JP5769526B2 - 法面緑化工法用基材の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、バカスや木材チップの繊維材料は単独では、法面に付着しない。繊維材料を法面に吹き付けても、法面に衝突した後に舞い上がり、拡散してしまうのみである。そのため、バカスや木材チップを法面に付着させるためには、繊維材料を法面に接着する接着剤(バインダー)として作用する材料が必要である。
また、バインダーとして作用する材料が存在しないと、仮に法面に付着したとしても、雨が降るたびに法面緑化用基材が流れ出て、剥き出しになった地山が雨水による侵食を受け、濁り水の原因となる。そして、環境に悪影響を与えてしまう。
しかし、粘性土を使用した場合には、空気圧送が困難であるという問題が存在する。空気圧送用ホースの内壁面や吹付機械の内部に粘性土が付着して、閉塞や故障を惹起してしまうからである。また、粘性土同士が固まって団子状になり、空気圧送用ホースを閉塞してしまう。
換言すれば、法面緑化工法を施工するに際して、繊維材料を法面に付着するためのバインダーとして粘性土を緑化基材に混入する必要があるが、粘性土を混入した緑化基材を空気圧送で搬送することが困難になってしまう、という問題が存在する。
これに加えて、緑化基材は、法面に吹き付けられた後に、法面に付着し続けることが要求される。
しかし、従来技術では、係る二つの性質を同時に充足する緑化基材は存在しなかった。
しかし、係る緑化資材は、土質材料の粘性に起因して、空気圧送が困難になるという問題については、何等解消するものではない。
そして、水の量は、土質材料に対して50容積%以下であるのが好ましい。
そして、吸水剤(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム塩系の高分子吸水剤)を混合する(ステップS3)ことにより、当該吸水剤により造粒化され、内部に水を溜め込んだ状態で塊となった土質材料の粒子と、水の粒子とを形成する。そして、凝集した土質材料(0.5mm〜5mm程度の大きさ)と、水に分離する。
その結果、法面緑化工法用基材(M)には余剰な水は存在しなくなり、土質材料が粘性を発揮せず、空気圧送に際して空気圧送用のホース(材料ホース7)の内壁面や、吹付機械(4)の内部に土質材料が付着することがなく、また、土質材料同士が集合して巨大な塊になり、空気圧送用ホース(7)を閉塞してしまうことが防止される。
すなわち、本発明により製造された法面緑化工法用基材(M)によれば、空気圧送の際には、法面緑化基材(M)中の土質材料の粘性は発揮されないが、法面(S)に衝突して水が土質材料の粒から飛び出した後は、当該粘性を発揮して、法面(S)へ良好に付着する。
本発明の実施形態を理解するために、先ず、図1を参照して、法面緑化工法の施工設備について説明する。
図1において、法面緑化工法の施工設備は、法面緑化工法用基材搬送用コンベア3と、吹付機4と、コンプレッサ6と、材料ホース7及びノズル8を有している。
図1において、法面緑化工法用基材は符号Mで示されている。
また、コンプレッサ6は吹付機4に高圧空気を供給する。
吹付機4において、法面緑化工法用基材Mは高圧空気と合流し、吹付機4から吐出される。そして、法面緑化工法用基材Mは高圧空気に連行され、材料ホース7を通過し、ノズル8を介して、法面Sに吹き付けられる。
図1において、法面Sに吹き付けられた法面緑化工法用基材は、符号10で表現されている。
最初に、図2、図3を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
本発明の第1実施形態では、図示しない混合攪拌装置(例えば、株式会社北川鐵工製の商品名「ダブルミキサーW−500」の様な2軸のパグミルミキサー)に、図2で示す手順で材料を投入し、混合、攪拌することにより、法面緑化工法用基材Mを製造する。
ステップS2では、50リットル以下の水を添加すると共に、凝集剤を0.05〜0.3kgの範囲で添加して攪拌する。
凝集剤を添加することによって、凝集反応が生じる。凝集反応の際には、土粒子を電気的に吸引した凝集剤が、さらに集合して塊を作り、その内部に水を捕える。すなわち、内部に水を溜め込んだ状態で塊となった土質材料が生成される。
吸水剤を添加することにより、凝集剤で凝集した土質材料の塊が造粒化する。それにより、内部に水を溜め込んだ状態で塊となった土質材料の粒(凝集した土質材料の塊:0.5mm〜5mm程度)と、水の粒(水の塊:0.5mm〜5mm程度)とに分離する。
