと共重合し得るビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル;エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体等を挙げることができる。
ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスは、製造方法について特に制限はないが、合成の容易さの観点から、1,3−ブタジエンと、1,3−ブタジエンと共重合し得る1種又は複数のビニル系単量体との乳化重合により製造することが好ましい。
上記乳化重合における乳化剤としては、例えば、牛脂脂肪酸カリウム等の脂肪酸系塩化合物、スルホン酸系塩化合物、硫酸系塩化合物等を使用することができる。これらのうち、ブタジエン系ゴム質重合体の耐加水分解性及び耐熱着色性の観点から、スルホン酸系塩化合物が好ましい。スルホン酸系塩化合物としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩や、アルキルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩等が挙げられるが、ブタジエン系ゴム質重合体の耐加水分解性及び耐熱着色性が一層優れる観点からは、アルキルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩が好適に使用できる。
上記乳化重合において、乳化剤としてスルホン酸系塩化合物を用いる場合、最終的に得られるグラフト共重合体におけるスルホン酸系塩化合物の含有量が、グラフト共重合体100質量部に対して1.0質量部以下となるように、乳化剤の使用量等を重合段階において、適宜調整する必要がある。
上記乳化重合において、連鎖移動剤やグラフト交叉剤を添加しても良い。これらの添加剤によれば、ブタジエン系ゴム質重合体の分子量やグラフト率を適宜調整することができる。
ブタジエン系ゴム質重合体の分子量としては、耐衝撃性の向上効果に一層優れるグラフト共重合体が得られやすくなる観点から、1000以上1000000以下が好ましく、10000以上500000以下がより好ましい。また、ブタジエン系ゴム質重合体のグラフト率としては、グラフト共重合体の熱可塑性樹脂組成物中での分散性を向上させ、耐衝撃性の向上効果に一層優れるグラフト共重合体を得る観点から、5%以上60%以下が好ましく、10%以上50%以下がより好ましい。
また、ラテックス中のブタジエン系ゴム質重合体の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、グラフト共重合体による耐衝撃性の向上効果及び成形物表面外観が良好となる観点から、100nm以上800nm以下が好ましい。ブタジエン系ゴム質重合体の平均粒子径が100nm未満であると、耐衝撃性が悪化することがあり、平均粒子径が800nmを超えると、耐衝撃性及び成形物表面外観が悪化することがある。
上記乳化重合としては、一段又は二段以上の多段重合が可能である。多段重合とは、重合に用いる単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加、又は、連続添加することにより行うことができる。このような多段重合によれば、良好な重合安定性が得られるとともに、所望の粒径及び粒径分布を有するラテックスを安定に得ることができる。
上記グラフト重合体中のブタジエン系ゴム質重合体の含有量は、上記グラフト重合体100質量部に対して、55〜90質量部であることが好ましい。ブタジエン系ゴム質重合体の含有量が55質量部未満であると、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。また、90質量部を超えると、グラフト共重合体の熱可塑性樹脂組成物中での分散不良に起因して、十分な耐熱着色性及び耐衝撃性が得られない場合がある。
上記スルホン酸系塩化合物としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩、等が挙げられる。
上記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物としては、デモールN、デモールT(いずれも花王(株)製)等の市販品を用いることができる。
上記乳化グラフト重合における上記スルホン酸系塩化合物の総使用量は、上記グラフト共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部以下であるが、0.2質量部以上0.9質量部以下であるとより好ましく、0.5質量部以上0.8質量部以下であるとさらに好ましい。スルホン酸系塩化合物の総使用量が0.1質量部未満であると、乳化グラフト重合の重合安定性が低下し、グラフト共重合体を得ることが非常に困難になるという問題がある。また、1.0質量部を超えると、グラフト共重合体におけるスルホン酸系塩化合物の含有量をグラフト共重合体100質量部に対して1.0質量部以下にすることが困難となる。スルホン酸系塩化合物の含有量が1.0質量%を超えるグラフト共重合体では、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体を熱可塑性樹脂組成物から形成することが困難となる。
上記乳化グラフト重合における上記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量は、上記グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下であるが、1.5質量部以上9.0質量部以下であるとより好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下であるとさらに好ましい。β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量が1.0質量部未満であると、乳化グラフト重合の重合安定性が低下し、グラフト共重合体を得ることが非常に困難になるとともに、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体を形成することが困難となる。また、10質量部を超えると、後の凝析工程にて、凝析不良となる可能性がある。
上記メタクリル酸アルキルエステルとしては、エチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート等が挙げられる。
また、上記単量体混合物は、メタクリル酸アルキルエステルの他に、スチレン、スチレン、α−メチルスチレン並びに各種ハロゲン置換及びアルキル置換スチレン等の芳香族ビニル;エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体等を含有することができる。上記単量体混合物は、これらの単量体を、一種又は複数種含有することができる。
上記グラフト共重合体は、スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の存在下、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスに、少なくともメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を乳化グラフト重合して得られる。
