JP5767930B2 - ポリビニルアセタールの製造方法及びポリビニルアセタール - Google Patents

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本発明は、反応阻害や着色やケン化反応の進行をほとんど引き起こすことなく、低重合度で無機イオン成分の残留が少ないポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法に関する。また、本発明は、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されたポリビニルアセタールに関する。
ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは、合わせガラス用中間膜、金属処理のウォッシュプライマー、各種塗料、接着剤、樹脂加工剤及びセラミックスバインダー等に多目的に用いられており、近年では電子材料へと用途が拡大している。このようにポリビニルアセタールの用途が多岐にわたるのは、その重合度やアセタール化度を制御することによって、樹脂の特性を調整することができるためである。
一般に、ポリビニルアセタールは、特許文献1に開示されているように、ポリビニルアルコールとアルデヒド化合物とを塩酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合させて製造される。このようにして製造されるポリビニルアセタールの重合度は、実質的に原料のポリビニルアルコールの重合度によって決定される。従って、ポリビニルアセタールの特性を制御するためには、目的のポリビニルアセタールに対して適宜、同一の重合度となるように正確に調整した原料ポリビニルアルコールを準備する必要があった。
一般に、ポリビニルアルコールは、メタノール中で溶液重合されたポリ酢酸ビニルをけん化することによって製造される。しかしながら、公知の手法で製造されるポリビニルアルコールは、生産性や品質面の問題から、工業的に製造可能なものは重合度が300程度以上のものに限られ、300未満の重合度を有する低重合度のポリビニルアセタールを得ることは困難である。
低重合度のポリビニルアルコールを得る方法としては、酢酸ビニルの重合に際して鎖移動定数の高い溶剤を用いる方法が特許文献2に開示されており、連鎖移動剤を重合開始前及び重合中に供給しながら酢酸ビニルの重合を行う方法が特許文献3に開示されている。
しかしながら、これらの方法では、けん化を行う際に溶剤を置換する必要があったり、残留した連鎖移動剤を回収する必要があったりするといった製造上の問題や、精製したポリビニルアルコールが着色したり、溶剤への溶解性に劣るものとなったりするという品質上の問題があった。また、特許文献4には、ポリビニルアルコールを過酸化水素等の酸化剤を用いて主鎖開裂し、還元処理して低重合度化する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献4に開示されている方法で低重合度化したポリビニルアルコールは、アセタール化後に得られるポリビニルアセタールが、反応阻害によりアセタール化度の低いものとなったり、ポリビニルアセタール粒子が粗大化したりするという問題があった。
特開平6−1853号公報 特開昭63−278911号公報 特開昭57−28121号公報 特開2007−269881号公報
本発明は、反応阻害や着色やケン化反応の進行をほとんど引き起こすことなく低重合度で無機イオン成分の残留が少ないポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されたポリビニルアセタールを提供することを目的とする。
本発明は、ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1、及び、酸触媒を用いて酸性条件にした系において、前記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有し、工程1において、波長が200〜300nmの紫外線を照射し、前記紫外線を照射する際の照射光量は、10〜100J/cm であるポリビニルアセタールの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
上述した課題に対して、本願発明者らは、過酸化水素を用いてポリビニルアルコールを低重合度化する方法において、触媒として遷移金属イオンを含有する酸性溶液や塩基性溶液を用いる方法を見出し、特許出願を行っている。これらの方法を用いることで、アセタール化度の低下やポリビニルアセタール粒子の粗大化の抑制は可能となる。
しかしながら、けん化反応が完全に進行したり、樹脂の着色が発生したりしてしまうという問題や、触媒や中和によって発生した塩類等の無機イオン成分が、樹脂に残留することによって、不純物として製品の性能を悪化させるという問題が生じていた。特にセラミックバインダー用途として使用した場合の歩留まりを悪化させるという製品の品質上の課題が新たに生じていた。
