JP2005188192A - 植物生育基盤材とそれを使用した植物生育基盤の造成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 これまであまり利用されていなかった未利用の樹枝、樹幹、間伐材、根株、剪定枝葉、スギ、ヒノキ、ヒバ等の皮層部分、浄水場で利用された珪藻土浄水ケーキ、赤粉等を有効利用して、自然再生緑化に最適な植物生育基盤を造成する。
【解決手段】 未利用の樹枝、樹幹、根株、前記枝葉、間伐材等を径3cm以下の長さ100mm以下となるよう一次破砕し、これにスギ、ヒノキ、ヒバの樹皮を切削加工して得られる樹皮短繊維ファイバーで径5mm以下長さ50mm以下でC/N比60%以上のものを10〜50容積%混入すると共に、さらにこれに埋土種子を含む表層土および根粒菌、菌根も混入する。
【選択図】図1

Description

本発明は法面や斜面に吹付けて造成される植物生育基盤材とそれを使用した植物生育基盤造成方法に関するものであり、開発や災害によって裸地化した法面や斜面を植物によって植生緑化を図るための基盤材料とその造成方法に最適であり、殊に循環型社会形成のため、これまで廃棄処分あるいは未利用処分されていた原料(廃棄物)を有効利用して、リサイクルを促進すると共に、自然の回復再生を図るための緑化技術を提供しようとするものである。
法面や斜面に造成される植物生育基盤の材料とその造成方法については粘性土を主原料とし、これにバーク堆肥等を加えた植生基盤材に種子、肥料、粘着剤、水を加えてスラリー状とし、これをスクイーズポンプや多段式ポンプを用いて吹付ける客土吹付工法が行われている。
さらに砂質土を主原料とする無機質系、あるいはバーク堆肥やピートモスを主原料とする有機質系の材料を主原料とし、これに肥料、種子、高分子系接合材やセメント系接合材に水を加えて混練りし、これらをモルタル吹付機等の圧縮空気輸送装置によって圧送し、無土壌岩石地等に吹付けて、植生基盤を造成する植生基盤吹付工等が一般的に実施されている。
特願2003−270604号公報 特願2003−175092号公報 有機質系厚層基材吹付工 技術資料 日本法面緑化技術協会編 緑化工技術第22集(2001年)日本緑化工協会編 斜面に関する論文集(2001年)PCフレーム協会編
客土吹付工は粘性土を主原料とし、これに水を多量に加えてスラリー泥状体として吹付けるため、斜面等に一定の厚みを超えて吹付けられると、その重みに耐えられず基盤材がダレ落ちたり、施工直後の降雨によって植生基盤が流失したり、浸食されたりする。このため、通常1〜3cm程度の薄層の植物生育基盤を造成するために用いられている。
また、砂質系土壌を主材料とし、モルタル吹付機等によって吹付ける植生基材吹付工においては、セメント系の接合剤を使用するため、その混合割合によっては固くなり過ぎて植物の発芽生育に悪影響を与えたり、少な過ぎると充分に固着する事ができず、降雨や凍上によって流亡したり浸食される等その配合は微妙であり困難であった。又、セメント類は基本的にアルカリ性であり、植物の発芽生育環境としては好ましいものではない。
有機質系の植生基盤材においてはバーク堆肥と共にピートモスが用いられるが、このピートモスは現在主にカナダやロシアより輸入されており、高価であるばかりでなくその採掘によって自然が破壊される等環境問題が生じており、いずれ資源としてのピートモスは枯渇する事が予想され価格も高騰しつつある。又、バーク堆肥やピートモスは水を加えて湿式によって吹付けられるため、吹付時の圧縮空気の吐出圧力によって圧密され、その保水能は著しく低下する。さらに接合剤として使用されるセメントや高分子系材料によって気孔は閉塞され、撥水性が高くなり、さらに保水力を低下させる原因となっている。
一方、開発等に伴って発生する根株や未利用樹枝、樹幹、剪定枝、間伐材等は有用なバイオマス資源であるにも拘わらず、その多くは焼却あるいは埋立てられており、一部は破砕され発酵処理されてチップ堆肥として利用されているがその量はごく一部であり限られている。又、スギ、ヒノキ、ヒバ等の針葉樹皮も同様に製材所等で発生した材料は大部分が焼却あるいは廃棄物処理されており、ごく一部が堆肥化され利用されているに過ぎず、有効利用法の開発が待たれている。
