JP2008022724A - 植栽土壌及びその製造方法並びに緑化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】未分解木材チップのリサイクル技術を確立し、緑化基盤材に有効利用する。
【解決手段】浄水汚泥に故紙破砕物を投入して撹拌し、水溶性高分子物質を添加して撹拌し、金属塩を適宜添加して混合し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕してふるい分けて人口軽量土壌を得る。これに未分解木材チップを加え、接合材と肥料と種子を加えて吹き付け装置でのり面に吹き付け定着させる。窒素飢餓・乾燥害の問題がなく、フェノール酸の分解が早く、種子が直接チップに接触する可能性が低いためにフェノール酸の影響を受けにくい。緑化が速やかに達成できる。
【選択図】図9

Description

本発明は、建設発生木材の破砕物である木材チップの再利用を促進するため、建設汚泥や浚渫底泥をリサイクルした緑化基盤材である人口軽量土壌を用い、該人口軽量土壌と前記木材チップを混合することにより製造した緑化工法に最適な植栽土壌と、該植栽土壌を製造する方法及び該植栽土壌を用いた緑化方法に関するものである。
平成14年度の国土交通省による建設副産物実態調査の結果をみると、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊の再資源化率はほぼ100%となっているのに対し、建設汚泥の再資源化率は45%と極めて低い水準にとどまっている状況にある。このため建設汚泥の排出量は建設廃棄物全体の排出量8300万トンの約1割に過ぎないものの、その最終処分量は建設廃棄物全体の最終処分量約700万トンの約4割を占めている。
建設発生土の場外排出量は、約2億8000万m3(国土交通省の平成12年度調査による。)に及んでいるが工事間で利用されているものは僅か3割であり、これは建設工事における土砂利用量1億5600万m3の約5割にすぎない。
また、建設汚泥再生品(建設汚泥改良土)についてみれば、競合品となる建設発生土が大量に余っており、かつ無償で引き取っているため、これが再生品の有償売却が進まない原因となっている。
一方、全国の建設発生木材の排出量は約500万トン(国土交通省による平成14年度建設副産物実態調査)でその再資源化率は89%であり再資源化が進んでいるコンクリート塊等と比較すると未だ低い水準に留まっておりリサイクルの一層の推進が求められている。
ところで、一般に建設発生木材は破砕し、木材チップの状態にしてからリサイクルされるが、現状では、中間処理施設等において破砕された木材チップの需要は伸びていない。その要因の一つとして発生から利用までの統一された規格がなく、利用者にとって建設発生木材等を原料とする木材チップの品質に不安が生じていることが挙げられる。
平成15年には千葉県において大量の建設発生木材の破砕物が不法投棄され、自然発火を起こすといった事件が発生するなど建設発生木材の不適正処分は社会問題となっている。
そこで、本願出願人は、下記特許文献1及び2に示すように、建設汚泥については、これをリサイクルして保水率や保肥率の高い軽量な緑化基盤材とするための発明を提案している。
特開2005−269969号公報 特開2005−269970号公報
しかしながら、建設発生木材の破砕物である木材チップについては、そのリサイクルは十分には進んでおらず、その有効な再利用技術が依然として強く求められている現状である。そこで、本願出願人は木材チップ、特に伐採材を粉砕した未分解木材チップ(以下、単に「チップ」とも呼ぶ。)を厚層基材吹付工等の緑化基盤材に利用するという発想を得たが、これを実施したところ、植栽の生育は阻害され、満足のいく結果が得られないことが判明した。
そこで、本願は、建設発生木材の破砕物である未分解木材チップのリサイクル技術を確立し、特に該チップを厚層基材吹付工等の緑化基盤材として有効に利用することができる技術を提案することを目的としている。
本願出願人は、未分解木材チップを厚層基材吹付工等の緑化基盤材に利用した場合に、植栽の生育が阻害されて満足のいく結果が得られなかった原因を鋭意研究した結果、以下の理由により生育が阻害されるとの知見を得るに至った。
(1)窒素飢餓の問題
完熟していないチップを使用するとチップの分解・発酵の過程で大量の窒素を消費するため、植物の発芽育成に支障が生じる。
バーク堆肥、オガクズ堆肥のC/N比(炭素率)は50以上であるが、未分解チップのC/N比は100以上であった(実験値)。
(2)乾燥害の恐れ
未分解チップは微生物によって分解され熱エネルギーが発生する。通気性の良い未分解チップ等は多量に高く積み上げると温度が90℃以上に上昇するので注意が必要である。つまり未分解チップは吸水力が非常に大きく、多量に施用したり、乾燥しやすい条件で施用すると乾燥害をもたらす恐れがある。
(3)フェノール酸による生育阻害
未分解チップが微生物によって分解される過程でフェノール酸という作物生育阻害物質を溶出させる。フェノール酸は多くの菌のエサになるのでフェノール酸が蓄積するのは新鮮有機物(未分解チップ)のごく近くに限定され、その害は根の接触部分で表れる。なお、本願出願人は、通常施用40日後には新鮮有機物(未分解チップ)からのフェノール酸の生成は終了して問題はなくなることを新たに見出した。
ここで、本願出願人は、未分解チップ(有機体炭素)の分解過程を炭素率(C/N比)をもとに以下の様に考察した。
(1)カビが有機体炭素100gをエサにしたとき、菌体合成に4.5〜7.5gの窒素を取り込む。
