以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図7を参照しつつ説明する。本説明では、画像読取装置100を含む複合機101(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機101の構成の概要)
まず、図1、図2を用い、第1の実施形態に係る複合機101の概略を説明する。図1は、複合機101の模型的正面断面図である。図2は、画像形成部4の一部拡大模型的断面図である。
図1に示すように、複合機101の上部には原稿の画像を読み取る原稿搬送部1(詳細は後述)と画像読取部2(詳細は後述)を含む画像読取装置100が配される。又、複合機101の正面前方には、画像読取装置100や複合機101の動作開始を指示するためのスタートキー18や、液晶表示部19を有する操作パネル1aが設けられる(図1に破線で図示)。液晶表示部19は、複合機101の状態表示を行う他、機能選択ようのメニューや設定値設定用のキーなどを表示する。選択されたメニューやキーを認識するため、液晶表示部19はタッチパネル式である。
そして、複合機101の内部には、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4(詳細は後述)、中間転写部5a、定着部5b等が配される。
給紙部3aは、記録媒体として用紙(A4、B4等の各サイズ)等の用紙を収納し、画像形成の際、用紙を供給する。搬送路3bは、供給された用紙を排出トレイ31まで搬送する。そのため、搬送路3bには、搬送ローラー対32等が複数設けられる。
ここで、図2を用いつつ、画像形成部4を説明する。画像形成部4は、画像データに基づき記録媒体に印刷を行うため画像(トナー像)を形成する。そして、画像形成部4は、図1に示すように、4つの画像形成ユニット40Bk(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)と、画像データに基づき、光による走査・露光を各感光体ドラム42に対し行って、静電潜像を形成する露光装置41で構成される。尚、各画像形成ユニット40は、使用するトナーの色が異なるが、基本的構成は同様であるから以下の説明では特に説明する場合を除き、Bk、Y、C、Mの記号は省略する。
そして、図2に示すように、各画像形成ユニット40は、同図中に示す矢印方向に回転可能に支持され、モータ(不図示)等により、所定の方向に回転駆動される感光体ドラム42を備える。又、感光体ドラム42の周囲には、帯電装置43、現像装置44、清掃装置45が配される。
帯電装置43は、感光体ドラム42の表面を所定電位に均一に帯電させる。露光装置41は、帯電後の感光体ドラム42表面を画像データにあわせ走査・露光する。そして、現像装置44は、トナーを担持し、トナーを感光体ドラム42に飛翔させる。現像装置44は、静電潜像に帯電したトナーを供給して現像(可視像化)する。清掃装置45は、感光体ドラム42の表面を清掃する。これらの構成により、トナー像が各感光体ドラム42の周面に形成され、トナー像は、中間転写部5aに1次転写される。
中間転写部5aは、画像形成部4の上方に設けられ、画像データに基づき、画像形成部4の各感光体ドラム42の周面に形成されたトナー像の1次転写を受け、用紙にトナー像の2次転写を行う部分である。そして、中間転写ベルト51は、下側の外周面と各感光体ドラム42が当接するように、駆動ローラー52、従動ローラー53、4本の1次転写ローラー54Bk〜54M等に張架される。駆動ローラー52にはモータ、ギア等の駆動手段(不図示)が接続され回転する。中間転写ベルト51は、駆動ローラー52の回転により、図1において時計方向(矢印方向)に周回する。ここで、1次転写ローラー54Bk〜54Mは、各感光体ドラム42に対向して1本ずつ回転可能に配され、1次転写ローラー54Bk〜54Mに所定の大きさの電圧が印加される。電圧印加により、各色のトナー像が、各感光体ドラム42から中間転写ベルト51に1次転写される。この1次転写の際、各色のトナー像はずれなく重ね合わせられる。
そして、中間転写ベルト51に当接し、駆動ローラー52に対向し、回転可能に支持される2次転写ローラー55が中間転写部5aに設けられる。駆動ローラー52と中間転写ベルト51のニップに用紙とトナー像が進入した際、所定の電圧が2次転写ローラー55に印加されトナー像は用紙に2次転写される。ベルトクリーニング装置56は、残トナー等を中間転写ベルト51から除去し、清掃する。定着部5bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。用紙は定着部5bを通過する際に加圧・加熱され、トナー像が用紙に定着する。その後、用紙は排出トレイ31に排出され、画像形成が完了する。
(画像読取装置100の概要)
次に、図3に基づき、第1の実施形態に係る画像読取装置100を説明する。図3は、画像読取装置100の一例を示す模型的正面断面図である。
本実施形態の画像読取装置100は、原稿搬送部1と画像読取部2を含む。