本発明者らは、過酸化水素を用いてポリビニルアルコールを低重合度化するポリビニルアセタールの製造方法において、特定波長の紫外線を照射することによって、反応阻害や着色や粒子の粗大化をほとんど引き起こすことなく、けん化反応の進行や無機イオン成分の残留も抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法は、ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1を有する。
上記ポリビニルアルコールは特に限定されないが、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等を、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等により重合して得られたポリビニルエステルをアルカリ又は酸けん化することにより製造された樹脂等の従来公知のポリビニルアルコールを用いることができる。
上記ポリビニルアルコールは、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセミ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコールであってもよい。また、上記ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニルエステルと共重合可能なモノマーとビニルエステルとの共重合体のけん化物も用いることができる。
なお、上記ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は4000であり、より好ましい下限は300、より好ましい上限は3000である。
上記工程1において、ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させる際のポリビニルアルコールの濃度の好ましい下限は1重量%、好ましい上限は25重量%である。上記工程1におけるポリビニルアルコールの濃度が1重量%未満であると、得られるポリビニルアルコールを工程2でアセタール化する際の反応効率が悪くなることがある。上記工程1におけるポリビニルアルコールの濃度が25重量%を超えると、溶液の粘度が高くなりすぎて、光源を通過させる際のハンドリング性が悪くなり、困難となり均一に低重合度化することができなくなることがある。上記工程1におけるポリビニルアルコールの濃度のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は20重量%、更に好ましい下限は5重量%、更に好ましい上限は17重量%である。
上記低重合度化させる際の溶剤は、ポリビニルアルコールを溶解するものであればよいが、得られる低重合度化したポリビニルアルコールを工程2においてアセタール化する際に溶剤置換をする必要を無くすためにアセタール化の溶剤と同一の溶剤を用いることが好ましい。具体的には、水系溶剤が好適に用いられる。
上記過酸化水素の添加量は目的のポリビニルアセタールの重合度に応じて変えることができるが、上記過酸化水素濃度(過酸化水素の最大濃度)の好ましい上限は0.5mol/Lである。上記過酸化水素濃度が0.5mol/Lを超えると、過酸化水素が酸素を発生し、ポリビニルアルコールの界面活性機能により形成された気泡が長時間残る場合があり、該気泡によって、未溶解のポリビニルアルコールが生じ、工程2で得られるポリビニルアセタールが溶剤に対する溶解性に劣るものとなることがある。また、上記過酸化水素濃度が0.5mol/Lを超えると、工程2におけるアセタール化が均一に進まず、アセタール化度や析出粒子サイズにばらつきが発生し、得られるポリビニルアセタールが溶剤に対する溶解性に劣るものとなることがある。上記過酸化水素濃度のより好ましい上限は0.2mol/Lである。
本発明では、工程1において、紫外線を照射することを特徴とする。
紫外線を照射することで、過酸化水素が励起状態となって活性種に変換されるため、高効率に主鎖切断反応を起こし、ポリビニルアルコールを低重合度化させることが可能となる。
また、塩基性条件としたり、触媒の添加や中和を行ったりする必要もないため、けん化反応の進行や無機イオン成分の残留についても大幅に抑制することが可能となる。
上記紫外線は、波長が200〜300nmである。
上記波長が200nm未満の紫外線を照射した場合は、ポリビニルアルコールが紫外光を吸収した結果、劣化の原因となるだけでなく、窒素や酸素による光吸収が問題となり、工業的には不適当であり、300nmを超える紫外線を照射した場合は、過酸化水素自身に光吸収特性がなくなり、反応性が著しく低下する。好ましくは250〜280nmである。また、上記波長が200〜300nmの範囲内にある紫外線は、連続スペクトル光であってもよく、線スペクトル光であってもよい。なお、上記紫外線が連続スペクトル光である場合は、少なくとも、波長が200〜280nmの範囲内にある紫外線を含むものであればよい。
上記紫外線を照射する際の照射光量は、10〜100J/cmが好ましい。
上記照射光量が10J/cm未満であると、低重合度化反応が充分に進行せず、所定の重合度のポリビニルアルコールが得られないことがあり、100J/cmを超えると、樹脂の劣化による着色の原因となる。