浄水場等でろ過剤として使用される珪藻土(焼成品)は、ろ過剤として使用された後は浄水汚泥として処理されるが、その処理費用は高価であり、大部分は廃棄物として埋立て処分されている。さらに赤玉土製造時に発生する赤粉や鹿沼土製造時の鹿沼粉等の細粒土もその用途は限定的であり、必ずしも有効利用されているとは限らない。
本発明はかかる廃棄物処理、焼却処理あるいは用途が少なく未利用となった原材料を有用な植物生育基盤材として利用する事ばかりではなく、これらの原材料を組合わせて配合する事によってより自然土壌や森林土壌に近い植物生育基盤を造成し、これによって裸地状態の法面表層部を保護し安定させると共に、周辺環境と調和のとれた植物群落を造成し、自然生態系の回復を図ると共に周辺環境や景観と調和の取れた緑化を目的とする自然回復緑化のための植物生育基盤を造成しようとするものである。
本発明は以上の点を目的として提案されたものであり、その主目的とする所は、未利用あるいは廃棄処分されるバイオマス資源や産業廃棄物あるいは利用価値の少ない自然土壌等を用いて自然回復緑化のためのより自然土壌や森林土壌に近い植物生育基盤材とその造成方法を提供しようとするものである。
本発明による植物生育基盤材は、地面に吹付けて植物生育基盤を造成するものであって、生の木材を破砕してなる未分解の植物性破砕チップ材に、生の樹皮を切削加工して得られる樹皮短繊維ファイバーを加え、空隙中に存在させてなるものである。
植物性破砕チップ材の材料となる生の木材としては、樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材のように、山林の樹木管理・維持作業で発生する不要の木材を使用することが出来る。樹皮短繊維ファイバーの材料となる生の樹皮としては、スギ、ヒノキ、ヒバ等の樹皮が適当である。
植物性破砕チップ材が容積比40〜90%、樹皮短繊維ファイバーが容積比10〜60%混入の割合で混合するのが最適である。
本発明による他の植物生育基盤材は、やはり地面に吹付けて植物生育基盤を造成するものであって、浄水場で沈殿土として発生する浄水ケーキであって珪藻土をろ過材を使用して脱水してなる脱水ケーキと、赤玉土製造時に発生する赤玉土から篩い分けられた赤粉および/または鹿沼土を製造する時にふるい分けられて発生する鹿沼粉との混合物に、生の樹皮を切削加工して得られる樹皮短繊維ファイバーを混合したものである。
樹皮短繊維ファイバーの材料となる生の樹皮は、前記のものと同様、スギ、ヒノキ、ヒバ等が適当である。
さらに、これらの植物生育基盤材に緩効性肥料および/または遅効性肥料を添加するとよい。また、森林で採取される埋土種子を含む表層土を混入させる。加えて、根粒菌および/または菌根菌を混入するとよい。
さらにこれらの植物生育基盤材を使用して地面に植物生育基盤を造成する方法は、フライアッシュ系あるいはセメント系固化剤と共にモルタル吹付機に投入して混合撹拌し、これをエア圧送してノズルもしくはノズル近傍で水もしくは凝集剤水溶液を混入して地面に吹付けるか、あるいは固化剤を混合せずに高分子系樹脂接合剤の水溶液をノズルもしくはノズル近傍で混入するものである。
本発明による植物生育基盤材の原料は、樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等の生の木材、スギ、ヒノキ、ヒバ等の生の樹皮、珪藻土のろ過材を使用して脱水してなる脱水ケーキ、浄水ケーキ、赤玉土から篩い分けられた赤粉等である。これらは、森林の管理・維持等により発生する廃材、浄水場から発生する廃材、赤玉土の製造所から発生する本来利用されないバイオマス資源や産業廃棄物廃材である。本発明はこれらの廃材を有効利用し、自然土壌や森林土壌に近い植物生育基盤材を得た。これによって裸地状態の法面表層部を保護し安定させると共に、周辺環境と調和のとれた植物群落を造成し、自然生態系の回復を図ると共に周辺環境や景観と調和の取れた緑化を目的とする自然回復緑化のための植物生育基盤を造成することが可能となる。
以下、このような本発明の実施形態について、詳細に説明する。