上記乳化グラフト重合は、一段階での重合であっても、二段以上の多段重合であっても良いが、好ましくは三段グラフト重合である。以下、乳化グラフト重合が三段グラフト重合である場合の、好適な実施形態を例示する。
三段グラフト重合において、グラフト一段目の単量体としては、耐衝撃性の向上効果及び熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とすることが好ましい。
また、グラフト二段目の単量体としては、グラフト共重合体の流動性を上げる観点から、芳香族ビニル化合物を主成分とすることが好ましい。
さらに、グラフト三段目の単量体としては、成形体表面の艶を向上させる観点から、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とすることが好ましい。
上記乳化グラフト重合には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。これらのラジカル重合開始剤のうち、レッドクス系開始剤が好ましく、特に、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたラジカル重合開始剤が好ましい。
上記乳化グラフト重合が多段重合であった場合、スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、どの段階で添加しても良く、一度に又は数度に分けて添加しても良いが、乳化グラフト重合の反応性を向上させる観点から、一段目の重合時に全量添加することが好ましい。
グラフト共重合体は、乳化グラフト重合後のグラフト共重合体ラテックスに、適当な酸化防止剤や添加剤を加え、あるいは添加せずに、凝析させてスラリーを得て、そのスラリーを熱処理固化して脱水した後、乾燥等することにより、粉末状固体として得ることができる。
凝析剤としては、金属塩化合物を使用することができ、特にアルカリ土類金属塩化合物を好適に使用できる。アルカリ土類塩化合物としては、例えば、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。これらの凝析剤のうち、耐加水分解性に一層優れる点で、カルシウム塩化合物が好ましい。
凝析剤がアルカリ土類塩化合物であると、スルホン酸系塩化合物と凝析剤から生成される塩がイオン的に安定になり、熱可塑性樹脂組成物の酸化劣化や加水分解を生じ難くさせ、耐熱着色性や耐加水分解性に一層優れる熱可塑性樹脂組成物を実現することができる。
また、グラフト共重合体を作製する際、凝析させたスラリー液のpH調整剤として、アルカリ金属塩化合物を使用することが好ましい。これにより、耐熱着色性、耐加水分解性を向上させることができる。
スラリー液のpHは、pH8〜10の範囲内に調整することが好ましい。この範囲では、スルホン酸系塩化合物と凝析剤から生成される塩の残存物は、水溶性塩を形成する。そのため、凝析させたグラフト共重合体を洗浄することで、着色性物質や加水分解要因となる残存物を容易に減量することができる。pH7未満では残存物を減量させる効果が十分ではなく、pH10を越えると、グラフト共重合体中のメタクリル酸アルキルエステル由来のエステル基が分解する可能性がある。
グラフト共重合体は、スルホン酸系塩化合物の含有量が、グラフト共重合体100質量部に対して1.0質量部以下である。スルホン酸系塩化合物の含有量が1.0質量部を越えるグラフト共重合体では、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体を熱可塑性樹脂組成物から形成することが困難となる。
本実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂を含有する熱可塑性樹脂と、上記グラフト共重合体とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記熱可塑性樹脂の含有量が、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、50質量部以上99質量部以下であり、上記グラフト共重合体の含有量が、上記熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする。
グラフト共重合体の含有量が1質量部未満である熱可塑性樹脂組成物では、耐衝撃性、耐加水分解性及び耐熱着色性を高水準で満足する樹脂成形体を形成することが困難となる。また、30質量部を超えると、熱可塑性樹脂の機械的特性や流動性、耐熱性などの特性が失われる傾向にある。
ポリカーボネート系樹脂(PC)以外の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)等のスチレン系樹脂(St系樹脂);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂);等が挙げられる。本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート系樹脂とAS樹脂、ポリカーボネート系樹脂とHIPS樹脂、又は、ポリカーボネート系樹脂とABS樹脂、であることが好ましい。
また、上記熱可塑性樹脂におけるポリカーボネート系樹脂の割合は、優れた耐衝撃性・耐熱性・難燃性等の物性を発現させる観点から、40質量%以上98質量%以下であることが好ましく、50質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の技術、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で粉体、粒状物を混合し、これを押出し機、ニーダー、ミキサー等で溶融混合する方法、あらかじめ溶融させた成分に他成分を逐次混合していく方法等、各種方法により製造することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤を更に含んでもよい。難燃剤としては、例えば臭素や塩素等のハロゲン系難燃剤、ポリリン酸メラミン、芳香族系リン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、ホスファゼン化合物、ポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。これらのうち、燃焼時の有害物質発生を抑えつつ、高い難燃性を得る観点から、縮合リン酸エステルを用いることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、熱又は光に対する安定剤、耐加水分解性等の改質剤、酸化チタン、タルク等の充填材、染顔料、可塑剤等を更に含んでもよい。