上記紫外線を照射する方法としては、例えば、連続的に紫外線を照射している領域に、ポリビニルアルコール及び過酸化水素を含有する溶液を通過させる方法等が挙げられる。
上記紫外線を照射する場合の光源としては、紫外線を発光可能であれば特に限定されず、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、冷陰極管、UV−LEDランプ、ハロゲンランプ、高周波誘導型UVランプ等を用いることができる。
上記工程1において、上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度の好ましい下限は30℃、好ましい上限は100℃である。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度が30℃未満であると、ポリビニルアルコールを低重合度化するために必要な時間が長時間となることがある。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度が100℃を超えると、溶剤が揮発して工程2においてポリビニルアセタールの未溶解物が発生し、得られるポリビニルアセタールの溶剤に対する溶解性に悪影響が出ることがある。上記ポリビニルアルコールを上記過酸化水素と接触させる際の温度のより好ましい下限は40℃、より好ましい上限は95℃である。
上記工程1において、上記ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させる時間は、照射光源の光量、目的のポリビニルアセタールの重合度に応じて変更することができるが、3〜15分行えば上記工程1で目的とする低重合度化したポリビニルアルコールを得ることができる。
本発明の方法では、紫外線を照射しない従来法と比較して、短時間でポリビニルアルコールを低重合度化させる工程を行うことができる。これにより、製造コストの低下や、生産性向上を図ることが可能となる。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法は、酸触媒を用いて酸性条件にした系において、前記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有する。
上記工程2において、上記低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させてアセタール化し、ポリビニルアセタールを得る方法としては、従来公知の方法を使用することができる。例えば、ポリビニルブチラールを得る場合は、過酸化水素により低重合度化したポリビニルアルコールを1〜25重量%含む水溶液を調製し、−5〜30℃の温度範囲で酸触媒、及び、ブチルアルデヒドを接触させて20分〜6時間反応を進行させ、その後に温度を10〜50℃上昇させて更に30分〜5時間熟成反応させて反応を完了し、好ましくは冷却工程を経た後、析出したポリビニルブチラールを洗浄する方法が挙げられる。
上記工程2において、酸触媒を用いて酸性条件にする際の系の過酸化水素濃度は0.1mol/L以下であることが好ましい。酸触媒を用いて酸性条件にする際の系の過酸化水素濃度が0.1mol/Lを超えている場合、過酸化水素濃度が低下せず、アセタール化が阻害され、得られるポリビニルアセタールのアセタール化度が低くなったり、生成したポリビニルアセタールの形状が粉体では得られずに粗大粒子となり、洗浄や乾燥が充分にできず、品質に悪影響を及ぼしたりすることがある。
上記工程2において、上記低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させる際の系の過酸化水素濃度は0.1mol/L以下であることが好ましい。上記過酸化水素濃度が0.1mol/Lを超えている場合、ポリビニルアルコールとアルデヒドとが反応する前に、アルデヒドが過酸化水素と付加体を形成することによってアセタール化が阻害され、得られるポリビニルアセタールのアセタール化度が低くなったり、生成したポリビニルアセタールの形状が粉体では得られずに粗大粒子となり、洗浄や乾燥が充分にできず、品質に悪影響を及ぼしたりすることがある。
上記酸触媒を用いて酸性条件にする際の系の過酸化水素濃度、及び、低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させる際の系の過酸化水素濃度を0.1mol/L以下とする方法としては、上記工程1において添加する過酸化水素の量や、工程1の時間や、工程1の温度を適宜調整することによって、過酸化水素がポリビニルアルコールの低重合度化によって消費されることにより上記濃度範囲となるよう工程1の条件を設定すればよい。また、工程1から工程2へと移行する段階において過酸化水素濃度が0.1mol/Lを超えている場合には、過酸化水素の分解を促進する化合物を添加して過酸化水素濃度を調整する方法や、過酸化水素と酸化還元反応を起こす化合物を添加して過酸化水素濃度を調整する方法によっても、過酸化水素濃度を上記範囲以内に調整することができる。
