以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は建物の概要を示す斜視図である。
図1に示すように、建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その建物本体12の上方に配設された屋根13とを備える。建物本体12は、複数の建物ユニット20が互いに連結されてなる2階建ての建物となっている。建物本体12は、建物ユニット20として、平面視の大きさが異なる複数種類(詳しくは2種類)の建物ユニット20a,20bを備えている。これら各建物ユニット20a,20bは、短辺側(妻側)の幅寸法が同一である一方、長辺側(桁側)の幅寸法が相違している。具体的には、建物ユニット20aは、建物ユニット20bよりも長辺側の幅寸法が大きくなっている。
建物本体12の一階部分及び二階部分にはそれぞれ各建物ユニット20a,20bが2つずつ設置されており、同じ大きさの2つの建物ユニット20a(20b)同士が互いの桁面を向き合わせて配置され、異なる大きさの建物ユニット20a,20b同士が互いの妻面を向き合わせて配置されている。この場合、建物本体12の平面視形状は全体として長方形状とされている。
次に、建物ユニット20について説明する。図2は建物ユニット20を示す斜視図である。図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
天井大梁22の上フランジ部22aには、固定孔41が形成されている。固定孔41は、天井大梁22の上フランジ部22a上に設置されて屋根13を下方から支持する束(図示略)を固定するために用いられる孔である。固定孔41は2つ1組となっており、それが束の設置位置に合わせて複数の箇所に設けられている。
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁24が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁25が架け渡されている。これら各天井小梁24の下面には、天井材26が支持されており、これら各床小梁25上には、床材(図示略)が支持されている。
建物ユニット20の側面には、外壁パネル27や内壁パネル69(図8)が設けられている。建物ユニット20には隣り合う2つの側面にそれぞれ外壁パネル27が設けられ、そのうち長辺側(桁面側)の側面に設けられた外壁パネル27には窓部28と当該窓部28を開閉するガラス戸29とが設けられている。
ところで、建物10の施工時において屋根13を設置する前に雨が降ってきた場合には、建物本体12が雨で濡れるのを防止すべく、建物本体12を防水シートにより上方から覆うこととしている。本実施形態はこの防水シートの設置構造に特徴を有しており、以下かかる設置構造について図3を用いて説明する。なお、図3は、防水シートの設置構造を示す斜視図であり、(a)が防水シートを建物本体12上に設置した状態を示し、(b)が防水シートを建物本体12から離した状態を示している。またここでは、建物本体12が完成した時点、すなわち各建物ユニット20をすべて設置し終えた時点で、建物本体12上を防水シートで覆うことを想定している。
図3(a)に示すように、建物本体12上には、当該建物本体12を上方から覆うようにして防水シート31が設けられている。防水シート31は、全体として長方形状に形成されており、その大きさ(縦横寸法)が建物本体12の平面視の大きさに合わせたものとされている。具体的には、防水シート31は、その大きさが建物本体12の平面視の大きさよりも一回り大きくなっており、建物本体12の建物上面部全体を覆うことが可能となっている。そして、防水シート31は、その周縁側において建物本体12の外周上端部に対して取り付けられている。
防水シート31は、複数(図3では4つ)に分割された分割シート35を備え、それら各分割シート35がジョイントシート36を介して互いに連結されることにより形成されている。各分割シート35はそれぞれ建物本体12の二階部分を構成する各建物ユニット20(上階ユニット)ごとに設けられ、各々の建物ユニット20をそれぞれ上方から覆うものとなっている。
分割シート35は、ポリエチレン樹脂等の不透水性を有する材料よりなり、全体として長方形状に形成されている。各分割シート35はそれぞれ、その大きさが各々の建物ユニット20の平面視の大きさに合わせて設定されており、詳しくは建物ユニット20の平面視の大きさよりも一回り大きい大きさとされている。つまり、分割シート35には、各建物ユニット20a,20bごとに大きさの異なる2種類の分割シート35a,35bがあり、このうち分割シート35aが建物ユニット20a上に、分割シート35bが建物ユニット20b上に配置されている。なお、分割シート35は、塩化ビニル樹脂等その他の不透水性を有する材料により形成されていてもよい。
