発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の可動役物装置が適用されたパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容された後述する遊技盤ユニット3と、本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、ガラス扉4の下側で本体枠2の前面に開閉自在に取り付けられた前面ボード5と、前面ボード5の右下隅部に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には遊技球を収容する受皿7が設けられている。ガラス扉4の中央部には透明なガラス板8が取り付けられており、遊技盤ユニット3の前面はこのガラス板8を通して外部から目視可能となっている。また、ガラス扉4の上部にはスピーカ9が左右に1個ずつ取り付けられており、これらスピーカ9から遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。
図2に示すように、遊技盤ユニット3は本体枠2の背面側に露出しており、この遊技盤ユニット3には、主制御処理部10、特別図柄表示制御部11、普通図柄表示制御部12、演出制御処理部13、ランプ制御処理部14、音声制御処理部15等が設けられている。その他、本体枠2の背面側には、支払制御処理部16、発射制御処理部17、賞球支払装置18等が設けられており、これらは遊技盤ユニット3を包囲する適宜位置に配置されている。
図3と図4に示すように、遊技盤ユニット3の前面には合板材からなる遊技盤19が取り付けられており、遊技盤19の前面(盤面)は遊技領域20となっている。この遊技領域20はガイドレール21等によって略円形状に区画されており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受皿7に保留された遊技球を遊技領域20に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域20の上部中央付近には中央役物ユニット22が配設されており、この中央役物ユニット22は、中央部に矩形状の開口23aを有する装飾枠23と、装飾枠23の下壁部に配設された後述する可動役物装置24とを具備している。また、中央役物ユニット22の裏面側には液晶パネル(LCD)からなる可変表示装置25が配設されており、この可変表示装置25の表示画面は装飾枠23の開口23aから露出している。
装飾枠23には開口23aの下辺に沿って左右方向へ延びるステージ26が設けられており、このステージ26の中央部には誘導溝26aが形成されている。この誘導溝26aの真下位置には上面に入賞孔を有する単純構造の第1始動入賞口27が配設されており、ステージ26上を転動して誘導溝26aから落下した遊技球が高い確率で第1始動入賞口27に入賞するようになっている。第1始動入賞口27の真下には第2始動入賞口28が近接配置されており、この第2始動入賞口28は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、これら始動入賞口27,28のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果に基づいて可変表示装置25の表示画面上で演出用図柄の変動表示および停止表示が行われる。また、中央役物ユニット22の左側の遊技領域20には通過チャッカー29が配設されており、遊技球がこの通過チャッカー29を通過すると、それを契機として普通図柄に係る電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2始動入賞口28の両可動片を一時的に開放して遊技球の入賞を許可するようになっている。
さらに、第2始動入賞口28の真下位置における遊技領域20には第1アタッカ装置30が配設されており、この第1アタッカ装置30の右斜め上方には第2アタッカ装置31が配設されている。内部構造については図示省略されているが、第1アタッカ装置30は、前面を開口した横長形状の大入賞口や、大入賞口に入賞した遊技球を検知するセンサユニットや、大入賞口の開口を開閉するアタッカ扉や、アタッカ扉を駆動するソレノイド等を具備しており、第2アタッカ装置31も同様に構成されている。これら両アタッカ装置30,31は、第1および第2始動入賞口27,28のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)へ移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄の抽選結果が第1の大当たり(例えば通常大当たり)の場合、第1アタッカ装置30のアタッカ扉が複数回繰り返し開放動作してその大入賞口を露呈させ、特別図柄の抽選結果が第2の大当たり(例えば確変大当たり)の場合、第2アタッカ装置31のアタッカ扉が複数回繰り返し開放動作してその大入賞口を露呈させる。