JP5769186B2 - 歯磨き組成物 - Google Patents

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本発明は、高い保型性及び分散性を有する歯磨き組成物に関する。
近年、歯磨きする際には、歯磨き組成物(練り歯磨き)を用いるのが一般的になっている。歯磨き組成物の使用方法としては、通常は、チューブから歯磨き組成物を押し出し、歯ブラシの上に歯磨き組成物をのせた状態で歯ブラシを口の中に入れ、歯をブラッシングしながら歯磨き組成物を分散させる。したがって、歯磨き組成物は、使用する前は歯ブラシ上に歯磨き組成物を維持できるよう保型性を有し、使用する際には口の中に広がるように分散性を有する必要がある。特に、効果的に歯を磨くには、高い分散性を有している方が良い。
歯磨き組成物に高い分散性を付与するため、歯磨き組成物中の水分含有量を、例えば50重量%以上に高くすることが考えられる。しかし、水分含有量を高くすると、歯磨き組成物の保型性が低くなり、液状になるため通常は行われていない。従来から、保型性を高める目的でキサンタンガムなどの粘結剤が使用されており(例えば、特許文献1)、水分含有量を高くして、且つ粘結剤を多量に含ませて保型性を高くすることもできるが、このような歯磨き組成物は、使用前の保型性は高いものの、ねっとりとしたペースト状となるため使用する際の分散性が悪い。このように、保型性と分散性を共に高くすることは非常に困難である。
水分含有量の高い歯磨き組成物として、50〜90%の水と、1〜10%の研磨剤と、0.01〜50%のカルボキシビニルポリマーと、キサンタンガム、CMC−Na、カラギーナン、及びメチルセルロースからなる群より選ばれる1種以上の粘結剤を0.05〜3.5%含むジェル状歯磨き組成物が知られている(特許文献2)。
特開平11−43423 特開平6−157258
しかしながら、特許文献1に記載の歯磨き組成物の場合、多量の水分を保形するためには、カルボキシビニルポリマーや粘結剤の使用量を多くする必要があり、このようにして得られた歯磨き組成物は分散性が悪くなってしまう。また逆に分散性を良くするためにそれらの使用量を少なくすると保形性が保たれず使用しづらいという問題がある。そこで、本発明は、使用前の高い保型性と使用する際の高い分散性とを有する歯磨き組成物を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、歯磨き組成物にキサンタンガムを粉末状態で加熱処理した改質キサンタンガムを0.05〜3重量%、及び水を30〜90重量%含ませることにより、その高い相乗効果により、使用する前は高い保型性を有し、使用する際には高い分散性を有する歯磨き組成物を提供できることを見出した。本発明は、粉末状態で加熱処理された改質キサンタンガムを歯磨き組成物に使用することにより、水分量の多い場合においても、少量の添加で充分な保形性を得ることができ、しかも分散性に優れる従来にない歯磨き組成物を得ることができるというものである。すなわち、本発明は、キサンタンガムを粉末状態で加熱処理した改質キサンタンガムを0.05〜3重量%、水を30〜90重量%、及び研磨剤を含むことを特徴とする歯磨き組成である。
以上のように、本発明によれば、高い保型性と高い分散性とを有する歯磨き組成物を提供することができる。
本発明に係る歯磨き組成物に含まれるキサンタンガムを粉末状態で加熱処理した改質キサンタンガムは、精製されたキサンタンガムを粉末状態で、かつ80℃以上で加熱処理することにより、水溶液の曳糸性を低下させると同時に、濃度1%,25℃の水溶液で1,200cps以上の粘度を持つように改質させた改質キサンタンガムであることが好ましい。このような改質キサンタンガムは、特開平10−33125号公報の記載に従って製造することができる。
本発明に係る歯磨き組成物に含まれる研磨剤は、一般的に歯磨き組成物に含まれるものを制限なく用いることができる。このような研磨剤としては、例えば、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート、及び無水ケイ酸等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物、第2リン酸カルシウム・無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、並びに合成樹脂系研磨剤が挙げられる。
本発明に係る歯磨き組成物は、さらにアガロオリゴ糖を含んでいるのが好ましい。アガロオリゴ糖は、市販品を用いることができる。
改質キサンタンガムは、歯磨き組成物中、0.05〜3重量%含まれ、0.2〜2重量%含まれるのが好ましく、0.5〜1.5重量%含まれるのがさらに好ましい。改質キサンタンガムの含有量が少ないと、保型性が低くなり、含有量が多いと、分散性が悪くなるので好ましくない。
水は、歯磨き組成物中、30〜90重量%含まれ、50〜80重量%含まれることが好ましく、50〜75重量%含まれるのがさらに好ましい。水の含有量が少ないと分散性が悪くなり、含有量が多くなると保型性が低下するため好ましくない。一般的には、水の含有量が多い場合は、改質キサンタンガムの含有量も多くする。
