JP2020117560A - 塗料用青色顔料組成物 - Google Patents

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靖彦 郡司
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Abstract

【課題】塗料の着色材として使用した場合、低塩素化銅フタロシアニンの色相を損なわず、ニュートラルフロップ性を向上することが可能である塗料用青色顔料組成物を提供することを目的とする。【解決手段】特定の塩素化銅フタロシアニンと、無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニンを含む塗料用顔料組成物であり、塗料用の着色材として使用した場合、シェードの色相が緑味になり、透明性の優れた塗板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。【選択図】 なし

Description

本発明は、塗料用の着色材として塩素化銅フタロシアニン顔料に関するものである。
従来より、青色顔料として銅フタロシアニン顔料が用いられている。銅フタロシアニン顔料は、そのフタロシアニン構造から由来する堅牢性の高い顔料で、高耐光性、高耐候性を有する青色顔料としてよく知られており、インキ、プラスチック、塗料、トナー、カラーフィルタ等幅広い用途に着色材として使用されている。
銅フタロシアニンの色合いは、分子中に存在する塩素原子の数によって変化することが知られており、塩素数が増えるほど青色から緑色へとシフトする。特に、自動車塗料の青色顔料としては、塩素数が1〜4個の低塩素化銅フタロシアニンが用いられることが多く、日本の自動車業界では塩素数1であるモノクロロ銅フタロシアニンを用いた赤味の青色が好まれる。
しかし、モノクロロ銅フタロシアニン顔料は、フリップフロップ性が大きい傾向にあり、特にシェードと呼ばれる領域で赤味が強くなりすぎてしまうといった課題がある。フリップフロップ性とは、視覚角度により色相変化が観察される現象である。
フロップ性とは、例えば多角度分光測色計で測定することができる、角度による色相の違いを表す指標である。日本の自動車業界で用いられる赤味の青色塗料については、視覚角度によって色相が変わらない、所謂ニュートラルフロップ性が強く求められており、青色顔料に対してニュートラルフロップ性の改善が求められている。
ニュートラルフロップ性の改善として、引用文献1には、無置換/低塩素化銅フタロシアニンと無置換/低塩素化コバルトフタロシアニンを同時に顔料化した顔料組成物及び塗料組成物が提案されているが、処方が煩雑であった。
また、同様に引用文献2では、ポリハロゲン化銅フタロシアニンと異種金属フタロシアニンを、芳香族溶剤で処理する製造方法が提案されているが、色相が異なり、ニュートラルフロップ性の改善効果も不十分であった。
さらに、異なる中心金属の無置換または低塩素化フタロシアニンから構成されるフタロシアニン組成物が提案されているが、同様にニュートラルフロップ性の改善効果としては不十分であった(引用文献3)。
特開平10−231439号公報 特開平6−336555号公報 特開2005−290365号公報
本発明は、塗料用の着色材として使用した場合、ニュートラルフロップ性の優れた塗料用青色顔料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々のハロゲン含有フタロシアニンに関して鋭意検討を行った結果、平均塩素置換数が少ない塩素化銅フタロシアニンと、無置換または平均塩素置換数が少ない塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニンを含む顔料組成物を塗料用の着色材として使用した場合、顕著にニュートラルフロップ性の優れた塗板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、
(1)平均塩素置換数が0.5〜4.0の塩素化銅フタロシアニン(A)と、平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)を含む塗料用顔料組成物。
(2)質量換算で、前記平均塩素置換数が0.5〜4.0の塩素化銅フタロシアニン(A)100部に対して、平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)の割合が0.05〜49重量部である塗料用顔料組成物。
(3)前記平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)の中心金属がアルミニウムまたはスズである塗料用顔料組成物。
を得ることができる。
本発明のフタロシアニン顔料組成物を塗料用の着色材として使用することで、ニュートラルフロップ性の向上した塗板を得ることができる。