そして、内部に水が捉えられている状態の土粒子の外側に存在する水(余剰な水分)は、添加された吸水剤により吸収される。しかし、塊状となった土粒子の内部に捕えられている水は、吸水剤により吸収されることはない。
仮にステップS3を省略して、吸水剤を添加しなければ、凝集剤が余剰な水分によりゲル化して土と凝集反応するのみで、土そのものが直接材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に付着してしまうので、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜は形成されることはない。さらに、凝集剤が土粒子を電気的に吸引して、巨大な塊を形成してしまう。そして、巨大な塊が形成されてしまうと、法面緑化工法用基材を空気圧送することが困難になる。
そして、ステップS5では、粉末状或いは顆粒状の凝集剤をさらに添加する。
空気圧送用の配管である材料ホース7の内部は常に濡れているため、粉末状或いは顆粒状の凝集剤を添加すると、当該凝集剤によって材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜が形成される。
材料ホース7の内壁面に凝集剤の膜が形成された状態で、材料ホース7の内壁面に向って、或いは、吹付機4の内部に基材M(或いは土質材料)が衝突しても、凝集剤の膜が存在するため、衝突した基材M中の土質材料は材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部には接触せず、凝集剤の膜に接触する。そして、膜状の凝集剤の作用により、衝突した基材Mは再凝集するのみで、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部には付着せず、そのまま吹付機4の内部を流過し、材料ホース7内を空気圧送される。
また、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部には凝集剤の膜が生成されるので、基材M中の土質材料が、ホース7内壁面や吹付機4の内部に存在する水分と接触してしまうことはない。
すなわち、土質材料は水と接触しないので、土質材料が粘性土であっても粘性を発揮することはない。そのため、土質材料或いは基材Mが材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に付着してしまうことはない。
さらに、空気圧送されている基材Mでは、土質材料は凝集剤で凝集しており、凝集剤で包囲されている状態であるため、凝集した土質材料同士が付着することもなく、凝集した土質材料が巨大な塊を形成してしまうこともない。
一方、ステップS2で添加される凝集剤は、土粒子を電気的に吸引した状態で集合して塊を作り、その内部に水を捕えるために添加される。
それに加えて、ステップS2、ステップS5で添加される凝集剤は、基材Mが法面Sに吹き付けられた後に、雨水により基材Mが法面Sから剥離、流出することを防止する機能を発揮する。
従って、繊維材料を包含した基材Mは、法面Sに吹き付けられ、衝突することにより、土質材料の粘性が発揮される状態となり、法面Sに良好に付着する。
図3において、土質材料として、粘土・シルト分を20%以上含む、砂質土以外の土(例えば、赤土)を用いている。
赤土の場合には、含水比が液性限界(赤土の場合は重量含水比が69.10%)〜液性限界の1/2(重量含水比が34.55%)であるものが、土質材料としては好ましい。
繊維材料の添加量は、土質材料に対して、125〜500容積%である。
125容積%以下では基材Mに含有される繊維が少なすぎて、法面に付着した際に繊維材料同士が絡み難くなり、基材Mが法面に良好に付着することが難しくなる。
一方、繊維材料が500容積%を超えると、バインダーとしての機能を発揮する土質材料が相対的に少なくなるため、基材Mが法面に付着し難くなるからである。
必要な水の量は、土質材料の含水比等により変動するが、例えば、土質材料に対して0〜50容積%とするのが好ましい。
水の量が多すぎると、吸水剤を投入しても余剰な水が除去されず、空気圧送の際に、基材M中の土質材料が、当該余剰な水によって粘性を発揮してしまう恐れがある。そして、空気圧送の際に土質材料が粘性を発揮してしまうと、基材M同士が集合して塊を形成してしまい、或いは、材料ホース7(図1)の内壁面や吹付機4の内部に付着してしまうので不都合である。
