JP5764835B1 - プラスチック用着色剤およびそれを用いた着色組成物、成型品 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、有機顔料によって引き起こされる成型歪みに対しては、効果が不十分であった。従って、最良の方法は、着色剤として用いられる顔料を改質して結晶核として働かないようにすることである。顔料を改質する方法として、顔料の結晶形、粒子径、形状を変えること、顔料骨格に各種の置換基を導入すること、顔料骨格に各種の置換基を導入した顔料や顔料誘導体(有機色素誘導体)を添加することによる顔料表面の改質、顔料に樹脂やシランカップリング剤等の表面処理を施すことによる顔料表面の改質等が行われてきた。
上記述べたとおり、本発明が解決しようとする課題は、樹脂をその機械的、化学的性質を変えることなく着色し、特に実質的にマイグレーションがなく、熱による変色の極めて少ない、反りや歪みのない成型品を得ることができるプラスチック用着色剤を提供することである。また、実質的にマイグレーションがなく、熱による変色の極めて少ない、反りのない成型品を得ることができるプラスチック用着色剤組成物およびこれを用いたプラスチック用着色組成物を提供することである。
すなわち、本発明は、プラスチック用着色剤であって、下記(1)〜(4)の条件を満たすハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を含有するプラスチック用着色剤に関する。
(1)ハロゲン置換数の平均が、2.0以上、7.0以下であること
(2)ハロゲン分布幅が、5以上であること
(3)アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量が、1.0質量%以下であること
(4)中心元素が、水素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種以上であること
本発明のプラスチック用着色剤は、ハロゲン置換数の平均が、1.1個以下であるフタロシアニン顔料(B)をさらに含有することが好ましい。
上記フタロシアニン顔料(B)中の遊離銅の含有量が、200mg/Kg以下であることが好ましい。
本発明は、上記プラスチック用着色組成物を用いて成型された成型品に関する。
本発明のプラスチック用着色剤は、下記(1)〜(4)の条件を満たすハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を含有することを特徴とする。
(1)ハロゲン置換数の平均が、2.0以上、7.0以下であること。
(2)ハロゲン分布幅が5以上であること。
(3)アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量が、1.0質量%以下であること。
(4)中心元素が、水素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種以上であること。
まず、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を含有するプラスチック用着色剤について説明する。ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)のハロゲン置換数の平均が2.0以上の場合に反りの改良効果が十分となり、平均が7.0以下であると色相が緑味とならず、青色色材としての特性を発揮できる。したがって、十分な効果を発揮するためには、ハロゲン置換数の平均は、2.0以上、7.0以下である必要があり、2.0以上、4.0以下がより好ましい。
また、ハロゲン分布幅が5以上であると反りの改良効果が十分となる。したがって、十分な効果に発揮するためには、ハロゲン分布幅が5以上である必要があり、5以上、6以下であることがより好ましい。
ハロゲン置換数の平均を2.0以上7.0以下とし、ハロゲン分布幅を5以上とし、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)中のアルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量を1.0%以下とするには、ハロゲン化フタロアニン顔料(A)を製造する方法として、特開平07−292271に記載の溶融塩化アルミ法の改良方法またはハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を用いる方法等を用い、ハロゲン化剤の添加量、ハロゲン化の反応時間および反応温度等を適宜調整すればよい。製造方法の詳細については後述するが、本発明においては、ハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を用いる方法でハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を製造することが好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)中の遊離銅の含有量を200mg/Kg以下とするには、ハロゲン化フタロアニン顔料(A)を生成した後、遊離銅を除去するために希硫酸、希硝酸等で処理する等により調製できる。製造方法の詳細については後述するが、本発明においては、後述のハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を用いる方法でハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を製造することが好ましい。ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)の製造方法の詳細については後述する。