本発明は、特定の塩素化銅フタロシアニンと、特定の無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニンを含む事を最大の特徴とする。
<塩素化銅フタロシアニン>
本発明で使用する塩素化銅フタロシアニンは、公知慣用の方法により得ることができる。それらの一例は、次の通りである。
まず、無水フタル酸の芳香環の水素原子の一部を塩素に置換した塩素化無水フタル酸と尿素と銅または銅化合物とを反応させるワイラー法や、一部芳香環の水素原子の一部を塩素に置換した塩素化フタロニトリルと銅または銅化合物を高沸点溶媒で反応させるフタロニトリル法によって塩素化銅フタロシアニンを製造することができる。
また、別の製造方法として、クロロスルホン酸法による塩素化方法がある。銅フタロシアニンを、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガスを仕込みハロゲン化する方法が挙げられる。この際の反応は、温度20〜120℃かつ3〜20時間の範囲で行われる。
さらに、塩素化方法として、溶融法が知られている。溶融法としては、塩化アルミニウム、四塩化チタンの様なハロゲン化チタン、塩化ナトリウム等の様なアルカリ金属塩素化物またはアルカリ土類金属塩素化物、塩化チオニル等、各種の塩素化の際に溶媒となる化合物の一種または二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、銅フタロシアニンを塩素化剤にて塩素化する方法が挙げられる。
また、本発明の塩素化銅フタロシアニンは、1分子中に塩素が1〜7置換した塩素化銅フタロシアニンと、塩素が置換していない無置換の銅フタロシアニンの混合物である。塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換数は、蛍光X線分析装置、または質量分析計(FD−MS、TOF−MS)において同定されるものである。塩素化銅フタロシアニンの製造方法において、ワイラー法またはニトリル法で得られる塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換数の分布は狭くなる。一方、銅フタロシアニンを溶融、塩素化するクロロスルホン酸等の合成法で得られる塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換数の分布は塩素化出発原料由来のものより、反応条件により左右されるが一般的には大きくなる傾向にある。
本発明における塩素化銅フタロシアニンの平均塩素置換数は、0.5〜4.0とすることが、自動車塗料用途として求められる色相とニュートラルフロップ性を両立させる点で好適であり、0.9〜3.5がさらに好適である。平均塩素置換数が0.5未満になると色相が赤味化し自動車塗料用として所望の色相から外れるだけでなく、粒子径のばらつきも大きくなるためニュートラルフロップ性にも悪影響を及ぼす。平均塩素置換数が4.0を超えると色相が緑味化し自動車塗料用として所望の色相から外れてしまう。
また、本発明における塩素化銅フタロシアニンの粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で視野内の粒子を撮影し、そして、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の最長の長さ(最大長)、最小の長さ(最小長)を求めた。個々の粒子の最大長の平均値を平均一次粒子径とした。また、個々の粒子で、最大長/最小長を求め、それらの平均値を一次粒子の平均アスペクト比とした。
本発明における塩素化銅フタロシアニンの平均一次粒子径は、20〜50nmが好適であり、平均一次粒子径が小さすぎると塗料作製時の分散性が悪くなり、十分に塗料中に分散されない。さらに、平均アスペクト比は、1.0〜3.0が好適であり、色相、分散性とも良好である。平均一次粒子径または平均アスペクト比が大きすぎるとニュートラルフロップ性および透明性、着色力等の特性が悪化する。

<塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン>
次に本発明の塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニンについて、説明する。フタロシアニンは、銅フタロシアニンが青色顔料として多岐にわたり使用されているが、フタロシアニン骨格の中心金属として銅以外の各種金属を用いたフタロシアニン顔料や、メタルフリーのフタロシアニン顔料が存在する。金属フタロシアニンの中心金属としては、例えば、亜鉛、ニッケル、スズ、鉄、チタン、アルミニウム及びコバルト等が挙げられる。尚、本発明の塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン顔料としては、フタロシアニン環の16個の置換可能な水素原子が一つも塩素置換されていない金属フタロシアニン顔料も、フタロシアニン環の16個の置換可能な水素原子が一つ以上塩素置換された塩素化金属フタロシアニン顔料も、本発明では用いることができる。