安定剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、フォスファイト系安定剤、紫外線吸収剤、アミン系の光安定剤が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、フェノール系化合物の−OH基の性質を遮蔽した分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物が好ましく、特にn−オクタデシル−3−(3’,5’−ジターシャリーブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−ターシャリーブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトルテトラキス[3−(3,5−ジ−ターシャリーブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。チオエーテル系酸化防止剤としては、ジアルキル−3,3’−チオジプロピネート、テトラキス[メチレン−3−(アルキルチオ)プロピオネート]メタン、ビス[2−メチル−4−(3−アルキル−チオプロピオニルオキシ)−5−ターシャリーブチルフェニル]スルフィドが好ましい。フォスファイト系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)フォスファイト、分子内にペンタエリスリトール骨格を有するものが好ましく、特にジ(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが好ましい。本実施形態で用いられる縮合リン酸エステルとしては、例えばペンタエリスリトールジホスフェートや、下記一般式(1)又は(2)を有するリン酸エステル化合物である。
Figure 2010121005
Figure 2010121005
式中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q9、Q10、Q11及びQ12は、それぞれ独立に炭素数1から6のアルキル基を示し、Q5、Q6及びQ13は、メチル基を示し、Q7及びQ8は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示す。m1、m2、m3、m4、m7、m8、m9及びm10は、それぞれ独立に0から3の整数を示し、m5及びm6は、それぞれ独立に0から2の整数を示し、m11は独立に0から4の整数を示す。nは1以上の整数を示す。このようなリン酸エステル化合物としては、例えばビスフェノールA型、ビフェニレン型、イソフタル型、ビフェノール型などの芳香族縮合リン酸エステルを好適に使用することができる
本実施形態に係る樹脂成形体は、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
樹脂成形体の成形方法としては、例えば、熱可塑性樹脂組成物を射出成形機で成形する方法、プレス成形、押出成形、ブロー成形、カレンダ成形、コーテイング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形等が挙げられる。樹脂成形体の成形において、成形温度は170℃以上320℃以下であることが好ましく、190℃以上300℃以下であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂成形体は、機械的強度(耐衝撃性)に優れ、且つ、十分な耐加水分解性及び耐熱着色性を有しているため、事務機器、家電製品などの用途に好適に用いることができる。より具体的には、家電製品や事務機器などの筐体、各種部品などであり、中でも、プリンター、複写機、ファックスなどに代表される事務機器の部品に好適であり、特にリサイクルの要求が高い部品に好適である。
以下に実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、各実施例、比較例におけるグラフト共重合体中のスルホン酸系塩化合物残渣量の測定は、以下の方法で行った。測定結果を表1に示す。
<グラフト共重合体中のスルホン酸系塩化合物残渣量>
グラフト共重合体中に含まれるスルホン酸系塩化合物を、アセトン溶媒中でメタノールと塩酸によりメチルエステル化させた後、濾過した。次いで、濾液中の溶媒を減圧除去した後の残渣をノルマルヘキサンに溶解させ、これを水洗した後、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製「GC−14B」)にて定量分析し、スルホン酸系塩化合物残渣量を求めた。
(合成例1:ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックス(A−1)の製造)
下記第一単量体混合物を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して43℃になったら下記レドックス系開始剤を反応器内に添加した。反応開始後、さらに65℃まで昇温した。重合開始から2時間後に、下記重合開始剤を反応器内に添加し、その直後より下記第二単量体混合物、重合開始剤、乳化剤及び脱イオン水を、2時間かけて連続滴下した。重合開始から20時間反応させて、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックス(A−1)を得た。得られたブタジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−1)の質量平均粒子径は170nmであった。
<第一単量体混合物>
1,3−ブタジエン(Bd):20質量部
スチレン(St):5質量部
p−メンタンハイドロパーオキサイド:0.1質量部
ピロリン酸ナトリウム:0.4質量部
アルキルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩(花王(株)製、ペレックスSS−L):0.08質量部
脱イオン水:100質量部
<レドックス開始剤>
硫酸第一鉄:0.0004質量部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム:0.0012質量部
ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート(三菱ガス化学社製、スーパーライトSFS):0.5質量部
脱イオン水:5質量部
<第二単量体混合物>
1,3−ブタジエン(Bd):70質量部
スチレン(St):5質量部
<重合開始剤>
p−メンタンハイドロパーオキサイド:0.2質量部
<乳化剤及び脱イオン水>
アルキルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム塩:0.02質量部
脱イオン水:100質量部
(合成例2:ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックス(A−2)の製造)
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)(花王(株)製、ネオペレックスG−15)を使用した以外は、合成例1と同様の製造方法により、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックス(A−2)を得た。得られたブタジエン系ゴム質重合体ラテックス(A−2)の質量平均粒子径は180nmであった。
(実施例1)
<グラフト共重合体の製造>
[重合一段目]
上記合成例1で得られたラテックス(A−1)を固形分として70質量部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)(花王(株)製、ペレックスSS−L)0.03質量部、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)(花王(株)製、デモールT)5質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート(三菱ガス化学社製、スーパーライトSFS)0.6質量部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持した。次いで、メチルメタクリレート(MMA)25.5質量部及びクメンハイドロキシパーオキサイド0.3質量部からなる混合物を1時間かけて滴下した後、1時間保持した。