次に、分割シート35の構成について図4を用いてより詳しく説明する。なお、図4は分割シート35を示す正面図である。
図4に示すように、分割シート35のシート面には面ファスナ37が設けられている。面ファスナ37は、分割シート35において両側のシート面すなわち両面にそれぞれ設けられており、それら両面の各面ファスナ37は分割シート35に対して表裏対称形状となるように形成されている。面ファスナ37は、後述するジョイントシート36の面ファスナ38と着脱可能に接合される接合部となっており、例えば面ファスナ37が雄接合部、ジョイントシート36の面ファスナ38が雌接合部として構成されている。
面ファスナ37は、分割シート35において隣り合う2つの端辺に沿ってそれぞれ形成されている。面ファスナ37は、それら各端辺ごとにそれぞれ所定の間隔を隔てて複数列(図4では2列)設けられており、それら各面ファスナ37はそれぞれ各々の端辺長さ全域に亘って連続して形成されている。
分割シート35の隅部には同シート35の一部が矩形形状に切り欠かれることで切欠部43が形成されている。切欠部43は、分割シート35において面ファスナ37が設けられていない側の2つの端辺の間の隅部42に形成されている。ここで、隅部42は、防水シート31(分割シート35)により建物本体12を上方から覆った際に建物本体12の出隅部に配置される部位となっており、分割シート35においてこの隅部42を挟んで隣り合う2つの端辺側の周縁部は建物本体12に対して取り付けられるべく下方に曲げられるものとなっている(その詳細は後述)。この場合、隅部42に切欠部43が形成されていることにより、分割シート35の上記2つの端辺側周縁部が互いに干渉し合うことが回避されている。
分割シート35の隅部42には、同シート35の裏側から切欠部43を塞ぐようにして裏当てシート39が設けられている。裏当てシート39は、ポリエチレン樹脂等の不透水性を有する材料により扇形形状(四半円状)に形成されている。裏当てシート39は、その円弧部を分割シート35の外側に向けて配置されており、その一部が分割シート35の裏面に重ね合わせられた状態で接着等により接合されている。これにより、分割シート35の切欠部43に流れた雨水を裏当てシート39により受けることが可能となっている。
分割シート35の周縁部には複数の箇所に通し孔45が形成されている。通し孔45は、分割シート35ひいては防水シート31を建物本体12に取り付ける際に用いるロープ61(図8参照)を通すための孔である。通し孔45は、分割シート35の4隅のうち、隅部42に対して対角となる隅部を除く3つの隅部、すなわち防水シート31により建物本体12上を覆った際に分割シート35において建物本体12の外周部に配置される3つの隅部に設けられている。また、通し孔45は、上記3つの隅部のうち隅部42においては切欠部43を挟んだ両側に複数(図4では3つ)ずつ設けられ、他の2つの隅部でも複数(図4では3つ)ずつ設けられている。
次に、ジョイントシート36について図5を用いて説明する。図5は、ジョイントシート36を示す正面図である。
図5に示すように、ジョイントシート36は、ポリエチレン樹脂等の不透水性を有する材料により帯状に形成されている。ジョイントシート36の片面には、面ファスナ38が設けられている。面ファスナ38としては、ジョイントシート36の長手方向全域に亘って連続して形成された面ファスナ38aと、同シート36における長手方向の一端側において短手方向全域に亘って連続して形成された面ファスナ38bとが設けられている。面ファスナ38aは、所定の間隔をおいて4列形成されており、換言すると2列一組のものが二組設けられている。面ファスナ38bは、所定の間隔をおいて2列形成されている。
また、ジョイントシート36には、その長手方向において面ファスナ38bが設けられている側とは反対側の端部に通し孔48が形成されている。通し孔48は、上述した分割シート35の通し孔45と同様、ジョイントシート36(ひいては防水シート31)を建物本体12に取り付けるためのロープ61を通す孔である。通し孔45は、ジョイントシート36の短手方向に所定の間隔をおいて2列設けられ、かつ、それら各列において同シート36の長手方向に複数(図5では3つ)ずつ設けられている。