本発明において、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)が「中心元素が、水素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種以上を含む」とは、フタロシアニン骨格の中心の水素原子2つがマンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種で置換された金属フタロシアニンを一種以上および/または中心に水素原子を2つ有するフタロシアニンを含む態様をいう。
すなわち、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)が、フタロシアニン骨格に複数個のハロゲンが置換したハロゲン化フタロシアニン、および、フタロシアニン骨格に複数個のハロゲンが置換したハロゲン化金属フタロシアニンの少なくともいずれかを含み、且つ、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)が該ハロゲン化金属フタロシアニンを含む場合に、その中心元素がマンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種であるハロゲン化金属フタロシアニンを一種以上含む態様であることが好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)がハロゲン化金属フタロシアニンを含有する場合、中心元素が銅である銅フタロシアニンを含むことがより好ましい。
次に、上記ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)とフタロシアニン顔料(B)とを含有するプラスチック用着色剤について説明する。プラスチック用着色剤の色材としての魅力を向上させ、産業上の利用可能性を拡大させるためには、上記ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)に加え、更にハロゲン置換数の平均が1.1個以下であるフタロシアニン顔料(B)を含有することが好ましい。
フタロシアニン顔料(B)の態様としては、ハロゲン置換数が0個であることがより好ましい。また、フタロシアニン顔料(B)の他の態様としては、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)の場合と同様、フタロシアニン顔料(B)中のアルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量が1.0%以下が好ましく、0.1%未満であることがより好ましい。また、フタロシアニン顔料(B)中の遊離銅の含有量が200mg/Kg以下であることが好ましい。
また、フタロシアニン顔料(B)のアルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量、並びに、遊離銅の含有量を上記範囲とするには、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)の調製と同様に、フタロアニン顔料(B)を製造する方法として、特開平07−292271に記載の方法やハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を用いる方法等を用いて達成可能である。フタロアニン顔料(B)の製造方法の詳細については後述する。
フタロシアニン顔料(B)が金属フタロシアニンを含有する場合、中心元素が銅である銅フタロシアニンを含むことがより好ましい。また、上記フタロシアニン顔料(B)は、α型、β型、ε型等、様々な結晶形を取り得るが、耐熱性の観点から、α型またはβ型であることが好ましい。さらにプラスチック用着色剤としての魅力を考えると、色材としての魅力の観点でα型であることが好ましい。
なお、フタロシアニン顔料(B)の結晶形の調整は公知の方法で行うことができる。例えば、β型フタロシアニン顔料(B)は、ハロゲン置換数の平均、並びに必要により、アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量、遊離銅の含有量を上記範囲としたフタロシアニン顔料を、ソルベントソルトミリング処理することで得ることができる。
また、フタロシアニン顔料(B)は、ハロゲン置換数の平均が1.1個以下であれば、フタロシアニン骨格にハロゲンを有していても良い。
ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を得るための製造方法は、上記(1)〜(4)の条件を満たせば特に限定されない。例えば、下記第1〜第3の方法等が挙げられる。