(2)このカビにおける炭素に対する窒素の必要量は炭素20に対して窒素1である。つまりC/N比は約20である。
(3)施用する有機体炭素のC/N比が20以上だと、炭素が過剰なので菌体は外から窒素を取り込んで増殖(有機化)する。すなわち、土壌中の無機体窒素まで取り込んでしまうため、窒素飢餓となり、植物の生育に必要な窒素分が不足する。
(4)施用する有機体炭素のC/N比が20以下だと窒素が余分になるのでカビはただちに有機物を分解して窒素を放出(無機化)する。この無機化された窒素(無機体窒素)を植物が吸収し生長する。
本願出願人は、以上の考察を前提としてさらに研究を進めた結果、建設汚泥をリサイクルして保水率や保肥率の高い軽量な緑化基盤材とする本願出願人による人口軽量土壌(以下、本人口軽量土壌とも呼ぶ。)と前記チップを一定の混合状態となるように混合すれば、その他の改良土(緑化基盤材)や現地発生土基盤材を用いた場合とは明らかに異なり、前述した種々の問題点を解消されて緑化工法に最適な植栽土壌が製造でき、前述した本発明の課題を達成できることに想到した。
すなわち、本願の請求項1に記載された植栽土壌は、
含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕することにより、前記建設汚泥及び/又は前記浚渫底泥の固形成分と前記故紙破砕物と前記金属とを含み、前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出してなる人口軽量土壌と、
前記人口軽量土壌に混合されて、施工時に添加されている種子が可及的に接触しないように、その間隙を前記人口軽量土壌で充填される未分解木材チップと、
を有することを特徴としている。
請求項2に記載された植栽土壌の製造方法は、
含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質と前記金属とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面が露出した人口軽量土壌を製造し、
前記人口軽量土壌に未分解木材チップを添加して混合することにより、施工時に添加されている種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填することを特徴としている。
請求項3に記載された緑化方法は、
含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質と前記金属とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面が露出した人口軽量土壌を製造し、
前記人口軽量土壌に未分解木材チップと種子を添加して混合することにより、前記種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填した植栽土壌を製造し、
前記植栽土壌を空気圧によって施工面に吹き付けて固定することを特徴としている。
請求項4に記載された植栽土壌は、
pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕してふるい分けすることにより、前記浄水汚泥の固形成分と前記故紙破砕物を含み、所定の粒度分布に揃えられて前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出してなる人口軽量土壌と、
前記人口軽量土壌に混合されて、施工時に添加されている種子が可及的に接触しないように、その間隙を前記人口軽量土壌で充填される未分解木材チップと、
を有することを特徴としている。
請求項5に記載された植栽土壌の製造方法は、
pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面を露出させ、次にこれをふるい分けして人口軽量土壌を製造し、
前記人口軽量土壌に未分解木材チップを添加して混合することにより、施工時に添加されている種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填することを特徴としている。
請求項6に記載された緑化方法は、
pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面を露出させ、次にこれをふるい分けして人口軽量土壌を製造し、
前記人口軽量土壌に未分解木材チップと種子を添加して混合することにより、前記種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填した植栽土壌を製造し、
前記植栽土壌を空気圧によって施工面に吹き付けて固定することを特徴としている。
本願発明の植栽土壌及びその製造方法並びに緑化方法によれば、次のような効果が得られる。
(1)窒素飢餓の問題点が解消された。すなわち、実施した施工箇所の植生追加調査においても植生の異常は観察されない。
(2)乾燥害による恐れが解消された。すなわち、未分解チップの間隙に本人口軽量土壌が入り適度な水分を保持することにより、種子の発芽、土壌微生物の繁殖に快適な環境を作り出している。
(3)フェノール酸による生育阻害が解消された。すなわち、未分解チップと本人口軽量土壌の場合、土壌微生物の繁殖に快適な環境が作り出されているのでフェノール酸の分解が早い。また、種子が直接チップに接触する可能性が低いためにフェノール酸の影響を受けにくい。
以下に説明する本発明の実施形態は、本願出願人の提案になる人口軽量土壌と未分解木材チップを一定の状態で混合することにより製造した植栽土壌と、この植栽土壌を製造する方法及び該植栽土壌を用いた緑化方法に関するものである。