植物を傾斜面で安定的に発芽・生育させるための最も重要な要素は水分と養分であり、造成される植物生育基盤内に如何に多量の水分を貯留し、保水するかが植物生育基盤の最も重要な課題である。日本法面緑化技術協会編「有機質系厚層基材吹付工 技術資料」においても厚層基材吹付工の吹付厚さの決定の因子については、地山の硬さやクラックの間隔等の地山の状態、年間降水量、地山の勾配等を吹付厚決定因子としており、これらはいずれも水分を如何に補給できるかによって植生基盤材の造成厚を決定する重要因子としており、植物の発芽生育にとっては水分と養分は必須条件である。
本発明では径3cm以下長さ10cm以下になる様、生の木材を一次破砕した植物性破砕チップ材を主原料として用いる。この原料となる生の木材としては、樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等のように、これまで廃材として利用していないものを使用する。
しかし、この植物性破砕チップ材だけでは空隙が大きく、透水性は高いが保水能が低く、植物の種子や芽を安定して保持出来ない。そこで、スギ、ヒノキ、ヒバ等の針葉樹の樹皮を径5mm以下で長5cm以下、好ましくは径3mm以下長さ3cm以下に切削加工して得られた樹皮短繊維ファイバーでC/N比60以上、すなわち堆肥化されていない生の短繊維ファイバーを混入し、この繊維間に水分を貯留し、保水する機能によって植物生育基盤内に水分を貯留しようとするものである。
この繊維状物の保水機能については、本件特許出願人が先に提出した特願2003−175092号においても開示されている。これらスギ、ヒノキ、ヒバの樹皮短繊維ファイバーが植物性破砕チップ材の空隙にランダムに混合、混入される事によって繊維マットを形成し、これが水分を保水する。このスギ、ヒノキ、ヒバの樹皮類繊維ファイバーマット状物が100mm以下に破砕された植物性破砕チップの空隙部に存在し、これによってその保水能を格段に向上させ、植物種子の傾斜面での発芽条件が整えられる。
また、近年自然再生推進法が施行され、自然回復や再生に対する要請は高まりつつある。この自然復元技術としての緑化については、緑化工技術第22集(2001年)日本緑化工協会編に山寺の「自然復元技術としての緑化工の展望」と題する論文がある。これによれば「より自然に近い植物群落の造成」が課題であり、言い換えれば自然に調和する植物群落の造成であるとしている。そのためには根系形成がより自然林に近い機能を有する「木本植物」を用いて「播種工」による緑化であることが重要である。また、同氏の2001年斜面に関する論文集でも「緑化工技術の基本を考える」と題して、「播種工による早期樹林化方式」が自然生態系の早期回復に極めて有効であるとして、自然と調和する緑の再生としては復元目標は木本群落を主体とする事、樹木の導入は播種工を主体とし、植栽工を従とする事、先駆植物の効用を認め積極的に導入する事等をあげており、自然の復元力を最大限に発揮できるよう手助けする事が重要であるとしている。
本発明ではこれらの点を考慮して、木本植物を播種工によって導入する為に適した植物生育基盤を造成しようとするものである。そのためにはより森林土壌に近い形態の生育基盤を造成する事が不可欠である。森林土壌は落葉、落枝、風倒木等が折り重なって網目状のマット層を形成し、永年に亘って分解し一部は粉体となる。その基盤は保水性は高いものの、養分は少なく貧栄養状態を長期間持続する。本発明の生育基盤材も未分解の生の木材を原料とする植物性破砕チップ材と未分解の生のスギ、ヒノキ、ヒバ等の樹皮を原料とする短繊維ファイバーを混入する事により、養分の少ない貧栄養状態を長期間に亘って持続する生育基盤を造成するものである。貧栄養状態の生育基盤を造成する事によって木本植物の草本植物による被圧を防ぐ事ができる。また、スギ、ヒノキ、ヒバ等の樹皮は抗菌性の油精成分(テルペン類)を含んでおり、この抗菌性の精油成分がより分解の進行を抑制し、長期間貧栄養状態を維持し、網目状の繊維マットを形成し、保水能を高め森林土壌に近い基盤を造成する。この樹皮繊維ファイバーのC/N比は60以上とするのが好ましく、さらに好ましくは80〜100程度の発酵が殆ど進んでいない未分解のものが利用される。