第1の方法は、異なるハロゲン置換数をもつハロゲン化フタル酸を用いて粗製ハロゲン化フタロシアニンを製造し、ハロゲン置換数の平均を2.0以上7.0以下、ハロゲン分布幅を5以上となるように適宜混合し、更に顔料化工程と必要に応じて希硫酸、希硝酸等で遊離銅を低減する工程を行う方法である。
第2の方法は、特開平07−292271号公報に記載の製造方法で得たハロゲン化フタロシアニンに、更に顔料化工程と希硫酸等で遊離銅を低減する工程を行う方法である。
第3の方法は、後述する特定のハロゲン化剤を用いたハロゲン化反応によりフタロシアニン等の原料をハロゲン化する方法である。該方法を用いれば、アルミニウムフタロシアニン等や遊離銅の除去工程や顔料化工程を必要としないため、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を簡易に得ることができる。そのため、本発明においては、上記第3の方法を用いて製造することが好ましい。
特定のハロゲン化剤を用いる製造方法は、ハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を用いて、原料であるフタロシアニン(C)をハロゲン化してハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を得、該ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を貧溶媒中で析出させることを特徴とする。
N−ハロイミド化合物を用いてハロゲン化反応を行う上記製造方法の利点として、アルミニウムフタロシアニン等および遊離銅が生成しにくいため、これらの除去工程や顔料化工程を必要としないだけでなく、毒性の高い塩素ガスや臭素を使用せず、また、反応の際に有害なハロゲン化水素ガスを副生することが無いので、極めて安全性の高い製造方法であることが挙げられる。
N−ハロイミド化合物の使用量は、目的とするハロゲン化フタロシアニン(A)顔料のハロゲン置換数の平均、ハロゲン分布幅によるが、例えば、原料としてハロゲン無置換フタロシアニンを用いてハロゲン置換数の平均を2とし、ハロゲン分布幅を5とする場合、原料に対して有効ハロゲン基準で1.8〜3.0モル当量のN−ハロイミド化合物を用いるのが好ましく、ハロゲン置換数の平均を7とし、ハロゲン分布幅を5とする場合、原料に対して有効ハロゲン基準で6.5〜10モル当量のN−ハロイミド化合物を用いるのが好ましい。
溶媒の量は、特に制限されるものではないが、原料に対して5〜20質量倍を使用することが好ましい。
ハロゲン化の反応時間は、溶媒へのN−ハロイミド化合物の溶解速度にも影響されるため、N−ハロイミド化合物の粒子の大きさや、反応槽中での反応液の撹拌速度に応じて、適宜、決めることができるが、N−ハロイミド化合物の粒子が数ミリメートルで十分な撹拌が行われる場合、30分間〜10時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。
フタロシアニン顔料(B)をハロゲン化して得る方法は、公知の塩素化フタル酸を用いる方法の他に、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)と同様の方法が挙げられる。特にハロゲン化フタロシアニン顔料(A)の製造方法における第3の方法、すなわち、ハロゲン化剤としてN−ハロイミド化合物を適当量用いて、原料であるフタロシアニン(D)をハロゲン置換数の平均が1.1個以下となるようにハロゲン化し貧溶媒中に析出させる方法が、アルミニウムフタロシアニン等や遊離銅の除去工程や顔料化工程を必要としないため好ましい。フタロシアニン(D)としては、フタロシアニン骨格のα位やβ位に置換基を有さない無置換のフタロシアニンおよび金属フタロシアニン等が挙げられる。
上記ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)とフタロシアニン顔料(B)とを混合して、本発明のプラスチック用着色剤とすることができる。
フタロシアニン顔料(B)のハロゲン置換数が0個であるときは、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)とフタロシアニン顔料(B)の混合物を得るために、フタロシアニン(C)をN−ハロイミド化合物でハロゲン化してハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を生成し、その後、さらにフタロシアニン(D)をフタロシアニン顔料(B)として追加し、貧溶媒中で析出させることで、ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)とフタロシアニン顔料(B)の混合物を得ることもできる。
次に、本発明のプラスチック用着色剤組成物について説明する。本発明のプラスチック用着色剤組成物は、本発明のプラスチック用着色剤と、芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸金属塩、脂肪族カルボン酸金属塩および脂肪族カルボン酸エステルからなる群より選ばれるいずれか一種以上とを含有することを特徴とする。
脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸およびそれらの金属塩の具体例を下記に挙げる。脂肪族カルボン酸としては、カプリル酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としては、フタル酸、安息香酸等が挙げられる。
