JP2002012789A - 顔料組成物、セミクルード組成物、クルード組成物およびβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法 - Google Patents

顔料組成物、セミクルード組成物、クルード組成物およびβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法

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JP2002012789A
JP2002012789A JP2000197039A JP2000197039A JP2002012789A JP 2002012789 A JP2002012789 A JP 2002012789A JP 2000197039 A JP2000197039 A JP 2000197039A JP 2000197039 A JP2000197039 A JP 2000197039A JP 2002012789 A JP2002012789 A JP 2002012789A
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Tadashi Matsumoto
忠 松本
Akira Yamaguchi
彰 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶成長が抑制され、緑味鮮明で着色力に優
れ、さらに耐熱性に優れるβ型銅フタロシアニン顔料を
含有する顔料組成物を提供する。 【解決手段】 β型銅フタロシアニン顔料(A)と、四
角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を含有する顔料
組成物である。または銅フタロシアニンセミクルード
(C)と四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)、ま
たは、銅フタロシアニンクルード(D)と四角錐型構造
の金属フタロシアニン(B)を含有する組成物である。
四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)によって、β
型銅フタロシアニン分子の結晶成長が適度に抑制され
る。また、β型銅フタロシアニン顔料を製造する際に、
少なくともβ型銅フタロシアニン(A)を得る顔料化工
程を、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)の存在
下で行うことによって、より顔料としての性能に優れ
た、顔料組成物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は顔料組成物、セミク
ルード組成物、クルード組成物およびβ型銅フタロシア
ニン顔料組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは過剰
な結晶成長が抑制されていて、緑味鮮明な青色を呈し、
着色力、耐熱性に優れたβ型銅フタロシアニン顔料組成
物を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】β型銅フタロシアニン顔料は、着色力や
分散性に優れた青色顔料として従来から幅広い用途に使
用されている。β型銅フタロシアニン顔料を得るために
は、公知慣用の方法がある。それらの一例は、例えば、
次の通りである。まず、無水フタル酸と尿素と銅または
銅化合物とを反応させるワイラー法や、フタロジニトリ
ルと銅または銅化合物とを反応させるフタロジニトリル
法によって銅フタロシアニンを製造する。ここで得られ
た銅フタロシアニンは銅フタロシアニンクルードと呼ば
れ、ワイラー法で得られる銅フタロシアニンクルード
は、5〜40μm程度の平均一次粒子径を有するβ型結
晶粒子で、フタロジニトリル法で得られる銅フタロシア
ニンクルードは、0.1〜5μm程度の平均一次粒子径
を有するα型結晶粒子である。次いで、通常、この銅フ
タロシアニンクルードを以下の3つの方法に従って微粒
子化する顔料化を行い、β型銅フタロシアニン顔料を製
造する。
【0003】1.銅フタロシアニンクルードをニーダー
等を用いて食塩やエチレングリコールと共にソルベント
ソルトミリング処理してβ型銅フタロシアニン顔料を得
る。 2.銅フタロシアニンクルードをアトライター、振動ミ
ルや振動ボールミル等で乾式摩砕して銅フタロシアニン
セミクルードとした後に、上記と同様にソルベントソル
トミリング処理してβ型銅フタロシアニン顔料を得る。 3.銅フタロシアニンクルードをアトライター、振動ミ
ルや振動ボールミル等で乾式摩砕して銅フタロシアニン
セミクルードとした後に、アルコール類、または芳香族
溶媒等の有機溶媒類と共にソルベント処理してβ型銅フ
タロシアニン顔料を得る。
【0004】ここで、ソルベントソルトミリング法(処
理)とは、銅フタロシアニンクルードまたは銅フタロシ
アニンセミクルードを、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウ
ム等の無機塩類と、エチレングリコール、ジエチレング