[重合二段目]
一段目で得られた重合体の存在下、スチレン(St)1.5質量部と及びクメンハイドロキシパーオキサイド0.0045質量部の混合物を1時間かけて滴下した後3時間保持した。
[重合三段目]
一段目及び二段目で得られた重合体の存在下、メチルメタクリレート(MMA)3質量部及びクメンハイドロキシパーオキサイド0.009質量部からなる混合物を0.5時間かけて滴下した後1時間保持して、グラフト共重合体ラテックスを得た。
グラフト共重合体ラテックスの固形分に対して4質量%となる量の塩化カルシウム(凝固剤)を含有する水溶液に、系内のpHが8〜10の範囲内に入るようにpH調整剤として10%水酸化ナトリウム水溶液を適宜添加しつつ、グラフト共重合体ラテックスを注ぎ入れてグラフト共重合体を凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥してグラフト共重合体(B−1)を得た。グラフト共重合体(B−1)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−1)100質量部に対して、0.09質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート系樹脂(PC)(帝人化成(株)製、L−1225)72質量部、AS樹脂(日本エイアンドエル(株)製、BS203)18質量部、難燃剤として有機アルカリ金属塩系難燃剤(Bayer社製、BAYOWET)0.1質量部及びグラフト共重合体(B−1)10質量部を、ヘンシェルミキサーで4分間混合した後、44mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度260℃で溶融混練し、ペレット状に賦型して、熱可塑性樹脂組成物(C−1)の賦型ペレットを得た。
(実施例2)
<グラフト共重合体の製造>
重合一段目において、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)の使用量を0.88質量部、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)の使用量を4質量部とした以外は、実施例1と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−2)を得た。グラフト共重合体(B−2)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−2)100質量部に対して、0.93質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−2)の賦型ペレットを得た。
(実施例3)
<グラフト共重合体の製造>
重合一段目において、ラテックス(A−1)に替えてラテックス(A−2)を用い、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)に替えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)(花王(株)製、ネオペレックスG−15)0.03質量部を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−3)を得た。グラフト共重合体(B−3)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−3)100質量部に対して、0.08質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−3)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−3)の賦型ペレットを得た。
(実施例4)
<グラフト共重合体の製造>
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)(花王(株)製、ネオペレックスG−15)の使用量を0.88質量部とし、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)(花王(株)製、デモールT)の使用量を4質量部とした以外は、実施例3と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−4)を得た。グラフト共重合体(B−4)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−4)100質量部に対して、0.92質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−4)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−4)の賦型ペレットを得た。
(実施例5)
<グラフト共重合体の製造>
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)の使用量を0.43質量部、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)の使用量を4.5質量部とし、20%酢酸カルシウム水溶液に替えて20%塩化カルシウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−5)を得た。グラフト共重合体(B−5)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−5)100質量部に対して、0.49質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−5)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−5)の賦型ペレットを得た。
(実施例6)
<グラフト共重合体の製造>
20%塩化カルシウム水溶液に替えて20%硫酸アルミニウム水溶液を用いた以外は、実施例5と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−6)を得た。グラフト共重合体(B−6)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−6)100質量部に対して、0.49質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−6)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−6)の賦型ペレットを得た。
(実施例7)
<グラフト共重合体の製造>
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)の使用量を0.43質量部とし、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)の使用量を4.5質量部とし、20%酢酸カルシウム水溶液に替えて20%塩化カルシウム水溶液を用いた以外は、実施例3と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−7)を得た。グラフト共重合体(B−7)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−7)100質量部に対して、0.48質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−7)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−7)の賦型ペレットを得た。
