JP5764831B2 - 洗浄用溶剤組成物及び洗浄方法 - Google Patents

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本発明は、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための溶剤組成物に関する。
近年の工業製品は、硬化性樹脂と金属等を組み合わせた多種多様な工業製品が市場投入されている。しかし、その製造工程では、樹脂加工の段階での不良加工品は金属のみを取出し再利用することができず膨大なコストをかけて廃棄しているのが現状であった。また、硬化性樹脂である接着剤を利用した多種多様な工業製品も市場投入されているが、同様に接着剤を利用した加工品も再利用する事ができず膨大なコストをかけて廃棄しているのが現状であった。
従来、樹脂が付着した被洗浄物を洗浄するための様々な洗浄剤が提案されている。特許文献1には、イソプロピルブロマイド及びノルマルプロピルブロマイドの少なくとも一方の溶剤と、ニトロアルカン類、エーテル類、エポキシド類及びアミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の溶剤からなる安定剤とを配合した溶剤第1成分と、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを含むプラスチック用溶剤組成物が、ポリエステル、アクリル樹脂、及びフェノキシ樹脂などのプラスチックに対して、高い溶解性能を示すことが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されたイソプロピルブロマイド及びノルマルプロピルブロマイドの双方を主成分として含有する溶剤第1成分とN−メチル−2−ピロリドンとを含む組成物では、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂のような硬化性樹脂及びその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄した場合に、その洗浄効果は不十分であった。さらに、特許文献1に記載されているピロリドン類を含む樹脂用洗浄剤については近年欧州の環境機関であるEuropean Chemicals Agency(略称ECA)において、その毒性が議論され、特にN−メチル−2−ピロリドンなどは規制対象の候補物質として検討されている。このように、ピロリドン類を含む樹脂用洗浄剤については毒性の問題があり、ピロリドン類を含む樹脂用洗浄剤の代替洗剤が望まれていた。
特開平11−172290号公報
本発明は、低毒性であり、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物に対して良好な洗浄効果を有する洗浄用溶剤組成物を提供するものである。
本発明者らは、前記の課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、N−メチル−2−ピロリドンについて認められている生殖毒性が、γ−ブチロラクトン(GBL)では認められておらず、このγ−ブチロラクトンを含んだ洗浄組成物が、N−メチル−2−ピロリドンを含んだ洗浄組成物と同等の洗浄力を有することを見出した。また、(a)ノルマルプロピルブロマイド(NPB)を100重量、及び(b)γ−ブチロラクトンを60〜450重量部を含むことを特徴とする洗浄用溶剤組成物が、特許文献1に開示されたイソプロピルブロマイド及びノルマルプロピルブロマイドの少なくとも一方の溶剤と、ニトロアルカン類、エーテル類、エポキシド類及びアミン類からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の溶剤からなる安定剤とを配合した溶剤第1成分とN−メチル−2−ピロリドンとを含む組成物と比較して、毒性が低く、かつウレタン樹脂及びエポキシ樹脂等の硬化性樹脂、並びにそれらの硬化物が付着した被洗浄物に対して、同等の洗浄効果を有することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部、及び(b)γ−ブチロラクトン60重量部〜450重量部を含むことを特徴とする、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための溶剤組成物に関する。
本発明は、更に、(a)成分及び(b)成分の合計100重量部に対して、ニトロアルカン安定剤、エポキシド安定剤、エーテル安定剤、及び防錆剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を0.1〜10重量部含む、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、ニトロアルカン安定剤が、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン及び2−ニトロプロパンからなる群より選択される、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、エポキシド安定剤が、エピクロロヒドリン、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメチルエーテル、グリシジルメタクレート