第1アタッカ装置30のアタッカ扉は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、この間で1個の入賞に対して例えば12個を賞球として払い出し、かかる開放動作を例えば14回繰り返した後に大当たりが終了する。同様に、第2アタッカ装置31のアタッカ扉は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、この間で1個の入賞に対して例えば15個を賞球として払い出し、かかる開放動作を例えば16回繰り返した後に大当たりが終了する。
その他、遊技領域20内には、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口32や、遊技球の流下経路を担う遊技釘と風車(いずれも図示せず)等が配設されており、いずれの始動入賞口27,28や一般入賞口32にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域20の最下端部に設けられたアウト口33から遊技盤19の裏面側に排出されるようになっている。
可動役物装置24は前述した特別図柄に係る電子抽選の結果を役物の可動態様によって遊技者に示唆することができる装置であり、図6〜図23に示すように、この可動役物装置24は、横長形状に形成された金属板製のベース板34と、ベース板34にネジ止めにより一体化された合成樹脂製のカバー35と、ベース板34に固定された支持板36と、支持板36の裏面に取り付けられた第1のモータ37と、カバー35の前面左側部に取り付けられた第2のモータ38と、支持板36の左右両側部に回転可能に軸支された第1および第2の駆動ギア39,40と、支持板36の裏面下端部に回転可能に軸支された第1および第2の駆動アーム41,42と、ベース板34の左右両側壁に互いに平行な状態で支持された一対のガイドシャフト43と、両ガイドシャフト43に沿って左右方向へ移動可能な第1および第2のスライダ44,45と、第1の駆動アーム41および第1のスライダ44に回転可能に連結された第1の可動体46と、第2の駆動アーム42および第2のスライダ45に回転可能に連結された第2の可動体47等によって主に構成されている。なお、第1および第2の可動体46,47の可動態様との関連を持たせるために、図3〜図5に示すように、装飾枠23の下壁中央部にステージ26の真上に位置する半球状の意匠部材23bが取り付けられている。
ベース板34とカバー35は両者間に収納スペースを確保した状態で一体化されており、これらベース板34とカバー35の一体品はステージ26の背面側に画成された空間内に設置されている。なお、図12〜図23において、ベース板34とカバー35は内部構造を明確にするために省略されている。支持板36はベース板34の前面中央部に植設された複数本のボス34aにネジ止め固定されており、この支持板36を貫通する第1のモータ37の出力軸にはギア48が固着されている。支持板36の前面には3本の支軸36aが植設されており、これら支軸36aにアイドラギア49と第1および第2の駆動ギア39,40がそれぞれ回転可能に軸支されている。ギア48と第2の駆動ギア40は直接噛合しているが、ギア48と第1の駆動ギア39はアイドラギア49を介して噛合しているため、第1のモータ37が回転すると第1および第2の駆動ギア39,40は互いに逆向きに同期回転する。第1および第2の駆動ギア39,40の前面周縁部には円弧状突起39a,40aがそれぞれ形成されており、これら円弧状突起39a,40aの位置検出用センサとして一対のフォトインタラプタ50,51がカバー35に取り付けられている。また、第1および第2の駆動ギア39,40の裏面周縁部にはピン39b,40bがそれぞれ突設されている。
第2のモータ38の出力軸はカバー35を貫通して前記収納スペース内に突出しており、この収納スペース内において第2のモータ38の出力軸に固着されたギア52が第1の駆動ギア39と噛合している。したがって、第1の駆動ギア39は第1のモータ37と第2のモータ38の両方からの駆動力を受けて回転することになるが、第2のモータ38は第1のモータ37のトルク不足を補うものであるため、例えば、第1のモータ37として高トルクの大型モータを用いた場合や、第1のモータ37を駆動源とする動力伝達系の負荷トルクが小さい場合は、第2のモータ38を省略して第1のモータ37のみで両駆動ギア39,40を回転することも可能である。
