JP3286622B2 - リサイクル資材の吹付システム - Google Patents

リサイクル資材の吹付システム

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JP3286622B2
JP3286622B2 JP20727099A JP20727099A JP3286622B2 JP 3286622 B2 JP3286622 B2 JP 3286622B2 JP 20727099 A JP20727099 A JP 20727099A JP 20727099 A JP20727099 A JP 20727099A JP 3286622 B2 JP3286622 B2 JP 3286622B2
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晃司 岩崎
明一 岩崎
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有限会社美濃緑化
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現地発生植物のチ
ップ材及び現地発生土を少なくとも含有する乾燥状態の
リサイクル資材を緑化用の吹付材料とし、この吹付材料
を圧縮空気により法面、造園造成地等に吹付けて緑化す
るようにしたリサイクル資材の吹付システムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、植物の生長が困難な法面、壁
面等を緑化する工法の1つとして、本出願人が先に提案
した「客土吹付工法」がある(特開昭63−28432
2号公報参照)。これは、土壌を含む乾燥状態の吹付材
料を、モルタル吹付機から圧縮空気によって搬送管先端
のノズルまで搬送するとともに、ノズル直前で搬送管内
に水又は薬液を混入し、泥状となった吹付材料をノズル
先端から法面等に吹付けて施工するものである。この工
法によれば、高価な吹付機を用いることなく、適当な柔
らかさとなった泥状の吹付材料を法面等に吹付けること
ができる。このため、客土吹付工法は、従来から行われ
てきている湿式吹付工法、乾式吹付工法に代るものとし
て期待されている。
【0003】一方、法面施工現場等で発生する伐採木、
剪定木等のいわゆる「現地発生植物」や、ベントナイト
等の成分からなる粘土を含んだいわゆる「現地発生土」
を、吹付現場等でそのまま直接利用して、資源のリサイ
クル(循環利用)を積極的に図りたいとする社会的要請
がある。すなわち、現地発生植物の大半は、現地で焼却
処分(野焼きとも呼ばれる)されるか、又は現地から遠
く離れた焼却炉まで運搬されて焼却処分されている。野
焼きによる焼却処分では、現地付近の民家等に焼却灰及
び悪臭をまきちらす。また、現地の在来植物を死滅させ
たり、小動物を死滅させたり他所へ追いやったりして、
現地の正常な生態系を乱すため、破壊や混乱を招き環境
保全上好ましくない。焼却炉による焼却処分では焼却炉
までの運搬に多額の費用がかかり不経済であるという問
題がある。さらに、野焼きによっても焼却炉によって
も、焼却にともない発生する二酸化炭素による地球温暖
化や、不完全燃焼に起因するダイオキシン等の発生を招
来する問題がある。一方、現地発生土の大半は、遠く離
れた処分場まで運搬されて投棄処分されている。現地発
生土は、わずかに道路の埋立て材やそのほかの工事の埋
め戻し材として使用されているにすぎない。
【0004】そこで、上記の現地発生植物を細断してチ
ップ材とし、このチップ材と現地発生土とを、上記客土
吹付工法における吹付材料中に混入して用いることが考
えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に、客土吹付工法に現地発生植物のチップ材及び現地発
生土を用いると、次の問題が起る。その1つは、現地発
生土の混入により粘性(粘度)及び密度の高くなった吹
付材料や、その吹付材料中の長いチップ材が吹付機の吐
出口付近で詰まって動脈硬化に似た現象を起し、吐出が
困難又は不能となることである。そのほかにも、吹付機
の吐出圧が十分に高くない場合には、前記の粘度及び密
度の高くなった吹付材料が搬送管の内壁に付着して圧送
抵抗が大きくなる。同様の現象は、吹付機の吐出圧が高
くても搬送管が長ければ起る。これは、吹付機から遠ざ
かるに従い圧縮空気の圧力が低下するからである。この
ため、ノズルから高圧の空気が間欠的に吹出し、その反
動でノズルが揺動したり、あるいは吹付材料と空気とが
搬送管を通じ間欠的に搬送されて搬送管が揺動したり
し、それらの揺動の度にノズルを把持している作業者の
姿勢が不安定となり、吹付作業が困難となる問題もあ
る。
【0006】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであり、その解決しようとする課題は、現地発生植物
及び現地発生土を緑化のためのリサイクル資材として有
効利用しつつ、そのリサイクル資材からなる吹付材料が
吹付機の吐出口付近で詰まったり、搬送管やノズルが揺
動したりするのを防止して、吹付作業を支障なく行うこ
とのできるリサイクル資材の吹付システムを提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の第1の
発明は、現地発生植物のチップ材及び現地発生土を少な
くとも含有する乾燥状態のリサイクル資材を、緑化用の
吹付材料として圧縮空気により吐出する吹付機と、前記
吹付機から吐出された吹付材料をノズルへ搬送する搬送
管と、前記搬送管の前記ノズル近傍に装着され、かつ水
又は薬液からなる高圧の液体を前記搬送管に導入する液
体導入アタッチメントとを備え、前記吹付材料と前記液
体とを混合してノズルから吹出させるようにしたリサイ
クル資材の吹付システムにおいて、前記吹付機の吐出口
近傍を通過する吹付材料を強制的に前記搬送管内の下流
側へ送出する吹付材料送出手段をさらに備え、前記吹付
材料送出手段は、前記吐出口近傍に装着され、かつ前記
搬送管内の下流側へ向けて高圧空気を導入する第1空気
導入アタッチメントを含み、前記第1空気導入アタッチ