、ペンテンオキサイド、シクロペンテンオキサイド及びシクロヘキセンオキサイドからなる群より選択される、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、エーテル安定剤が、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンからなる群より選択される、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、防錆剤が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンからなる群より選択される、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、前記硬化性樹脂が、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂である、前記に記載の溶剤組成物に関する。
本発明は、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための方法であって、前記に記載の溶剤組成物を該被洗浄物と接触させる工程を含むことを特徴とする方法に関する。
本発明により、低毒性であり、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物に対して良好な洗浄効果を有する洗浄用溶剤組成物が提供される。
本発明の硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための溶剤組成物は、(a)ノルマルプロピルブロマイド(NPB)を100重量部、及び(b)γ−ブチロラクトン(GBL)を60〜450重量部含む。なお、本発明の溶剤組成物は、ノルマルプロピルブロマイドの製造工程において生成するイソプロピルブロマイドを不可避的な量で含み得る。また、本発明の溶剤組成物に用いられるγ−ブチロラクトンについて生殖毒性が認められていないことが、γ−ブチロラクトンについての製品安全データシートなどによって示されている。
本発明の溶剤組成物は、ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対して、γ−ブチロラクトンを60〜450重量部含む。本発明において、γ−ブチロラクトンの含有量が60重量部未満であると、硬化性樹脂及びその硬化物を被洗浄物から効率よく洗浄除去することが難しく、450重量部を超えても、むしろ硬化性樹脂及びその硬化物を被洗浄物より除去する効果が格別向上しないか、もしくは低下することがあり、さらにγ−ブチロラクトンのミスト吸入による急性毒性の影響がゼロではないから好ましくない。本発明において、洗浄効果の向上及び低い生殖毒性の点から、γ−ブチロラクトンの含有量は、ノルマルプロピルブロマイド100重量部に対して、65〜350重量部であるのが好ましい。
本発明の溶剤組成物は、更に、(a)成分及び(b)成分の合計100重量部に対して、ニトロアルカン安定剤、エポキシド安定剤、エーテル安定剤、及び防錆剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を含むことが好ましい。添加剤は、それぞれを単独で用いてもよいし、複数の種類の添加剤の混合物として、例えば、ニトロアルカン安定剤及びエポキシド安定剤の2種の安定剤の混合物、ニトロアルカン安定剤、エポキシド安定剤及びエーテル安定剤の3種の安定剤の混合物、並びに防錆剤及び安定剤の混合物として用いてもよい。
ニトロアルカン安定剤としては、例えばニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン及び2−ニトロプロパンが挙げられる。これらのニトロアルカン安定剤としては、単独で用いても、複数のニトロアルカン安定剤の混合物として用いてもよい。
エポキシド安定剤としては、例えばエピクロロヒドリン、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメチルエーテル、グリシジルメタクレート、ペンテンオキサイド、シクロペンテンオキサイド及びシクロヘキセンオキサイドが挙げられる。これらのエポキシド安定剤としては、単独で用いても、複数のエポキシド安定剤の混合物として用いてもよい。
エーテル安定剤としては、例えば1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンが挙げられる。これらのエーテル安定剤としては、単独で用いても、複数のエーテル安定剤の混合物として用いてもよい。
防錆剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンが挙げられ、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンが特に好ましい。これらの防錆剤は、単独で用いてもよいし、複数の防錆剤の混合物として用いてもよい。
本発明において、(a)成分及び(b)成分の合計量は、溶剤組成物全体の90.9重量%以上であるのが好ましい。つまり、本発明において、更に、(a)成分及び(b)成分の合計100重量部に対して、添加剤を0〜10重量部含むことが好ましく、0.1〜10重量部含むことがより好ましく、0.5〜10重量部含むことが特に好ましい。なお、添加剤の含有量が0〜10重量部とは、添加剤が混合物である場合は、該混合物の合計の重量が0〜10重量部であることをいう。