以下の説明においては、まず本人口軽量土壌に関し、含水比の異なる2種類の建設汚泥を原料とする2種類の本人口軽量土壌(A),(B)について説明し、次にこれら本人口軽量土壌A,Bを利用した本植栽土壌の製造及び施工方法について説明する。
1.本人口軽量土壌(A)について
人口軽量土壌(A)の製造方法を説明する。本例では、以下に示すような具体的な条件で製造を行った結果、後に示すように植栽土壌の一構成要件として顕著な相乗効果を奏する人口軽量土壌を得ることができた。
(1)製造工程について
まず建設汚泥を貯泥槽に投入する。貯泥槽内に繊維状物質として故紙破砕物を投入して撹拌する。故紙破砕物は汚泥中の自由水を吸水する。貯泥槽内に水溶性高分子物質を添加して撹拌する。次に、これに2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合する。水溶性高分子物質が泥土の粒子表面の吸着水と反応するとともに架橋作用により粒子が結合する。この際、前記金属塩は、微細な土粒子の荷電中和−フロック化(団粒化促進)の作用を及ぼす。次にこれを乾燥させて団粒固化させ、さらにこれに機械的せん断応力を加えて解砕する。土の各粒子は解砕された破断面が露出して水分を吸い易くかつ吸った水分を内部に保持し易い構造になる。
本例において使用する建設汚泥は、含水比が100%以上500%以下のものを対象とする。
また、故紙破砕物としては、前述した新聞紙の故紙等の他、天然又は合成の各種の故紙が使用できる。これら故紙破砕物については、その形状は細片状、小片状、糸状、布状等の各種の形状であってよく、例えば20mm以下の大きさであると好適な結果が得られる。添加量については、建設汚泥の含水比に応じて 水溶性高分子物質及び2価又は3価の金属塩の添加量との相乗効果が大きなものとなるように、実験的に図1に示すように定めた。
すなわち、図1に示すように、前記建設汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)の組み合わせは、含水比100(%)に対して添加量50〜70(kg)、含水比200(%)に対して添加量70〜80(kg)、含水比300(%)に対して添加量80〜90(kg)、含水比400(%)に対して添加量85〜100(kg)、含水比500(%)に対して添加量90〜110(kg)である。
本発明で用いる水溶性高分子物質とは、天然高分子、半合成高分子、合成高分子物質があるが、前述した例において使用した水溶性高分子物質としては、例えば、主成分をポリアクリル系ポリマーとする合成水溶性ポリマー粉末(pH7〜8、水分10±2%、嵩比重0.6〜0.7、真比重1.4〜1.5)などが使用できる。水溶性高分子物質については、対象土1m3 に対して1kg以上の割合、例えば図1に示すように1.2kgを添加するのが望ましい。
前述した例において使用した2価及び/又は3価の金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などが使用できる。金属塩については、前記建設汚泥のすべての含水比(%)において、対象土1m3 に対して8kg以上の割合、例えば図1に示すように8.6kgを添加するのが望ましい。
前記工程では、土に故紙破砕物を加えて混合した後にさらに水溶性高分子物質を添加して混合し、次にこれに2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、そしてこれを乾燥させて団粒固化しているので、適度な圧縮強度と大きな破壊ひずみを有する団粒固化した改良土が得られるが、機械的剪断応力により解砕された断面において、各成分を含んで水溶性高分子物質で被覆された土の粒子の断面が露出するので、水分等を吸収し易くかつ内部に保持し易くなり、優れた保水性が得られた。
(2)人口軽量土壌(A)の性質について
次に、本例の製造方法により得られた人口軽量土壌(A)の緑化基盤材に適した性質について説明する。まず、本例で得られた土は、上述したように緑化基盤材に適した大きな保水力を有している。
水が不足すると作物は萎れ、それを放置しておくと枯れてしまう。しかしながら、水を過剰にやると根腐れが起きて作物の生育が悪くなる。作物を良好に育成するには、排水をよくすると共に、保水力のある土を使用することが重要である。
植木鉢には赤玉土という直径5〜10mmの赤土が使用されるが、これは1つ1つの球の水持ちが4〜5日間あり、玉と玉の隙間があるので排水性が良い。また鹿沼土が使用されることもあるが、これも排水性が良く、しかも保水性が大きい。桜島大根は子供の頭ほどの大きさになるが、この大根がこれほど大きくなるのは桜島火山口から噴出した軽石の地帯にでき、このい軽石は排水が良く、保水力と保肥力が著しく良いからである。
排水性だけを考慮すれば砂を使えば良いが、砂は保水力がないのでいつも灌水をしておかなければならない。保水力があれば作物の育成が良いし、また水の節約の上からも、灌水労力の軽減からも大切である。
植物に利用される水は、主として毛管水と呼ばれる土の中の毛管孔隙中に保持される水である。これはpF試験によって求められpF1.5〜3.8の範囲において、本例の人口軽量土壌(A)は図2に示すように20.6%〜36.3%の高い数値を示し、同図に示す比較例1〜5の保水力0.6%〜10.4%に比べて約2〜60倍の値となった。
なお、pF試験とは、通常地下水面より上の不飽和状態の土がその間隙に保持できる水分量を表し、吸引法他の測定方法で行われ、浸透圧を無視して吸引圧Sを水柱の高さh(cm)として表す。