なお、水の量が、土質材料の「0容積%」とは、土質材料自体に水分が含まれており、土質材料に含まれる水分のみでも基材Mが十分に製造できる状態を意味している。
凝集剤は、図2のステップS2とステップS5の2回に分けて、図示しない混合攪拌装置に投入・添加する。
図3で表示されている添加量は、図2のステップS2で添加される量と、ステップS5で添加される量の合計である。凝集剤は、土質材料100リットルに対して0.05kg〜0.3kgの割合で添加される。
土質材料100リットルに対して0.05kgよりも少ないと、内部に水を捕えた(蓄えた)状態で塊となった土質材料が作り出せなくなる。また、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜が形成されないため、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に基材Mが付着してしまうという不都合を生じる。
一方、土質材料100リットルに対して0.3kgより多くの凝集剤を添加しても、内部に水を捕えた(蓄えた)状態で塊となった土質材料を作り出す機能や、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜を形成する機能は向上しない。すなわち、土質材料100リットルに対して0.3kgより多くの凝集剤を添加しても、無駄である。
吸水剤の添加量は、土質材料100リットルに対して0.01kg〜0.3kgとするのが好ましい。
吸水剤の添加量が土質材料100リットルに対して0.01kgよりも少ないと、造粒化が不十分となり、余剰の水が基材M中に残存してしまう。そのため、空気圧送の際に、基材M中の土質材料が粘性を発揮し得る状態となり、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に基材Mが付着してしまう。また、基材M中の土質材料が粘性を発揮することにより、基材M同士が付着し合い、巨大な塊が形成されて、空気圧送が困難になる。
一方、吸水剤の添加量が、土質材料100リットルに対して0.3kgよりも多いと、それ以上増しても造粒化の効果は変化しないので、添加するだけ無駄となる。また、吸水剤の添加量が多くなりすぎると、基材Mの単位量当たりの吸水剤が多くなり過ぎるため、吸水剤が吸水により膨張して、基材Mが破壊されてしまう。
粉末または顆粒状にしないと、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜を形成することが困難だからである。
また、ステップS5で添加される凝集剤の量は、ステップS2で添加される凝集剤の量の30〜100重量%が好ましい。
ステップS5で添加される凝集剤の量が、ステップS2で添加される凝集剤の量の30重量%よりも少ないと、ステップS5で添加される凝集剤の量が少なくなり、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜を形成する機能が不十分となり、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に基材Mが付着してしまう。
一方、ステップS5で添加される凝集剤の量が、ステップS2で添加される凝集剤の量の100重量%よりも多い場合には、ステップS5で添加される凝集剤の量が多くなり過ぎて、材料ホース7の内壁面や吹付機4の内部に凝集剤の膜を形成する能力が向上せず、無駄になってしまう。
次に、図2、図3で示す第1実施形態に係る実施例(実施例1)について説明する。
実施例1では、材料を以下の様に選定した。
土質材料として、奄美大島で掘削した赤土を使用した。
奄美大島で掘削した赤土は、細粒分(粘土・シルト)が多く含まれ、降雨などで容易に細粒分が流亡する。また、含水することで粘性を発揮し易く、締め固まりにくい繊維材料の間に介在させることで、バインダーとしての効果を発揮する。
バカスは、廃棄物として堆肥原料などに使用されるケースもある。爪楊枝から粉末までの多様なサイズであり、やや硬質な短繊維である。空隙を多く含むため軽量で、植物繊維質特質でもある水による粘性発現を持たない性質があり、非常に締め固まりにくい材料である。また、空気を多く取り込める特長も有している。
吸水剤としては、市販のポリアクリル酸ナトリウム塩系の高分子吸水剤(緑興産株式会社販売の商品名「つるパウダー」)を使用した。
実施例1では、ステップS2で添加される凝集剤の量と、ステップS5で添加される凝集剤の量は、同一にした。