本発明において、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部、(b)γ−ブチロラクトン60〜450重量部、並びにノルマルプロピルブロマイド及びγ−ブチロラクトンの合計100重量部に対して、添加剤0.1〜10重量部からなる溶剤組成物が好ましく、(a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部、(b)γ−ブチロラクトン65〜350重量部、並びにノルマルプロピルブロマイド及びγ−ブチロラクトンの合計100重量部に対して、添加剤0.5〜10重量部からなる溶剤組成物がより好ましい。このような範囲であれば、硬化性樹脂に対する溶解力も高く、洗浄時間が短くなる点で良好である。
本発明の溶剤組成物は、原料成分である(a)ノルマルプロピルブロマイド及び(b)γ−ブチロラクトン、並びに場合により更に含まれる添加剤を混合することにより製造することができる。
本発明の溶剤組成物は、被洗浄物に付着した硬化性樹脂を洗浄除去するために用いられる。本発明において、被洗浄物に付着した硬化性樹脂には、硬化性樹脂のほかに、硬化性樹脂に配合される添加剤を含む硬化性樹脂が含まれる。
本発明において、硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂が挙げられる。
また、硬化性樹脂に配合される添加剤としては、硬化性樹脂に通常用いられている添加剤であれば、特に限定されるものではなく、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、乳化剤、発泡剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、着色剤、帯電性付与剤、褶動性改良剤、耐衝撃性改良剤、及び反応希釈剤が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジルエーテル、多塩基酸のポリグリシジルエステル、3,4−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及びヒダントイン環を有するエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂に配合される添加剤としては、硬化剤、硬化促進剤、充填剤、安定剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、着色剤、帯電性付与剤、褶動性改良剤、耐衝撃性改良剤、及び反応希釈剤等の添加剤が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として通常使用されているものであればいずれであってもよく、例えばフェノールノボラック、ビフェノール型ノボラック、及びビスフェノールA型ノボラック等のノボラック、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、及び無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の酸無水物、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、及びヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、並びにポリアミドアミン等のアミド樹脂等が挙げられる。硬化促進剤としては、例えば第三級アミン類又は有機リン化合物が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、及びジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)等のジイソシアナート、並びにポリプロピレングリコール等のポリオール類との反応生成物が挙げられる。本発明において、ウレタン樹脂に配合される添加剤としては、硬化剤、硬化促進剤、乳化剤、発泡剤、安定剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、褶動性改良剤、及び耐衝撃性改良剤が挙げられる。
本発明において、被洗浄物に付着した硬化性樹脂の硬化物には、硬化性樹脂の硬化反応が促進することにより硬化する硬化物のほかに、反応希釈剤等の硬化性樹脂に配合された添加剤が揮発し、粘度が上昇するによって固化した固化物も含まれる。
本発明の溶剤組成物を用いて洗浄される被洗浄物として、硬化性樹脂を取り扱うために用いられる装置、例えば、容器、混合機、成形機、貯蔵タンク、加工機、混合槽、注型機、注入機、コーティング装置及び封入機;並びに、硬化性樹脂の加工物、例えばウレタン樹脂の加工物(例えば自動車部品及び電子部品など)及びエポキシ樹脂の加工物(例えば電子部品、配管部品及び自動車部品など)が挙げられる。
硬化性樹脂を取り扱うために用いられる装置には、樹脂成分の充填及び混合、硬化成型などの樹脂の加工工程、及び装置の洗浄を繰り返して使用されるものが含まれる。また、注型器及び容器等は、一般に、原料成分の注入、硬化成型及び洗浄を繰り返して使用される。