リコール等の多価アルコール等の粘性の高い水溶性有機
溶剤の存在下で、ニーダー等で機械的に摩砕して顔料化
する方法であり、通常70℃〜130℃で行われる。
【0005】ソルベント法とは、芳香族系、アルコール
系、エステル系、エーテル系等の有機溶剤を使用して銅
フタロシアニンセミクルードを反応釜内で加熱し、銅フ
タロシアニンセミクルードの二次凝集をほぐすととも
に、結晶型変換と必要な粒子径への結晶成長を同時に行
いβ型銅フタロシアニン顔料を得る方法である。
【0006】これらの顔料化方法のうち特にソルベント
ソルトミリング処理では、短軸の長さに対する長軸の長
さの比(アスペクト比)が1〜2程度の結晶形状を有す
るβ型銅フタロシアニン顔料が得られる。このように、
アスペクト比が比較的小さく、成長が抑制された結晶か
らなるβ型銅フタロシアニン顔料は、緑味鮮明な青色で
着色力に優れている。
【0007】しかしながら、ソルベントソルトミリング
処理では、ニーダー等の機械的動力を多量に使用するこ
とから単位生産量当たりの消費エネルギーが非常に高
い。また、大量の無機塩類を使用する必要があり、処理
後にはこれらの無機塩類から顔料を分離するために濾過
等の工程が別途必要であった。そして、このように分離
して得られた顔料を、さらに水洗、乾燥、粉砕する場合
もあり工程数が多い。
【0008】一方、ソルベント法では、ニーダーを使用
しないため低エネルギーコストであり、また、無機塩類
を使用しないため後処理が比較的簡単であるものの、有
機溶剤中において結晶が必要以上に成長してしまい、得
られるβ型銅フタロシアニン顔料は、アスペクト比が5
を越えて8程度の針状結晶となり、赤味を呈した青色で
ある。
【0009】これまでに記述した公知慣用の方法により
得られたβ型銅フタロシアニン顔料は、α型銅フタロシ
アニン顔料に比べ、耐溶剤性、耐熱性に関し優れている
が、例えば、プラスチック成型等の200℃を越える高
温での耐熱性に関しては、依然として満足の得られるも
のにはなっていない。
【0010】一方、不安定型銅フタロシアニンが、芳香
族溶剤中で安定型銅フタロシアニンに結晶転移成長する
ため、抑制する方法として、不安定型銅フタロシアニン
に異種金属フタロシアニンを添加する方法(工業化学雑
誌第61巻第1号(1958)p.94)が記述されて
いる。
【0011】また、この他に、結晶作用を妨げるため
に、不安定型銅フタロシアニンに錫フタロシアニン、ア
ルミニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニ
ンを添加する方法(特公昭33−3534)が記述され
ている。同様に、不安定型銅フタロシアニンの結晶化、
フロキュレーションを妨げるために、フタロシアニンク
ルード合成時に無水塩化アルミニウムを添加する方法も
記されている(米国特許第2618642号)。
【0012】しかしながら、これらはいずれも、結果的
に得られているのは、α型のような不安定型銅フタロシ
アニンとアルミニウムフタロシアニンとの混合物であっ
た。つまり、安定型銅フタロシアニン、例えばβ型銅フ
タロシアニン顔料に異種金属フタロシアニンを添加した
例はない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記事情に鑑
みてなされたもので、顔料として使用した場合に、β型
銅フタロシアニン顔料単独使用と同等以上の耐熱性等に
優れたβ型銅フタロシアニン顔料を含む顔料組成物を提
供することを第一の課題とする。
【0014】また、β型銅フタロシアニン顔料の結晶成
長を抑制し、β型銅フタロシアニン顔料を含む耐熱性等
に優れた顔料組成物が容易に得られる製造方法を提供す
ることを第二の課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、β型銅フタロシアニ
ン顔料に四角錐型構造の金属フタロシアニンを併存させ
ることによって、β型銅フタロシアニン顔料そのものの
特性を損なうことなく、β型銅フタロシアニン顔料を単
独で使用する場合に比べて、上記したような特性をより
向上させ得ることを見出し、本発明に到達した。
【0016】また、従来の、フタロシアニン化合物の合
成からβ型銅フタロシアニン顔料の製造の任意の工程に
おいて、この四角錐型構造の金属フタロシアニンを形成
することのできる銅以外の金属または金属化合物とフタ
ロシアニン環を形成させるための各種化合物、または、
四角錐型構造の金属フタロシアニンを併存させて、合成
工程、摩砕工程または顔料化工程を行うことにより、β
型銅フタロシアニン顔料自体の結晶成長を抑制できるこ
とを見出し、本発明に到達した。
【0017】本発明の顔料組成物は、β型銅フタロシア
ニン顔料(A)と、四角錐型構造の金属フタロシアニン
(B)を含有することを特徴とする。本発明の顔料組成
物は、β型銅フタロシアニン顔料(A)と、四角錐型構
造の金属フタロシアニン(B)を含有し、β型銅フタロ
シアニン顔料(A)と、四角錐型構造の金属フタロシア
ニン(B)は、いずれもアスペクト比が1〜5であるこ
とを特徴とする。本発明のセミクルード組成物は、銅フ
タロシアニンセミクルード(C)と、四角錐型構造の金