さらに本発明では、未利用の樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等の原材料が得られないか、あるいはかかる原料を植物性破砕チップ材として利用する必要のない箇所においては、浄水場でろ過材として利用された珪藻土の脱水ケーキを容積比20〜80%好ましくは40〜60%、赤玉土を製造する時に発生する赤玉土と篩い分けられた赤粉を容積比10〜60%好ましくは20〜40%、さらにC/N比60以上のスギ、ヒノキ、ヒバの樹皮を切削加工して得られる径5mm、以下長さ50mm以下好ましくは径3mm以下長さ3cm以下の樹皮短繊維ファイバーを10〜40%、好ましくは20〜30%程度混合して得られる植物生育基盤材を用いて木本植物を導入する。珪藻土はミクロン単位の孔隙を持ち、保水効果を発揮するが、浄水場ではその孔隙を利用してろ過材として利用され、浮遊有機物等が除去される。この脱水ケーキを基盤材として利用すると珪藻土は抗菌性があるため、有機質の分解速度が緩慢に進み、より自然土壌に近い形で分解が進む。又、赤粉、鹿沼粉、珪藻土等は細粒土であり、そのままでは流亡し易く圧密され易く団結度が高くなる。これに樹皮短繊維ファイバーを組み合わせる事によって通気性に優れ、固結されにくい繊維マット状の森林土壌に近い生育基盤を造成する事ができる。
さらに本発明では上記の植物生育基盤材に樹脂コーティングや化学的方法で難溶解性に加工した緩効性肥料を1m3当たり6kg以下および/もしくは腐植質を含む発酵牛糞、発酵鶏糞、発酵油粕やバーク堆肥等の遅効性肥料うち1種以上を基盤材1m3当たり40kg以下の範囲で混入する事ができるが、その施用量は限定される。これは森林土壌においては、落葉、落枝等が長い間に土壌微生物によって分解され、貧栄養状態の養分を供給しており、幼苗期の木本植物に少ない養分を与えており、養分が全く無く分解の進行の遅い本発明の基盤材では貧栄養状態程度となる養分の供給が不可欠である為である。この緩効性あるいは遅効性肥料の施用によって草本植物の旺盛な成長を抑制し、幼苗期の木本植物にはある程度の養分を与える事ができる。
さらに本発明では、施工地付近の森林等で採取された埋土種子を含む表層土を生育基盤材に対して容積比5〜30%の範囲内で混合する事ができる。この表層土は森林や山林等種子を供給できる樹木の下の表土が好ましく、この表土に含まれる埋土種子を有効に利用することによって、より付近の景観に調和し、より自然に近い植物群落の造成が可能となる。又、本発明では植物生育基盤材と共に根粒菌や菌根菌を混入する事ができる。根粒菌は主に先駆植物やマメ科植物に共生して窒素分を固定する。菌根菌は主に木本植物に共生し、その菌糸によって水分や燐酸肥料を根に供給する。
さらに本発明では、前記生育基盤材料に加えて、フライアッシュ系やセメント系の固化剤を加えてモルタル吹付機に投入し、混合撹拌して乾式状態でエア圧送し、ノズル部もしくはその近傍で水や凝集剤水溶液を混入する事ができる。この乾式吹付手法によって材料の搬送距離は飛躍的に伸び、200m以上の搬送が可能となると共に、径30mm以下、長さ100mm以下という一次破砕の植物性破砕チップ材を搬送できる。又、浄水場で発生する珪藻土脱水ケーキに赤粉、樹皮繊維ファイバーを混入する請求項2記載の生育基盤材ではポリアクリルアミド系やオレフィン系の凝集剤水溶液をノズルもしくはその近傍で混入する事によって、団粒構造の生育基盤を造成する事ができる。この団粒構造の生育基盤は、通気性、保水性、透水性等に優れるばかりでなく、植物性破砕チップ材による植物生育基盤と同様に、表面が凹凸に富む生育基盤が造成され、風による飛来種子や鳥類による搬送種子等を捕捉して発芽生育させる事ができる。又、生育基盤材に固化剤を混入せずに、アクリル樹脂や酢酸ビニール樹脂等の高分子系樹脂接合剤の水溶液をノズルもしくはその近傍で混入する事によって、接合剤水溶液が圧縮空気によって噴霧状に混入され、生育基盤材を点的に結合固着する事ができる。これによってタンク内で高分子樹脂接合剤と生育基盤材を混合撹拌して吹付ける湿式手法と異なり、生育基盤材全体を高分子系樹脂接合剤で被覆する事による撥水性の増大による生育基盤の水分吸水能の低下を抑制する事ができる。