本発明において、発明者らは鋭意検討した結果、中心金属として3価以上の金属を有する金属フタロシアニンがニュートラルフロップ性に効果があることを見出した。中でもアルミニウム、スズがさらに好適である。本発明の金属フタロシアニンは、無置換でも塩素置換されたフタロシアニンでもニュートラルフロップ性に効果がある。
本発明において発明者らは、ニュートラルフロップ性を向上させるには、低波長領域(400〜500nm)で反射が大きい、つまり吸収が小さいことが必要であろうと推察し、3価以上の金属を中心金属に有するフタロシアニンに着目した。3価以上の金属を中心金属に有するフタロシアニンは、シアニン骨格が歪んでシャトルコック型になることが知られており、シャトルコック型がJ会合体特有の高波長領域に吸収を持つため、相対的に低波長領域の吸収が小さくなると考えた。上記の効果により、本発明の塗料用顔料組成物はニュートラルフロップ性が良好になったと推察している。
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、前記塩素化銅フタロシアニン(A)と、前記金属(3価以上の金属)フタロシアニン(B)を組み合わせることで自動車塗料用に適した顔料組成物としたものである。前記金属(3価以上の金属)フタロシアニンは、ニュートラルフロップ性に優れるものの、それ自体の濃度が低く単体では自動車塗料用顔料に適していない。ところが、平均塩素置換数が0.5〜4.0の塩素化銅フタロシアニン(A)に前記金属(3価以上の金属)フタロシアニンを組み合わせて用いることで、濃度が高くニュートラルフロップ性に優れた顔料組成物となった。これは、前記金属(3価以上の金属)フタロシアニン自体のニュートラルフロップ改善効果だけでなく、前記金属(3価以上の金属)フタロシアニンが何らかの形で前記塩素化銅フタロシアニンに作用した結果、低波長領域(400〜500nm)の反射の増大つまり吸収の減少に寄与したために、濃度を維持したままニュートラルフロップ性を改善することができたと推察している。
本発明の顔料組成物において、塩素化銅フタロシアニン(A)と、無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン(B)の比率として、塩素化銅フタロシアニン(A)100重量部に対して、無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン(B)の割合が3〜25重量部である顔料組成物が好ましく、5〜10重量部がさらに好ましい。
また、塩素化銅フタロシアニン(A)と、無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン(B)の組み合わせとしては、平均塩素置換数が1の塩素化銅フタロシアニンと無置換のアルミニウムフタロシアニン(B)の組み合わせ、および、平均塩素置換数が1の塩素化銅フタロシアニン(A)と平均塩素置換数1の塩素化スズフタロシアニン(B)の組み合わせが好ましく、特に平均塩素置換数が1の塩素化銅フタロシアニン(A)と平均塩素置換数1の塩素化スズフタロシアニン(B)の組み合わせが最適であった。
<顔料誘導体>
本発明の塗料用顔料および塗料用顔料組成物は、顔料粒子の粒子径の制御や分散性の向上を目的に、フリップフロップ性に悪影響を及ぼさない範囲で、公知慣用の顔料誘導体を添加してもよい。顔料誘導体としては、アミノアルキルアミノスルホニル化フタロシアニン、アミノメチル化フタロシアニン、フタルイミド化フタロシアニン、スルホ化フタロシアニン等が挙げられ、特にアミノアルキルアミノスルホニル化フタロシアニンが好ましい。
前記顔料誘導体を添加する時期はその目的に応じて適宜設定することができ、顔料化工程、分散工程、塗料作製工程から選択することができる。
<本発明の塗料用青色顔料組成物の製造方法>
本発明の塗料用顔料組成物は、上記塩素化銅フタロシアニン(A)と、無置換または塩素化金属(3価以上の金属)フタロシアニン(B)を混合することで色相、分散性を制御することが可能である。
また、分子レベルで両物質を均一にさせるためには、一旦両物質を混合し、溶解させ、析出することで、分子レベルで均一な顔料組成物を製造することができる。
塩素化フタロシアニン粗製顔料は合成された状態そのままで使用してもよいが、一般に所望の結晶型への転移や粒子サイズの制御、易分散性の付与等といった目的のために顔料化の操作を行うことが望ましい。本発明の塗料用青色顔料を製造するためには公知の顔料化法すべてを用いることができるが、一般にフタロシアニンを顔料化するための顔料化法である、ソルベント法、ソルベントミリング法、ソルベントソルトミリング法等が使用できる。置換基を少なくとも1つ有する、無金属または金属フタロシアニン誘導体を添加してもよい。それらの顔料化処理の前処理としてさらにアシッドペースト、ドライミリング等の操作を追加して行うことも望ましいし、複数の顔料化法を併用してもよい。