まず、原稿搬送部1は、読み取りを行う原稿を載置する原稿トレイ11、原稿の搬送を行う複数の原稿搬送ローラー対12、原稿搬送路13、原稿排出ローラー対14、原稿排出トレイ15を備える。原稿トレイ11上の原稿は、1枚ずつ原稿搬送路13に送り出される。送り出された原稿は、画像読取部2上面の送り読取用コンタクトガラス21aに接するように自動かつ連続的に搬送される。そして、原稿排出ローラー対14は読取済の原稿を原稿排出トレイ15に排出する。又、原稿搬送部1は、紙面奥側設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げ可能であり、例えば書籍等の原稿を画像読取部2の上面の載置読取用コンタクトガラス21bに載せることもできる。
次に、画像読取部2は、スキャナとしてユニット化されている。そして、画像読取部2は、原稿に光を照射し、その反射光に基づき原稿を読み取って画像データを生成する。そのため、画像読取部2は、第1移動枠221、第2移動枠222、レンズ23、イメージセンサー24等を備える。
第1移動枠221は、主走査方向に伸び、読取対象に光を照射するランプ25(光源に相当、例えば、LEDや蛍光管)と第1ミラー261を備える。第2移動枠222は、第2ミラー262、第3ミラー263を備える。第1ミラー261〜第3ミラー263は、読取対象で反射された光をレンズ23に導く。レンズ23は、原稿の反射光を結像し、イメージセンサー24に導く。
本実施形態のイメージセンサー24は、例えば、CCD方式のものである。そして、イメージセンサー24は、複数の光電変換素子(画素に相当)が列状に配されたラインセンサー8を複数色分含む。そして、イメージセンサー24の各ラインセンサー8(8R〜8B)は、原稿の読み取りのため、ランプ25から原稿に当たり、レンズ23で結像された反射光が入射されることにより反射光量に応じた光電変換を行う(詳細は後述)。
又、第1移動枠221と第2移動枠222は、ワイヤ26aで巻取ドラム26に接続される(左右方向への移動のため、各移動枠には複数のワイヤ26aが接続されるが便宜上、図3では、ワイヤ26aを1本のみ図示)。巻取ドラム26は、正逆回転する巻取モータ27(図5参照)により回転させられる。そして、各移動枠を水平方向(複合機101の左右方向)に自在に移動させることができる。
そして、原稿搬送部1を用いて原稿を読み取る時、各移動枠は、送り読取用コンタクトガラス21aの下方で固定される。一方、載置読取用コンタクトガラス21b上の原稿を読み取る時、巻取ドラム26の回転駆動により各移動枠を水平方向に移動させて読み取りが行われる。
又、送り読取用コンタクトガラス21aと載置読取用コンタクトガラス21bの間には、原稿の搬送をガイドするガイド部材28が設けられる。そして、ガイド部材28の下面には、シェーディング補正を行う際の白基準を得るための白基準板29(白基準部材に相当)が設けられる。白基準板29は、画像読取装置100の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向、図3の紙面に対し垂直な方向)に伸びる板である。この白基準板29の読取で、シェーディング補正における白基準値が定まる。原稿の読み取りの前に、巻取ドラム26の回転駆動により各移動枠は、白基準板29の下方に移動され、白基準板29の読み取りにより白基準値が取得される。
(複合機101のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、第1の実施形態に係る複合機101のハードウェア構成を説明する。図4は、複合機101のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係る複合機101は、内部に制御部6を有する。制御部6は、複合機101全体の制御を司る。例えば、制御部6は、CPU61、記憶部62等を含む。又、制御部6は、画像処理部63と接続される。
CPU61は、中央演算処理装置であって、記憶部62に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機101の各部の制御や演算を行う。記憶部62は、ROM、RAM、HDD、フラッシュROM等の記憶装置で構成される。記憶部62は、複合機101の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像読取部2でスキャンした画像データ等を記憶する。
そして、制御部6は、画像読取装置100(原稿搬送部1や画像読取部2)、や、複合機101内の印刷エンジン部(給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4、定着部5bなどの印刷に関する部分)、操作パネル1a等と接続され、記憶部62の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。尚、制御部6は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部や、印刷エンジン部を制御するエンジン制御部(例えば、各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を制御)等、機能ごとに制御部6を分割し、制御を行う部分が複数種設けられてもよい。