使用する吹付装置としては、本件特許出願人が先に提出した特願2003−105792号に記載された混合撹拌供給羽根を有する吹付装置を挙げることが出来る。このプラグ装置によって、常に一定量の材料をデリバリーホースに送る事が可能となり、プラグ輸送の状態を形成する。これによってホース内での閉塞や脈動を少なくし、搬送距離が伸びスムーズで安定した吹付作業が可能となる。殊に本発明の径30mm以下長さ100mm以下の植物性破砕チップ材は架橋作用によって閉塞状態になり易く、本吹付装置による吹付によって常に一定量の材料が間隔的に供給される為、安定した吹付作業が可能となる。
本発明の生育基盤材は貧栄養状態を長期間に亘り維持持続することが可能であり、これによって木本植物を主体とする播種工による植生が可能となり、さらには施工現地付近に自生する郷土種埋土種子を利用する自然再生型緑化が可能となり、荒廃地、裸地斜面の自然植生の回復に大いに寄与すると共に、循環型社会の形成に向けて廃棄物あるいは未利用の原材料の有効活用手法を提供するものである。
本発明の実施形態による植物生育基盤材とそれを使用した植物生育基盤の造成方法について、図1を参照してさらに具体的に説明する。
図1は未分解の植物性破砕チップ材を主原料とする植物生育基盤造成の模式図であり、1は樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等の発酵・分解されていない木材である。この木材1をフォーク付バックホウ2により一次破砕機3に投入され、未分解植物性破砕チップ材4を得る。この植物性破砕チップ材は、破砕機スクリーンの変更によって、径30mm以上長さ100mm以下のチップ材を得る事ができる。この破砕チップ材は、破砕機のベルトコンベアによって計量ホッパー5に送られ、このホッパー下部より定量的に排出され、ベルトコンベア6によりモルタル、コンクリート吹付機10に投入される。この時ベルトコンベア6の上にスギ、ヒノキ、ヒバ等の樹皮を切削加工した樹皮短繊維ファイバー7を混合、さらに緩効性あるいは遅効性肥料8を混合、更に木本を主体とする種子および/もしくは埋土種子を含む表層土9を加え、モルタル、コンクリート吹付機10内で混合撹拌され、空気圧縮機11により送られる圧力空気によりデリバリーホース14を介して圧送され吹付けられる。この時、空気圧縮機の能力は19m3/分程度の能力のものが好適であり、デリバリーホースは径2.5〜3インチ程度のものが好適である。12は高分子系樹脂水溶液のタンクであり、これは別ホース13を介してデリバリーホース先端のノズル15に送られ、基盤材料と噴霧状に合流し、植物性破砕チップ材、樹皮短繊維ファイバー、緩効性あるいは遅効性肥料、種子等に付着して吹付ノズル15により斜面16に吹付けられて植物生育基盤を形成する。こうして造成された生育基盤は径3cm以下で長さ10cm以下の植物性破砕チップ材がランダムに配置され、凹凸に富む生育基盤を形成し、降雨や湧水に対する抵抗性が高く、安定した生育基盤を形成する事ができ、混入された樹皮繊維ファイバーによって保水性が格段に向上して乾燥期の施工においても安定した発芽生育をみせる事ができた。
図2は浄水場でろ過剤として使用された珪藻土脱水ケーキ、赤粉等を主原料とする本発明の実施形態の模式図である。17は珪藻土、赤粉を適宜配合し、混合袋詰した生育基盤材コンテナパックであり、クレーンつきトラック等によって計量ホッパー5に投入され、一定量計量された基盤材料はベルトコンベア6によってモルタル、コンクリート吹付機10に投入される。この時、スギ、ヒノキ、ヒバなどの樹皮短繊維ファイバー7及び緩効性あるいは遅効性肥料8、木本を主体とする種子および/もしくは埋土種子を含む表層土9、固化剤18を加えてモルタル吹付機内で混合撹拌する。この混合された基盤材は空気圧縮機11により供給された圧力空気によってデリバリーホースを介して圧送される。この時、凝集剤水溶液19がポンプによって別ホース13に送られ、ノズル15で混入され圧力空気によって基盤材料に混合されて凝集反応し、団粒構造の基盤を形成し、斜面16に吹付けられる。こうして形成された植物生育基盤は団粒構造を形成し、表面にクレーター状の小さな凹凸を持ち、透水性、通気性に優れた土層構造を形成すると共に、混入された樹皮短繊維ファイバーによって保水能が高められ、安定した発芽を見せると共に、つなぎ材として団粒と団粒を結合して安定した基盤を形成する。