属フタロシアニン(B)を含有することを特徴とする。
本発明のクルード組成物は、銅フタロシアニンクルード
(D)と、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を
含有することを特徴とする。
【0018】本発明のβ型銅フタロシアニン顔料組成物
の製造方法は、銅フタロシアニンクルード(D)を合成
する合成工程と、銅フタロシアニンクルード(D)を摩
砕して銅フタロシアニンセミクルード(C)とする摩砕
工程と、銅フタロシアニンセミクルード(C)を顔料化
してβ型銅フタロシアニン(A)とする顔料化工程を含
むβ型銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法であっ
て、少なくとも顔料化工程を、四角錐型構造の金属フタ
ロシアニン(B)の存在下で行うことを特徴とする。
【0019】また、本発明のβ型銅フタロシアニン顔料
組成物の製造方法は、銅フタロシアニンクルード(D)
を合成する合成工程と、銅フタロシアニンクルード
(D)を顔料化してβ型銅フタロシアニン(A)とする
顔料化工程を含むβ型銅フタロシアニン顔料組成物の製
造方法であって、少なくとも顔料化工程を、四角錐型構
造の金属フタロシアニン(B)の存在下で行うことを特
徴とする。
【0020】本発明のβ型銅フタロシアニン顔料組成物
の製造方法は、銅フタロシアニンクルード(D)を合成
する合成工程を含むβ型銅フタロシアニン顔料の製造方
法であって、合成工程を、四角錐型構造の金属フタロシ
アニン(B)を形成することのできる銅以外の金属また
はこの金属を含む金属化合物の存在下で行うことを特徴
とする。
【0021】本発明のβ型銅フタロシアニン顔料組成物
の製造方法は、顔料化工程を、ソルベント法にて行うこ
とが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の顔料組成物は、β型銅フタロシアニン顔料
(A)と、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)と
を含有する。
【0023】β型銅フタロシアニン顔料(A)は、その
分子が平面型構造を有しており、通常、顔料として使用
されているものが使用でき、公知の方法で製造されるも
のである。
【0024】四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)
とは、平面型構造であるβ型銅フタロシアニン顔料
(A)とは異なり、図1に示すように、中心金属イオン
1がイソインドール環の4個の窒素2で囲まれた領域内
に位置せず、フタロシアニン平面から突出し、四角錐型
となっている金属フタロシアニンである。
【0025】四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)
を形成する金属としては、例えば、Al、Sn、Pb等
が挙げられる。すなわち、アルミニウムフタロシアニ
ン、錫フタロシアニン、鉛フタロシアニン等である。こ
れらのなかでは、耐熱性に優れる点で、アルミニウムフ
タロシアニンが好ましい。四角錐型構造の金属フタロシ
アニン(B)は、後述する銅フタロシアニンクルード
(D)の製造方法に準じて製造することができる。セミ
クルード化や顔料化についても同様である。アルミニウ
ムフタロシアニンは、本発明では好ましくは顔料として
用いられる。
【0026】このような四角錐型構造の金属フタロシア
ニン(B)と、β型銅フタロシアニン顔料(A)とを含
有する顔料組成物は、四角錐型構造の金属フタロシアニ
ン(B)を含有しない単独のβ型銅フタロシアニン顔料
(A)に比べて、緑味鮮明な青色を呈して着色力、耐熱
性に優れる。
【0027】本発明の顔料組成物における、β型銅フタ
ロシアニン顔料(A)と、四角錐型構造の金属フタロシ
アニン(B)との併用割合は、特に制限されるものでは
ないが、通常前者(A)100重量部当たり、後者
(B)0.1〜50重量部、好ましくは2〜10重量部
であることが、前者(A)の特性を損なわず、後者
(B)を併用した場合の相乗効果に優れる点で好まし
い。そして、これらはいずれもアスペクト比1〜5のも
のであることが好ましい。
【0028】β型銅フタロシアニン顔料(A)と、四角
錐型構造の金属フタロシアニン(B)とは、それぞれ別
個に製造した上で、両者を混合して本発明の顔料組成物
を調製することもできる。しかし、一度に同一アスペク
ト比のβ型銅フタロシアニン顔料(A)と四角錐型構造
の金属フタロシアニン(B)との混合物となし、色材と
してより優れた諸特性を得るに当たっては、従来の、フ
タロシアニン化合物の合成からβ型銅フタロシアニン顔
料の製造の間の任意の工程において、この四角錐型構造
の金属フタロシアニンを形成することのできる銅以外の
金属または金属化合物とフタロシアニン環を形成させる
ための各種化合物を併存させるか、あるいは、四角錐型
構造の金属フタロシアニンを併存させて合成や顔料化を
行うことにより、β型銅フタロシアニン顔料自体の結晶
成長を抑制でき、より優れた特性とすることが可能であ
る。
【0029】これは、四角錐型構造の金属フタロシアニ
ン(B)が、β型銅フタロシアニンの経時的な、必要以