上記金属塩の金属としては、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルとしては、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、モンタン酸メチル、モンタン酸とエチレングリコールとのエステル化物、モンタン酸とブチレングリコールとのエステル化物等が挙げられる。
ドライカラーは粉末状で作業性は良好ではないが、顔料の濃度が高く、少量で着色に寄与する為価格的に最も経済的であり、ポリオレフィンやポリエステル等の樹脂の着色に多く用いられる。プラスチック用着色剤組成物を樹脂に混合させたプラスチック用着色組成物として成型に供する場合、プラスチック用着色組成物は、部分的に結晶性を有する樹脂と、該樹脂100部に対してドライカラー0.001〜10部と、を含有することが好ましい。部分的に結晶性を有する樹脂をペレットにしたものとドライカラーとを混合機等で予め均一に混合した後に成型加工に供される。
ペレットは、上記のドライカラーと呼ばれる粉末状の着色剤組成物よりも作業性が良好であり、ドライカラーと同様、ポリオレフィン等の部分的に結晶性を有する樹脂の着色に好適に用いられる。
ポリエチレンワックスをプラスチック用着色剤組成物に含有させる場合の含有量は、特に好適には、本発明のプラスチック用着色剤100部に対して30〜150部が好ましい。
ポリエチレンワックス以外に、ポリエチレンワックスの誘導体、酸化ポリエチレンワックスやその誘導体、メタロセン触媒を用いたポリエチレン等をポリエチレンワックス同様に用いることができる。そのなかでも、軟化点120℃以下のポリエチレンワックスが好ましく、粘度法による重量平均分子量が10000以下であるものが好ましい。
軟化点の測定は、JIS K 2207に準処して行う。
次に、本発明のプラスチック用着色組成物について説明する。本発明のプラスチック用着色組成物は、本発明のプラスチック用着色剤または本発明のプラスチック用着色剤組成物と、樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明のプラスチック用着色剤は、特にポリオレフィン樹脂に対し、顕著な効果を有することから、樹脂としてはポリオレフィン樹脂が好ましい。
本発明のプラスチック用着色組成物を用いて成型品を得る際の成型方法は特に限定されるものではない。成型方法としては、射出成型、ブロー成型、インフレーション成型、押出し成型、エンゲル成型、真空成型等が挙げられるが、これらの成型方法にかかわらず、本発明の成型品は、着色された成型品の反りや変形を抑制する効果が得られる。
本発明のプラスチック用着色剤は、成型品に用いた場合に成型品の収縮差率の差が±10%の範囲に収まるという特徴を有する。収縮差率が±10%の範囲を超えると、着色された成型品の反りや歪み、変形が発生する恐れがある。
まず、実施例に先だって、顔料中のハロゲン置換数、ハロゲン分布幅、アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量、遊離銅の測定方法を以下に示す。また、成型品の収縮性、耐熱性、耐マイグレーション性の測定方法も以下に示す。
顔料中のハロゲン置換数は、顔料を酸素燃焼フラスコ法にて燃焼させ、該燃焼物を水に吸収させた液体を、イオンクロマトグラフ(ICS−2000イオンクロマトグラフィー、DIONEX社製)により分析してハロゲン量を定量し、ハロゲン置換数に換算することで得た。
顔料中のハロゲン分布幅、並びに、アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量は、飛行時間型質量分析装置(autoflexIII(TOF−MS)、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて決定した。
アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量は、顔料粉末を質量分析して得られたマススペクトラムにおいて、各成分に相当する分子イオンピークの信号強度(各ピーク値)と、各ピーク値を積算した値(全ピーク値)とを算出し、全ピーク値に対する各ピーク値の割合より求めた。
ハロゲン分布幅は、全ピーク値に対する各ピーク値の割合が1%以上のピークの数をカウントし、ハロゲン分布幅とした。
遊離銅は以下の方法で求めた。まず顔料5gを精秤し、50gの濃硫酸に発熱に注意しながら溶解させ、4時間撹拌して硫酸溶液とした。撹拌後、500gの水に硫酸溶液を投入して顔料を析出させた。十分に撹拌したのち顔料を濾別水洗し、濾液と水洗液を合わせて、1000mlに定容した。原子吸光分析(偏光ゼーマン原子吸光分光光度計Z8100型、日立製作所製)を用い、銅の標準液にて検量線と照らし合わせて銅濃度を求めた。得られた銅濃度から顔料1kgあたりの遊離銅の含有量を求めた。