上記過酸化水素の分解を促進する化合物としては、二酸化マンガンやカタラーゼ等が挙げられ、上記過酸化水素と酸化還元反応を起こす化合物としては、過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウム等が挙げられる。
上記酸触媒は特に限定されず、塩酸等のハロゲン化水素や、硝酸、硫酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸や、リン酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いられてもよく、2種以上の化合物を併用してもよい。なかでも、塩酸、硝酸、硫酸が好適であり、塩酸がより好適である。
上記アルデヒドは、例えば、炭素数1〜19の直鎖状、分枝状、環状飽和、環状不飽和、又は、芳香族のアルデヒドが挙げられる。具体的には例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオニルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記アルデヒドはホルムアルデヒドを除き、1以上の水素原子がハロゲン等により置換されたものであってもよい。
上記工程2で得られるポリビニルアセタールのアセタール化度は、上記ポリビニルアルコールに対する上記アルデヒドの配合量を適宜変更することにより調整することができる。
本発明のポリビニルアセタールの製造方法を用いることにより、粒子を粗大化させたり着色したりすることなく低重合度かつ高いアセタール化度を有し、溶剤への溶解性に優れるポリビニルアセタールを得ることができる。このようにして製造されるポリビニルアセタールもまた、本発明の1つである。
本発明によれば、反反応阻害や着色やケン化反応の進行をほとんど引き起こすことなく低重合度で無機イオン成分の残留が少ないポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されるポリビニルアセタールを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
[低重合度化工程]
ポリビニルアルコールA(鹸化度98.5%、重合度500)100g、イオン交換水870gを2Lのセパラブルフラスコにて95℃で1時間、150rpmで加熱攪拌しポリビニルアルコール水溶液を得た。
次いで、溶液を室温まで冷却させた後、30重量%濃度の過酸化水素水11.3gを添加し、さらに15分攪拌させた。得られた溶液をパット型の容器に深さ1cm程度に流し込み、ベルトコンベア型の紫外光照射器(光源:メタルハライドランプ)に100cm/minの速さで通すことにより、紫外線(波長200〜300nm、照射光量30J/cm)を照射した。
なお、照射光量は、光量計(アイグラフィックス社製 UV meter UVPF−A1)により計測した。
[アセタール化工程]
得られたポリビニルアルコール水溶液を60分かけて5℃以下に冷却した後、25重量%濃度の塩酸130gとブチルアルデヒド58gを添加し、120分アセタール化反応させた。その後、60分かけて40℃にまで昇温し、その温度でさらに120分反応させた。反応時間終了後、室温にまで冷却した後に析出した樹脂を濾過により回収し、樹脂分をイオン交換水で洗浄した。次いで、樹脂を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、再度水洗し、乾燥させてポリビニルブチラール樹脂を得た。
(実施例2)
実施例1の[低重合度化工程]において、ポリビニルアルコールAに代えて、ポリビニルアルコールB(鹸化度98.5%、重合度1700)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(実施例3)
実施例1の[低重合度化工程]において、照射光量を60J/cmとした以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(実施例4)
実施例1の[低重合度化工程]において、照射光量を10J/cmとした以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(実施例5)
実施例1の[低重合度化工程]において、30重量%濃度の過酸化水素水添加量を22.7gとし、紫外線照射前の過酸化水素濃度を0.2mol/Lとした以外は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(実施例6)
実施例1の[低重合度化工程]において、ポリビニルアルコールAに代えて、ポリビニルアルコールC(鹸化度94.5%、重合度500)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(比較例1)
実施例1の[低重合度化工程]において、過酸化水素を添加しない以外は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(比較例2)
実施例1の[低重合度化工程]において、紫外光を照射しなかったこと以外は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(比較例3)