更に、制御部6は、各種コネクタ、ソケット、通信制御用のチップ等を備えた通信部64と接続される。通信部64は、ネットワークやケーブルや公衆回線等によりコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、相手方のFAX装置300と複合機101とを通信可能に接続する。例えば、画像読取装置100での読み取りにより得られた画像データを外部のコンピューター200やFAX装置300(インターネットFAXでもよい)と送信することができる(スキャナ機能、FAX機能)。又、外部のコンピューター200やFAX装置300からの画像データを記憶部62に蓄積したり、印刷したりすることもできる(プリンタ機能、FAX機能)。
(画像読取装置100での画像データの生成と処理)
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係る画像読取装置100での画像データの生成を説明する。図5は、画像読取装置100の構成の一例を示すブロック図である。尚、図5では、画像データの流れを白抜矢印で図示している。
まず、原稿搬送部1から説明する。画像読取装置100の一部である原稿搬送部1には原稿搬送制御部10が設けられる。原稿搬送制御部10は、CPUや原稿搬送部1制御用のデータやプログラムを記憶するメモリーを含み、原稿搬送部1の動作を制御する。
又、原稿搬送制御部10は、複合機101本体の制御部6と通信可能に接続される。原稿トレイ11に原稿が載置された状態で操作パネル1aのスタートキー18が押された場合など、原稿搬送部1を用いて原稿の読み取りを行うとき、複合機101本体の制御部6は、原稿搬送制御部10に原稿の搬送を指示する。指示を受けて、例えば、原稿搬送制御部10は原稿を搬送する各種回転体を回転させる原稿搬送モータ16等を駆動させる。
次に、画像読取部2を説明する。画像読取装置100の一部である画像読取部2には読取制御部7(白基準設定部に相当)が設けられる。読取制御部7も、CPUや各種制御用回路等を含む。そして、読取制御部7には、読取制御部7を制御するためのデータやプログラムを記憶する記憶部71(基準データ記憶部に相当)が接続される。そして、読取制御部7は、複合機101本体の制御部6と通信可能に接続される。操作パネル1aのスタートキー18が押された場合など原稿の読み取りを行う場合、複合機101本体の制御部6は、読取制御部7に原稿読み取りの指示を与える。
載置読取用コンタクトガラス21b上の原稿や、原稿搬送部1に搬送される原稿の表面を読み取るとき、読取制御部7は、各移動枠を動作させる。具体的には、各移動枠のランプ25を点灯させ、イメージセンサー24を駆動させる。又、読取制御部7は、巻取ドラム26を回転させる巻取モータ27を制御し、各移動枠を移動させる。
図5に示すように、イメージセンサー24内に複数のラインセンサー8が設けられる(図5では、Red用のラインセンサー8Rと、Green用のラインセンサー8Gと、Blue用のラインセンサー8Bを例示)。そして、各ラインセンサー8(8R〜8B)の各光電変換素子は、反射光を光電変換し、反射光のレベル(受光量)に応じて電荷を蓄え、一定タイミングで電荷を吐き出す。言い換えると、各光電変換素子は、反射光の強さに応じた電流(電圧)を出力する。イメージセンサー24の各ラインセンサー8(8R〜8B)は、各光電変換素子(各画素)のアナログの出力値(例えば、電圧値)をA/D変換部72に向けて出力する。場合により、イメージセンサー24内外に各光電変換素子の出力電流(電圧)を増幅する増幅部や、イメージセンサー24のアナログ出力を補正するための回路(例えば、ゲイン比率調整回路等)が設けられてもよい。
A/D変換部72は各光電変換素子からのアナログ出力値の大きさに応じて量子化を行う。言い換えると、A/D変換部72は、各画素(各光電変換素子)について濃度を示す画素値を生成して各光電変換素子のアナログの出力値のディジタルデータ化を行う。具体的に、本実施形態のA/D変換部72は、画像データの1画素を1色あたり10ビット(1024階調)で量子化を行う(R=10ビット、G=10ビット、B=10ビットで同じ位置の1画素あたり合計30ビット)。例えば、各光電変換素子のアナログの出力値は、階調での最高値(真っ白、例えば、1024階調ならば1023)と最小値(真っ黒、例えば、0)の値の間になるようにディジタル化される。尚、濃い方を「1023」とし、薄い方を「0」としてもよい。
そして、A/D変換部72により変換された各色の画像データは、シェーディング補正部9に与えられる。例えば、シェーディング補正部9は、基準値保持部91とシェーディング補正回路92とを含む。シェーディング補正回路92は、基準値保持部91に記憶された各色の各画素の白基準値と黒基準値を用いて読み取りで得られた画像データの各画素に対してシェーディング補正を行う。シェーディング補正部9は、各光電変換素子の感度のばらつきや主走査方向での位置による原稿への照射光のムラ等、画素の位置に依存する歪みを補正する。