メントは、前記吹付材料の流通路となる本管と、前記高
圧空気を前記本管に導入する枝管とを備え、前記枝管は
前記高圧空気が前記本管の内壁に沿って螺旋流を生ずる
ように、同内壁に向けて斜めに接続され、前記本管及び
前記搬送管の内壁の少なくとも一部には、螺旋状の突部
又は溝部からなるガイド部が設けられている。
【0008】上記第1の発明によると、緑化用の吹付材
料、すなわち、現地発生植物のチップ材及び現地発生土
を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材は、圧
縮空気により吹付機から吐出された後、搬送管を通じて
ノズルへ搬送される。一方、ノズル近傍に装着された液
体導入アタッチメントからは搬送管に対し、水又は薬液
からなる高圧の液体が導入される。これらの吹付材料及
び液体は混合されて泥状物となり、法面等の吹付対象面
に向けてノズルから吹出される。ところで、吹付機から
吐出された吹付材料は、同吹付機の吐出口近傍を通過す
る際、吹付材料送出手段により強制的に搬送管内の下流
側へ送出される。すなわち、吹付機の吐出力が実質的に
高められる。従って、吹付材料は、現地発生土の混入に
より粘度及び密度が高くなっていたり、長いチップ材を
含んでいたりしても、吐出口近傍に付着せず下流側へ運
ばれ、ノズルから吹出される。また、吐出口近傍に装着
された第1空気導入アタッチメントからは搬送管内の下
流側へ向けて高圧空気が導入される。この導入により、
吐出口近傍での圧縮空気の圧力が上昇する。吐出口近傍
を通過する吹付材料は、この圧力上昇した圧縮空気に乗
って下流側へ流れる。また、吹付機から吐出された吹付
材料は、搬送管を通過する過程で、第1空気導入アタッ
チメントの本管を通過する。一方、この本管には、枝管
を介して高圧空気が導入される。枝管が本管の内壁に向
けて斜めに接続されていることから、導入された高圧空
気は同内壁に沿って螺旋を描きながら下流側へ流れる。
すなわち、本管内で高圧空気が螺旋流を生ずる。この螺
旋流は、前記の本管を通じて搬送される吹付材料の流れ
を妨げず、しかもその吹付材料を圧縮空気とともに下流
側へ運ぶ。また、枝管を通じて本管内に導入された高圧
空気は、本管内や搬送管内において螺旋を描きながら流
れようとするが、この流れはガイド部によって影響を受
ける。これは、高圧空気が本管の内壁に沿って流れるの
に対応して、ガイド部が同内壁に設けられているからで
ある。そして、ガイド部は螺旋状の突部又は溝部からな
る。このため、ガイド部の螺旋の大きさ、ピッチ等が螺
旋流のそれと合致又はほぼ合致していれば、高圧空気は
ガイド部に沿って流れる。
【0009】請求項2に記載の第2の発明は、現地発生
植物のチップ材及び現地発生土を少なくとも含有する乾
燥状態のリサイクル資材を、緑化用の吹付材料として圧
縮空気により吐出する吹付機と、前記吹付機から吐出さ
れた吹付材料をノズルへ搬送する搬送管と、前記搬送管
の前記ノズル近傍に装着され、かつ水又は薬液からなる
高圧の液体を前記搬送管に導入する液体導入アタッチメ
ントとを備え、前記吹付材料と前記液体とを混合してノ
ズルから吹出させるようにしたリサイクル資材の吹付シ
ステムにおいて、前記吹付機の吐出口近傍を通過する吹
付材料を強制的に前記搬送管内の下流側へ送出する吹付
材料送出手段をさらに備え、前記搬送管において、前記
液体導入アタッチメント及び前記吹付材料送出手段間の
少なくとも1箇所に装着され、かつ前記搬送管内の下流
側へ向けて高圧空気を導入する第2空気導入アタッチメ
ントをさらに備え、前記第2空気導入アタッチメント
は、前記吹付材料の流通路となる本管と、前記高圧空気
を前記本管に導入する枝管とを備え、前記枝管は前記高
圧空気が前記本管の内壁に沿って螺旋流を生ずるよう
に、同内壁に向けて斜めに接続され、前記本管及び前記
搬送管の内壁の少なくとも一部には、螺旋状の突部又は
溝部からなるガイド部が設けられている。
【0010】上記第2の発明によると、緑化用の吹付材
料、すなわち、現地発生植物のチップ材及び現地発生土
を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材は、圧
縮空気により吹付機から吐出された後、搬送管を通じて
ノズルへ搬送される。一方、ノズル近傍に装着された液
体導入アタッチメントからは搬送管に対し、水又は薬液
からなる高圧の液体が導入される。これらの吹付材料及
び液体は混合されて泥状物となり、法面等の吹付対象面
に向けてノズルから吹出される。ところで、吹付機から
吐出された吹付材料は、同吹付機の吐出口近傍を通過す
る際、吹付材料送出手段により強制的に搬送管内の下流
側へ送出される。すなわち、吹付機の吐出力が実質的に
高められる。従って、吹付材料は、現地発生土の混入に
より粘度及び密度が高くなっていたり、長いチップ材を
含んでいたりしても、吐出口近傍に付着せず下流側へ運
ばれ、ノズルから吹出される。また、搬送管において液
体導入アタッチメント及び吹付材料送出手段間に装着さ
れた第2空気導入アタッチメントからは搬送管内の下流
側へ向けて高圧空気が導入される。従って、搬送管内の
圧縮空気の圧力が吹付機から遠ざかるに従い低下して
も、その低下した分は第2空気導入アタッチメントから
の高圧空気により補われる。吹付材料は、圧力の高くな
った圧縮空気に乗って下流側へ運ばれる。また、吹付機
から吐出された吹付材料は、搬送管を通過する過程で、
第2空気導入アタッチメントの本管を通過する。一方、
この本管には、枝管を介して高圧空気が導入される。枝
管が本管の内壁に向けて斜めに接続されていることか
ら、導入された高圧空気は同内壁に沿って螺旋を描きな
がら下流側へ流れる。すなわち、本管内で高圧空気が螺
旋流を生ずる。この螺旋流は、前記の本管を通じて搬送
される吹付材料の流れを妨げず、しかもその吹付材料を
圧縮空気とともに下流側へ運ぶ。また、枝管を通じて本
管内に導入された高圧空気は、本管内や搬送管内におい
て螺旋を描きながら流れようとするが、この流れはガイ
ド部によって影響を受ける。これは、高圧空気が本管の
内壁に沿って流れるのに対応して、ガイド部が同内壁に
設けられているからである。そして、ガイド部は螺旋状