硬化性樹脂の加工物、例えばウレタン樹脂の加工物及びエポキシ樹脂の加工物は、加工物の成型の際に用いられたウレタン樹脂及びエポキシ樹脂以外の素材を再利用する目的で用いられる物が含まれる。具体的には、これらウレタン樹脂の加工物及びエポキシ樹脂の加工物に不良が発生した場合、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂以外の素材を、ウレタン樹脂の硬化物及びエポキシ樹脂の硬化物から分離して再利用する。
このような素材として、例えば、ステンレス等の各種金属部品がある。すなわち、自動車用のシャフトやフレーム部品、外装部品等に用いられる金属製部品をはじめ、プリンタ等の電子機器に用いられるローラーシャフトやフレーム部品、さらにパイプ等の配管部品などがある。これらの金属製部品は、板状部材に限らず、断面円形状や矩形状のパイプ状部材や長尺部材であったり、その他、複雑な形状を有する部材であったりする。
本発明の溶剤組成物は、硬化性樹脂又は硬化性樹脂の硬化物が付着した被洗浄物から、該硬化性樹脂又は硬化性樹脂の硬化物を除去して、被洗浄物を洗浄するために用いられる。例えば、本発明の溶剤組成物は、ステンレス製の板及びステンレス製パイプなどの金属部品と、硬化性樹脂とを一体成型することにより得られる、硬化性樹脂の硬化物が付着した被洗浄物から、硬化性樹脂の硬化物を除去するための溶剤組成物として用いることができる。具体的には、被洗浄物がステンレス製のパイプ又は円柱の外周に硬化性樹脂の硬化物が付着している硬化性樹脂の加工物、例えばプリンタローラである場合、プリンタのシャフトに一体的に固着されたゴムやプラスチックなどのローラ部分を除去することができる。このようなプリンタローラのゴム部分の材質として、エピクロロヒドリンゴムが挙げられる。
本発明において、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄する方法は、本発明の洗浄用溶剤組成物を、前記被洗浄物と接触させる工程を含む。本発明において、本発明の洗浄用溶剤組成物を被洗浄物に接触させる工程において、被洗浄物に付着した硬化性樹脂又はその硬化物は、被洗浄物から溶解除去されるか又は剥離除去される。
本発明の洗浄用溶剤組成物と、前記硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物とを接触させるための方法としては、特に制限はなく、洗浄用溶剤組成物への前記被洗浄物の浸漬、溶剤組成物を含浸したスポンジによる前記被洗浄物の拭き取り、及び前記被洗浄物に対する洗浄用溶剤組成物のスプレー等が好ましく、浸漬による方法がより好ましい。
浸漬による方法において、洗浄効果を高めるために、浸漬と同時に、攪拌、揺動、超音波振動、又はエアバブリング等による手段を組み合わせることが好ましく、超音波振動による手段を組み合わせることがより好ましい。超音波振動は、発振周波数が20〜100kHzであり、発振出力が10〜500Wであるのが好ましい。エアバブリングでは、微細な気泡を、好ましくは、ガス及び洗浄用溶剤組成物の体積比が1:1〜5:1となるように通気することで、洗浄用溶剤組成物に不溶性の汚れを気泡と共に上昇させることができ、これにより被洗浄物に付着した硬化性樹脂又はその硬化物のみならず、不溶性の汚れをも分離することができる。
本発明において、洗浄用溶剤組成物及び被洗浄物の接触時間に相当する洗浄時間は、被洗浄物に付着した硬化性樹脂又は被洗浄物に付着した硬化性樹脂の硬化物を洗浄除去できる時間であれば特に制限されない。
例えば、超音波振動を組み合わせた浸漬による方法における洗浄時間は、硬化前の硬化性樹脂が付着した被洗浄物を洗浄するために、好ましくは5秒間〜2時間、特に好ましくは10秒間〜1時間であり、硬化性樹脂組成物の硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するために、好ましくは10分間〜10時間、特に好ましくは30分間〜2時間である。
上記洗浄時間未満である場合は洗浄が不十分で、付着した硬化性樹脂又はその硬化物を被洗浄物から十分に除去できない場合があり、一方、上記洗浄時間を超えた場合は、洗浄効果が格別向上しない。
本発明において洗浄温度は、好ましくは20〜120℃である。このような温度において、より高温で処理することにより洗浄効果を上昇させることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例1〜5及び比較例1〜4の溶剤組成物を、表1で示される組成で各成分を混合することにより調製した。
Figure 0005764831
試験例1 硬化前エポキシ樹脂
(1−1)硬化前エポキシ樹脂が付着したステンレス板の作製
エポキシ樹脂として、京セラケミカル社製エポキシレジンTCG1628A(主剤)及びTCG1628B(硬化剤)を用いた。該エポキシ樹脂は、主剤及び硬化剤の混合後、室温24時間で表面の硬化が開始する。4cm×4cmのステンレス板に、主剤及び硬化剤を混合したエポキシ樹脂を厚さ5mmほど塗布し、樹脂が付着したステンレス板を得た。樹脂の塗布後、直ちに洗浄テストを行った。
(1−2)被洗浄物の洗浄
被洗浄物の洗浄のため、200ミリリットルのビーカーに、実施例1〜5及び比較例1〜4の各溶剤組成物150gを入れた。樹脂が付着したステンレス板を、樹脂の塗布後直ちに実施例1〜5及び比較例1〜4の溶剤組成物に浸して、超音波洗浄機(発振周波数38kHz、出力360W)にて洗浄を10秒間行った。洗浄後、ステンレス板を取り出してエポキシ樹脂が除去できているかどうかを目視により判定した。