ここで、黒基準値と白基準値を説明する。まず、白基準値と黒基準値の取得を説明する。基準値保持部91は、原稿読取前や主電源投入後や省電力モードからの復帰時に黒基準値と白基準値を取得する。言い換えると、基準値保持部91は、各色、各画素の白基準値と黒基準値を記憶するメモリーである。尚、本説明(図5)では、基準値保持部91は、シェーディング補正部9内に設けられるが、シェーディング補正部9外に設けられても良いし、記憶部71を基準値保持部91として用いてもよい。
本実施形態では、読取制御部7は、ランプ25を消灯させた状態での各光電変換素子の出力値をA/D変換して得られたディジタル値を黒基準値として基準値保持部91に保持させる。言い換えると、基準値保持部91は、ランプ25の消灯時の各光電変換素子からの出力値(例えば、電圧値)をA/D変換部72がA/D変換した結果を各光電変換素子の黒基準値とする。尚、例えば、ガイド部材28の下方で、白基準板29に隣接させて黒基準板を設け、黒基準板を読み取って黒基準値を取得しても良い。
又、読取制御部7は、ランプ25を点灯させ、真っ白な白基準板29を読み取ったときの各光電変換素子の出力値をA/D変換して得られたディジタル値を白基準値として基準値保持部91に保持させる。言い換えると、基準値保持部91は、白基準板29の読取時の各光電変換素子からの出力値(例えば、電圧値)をA/D変換部72がA/D変換した結果を各光電変換素子の白基準値とする。
例えば、シェーディング補正部9は、以下の式に基づき、各色の画像データの各画素のシェーディング補正を行う。尚、シェーディング補正の方式(種類)は以下に限られず、他の方式を用いても良い。
(式)補正後の注目画素の画素値=(I−B)×{最大濃度値/(W−B)}
但し、Iは、補正前の注目画素の画素値、
Bは、注目画素の黒基準値、
Wは、注目画素の白基準値、を意味する。
尚、シェーディング補正では、WとBを入れ替えて行うこともある。
そして、シェーディング補正部9がシェーディング補正を行った画像データは、画像処理部73に入力される。本実施形態の画像処理部73は、例えば、画像データに関する演算や作業領域としてのワークRAMや専用回路としてのASIC等を組み合わせて構成される回路である。尚、記憶部71に画像処理プログラムを格納し、読取制御部7に処理させてソフトウェア的に画像処理部73を実現することもできる。
画像処理部73は、例えば、γ補正や、画像データの圧縮処理等、各種画像処理を行うことができる。そして、画像処理部73が画像処理を施した後の各色の画像データは、本体側の画像処理部63に送られる。画像処理部63は、拡大、縮小処理や回転処理など、ジョブの設定内容に応じた画像処理や、外部の送信や印刷のためのファイル形式の変換などの各種の画像処理を行うことができる。尚、画像処理部73や画像処理部63実行可能な画像処理は多岐にわたるので、本説明では、画像処理部73や画像処理部63は、公知の画像処理を行えるものとして、実行可能な画像処理の詳細な説明は割愛する。又、本実施形態では、画像処理部を2つ設ける例を説明するが、画像読取部2か本体側のいずれか一方のみに画像処理部を設けるようにしてもよい。
そして、画像処理部63が画像処理を施した後の画像データは、例えば、画像形成部4の露光装置41に送られ、各感光体ドラム42の走査・露光に用いられる。これにより、原稿に基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、例えば、画像処理部63が画像処理を施した後の画像データを記憶部62に送り、記憶部62に記憶させておくことや通信部64を介して外部に送信することもできる(スキャナ機能)。
(白基準値の補正の概要)
次に、図6〜図8に基づき第1の実施形態での白基準値の補正の概要を説明する。図6は、正常な白基準値の分布の一例を示すグラフである。図7は、ノイズ等によって白基準値の乱れが生じたときの白基準値の分布の一例を示すグラフである。図8は、従来の異常のあった白基準値の補正後の白基準値の分布の一例を示すグラフである。
本実施形態の画像読取装置100では、読取制御部7は、原稿読取前に、黒基準値の取得も行わせる。又、読取制御部7は、原稿読取前に、各移動枠を移動させ、イメージセンサー24に白基準板29の読み取りを行わせる。そして、読取制御部7は、各ラインセンサー8(8R〜8B)に含まれる画素1つずつについて、基準値保持部91が白基準値と黒基準値を取得、保持する。
温度など、環境によって、白基準板29を読み取ったときの各光電変換素子の出力に変動があるため、原稿読取前に(原稿読取のジョブを行う前に)、白基準値の取得が行われる。尚、一般に、環境による変動は、白基準値に比べ、黒基準値の方が少ない。
そして、図6〜図8は、白基準値が取得されたときの白基準値の分布の一例を示すグラフである。図6〜図8のグラフでは、横軸は、主走査方向での各画素の位置(配列)を示す。例えば、横軸の左が各ラインセンサー8(8R〜8B)の画素(光電変換素子)の先頭位置を示し、右側が各ラインセンサー8(8R〜8B)の画素の末尾を示す。尚、本実施形態の画像読取装置100では、例えば、600dpiでの読み取りに対応している。そして、主走査方向での読み取りの長さをA3用紙の短辺(A4用紙の長辺)の長さの読み取りに対応するため、例えば、各ラインセンサー8(8R〜8B)は、主走査方向で約8000個程度の画素数を有する。