図3の説明に戻り、防水シート31において各分割シート35a,35bはそれぞれ二階部分の各建物ユニット20a,20bの並びに合わせて並べられ、その並び状態において隣り合う各分割シート35は、各々の面ファスナ37がそれぞれ各分割シート35の境界部に沿って延びる向きで配置されている。そして、ジョイントシート36は、隣り合う各分割シート35の境界部に沿って延びるように、かつ、それら各分割シート35の表面に跨るように設けられ、その状態でジョイントシート36の面ファスナ38aと分割シート35の面ファスナ37とが互いに接合されている。これにより、各分割シート35がジョイントシート36を介して互いに連結されている。なお、このとき、分割シート35の通し孔45とジョイントシート36の通し孔48とは同位置に配置されて連通状態となっている。
また、具体的には、分割シート35とジョイントシート36とは互いの2列(複数列)の面ファスナ37,38a同士を接合させることにより連結されている。この場合、これら2列の面ファスナ37,38aによって、雨水が分割シート35とジョイントシート36との間を通じて漏れ出るのを防止することができ、ひいては建物本体12側に流れ落ちるのを防止することができる。
なお、各ジョイントシート36はそれぞれ隣り合う分割シート35同士の境界部に沿って同境界部の全域に亘って設けられている。ここで、防水シート31における隣り合う分割シート35同士の各境界部はそれぞれその境界長さが相違するものとなっているため、それに伴って各ジョイントシート36の長さ寸法もそれぞれ相違するものとなっている。
図3(b)に示すように、建物本体12の外周上端部には、防水シート31を取り付けるための複数の取付部材32が設けられており、建物本体12における外周上端部よりも中央側には、防水シート31を下方から支持する複数の支持部材33が設けられている。防水シート31は、建物本体12上においてこれら各取付部材32上及び各支持部材33上に跨るようにして設けられている。以下、これら取付部材32及び支持部材33について図6乃至図8を用いて説明する。図6は、建物本体12における取付部材32及び支持部材33の設置状態を示す平面図である。図7は、(a)が図6のA−A線断面図、(b)が図6のB−B線断面図である。図8は、取付部材32及びその周辺を拡大して示す縦断面図である。なお、図6及び図7では便宜上、建物ユニット20について躯体(詳しくは柱21及び天井大梁22)のみを示しており、図7では防水シート31を一点鎖線で示している。
まず、取付部材32について説明する。図6に示すように、取付部材32は、建物本体12の外周上端部に沿って所定の間隔で複数箇所に配置されている。具体的には、取付部材32は、建物本体12の各出隅部と、建物本体12の長辺側外周部及び短辺側外周部それぞれの中間部とに配置されている。より詳しくは、取付部材32は、建物本体12の長辺側外周部においては隣り合う各建物ユニット20a,20bの境界部と、各建物ユニット20a,20bそれぞれの中央部とに配置されており、建物本体12の短辺側外周部においては隣り合う各建物ユニット20a(20b)の境界部に配置されている。
図7及び図8に示すように、取付部材32は、防水シート31を接触させた状態で同シート31を取り付けるものであり、例えば硬質樹脂により形成されている。取付部材32は、防水シート31の接触面となる外表面部63が球面となっている本体部51と、建物本体12の外周上端部に取り付けられる一対の取付プレート52とを有する。
本体部51は、二階部分の建物ユニット20の上端角部に装着される被装着部53を有している。被装着部53は、建物ユニット20の上面部、具体的には同ユニット20の天井大梁22(詳しくはその上フランジ部22a)の上面に対向する第1対向部53aと、該第1対向部53aに直交する方向に延び、建物ユニット20の側面部、具体的には外壁パネル27の外壁面に対向する第2対向部53bとを有しており、これら各対向部53a,53bに跨るようにして外表面部63が形成されている。
ここで、外表面部63は上述したように球形状をなしているため、同外表面部63に防水シート31を接触させた状態で取り付けるにあたり、同シート31が外表面部63に引っ掛かって破れるといった不都合が生じるのを抑制することができる。また、外表面部63は球形状以外の曲面形状、例えば円弧面等により形成してもよく、その場合でも上記不都合を抑制することができる。
本体部51において第2対向部53bよりも屋外側の部分は外壁パネル27(外壁面材65)よりも屋外側に張り出した張出部71となっている。張出部71は、屋外側に凸となる半球状をなしており、その張出部71の一部、詳しくは下側半分が外壁パネル27(外壁面材65)の上端よりも下方に垂下された垂下部72となっている。この垂下部72(詳しくはその下部)にはロープ61を通すための通し孔67aを有する一対のロープ取付部67が設けられている。