実施例1の[低重合度化工程]において、紫外線(波長310〜450nm、照射光量30J/cm)を照射した以外は実施例1と同様にして、ポリビニルブチラール樹脂を得た。
(比較例4)
[低重合度化工程]
ポリビニルアルコール(鹸化度98.5%、重合度1700)100g、イオン交換水865gを2Lのセパラブルフラスコにて95℃で1時間、150rpmで加熱攪拌し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。
次いで、攪拌したまま温度を60℃とした後、20重量%の水酸化ナトリウム水溶液を投入して液中のOHイオン濃度を0.1mol/Lとし、次いで、30重量%濃度の過酸化水素水11.3gを添加し、溶液中の過酸化水素濃度を0.1mol/Lとした。過酸化水素の添加終了後、さらに2時間反応させ、ポリビニルアルコール水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂を得た。
(比較例5)
[低重合度化工程]
ポリビニルアルコール(鹸化度98.5%、重合度1700)100g、イオン交換水860gを2Lのセパラブルフラスコにて95℃で1時間、150rpmで加熱攪拌しポリビニルアルコール水溶液を得た。
次いで、攪拌したまま温度を60℃とした後、塩酸を投入してpHを1.3とし、塩化鉄(II)を二価の鉄イオン濃度が0.5mmol/Lとなるように添加した。次いで、35重量%濃度の過酸化水素水25gを添加し、1時間反応させて低重合度化したポリビニルアルコール水溶液を得た。
得られたポリビニルアルコール水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてポリビニルブチラール樹脂を得た。
<評価>
実施例及び比較例で製造したポリビニルアルコール及びポリビニルブチラールについて、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)ポリビニルアルコールの評価
(1−1)変性後PVA重合度
得られたポリビニルアルコール溶液を、固形分1.0重量%になるまでイオン交換水で希釈した。得られた溶液に対してJIS K6726に準拠して重合度を測定した。
(1−2)着色性
得られたポリビニルアルコール水溶液の色を目視にて評価した。無色透明である場合を「○」、濃い黄色、あるいは茶色に着色している場合を「×」として評価した。
(2)ポリビニルアセタールの評価
(2−1)アセタール化度
得られたポリビニルブチラールを重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、H−NMR測定によりブチラール化度を測定した。
(2−2)アセチル基量
得られたポリビニルブチラールをDMSO−dに溶解し、H−NMR測定により、側鎖に占めるアセチル基のモル分率を評価した。
(2−3)溶液粘度
得られたポリビニルブチラール樹脂をエタノールとトルエンとの1:1混合溶剤に溶解した10重量%溶液を、溶液温度が20℃の条件でB型粘度計を用いて測定した。
(2−4)溶剤溶解性
得られたポリビニルブチラール15gをエタノールとトルエンの混合溶剤(重量混合比1:1)135gに加え、室温にて2時間振とうした後に静止し、目視により観察した。溶剤に溶解していない樹脂が全く無い場合を「○」、溶剤に溶解していない樹脂がわずかに見られる場合を「△」、樹脂が膨潤し、完全に溶解させるのに50℃以上の加熱を要する場合を「×」として評価した。
(2−5)残存鉄イオン量
得られたポリビニルブチラール1gをフレームレス原子吸光法により燃焼させ、鉄部位の吸光度より、ポリビニルブチラール樹脂中に混入する鉄の濃度(ppm)を測定した。
Figure 0005767930
本発明によれば、反応阻害や着色やケン化反応の進行をほとんど引き起こすことなく、低重合度で無機イオン成分の残留が少ないポリビニルアセタールを製造することができるポリビニルアセタールの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、該ポリビニルアセタールの製造方法を用いて製造されるポリビニルアセタールを提供することができる。

Claims (3)

  1. ポリビニルアルコールを過酸化水素と接触させて低重合度化する工程1、及び、酸触媒を用いて酸性条件にした系において、前記工程1で低重合度化したポリビニルアルコールをアルデヒドと反応させてアセタール化する工程2を有し、
    工程1において、波長が200〜300nmの紫外線を照射し、
    前記紫外線を照射する際の照射光量は、10〜100J/cm である
    ことを特徴とするポリビニルアセタールの製造方法。
  2. 工程1において、ポリビニルアルコールの低重合度化は、ポリビニルアルコールの溶解とともに行うことを特徴とする請求項1記載のポリビニルアセタールの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のポリビニルアセタールの製造方法によって製造されたポリビニルアセタール。
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