そして、基材Mを湿式吹付機(有限会社AGK製の商品名「AG−300」、図1の符号4)を用いて、内径42mmのマテリアルホース(図1の材料ホース7に相当)により、100mに亘って空気圧送を行い、連続して5m3の基材Mを法面に吹き付けた。
表1で示す材料を、図2で示す手順により混合、攪拌することにより製造した基材Mは、マテリアルホース7の内壁面や吹付機4の内部に付着すること無く良好に圧送され、法面に吹き付けられた後、良好に付着することが確認された。
当該複数の実験である実験例1〜実験例5について、以下で説明する。
実験例1〜5では、異なる配合の材料を2軸のパグミルミキサー(株式会社北川鐵工製の商品名「ダブルミキサーW−500」)に投入し、混合、攪拌して基材Mを製造し、5m3の基材Mを連続して湿式吹付機(有限会社AGK製の商品名「AG−300」、図1の符号4)に供給した。そして、長さ100m、内径42mmのマテリアルホース(図1の材料ホース7に相当)を経由して空気圧送を行い、空気圧送された基材Mを傾斜した木製板に噴射した。
実験例1〜5において、選定或いは使用された材料は、実施例1と同一の材料とした。
表2で示す配合の基材Mにおいて、繊維材料であるバカスを100リットル〜550リットルの範囲で、5リットル毎に変動して、上述した実験を行なった。
その結果、バカスが125リットルよりも少ないと、木製版に吹き付けられた基材Mは、木製版に付着せず、木製版から滑り落ちてしまった。繊維材料が不足して、吹き付けられた基材M内で繊維質同士が良好に絡み合ってはいなかったことが原因であると推定される。
バカスが500リットルを超えた場合も、木製版に吹き付けられた基材Mは、木製版に付着せず、木製版から滑り落ちてしまった。バインダーとしての機能を発揮する赤土が、基材Mにおいては相対的に少なくなってしまったことに起因するものと考えられる。
バカスが125リットル〜500リットルであれば、木製版に吹き付けられた基材Mは、木製版に付着した。
実験例1の結果より、繊維材料は土質材料の125〜500容積%の範囲内にするべきことが確認された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、水の量を0リットル〜60リットルの範囲で、5リットル毎に変動して、上述した実験を行なった。
水の量が50リットルを超えると、マテリアルホース内周面に基材Mが付着するのが確認された。水の量が多すぎるため、吸水剤を投入しても余剰な水が除去されず、空気圧送の際に基材Mが粘性を発揮した、と推定される。
水の量が50リットル以下であれば、マテリアルホース内周面に基材Mが付着することはなかった。
実験例2から、水は土質材料の50容積%以下にするべきことが確認された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、凝集剤である市販のポリアクリルアミドの高分子ポリマー凝集剤(緑興産株式会社販売の商品名「かめパウダー」)の量を、0.004kg〜0.35kgの範囲で、0.01kg毎に変動して、上述した実験を行なった。
なお、実験例3において、ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量と、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量は同一である。
高分子ポリマー凝集剤が0.05kg〜0.3kgの範囲においては、吹き付けられた基材Mは木製版に良好に付着し、マテリアルホース内周面に基材Mが付着することもなかった。
しかし、0.05kgよりも少ないと、吹き付けられた基材Mは木製版に付着し難かった。凝集剤の量が少ないと、内部に水を捕えた(蓄えた)塊が作り出せなくなり、その結果、木製版に衝突しても、水が存在しないため、土質材料である赤土が粘着性を発揮しなかったものと推定する。
また、高分子ポリマー凝集剤が0.05kgよりも少ないと、マテリアルホース内周面に基材Mが付着した。凝集材料が少な過ぎたため、マテリアルホース内周面に凝集剤の膜が形成されなかったと推定する。
しかし、0.3kgを越えても、基材Mが木製版に付着する性能や、マテリアルホース内周面に付着しない性質は、高分子ポリマー凝集剤が0.3kgの場合と有意な差異は存在しなかった。土質材料100リットルに対して0.3kgより多くの凝集剤を添加しても、内部に水を捕えた(蓄えた)状態で塊となった土質材料を作り出す機能や、材料ホース7の内壁面や吹付機の内部に凝集剤の膜を形成する機能は向上しないと考えられる。