また本発明では必要に応じて、根粒菌や菌根菌等の微生物資材を混合して吹付ける事が可能であり、根粒菌は窒素固定し、菌根菌は水分や燐酸を吸着する。この微生物資材の混入によって肥料の施肥量を軽減する事が可能であり、特に木本植物の根系に共生するVA菌根菌群等や外性菌根菌群等が使用され基盤材容積に対して3〜5%程度の混合が好適であり、少なくとも1〜2%程度の混合が必要である。
未分解植物性破砕チップ材を主原料とする基盤材を用いて造成される植物生育基盤の造成方法の模式図である。 珪藻土、赤粉を主な主原料とする生育基盤材による生育基盤の造成方法の模式図である。
符号の説明
1 樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等の木材
2 フォーク付バックホウ
3 一次破砕機
4 植物性破砕チップ材
5 計量ホッパー
6 ベルトコンベア
7 樹皮短繊維ファイバー
8 緩効性もしくは遅効性肥料
9 種子および/もしくは埋土種子を含む表層土
10 モルタル、コンクリート吹付機
11 空気圧縮機
12 高分子系樹脂接合剤水溶液
13 別ホース
14 デリバリーホース
15 吹付ノズル
16 斜面
17 珪藻土、赤粉基盤材コンテナパック
18 固化剤
19 凝集剤水溶液

Claims (9)

  1. 地面に吹付けて植物生育基盤を造成する植物生育基盤材であって、有機質および/または無機質の材料で粒径が10mmから100mmの粗粒材および、これらの粗粒材の空隙を埋める径3mm以下長さ50mm以下の植物性繊維材で構成される事を特徴とする植物生育基盤材。
  2. 請求項1記載の粗粒材が樹枝、樹幹、根株、剪定枝葉、支障木、間伐材等を破砕して得られる植物性破砕チップ材であることを特徴とする植物生育基盤材。
  3. 地面に吹付けて植物生育基盤を造成する植物生育基盤材であって、粒径0.15mm以下の無機質の材料および径3mm以下長さ50mm以下の植物性短繊維材を混入する事を特徴とする植物生育基盤材。
  4. 請求項3記載の無機質の材料が浄水場でろ過材として使用された珪藻土脱水ケーキおよび/もしくは赤玉土製造時にふるわれた赤粉および/もしくは鹿沼土製造時に発生する鹿沼粉である事を特徴とする植物生育基盤材。
  5. 請求項1または請求項2記載の径3mm以下長さ50mm以下の植物性繊維材が、スギ、ヒノキ、ヒバの一種もしくは数種の樹皮を切削加工して得られる樹皮短繊維ファイバーである事を特徴とする植物生育基盤材。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の植物生育基盤材に緩効性肥料および/または遅効性肥料を混入する事を特徴とする植物生育基盤材。
  7. 森林で採取される埋土種子を含む表層土を混入したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の植物生育基盤材。
  8. 根粒菌および/または菌根菌を混入したことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の植物生育基盤材。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の植物生育基盤材を使用して地面に植物生育基盤を造成する方法であって、フライアッシュ系あるいはセメント系固化剤と共にモルタル吹付機に投入して混合撹拌し、これをエア圧送してノズルもしくはノズル近傍で水もしくは凝集剤水溶液を混入して地面に吹付けるか、あるいは固化剤を混合せずに高分子系樹脂接合剤の水溶液をノズルもしくはノズル近傍で混入することを特徴とする植物生育基盤を使用した造成方法。
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