の突部又は溝部からなる。このため、ガイド部の螺旋の
大きさ、ピッチ等が螺旋流のそれと合致又はほぼ合致し
ていれば、高圧空気はガイド部に沿って流れる。
【0011】請求項3に記載の第3の発明は、現地発生
植物のチップ材及び現地発生土を少なくとも含有する乾
燥状態のリサイクル資材を、緑化用の吹付材料として圧
縮空気により吐出する吹付機と、前記吹付機から吐出さ
れた吹付材料をノズルへ搬送する搬送管と、前記搬送管
の前記ノズル近傍に装着され、かつ水又は薬液からなる
高圧の液体を前記搬送管に導入する液体導入アタッチメ
ントとを備え、前記吹付材料と前記液体とを混合してノ
ズルから吹出させるようにしたリサイクル資材の吹付シ
ステムにおいて、前記吹付機の吐出口近傍を通過する吹
付材料を強制的に前記搬送管内の下流側へ送出する吹付
材料送出手段をさらに備え、前記液体導入アタッチメン
トは、前記吹付材料の流通路となる本管と、前記液体を
前記本管に導入する枝管とを備え、前記枝管は前記液体
が前記本管の内壁に沿って螺旋流を生ずるように、同内
壁に向けて斜めに接続され、前記本管及び前記搬送管の
内壁の少なくとも一部には、螺旋状の突部又は溝部から
なるガイド部が設けられている。
【0012】上記第3の発明によると、緑化用の吹付材
料、すなわち、現地発生植物のチップ材及び現地発生土
を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材は、圧
縮空気により吹付機から吐出された後、搬送管を通じて
ノズルへ搬送される。一方、ノズル近傍に装着された液
体導入アタッチメントからは搬送管に対し、水又は薬液
からなる高圧の液体が導入される。これらの吹付材料及
び液体は混合されて泥状物となり、法面等の吹付対象面
に向けてノズルから吹出される。ところで、吹付機から
吐出された吹付材料は、同吹付機の吐出口近傍を通過す
る際、吹付材料送出手段により強制的に搬送管内の下流
側へ送出される。すなわち、吹付機の吐出力が実質的に
高められる。従って、吹付材料は、現地発生土の混入に
より粘度及び密度が高くなっていたり、長いチップ材を
含んでいたりしても、吐出口近傍に付着せず下流側へ運
ばれ、ノズルから吹出される。また、吹付機から吐出さ
れた吹付材料は、搬送管を通過する過程で、液体導入ア
タッチメントの本管を通過する。一方、この本管には、
枝管を通じて液体が導入される。枝管が本管の内壁に向
けて斜めに接続されていることから、導入された液体は
同内壁に沿って螺旋を描きながら下流側へ流れる。すな
わち、本管内で液体が螺旋流を生ずる。この螺旋流は、
本管を通じて搬送される吹付材料の流れの勢いを低下さ
せず、しかもその吹付材料と適度に混ざり合う。また、
枝管を通じて本管内に導入された液体は、本管内や搬送
管内において螺旋を描きながら流れようとするが、この
流れはガイド部によって影響を受ける。これは、液体が
本管の内壁に沿って流れるのに対応して、ガイド部が同
内壁に設けられているからである。そして、ガイド部は
螺旋状の突部又は溝部からなる。このため、ガイド部の
螺旋の大きさ、ピッチ等が螺旋流のそれと合致又はほぼ
合致していれば、液体はガイド部に沿って流れる。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態を図面に従って説明する。図1はリサイクル資材の
吹付システムの概略構成を示している。吹付システム
は、吹付機1、搬送管2、ノズル3、液体導入アタッチ
メント4、吹付材料送出手段としての第1空気導入アタ
ッチメント5、及び第2空気導入アタッチメント6を備
えている。
【0026】吹付機1は、緑化用の吹付材料7を圧縮空
気により吐出する装置であり、例えば、従来よりモルタ
ル、コンクリート吹付けの分野で周知のモルタルガンが
用いられる。ただし、吹付機1としては、吹付材料7中
のチップ材8が吐出口1aの近傍で詰まりにくいものが
好ましい。そのためには、吐出口1aの直径はある程度
大きいことが重要である。しかし、直径が極端に大きい
と、チップ材8の吐出量が変動しやすくなるという新た
な問題が生ずる。両方の要求を満たすには、吐出口の直
径は7.5cm前後であることが望ましい。また、吐出
口1aには、圧縮空気及び吹付材料7の流通及び遮断を
行うためのコック1bが取付けられている。
【0027】吹付材料7としては、現地発生植物のチッ
プ材(裁断片)8及び現地発生土9を少なくとも含有す
る乾燥状態のリサイクル資材が用いられる。乾燥状態と
は、水分を最小限に含む風乾状態をいう。この吹付材料
7は秤量された後、吹付機1に投入される。
【0028】現地発生植物は、吹付施工現場やその近辺
の現地で発生する伐採木、剪定した枝葉、現地刈込み草
木等からなる。そのほかにも枯草、枯れ葉、枯れ枝、種
子付きの植物枝葉等の植物枯死体、植物根茎等の植物栄
養繁殖体、刈り取った直後の植物枝葉等の植物生体、樹
皮(バーク)、腐食中の植物、腐食系物質等の植物枯死
体からの生成物等が現地発生植物として用いられてもよ
い。チップ材8は、現地発生植物を破砕機(チッパー)
で処理、好ましくは2乃至3回程度処理して得たもので
あり、好気性菌等によっては未だ分解されていない。チ
ップ材8がシステム各部で詰まらないようにするには、
そのチップ材8の長さが1乃至2cm程度であることが
望ましい。また、現地発生植物の破砕に際しては、常に
同じ機種の破砕機を使用し、同一条件で破砕することが
望ましい。これは、チップ材8の長さのばらつきが少な
く、詰まりにくくなると考えられるからである。
【0029】現地発生土9は吹付施工現場で発生する、
粘土成分やシルト成分を含む粘性土壌であり、例えば、
マサ土(砂質土)、黒ボク(火山土)、乾土、粘土等が
用いられる。現地発生土9としては、2cm程度の網目
を有する篩にかけたものが適している。なお、リサイク
ル資材としては、前記したもの以外にも、古紙や建設廃
棄物(廃屋の木材廃材等)が用いられてもよい。また、
吹付材料7に、種子、肥料等が混入されてもよい。肥料
としては、通常成分(窒素、カリ、燐、酸化ケイサン、
酸化鉄、酸化カルシウム、マンガン)等のほか、ゲルマ
ニウム、炭素が挙げられる。さらに、牛糞、鶏糞等の堆
肥が用いられてもよい。