実験例3から、凝集剤添加量は、土質材料100リットルに対して、0.05〜0.3kgの範囲にするべきことが確認された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量に対して、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量を、20〜110重量%の範囲で、10重量%毎に変動した。そして、上述した実験を行なった。
ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量に対して、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量が30〜100重量%の範囲では、マテリアルホース内周面に基材Mが付着することはなかった。
しかし、ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量に対して、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量が30重量%よりも少ないサンプルでは、マテリアルホース内周面に基材Mが付着した。凝集剤の量が少ないため、材料ホース7の内壁面及び吹付機の内部に凝集剤の膜が十分に形成されなかったものと考えられる。
一方、ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量に対して、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量が100重量%よりも多くても、有意な差異は観察されなかった。従って、ステップS5で添加される凝集剤の量が、ステップS2で添加される凝集剤の量の100重量%よりも多いと、凝集剤が無駄になってしまうことが判明した。
実験例4から、ステップS2における高分子ポリマー凝集剤の添加量に対して、ステップS5における高分子ポリマー凝集剤の添加量が30〜100重量%の範囲にするべきことが確認された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、ポリアクリル酸ナトリウム塩系の高分子吸水剤(緑興産株式会社販売の商品名「つるパウダー」)の量を、0.005kg〜0.35kgの範囲で、0.005kg毎に変動して、上述した実験を行なった。
高分子吸水剤が0.01〜0.3kgの範囲では、基材Mは良好に空気圧送された。
しかし、高分子吸水剤が0.01kgよりも少ないと、マテリアルホース内壁面や吹付機4内部に基材Mが付着し、また、マテリアルホースが基材Mで閉塞してしまい、基材Mの空気圧送が出来なかった。吸水剤の添加量が少ないため、造粒化が不十分となり、余剰の水が基材M中に残存して、空気圧送の際に、マテリアルホースの内壁面や吹付機内部に基材Mが付着し、且つ、土質材料である赤土の巨大な塊が形成されてしまい、空気圧送が出来なかったものと推定される。
一方、高分子吸水剤の添加量が0.3kgよりも多くとも、0.3kgの場合と有意な差異は確認できなかった。高分子吸水剤の添加量が一定以上であると造粒化の効果は変化せず、コスト増につながり、無駄であることが確認された。
実験例5から、吸水剤添加量は、土質材料100リットルに対して、0.01〜0.3kgの範囲にするべきことが確認された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、ステップS2で高分子ポリマー凝集剤を全量(0.6kg)添加して、ステップS5では高分子ポリマー凝集剤を添加しなかった。
その様な基材について、実験例1〜5と同様な実験を行なった。
実験例6の基材は、吹付機の内部に付着すると共に、マテリアルホース内壁面にも付着した。また、巨大な塊を形成して、マテリアルホースを閉塞してしまった。
吸水剤を添加(ステップS3)する以前の段階で高分子ポリマー凝集剤の全量を添加したため、水が分離されておらず大量の水が存在する状態で添加された凝集剤がゲル状となり、既に添加されている土(土質材料)と凝集反応するだけであり、湿式吹付機やマテリアルホースを通過する際に吹付機内部や流路内壁面に凝集剤の膜を形成すること無く、付着してしまったものと推定される。
このことから、吸水剤を添加する以前の段階(ステップS2)で高分子ポリマー凝集剤を全量添加して、ステップS5では高分子ポリマー凝集剤を添加しないと、製造された基材の空気圧送が困難になることが実証された。