成型品の反りや変形の評価は、下記のようにして行う。まず、射出成型機にて収縮性評価用の金型(射出方向とその垂直方向に10.00cmの標線が設けられた縦150mm、横120mm、厚さ2mmのプレートを作製する金型)を用いてプレートを成型する。成型されたプレートを25℃の恒温室で3日間保存した後、射出方向とその垂直方向の収縮率の比で計算される収縮差率を求めると共に、目視により、反りや変形の程度を評価した。プレートの成型温度は220℃、金型温度40℃で、ナチュラルプレートの収縮差率が0になるように成型条件を調整した。
高密度ポリエチレン(製品名:ハイゼックス(Hizex)2208J、軟化点=130℃、プライムポリマー社製)とプラスチック用着色剤とを、顔料濃度0.1PHR(高密度ポリエチレン100部に対してプラスチック用着色剤が0.1部)になるように調製し、連続20枚の着色プレートを射出成型し、評価にはその内、14枚目から19枚目の6枚を用いた。精密ノギスにて標準間距離を計測しその値から射出方向とその垂直方向の収縮率を求めた。その後、射出方向とその垂直方向の収縮率の比で計算される収縮差率と、目視で反りや変形の程度を評価した。なお、収縮差率は下記式1に従って求めた値である。
試験に用いる樹脂としては高密度ポリエチレン(製品名:ハイゼックス(Hizex)2208J、プライムポリマー社製)を用いた。試験方法は、ドイツ工業規格DIN12877−1に準拠した。まず、着色力それぞれSD1/3の濃度になるように合わせた着色プレートを作製した。200℃で、滞留時間が可能な限り短くなる条件で着色プレートを11枚成型し、6枚目〜11枚目の6枚の着色プレートを、測色計(ミノルタ分光測色計 CM−2002、コニカミノルタ社製)にてそれぞれ測色した。得られた測色値の平均値をコントロール(基準)とした。次に、バレル内の滞留時間が5分になるように成型条件を調整したのち、200℃から10℃刻みに300℃まで11枚ずつ着色プレートを成型し、それぞれ6枚目〜11枚目の6枚をそれぞれ測色し、その測色値の平均値を算出した。得られた測色値の平均値と上記コントロールとの色差(ΔE*)を求めた。ΔE*<2.0である最も高い温度を耐熱温度とした。また、300℃で成型したプレートを用いて色差(ΔE*)を求め、耐熱性の一つの指標とした。
高密度ポリエチレン(製品名:ハイゼックス(Hizex)2208J、プライムポリマー社製)とプラスチック用着色剤とを、顔料濃度1.0PHR(高密度ポリエチレン100部に対してプラスチック用着色剤が1部)になるように調製し、上記収縮性の評価と同様にプレートを作製した。得られたプレートを白色軟質塩化ビニルシート(日本工業規格JIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)で測定される硬さHDA0秒値が63のもの)ではさみ、100g/cm2で加圧して1分間180℃で加熱し、直ちに外して白色軟質塩化ビニルシートへの耐マイグレーション性を目視で、下記4段階の基準にて評価した。
◎:マイグレーションは全く認められない。マイグレーションに対して厳しい用途でも使用可能
○:マイグレーションがわずかに認められる。マイグレーションに対して厳しい用途以外で使用可能
△:マイグレーションは認められるが、用途を限定すれば使用できる。
×:マイグレーションが多く使用に適さない。
98%硫酸116部と30%発煙硫酸24部を混合して99.5%硫酸140部を調製し、これに銅フタロシアニン(T−99 CRUDE BLUE、珠海東洋科美化学有限公司製)20部を、30℃以下を保つように氷水浴で冷却しながら加えた。さらにヨウ素0.1部を加えた後、50℃まで加温してトリクロロイソシアヌル酸8.8部(銅フタロシアニンに対して1.1倍モル、有効塩素基準で3.3モル当量)を加え、同温度で3時間撹拌した。
次いで、水600部に撹拌しながら反応液を注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して、塩素置換数が平均3.0個の塩素化銅フタロシアニン顔料20.1部を得た。
収率は原料とするフタロシアニン換算で93.5%であった。得られた塩素化銅フタロシアニン顔料の遊離銅は顔料1Kg換算で56mgであった。ハロゲン分布幅は6であった。アルミニウムフタロシアニンおよび塩素化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。
塩化アルミニウム81部、塩化ナトリウム19部および塩化鉄1部を加温して溶融し、140℃で銅フタロシアニン20部を加えた。160℃に昇温して塩素ガス5部を吹き込んだ。水1000部に反応液を注入し、濾過、温水洗浄、1%塩酸水溶液洗浄、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して塩素置換数が平均2.0個の粗製塩素化銅フタロシアニン20.6部を得た。収率は92%であった。
このままの形態では、色材として使用できないため、引き続きアシッドペースティングによる顔料化を行った。98%硫酸120部に粗製塩素化銅フタロシアニン20部を溶解し、50℃で3時間撹拌した。次いで、水600部に撹拌しながら溶解液を注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して塩素置換数が平均2.0個、ハロゲン分布幅5の塩素化銅フタロシアニン19.2部を得た。
収率は96%であった。アルミニウムフタロシアニンおよび1〜4個塩素に置換されたアルミニウムフタロシアニンの含有量は4.9%であった。遊離銅は148mg/Kgであった。