図6〜図8のグラフでの縦軸は、白基準板29を読み取ることにより得られた各画素の白基準値の明るさを示す。図6〜図7では、縦軸の上の方ほど明るい(薄い、白い)値であることを示し、下の方ほど暗い(濃い、黒い)値であることを示す。
又、図6〜図8のグラフ内で、Rと符号が付されたラインは、Red用のラインセンサー8Rの白基準値の分布を示す。Bと符号が付されたラインは、Blue用のラインセンサー8Bの白基準値の分布を示す。Gと符号が付されたラインは、Green用のラインセンサー8Gの白基準値の分布を示す。
そして、図6は正常な白基準値が得られたときの各色の白基準値の分布の一例を示す。尚、イメージセンサー24に反射光を入射するレンズ23の透過率等の要因により、白基準値は、ラインセンサー8の中央位置の画素よりも、端部位置の画素の方が、低くなる傾向がある。
又、図7は、ノイズ等により、得られた白基準値に乱れが生じたときの各色の白基準値の分布の一例を示す。図6に示す例では、Blueのラインセンサー8Bの破線の四角で囲う位置で、白基準値の乱れが生じている例を示す。
このような白基準値の乱れが生じたとき(異常な白基準値が得られたとき)、従来、白基準値の補正が行われている。このような異常な白基準値で読み取りを行うと、白基準値の異常のあった部分の画素値が、異常のない部分の画素値よりも明るめ、又は、暗めとなるようなシェーディング補正がなされる。その結果、例えば、異常のあった部分(位置)に帯状のスジが現れることがある。そこで、異常のあった部分の画素の白基準値を補正が行われている。
白基準値の補正の方法としては、例えば、白基準値の複数回分の平均値を各ラインセンサー8(8R〜8B)の各画素について別途記憶しておく。そして、平均値よりも予め定められた閾値を超えて異なるような乱れた白基準値が得られたとき、異常な白基準値を平均値に近づける補正がなされる(例えば、平均値への置換)。
しかし、カラーの画像データでは、最終的に、各画素の色は、R、G、Bの3色を重ね合わせることにより得られる。そして、例えば、画像処理部63(画像処理部73でもよい)は、R、G、Bの画像データを予め定められた変換式により、C、M、Y、Bk方式のデータに置換した後、印刷に用いる。又、読み取りで得られた画像データを送信したり、記憶部62に保存する場合、例えば、R、G、Bの画像データは、JPEG方式等により圧縮される。
このように、R、G、Bの画像データの重ね合わせ(合成)によって、各画素の色が定められ、変換されたり、利用されたりするので、乱れた白基準値を補正すると、3色のカラーバランス(白基準値の大きさの比率)が、他の位置の画素と差異が出ることで、白基準値の補正の痕跡が画像データに残ってしまうことがある。言い換えると、白基準値を補正した画素の色味が、他の画素と異なってしまう。例えば、R、G、Bの画像データで表現される白色が、白基準値を補正した画素が、他の画素と比べ、赤に振られたり、青に振られたりする。そうすると、読み取りで得られた原稿の画像データや、印刷物で、白基準値を補正した画素が認識されてしまうことがある。
これは、R、G、Bの白基準値のバランスを考慮することなく白基準値を補正することにより生ずる。言い換えると、R、G、Bのバランスを考慮して、3色の白基準値を比率調整すれば、多少、白基準値が乱れたとしても、適切なシェーディング補正を行えると言える。
(白基準値の比率調整処理)
次に、図9、図10を用いて、第1の実施形態での白基準値の比率の比率調整処理の一例を説明する。図9は、第1の実施形態に係る白基準値の比率調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10は、基準比率データの一例を示す説明図である。
まず、図9のスタートは、コピーやスキャンのため、操作パネル1aへの入力により、原稿の読み取りの実行が指示された時点である(例えば、スタートキー18を押す)。このとき、指示入力を制御部6は認識する。そして、制御部6は、読取制御部7に対して読み取りを行うべき指示を与える。
原稿の読み取り開始に伴い、読取制御部7は、黒基準値を基準値保持部91に取得させる(ステップ♯11)。次に、読取制御部7は、ランプ25を点灯させ、各移動枠を白基準板29の下方に移動させる等により、イメージセンサー24に白基準板29を読み取らせる(ステップ♯12)。そして、読取制御部7は、各色の各画素の白基準値を基準値保持部91に取得させる(ステップ♯13)。
そして、読取制御部7は、記憶部71から基準比率データを読み出す(ステップ♯14)。そして、読取制御部7は、基準値保持部91に保持された各画素の基準色以外の白基準値の比率調整処理を行う(ステップ♯15)。そして、本実施形態では、主走査方向の全画素(全光電変換素子)に対して、白基準値の比率調整処理がなされる。
ここで、図10を用いて、本実施形態の画像読取装置100での比率調整処理を説明する。図10は、主走査方向でのある位置の画素の基準比率データの一例を示す。尚、図10は、便宜上、主走査方向に配列される画素のうち、ある位置の1つの画素の基準比率データを示す。例えば、主走査方向に並ぶ各ラインセンサー8(8R〜8B)の画素数が8000のとき、記憶部71は、図10に示すデータの全部又は一部を8000個分記憶する。