上の結晶成長を抑制し、その結果、β型銅フタロシアニ
ンの結晶安定性が向上するためと考えられる。
【0030】すなわち、β型銅フタロシアニンの結晶成
長は、図2に模式的に示すように、平面構造のβ型銅フ
タロシアニン分子10が次々と積層し、矢印方向に成長
することによって起こる。この場合、顔料組成物中にβ
型銅フタロシアニン分子10とともに四角錐型構造の金
属フタロシアニン(B)分子20が存在すると、β型銅
フタロシアニン分子10とともに四角錐型構造の金属フ
タロシアニン(B)分子20も混ざって積層する。しか
し、この四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)分子
20は中心金属イオン1が突き出た四角錐型構造である
ため、一旦四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)分
子20が重なると、図3に示すように、その立体障害の
ためにβ型銅フタロシアニン分子10がさらに積層する
ことが困難になる。そのため、β型銅フタロシアニン分
子10の積層が適度に抑えられ、結晶成長が適度に抑制
され、緑味鮮明な青色を呈し着色力に優れ、耐熱性が向
上すると考えられる。
【0031】また、本発明においてはβ型銅フタロシア
ニン顔料(A)の製造工程を、四角錐型構造の金属フタ
ロシアニン(B)の存在下で行うと、結晶成長が適度に
抑制され、アスペクト比が比較的小さく抑えられた結晶
形状のβ型銅フタロシアニン顔料組成物が得られる。こ
のようにして得られた顔料組成物は、緑味鮮明の青色を
呈し着色力に優れたものとなる。そしてさらに、耐熱性
に優れたものとなる。
【0032】β型銅フタロシアニン顔料(A)の製造工
程は、通常、銅フタロシアニンクルード(D)を合成す
る合成工程と、銅フタロシアニンクルード(D)を摩砕
して銅フタロシアニンセミクルード(C)とする摩砕工
程と、銅フタロシアニンセミクルード(C)を顔料化し
てβ型銅フタロシアニン顔料(A)とする顔料化工程と
を含むが、このような製造工程において、少なくとも顔
料化工程を四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)の
存在下で行う方法が好ましい。
【0033】顔料化工程が四角錐型構造の金属フタロシ
アニン(B)の存在下で行われると、顔料化工程中にお
けるβ型銅フタロシアニン分子10の結晶成長が、図3
に示した機構により適度に抑制される。そして、アスペ
クト比が小さく抑えられた結晶形状を有し、緑味鮮明な
青色を呈し着色力に優れ、かつ、耐熱性に優れたβ型銅
フタロシアニン顔料組成物を得ることができる。
【0034】顔料化工程を四角錐型構造の金属フタロシ
アニン(B)の存在下で行う方法としては、顔料化を行
う系内に四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)が存
在していればよい。
【0035】すなわち、顔料化工程前に四角錐型構造の
金属フタロシアニン(B)を銅フタロシアニンセミクル
ード(C)に添加して、銅フタロシアニンセミクルード
(C)と四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)とを
含有するセミクルード組成物とした後に顔料化工程を行
う方法が挙げられる。
【0036】その他の方法としては、銅フタロシアニン
クルード(D)の合成工程前に反応系内に四角錐型構造
の金属フタロシアニン(B)を添加して、四角錐型構造
の金属フタロシアニン(B)の存在下で合成工程を行う
方法や、摩砕工程前に銅フタロシアニンクルード(D)
に四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を添加し
て、銅フタロシアニンクルード(D)と四角錐型構造の
金属フタロシアニン(B)を含有するクルード組成物と
した後に摩砕工程を行う方法が挙げられる。
【0037】合成工程、摩砕工程、顔料化工程の各工程
は、これらを適宜四角錐型構造の金属フタロシアニン
(B)の存在下で行う以外には、通常行われているβ型
銅フタロシアニン顔料(A)の製造と同様に行えばよ
く、特に制限はない。
【0038】すなわち合成工程は、無水フタル酸または
フタル酸誘導体と、尿素または尿素の誘導体と、銅また
は銅化合物とを反応させるワイラー法や、フタロジニト
リルと銅または銅化合物とを反応させるフタロジニトリ
ル法によって銅フタロシアニンクルードを製造する工程
である。
【0039】銅フタロシアニンクルード(D)を製造す
る場合には、フタロジニトリルが高価であるため、ワイ
ラー法が好ましい。
【0040】本発明で用いる銅または銅化合物として
は、種々の文献で広く知られている種々の金属や金属化
合物を特に制限なく使用することができる。銅または銅
化合物としては、例えば、銅、第一銅または第二銅のハ
ロゲン化物、酸化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化
物、シアン化物、リン酸塩、硝酸塩、硫化物等が挙げら
れる。銅または銅化合物の使用量は、フタル酸またはそ