【0030】搬送管2は、吹付機1から吐出された吹付
材料7をノズル3まで搬送するためのものである。搬送
管2としては、ゴム、強化ビニル等の気密性及び強度の
高い材料によって所定長さ(例えば20m)に形成され
たホースが適している。使用される搬送管2の本数は、
吹付機1から吹付施工現場までの距離に応じて異なり、
これらの複数の搬送管2がジョイント部で連結されて使
用される。ノズル3は、その先端に吹出口を有し、基端
部において搬送管2に装着される。
【0031】液体導入アタッチメント4は、水又は薬液
からなる高圧の液体を搬送管2に導入するためのもので
あり、ノズル3の近傍に装着されている。ここで、ノズ
ル3の近傍とは、ノズル3の先端から20m上流までの
箇所を指し、好ましくは1乃至10m上流の箇所であ
り、より好ましくは2乃至5m上流の箇所である。ノズ
ル3の先端に近すぎると、吹付材料7と液体との混合が
十分に行われないおそれがある。また、ノズル3から2
0m以上離れた箇所では、泥状物を長距離圧送すること
となり、乾燥状態の吹付材料7と液体とをノズル3の近
傍で混合させるメリットが得られない。ここでのメリッ
トとは、材料搬送時の圧送抵抗が小さく、特別な構造の
吹付機1を用いなくてすむことである。
【0032】本実施形態では液体として薬液が用いられ
ている。薬液は接合剤、粘土等の水溶液からなる。接合
剤としては、ベントナイト等の高分子化合物、水ガラス
等の無機系化合物が挙げられ、特にベントナイトが好ま
しい。ベントナイトはモンモリロン石を主成分とする白
土であり、酸性白土に似て凝灰岩等が風化して生成した
ものであり、水中で膨潤する性質を有する。薬液中には
接合剤以外にも保水材、粘結剤、肥料等が適宜混入され
てもよい。
【0033】液体導入アタッチメント4は、吹付材料7
の流通路となる本管11と、高圧の液体を本管11に導
入する少なくとも1本の枝管12とを備えている。本管
11は円管からなり、その両端部には搬送管2に連結す
るためのジョイント部が設けられている。ここでは、5
乃至7.5cm程度の直径と、100cm程度の長さを
有するものが本管11として用いられている。図4及び
図5に示すように、本管11の内壁11aには、螺旋状
の突部又は溝部からなるガイド部13が設けられてい
る。ここでは、三角形の断面を有し、かつ25cmを1
単位(ピッチ)とするガイド部13が、本管11の全長
にわたって設けられている。ピッチは螺旋が1回転した
ときに進む距離である。従って、本管11には4ピッチ
のガイド部13が設けられていることになる。なお、ガ
イド部13の断面形状及びピッチは前述したものに限ら
れない。
【0034】図1に示すように枝管12は、その一端部
において本管11に接続され、他端部おいて液体導入管
14に接続されている。ここでは1.3乃至2.5cm
程度の直径を有する円管が枝管12として用いられてい
る。液体導入管14には、混合タンク15と、スクィー
ズ型ポンプ等のポンプ16とが取付けられている。スク
ィーズ型ポンプは、遊星運動を行う2個のゴムローラ
が、本体の内周壁の半円部に貼付けられたゴムパッドに
ポンピングチューブを押付けながら回転し、チューブ内
の材料を絞り出して圧送するタイプのポンプである。混
合タンク15では接合剤及び水が撹拌により混合され、
その混合物である薬液がポンプ16により液体導入管1
4を通じて枝管12に供給される。なお、枝管12は本
管11に取外し可能に取付けられてもよいし、溶接等に
より固定されてもよい。
【0035】図4及び図5に示すように、枝管12は液
体が本管11の内壁11aに沿って螺旋流を生ずるよう
に、同内壁11aに向けて斜めに接続されている。枝管
12の一端部は本管11内に入り込み、前記ガイド部1
3に接近している。液体が螺旋流を生ずるには、図2で
示すように、液体導入アタッチメント4を側方から見た
とき、枝管12の軸線L2が本管11の軸線L1に対し
角度αで交差していることが必要である。角度αは50
乃至70°の範囲内にあることが好ましく、ここでは6
0°に設定されている。また、図3で示すように、液体
導入アタッチメント4を上方から見たとき、軸線L2が
軸線L1に対し角度βで交差していることが必要であ
る。角度βは50乃至70°の範囲内にあることが好ま
しく、ここでは60°に設定されている。
【0036】図1に示すように、第1空気導入アタッチ
メント5は吹付機1の吐出口1aの近傍に装着され、か
つ搬送管2内の下流側へ向けて高圧空気10を導入する
ためのものである。また、第2空気導入アタッチメント
6は搬送管2において、液体導入アタッチメント4及び
第1空気導入アタッチメント5間の少なくとも1箇所に
装着され、かつ搬送管2内の下流側へ向けて高圧空気1
0を導入するためのものである。第2空気導入アタッチ
メント6の装着箇所としては、例えば隣合う搬送管2の
接続部分が挙げられる。従って、各搬送管2が2mの長
さを有するものである場合には、第2空気導入アタッチ
メント6は20mおきに配置されることになる。
【0037】ここでは、第1及び第2空気導入アタッチ
メント6として、前述した液体導入アタッチメント4と
同様の構造を有するもの、すなわち、本管11と1本以
上の枝管12とを有するものが用いられている。本管1
1が両端にジョイント部を備えている点、5乃至7.5
cm程度の直径と100cm程度の長さとを有している
点、25cmを1ピッチとするガイド部13を内壁11
aに有している点、枝管12が本管11の内壁11aに
向けて斜め(角度α、βを含む)に接続されている点に
関しても液体導入アタッチメント4と同様である。液体
導入アタッチメント4との相違点は、枝管12が高圧空
気10の流通路となる点であり、そのために枝管12に
は高圧空気導入管(図示略)を介してコンプレッサ(図
示略)が接続されている。
【0038】次に、前記構成の吹付システムを用いたリ
サイクル資材の吹付工法について説明する。
【0039】この吹付工法の実施に際しては、ノズルマ
ンと呼ばれる作業者がノズル3又はその近傍を把持し、
ノズル3の先端部を、吹付施工現場の吹付対象面に向け
る。吹付施工現場としては、法面(切土面、盛土面等)
をはじめとし、造園造成地等の平地や、高層ビルの屋