第1および第2の駆動アーム41,42は裏面側を開放した断面凹状の長尺体であり、これら駆動アーム41,42の裏面側にはそれぞれ蓋体53,54がネジ止め固定されている。第1の駆動アーム41の長手方向の両端部には軸孔41a,41bが形成されており、一方の軸孔41aは支持板36の裏面に植設された円筒状の支柱(第3の軸部)55に挿入されている。同様に、第2の駆動アーム42の長手方向の両端部には軸孔42a,42bが形成されており、一方の軸孔42aは支持板36の裏面に植設された円筒状の支柱(第3の軸部)56に挿入されている。また、第1および第2の駆動アーム41,42の側部には長孔形状のカム孔41c,42cが形成されており、第1の駆動アーム41のカム孔41cは第1の駆動ギア39のピン39bに挿入され、第2の駆動アーム42のカム孔42cは第2の駆動ギア40のピン40bに挿入されている。これにより、第1および第2の駆動ギア39,40が逆向きに同期回転すると、各ピン39b,40bが対応するカム孔41c,42c内を移動し、それに伴って第1および第2の駆動アーム41,42がそれぞれ支柱55,56を支点として回転するようになっている。
第1のスライダ44の上下両端部には軸孔44aとガイド孔44bが形成されており、このガイド孔44bは下段側のガイドシャフト43に挿入されている。また、第1のスライダ44の裏面側には保持板57がネジ止め固定されており、両者44,57間に軸支された4つのローラ58のうち、対をなす2つのローラ58同士が上段側のガイドシャフト43を挟んで対向している。同様に、第2のスライダ45の上下両端部には軸孔45aとガイド孔45bが形成されており、このガイド孔45bは下段側のガイドシャフト43に挿入されている。また、第2のスライダ45の裏面側には保持板59がネジ止め固定されており、両者45,59間に軸支された4つのローラ60のうち、対をなす2つのローラ60同士が上段側のガイドシャフト43を挟んで対向している。なお、これらガイドシャフト43とガイド孔44b,45bおよびローラ58,60等により、第1および第2のスライダ44,45をスライド可能にガイドするガイド手段が構成されている。
第1の可動体46は全体的に正面視半リング状に形成されており、その裏面側には略同形状の回路基板61が取り付けられている。第1の可動体46は、合成樹脂の外表面に金属メッキを施した遮光性の外装部46aと、外装部46aの前面から一部を露出する光透過性樹脂の内装部46bと、内装部46bの裏面に配置された光透過性樹脂の意匠部46cとで構成されており、回路基板61は内装部46bと意匠部46cを介して外装部46aにネジ止め固定されている。回路基板61の前面にはコネクタ62と多数のLED(発光体)63が実装されており、これらLED63の光が内装部46bと意匠部46cを透過して第1の可動体46の前方へ照射されるようになっている。また、コネクタ62にはLED63に電力を供給するための後述するワイヤーハーネス(配線部材)Wが接続されており、このワイヤーハーネスWは第1の駆動アーム41の内部空間を通って前述したランプ制御処理部14に接続されている。
第1の可動体46と第2の可動体47は可変表示装置25の表示画面の中心を通る垂線L(図7参照)に関して線対称な左右位置に配置されており、両者46,47は対称形状であるという点を除いて基本的に同様に構成されている。すなわち、第2の可動体47も全体的に正面視半リング状に形成されており、その裏面側には同形状の回路基板64が取り付けられている。第2の可動体47は、合成樹脂の外表面に金属メッキを施した遮光性の外装部47aと、外装部47aから一部を露出する光透過性樹脂の内装部47bと、内装部47bの裏面に配置された光透過性樹脂の意匠部47cとで構成されており、回路基板64は内装部47bと意匠部47cを介して外装部47aにネジ止めされている。回路基板64の前面にはコネクタ65と多数のLED(発光体)66が実装されており、これらLED65の光が内装部47bと意匠部47cを透過して第2の可動体47の前方へ照射されるようになっている。このコネクタ65にもワイヤーハーネスWが接続されており、このワイヤーハーネスWは第2の駆動アーム42の内部空間を通って前述したランプ制御処理部14に接続されている。
第1の可動体46の内装部46bの基端部には内側突壁46dと外側突壁46eが形成されており、内側突壁46dは連結体67を用いて第1の駆動アーム41の先端側の軸孔41bに回転可能に連結されている。この連結体67は、平板状の鍔部67aと、鍔部67aの一面から前方へ突出する軸部(第1の軸部)67bと、鍔部67aの他面で軸部67bに対してオフセットした位置から後方へ突出するガイド部67cとを有しており、軸部67bを第1の駆動アーム41の軸孔41bに挿入して内側突壁46dにネジ止めすることにより、第1の可動体46は軸部67bを介して第1の駆動アーム41の先端部に回転可能に連結されている。また、ガイド部67cの先端に平板状の規制部67dがネジ止め固定されており、この規制部67dと鍔部67aはガイド部67cの長さ相当のスペースを介して対向している。そして、これら規制部67dと鍔部67aおよびガイド部67cによって区画された空間内を前述したワイヤーハーネスWの通過路として用いることにより、ワイヤーハーネスWが連結体67から外れないようにしている。一方、内装部46bの外側突壁46eには軸状体(第2の軸部)68がネジ止めされており、この軸状体68を第1のスライダ44の軸孔44aに挿入することにより、第1の可動体46は軸状体68を介して第1のスライダ44の上端部に回転可能に連結されている。