防水シート31は、その周縁側において各取付部材32に対して取り付けられている。防水シート31は、その周縁側が本体部51の外表面部63、詳しくは張出部71の外表面部63に接触した状態で同外表面部63に沿って設けられている。防水シート31(詳しくは分割シート35及びジョイントシート36)の通し孔45,48と取付部材32(ロープ取付部67)の通し孔67aとにはそれぞれロープ61が挿通されており、そのロープ61を用いて防水シート31が取付部材32に対して取り付けられている。この場合、防水シート31は、外壁パネル27よりも屋外側であってかつ外壁パネル27上端よりも下方となる位置で取付部材32に対して取り付けられている。つまり、防水シート31はその取付状態においてその周縁側が外壁パネル27よりも屋外側に延出しており、しかもその延出した一部が外壁パネル27上端よりも下方に延びている。
また、防水シート31は、その周縁側において各取付部材32の外表面部63に沿って取り付けられているため、シート周縁側ではその周縁に沿うほぼ全域において屋外側に凸となる曲面形状をなしている。この場合、防水シート31の周縁側を外壁パネル27よりも屋外側に向けて延出させた構成において、同シート31の周縁を外壁パネル27の外壁面に接触又は近接させることができるため、屋外風が防水シート31と外壁パネル27の外壁面との間を通じて建物本体12と防水シート31との間に流れ込むのを抑制することができる。これにより、防水シート31が風で巻き上がったりばたついたりするのを抑制することができる。
また、本体部51は、第1対向部53a及び第2対向部53bのそれぞれにおいて開放された中空部64を有している。ここで、各取付部材32のうち、隣り合う建物ユニット20の境界部に配置される取付部材32はそれら各建物ユニット20の柱21上に跨って設けられる。図示は省略するが、これらの柱21上には、各柱21に跨るようにして連結プレートが設けられ、その連結プレートの有する挿通孔部に各柱21からそれぞれ上方に延びる連結ピンが挿通されることで各柱21が連結プレートを介して連結されている。かかる構成において、上記取付部材32は、本体部51の中空部64に各連結ピン及び連結プレートを収容させた状態で柱21上に設置されており、連結ピン等との干渉が回避されている。
各取付プレート52はそれぞれ各々のプレート52に形成された取付孔部52aを天井大梁22の固定孔41と位置合わせした状態で同大梁22(詳しくはその上フランジ部22a)上に載置されており、その載置状態においてボルト54が取付孔部52aと天井大梁22の固定孔41とにそれぞれ挿通されナット55と締結されている。これにより、取付プレート52ひいては取付部材32が天井大梁22に対して取り付けられている。
なお、取付部材32の各取付プレート52は天井大梁22に沿ってそれぞれ設けられているため、建物本体12の出隅部に配置される取付部材32では各取付プレート52がL字状をなすように配置され、建物本体12の中間部に配置される取付部材32では各取付プレート52が一直線上に配置されている。
図8におけるその他の構成について説明すると、外壁パネル27は、外壁面材65と、それを裏面側から支持する下地フレーム66とを有しており、下地フレーム66が天井大梁22等にボルト等で取り付けられている。そして、外壁パネル27の屋内側には内壁パネル69が取り付けられている。
次に、支持部材33について説明する。
図6及び図7に示すように、支持部材33は、建物本体12上において隣り合う建物ユニット20(詳しくは二階部分の建物ユニット20)の境界部、具体的には桁面同士を向き合わせて隣り合う建物ユニット20の境界部に沿って所定の間隔で複数(本実施形態では3つ)設けられている。各支持部材33はそれぞれ、上記隣り合う建物ユニット20の隣接する天井大梁22上に跨って設けられており、例えば硬質樹脂等により形成されている。支持部材33は、天井大梁22から上方に向かって起立する起立部56と、天井大梁22の上面に対して取り付けられる一対の取付プレート57とを有している。
起立部56は、全体として円柱状をなしており、下側に開口された中空部58を有している。起立部56は、その上面部が上側に凸となる曲面形状、具体的には球面形状をなしており、この上面部が防水シート31を下方から支持する支持面部56aとなっている。この場合、防水シート31を下方から支持するにあたって同シート31が支持面部56aに引っ掛かって破れるといった不都合が生じるのを抑制することができる。
各取付プレート57は、隣り合う建物ユニット20の隣接する各天井大梁22上に跨って設けられている。取付プレート57は、同プレート57に形成された複数の取付孔部57aが各天井大梁22の固定孔41と位置合わせされた状態で同大梁22上に載置されており、その載置状態で取付プレート57の上方より取付ピン59が取付孔部57aと固定孔41とにそれぞれ挿通されている。これにより、取付プレート57ひいては支持部材33が天井大梁22に対して取り付けられている。なお、図6では取付ピン59が4つの取付孔部57aのうち2箇所にのみ挿通されているが、取付ピン59を3又は4箇所に挿通して取り付けを行ってもよい。