本発明の青色顔料組成物の代表的な用途は塗料である。塗料用樹脂組成物は、液状樹脂と本発明の顔料組成物とを含めれば容易に調製できる。
本発明によって着色すべき塗料用樹脂組成物に用いる液状樹脂は、天然または合成されたものであることが出来る。液状樹脂としては、被膜が形成出来るものが好ましい。例えば、油ワニス、セラックニス、ラッカー、フタル酸樹脂、アルキド樹脂、メラミンアルキド樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルメラミン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、塩化ゴム樹脂等がある。本発明においてこれら液状樹脂は、2種以上を併用することもできる。
また、顔料組成物を液状樹脂中で分散し又は混合し、塗料用樹脂組成物とする時に、通常の添加剤類、例えば、分散剤類、充填剤類、塗料補助剤類、乾燥剤類、可塑剤類及び/又は補助顔料を用いることが出来る。これは、それぞれの成分を、単独又は幾つかを一緒にして全ての成分を集め、又はそれらの全部を一度に加えることによって、分散又は混合して達成される。
上記顔料組成物を分散する分散機としては、ディスパー、ホモミキサー、ペイントコンディショナー、スキャンデックス、ビーズミル、アトライター、ボールミル、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー等の公知の分散機が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記添加剤類としては、公知慣用の、BYK Chemie製のDisperbyk−160、同161、同162、同163、同164、同166、同、170、同171、同174、同180、同182、同183、同185、同2000、同2001等やZeneca製のSolsperse3000、同6000、同17000、同20000等や、共栄社化学株式会社製のフローレンDOPA−22、同DOPA−17、同DOPA−15、同AF−205、同AF−405、同AF−1000等も使用することも可能である。
有機顔料に対する顔料添加剤の量は、最終用途の塗料の必要条件により異なるが、所定の何れかの量で加えられる。通常有機顔料100重量部に対して、顔料添加剤は0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜5重量部である。
液状樹脂に対する顔料添加剤の量は、最終用途の塗料の必要条件により異なるが、所定の何れかの量で加えられる。通常液状樹脂100重量部に対して、顔料添加剤は0.001〜4重量部、好ましくは、0.01〜2重量部である。
液状樹脂に対する顔料組成物の量は、最終用途の塗料の必要条件により異なるが、所定の何れかの量で加えられる。通常液状樹脂100重量部に対して、顔料組成物は0.01〜40重量部、好ましくは、0.1〜20重量部である。
本発明の塗料用顔料組成物は、塗料用樹脂組成物向けとして、広範囲の分散樹脂系に対して良好な分散性を示す。また、得られた塗料用樹脂組成物は、流動性が良好で、高鮮明・高着色力で混色安定性が良く、さらに良好な貯蔵安定性を示すので、建物・建材用塗料、構造物用塗料、船舶用塗料、道路車両用塗料、電気・機械用塗料、金属製品用塗料、木工製品用塗料、家庭用塗料等に優れた塗装を提供できる。
以下、実施例、参考例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明する。
以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、夫々『重量部』及び『重量%』を表わす。
(塩素化フタロシアニンの平均塩素置換数の算出方法)
塩素化フタロシアニンの平均塩素置換数の算出方法として、
蛍光X線分析装置(PANalytical社製epsilon5)で塩素化フタロシアニンの粉末を測定した。その後、得られた測定値を用い下記のように計算し、塩素化フタロシアニンの平均塩素置換数とした。
塩素化フタロシアニンの平均塩素置換数 =(塩素原子の測定値(%)/塩素の原子量)/(中心金属原子の測定値(%)/中心金属の原子量)
また蛍光X線分析以外にも、FD−MS、TOF−MS等の質量分析計でも、一般的な測定法で平均塩素置換数を算出でき、蛍光X線と同様の結果が得られる。
(一次粒子の平均粒子径、平均アスペクト比の測定法)
塩素化フタロシアニンの粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で視野内の粒子を撮影し、そして、二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の最長の長さ(最大長)、最小の長さ(最小長)を求めた。個々の粒子の最大長の平均値を平均一次粒子径とした。また、個々の粒子で、最大長/最小長を求め、それらの平均値を一次粒子の平均アスペクト比とした。