上、ビル建設地等の高所や、ダム建設地等の遠隔地が挙
げられる。この際、吹付対象面には必要に応じ予め金網
を敷設しておく。そして、吹付機1、コンプレッサ、ポ
ンプ16等を作動させる。このとき、吹付機1において
はコック1bを開いておく。
【0040】すると、乾燥状態のリサイクル資材からな
る吹付材料7が吹付機1から圧縮空気により吐出され、
吐出口1aの近傍に装着された第1空気導入アタッチメ
ント5の本管11を通過する。一方、この本管11には
枝管12を介して高圧空気10が導入される。枝管12
が本管11の内壁11aに向けて斜めに接続されている
ことから、導入された高圧空気10は同内壁11aに沿
って螺旋を描きながら下流側へ流れようとする。すなわ
ち、本管11内で高圧空気10が螺旋流を生ずる。この
螺旋流はガイド部13によって影響を受ける。これは、
ガイド部13が螺旋状の突部(又は溝部)からなり、か
つ高圧空気10が流れる箇所である内壁11aに設けら
れているからである。そして、ガイド部13の螺旋の大
きさ、ピッチ等が螺旋流のそれと合致又はほぼ合致して
いることから、高圧空気10はガイド部13に沿って螺
旋流を持続しながら流れる。
【0041】螺旋流は、本管11を通じて搬送される吹
付材料7の流れを遮断せずに(吹付材料7の搬送を阻害
せずに)、吹付機1の実質的な吐出力を高め、同吹付材
料7を渦巻状に回転させながら、強制的に搬送管2内の
下流側へ送出する。吹付材料7は、現地発生土9の混入
により粘度及び密度が高くなっており、またチップ材8
を含んでいるものの、吐出口1aの近傍で付着したり堆
積したりしにくい。従って、吹付材料7が吐出口1aの
近傍で詰まって動脈硬化に似た現象を起すのを防止でき
る。
【0042】第1空気導入アタッチメント5を通過した
吹付材料7は、搬送管2及び第2空気導入アタッチメン
ト6を通過する。一方、このアタッチメント6の本管1
1には枝管12を介して高圧空気10が導入される。枝
管12が本管11の内壁11aに向けて斜めに接続され
ていることから、導入された高圧空気10は同内壁11
aに沿って、しかも移動経路がガイド部13によって規
制されて、螺旋を描きながら下流側へ流れる。すなわ
ち、本管11内で高圧空気10が螺旋流を生ずる。
【0043】従って、一般に吹付機1から遠ざかるに従
って搬送管2内の圧縮空気の圧力が低下するものの、そ
の低下した分は枝管12からの高圧空気10により補わ
れる。その結果、搬送管2内を十分に高い圧力の空気が
流れ、その空気が吹付材料7を渦巻状に回転させながら
搬送管2内の下流側へ送出する。内壁11aにガイド部
13が設けられていることも有利に作用し、第1空気導
入アタッチメント5での通過により生じた螺旋流が消失
することなく維持される。場合によっては螺旋流は増長
される。このため、吹付材料7が粘度や密度の高いもの
であっても、搬送管2の内壁に付着しにくい。この際、
高圧空気10は螺旋を描きながら流れるので、上流から
搬送されてきた吹付材料7の流れを妨げない。
【0044】第2空気導入アタッチメント6及び搬送管
2を通過した吹付材料7は、液体導入アタッチメント4
を通過する。一方、このアタッチメント4の本管11に
は、枝管12を通じて薬液等の液体が導入される。枝管
12が本管11の内壁11aに向けて斜めに接続されて
いることから、導入された液体は同内壁11aに沿っ
て、しかも移動経路がガイド部13によって規制され
て、螺旋を描きながら下流側へ流れる。すなわち、本管
11内で液体が螺旋流を生ずる。この螺旋流は、本管1
1を通じて搬送される吹付材料7の流れを妨げたり、勢
いを低下させたりせず、しかもその吹付材料7と混ざり
合って泥状物17となる。吹付材料7は乾燥状態から湿
潤状態に切替わる。この泥状物17は渦巻状に回転しな
がらノズル3の先端部から勢いよく吹出し、施工現場の
吹付対象面に付着し堆積する。このため、チップ材8が
ノズル3に詰まることはない。また、螺旋流は圧縮空気
の逆流を防止する効果も発揮する。
【0045】吹付対象面に吹付けられた泥状物17にお
いては、接合剤中のベントナイトの膨潤力によりチップ
材8同士が接合される。この接合により、チップ材8の
絡み合った状態のポーラスなマット状物(団粒構造)が
形成される。団粒構造は、土壌の微細粒子が集合してな
る微小な塊状物であり、一般に孔隙に富み、空気や水の
透通性がよく、また水や植物養分を保持する力が大きい
ので、植物にとって好ましいものである。また、団粒構
造は、土壌微生物の活動を盛んにし、養分の供給度を増
し、さらに雨水の吸収や浸透がよく行われるので土壌浸
食(エロージョン)を防止するうえで有効である。
【0046】マット状物は、以下に示すような各種マル
チング(被覆)効果を発揮する。地表面からの地熱の発
散、特に夜間の熱放射現象による熱発散を防止して、地
温を一定に保つ、いわゆる保温効果を発揮する。このた
め、植物は寒冷地、冬期等ににもよく生育する。また、
マット状物は、地表面からの水分の発散、特に乾期や日
照の激しい時期等において、地中の水分の蒸散を抑制す
る、いわゆる保水効果を発揮する。このため、植物は乾
期等においてもよく生育する。上記の保温効果及び保水
効果により、寒期や寒冷地における凍上、凍結、霜柱発
生が抑制される。さらに、マット状物は法面等の地山表
面を被覆することにより、土壌表面や植物を雨滴や強風
から保護し、地表面の侵食を防ぎ、雨滴障害を防止す
る。雑草の生育や繁茂を抑制し、導入しようとする植物
の発芽、定着、生育等を促進する。マット状物が、上述
したようなマルチング効果を発揮することから、現地に
自生していた郷土(在来)植物の回復や生育のみなら
ず、導入植物の生育環境として最適な環境を形成し、法
面等を早期に緑化することができる。
【0047】特に、接合剤中のベントナイトは白色又は
淡黄色を呈することから、太陽光の一部を反射して、地
温が急激に上昇するのを抑制し、好気性菌の急激な繁殖
を防止し、未分解の現地発生植物の生チップ材8の好気
性菌等による分解を遅らせる。この点において本実施形
態は、従来の厚層基材が黒色又は黒褐色を呈しており、
太陽光を著しく吸収して地温を部分的に上昇させ、降雨