まず、本実施形態の画像読取装置100では、R、G、Bの3色のうち、予め基準色が定められる。3色のうち、どの色を基準色としてもよいが、本実施形態の説明では、Blueを基準色とする例を説明する。また、全ての画素について、同じ色を基準色とする必要は必ずしも無く、画素の位置ごとに基準色が変更されてもよい(例えば、記憶部71が基準色となる色を記憶する)。
そして、例えば、画像読取装置100内の記憶部71は、比率調整に用いる基準比率データを記憶する。そして、読取制御部7は、記憶部71に記憶される基準比率データを用いて、基準色以外の色の白基準値を比率調整する処理を行う。
記憶部が記憶する基準比率データは、各位置の画素について、基準色と基準色以外の色の白基準値の適切な比率に基づき、基準色以外の色の画素の白基準値を調整するためのデータである。読取制御部7は、同じ位置の画素の各色の白基準値の適切な比率を基準比率データに基づき得て、得られた比率に基づき、基準色以外の色の白基準値を比率調整する。
具体的に、記憶部71は、様々な態様で基準比率データを記憶することができる。図10における基準比率データ1は、例えば、工場出荷時や、検査時や、複合機101の設置時に設定される固定的な基準比率データを示す。固定的な基準比率データとして、記憶部71は、各色の基準となる白基準値や、各色の白基準値の差を記憶する。読取制御部7は、各色の基準となる白基準値を記憶しておけば、基準色以外の色の基準となる白基準値を基準色の基準となる白基準値で除すことにより、比率を求めることができる。固定的な基準比率データは適宜定めることができる。例えば、画像読取装置100に白基準板29を複数回(例えば、数百回)読み取らせ、各画素の各色のディジタル値の平均値を固定的な基準比率データとして記憶部71に記憶させる。
又、図10の基準比率データ1の欄の右側の列に示すように、記憶部71は、各色の基準となる白基準値に替えて、各色の基準となる白基準値に基づき求められた基準色の基準値に対し、予め求めた基準比率を記憶しても良い。この場合、読取制御部7は、基準色以外の色の白基準値を比率調整するとき、基準比率の値を読み出すだけでよく、基準比率を求める演算(除す演算)を行わずに済む。
ここで、図10を用いて、基準色以外の色の白基準値の比率調整の一例を説明する。尚、図10では、白基準値の比率調整の説明のため、便宜上、比率調整例と示す欄を設けている。しかし、実際に記憶部71に記憶させるデータに、比率調整例と示す欄の内容は含める必要はない。
例えば、図10に示すように、基準色(Blue)のある位置の画素の白基準値の基準となる値が、ディジタル値で「850」であるとする。又、基準色以外の色(Red、Green)のある位置の画素の白基準値の基準となる値が、それぞれディジタル値で「900」、「800」であるとする。これらの基準とする白基準値でみると、「Red÷Blue=1.059」となり、「Green÷Blue=0.941」となる。これらの比率が、白基準値の比率調整処理での基準比率となる。
そして、白基準板29を読み取って白基準値を取得したとき、Redの白基準値が「930」、Blueの白基準値が「920」、「Green」の白基準値が「880」であるとする。実際の読み取りで得られた白基準値の値は、基準比率とずれがある。このような場合、各色の白基準値のバランスが理想的な場合と差異が生じている。
そこで、読取制御部7は、Blueの白基準値「920」を基準として、Redの白基準値とGreenの白基準値を比率調整する。例えば、「920」に基準比率「1.059」を乗じて得られる「974」をRedの白基準値として比率調整する。又、「920」に基準比率「0.941」を乗じて得られる「866」をGreenの白基準値として比率調整する。これにより、各色間の比率調整前の白基準値の差は、「10」から「54」へ、「40」→「54」へと変化し、各色間の白基準値のバランスが取られる。尚、説明の便宜上、各色の白基準値の差やその基準色の白基準値に対する比率を示す欄(「Δ1」と「Δ2」)を設けている。しかし、実際に記憶部71に記憶させるデータに、各色の白基準値の差やその基準色の白基準値に対する比率を示す欄を含める必要はない。
又、基準比率データは、基準比率データ1のように固定的ではなく、図10に「基準比率データ2」で示すように、実際に取得された白基準値に応じて変動させてもよい。例えば、基準比率データ2は、ある位置の画素の実際に白基準板29を読み取って得られた白基準値の平均値である。読取制御部7は、白基準板29を読み取るごとに、各色の各画素について、基準となる白基準値や、基準比率を求め、記憶部71に記憶させる。これにより、実際に設置された環境要因を考慮した基準比率データが得られる。
又、基準比率データ2において、平均値を求めるうえで用いる白基準値は、複数日にわたって、各画像読取装置100の利用に伴い得られた白基準値でもよい。又、原稿読み取りの際、白基準板29の読み取りを数十回〜数百回繰り返し、数十回〜数百回繰り返しで得られた各色の各白基準値の平均値でもよい。どのような白基準値を用いて、各色の各画素の平均値を求めるかは、任意に定めることができる。