無水フタル酸28部、クロロ無水フタル酸105部、塩化第一銅19部、尿素139部、モリブデン酸アンモニウム0.5部、溶媒としてtert−アミルベンゼン(製品名:ハイゾールP、アルキルベンゼン混合物、日本石油社製)210部を1リットルのガラスオートクレーブ中に仕込み、200℃で圧力2.0kg/cm2・Gで4時間反応させた。精製したスラリーを減圧下で加熱することで溶剤を留去して回収した。残留物に2000部の水をくわえ90℃で4時間撹拌して濾過し、乾燥して塩素置換数が平均3.0個、ハロゲン分布幅4の塩素化銅フタロシアニン109.7部を得た。
収率は85%であった。遊離銅は3560mg/Kgとなり、アルミニウムフタロシアニンおよび塩素化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。
比較例2において、残留物に2000部の水を加える代わりに2000部の8%硫酸を加えた以外は、比較例2と同じ操作を行い、塩素置換数が平均3.0個、ハロゲン分布幅3の塩素化銅フタロシアニン105.8部を得た。収率は82%であった。遊離銅は80mg/Kgとなり、アルミニウムフタロシアニンおよび塩素化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。
実施例1の合成条件のうち、反応溶媒、フタロシアニン、N−ハロイミド化合物、触媒、反応温度、反応時間を表1〜2の条件に変更して合成を行い、ハロゲン化フタロシアニン顔料を得た。それぞれ、収量、収率、塩素置換数、臭素置換数、ハロゲン分布幅、遊離銅については表3の通りとなった。また、いずれの顔料もアルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。
塩化アルミニウム80部、塩化ナトリウム10部、硫酸ナトリウム10部の150℃の共溶融塩に銅フタロシアニン20部を短時間で溶解した。反応液を180℃に保ち、激しく撹拌しながら、塩素を1時間あたり2.1部で4.8時間導入した。反応液を水1000部に注加した。不溶物をろ過、水洗、精製、乾燥して塩素置換数が平均3.1個の粗製塩素化銅フタロシアニン22.8部を得た。混入している塩素化アルミニウムフタロシアニンは0.6%であった。
このままの形態では、色材として使用できないため、引き続きアシッドペースティングによる顔料化を行った。98%硫酸120部に、得られた粗製塩素化銅フタロシアニン20部を溶解し、50℃で3時間撹拌した。次いで、水600部に撹拌しながら溶解液を注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して塩素置換数が平均3.1個、ハロゲン分布幅5の塩素化銅フタロシアニン19.2部を得た。混入している塩素化アルミニウムフタロシアニンは0.6%であった。遊離銅は顔料90mg/Kgとなった。
実施例1〜12で得られた顔料をプラスチック用着色剤として用い、上記方法により耐熱性、耐マイグレーション性、収縮性の評価を行った。結果を表4に示した。実施例1〜12では優れた耐熱性や耐マイグレーション性を示し、また10%以内の収縮差率を示し、また目視で反りや変形は認められなかった。
実施例13で得られた顔料の評価として耐熱性、耐マイグレーション性、収縮性の評価を行った。結果を表4に示した。優れた耐熱性と10%以内の収縮差率を示し、また目視での反りや変形は認められなかった。マイグレーションはわずかに認められ、判定としては○となった。
実施例3で得られた顔料と、塩素数が近い比較例1で得られた顔料とを比較した。結果を表4に示した。収縮差率はいずれも10%以内の数字を示し、目視でも反りや変形は認められない等、差が見られなかったが、耐マイグレーション性では比較例1で得られた顔料を用いた場合は劣る結果となった。また収縮差率の測定で得られたプレートを測色計(ミノルタ分光測色計 CM−2002、コニカミノルタ社製)で測色したところ、実施例3で得られた顔料を用いた場合、鮮明性C*=38.4、色相角度=255.4°であったが、比較例1で得られた顔料を用いた場合、C*=33.3、色相角度=245.7°であった。すなわち、実施例3の顔料を用いた場合に比べて、比較例1の顔料を用いた場合は緑味不鮮明であった。
実施例1で得られた顔料と、比較例2、比較例3で得られた顔料とを比較した。結果を表4に示した。塩素数が近い比較例2で得られた顔料を用いた場合と実施例1で得られた顔料を用いた場合を比較すると、耐マイグレーション性では差が認められなかったが、耐熱性がやや劣り、収縮差率が39.2%で、反りや変形が目視で認められる等、耐熱性と収縮性で大きな差が生じた。また、比較例3で得られた顔料を用いた場合を比較すると、耐熱性や耐マイグレーション性いずれも優れ同等だが、収縮差率が38.5%で、反りや変形が目視で認められる等、収縮性で差が生じた。
クロロスルホン酸64部に塩素が0.5個導入されている塩素化銅フタロシアニン9.0部を、20℃以下を保つように氷水浴で冷却しながら加えた。さらにヨウ素0.1部を加えた後、20℃に調整してトリクロロイソシアヌル酸3.0部(原料の塩素化銅フタロシアニンに対して0.85倍モル、有効塩素基準で2.55モル当量)を加え、同温度で3時間撹拌した。10℃まで冷却したのち、クロロスルホン酸を96部、発泡に注意しながらゆっくり加えた。温度を20℃に調整したのち銅フタロシアニン(T−99 CRUDE BLUE、珠海東洋科美化学有限公司製)を14.4部加え1時間撹拌した。