試験例2 硬化後エポキシ樹脂
(2−1)硬化後エポキシ樹脂が付着したステンレス板の作製
エポキシ樹脂として、コニシ社のボンドE250(A剤:エポキシ、B剤:ポリアミドアミン)を用いた。このエポキシ樹脂は、A剤及びB剤を混合後、室温20℃にて24時間後で実用強度に達する。4cm×4cmのステンレス板に、A剤及びB剤を混合したエポキシ樹脂を厚さ5mmほど塗布し、室温にて24時間硬化させて、樹脂が付着したステンレス板を得た。
(2−2)被洗浄物の洗浄
被洗浄物の洗浄のため、200ミリリットルのビーカーに、実施例1〜5及び比較例1〜4の各溶剤組成物150gを入れた。樹脂が付着したステンレス板を、実施例1〜5及び比較例1〜4の溶剤組成物に浸して、超音波洗浄機(発振周波数38kHz、出力360W)にて1時間洗浄を行った。洗浄後、ステンレス板を取り出してエポキシ樹脂が除去できているかどうかを目視により判定した。
試験例1及び2の結果を表2に示す。
Figure 0005764831
試験例3 硬化前ウレタン樹脂
(1−1)ウレタン樹脂が付着したステンレス板の作製
ウレタン樹脂として、三洋化成工業株式会社製のF−3500A(主剤)及びF−3500B(硬化剤)を用いた。このウレタン樹脂は、主剤及び硬化剤の混合後、室温120秒で表面の硬化が開始する。4cm×4cmのステンレス板に、主剤及び硬化剤を混合したウレタン樹脂を厚さ5mmほど塗布し、室温にて60秒間硬化させて、樹脂が付着したステンレス板を得た。
(1−2)被洗浄物の洗浄
洗浄試験のため、200ミリリットルのビーカーに、実施例1〜4及び比較例1〜4の各溶剤組成物150gを入れた。樹脂が付着したステンレス板を、実施例1〜4及び比較例1〜4の溶剤組成物に浸して、超音波洗浄機(発振周波数38kHz、出力360W)にて1時間洗浄を行った。洗浄後、ステンレス板を取り出してウレタン樹脂が除去できているかどうかを目視により判定した。
試験例3の結果を表3に示す。
Figure 0005764831
本願発明の好ましい含有量の溶剤組成物である実施例1〜4の溶剤組成物を用いた場合は、硬化前のウレタン樹脂が付着した被洗浄物に対しても優れた洗浄力を示していた。
本発明の洗浄用溶剤組成物は、生殖毒性が認められているN−メチル−2−ピロリドンを用いた洗浄用溶剤組成物に対して、生殖毒性が認められていないγ−ブチロラクトンを含むために低毒性であり、また広範囲な硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物に対して良好な洗浄効果を有し、特にウレタン樹脂及びエポキシ樹脂、並びにそれらの硬化物が付着した被洗浄物に対して良好な洗浄効果を有する。本発明の洗浄用溶剤組成物は、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物に対する洗浄剤として工業的に極めて有用である。

Claims (8)

  1. (a)ノルマルプロピルブロマイド100重量部、及び
    (b)γ−ブチロラクトン60重量部〜450重量部
    を含むことを特徴とする、硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための溶剤組成物。
  2. 更に、(a)成分及び(b)成分の合計100重量部に対して、ニトロアルカン安定剤、エポキシド安定剤、エーテル安定剤、及び防錆剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を0.1〜10重量部含む、請求項1記載の溶剤組成物。
  3. ニトロアルカン安定剤が、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン及び2−ニトロプロパンからなる群より選択される、請求項2記載の溶剤組成物。
  4. エポキシド安定剤が、エピクロロヒドリン、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、グリシジルメチルエーテル、グリシジルメタクレート、ペンテンオキサイド、シクロペンテンオキサイド及びシクロヘキセンオキサイドからなる群より選択される、請求項2又は3記載の溶剤組成物。
  5. エーテル安定剤が、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサンからなる群より選択される、請求項2〜4のいずれか一項記載の溶剤組成物。
  6. 防錆剤が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンからなる群より選択される、請求項2〜5のいずれか一項記載の溶剤組成物。
  7. 前記硬化性樹脂が、エポキシ樹脂又はウレタン樹脂である、請求項1〜6のいずれか一記載の洗浄用溶剤組成物。
  8. 硬化性樹脂又はその硬化物が付着した被洗浄物を洗浄するための方法であって、請求項1〜7のいずれか1項記載の溶剤組成物を該被洗浄物と接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
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