の誘導体の総使用量の4モルあたり0.8〜1.3モル
の範囲が望ましい。
【0041】ワイラー法により銅フタロシアニンクルー
ド(D)を製造するには、例えば4モルの無水フタル酸
またはその誘導体と、12モルの尿素またはその誘導体
(B)と、1モルの金属またはその化合物(D)とを反
応させて、1モルの銅フタロシアニン、9.33モルの
アンモニア、12モルの二酸化炭素、1モルの塩化アン
モニウムおよび0.17モルの窒素を得るのが一般的で
ある。
【0042】本発明で用いるフタル酸またはその誘導体
としては、種々の文献で広く知られている種々の化合物
を特に制限なく使用することができる。このようなフタ
ル酸またはその誘導体として、例えばフタル酸、その塩
またはそのエステル、無水フタル酸、フタルイミド、フ
タルアミド酸、その塩またはエステル等が挙げられる。
【0043】これらの成分の中では、工業的規模での製
造の際に原料として入手し易いこと、人体に対する安全
性および銅フタロシアニンクルード(D)の収率等の面
から、無水フタル酸を用いることが望ましい。
【0044】本発明で用いる尿素またはその誘導体とし
ては、種々の文献で広く知られている種々の化合物を特
に制限なく使用することができ、例えば、尿素、アンモ
ニア等が挙げられる。その使用量はフタル酸またはその
誘導体の総使用量の4モルあたりアンモニアに換算して
4〜26モルの範囲が望ましい。
【0045】この工程での反応には、好適には触媒が用
いられる。この触媒としては、種々の文献で広く知られ
ている種々の化合物を特に制限なく使用することがで
き、例えば、モリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデ
ン、リンモリブデン酸等のモリブデン化合物、四塩化チ
タン、チタン酸エステル等のチタン化合物、塩化ジルコ
ニウム、炭酸ジルコニウム等のジルコニウム化合物、酸
化アンチモン、酸化ヒ素、ホウ酸等が挙げられ、これら
の2種以上を併用してもよい。
【0046】本発明の合成工程の条件は、特に制約はな
いが、通常、反応温度100〜300℃で1〜5時間加
熱して反応させる。好ましい反応温度は、180〜30
0℃である。好ましい反応時間は、3〜5時間である。
尿素の分解を抑制し、収率を向上させるため、加圧下で
反応することもできる。圧力範囲は、0.3〜0.4メ
ガパスカルの範囲が好ましい。
【0047】合成工程では、有機溶媒存在下または不存
在下で反応させる。有機溶媒としては、アルキルベンゼ
ン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、アルキル
シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂環式炭化
水素、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、ニトロベ
ンゼン、ニトロトルエン等の芳香族ニトロ化合物、トリ
クロロベンゼン、クロロナフタレン等の芳香族ハロゲン
化炭化水素、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール等の高沸点多価アルコール
類、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類等が挙げられ、これらを単独で、または、2種類
以上を混合して使用できる。
【0048】勿論、β型銅フタロシアニンクルード
(D)の製造工程にて、それと同時に四角錐型構造の金
属フタロシアニン(B)を得る場合には、無水フタル酸
またはその誘導体と、尿素またはその誘導体に対する、
銅または銅化合物と、銅以外の金属またはその化合物の
併用割合を、最終的な顔料組成物中の含有割合に応じ
て、適宜調節する。
【0049】クルード(D)は、有機不純物や無機不純
物の含有率が限りなくゼロに近いものを用いるのが、着
色力等の最終的に得られる顔料特性が良好となる。この
ために、クルード(D)を酸や塩基を含む水や温水等で
繰り返し洗浄することが好ましい。
【0050】ワイラー法で得られるクルード(D)は、
通常10〜100μm程度の平均一次粒子径を有するβ
型結晶粒子であり、フタロジニトリル法で得られるクル
ード(D)は、0.1〜5μm程度の平均一次粒子径を
有するα型結晶粒子である。
【0051】摩砕工程は、合成工程で得られた銅フタロ
シアニンクルード(D)を粉砕機で乾式摩砕して、平均
一次粒子径0.01μm以下の微粒子が凝集していてα
型とβ型の混晶または結晶混合物である銅フタロシアニ
ンセミクルード(C)を得る工程である。
【0052】使用する粉砕機としては特に制限はなく、
ビーズ、ロッド等のメディアをベッセルに内蔵する通常
の粉砕機を使用でき、例えば、アトライター、ボールミ
ル、振動ミル、振動ボールミル等が挙げられる。また、
粉砕機内に必要に応じて窒素ガス、ヘリウム、アルゴン
ガス等の不活性ガスを導入して摩砕工程を行ってもよ
い。
【0053】顔料化工程は、微粒子が凝集した状態の銅
フタロシアニンセミクルード(C)の凝集をほぐすとと
もに結晶型を制御して、β型の銅フタロシアニン顔料
(A)を得る工程である。
【0054】顔料化方法としては、銅フタロシアニンセ