次いで、水1200部に撹拌しながら反応液をゆっくり注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して、塩素置換数が平均3.1個、ハロゲン分布幅6の塩素化銅フタロシアニン顔料とα型フタロシアニン顔料が4:6で混合されたプラスチック用着色剤23.5部を得た。
得られたフタロシアニン顔料(ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)およびフタロシアニン顔料(B)を含む)の遊離銅は36mg/Kgであった。アルミニウムフタロシアニンおよび塩素化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。上記着色剤10部とステアリン酸カルシウム10部を混合し、プラスチック用着色剤組成物20部を得た。
2%発煙硫酸64部に0.5個導入されている塩素化銅フタロシアニン9.0部を、30℃以下を保つように氷水浴で冷却しながら加えた。さらにヨウ素0.1部を加えた後、20℃に調整してトリクロロイソシアヌル酸3.0部(原料の塩素化銅フタロシアニンに対して0.85倍モル、有効塩素基準で2.55モル当量)を加え、同温度で3時間撹拌した。10℃まで冷却したのち、98%硫酸を144部、発泡に注意しながらゆっくり加えた。温度を20℃に調整したのち銅フタロシアニン(T−99 CRUDE BLUE、珠海東洋科美化学有限公司製)を22.3部加え1時間撹拌した。
次いで、水1200部に撹拌しながら反応液をゆっくり注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して、塩素置換数が平均3.1個、ハロゲン分布幅6の塩素化銅フタロシアニン顔料とα型フタロシアニン顔料が3:7で混合されたプラスチック用着色剤31.4部を得た。
得られたフタロシアニン顔料の遊離銅は顔料1Kg換算で52mgであった。アルミニウムフタロシアニンおよび塩素化アルミニウムフタロシアニンの混入は認められなかった。上記着色剤10.0部に、モンタン酸とブチレングリコールとのエステル化物10部を混合し、着色剤組成物20部を得た。
遊離銅151mg/Kg、アルミニウムフタロシアニンの混入のなく、塩素数0.55個のα型低塩素フタロシアニン7.5部と実施例4で得られた顔料2.5部を混合してプラスチック用着色剤10部を得た。該着色剤10部とフタル酸ジカルシウム10部とを混合し、プラスチック用着色剤組成物20部を得た。
上記α型低塩素フタロシアニンは、下記のようにして調製した。
アルミニウムフタロシアニンの混入のない塩素数0.5個のセミクロロフタロシアニンクルード18部、同じくアルミニウムフタロシアニンの混入のない塩素数1.0個のモノクロロフタロシアニンクルード2部を5℃の98%硫酸400部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約2時間、5℃以下の温度を保ちながら撹拌した。続いて、その硫酸溶液を高速撹拌した8000部の氷水中に30分かけて滴下した。40℃に濾過した。結晶を酸がなくなるまで水で洗浄し、乾燥して18部のα型低塩素フタロシアニン顔料を得た。上記塩素数0.5個のセミクロロフタロシアニンクルードおよび上記塩素数1.0個のモノクロロフタロシアニンクルードは、上述のN−ハロイミド化合物を用いた方法によりフタロシアニンを原料として調製した。
遊離銅82mg/Kg、アルミニウムフタロシアニンの混入のないε型フタロシアニン7.5部と実施例4で得られた顔料2.5部を混合してプラスチック用着色剤10部を得た。該着色剤10部とステアリン酸亜鉛4部とを混合し、プラスチック用着色剤組成物14部を得た。
上記ε型フタロシアニンは、下記のようにして調製した。
アルミニウムフタロシアニンの混入のないα型銅フタロシアニン65質量部、アルミニウムフタロシアニンの混入のないε型銅フタロシアニン35質量部、硫酸ナトリウム1250質量部、ジエチレングリコール200部を2000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、110℃に保持しながら8時間混練した。磨砕後70℃の5%硫酸水溶液3500質量部に取り出し、1時間保温撹拌後、濾過、水洗し濾別した顔料の水ペーストを70℃の5%硫酸水溶液1000部に投入し、1時間保温撹拌後、濾過、水洗、乾燥し、ε型フタロシアニン98部を得た。
遊離銅189mg/Kg、アルミフタロシアニンの混入のないβ型フタロシアニン9部と実施例1で得られた塩素化銅フタロシアニン顔料1部とを混合機にて十分に混合してプラスチック用着色剤10部を得た。さらに3本ロールにて重量平均分子量4200、軟化点110℃のポリエチレンワックス10部と得られたプラスチック用着色剤10部とを混練し、プラスチック用着色剤組成物20部を得た。
上記β型フタロシアニンは、下記のようにして調製した。遊離銅380mg/Kgであり、アルミフタロシアニンの混入のないフタロシアニンクルード250部、硫酸ナトリウム1750部、ポリエチレングリコール300部を3000容量部の双腕型ニーダーに仕込み、105℃に保持しながら5時間混練した。磨砕後70℃の5%硫酸水溶液3500部に取り出し、1時間保温撹拌後、濾過、水洗し濾別した顔料の水ペーストを70℃の5%硫酸水溶液1000部に投入し、1時間保温撹拌後、濾過、水洗、乾燥し、β型フタロシアニン235部を得た。