(透明性の測定法)
黒帯が印刷されたアート紙に、青色塗料組成物をアプリケーターで展色し、青色塗板を得た。その塗板の黒帯上にある展色部分を分光光度計(データカラー社製データカラー650)を用いて測定し、明度Lを算出した。透明性が高い顔料ほど、下地の黒帯をより反射するようになり、Lの絶対値が小さくなる。
(ニュートラルフロップの測定法)
得られた塗板(メタリック色)を多角度分光測色計(X-rite MA98)を用いて測定した。この装置はサンプルに対して45°の角度の光源を持ち、正反射を0°とした際、-15°〜110°の6角度の受光角度で色相評価が行えるものである。-15°(ハイライト)と110°(シェード)の色相角の差(Δh)が小さいほどニュートラルフロップ性に優れる。
(合成例1)
1Lのガラスビーカーに、モノクロロ銅フタロシアニン(F−1102、山陽色素株式会社製、C.I.Pigment Blue 15:1、平均塩素置換数1.0 蛍光X線測定から算出)を100部、硫酸(95%)を900部加え、70℃まで昇温し、1時間撹拌した。35℃まで自然放冷後、その顔料溶液を激しく撹拌している水7500部に滴下した。滴下終了後、70℃まで昇温し、1時間撹拌した。得られた顔料懸濁液をヌッチェで濾過し、濾液のpHが6以上になるまで濾過、水洗を繰り返し、濾過終了後、90℃で乾燥させ、粉砕をしてモノクロロ銅フタロシアニン顔料を得た。
(合成例2)
「機能性色素としてのフタロシアニン」(廣橋ら著 (株)アイピーシー出版 2004年発行)P.49に記載に基づいて製造したモノクロロスズフタロシアニン(平均塩素置換数1.1、スズ37%含有 蛍光X線測定から算出)40部、塩化ナトリウム400部、およびジエチレングリコール(三菱化学製)75部を双腕型ニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、80〜90℃で5時間混練した。
得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、濾液の比電導度が原水の比電導度+0.45mS/cm以下となるまで水洗することによって、モノクロロスズフタロシアニン顔料組成物のウエットケーキを得た。その後、乾燥、粉砕し、モノクロロスズフタロシアニン顔料を得た。
(合成例3)
テトラクロロ銅フタロシアニン(FASTOGEN Blue TAK3、DIC株式会社製、C.I.Pigment Blue 15:1、平均塩素置換数3.4 蛍光X線測定から算出)70部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール(三菱化学製)140部を双腕型ニーダー(株式会社井上製作所製)に仕込み、78〜82℃で5時間混練した。
得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、濾液の比電導度が原水の比電導度+0.45mS/cm以下となるまで水洗することによって、テトラクロロ銅フタロシアニン顔料組成物のウエットケーキを得た。その後、乾燥、粉砕し、テトラクロロ銅フタロシアニン顔料を得た。
(実施例1)
(青色塗料組成物の調製)合成例1で得られたモノクロロ銅フタロシアニン2.55部、「機能性色素としてのフタロシアニン」(廣橋ら著 (株)アイピーシー出版 2004年発行)P.45に記載の内容に基づいて製造したアルミニウムフタロシアニン(アルミニウム4.4%含有 蛍光X線測定から算出)0.3部、N,N−ジメチルアミノスルホプロピルアミン銅フタロシアニン0.15部、アクリディック47−712(DIC株式会社製)52.5部、スーパーベッカミンL−117−60(DIC株式会社製)10部、キシレン15部、ノルマルブタノール5部の割合で配合し、3mmガラスビーズを75部入れて、ペイントコンディショナーで分散させることにより、青色塗料組成物(1)を調製した。
(アルミニウム塗料組成物の調製)アルミニウム顔料(MAXAL64047、DIC株式会社製)7.5部、アクリディック47−712(DIC株式会社製)48部、スーパーベッカミンL−117−60(DIC株式会社製)10部、キシレン15部、ノルマルブタノール5部の割合で配合し、ペイントコンディショナーで分散させることにより、アルミニウム塗料組成物(1)を調製した。
(塗板の作製)得られた青色塗料組成物(1)とアルミニウム塗料組成物(1)を顔料重量比1:1で配合し、撹拌することでメタリック色の青色塗料組成物(2)を得た。得られた青色塗料組成物(2)を4milのアプリケーターで透明フィルムに展色し、青色塗板(1)を得た。
実施例1で得られた青色塗板(1)のΔhは70.0であった。