直後の湿潤状態において周囲の草木を枯らすカビ類や悪
玉菌の繁殖を促し、植生繁茂の弊害を引き起こすおそれ
のあるのと大きく異なる。また、ベントナイトは、それ
自体が植物養分となり、いわゆる施肥効果を発揮する。
【0048】なお、泥状物17が吹付けられた後、10
日程度が経過するとマット状物中の種子が発芽し、植物
が順調に生育する。現地植物が短期間で繁茂し、吹付対
象面が緑化される。
【0049】このように、本実施形態では、従来は焼却
処分されていた現地発生植物を吹付施工現場でチップ化
し、吹付材料7として利用している。このため、野焼き
と呼ばれる焼却処分とは異なり、焼却灰及び悪臭をまき
ちらしたり、現地の正常な生態系を乱したりするおそれ
がなく、環境保全上好ましい。また、現地から遠く離れ
た焼却炉での焼却処分とは異なり、遠くの焼却炉まで運
搬しなくてもすむことから、その分吹付施工にかかる費
用を低く抑えることができる。さらに、前記両焼却処分
とは異なり、二酸化炭素発生による地球温暖化や、不完
全燃焼に起因するダイオキシン発生のおそれもない。
【0050】一方、従来ならば道路の埋立て材、そのほ
かの工事の埋め戻し材等の限られた利用以外は、遠く離
れた処分場まで運搬されて投棄処分されていた現地発生
土9を、本実施形態では吹付材料7として利用してい
る。このため、処分場までの運搬費用が不要となり、ま
た廃棄場所を確保しなくてもすむ。現地発生植物及び現
地発生土9を、吹付施工現場で有効利用して、リサイク
ル(循環利用)を積極的に図ることができる。本実施形
態の吹付工法は、上記のように法面施工現場等で自生す
る現地発自植物を蘇生回復させるとともに、新たに法面
施工現場等に適した現地導入植物を植生させるようにし
ていることから、今までにない新しいタイプの吹付施工
法である、「植物誘導工」ということができる。
【0051】さらに、本実施形態では第1及び第2空気
導入アタッチメント5,6からの高圧空気導入にともな
う螺旋流の発生により、吐出口1aの付近で吹付材料7
が付着して詰まるのを防止するとともに、圧縮空気の圧
力低下を補い、乾燥状態の吹付材料7を高圧の圧縮空気
にのせてノズル3まで確実に搬送できる。この効果は、
ノズル3の位置(吹付機1から遠く離れた位置、高所
等)にかかわらず得られる。また、液体導入アタッチメ
ント4からの液体導入にともなう螺旋流の発生により、
液体を吹付材料7と十分に混合させて泥状物17を形成
し、これを強力な推進力によってノズル3から勢いよく
噴射させることができる。これにともない、圧縮空気の
逆流を防止でき、また、泥状物17中のチップ材8を詰
まらせることなくノズル3から吹出させることができ
る。ノズル3からは泥状物17が連続して噴射されるこ
ととなり、ノズル3や搬送管2が揺動することがなく、
作業者(ノズルマン)はノズル3を安定した姿勢で楽に
把持し続けることができる。作業者に過度な負担がかか
らず、作業者は支障なく容易に吹付作業を行うことがで
きる。
【0052】本実施形態は前述した事項以外にも次の特
徴を有する。
【0053】(a)吹付機1が吹付対象面から遠く離れ
ていたり、高所の施工現場であったりしても、搬送管2
及び第2空気導入アタッチメント6の数を増やすことに
より、吹付材料7をノズル3まで確実に搬送することが
できる。吹付材料7の搬送距離を長くすることができ
る。これにともない、吹付機1を動かさずに吹付施工す
ることのできる範囲が拡がる。
【0054】(b)各アタッチメント4乃至6は、いず
れも本管11の両端にジョイント部を有し、そのジョイ
ント部において搬送管2に取外し可能に装着される構造
となっている。このため、点検、清掃等の際には、搬送
管2から各アタッチメント4乃至6を取外すことができ
る。しかも、これらのアタッチメント4乃至6は本管1
1に枝管12を斜めに接続した構造を採っているため、
点検作業や清掃作業を容易に行うことができる。さら
に、枝管12を本管11に対し取外し可能な構成とした
場合には、アタッチメントを本管11及び枝管12に分
解できるので、点検等の各種作業性が非常にしやすいも
のとなる。
【0055】(c)各アタッチメント4乃至6は、いず
れも本管11と、本管11に取付けられた1本以上の枝
管12とからなり、しかも本管11及び枝管12として
直径が一定(ただしジョイント部を除く)の円管が用い
られている。また、枝管12が本管11から外方へ突出
する構造を採っている。このため、非常に簡単に、かつ
低いコストで製造することができる。これは、本管11
及び枝管12がそれぞれ単純な形状をしているうえに、
枝管12の一端を本管11に対し外側から取付けるだけ
ですむからである。本管11内での作業が不要なことも
製造コストを低くするうえで役立っている。また、アタ
ッチメント4乃至6の構成部品の点数が少ないこと、各
構成部品を直列に配する構造を採っていないこと(枝管
12を本管11の途中に取付けているにすぎないこと)
等から、アタッチメントを比較的コンパクトにすること
ができる。
【0056】(d)液体導入アタッチメント4、及び両
空気導入アタッチメント5,6は同一構成を有している
ため、リサイクル資材の吹付工法の実施に際しては、1
種類の(共通の)アタッチメントを複数個用意するだけ
ですむ。
【0057】(e)緑化工法の1つとして、バーク堆
肥、肥料、ピートモス、高分子化合物等の接合剤等とい
った有機系化合物を主材とする厚層基材を、モルタルガ
ン等の吹付機により、法面等に3乃至10cmの厚さに
吹付けるようにした、「厚層基材吹付工」と呼ばれるも
のがある。この工法では、バーク堆肥を得るのに、半年
乃至1年程度の熟成時間を要するほか、ヤードと呼ばれ
る広い製造用地を要し、さらには付近に悪臭をまきちら
すという不具合がある。これに対し、本実施形態では、
好気性菌等によって未だ分解されていない生の状態の現
地発生植物のチップ材8を、現場で直ちにそのまま使用
するため、前述した熟成時間や製造用地を必要としない
し、また、悪臭をまきちらすことは全くない。
【0058】(f)緑化工法の1つとして、播種や植栽
を行わず、現地表土をスクレーパー等の機械又は手作業
で採取し、3乃至5cmの厚さに敷きならすことによ