β型フタロシアニン顔料88部、比較例1で得られた塩素化フタロシアニン10部、下記化合物Aで示されるフタロシアニン誘導体2部を混合機にて混合してプラスチック用着色剤100部を得た。遊離銅は顔料1kgあたり2780mgであった。さらに3本ロールにて分子量4200、軟化点110℃のポリエチレンワックス10部と得られたプラスチック用着色剤10部とを混練し、プラスチック用着色剤組成物20部を得た。
化合物A
実施例14〜18で得られたプラスチック用着色剤の評価として耐熱性、耐マイグレーション性、収縮性の評価を行った。結果を表5に示した。実施例14〜18では優れた耐熱性や耐マイグレーション性を示し、また10%以内の収縮差率を示し、また目視で反りや変形は認められなかった。また、市販の同じ結晶形のフタロシアニン顔料と比較しても、遜色ない着色力、同等の色相と鮮明性を示した。プラスチック用着色剤のみで成型プレートを作ったと比べ、プラスチック用着色剤組成物を用いた場合のほうが高い着色力が得られた。
比較例4で得られたプラスチック用着色剤と実施例18で得られたプラスチック用着色剤を比較した。結果を表5に示した。収縮性はいずれも10%以内の収縮差率を示し、また目視で反りや変形は認められなかった。耐マイグレーション性は比較例4で得られた着色剤のほうが劣る結果となった。また、耐熱性も比較例4で得られたプラスチック用着色剤のほうが劣る結果となった。
樹脂としてポリプロピレンを使用した例を示す。実施例14で得られたプラスチック用着色剤組成物2部、ポリプロピレン樹脂(製品名:プライムポリプロJ105、プライムポリマー社製)1000部を混合し、プラスチック用着色組成物を得た。該着色組成物を用い、射出条件を成型温度220℃、金型温度40℃、金型温度85℃、ナチュラルプレートの収縮差率が0になるように条件設定された射出成型機にて成型し、成型プレートを得た。
収縮差率は−3.8%と−10%以内の収縮差率を示し、また目視で反りや変形は認められなかった。また色相も市販のα型フタロシアニン顔料のみで着色したプレート同様色相良好、高着色力のプレートであった。
樹脂としてポリエチレンテレフタレートを使用した例を示す。実施例15で得られたプラスチック用着色剤組成物2部、ポリエチレンテレフタレート樹脂(製品名:Vylopet EMC-307、東洋紡績社製)1000部を混合し、プラスチック用着色組成物を得た。該着色組成物を用い、射出条件を成型温度275℃、金型温度85℃、ナチュラルプレートの収縮差率が0になるように条件設定された射出成型機にて成型し、成型プレートを得た。
収縮差率は9.5%と10%以下の値を示し、目視でも反りや変形は認められなかった。また色相も市販のα型フタロシアニン顔料のみで着色したプレート同様色相良好、高着色力のプレートであった。
Claims (8)
- 下記(1)〜(4)の条件を満たすハロゲン化フタロシアニン顔料(A)を含有するプラスチック用着色剤。
(1)ハロゲン置換数の平均が、2.0以上、7.0以下であること
(2)ハロゲン分布幅が、5以上であること
(3)アルミニウムフタロシアニンおよびハロゲン化アルミニウムフタロシアニンの含有量が、1.0質量%以下であること
(4)中心元素が、水素、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ニッケルおよび銅からなる群より選択されるいずれか一種以上であること - 前記ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)中の遊離銅の含有量が、200mg/Kg以下である請求項1に記載のプラスチック用着色剤。
- ハロゲン置換数の平均が、1.1個以下であるフタロシアニン顔料(B)をさらに含有する請求項1または2に記載のプラスチック用着色剤。
- 前記フタロシアニン顔料(B)中の遊離銅の含有量が、200mg/Kg以下である請求項3に記載のプラスチック用着色剤。
- 前記ハロゲン化フタロシアニン顔料(A)の含有量が、前記フタロシアニン顔料(A)と前記ハロゲン化フタロシアニン顔料(B)との合計量に対して10〜50質量%である請求項3または4いずれかに記載のプラスチック用着色剤。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック用着色剤と、
芳香族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸金属塩、脂肪族カルボン酸金属塩および脂肪族カルボン酸エステルからなる群より選ばれるいずれか一種以上と、を含有するプラスチック用着色剤組成物。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスチック用着色剤または請求項6に記載のプラスチック用着色剤組成物と、樹脂とを含有するプラスチック用着色組成物。
- 請求項7に記載のプラスチック用着色組成物を用いて成型された成型品。
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