そして、本実施形態では、基準となる比率(理想的な比率)を得るため、基準比率データ1、基準比率データ2のうち、どれを用いるかは、適宜定めることができ、記憶部71には、基準比率データ1、基準比率データ2のうち、何れかを記憶させておけばよい。
比率調整された白基準値は、基準値保持部91で保持される。そして、読取制御部7は、原稿の読み取りを行わせ、読み取りで得られた各ラインの画像データに対し、比率調整された白基準値に基づきシェーディング補正をシェーディング補正部9に行わせる(ステップ♯16)。そして、原稿の読み取りジョブの完了に伴い、本フローは終了する(エンド)
このようにして、本実施形態に係る画像読取装置100は、読取対象を照射する光源(ランプ25)と、複数の光電変換素子を含むラインセンサー8(ラインセンサー8R〜3)を複数色分含み、光源によって照射された読取対象を読み取るイメージセンサー24と、白基準部材(白基準板29)と、白基準部材を読み取ることで得られた各色の各画素の画素値に基づき、各色の各画素の白基準値を取得する基準値保持部91と、白基準値を用いて、イメージセンサー24の読み取りにより得られた各色の画像データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正部9と、同じ位置の画素の各色間の白基準値の基準比率を定めるためのデータである基準比率データを記憶する基準データ記憶部(記憶部71)と、同じ位置の画素について、複数色のうち一色を基準色とし、基準比率データで定まる基準比率に一致するように、基準色以外の画素の白基準値を調整する比率調整を行う白基準設定部(読取制御部7)と、を含む。
これにより、各色の白基準値の大きさの比率が基準と一致するように調整される。従って、ノイズ等によって、ある画素で適切とは言えない白基準値が取得されたとしても、各色のカラーバランスは崩れず、特定の画素の色味が他の画素と色味と大きく異なることによる画質の低下(画像データでのスジの発生等)を防ぐことができる。
又、白基準設定部(読取制御部7)は、ラインに含まれる全画素について、基準比率に一致するように基準色以外の色の白基準値に対して比率調整を行う。これにより、各白基準値の比率が各画素について比率調整され、全画素の色味を比率調整することができる。従って、色味が異なる画素の発生を防ぐことができ、画像データの画質を向上させることができる。
又、基準データ記憶部(記憶部71)は、予め定められた固定の基準比率データと、白基準部材(白基準板29)を読み取ることで得られた各色の各画素の画素値の平均値の何れか一方、又は両方を基準比率データとして記憶する。これにより、出荷時や製造時に予め定められた固定的な基準比率データや、実際に使用されて得られた結果に基づく基準比率データを用いて基準比率を求めることができる。
又、画像形成装置(例えば、複合機101)は、実施形態に係る画像読取装置100を含む。これにより、画質の低下(スジの発生等)が防がれた画像データを用いて画像形成等を行うことができる。従って、高画質の画像形成装置(例えば、複合機101)を提供することができる。
(第2の実施形態)
次に、図11を用いて、本発明の第2の実施形態を説明する。図11は、第2の実施形態に係る白基準値の比率調整処理の流れの一例を示すフローチャートである。
第1の実施形態では、主走査方向の全画素に対してカラーバランスを整えるため、基準色以外の色の白基準値の比率調整を行う例を説明した。本実施形態では、得られた白基準値が基本値に対して許容範囲を超えているとき、許容範囲を超えて異なる色の白基準値(以下、「異常白基準値」と称する。)を補正する。そして、許容範囲を超えて異なるために補正した画素についてのみ、基準色以外の色の白基準値を比率調整する点で第1の実施形態と異なる。
尚、その他の点については、第2の実施形態に係る画像読取装置100は、第1の実施形態に係る画像読取装置100と同様でよい。そこで、特に説明する場合を除き、第1の実施形態と共通する部分は、第1の実施形態の記載の内容を援用できるものとして、説明、図示を省略する。
ノイズや外乱等がない限り、同じ画素のR、G、Bの3色の白基準値が大きく変動することは少ないことも多い。そこで、本実施形態では、ノイズ等により、各色のバランスが崩れやすい画素(異常白基準値を補正した画素)に対してのみ、白基準値の補正や比率調整を行う。これにより、第1の実施形態よりも少ない処理、演算で各画素でのカラーバランスを取ることができる。
まず、図11のスタートは、コピーやスキャンのため、操作パネル1aへの入力により、原稿の読み取りの実行が指示された時点である(例えば、スタートキー18を押す)。そして、制御部6は、読取制御部7に対して読み取りを行うべき指示を与える。
原稿の読み取り開始に伴い、読取制御部7は、黒基準値を基準値保持部91に取得させる(ステップ♯21、図9のステップ♯11と同様)。次に、読取制御部7は、イメージセンサー24に白基準板29を読み取らせる(ステップ♯22、図9のステップ♯12と同様)。更に、読取制御部7は、各色の各画素の白基準値を基準値保持部91に取得させる(ステップ♯23、図9のステップ♯13と同様)。