支持部材33としては、その高さ寸法(上下高さ)すなわち起立部56の高さ寸法が大小異なる複数種類の支持部材33a,33bが設けられている。このうち第1支持部材33aは、第2支持部材33bよりも高さ寸法が大きくなっており、例えば第1支持部材33aの高さ寸法が400mm、第2支持部材33bの高さ寸法が300mmとなっている。これにより、第1支持部材33aは、天井大梁22(詳しくはその上フランジ部22a)の上面に対する高さ寸法が第2支持部材33bよりも大きくなっている。また、各支持部材33a,33bはそれぞれ天井大梁22の上面に対する高さ寸法が、取付部材32における天井大梁22の上面に対する高さ寸法(換言すると、天井大梁22の上面から取付部材32の上端部までの上下高さ)よりも大きくなっている。つまり、第1支持部材33a、第2支持部材33b、取付部材32はこの順序で天井大梁22に対する高さ寸法が大きくなっている。
各支持部材33a,33bは、隣り合う建物ユニット20の境界部(ユニット境界部)に沿って一列に設けられており、ユニット境界部に沿う方向において第1支持部材33aを挟んだ両側に各第2支持部材33bが配置されるように並んでいる。この場合、各第2支持部材33bはそれぞれユニット境界部に沿う方向(換言すると各支持部材33が並ぶ並び方向)において、第1支持部材33aと建物本体12の外周部との中間位置に配置されている。また、各支持部材33a,33bはそれぞれユニット境界部に沿う方向において取付部材32と同位置に配置されている。
なお、第1支持部材33aは、4つの建物ユニット20の柱21が集結する柱集結部上に配置されている。図示は省略するものの、この柱集結部上では、各柱21に跨るようにして連結プレートが設けられ、その連結プレートの有する挿通孔部に各柱21からそれぞれ上方に延びる連結ピンが挿通されることで各柱21が連結プレートを介して互いに連結されている。かかる構成において、第1支持部材33aは、各連結ピン及び連結プレートを起立部56の中空部58に収容させた状態で柱集結部上に設置されており、これにより連結ピン及び連結プレートとの干渉が回避されている。
防水シート31は、上記各支持部材33によって下方から支持されている。この場合、防水シート31は、取付部材32に対する取付位置よりも高い位置で支持部材33により支持されている。この場合、防水シート31には、支持部材33による支持位置から取付部材32に対する取付位置の側(換言するとシート周縁側)に向かって下方傾斜した傾斜面部31a,31bが形成されている。具体的には、図7(a)に示すように、防水シート31には、その長手方向において、第1支持部材33aによる支持位置から取付部材32(詳しくは建物本体12の短辺側外周部に配置された取付部材32)に対する取付位置側すなわちシート短辺側に向かって下方傾斜する傾斜面部31aが形成されており、その傾斜面部31aがその傾斜の途中位置において第2支持部材33bにより下方から支持されている。また、図7(b)に示すように、防水シート31には、その短手方向において、第1支持部材33aによる支持位置から取付部材32(詳しくは建物本体12の長辺側外周部に配置された取付部材32)に対する取付位置側すなわちシート長辺側に向かって下方傾斜する傾斜面部31bが形成されている。これにより、防水シート31上に降った雨水は傾斜面部31a,31bに沿って防水シート31の周縁側に向かって流下する。その結果、防水シート31上に雨水がたまるのを抑制することができる。
次に、防水シート31を用いて建物本体12を上方から覆う際の作業手順について説明する。
まず、建物本体12における外周上端部の所定位置に各取付部材32をボルト54及びナット55を用いて取り付けるとともに、建物本体12における外周上端部よりも中央側の所定位置に各支持部材33を取付ピン59を用いて取り付ける。
次に、建物本体12を上方から覆うようにして防水シート31を設置する。この場合、防水シート31が各取付部材32上及び各支持部材33上に跨るようにして防水シート31を設置する。なお、防水シート31は、予め各分割シート35をジョイントシート36を用いて連結することにより形成しておく。