pF=log10(S/γw )=log10
但しγw :水の単位体積重量、S:吸引圧
通常、pFと含水比の関係をグラフ化してpF=1.5〜3.8の範囲での含水比の差を保水力(%)として表す。
また、本例の人口軽量土壌(A)によれば、上述した高い保水力が時間の経過に従って衰えることがなく、常に比較的多量の保水量を維持することができる。すなわち、図3に示すように、本例の人口軽量土壌(A)は、他の比較例に比べて土1リットル当たりの保水量(cc)が大きいが、時間が経過して保水量が減っても比較例に対する相対的な優位性に変化はない。
次に、本例で得られた人口軽量土壌(A)は緑化基盤材に適した大きな保肥力を有している。
保肥力とは土の養分保持力を言い、保水力と同じく粘土の多い土や腐植の多い土は保肥力が大きい。しかし、これらの量よりも粘土や腐植の質によって支配される傾向がある。保肥力の大小は陽イオン交換容量(CEC値)で表すのが普通である。陽イオン交換容量(CEC値)は、土壌の塩基類の保持能力を示すものであり、表示方法はme/100g あるいはcmol(+)/kgとし、1リットル又は100ml当たりに体積換算した数値を併記する。
本例の人口軽量土壌(A)の保肥力を比較例1〜7と共に図4に示す。本例に属す4つの例は22.8〜30.8(me/100g )の範囲内に集中しているが、比較例は、比較例3の「腐食のすこぶる多い黒ボク土」が例外的に35であったのを除けば、比較例1,2,4〜7は8.4〜20程度と、低い範囲内に分散している結果となった。
保肥力が低いと肥料分の流出による無駄が多くなるため、1回の施肥量を少なくして施肥回数を多くするか、緩効性の肥料を使用する必要があるが、本例の人口軽量土壌(A)のように陽イオン交換容量(CEC値)が大きいと、塩基類(肥料分)の保持能力(保肥力)が高く、保肥力が高いと肥料分が植物に有効に利用される。
次に、本例で得られた人口軽量土壌(A)は緑化基盤材に適した大きな軽量性を有している。
土壌空気量(土壌中に含まれる空気量)が多ければ土壌の通気性や透水性が良くなり、作物は湿害を受けにくくなる。一般に作物育成にとって望ましい土壌空気量は20%以上と言われている。この数値よりも少ない場合は、粗大有機物の施用や耕運を行って土壌空気量を増やし、土壌を膨軟にする必要がある。
現地で採取した自然状態の土壌を測定したものを現地容積重といい、実験室内での風乾細土容積重とは区別される。現地仮比重とは100cm3 の採土管で自然状態の土を採取し、乾燥後の土壌の重量を測定して100で除して求める値である。
図5に示すように、比較例1〜4の土の現地容積重は60〜140以上にもなり、特に圧密を受けた土壌の容積重量は大きくなり、比較例2の黒ボク土で80g/100cm3以上、比較例4の非黒ボク土で140g/100cm3以上にもなり、排水が不良になるが、本例の人口軽量土壌(A)によれば平均で約50g/100cm3程度と非常に軽く、通気性や透水性が良く緑化基盤材に適している。また、本例の人口軽量土壌(A)によれば現地仮比重も0.45と比較例に比べて非常に小さく、前記容積重量とともに本例の軽量性を示している。
また、本例の人口軽量土壌(A)は、水分を内部に閉じ込めた状態で団粒化しているため、外部の水に接触しても溶けだしにくく、公園などの人口軽量土壌(A)として使用しても、降雨時などに土が溶け出して環境を汚染するといった不都合が生じるおそれはない。
さらに、以上説明したような本例の人口軽量土壌(A)の特性に鑑みれば、公園などに用いる単なる緑化基盤材としてのみならず、法面の緑化基盤材や、屋上の緑化基盤材に使用することができる。また、荒廃した自然や農耕地を回復させるために積極的に使用することもできる。例えば、火山活動などによって火山灰の泥流土で山林や農耕地が覆われた場合、この泥流土を前述した本発明の方法で処理して保水性の良好な団粒化した土とすれば、降雨などによる流出のおそれがなく、また高い保水性・保肥性によって植生の回復も円滑に進むことが期待できる。また、本発明は、沖縄などで問題となっている赤水問題、即ち山の赤土が雨水とともに海に流れ込んで当該海域を汚染する問題に対する対策としても効果がある。
上述したような本例の人口軽量土壌(A)の性質が発現したメカニズムを分かりやすく図示すれば、図6のようになる。すなわち、高含水比の汚泥は土粒子の周りに大量の水が存在している状態にあるが、土粒子の周りを残して大部分の水分を添加された古紙破砕物(繊維質物質)が吸水し、添加された水溶性高分子物質が土粒子の周りの水に溶解して土粒子を粘着力により団粒化し、添加された金属塩が、水溶性高分子物質の持つ官能基、土中や古紙破砕物中に含まれる多価イオンと反応する。これによって、水溶性高分子物質が土粒子に絡みついたまま凝縮し、親水性が失われるために古紙破砕物の繊維は丸くなって強度が増大する。
含水比の高い建設汚泥の場合、仮に水溶性高分子物質単独添加で処理しようとすると処理物の固化が不十分であり、土粒子の疎水化は進まない。ところが、上述したように、本発明の如く水溶性高分子物質(いわゆる高分子系改良剤)で処理された高含水比状態の建設汚泥や浚渫底泥に金属塩(例えば硫酸バンドやPAC )を加えると、土粒子表面に絡みついた水溶性高分子物質が瞬時に収縮するので、処理土の団粒化・疎水性化が進み、また土粒子表面の摩擦力が増大するため処理物の強度が高まる。つまり、土粒子と古紙破砕物(繊維質物質)の結合が強化される。
以上説明した実施の形態では建設汚泥を一原料としていたが、その代わりに浚渫底泥を用いても良いし、建設汚泥と浚渫底泥の両方を用いても良い。