り、土壌中に潜在している埋土種子を発芽・生育させて
植物群落の再生を図るようにした、「植物導入工」と呼
ばれるものがある。この工法では、スクレーパー等の機
械を用いた場合には、この機械自体が高価なものである
ため、多大な経費が必要となる。手作業で表土を採取す
れば手間と時間がかかりコストが高くつくという不具合
がある。これに対し本実施形態では、現地発生植物、現
地発生土9等をリサイクル資材として利用しているにす
ぎず、これらを緑化のためにわざわざ採取しているわけ
ではない。また、現地発生植物、現地発生土9等を吹付
けているため、所定厚さに敷きならす作業も不要であ
る。このため、従来の植物導入工に比べ工法の実施に要
する費用は少なくてすむ。
【0059】(g)緑化工法の1つとして、大型のバッ
クホウやユンボを使用し、法片から切土しながら順次、
現地発生木のチップ材をばら撒いてゆくようにした、
「ネッコチップ工法」と呼ばれるものが提案されてい
る。この工法は、前記機械の運送経路を確保できないよ
うな小規模な施工現場での吹付施工に適さない。これに
対し、本実施形態では上記のような機械を用いていな
い。吹付機1等を用いているが、これを必ずしも施工現
場まで運送しなくてもよい。吹付機1に、搬送管2を介
してノズル3を装着するとともに、その搬送管2の適宜
箇所にアタッチメント4乃至6を装着するのみでよい。
これらの吹付機1に接続される部品はさほど場所を取ら
ないので、小規模の施工現場でも問題なく吹付作業を行
うことができる。
【0060】(h)緑化工法の1つとして、「二度・三
度吹き工法」と呼ばれるものが提案されている。この工
法では、作業回数が多いうえに、現地発生木のチップ材
をばら撒くという作業が行われることから多大な作業時
間と手間を要し、コスト高となる。これに対し、本実施
形態では、乾燥状態の吹付材料7と液体とを混合させて
なる泥状物17を一度吹付けるだけですませることが可
能であり、短時間で、しかも簡単に作業を行うことがで
きる。
【0061】(i)吹付システムの作動中に、チップ材
8が絡み合って吐出口1aを塞ぐ現象(ブリージング)
が、万が一発生しそうになっても、コック1bを閉める
ことで対処できる。コック1bを閉めると、吹付機1の
タンク内の圧力が上昇して空気が内側へ戻り(逆流
し)、前記のブリージングが解消される。
【0062】なお、本発明は次に示す別の実施形態に具
体化することができる。
【0063】(1)アタッチメント4乃至6の本管11
に限らず、搬送管2の内壁にも螺旋状のガイド部13を
設けてもよく、このようにすれば螺旋流を長い区間にわ
たって維持させることができ、乾燥状態の吹付材料7を
圧縮空気とともにノズル3へ向けてより一層確実に搬送
することができる。
【0064】(2)液体導入アタッチメント4における
枝管12の数を2以上とした場合には、その少なくとも
1本から高圧空気10を本管11に導入するようにして
もよい。
【0065】(3)本管11の内壁11aにガイド部1
3を加工する代りに、図6に示すように、合成樹脂等に
よってねじれ状態(螺旋状態)の筒状成形物18を形成
し、これを搬送管2の途中、例えばアタッチメント4乃
至6と搬送管2との間に装着してもよい。このようにし
てもガイド部13と同様の作用及び効果(螺旋流の持続
効果)が得られる。そのほかにも、材料として使用済み
の合成樹脂(リサイクル品)を利用すれば、比較的安価
に筒状成形物18を製作することができる。
【0066】(4)吹付材料送出手段として、前述した
第1空気導入アタッチメント5に代え、スネーク型ポン
プ等のポンプを用い、これを吐出口1aの近傍に取付け
てもよい。スネーク型ポンプは、雌ねじを有するステー
タ内でねじれ状態のロータを回転させ、その回転により
吹付材料を送出するタイプのポンプである。
【0067】(5)吹付機として、バイブレータ付きホ
ッパ(原料タンク)を有するものを用いてもよい。この
場合、ホッパ内にスネーク型ポンプを配してもよい。
【0068】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、現
地発生植物及び現地発生土を緑化のためのリサイクル資
材として有効利用しつつ、そのリサイクル資材からなる
吹付材料が吹付機の吐出口近傍で詰まるのを確実に防止
し、吹付作業を支障なく行うことができる。そして、吐
出口近傍での高圧空気導入により吹付機の吐出圧を実質
的に高め、吹付材料を吐出口近傍で付着させずに確実に
下流側へ搬送することができる。また、吹付材料の流れ
を妨げずに、その吹付材料を螺旋流にのせて下流側へ送
出することができる。さらに、本管及び搬送管の内壁の
少なくとも一部に設けられたガイド部により、枝管から
導入された高圧空気が螺旋を描いて流れる状態を持続さ
せることができる。
【0069】第2の発明によれば、現地発生植物及び現
地発生土を緑化のためのリサイクル資材として有効利用
しつつ、そのリサイクル資材からなる吹付材料が吹付機
の吐出口近傍で詰まるのを確実に防止し、吹付作業を支
障なく行うことができる。そして、一般に吹付機から遠
ざかるに従い搬送管内の圧縮空気の圧力が低下するが、
第2アタッチメントから高圧空気を導入することで、前
記圧力低下を補うことができる。高い圧力の圧縮空気に
より乾燥状態の吹付材料を、搬送管の内壁等に付着させ
ることなく、ノズルまで確実に搬送することができる。
また、吹付材料の流れを妨げずに、その吹付材料を螺旋
流にのせて下流側へ送出することができる。さらに、本
管及び搬送管の内壁の少なくとも一部に設けられたガイ
ド部により、枝管から導入された高圧空気が螺旋を描い
て流れる状態を持続させることができる。
【0070】第3の発明によれば、現地発生植物及び現
地発生土を緑化のためのリサイクル資材として有効利用
しつつ、そのリサイクル資材からなる吹付材料が吹付機
の吐出口近傍で詰まるのを確実に防止し、吹付作業を支
障なく行うことができる。そして、液体導入アタッチメ
ントからの液体導入にともなう螺旋流の発生により、液
体を吹付材料と十分に混合させて泥状物を形成し、これ
を強力な推進力によってノズルから勢いよく噴射させる
ことができる。これにともない、圧縮空気の逆流を防止