ミクルード(C)を、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム
等の無機塩類と、エチレングリコール、ジエチレングリ
コール等の多価アルコール等の粘性の高い水溶性有機溶
剤の存在下、70〜130℃で、ニーダー等で機械的に
摩砕して顔料化するソルベントソルトミリング法や、芳
香族系、アルコール系、エステル系、エーテル系等の有
機溶剤を使用してセミクルードを煮沸し、銅フタロシア
ニンセミクルード(C)の二次凝集をほぐすとともに、
適度な結晶成長と結晶型変換を同時に行うソルベント法
がある。
【0055】ここで顔料化工程は、ソルベントソルトミ
リング法、ソルベント法等の公知の方法で行うことがで
きる。本発明で実施するのにより効果的な顔料化方法
は、緑味の鮮明性や着色力の改良効果が高い点で、ソル
ベント法である。
【0056】ソルベント法は、例えば被顔料化対象物
を、それに対し有機溶媒を含んだ大過剰の液媒体に浸漬
して温度50〜180℃で30分〜5時間攪拌する方法
である。その液媒体使用量は、被顔料化対象物100重
量部当たり、400〜1000重量部である。なお、液
媒体としては、有機溶媒と水が併用される場合もある。
【0057】本発明のβ型銅フタロシアニン顔料(A)
を含む顔料組成物の製造方法においては、少なくとも顔
料化工程を四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)の
存在下で行うので、ニーダーおよび無機塩類を使用せ
ず、低エネルギーコストで後処理が比較的簡単なソルベ
ント法で顔料化工程を行っても、有機溶剤中におけるβ
型銅フタロシアニン顔料(A)の結晶成長を適度に抑制
できるので好ましい。
【0058】このソルベント法においては、従来のよう
なアルミニウムフタロシアニンの不存在下ではアスペク
ト比5を越えて8以下となるが、本発明のようにアルミ
ニウムフタロシアニンの存在下ではアスペクト比3〜5
と、より小さくすることができる。
【0059】本発明においてソルベントソルトミリング
法を採用すると、アスペクト比1〜2の顔料組成物を得
ることができ、アルミニウムフタロシアニンが併存して
いることにより、無機塩類の使用量(例えば食塩/被顔
料化対象物の倍率)をより減量でき、顔料化時間もより
短縮できる等の長所がある。無機塩類の使用量が少ない
ことは、それらを除去するのに要する時間を短縮するこ
とにもつながる。
【0060】その結果、アスペクト比が1〜5程度であ
って結晶成長が適度に抑制されていて、緑味鮮明の青色
を呈し着色力の優れたβ型銅フタロシアニン顔料(A)
が得られる。よって、このような製造方法によれば、顔
料としての特性に優れたβ型銅フタロシアニン顔料
(A)を生産性よく製造できる。
【0061】また、本発明の製造方法においては、少な
くとも顔料化工程を、四角錐型構造の金属フタロシアニ
ン(B)の存在下で行えばよく、この顔料化工程が銅フ
タロシアニンクルード(D)を直接顔料化してβ型銅フ
タロシアニン(A)とする工程であってもよい。
【0062】このような顔料化工程としては、例えば、
銅フタロシアニンクルード(D)を機械的高剪断力下で
溶媒や摩砕助剤と共に摩砕するソルベントソルトミリン
グ処理する方法、好ましくはニーダー等を用いて食塩や
エチレングリコールと共にソルベントソルトミリング処
理して直接β型銅フタロシアニン顔料(A)を得る方法
等が挙げられる。
【0063】さらに本発明のβ型銅フタロシアニン顔料
組成物の製造方法においては、銅フタロシアニンクルー
ド(D)を合成する合成工程を、四角錐型構造の金属フ
タロシアニン(B)を形成することのできる銅以外の金
属またはこの金属を含む金属化合物の存在下で行っても
よい。
【0064】四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)
を形成することのできる銅以外の金属としては、例え
ば、Al、Sn、Pb等が挙げられ、特にAlが好まし
い。これらの金属化合物としては、例えばハロゲン化
物、酸化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、シア
ン化物、リン酸塩、硝酸塩、硫化物等が挙げられる。
【0065】このような金属またはこの金属を含む金属
化合物の存在下で銅フタロシアニンクルード(D)の合
成工程を行うと、合成工程において銅フタロシアニンク
ルード(D)が生成するととともに四角錐型構造の金属
フタロシアニン(B)も生成する。その結果、その後に
行う顔料化工程において、合成工程で生成した四角錐型
構造の金属フタロシアニン(B)がβ型銅フタロシアニ
ンの有機溶剤中における結晶成長を抑制する。その結
果、緑味鮮明な青色を呈し着色力に優れ、かつ耐熱性に
優れたβ型銅フタロシアニン顔料(A)が得られる。
【0066】このようにβ型銅フタロシアニン顔料
(A)と、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を
含有する顔料組成物においては、中心金属イオンが突き
出た結晶構造の四角錐型構造の金属フタロシアニン
(B)の立体効果によって、β型銅フタロシアニン分子