以上説明したように、人口軽量土壌(A)の製造方法と当該製造方法によって製造した人口軽量土壌(A)によれば、特に保水性・保肥性・軽量性・団粒化に優れているので、従来産業廃棄物として高コストで処理しなければならなかった建設汚泥や浚渫底泥を低いコストで人口軽量土壌(A)としてリサイクルできるという効果が得られる。
2.本人口軽量土壌(B)について
人口軽量土壌(B)の製造方法を説明する。本例では、以下に示すような具体的な条件で製造を行った結果、後に示すように植栽土壌の一構成要件として顕著な相乗効果を奏する人口軽量土壌を得ることができた。
(1)人工軽量土壌(B)の製造工程について
まず浄水汚泥を貯泥槽に投入する。貯泥槽内に繊維質物質として故紙破砕物を投入して撹拌・混合する。故紙破砕物は汚泥中の自由水を吸水する。貯泥槽内に水溶性高分子物質を添加して撹拌する。次に、必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合する。水溶性高分子物質が泥土の粒子表面の吸着水と反応するとともに架橋作用により粒子が結合する。この際、前記金属塩は、微細な土粒子の荷電中和−フロック化(団粒化促進)の作用を及ぼす。前記金属塩を添加する方が好ましいのは、浄水汚泥のpHが7以上の場合である。次にこれを乾燥させて団粒固化させ、さらにこれに機械的せん断応力を加えて解砕する。土の各粒子は解砕された破断面が露出して水分を吸い易くかつ吸った水分を内部に保持し易い構造になる。解砕された土をふるい分けして粒度を6〜12mmの範囲に揃える。ふるい分けの手段としては振動ふるいを用いることができる。
本例において使用する浄水汚泥は、含水比が500%以上1500%以下のものを対象とする。
また、故紙破砕物としては、前述した新聞紙の故紙等の他、天然又は合成の各種の故紙が使用できる。これら故紙破砕物については、その形状は細片状、小片状、糸状、布状等の各種の形状であってよく、例えば20mm以下の大きさであると好適な結果が得られる。
本発明に用いる水溶性高分子物質とは天然高分子、半合成高分子、合成高分子物質であるが、前述した例において使用した水溶性高分子物質としては、例えば、主成分をポリアクリル系ポリマーとする合成水溶性ポリマー粉末(pH7〜8、水分10±2%、嵩比重0.6〜0.7、真比重1.4〜1.5)などが使用できる。
前述した例において使用した2価及び/又は3価の金属塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などが使用できる。
前記浄水汚泥の含水比(%)と、全体量1m3 に対する前記故紙破砕物の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記水溶性高分子物質の添加量(kg)と、全体量1m3 に対する前記金属塩の添加量(kg)の組み合わせは、図7に示す表図に示すようなものであることが好ましい。
すなわち、浄水汚泥の含水比が500(%)〜1000%である場合には、故紙破砕物が120(kg)〜150(kg)、水溶性高分子物質が1.0(kg)〜2.0(kg)、前記金属塩が5.0(kg)〜10.0(kg)であるのが好ましい。
また、浄水汚泥の含水比が1000(%)〜1500%である場合には、故紙破砕物が150(kg)〜200(kg)、水溶性高分子物質が2.0(kg)〜4.0(kg)、前記金属塩が10.0(kg)〜15.0(kg)であるのが好ましい。
前記工程では、浄水汚泥に故紙破砕物を加えて混合した後にさらに水溶性高分子物質を添加して混合し、次にこれに必要に応じて2価及び/又は3価の金属塩を添加して混合し、そしてこれを乾燥させて団粒固化しているので、適度な圧縮強度と大きな破壊ひずみを有する団粒固化した改良土が得られるが、機械的剪断応力により解砕された断面において、各成分を含んで水溶性高分子物質で被覆された土の粒子の断面が露出するので、水分等を吸収し易くかつ内部に保持し易くなり、優れた保水性が得られた。また、解砕された粒子はふるい分けされて所定の粒度に揃えられているので排水性にも優れている。
(2)人工軽量土壌(B)の性質について
本例の製造方法により得られた人工軽量土壌(B)は屋上用緑化基盤材に適しており、薄層で環境共生を目的とした人工地盤用の土壌に求められる基本的な性能を有しているが、図8に示す表図によりその性能を比較例の性能とともにさらに具体的に説明する。
1)搬入時重量(t/m3
建築物屋上等の人工地盤緑化では、搬入に困難な場合が多く、その際の重量が問題となる。
比較例1〜5の土壌が100〜800kg/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌(B)は160kg/m3 と非常に軽量であり、建築物屋上等の人工地盤緑化に適している。
2)湿潤時重量(pF1.5での重量(kg/m3 ))
土壌は湿潤時には重量が重くなることから、荷重条件の厳しい建築物屋上等の人工地盤に利用する際には、計画・設計時に考慮すべき項目として重要である。
比較例1〜5の土壌が570〜820kg/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌(B)は680kg/m3 と非常に軽量であり、荷重条件の厳しい建築物屋上等の人工地盤緑化にも適している。
3)pH(H2 O)
pHは土壌中の水素イオン(H+ )の濃度を示す指標であり、土壌の酸性、アルカリ性の度合いを示すものである。ここでは、一般的な純水抽出であるpH(H2 O)を表示した。pHの高低により、直接的な生育阻害だけではなく、各栄養分の吸収力の変化による欠乏症、過剰症、さらに酸性側では植物に有害なアルミニウムイオンの溶出が起こる。弱酸性、弱アルカリ性の土壌では、施肥等の管理面で対処することができ、pHはその目安となる。