研磨剤は、歯磨き組成物中、1〜40重量%含まれるのが好ましい。
本発明に係る歯磨き組成物は、さらにアガロオリゴ糖を含んでいてもよい。アガロオリゴ糖は、歯磨き組成物中、0.01〜5重量%含まれるのが好ましく、0.5〜3重量%含まれるのがさらに好ましい。アガロオリゴ糖が含まれると、アガロオリゴ糖の抗う蝕効果により歯磨き組成物としての効果が高まる。
本発明に係る歯磨き組成物は、通常、歯磨き組成物に含まれる発泡剤、湿潤剤、香料、甘味料、防腐剤、着色剤、薬効成分、及び安定剤を含んでいてもよい。発泡剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、トレハロース、パラチノース及びその還元糖、プロピレングリコール、並びにポリエチレングリコールが挙げられる。香料又は香料成分としては、例えば、ペパーミント、スペアミント、クールミント、ストロベリー、オレンジ、レモン油、オレンジ油、セージ油,ローズマリー油、シソ油、丁子油、けい皮油、ピメント油、ユーカリ油、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、α−テルピネオール、ワニリン、チモール、サリチル酸メチル、及びメチルアセテートが挙げられる。
甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、及びアセスルファムKが挙げられる。防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸Na、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及びパラオキシ安息香酸メチルなどのパラベン類が挙げられる。着色剤としては、例えば、天然着色料、食添の合成着色料及びそのアルミニウムレーキ、並びにベンガラなどの酸化鉄が挙げられる。
薬効成分としては、例えば、キシリトール;フッ化ナトリウム、及びモノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素イオン;デキストラナーゼ;ムタナーゼ;アミラーゼ;塩化リゾチーム;トリクロサン;塩化セチルピリジニウム;クロルヘキシジン塩類;トリクロロカルバニリド;ヒノキチオール;グリチルリチン酸及びその塩類;塩化ナトリウム;トラネキサム酸;ビタミンE;アズレン;銅クロロフィリンナトリウム;グルコン酸銅;乳酸アルミニウム;塩化ストロンチウム;硝酸カリウム;ベルベリン;ヒドロキサム酸;トリポリリン酸ナトリウム;並びにトウキ、オウバク、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ及びフクロフノリ等の抽出物が挙げられる。安定剤としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
本発明に係る歯磨き組成物は、さらに改質キサンタンガムの効果を妨げない範囲において他の増粘剤を併用してもよい。増粘剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナン、CMC−Na、HPC、ポリアクリル酸Na、及び寒天が挙げられる。
本発明に係る歯磨き組成物には、特許文献1に記載されているカルボキシビニルポリマーを含んでいないことが好ましい。カルボキシビニルポリマーは、保形性が強すぎ、歯磨き組成物中に含んでいると、ねっとりとしたペースト状となり、分散性が低下して好ましくない。本発明に係る歯磨き組成物においては、カルボキシビニルポリマーが含まれていなくても、高い水分含有量を有する歯磨き組成物が得られる。
本発明に係る歯磨き組成物においては、水の含有量が高く、且つ改質キサンタンガムが含まれているので、その相乗効果により、高い保型性を有するにも関わらず、ねっとりとしたペースト状にならず分散性が非常に高い。
実施例及び比較例においては、以下の市販品を用いた。
無水ケイ酸:無水ケイ酸 関東化学社製
キサンタンガム:ケルトロール CPケルコ社製,1%水溶液の粘度は、915mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
ラウリル硫酸ナトリウム:エマール0 花王社製
ソルビトール液:70%液 日研化学社製
キシリトール:キシリトール 日研化学社製
グリセリン:グリセリン 坂本薬品社
香料:ミント香料 高田香料社製
サッカリンナトリウム:サッカリンナトリウム 大和化成社製
カルボキシビニルポリマー:ハイビスワコー105 和光純薬社製
安息香酸ナトリウム:安息香酸ナトリウム 五協産業社製
アガロオリゴ糖:タカラバイオ社製
以下の方法にて改質キサンタンガムを作製した。
(製造例1)
粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して105℃,1時間50分の加熱処理を行い、改質キサンタンガム1を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ5700mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
(製造例2)
粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して80℃,26時間の加熱処理を行い、改質キサンタンガム2を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ9900mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.2,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
(製造例3)
精製された粉末状のキサンタンガム(ケルトロール,CPケルコ社製)1000gについて、循風乾燥機(ISUZU社製:Hot Air Rapid Drying Oven, soyokaze)を使用して121℃,4時間の加熱処理を行い、改質キサンタンガム3を得た。1%水溶液の粘度を測定したところ21500mPa・sであった。粘度は、B型粘度計(ビスメトロン,芝浦システム社製,ローターNo.1,回転数6rpm,温度25℃)により測定した。
〔実施例1,比較例1〕
表1に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例1及び比較例1に係る歯磨き組成物を得た。
実施例1及び比較例1に係る歯磨き組成物について、次のように保型性と分散性を評価した。結果を表1に示す。
保形性:歯ブラシの上に作製した歯磨き組成物をのせ、10秒後の状態を目視により調べた。評価は、以下の通りである。
A;型崩れせず保形されている。
B;ブラシ中に若干浸み込んでいるが流れ出すようなことはない。
C;ブラシ中に浸み込んで流れ出しがある。
分散性:10名のパネラーに使用してもらう官能検査を行った。パネラー1人につき1〜3の点数制により合計を出し評価した。
3;分散性が特に良好で非常に使いやすい。
2;分散性が良好で使いやすい。
1;分散性が劣る。
表1より、改質されたキサンタンガムを用いた方が、通常のキサンタンガムを用いるよりも特に分散性が優れていることが分かる。
〔実施例2,比較例2〕
表2に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例2及び比較例2に係る歯磨き組成物を得た。実施例1と同様に保型性及び分散性を評価した。結果を表2に示す。
表2より、含水量が高い場合、キサンタンガムを用いても保型性が悪いことが分かる。
〔実施例3〜6〕
表3に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例3乃至6に係る歯磨き組成物を得た。実施例1と同様に保型性及び分散性を評価した。結果を表3に示す。
表3より、改質キサンタンガムを用いた歯磨き組成物は、水分量が多くても歯ブラシから流れ落ちるようなことはなく分散性も良好であることが分かる。
〔実施例7〜12,比較例3〜4〕
表4に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例7乃至12、及び比較例3及び4に係る歯磨き組成物を得た。実施例1と同様に保型性及び分散性を評価した。結果を表4に示す。
表4より、改質キサンタンガムを0.05〜3.0重量%で使用した実施例7乃至12に係る歯磨き組成物は歯ブラシから流れ落ちるようなことはなく、分散性も良好であることが分かる。それに対し、改質キサンタンガムの含有量が少ない比較例3に係る歯磨き組成物は、保型性が十分でなく、改質キサンタンガムの含有量が多い比較例4に係る歯磨き組成物は、保型性が強すぎて分散性が悪いことが分かる。
〔実施例13,比較例5〕
表5に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例13、及び比較例5に係る歯磨き組成物を得た。実施例1と同様に保型性及び分散性を評価した。結果を表5に示す。
表5より、改質キサンタンガムを用いた歯磨き組成物は、キサンタンガム及びカルボキシビニルポリマーを用いた歯磨き組成物よりも保型性及び分散性いずれも優れていることが分かる。
表6に示した配合(重量%)にて、それぞれ精製水に各原料を配合し撹拌し、実施例14及び15に係る歯磨き組成物を得た。実施例1と同様に保型性及び分散性を評価した。結果を表6に示す。
表6より、改質キサンタンガム及びアガロオリゴ糖を添加しても良好な物性が得られることが分かる。

Claims (4)

  1. キサンタンガムを粉末状態で加熱処理した改質キサンタンガムを0.05〜3重量%、水を30〜90重量%、及び研磨剤を含むことを特徴とする歯磨き組成物。
  2. 前記水を50〜90重量%含むことを特徴とする請求項1記載の歯磨き組成物。
  3. 前記改質キサンタンガムが、精製されたキサンタンガムを粉末状態で、かつ80℃以上で加熱処理することにより、水溶液の曳糸性を低下させると同時に、濃度1%,25℃の水溶液で1,200cps以上の粘度を持つように改質させた改質キサンタンガムであることを特徴とする請求項1又は2記載の歯磨き組成物。
  4. 前記歯磨き組成物には、カルボキシビニルポリマーが含まれていないことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の歯磨き組成物。
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