の結晶成長が阻害される。よって、緑味鮮明の青色を呈
し着色力に優れ、耐熱性に優れた、β型銅フタロシアニ
ン顔料(A)を含む本発明の顔料組成物とすることがで
きる。
【0067】また、四角錐型構造の金属フタロシアニン
(B)の存在下で、少なくともβ型銅フタロシアニン顔
料(A)を得る顔料化工程を行うことによって、顔料化
工程中のβ型銅フタロシアニンの結晶成長を適度に抑制
することができ、その結果、アスペクト比が1〜5程度
の結晶形状であって、緑味鮮明の青色を呈する、β型銅
フタロシアニン顔料(A)を含む本発明の顔料組成物が
得られる。
【0068】さらに、銅フタロシアニンクルード(D)
を合成する合成工程を、四角錐型構造の金属フタロシア
ニン(B)を形成することのできる金属またはこの金属
を含む金属化合物の存在下で行ってもよく、このような
方法によれば、合成工程において銅フタロシアニンクル
ード(D)とともに四角錐型構造の金属フタロシアニン
(B)も生成する。
【0069】この方法においては、合成工程に引き続
く、摩砕工程や顔料化工程等は、上記に例示した方法を
いずれも採用できるが、特に上記で好適であると指摘し
た顔料化方法がここでも好適である。その結果、その後
に行うソルベントソルトミリング法やソルベント法など
の顔料化工程において、四角錐型構造の金属フタロシア
ニン(B)がβ型銅フタロシアニンの結晶成長を適度に
抑制し、緑味鮮明な青色を呈し着色力に優れ、かつ、耐
熱性に優れた、β型銅フタロシアニン顔料(A)を含む
本発明の顔料組成物が得られる。
【0070】本発明においては、摩砕工程を含む上記製
造方法、すなわち、合成工程で得られた銅フタロシアニ
ンクルード(D)を摩砕して銅フタロシアニンセミクル
ード(C)とする摩砕工程を経る製造方法が、それ以外
の2方法、すなわち、銅フタロシアニンクルード(D)
を直接顔料化する製造方法、および、銅フタロシアニン
クルード(D)を合成する合成工程を、四角錐型構造の
金属フタロシアニン(B)を形成することのできる銅以
外の金属またはこの金属を含む金属化合物の存在下で行
う製造方法に比べて特に好ましい。また、顔料化工程の
前工程として如何なる工程を採用しようとも、最適な顔
料化方法は、ソルベント法である。
【0071】こうして得られたβ型銅フタロシアニン顔
料(A)と四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)と
を含有する本発明の顔料組成物は、そのままで公知慣用
の用途、例えば印刷インキ用途、塗料用途、成形品着色
用途等に使用することが可能であるが、公知の方法に従
って表面処理や添加剤の添加を適宜行って使用してもよ
い。
【0072】より具体的には、本発明の顔料組成物は、
印刷インキワニス、塗料用樹脂、プラスチック用樹脂等
の目的に応じた媒体中へ分散することにより、印刷イン
キ、塗料、プラスチック着色剤等を製造することができ
る。
【0073】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
さらに詳細に説明する。なお、例中において「部」は重
量部を、「%」は「重量パーセント」を意味する。
【0074】[製造例1](銅フタロシアニンクルード
の製造) 無水フタル酸1218部、尿素1540部、無水塩化第
一銅200部、モリブデン酸アンモニウム5部および溶
媒として炭素原子数5〜8個のアルキル基を有するアル
キルベンゼンの混合物4000部を反応器に仕込み、攪
拌しながら加熱して200℃まで昇温させた後、同温度
で2.5時間反応させた。反応終了後、減圧下で溶媒を
留去し、残った反応生成物を2%塩酸8000部中に加
え、70℃で1時間攪拌した後、吸引濾過した。このよ
うにして得たケーキを80℃の温水で充分洗浄した後、
乾燥させて銅フタロシアニンクルード(D)を得た。こ
れは一次粒子径10〜100μmの粒子であった。
【0075】[製造例2](銅フタロシアニンセミクル
ードの製造) 製造例1で得た銅フタロシアニンクルード500部を容
量5リットルのアトライター(直径3/8インチのスチ
ールボール13kgを含む)を用いて、内温90〜11
0℃で60分間粉砕して、α型およびβ型銅フタロシア
ニンから成る混合物(α:β=7:3)であるセミクル
ード(C)を得た。これは一次粒子径0.01μm以下
の微粒子が凝集したものであった。
【0076】[実施例1]容量500mlのフラスコに
銅フタロシアニンセミクルード(C)50部と、四角錐
型構造のアルミニウムフタロシアニン顔料(B)市販品
2.5部を加え、ジエチレングリコール350部中で1
30℃、90分加熱した。そして、濾過、乾燥後、粉砕
して、市販のアルミニウムフタロシアニン(B)とβ型
銅フタロシアニン顔料を含む、アスペクト比3〜5の範
囲にある顔料組成物(A−1)を得た。これは一次粒子
径0.05〜0.1μmの粒子であった。
【0077】[比較例1]容量500mlのフラスコに
銅フタロシアニンセミクルード(C)50部を入れ、ジ
エチレングリコール350部中で130℃、90分加熱
した。そして、濾過、乾燥後、粉砕して、β型銅フタロ
シアニン顔料(A−2)を得た。これは一次粒子径0.