比較例の土壌では、例えば比較例4又は5のように6.0〜7.4とばらつきが見られるものもあるが、本例の人工軽量土壌(B)は6.2〜6.7であり、ほぼ中性でありかつ数値が安定しているので、施肥管理に適しており、建築物屋上等の人工地盤緑化に適している。
4)陽イオン交換容量(CEC(me/100g))
陽イオン交換容量は土壌の塩基類の保持能力(保肥力)を示すものであり、表示方法はme/100gあるいはcmol(+)/kgとし、1リットル又は100ml当たりに体積換算した数値を併記する。保肥力とは土の養分保持力を言い、保水力と同じく粘土の多い土や腐植の多い土は保肥力が大きい。しかし、これらの量よりも粘土や腐植の質によって支配される傾向がある。陽イオン交換容量(CEC)の値が大きいほど塩基類(肥料分)の保持能力(保肥力)が高くなる。保肥力が高いと肥料分が植物に有効に利用される。保肥力が低いと肥料分の流出による無駄が多くなるため、1回の施肥量を少なくして施肥回数を多くするか、緩効性の肥料を使用する必要がある。本発明が対象とする薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化においては、植物の成長を見込むというよりは、如何に健全な育成を永続的に維持するかが重要であるから、陽イオン交換容量(CEC値)はそのための管理手法を決めるために重要である。
比較例6の一般に良い土に比べ、本例の人工軽量土壌(B)は陽イオン交換容量(CEC値)が大きいので、塩基類(肥料分)の保持能力(保肥力)が高く、保肥力が高いと肥料分が植物に有効に利用され、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化においても、植物の健全な育成を永続的に維持することが一層容易である。
5)有効水分量(pF1.5〜3.0での水分量(リットル/m3 ))
有効水分量は土壌の保水性を示す値である。土壌水分は植物が正常に生育するために欠かせないものであり、土壌中に存在する水には、1)降水又は灌水後速やかに下方に移動するもの、2)植物が吸収できる程度に土壌中に保持されているもの、3)吸収できないほど土壌に吸着されているものがある。このうち、上記2)の植物が吸収できる程度に土壌中に保持されている水分量が有効水分量と呼ばれる。有効水分量が少ない場合には、それを補うために灌水間隔を短くするか、土壌の厚さを増す必要がある。
比較例1〜5の土壌が100〜256リットル/m3 の範囲であるのに対し、本例の人工軽量土壌(B)の有効水分量は288リットル/m3 と非常に高く、植物が適当な量の水分を吸収でき、植物の根は十分に呼吸できる。また、灌水間隔を短くしたり、土壌の厚さを増す必要がなく、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適しており、植物の管理も容易である。
また、本例の人工軽量土壌(B)によれば、上述した高い保水力が時間の経過に従って衰えることがなく、常に比較的多量の保水量を維持することができる。
6)透水係数(cm/sec)
透水係数は土壌の透水性を示す値であり、土壌を移動する水の速さを表すものである。土壌の透水性は土壌の孔隙組成と関係し、通気性とも連動する。透水性が不良の場合は湿害となり、過良の場合は乾燥害を受け易くなる。また孔隙組成によっては保水性、透水性共によい土壌がありうる。
比較例1〜5の土壌の透水係数は1.0×10-2cm/sec〜5.2×10-2cm/secの範囲であり、人工土壌の性能の目安である10-3cm/secを満足している。これに対し、本例の人工軽量土壌(B)は透水係数が4.7×10-1cm/secと非常に高く、通気性がよく、植物の根は十分に呼吸できる。また、本例の人工軽量土壌(B)は透水性が良いだけでなく、孔隙組成のため前述したように保水性もよいので、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適している。
7)単価(円/m3
特に都心部のビル建設事業等において、環境共生を目的として建造物屋上のような人工地盤を薄層基盤の土壌により緑化する事業が制度的に義務化される例があり、かかる場合には建設費を高騰させないために薄層基盤を構成する人工軽量土壌(B)の単価が問題となる。
比較例の土壌の単価は22000円/m3 から45000円/m3 の範囲であるが、本例の人工軽量土壌(B)は18000円/m3 と安価であり、薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化に適している。
以上説明した本例の人工軽量土壌(B)は、水分を内部に閉じ込めた状態で団粒化しているため、外部の水に接触しても溶けだしにくく、人工地盤緑化のための人工軽量土壌(B)として使用しても、降雨時などに土が溶け出して環境を汚染するといった不都合が生じるおそれはない。
以上説明したように、人工軽量土壌(B)によれば、特に保水性・保肥性・透水性・軽量性等に優れているので、従来産業廃棄物として高コストで処理しなければならなかった浄水汚泥を低いコストで薄層基盤による環境共生を目的とした人工地盤緑化用の人工軽量土壌(B)としてリサイクルできるという効果が得られる。
3.本人口軽量土壌A,Bを利用した本植栽土壌の製造及び施工方法について