次に、防水シート31(詳しくは分割シート35及びジョイントシート36)の通し孔45,48と取付部材32のロープ取付部67の通し孔67aとにそれぞれロープ61を通し、該ロープ61を用いて防水シート31を取付部材32に対して取り付ける。これにより、防水シート31には、支持部材33による支持位置から取付部材32に対する取付位置側に向かって下方傾斜する傾斜面部31a,31bが形成され、これをもって防水シート31の設置作業が終了する。
なお、雨が止んだ後は、防水シート31を取付部材32から取り外すとともに、取付部材32と支持部材33とを建物本体12から取り外す撤去作業を行う。上述したように本防水シート31の設置構造では、防水シート31上に雨水がたまるのが抑制されているため、撤去作業に際して防水シート31にたまった雨水が建物本体12上にこぼれ落ち建物本体12内(すなわち建物ユニット20内)が濡れるといった不都合が生じるのを抑制することができる。また、防水シート31、取付部材32及び支持部材33は使い回しされることを想定しているため、撤去した後回収されて倉庫等に保管される。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
建物本体12上に、同建物本体12を上方から覆うように防水シート31を設け、該防水シート31を建物本体12の外周上端部に設けた取付部材32に対して取り付けた。この場合、従来技術(特許文献1)におけるテント状の防水シートの場合とは異なり、防水シートを建物本体12上に配置するにあたって同シート31をクレーンで吊り下げ支持する必要がなく、比較的簡単に防水シート31を建物本体12上に設置することができる。
また、建物本体12上において外周上端部よりも中央側に当該建物本体12から上方に起立するように支持部材33を設け、この支持部材33により防水シート31を取付部材32に対する取付位置よりも高い位置で支持した。そして、かかる支持により、防水シート31に支持部材33による支持位置から取付部材32に対する取付位置側に向かって下方傾斜する傾斜面部31a,31bを形成した。この場合、防水シート31上に降った雨水が傾斜面部31a,31bに沿って上記取付位置側換言すると建物本体12の外周上端部側に向かって流下するため、防水シート31上に雨水がたまるのを抑制することができる。
取付部材32において建物本体12(具体的には外壁パネル27)よりも屋外側に張り出した張出部71に対して防水シート31を取り付けたため、防水シート31が建物本体12よりも屋外側にはみ出した状態で設けられている。これにより、防水シート31の傾斜面部31a,31bに沿って流下する雨水を建物本体12よりも屋外側に導くことができるため、流下する雨水が建物本体12上に流れ落ち、建物本体12の内部すなわち建物ユニット20内が濡れてしまうのを確実に防止することができる。
具体的には、取付部材32の張出部71において外壁パネル27(外壁面材65)の上端よりも下方に垂下された垂下部72に対して防水シート31を取り付けたため、防水シート31の一部が外壁パネル27よりも屋外側において外壁パネル27上端よりも下方にまで延びている。これにより、防水シート31の傾斜面部31a,31bに沿って流下する雨水を外壁パネル27よりも屋外側に確実に導くことができるため、外壁パネル27の内側に雨水が入り込んで建物本体12の内部、すなわち建物ユニット20内部が濡れるのをより確実に防止することができる。
支持部材33として、第1支持部材33aと、該第1支持部材33aよりも防水シート31を低い位置で支持する第2支持部材33bとを設け、防水シート31において第1支持部材33aによる支持位置から取付部材32に対する取付位置側に向かって下方傾斜する傾斜面部31aをその傾斜の途中位置で第2支持部材33bにより支持するようにした。これにより、傾斜面部31aの途中位置において凹みが発生するのを抑制することができるため、傾斜面部31aの途中で雨水がたまる等の不都合が生じるのを抑制することができる。
防水シート31を、分割された複数の分割シート35を着脱可能に連結することにより構成したため、各分割シート35の並びを変えることにより複数種類の形状の防水シート31を形成することができる。この場合、建物ごとに建物本体12の平面視形状に合わせて防水シート31を形成することができるため、建物ごとに建物本体12の平面視形状に合った防水シートを用意する無駄や手間を省くことができる。
具体的には、各分割シート35a,35bをそれぞれ各建物ユニット20a,20b(二階部分の建物ユニット20)の平面視形状に合わせて形成した。ユニット式建物では、複数の建物ユニット20からなる建物本体12の平面視形状が各建物ユニット20a,20bの組み合わせによって決まる。そのため、各建物ユニット20の組み合わせに応じて各分割シート35a,35bを連結することにより、各建物ごとに建物本体12の平面視形状に合った防水シート31を形成することができる。