同様に、第2の可動体47の内装部47bの基端部には内側突壁47dと外側突壁47eが形成されており、内側突壁47dは連結体69を用いて第2の駆動アーム42の先端側の軸孔42bに回転可能に連結されている。この連結体69は、平板状の鍔部69aと、鍔部69aの一面から前方へ突出する軸部(第1の軸部)69bと、鍔部69aの他面で軸部69bに対してオフセットした位置から後方へ突出するガイド部69cとを有しており、軸部69bを第2の駆動アーム42の軸孔42bに挿入して内側突壁47dにネジ止めすることにより、第2の可動体47は軸部69bを介して第2の駆動アーム42の先端部に回転可能に連結されている。また、ガイド部69cの先端に平板状の規制部69dがネジ止めされており、この規制部69dと鍔部69aはガイド部69cの長さ相当のスペースを介して対向している。そして、これら規制部69dと鍔部67aおよびガイド部69cによって区画された空間内を前述したワイヤーハーネスWの通過路として用いることにより、ワイヤーハーネスWが連結体69から外れないようにしている。一方、内装部47bの外側突壁47eには軸状体(第2の軸部)70がネジ止めされており、この軸状体70を第2のスライダ45の軸孔45aに挿入することにより、第2の可動体47は軸状体70を介して第2のスライダ45の上端部に回転可能に連結されている。
このように構成されたパチンコ機において、図4に示すように、通常、可動役物装置24は非動作状態に維持されており、第1および第2の可動体46,47の各意匠部46c,47cと装飾枠23の意匠部材23bとがステージ26の後方位置に横一列に並んでいる。図12と図13はかかる可動役物装置24の非動作状態を示し、この場合、第1および第2の駆動アーム41,42は両者の開き角度を最大にした初期位置で停止しており、当該位置は第1の駆動ギア39の円弧状突起39aがフォトインタラプタ50の光路を横切ることで正確に検出される。このとき、第1および第2の駆動アーム41,42の回動支点である支柱(第3の軸部)55,56に対して軸状体(第2の軸部)68,70の方が軸部(第1の軸部)67b,69bよりも遠く離れているため、第1および第2の可動体46,47は基端部を外側に向けた横臥姿勢に保持されると共に、第1および第2のスライダ44,45はガイドシャフト43の左右両端部で停止している。また、このように第1および第2の駆動アーム41,42が初期位置で停止しているとき、コネクタ62,65と連結体67,69の軸部67b,69bを結ぶ直線は駆動アーム41,42の長手方向の軸線に対して小さい角度で交差しているため、換言すると、両可動体46,47と両駆動アーム41,42の相対角度が小さい状態となっているため、図14から明らかなように、両回路基板61,64のコネクタ62,65から導出されたワイヤーハーネスWは連結体67,69をほぼ直線状に通過して両駆動アーム41,42へと至っている。
この状態で第1および第2のモータ37,38を正逆いずれか一方向へ回転すると、第1および第2の駆動ギア39,40が互いに逆向きに同期回転し、それに伴って駆動ギア40のピン39b,40bが対応する駆動アーム41,42のカム孔41c,42c内を移動するため、図15と図16に示すように、両駆動アーム41,42が支柱55,56を中心に初期位置から動作位置に向かって回転し始める。その際、第1および第2のスライダ44,45はガイドシャフト43の端部から中央部に向かってスライド移動するため、支柱55,56から軸状体68,70までの距離が支柱55,56を中心とする軸部67b,69bの回転半径に対して次第に近付いていき、第1および第2の可動体46,47は対応する駆動アーム41,42と逆向きに回転しながら可変表示装置25の前面に出現していく。また、両駆動アーム41,42が初期位置から図16に示す位置まで回転すると、両可動体46,47と両駆動アーム41,42の相対角度が次第に大きくなっていくが、図17に示すように、連結体67,69を通過するワイヤーハーネスWは軸部67b,69bに対してオフセット位置に設けられたガイド部67c,69cの周面に沿って緩やかに屈曲するため、この時点でワイヤーハーネスWの屈曲部分に曲げストレスはほとんど作用しない。