(実施例8)
<グラフト共重合体の製造>
20%塩化カルシウム水溶液に替えて20%硫酸アルミニウム水溶液を用いた以外は、実施例7と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−8)を得た。グラフト共重合体(B−8)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−8)100質量部に対して、0.49質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−8)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−8)の賦型ペレットを得た。
(実施例9)
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
ポリカーボネート系樹脂(帝人化成(株)製、L−1225)64質量部、AS樹脂(日本エイアンドエル(株)製、BS203)16質量部、難燃剤として有機アルカリ金属塩系難燃剤(Bayer社製、BAYOWET)0.1質量部及びグラフト共重合体(B−1)20重量部を、ヘンシェルミキサーで4分間混合した後、30mmΦ二軸押し出し機にてシリンダー温度280℃で溶融混練し、ペレット状に賦型して、熱可塑性樹脂組成物(C−9)の賦型ペレットを得た。
(比較例1)
<グラフト共重合体の製造>
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)の使用量を1.43質量部、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(NASF)の使用量を3.5質量部とした以外は、実施例1と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−10)を得た。グラフト共重合体(B−10)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−10)100質量部に対して、1.48質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−10)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−10)の賦型ペレットを得た。
(比較例2)
<グラフト共重合体の製造>
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩(DPEDS)の使用量を2.43質量部とし、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−11)を得た。グラフト共重合体(B−11)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−11)100質量部に対して、2.46質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−11)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−11)の賦型ペレットを得た。
(比較例3)
<グラフト共重合体の製造>
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)(花王(株製、ネオペレックスG−15)の使用量を2.43質量部とし、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を使用しなかったこと以外は、実施例3と同様の製造方法により、グラフト共重合体(B−12)を得た。グラフト共重合体(B−12)中のスルホン酸系塩化合物残渣量は、グラフト共重合体(B−12)100質量部に対して、0.49質量部であった。
<熱可塑性樹脂組成物の製造>
グラフト共重合体(B−1)に替えてグラフト共重合体(B−12)を用いた以外は、実施例1と同様の製造方法により、熱可塑性樹脂組成物(C−12)の賦型ペレットを得た。
実施例及び比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物賦型ペレットについて、以下の方法により耐加水分解性、耐熱着色性及び耐衝撃性を測定した。測定結果を表2に示す。
<耐加水分解性>
恒温恒湿器として、エスペック(株)製「LHL−113」を使用し、温度120℃、湿度95℃で賦型ペレットを100時間又は300時間処理し、処理前後におけるメルトインデックスを測定した。メルトインデックスは、温度250℃で、5分間保持した後、2.5kgfの荷重をかけて測定した。
<耐熱着色性>
賦型ペレットを120℃ギアオーブンにて24時間静置した前後の着色を目視判定して5段階評価した。評価基準:良好(着色なし)5,4,3,2,1不良(着色あり)
<耐衝撃性(シャルピー耐衝撃強度)>
実施例又は比較例で製造したペレットを、射出成形機(東芝機械社製、製品名「NEX500」)を用いて、シリンダ温度235℃、金型温度60℃で射出成形し、ISO多目的ダンベル試験片(試験部厚さ4mm、幅10mm)を作成した。作成した試験片を、ノッチ加工し、ISO−179に規定の方法に従って耐衝撃試験装置(東洋精機社製、DG−5)によりシャルピー耐衝撃強度(kJ/m)を測定した。
Figure 2010121005
Figure 2010121005

Claims (3)

  1. スルホン酸系塩化合物及びβ−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の存在下、ブタジエン系ゴム質重合体を含有するラテックスに、少なくともメタクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を乳化グラフト重合して得られ、
    前記乳化グラフト重合における前記スルホン酸系塩化合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上1.0質量部以下とし、
    前記乳化グラフト重合における前記β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の総使用量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以上10.0質量部以下として、
    グラフト共重合体中の前記スルホン酸系塩化合物の含有量を、グラフト共重合体100質量部に対して、1.0質量部以下としたことを特徴とする、グラフト共重合体。
  2. ポリカーボネート系樹脂を含有する熱可塑性樹脂と、請求項1に記載のグラフト共重合体とを含み、
    前記熱可塑性樹脂の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、50質量部以上99質量部以下であり、
    前記グラフト共重合体の含有量が、熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる、樹脂成形体。
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