でき、また、泥状物中のチップ材を詰まらせることなく
ノズルから吹出させることができる。さらに、本管及び
搬送管の内壁の少なくとも一部に設けられたガイド部に
より、枝管から導入された液体が螺旋を描いて流れる状
態を持続させることができる。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるリサイクル資材の
吹付システムを示す概略構成図である。
【図2】一実施形態における液体導入アタッチメントの
部分側面図である。
【図3】一実施形態における液体導入アタッチメントの
部分平面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】一実施形態における液体導入アタッチメントの
一部を省略して示す側断面図である。
【図6】ガイド部に代えて用いられる筒状成形物の斜視
図である。
【符号の説明】
1 吹付機 1a 吐出口 2 搬送管 3 ノズル 4 液体導入アタッチメント 5 吹付材料送出手段としての第1空気導入アタッチメ
ント 6 第2空気導入アタッチメント 7 吹付材料 8 チップ材 9 現地発生土 10 高圧空気 11 本管 11a 内壁 12 枝管 13 ガイド部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−190029(JP,A) 特開 昭63−284322(JP,A) 特開 平10−191779(JP,A) 特開 平11−61832(JP,A) 実開 平4−89128(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 17/20 102

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 現地発生植物のチップ材及び現地発生土
    を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材を、緑
    化用の吹付材料として圧縮空気により吐出する吹付機
    と、 前記吹付機から吐出された吹付材料をノズルへ搬送する
    搬送管と、 前記搬送管の前記ノズル近傍に装着され、かつ水又は薬
    液からなる高圧の液体を前記搬送管に導入する液体導入
    アタッチメントとを備え、前記吹付材料と前記液体とを
    混合してノズルから吹出させるようにしたリサイクル資
    材の吹付システムにおいて、 前記吹付機の吐出口近傍を通過する吹付材料を強制的に
    前記搬送管内の下流側へ送出する吹付材料送出手段をさ
    らに備え、前記吹付材料送出手段は、前記吐出口近傍に装着され、
    かつ前記搬送管内の下流側へ向けて高圧空気を導入する
    第1空気導入アタッチメントを含み、 前記第1空気導入アタッチメントは、前記吹付材料の流
    通路となる本管と、前記高圧空気を前記本管に導入する
    枝管とを備え、前記枝管は前記高圧空気が前記本管の内
    壁に沿って螺旋流を生ずるように、同内壁に向けて斜め
    に接続され、 前記本管及び前記搬送管の内壁の少なくとも一部には、
    螺旋状の突部又は溝部からなるガイド部が設けられてい
    ことを特徴とするリサイクル資材の吹付システム。
  2. 【請求項2】 現地発生植物のチップ材及び現地発生土
    を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材を、緑
    化用の吹付材料として圧縮空気により吐出する吹付機
    と、 前記吹付機から吐出された吹付材料をノズルへ搬送する
    搬送管と、 前記搬送管の前記ノズル近傍に装着され、かつ水又は薬
    液からなる高圧の液体を前記搬送管に導入する液体導入
    アタッチメントとを備え、前記吹付材料と前記液体とを
    混合してノズルから吹出させるようにしたリサイクル資
    材の吹付システムにおいて、 前記吹付機の吐出口近傍を通過する吹付材料を強制的に
    前記搬送管内の下流側へ送出する吹付材料送出手段をさ
    らに備え、 前記搬送管において、前記液体導入アタッチメント及び
    前記吹付材料送出手段間の少なくとも1箇所に装着さ
    れ、かつ前記搬送管内の下流側へ向けて高圧空気を導入
    する第2空気導入アタッチメントをさらに備え、 前記第2空気導入アタッチメントは、前記吹付材料の流
    通路となる本管と、前記高圧空気を前記本管に導入する
    枝管とを備え、前記枝管は前記高圧空気が前記本管の内
    壁に沿って螺旋流を生ずるように、同内壁に向けて斜め
    に接続され、 前記本管及び前記搬送管の内壁の少なくとも一部には、
    螺旋状の突部又は溝部からなるガイド部が設けられてい
    ことを特徴とするリサイクル資材の吹付システム。
  3. 【請求項3】 現地発生植物のチップ材及び現地発生土
    を少なくとも含有する乾燥状態のリサイクル資材を、緑
    化用の吹付材料として圧縮空気により吐出する吹付機
    と、 前記吹付機から吐出された吹付材料をノズルへ搬送する
    搬送管と、 前記搬送管の前記ノズル近傍に装着され、かつ水又は薬
    液からなる高圧の液体を前記搬送管に導入する液体導入
    アタッチメントとを備え、前記吹付材料と前記液体とを
    混合してノズルから吹出させるようにしたリサイクル資
    材の吹付システムにおいて、 前記吹付機の吐出口近傍を通過する吹付材料を強制的に
    前記搬送管内の下流側へ送出する吹付材料送出手段をさ
    らに備え、 前記液体導入アタッチメントは、前記吹付材料の流通路
    となる本管と、前記液体を前記本管に導入する枝管とを
    備え、前記枝管は前記液体が前記本管の内壁に沿って螺
    旋流を生ずるように、同内壁に向けて斜めに接続され、 前記本管及び前記搬送管の内壁の少なくとも一部には、
    螺旋状の突部又は溝部からなるガイド部が設けられてい
    ことを特徴とするリサイクル資材の吹付システム。
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