本例は、道路改良工事等の現場において、本人口軽量土壌A又はBと、現場で発生した伐採木から得たチップと、植物の種子及びその他の材料とを混合して基盤材とし、工事に係る道路脇のコンクリート製ののり面に当該基盤材を吹き付け装置を用いて吹き付け施工し、該のり面を緑化施工する実施形態に係るものである。
図9に示すように、施工対象であるのり面1の近傍に、混合装置2と、該混合装置2から供給された材料を搬送する搬送手段としてのベルトコンベヤ3と、該ベルトコンベヤ3で搬送した材料が投入される吹き付け装置4(チップ吹き付け機)とを設置する。また、発電装置5も設置し、前記混合装置2と前記ベルトコンベヤ3に電力を供給する。吹き付け装置4には、空気圧縮機6から圧縮空気が供給され、図示しない近傍の水源に置かれた水中ポンプ7から水が供給され、吹き付け装置4に投入された材料は水と共に圧縮空気でホース8を圧送され、作業員Wの操作により施工面であるのり面1に吹き付けられる。
前記混合装置2には、未分解のチップがホイルローダー9等により搬送・投入され、また、本人口軽量土壌A又はB(又は両方)が投入されて混合される。混合されて前記ベルトコンベヤ3に送り出され、吹き付け装置4に搬送される間に、該材料には接合剤、肥料及び種子が投入・添加される。これら各種材料の混合物である基盤材は吹き付け装置4に投入され、適度な水分を与えられて圧縮空気でホース8を圧送され、作業員Wが保持する該ホース8の先端から吐出されて、作業員の操作によりのり面1に順次吹き付けられて定着し、緑化基盤面を構成していく。
前記チップとしては、現場で得られる伐採木、抜根等の現場発生材を現場内で適当な手段により粉砕し、吹き付け装置4で吹き付け施工可能な35mm以下の大きさにして使用することが好ましい。また、肥料としては、高度化成肥料、緩効性高度化肥料が利用できる。また、接合剤は侵食防止剤として添加されるものであり、高分子系樹脂が利用できる。
単に、チップを単体で使用して、これに種子を混合して基盤材とした場合には、図10(a)に示すように、チップ10と種子11が直接触れ合うため、種子は「課題を解決するための手段」で説明したようなフェノール酸、乾燥害の影響を受けやすいが、同図(b)に示す本例のようにチップ10の間隙を本人口軽量土壌(A),(B)が充填している基盤材では、本人口軽量土壌(A),(B)が緩衝材となってチップ10と種子11が直接接触することが阻害されるため、種子11にとって良好な生育環境が保持されることとなる。
従って、本例の基盤材によれば、施工したのり面において種子は迅速に発芽して良好な生育状況を見せ、従来の基盤材等に比べてはるかに短期間で安定した緑化を実現することができた。これは、本例の基盤材が従来にない次のような効果を奏しているからであると考えられる。
(1)窒素飢餓の問題点が解消されている。
(2)乾燥害による恐れが解消されている。すなわち、未分解チップの間隙に本人口軽量土壌が入り適度な水分を保持できるので、種子の発芽、土壌微生物の繁殖に快適な環境が作り出されている。
(3)フェノール酸による生育阻害が解消されている。すなわち、未分解チップと本人口軽量土壌の場合、土壌微生物の繁殖に快適な環境が作り出されているのでフェノール酸の分解が早い。また、種子が直接チップに接触する可能性が低いためにフェノール酸の影響を受けにくい。
図11は、バーク堆肥を用いた従来工法と、本例による工法とを工費の観点から比較した経済比較表を示している。本例の工法では、チップと本人口軽量土壌の混合比率を、チップ対本人口軽量土壌=75%対25%の第一例と、半々とする第二例を示した。詳細は同図中に表示されている通りであるが、本例はいずれの混合比においても、従来例より安価な工費を実現している。
図12は、生チップ・現地発生土のり面緑化工法(左欄)と、堆肥化チップのり面緑化工法(中欄)と、本発明ののり面緑化工法の各工法について、基盤材の性質と、工法の特徴、前述した経済性等について比較した表であり、詳細は同図中に表示されている通りであるが、各工法に最下段において与えられている総合評価では、比較例が良(○)に止まるのに対し、本例は相対的により高い評価である優(◎)とされている。
以上説明したように、本例によれば、窒素飢餓の問題点と、乾燥害による恐れと、フェノール酸による生育阻害を同時に解消できるので、施工面がモルタル吹き付け面や岩盤面であっても、従来に比べて短期間で効率的に生育状況が良好な緑化面を実現することができる。また、使用するチップは現場で調達でき、本人口軽量土壌を使用することによる建設汚泥のリサイクルの推進と共に、建設発生木材のリサイクルの一層の推進も同時に実現できる。
本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)における建設汚泥の含水比(%)と故紙破砕物の添加量(kg/ m3 )の対応関係と、水溶性高分子物質と金属塩の添加量を示す表図である。 本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)と比較例の土壌について保水力を示す表図である。 本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)と比較例の土壌について、土の単位量当たりの保水量と経過時間との関係を示す図である。 本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)と比較例の土壌について保肥力を示す表図である。 本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)と比較例の土壌について軽量性を示す表図である。 