(実施例2)
前記実施例1でアルミニウムフタロシアニンを合成例2で得られたモノクロロスズフタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様に行い、青色塗板(2)を得た。
実施例2で得られた青色塗板(2)のΔhは65.0であった。
(実施例3)
前記実施例1でモノクロロ銅フタロシアニンを合成例3で得られたテトラクロロ銅フタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様に行い、青色塗板(3)を得た。
実施例3で得られた青色塗板(3)のΔhは66.3であった。
(比較例1)
(青色塗料組成物の調製)合成例1で得られたモノクロロ銅フタロシアニン2.85部、塩基性顔料誘導体0.15部、アクリディック47−712(DIC株式会社製)52.5部、スーパーベッカミンL−117−60(DIC株式会社製)10部、キシレン15部、ノルマルブタノール5部の割合で配合し、3mmガラスビーズを75部入れて、ペイントコンディショナーで分散させることにより、青色塗料組成物(3)を調製した。
(塗板の作製)得られた青色塗料組成物(3)とアルミニウム塗料組成物(1)を顔料重量比1:1で配合し、撹拌することでメタリック色の青色塗料組成物(4)を得た。得られた青色塗料組成物(4)を4milのアプリケーターで透明フィルムに展色し、青色塗板(4)を得た。
比較例1で得られた青色塗板(4)のΔhは77.1であった。
(比較例2)
前記実施例1でアルミニウムフタロシアニンをコバルトフタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様に行い、青色塗板(5)を得た。
比較例2で得られた青色塗板(5)のΔhは80.6であった。
(比較例3)
前記比較例1でモノクロロ銅フタロシアニンを合成例3で得られたテトラクロロ銅フタロシアニンに変更した以外は、比較例1と同様に行い、青色塗板(6)を得た。
比較例3で得られた青色塗板(6)のΔhは69.2であった。
(比較例4)
前記比較例1でモノクロロ銅フタロシアニンを高塩素化銅フタロシアニン(FASTOGEN GreenS、DIC株式会社製、C.I.Pigment G−7、平均塩素置換数15.5 蛍光X線測定から算出)に変更した以外は、比較例1と同様に行い、緑色塗板(7)を得た。
比較例4で得られた緑色塗板(7)のΔhは31.8であった。
(比較例5)
前記実施例1でモノクロロ銅フタロシアニンを比較例4で用いた高塩素化銅フタロシアニンに変更した以外は、実施例1と同様に行い、緑色塗板(8)を得た。
比較例5で得られた緑色塗板(8)のΔhは31.8であった。
Figure 2020117560
*表中の記号
従来の塗料用顔料組成物と比較して、
◎:ニュートラルフロップ性が良い
△:フロップ性に変化なし
×:ニュートラルフロップ性が悪い
塩素置換数0のアルミニウムフタロシアニンを添加した実施例1および塩素置換数1のスズフタロシアニンを添加した実施例2は、金属(3価以上の金属)フタロシアニンを添加していない比較例1に比べΔhが小さく、目視による評価も良好なため、ニュートラルフロップ性の向上が確認でき、自動車塗料用顔料組成物として好適である。
また、塩素置換数0のアルミニウムフタロシアニンを添加した実施例3は、金属(3価以上の金属)フタロシアニンを添加していない比較例3に比べΔhが小さく、目視による評価も良好なため、ニュートラルフロップ性の向上が確認でき、自動車塗料用顔料組成物として好適である。
一方、塩素置換数0のコバルトフタロシアニンを添加した比較例2は、実施例1や実施例2に比べΔhが大きく、また目視でもシェードでの赤味が大きくなり、自動車塗料用顔料組成物に適さないものである。
さらに、塩素置換数15.5の塩素化銅フタロシアニンを用いた比較例4および比較例5は、塩素置換数0のアルミニウムフタロシアニンの添加有無に係らずΔhや目視による評価でも変化は見られず、ニュートラルフロップ性の改善には効果が見られなかった。

Claims (3)

  1. 平均塩素置換数が0.5〜4.0の塩素化銅フタロシアニン(A)と、平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)を含む塗料用顔料組成物。
  2. 質量換算で、前記平均塩素置換数が0.5〜4.0の塩素化銅フタロシアニン(A)100部に対して、平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)の割合が0.05〜49重量部である請求項1記載の塗料用顔料組成物。
  3. 前記平均塩素置換数が0〜4.0の3価以上の金属フタロシアニン(B)の中心金属がアルミニウムまたはスズである請求項1または2記載の塗料用顔料組成物。
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