07〜0.15μmの粒子であった。
【0078】[試験例1]実施例1で得られた顔料組成
物(A−1)の着色力、色相(彩度、色相角)を、比較
例1で得られたβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)と
比較して評価した。結果を表1に示す。 (1)着色力の評価方法 実施例1の顔料組成物(A−1)の淡色ペーストと、比
較例1のβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)の淡色ペ
ーストを得て、両者を少量、白紙に展色して、両者の色
の濃さを測色計で判定した。そして、比較例1の淡色ペ
ーストの色の濃さを100とした場合の実施例1の淡色
ペーストのそれを相対着色力とした。なお淡色ペースト
は、顔料とワニスを混合しフーバーマーラーで分散さ
せ、濃色ペースト(顔料分16%)を調製し、ついで、
この濃色ペーストと白インキ(酸化チタン)を重量比
1:20で混合し、フーバーマーラーで分散させて得ら
れた。 (2)色相(彩度、色相角)の評価方法 実施例1で得られた顔料組成物(A−1)と比較例1で
得られたβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)の彩度と
色相角を、それぞれ分光光度計で測定し、下記式(1)
で示す(A−1)の彩度CA-1と(A−2)の彩度CA-2
との差ΔC*と、下記式(2)で示す(A−1)の色相
角hA-1と(A−2)の色相角hA-2との差Δhを求め
た。なお、下記式(1)において、ΔC* の値が大きい
程、(A−2)に対して、(A−1)の方がより鮮明で
あることを示す。また、下記式(2)において、Δhの
値が小さい程、(A−2)に対して(A−1)の方がよ
り緑味であることを示す。 ΔC* =CA-1−CA-2 …(1) Δh=hA-1−hA-2 …(2)
【0079】
【表1】 実施例1で得られた顔料組成物(A−1)は比較例1で
得られたβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)に比べて
着色力が優れ、また、緑味鮮明な青色であった。
【0080】[試験例2](耐熱性) 実施例1で得られた顔料組成物(A−1)および比較例
1で得られたβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)を、
それぞれポリエチレン樹脂(三井石油化学(株)製 ハ
イゼックス2100J)に混合し、220℃、250
℃、280℃でそれぞれ射出成形して6種類の成形板を
製造した。そして、220℃で得られた成形板の着色力
を100とした場合の、250℃および280℃で得ら
れた成形板の着色力を相対着色力として、(A−1)を
含む成形板および(A−2)を含む成形板についてそれ
ぞれ評価した。また、250℃および280℃で得られ
た成形板の彩度、色相角と、220℃で得られた成形板
の彩度と色相角との差異、すなわちΔC* 、Δhを、実
施例1の顔料組成物(A−1)および比較例1のβ型銅
フタロシアニン顔料(A−2)についてそれぞれ求め
た。
【0081】
【表2】 実施例1で得られた顔料組成物(A−1)は比較例1で
得られたβ型銅フタロシアニン顔料(A−2)に比べ
て、射出成形温度が高温になることによる相対着色力の
低下、彩度の低下、色相の変化が少なかった。また、本
発明の顔料組成物は、副次的に耐溶剤性にも優れてい
た。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、結
晶成長が適度に抑制され、緑味鮮明な青色を呈し着色力
に優れ、さらに、耐熱性に優れる、β型銅フタロシアニ
ン顔料として使用できる顔料組成物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 四角錐型構造の金属フタロシアニンの分子構
造である。
【図2】 β型銅フタロシアニン分子が積層して結晶成
長する様子を模式的に示す説明図である。
【図3】 四角錐型構造の金属フタロシアニン分子が積
層してβ型銅フタロシアニン分子の結晶成長を阻害する
様子を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…中心金属イオン、2…窒素、10…β型銅フタロシ
アニン分子、20…金属フタロシアニン分子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08K 5/56 C08K 5/56 C08L 101/00 C08L 101/00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β型銅フタロシアニン顔料(A)と、四
    角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を含有すること
    を特徴とする顔料組成物。
  2. 【請求項2】 β型銅フタロシアニン顔料(A)と、四
    角錐型構造の金属フタロシアニン(B)は、いずれもア
    スペクト比が1〜5であることを特徴とする請求項1に
    記載の顔料組成物。
  3. 【請求項3】 銅フタロシアニンセミクルード(C)
    と、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を含有す
    ることを特徴とするセミクルード組成物。
  4. 【請求項4】 銅フタロシアニンクルード(D)と、四
    角錐型構造の金属フタロシアニン(B)を含有すること
    を特徴とするクルード組成物。
  5. 【請求項5】 銅フタロシアニンクルード(D)を合成
    する合成工程と、銅フタロシアニンクルード(D)を摩
    砕して銅フタロシアニンセミクルード(C)とする摩砕
    工程と、銅フタロシアニンセミクルード(C)を顔料化
    してβ型銅フタロシアニン顔料(A)とする顔料化工程
    を含むβ型銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法であ
    って、 少なくとも顔料化工程を、四角錐型構造の金属フタロシ
    アニン(B)の存在下で行うことを特徴とするβ型銅フ
    タロシアニン顔料組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 銅フタロシアニンクルード(D)を合成
    する合成工程と、銅フタロシアニンクルード(D)を顔
    料化してβ型銅フタロシアニン顔料(A)とする顔料化
    工程を含むβ型銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法
    であって、 少なくとも顔料化工程を、四角錐型構造の金属フタロシ
    アニン(B)の存在下で行うことを特徴とするβ型銅フ
    タロシアニン顔料組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 銅フタロシアニンクルード(D)を合成
    する合成工程を含むβ型銅フタロシアニン顔料組成物の
    製造方法であって、 合成工程を、四角錐型構造の金属フタロシアニン(B)
    を形成することのできる銅以外の金属またはこの金属を
    含む金属化合物の存在下で行うことを特徴とするβ型銅
    フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 顔料化工程を、ソルベント法にて行うこ
    とを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のβ
    型銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006077062A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Toyo Ink Mfg Co Ltd 顔料の製造方法
JP2009215554A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Xerox Corp フタロシアニン顔料のナノサイズ粒子
JP2020117560A (ja) * 2019-01-18 2020-08-06 Dic株式会社 塗料用青色顔料組成物

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