本発明の実施の形態の人口軽量土壌(A)の性質が発現したメカニズムを説明するための模式図である。 本発明の実施の形態の人工軽量土壌(B)における浄水汚泥の含水比(%)と故紙破砕物の添加量(kg/ m3 )の対応関係と、水溶性高分子物質と金属塩の添加量を示す表図である。 本発明の実施の形態の人工軽量土壌(B)と比較例の土壌について、性能を比較するための表図である。 本発明の実施の形態における植栽土壌を用いた緑化方法を示す模式図である。 (a)は比較例である未分解チップ単体の基盤材の拡大図であり、(b)は本発明の実施の形態の基盤材である植栽土壌の拡大図である。 バーク堆肥を用いた従来工法と、本例による工法とを工費の観点から比較した表図である。 生チップ・現地発生土のり面緑化工法(左欄)と、堆肥化チップのり面緑化工法(中欄)と、本発明ののり面緑化工法の各工法について、基盤材の性質、工法の特徴、経済性等について比較した表図である。
符号の説明
1…施工面としてののり面
10…未分解木材チップ(チップ)
11…種子
(A),(B)…人口軽量土壌

Claims (6)

  1. 含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕することにより、前記建設汚泥及び/又は前記浚渫底泥の固形成分と前記故紙破砕物と前記金属とを含み、前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出してなる人口軽量土壌と、
    前記人口軽量土壌に混合されて、施工時に添加されている種子が可及的に接触しないように、その間隙を前記人口軽量土壌で充填される未分解木材チップと、
    を有することを特徴とする植栽土壌。
  2. 含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質と前記金属とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面が露出した人口軽量土壌を製造し、
    前記人口軽量土壌に未分解木材チップを添加して混合することにより、施工時に添加されている種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填することを特徴とする植栽土壌の製造方法。
  3. 含水比が100%以上500%以下である建設汚泥及び/又は浚渫底泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質と金属塩を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、金属塩が土粒子の団粒化を促進し、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質と前記金属とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面が露出した人口軽量土壌を製造し、
    前記人口軽量土壌に未分解木材チップと種子を添加して混合することにより、前記種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填した植栽土壌を製造し、
    前記植栽土壌を空気圧によって施工面に吹き付けて固定することを特徴とする緑化方法。
  4. pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に故紙破砕物と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、これを乾燥して団粒固化させた後に解砕してふるい分けすることにより、前記浄水汚泥の固形成分と前記故紙破砕物を含み、所定の粒度分布に揃えられて前記水溶性高分子物質に被覆された粒子の解砕された面が露出してなる人口軽量土壌と、
    前記人口軽量土壌に混合されて、施工時に添加されている種子が可及的に接触しないように、その間隙を前記人口軽量土壌で充填される未分解木材チップと、
    を有することを特徴とする植栽土壌。
  5. pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面を露出させ、次にこれをふるい分けして人口軽量土壌を製造し、
    前記人口軽量土壌に未分解木材チップを添加して混合することにより、施工時に添加されている種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填することを特徴とする植栽土壌の製造方法。
  6. pHが7未満で含水比が500%以上1500%以下である浄水汚泥に、繊維質物質と水溶性高分子物質を添加して混合することにより、繊維質物質が汚泥中の自由水を吸水し、水溶性高分子物質が土粒子表面の吸着水と反応して架橋作用により土粒子を結合させ、次にこれを乾燥させて団粒固化させ、次にこれを解砕することにより、前記土粒子と前記繊維質物質とを含み水溶性高分子物質で被覆された粒子の断面を露出させ、次にこれをふるい分けして人口軽量土壌を製造し、
    前記人口軽量土壌に未分解木材チップと種子を添加して混合することにより、前記種子が前記未分解木材チップに可及的に接触しないように、前記未分解木材チップの間隙を前記人口軽量土壌で充填した植栽土壌を製造し、
    前記植栽土壌を空気圧によって施工面に吹き付けて固定することを特徴とする緑化方法。
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