また、建物本体12の平面視形状に合った防水シート31を形成することで、防水シート31により建物本体12上を覆った際に同シート31において建物本体12よりも屋外側にはみ出す余剰部分を少なくすることができる。これにより、防水シート31の余剰部分が外壁パネル27等の外装部材に当たって当該外装部材が傷付くのを抑制することができる。
さらに、従来は雨が降ってきた場合に、建物が雨で濡れるのを防止すべく、建物全体を上方から覆うように複数の防水シートを敷き並べるという面倒な作業を行っていたが、複数の分割シート35からなる防水シート31を用いれば、予め建物本体12の平面視形状に合わせて防水シート31を形成しておくことができるため、雨が降ってきた場合には防水シート31を建物本体12上に設置する等の簡易な作業を行うだけでよい。そのため、急な降雨に対しても迅速に対応することが可能となる。
建物ユニット20において支持部材33が載置される天井大梁22(上フランジ部22a)に固定孔41を形成し、支持部材33をその取付プレート57に形成された取付孔部57aと固定孔41とにそれぞれ上方から取付ピン59を挿通することにより天井大梁22に取り付けた。この場合、取付ピン59を孔41,57aに挿通するという簡易な作業により、支持部材33を天井大梁22上に取り付けることができる。しかも、防水シート31を下方から支持する支持部材33には概ね防水シート31より下向きの荷重がかかるだけであるので、かかる簡易な取付構成においても支持部材33が天井大梁22から容易に外れることがないようになっている。
建物本体12において屋根13の直下に配置される建物ユニット20(二階部分の建物ユニット20)の天井大梁22上に支持部材33を設けた。ユニット式建物では、水平方向に隣り合う建物ユニット20同士の境界部に沿ってそれら各建物ユニット20の天井大梁22が配設されており、これら各天井大梁22は建物本体12の平面視では同建物本体12の中間部に配置される。この場合、これらの天井大梁22を利用することで支持部材33を建物本体12において外周上端部よりも中央側に配置することが可能となる。また、隣り合う建物ユニット20において隣接する各天井大梁22上に跨るようにして支持部材33を設置したため、上方に向かって起立する同支持部材33を安定した状態で建物本体12上に設置することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、建物本体12上に、支持部材33として、高さ寸法(防水シート31の支持高さ)の異なる第1支持部材33a及び第2支持部材33bを設けたが、これを変更し、同一高さ寸法の支持部材33のみを、例えば第1支持部材33aのみを設けるようにしてもよい。例えば、上記実施形態の構成において、各第2支持部材33bをそれぞれ第1支持部材33aに代え、第1支持部材33aのみを3箇所に配置することが考えられる。この場合においても、防水シート31には、第1支持部材33aによる支持位置から取付部材32に対する取付位置側に向かって下方に傾斜する傾斜面部が形成されるため、防水シート31上に雨水がたまるのを抑制することができる。
また、支持部材33として、高さ寸法の異なる3種類以上の支持部材を設けてもよい。例えば、第1支持部材33a及び第2支持部材33bに加えて、第2支持部材33bよりも高さ寸法の小さい第3支持部材を桁面同士を向き合わせて隣り合う建物ユニット20の境界部上に設けることが考えられる。具体的には、第3支持部材を、第1支持部材33a及び第2支持部材33bの並び方向において、第2支持部材33bを挟んで第1支持部材33aとは反対側に設け、その第3支持部材により防水シート31の傾斜面部31aを下方から支持するようにする。これにより、傾斜面部31aの途中に凹みが生じる不都合をより一層抑制することができる。
また、上記実施形態では、建物本体12上に支持部材33を複数設けたが、1つだけ設けてもよい。この場合でも、防水シート31に、支持部材33による支持位置から取付部材32に対する取付位置側に向かって下方傾斜する傾斜面部を形成することができる。
(2)取付部材32及び支持部材33のうち少なくともいずれかをユニット製造工場で予め二階部分の建物ユニット20に取り付けておくようにしてもよい。そうすれば、施工途中に雨が降ってきて建物本体12上を防水シート31により覆うに際し、建物ユニット20に既に取り付けられている部材については建物本体12への取り付け作業を行わなくても済むため、迅速対応が求められる防水シート31の設置作業について作業時間の短縮化を図ることができる。