引き続いて第1および第2のモータ37,38を同方向へ回転すると、図18と図19に示すように、支柱55,56から軸状体68,70までの距離が支柱55,56を中心とする軸部67b,69bの回転半径よりも短くなり、第1および第2の可動体46,47は可変表示装置25の前面で互いの先端部と基端部同士を対面させた起立姿勢となる。この間、第1および第2の可動体46,47は互いの基端側を近付けながら回転していくため、左右方向の長さ寸法が大きな第1および第2の可動体46,47であっても、これら可動体46,47を装飾枠23の左右両側部と干渉することなく可変表示装置25の前方へ出現させることができる。なお、両駆動アーム41,42が初期位置から図19に示す位置まで回転すると、図20に示すように、両可動体46,47と両駆動アーム41,42の相対角度はかなり大きくなるが、この時点でもガイド部67c,69cの周面に沿って屈曲するワイヤーハーネスWには曲げストレスはほとんど作用しない。
このようにして第1および第2の可動体46,47が可変表示装置25の前面で起立した後、さらに第1および第2のモータ37,38を同方向へ回転すると、両駆動アーム41,42は動作位置に向かって回転を続行し、第2の駆動ギア40の円弧状突起40aがフォトインタラプタ51の光路を横切る位置まで回転すると、両モータ37,38の回転が停止して両駆動アーム41,42は動作位置で停止する。この間、軸部67b,69bは駆動アーム41,42の回動支点である支柱55,56の真上付近を移動するため、第1および第2の可動体46,47は起立姿勢を保ったまま近接方向へ移動し、図21と図22に示すように、両駆動アーム41,42が動作位置まで回転すると、第1および第2の可動体46,47は互いの先端部と基端部同士を当接させた状態で停止し、可動役物装置24は第1および第2の可動体46,47同士をリング状に突き合わせた動作状態となる(図5参照)。なお、このように駆動アーム41,42が動作位置まで回転すると、図23に示すように、両可動体46,47と両駆動アーム41,42の相対角度は最大となるが、ワイヤーハーネスWは軸部67b,69bに対してオフセットしたガイド部67c,69cの周面に沿って屈曲されるため、この時点でもワイヤーハーネスWの屈曲部分に作用する曲げストレスは緩和されている。
また、第1および第2の可動体46,47が図21と図22に示す動作状態にあるとき、第1および第2のモータ37,38を上記と逆方向に回転すると、第1および第2の駆動アーム41,42は動作位置から初期位置に向かって回転し、それに伴って第1および第2の可動体46,47が起立姿勢から横臥姿勢に戻ると共に、第1および第2のスライダ44,45がガイドシャフト43の中央部からスライド移動して端部で停止する。
以上説明したように、本実施形態例に係る可動役物装置24では、モータ37,38を駆動源として駆動アーム41,42が一方向へ回転すると、可動体46,47が連結体67,69の軸部67b,69bを支点として駆動アーム41,42と逆方向へ回転し、それに伴って可動体46,47と駆動アーム41,42の相対角度が変化していくため、回路基板61,64が取り付けられた可動体46,47をダイナミックな動きで可変表示装置25の前面に出没させることができる。その際、回路基板61,64のコネクタ62,65から導出されたワイヤーハーネスWは連結体67,69のガイド部67c,69cに沿って屈曲した状態で駆動アーム41,42へ引き回されるが、連結体67,69のガイド部67c,69cが軸部67b,69bに対してオフセット位置に設けられているため、可動体46,47が駆動アーム41,42に対して大きく回転した場合でも、ワイヤーハーネスWのガイド部67c,69cに沿う曲率が極端に小さくなることを防止でき、ワイヤーハーネスWの屈曲部分に作用する曲げストレスを緩和することができる。
また、連結体67,69のガイド部67c,69cの先端に鍔部67a,69aと対向する規制部67d,69dをネジ止め固定し、これら鍔部67a,69aと規制部67d,69dおよびガイド部67c,69cで区画された空間内にワイヤーハーネスWを配置しているため、ワイヤーハーネスWが鍔部67a,69aと規制部67d,69dで挟まれた空間内でガイド部67c,69cに沿って屈曲されることになり、規制部67d,69dによってワイヤーハーネスWが連結体67,69から脱落しにくくなっている。この場合、規制部67d,69dはガイド部67c,69c等と共に連結体67,69に一体成形するようにしても良い。
なお、上記実施形態例では、駆動アーム41,42やスライダ44,45を含む駆動機構を用いて一対の可動体46,47を可変表示装置25の前面に出没させる可動役物装置24について説明したが、可動体の数や駆動機構はこれに限定されず、要は、モータを駆動源として初期位置と動作位置との間を回転する駆動アームの先端部に、該駆動アームと逆方向へ回転する可動体が連結体を介して回転可能に連結されていれば良い。
また、上記実施形態例では、配線部材としてワイヤーハーネスWを用いた場合について説明したが、ワイヤーハーネスの代わりに帯状のフラットケーブルを用いることも可能である。