表2で示す配合の基材Mにおいて、ステップS2では高分子ポリマー凝集剤を添加せず、ステップS5では高分子ポリマー凝集剤を全量(0.6kg)添加した。
そして、実験例1〜6と同様な実験を行なった。
実験例7の基材は、湿式吹付機の内部やマテリアルホース内壁面に付着することはなかった。しかし、実験例7の基材は、木製版に吹き付けられても、大部分は剥離してしまい、殆ど付着しなかった。
吸水剤を添加(ステップS3)する以前の段階で高分子ポリマー凝集剤を添加していないので、内部に水粒子を収容する凝集剤の構造が作成されず、木製版に吹き付けられた際に凝集剤の構造から水が出てくることも無く、赤土が粘性を発揮するために必要な水が存在しなかったことに起因すると推定される。
このことから、吸水剤を添加(ステップS3)する以前の段階で凝集剤を添加せず、吸水材添加以降に凝集剤の全量を添加すると、基材の粘性が低下し、法面に付着し難くなることが実証された。
第2実施形態では、図4で示す手順で、混合攪拌装置(図示せず:例えば、2軸のパグミルミキサー)に材料を投入し、混合、攪拌することにより、法面緑化工法用基材Mを製造する。
図4において、ステップS1〜S3は、図2で示す手順と同一である。
しかし、図4で示す手順では、ステップS3で吸水剤を添加した後、ステップS11で粉末状或いは顆粒状の凝集剤を添加している。そして、ステップS12で繊維材料を添加している。
図4のステップS11は図2のステップS5に対応しており、図4のステップS12は図2のステップS4に対応している。
図4の第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、図1〜図3を参照して説明した第1実施形態と同様である。
その実験で使用された装置についても、実験例1〜7に関して説明したのと同一である。すなわち、実験例毎に異なる配合の材料を2軸のパグミルミキサー(株式会社北川鐵工製の商品名「ダブルミキサーW−500」)に投入し、混合、攪拌して基材Mを製造し、5m3の基材Mを連続して湿式吹付機(有限会社AGK製の商品名「AG−300」)に供給した。そして、長さ100m、内径42mmのマテリアルホース(材料ホース7に相当)を経由して空気圧送を行い、空気圧送された基材Mを傾斜した木製板に噴射した。
また、各種材料についても、実験例1〜7で用いたのと同じ材料を選定した。
4・・・吹付機
6・・・圧縮機
7・・・材料ホース
8・・・ノズル
10・・・法面に吹き付けられた法面緑化工法用基材
M・・・法面緑化工法用基材
S・・・法面
Claims (3)
- 吹付機械(4)に搬送され、コンプレッサ(6)の高圧空気と合流して材料ホース(7)を介してノズル(8)から法面(S)に吹付ける法面緑化工法用基材(M)の製造方法において、混合撹拌装置に赤土を投入し(S1)、その赤土100リットルに対し0.05〜0.3kgの凝集剤を投入して混合し(S2)、前記赤土100リットルに対し、0.01〜0.3kgの吸水剤を添加して混合し(S3)、そして赤土100リットルに対して125〜500リットルの繊維材料を投入し撹拌し、さらに前記の投入された凝集剤との合計が赤土100リットルに対して0.05〜0.3kgの割合いで粉末状或いは顆粒状の凝集剤を混合することを特徴とする法面緑化工法用基材の製造方法。
- 吹付機械(4)に搬送され、コンプレッサ(6)の高圧空気と合流する材料ホース(7)を介してノズル(8)から法面(S)に吹付ける法面緑化工法用基材(M)の製造方法において、混合撹拌装置に粘土・シルト分を20%以上含む赤土を投入し(S1)、その赤土100リットルに対し、0.05〜0.3kgの凝集剤を投入して混合し(S2)、前記赤土100リットルに対し、0.01〜0.3kgの吸水剤を添加して混合し(S3)、そして前記の投入された凝集剤との合計が赤土100リットルに対し、0.05〜0.3kgの割合いで粉末状或いは顆粒状の凝集剤を混合し(S11)、さらに赤土100リットルに対して125〜500リットルの繊維材料を投入し撹拌することを特徴とする法面緑化工法用基材の製造方法。
- 前記混合撹拌装置に赤土を投入し、そして凝集剤を投入し混合する際に赤土100リットルに対し50容積%以下の水を添加する請求項1又は2のいづれかに記載の法面緑化工法用基材の製造方法。
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