また、支持部材33は、建物ユニット20から上方に起立するように設けられるため、建物ユニット20を搬送する際に支持部材33が搬送の支障になることが懸念される。そこでこの点に鑑み、支持部材を建物ユニット20の天井大梁22に対して傾倒可能に取り付けてもよい。例えば、天井大梁22上に取付プレートを取り付け、その取付プレートに対して棒状の支持部材をヒンジ等を介して回動可能に取り付けることが考えられる。そして、支持部材を回動することにより、同支持部材を、天井大梁22から起立した起立状態と、天井大梁22に沿って傾倒した傾倒状態とに移行可能とすることが考えられる。この場合、建物ユニット20の搬送時には支持部材を傾倒状態とすることにより、支持部材がユニット搬送の邪魔となるのを抑制することができ、建物本体12上に防水シート31を設置する際には、支持部材を起立状態とすることにより防水シート31を下方から支持することができる。
(3)上記実施形態では、防水シート31を、取付部材32の張出部71において外壁パネル27の上端よりも下方に垂下した垂下部72に取り付けたが、これを変更して、張出部71において外壁パネル27の上端と同じ高さ位置又はそれよりも高い位置に取り付けてもよい。これは、ロープ取付部67を張出部71において垂下部72よりも上方に配置することにより実現することができる。
また、防水シート31を取付部材32を介さないで建物本体12に直接取り付けるようにしてもよい。例えば、建物ユニット20の天井大梁22のウェブ部に予めロープ61を通すための通し孔を形成しておき、その通し孔を利用して防水シート31をロープ61を使って天井大梁22に直接取り付けることが考えられる。この場合、防水シート31により建物本体12上を覆うに際し、取付部材32を建物本体12に取り付ける必要がなくなるため、その分作業工数を短縮化することができる。
(4)支持部材33に取付ピンを一体に設け該取付ピンを用いて支持部材33を天井大梁22に取り付けてもよい。具体的には、支持部材33の取付プレート57に対して下方に延びる向きで取付ピンを設け、その取付ピンを天井大梁22の固定孔41に上方から挿入することにより支持部材33を天井大梁22上に取り付けることが考えられる。この場合、支持部材33と取付ピンとを別々で管理する必要がないため、部材管理をし易いという利点がある。
(5)上記実施形態では、防水シート31の各分割シート35をジョイントシート36を介して互いに連結したが、必ずしもジョイントシート36を用いて連結する必要はない。例えば、各分割シート35において隣り合う分割シート35同士を互いの面ファスナ37同士を接合させることにより連結してもよい。この場合、隣り合う分割シート35のいずれか一方の面ファスナ37を雄接合部、他方の面ファスナ37を雌接合部により構成する必要がある。
また、上記実施形態では、分割シート35における隣り合う2つの端辺に面ファスナ37を設けたが、面ファスナ37を分割シート35の3つ又は4つの端辺にそれぞれ設けてもよい。例えば、分割シート35の4つの端辺にそれぞれ面ファスナ37を設ければ、同シート35の4辺それぞれの側において他の分割シート35との連結が可能となるため、分割シート35の連結の仕方に関して自由度を高めることができ、防水シート31の形状及び大きさについて多様な設定が可能となる。また、各分割シート35ごとに面ファスナ37の設け方を変えてもよく、例えば分割シート35aは2つの端辺のみ、分割シート35bは4つの端辺それぞれに設ける等してもよい。なお、面ファスナ37を、分割シート35の片面にのみ設けてもよい。
(6)上記実施形態では、防水シート31を複数の分割シート35を連結することにより形成したが、防水シート31を1枚物のシート材により形成してもよい。
(7)例えば建物本体12の一階部分が完成した時点、すなわち一階部分を構成する各建物ユニット20をすべて設置し終えた時点で雨が降ってきた場合等には、当該建物本体12の一階部分を防水シート31により上方から覆ってもよい。この場合においても、取付部材32及び支持部材33をそれぞれ一階部分の建物ユニット20に対して取り付ければ、防水シート31に傾斜面部31a,31bを形成することが可能である。
なお、上記(2)の構成を一階部分の建物ユニット20に適用してもよい。すなわち、取付部材32及び支持部材33のうち少なくともいずれかをユニット製造工場で予め一階部分の建物ユニット20に取り付けてもよい。そうすれば、建物本体12の一階部分を防水シート31により覆う場合においてその作業時間の短縮化を図ることができる。
(8)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。例えば、在来木造工法により構築される建物においても、施工途中の建物に対して取付部材32及び支持部材33を取り付けることで、本発明における防水シート31の設置構造を実現することができる。