そして、読取制御部7は、記憶部71から基準比率データを読み出す(ステップ♯24、図9のステップ♯14と同様)。次に、読取制御部7は、基準値保持部91に保持された各色、各画素の白基準値のうち、基本値と許容範囲を超えて異なる白基準値(異常白基準値)を特定(検出する)(ステップ♯25)。又、読取制御部7は、異常白基準値を補正する(ステップ♯26)。更に、読取制御部7は、白基準値を補正した画素(異常白基準値を含む画素)について、比率調整処理を行う(ステップ♯27)。
ここで、ステップ♯24〜ステップ♯27を説明する。
まず、本実施形態の基準比率データには、各色の各画素について、白基準値の基本となる値である基本値が含まれる。例えば、記憶部71は、図10に示す基準比率データ1や基準比率データ2に含まれ、各色、各画素の基準となる白基準値を基本値として扱うことができる。従って、第1の実施形態では、各画素について基準色の白基準値に対して、基準色以外の白基準値の比率を記憶させておけば、白基準値の比率調整処理を行うことができた。しかし、本実施形態では、基準比率データに、各色、各画素の基準となる白基準値(基本値)を含めておく。そして、各色の基準となる白基準値(基本値)を記憶部71に記憶させておけば、読取制御部7は、基準色以外の色の基準となる白基準値を基準色の基準となる白基準値で除すことにより、基準比率を求めることができる。
そして、読取制御部7は、基準比率データを用いて、各色、各画素の白基準値のうち、基本値と許容範囲を超えて異なる白基準値(異常白基準値)を検出する(ステップ♯25)。これにより、ノイズ等により異常が認められる白基準値の検出がなされる。
又、許容範囲は、画素値で言えば、基本値に対して±10〜±数十の範囲とされる。基本値に対して、どれだけ大きい、又は、小さいと許容範囲を超えるかは、任意に定めることができる。
そして、読取制御部7は、異常白基準値を補正する(ステップ♯26)。例えば、読取制御部7は、異常白基準値を基本値に近づける方向に白基準値を置き換える。例えば、読取制御部7は、異常白基準値の値を異常白基準値と基本値の平均値に置き換えて補正する。又、読取制御部7は、異常白基準値の値を基本値そのものに置き換えて補正してもよい。尚、異常白基準値が無ければ、白基準値の補正や基準色以外の白基準値の比率調整処理を行う必要はない。
更に、読取制御部7は、白基準値を補正した画素(異常白基準値を含む画素)について、比率調整処理を行う(ステップ♯27)。この各白基準値の比率を調整する比率調整処理の内容は、第1の実施形態と同様である。そして、この比率調整処理では、白基準値を補正した色(異常白基準値であった色)を基準色とすることができる。例えば、読取制御部7は、異常白基準値を含むため補正した色を基準色とし、基準色以外の色の白基準値を基準比率に基づき調整する。これにより、異常白基準値が補正された色を基準として、他の色の白基準値を調整し、各色の白基準値のバランスを取ることができる。
そして、比率調整された白基準値は、基準値保持部91で保持される。次に、読取制御部7は、原稿の読み取りを行わせ、読み取りで得られた各ラインの画像データに対し、比率調整された白基準値に基づきシェーディング補正をシェーディング補正部9に行わせる(ステップ♯28)。そして、本実施形態での原稿の読み取りジョブの完了に伴い、本フローは終了する(エンド)
このようにして、本実施形態の画像読取装置100は、基準データ記憶部(記憶部71)は、各画素の白基準値の基本値を記憶し、白基準設定部(読取制御部7)は、白基準部材(白基準板29)を読み取ることで得られた各画素の白基準値のうち、基本値と予め定められた許容範囲を超えて異なる白基準値を検出し、検出された画素の白基準値を基本値に近づくように補正し、白基準値を補正した画素について、基準比率に一致するように比率調整を行う。
これにより、第1の実施形態に係る画像読取装置100で得られる効果の他、第2の実施形態に係る画像読取装置100によれば、ノイズ等により異常な白基準値となった画素の白基準値が適切な値(基本値)に補正され、更に、各色の白基準値の比率調整も行われる。従って、異常な白基準値を補正しても、各色のカラーバランスは崩れず白基準値を補正した画素の色味が他の画素と色味と異なることを防ぐことができる。
又、白基準設定部(読取制御部7)は、検出された画素の白基準値を、現在の白基準値と基本値の平均値に補正する。これにより、異常である可能性がある白基準値を適切と認められる方向に補正することができる。
又、他の実施形態を説明しておく。第1、第2の実施形態では、読取制御部7を白基準設定部として用いる例を説明した。しかし、例えば、シェーディング補正部9内に各色、各画素の白基準値の調整や補正を行う回路を設け、読取制御部7以外の部分が白基準値の調整や補正を行うようにしてもよい。
又、基準比率データや基本値を記憶する記憶部(基準データ記憶部)として、画像読取装置100内の記憶部71を例に挙げたが、本体側の記憶部62等、他の記憶部(メモリー)を基準データ記憶部として用いても良い。例えば、本体側の記憶部62を基準データ記憶部として用いるとき、読取制御部7は、制御部6を介して基準比率データや基本値を受信する。