JP5755049B2 - 導電性ローラ - Google Patents
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Description
本発明の導電性ローラの構成例として、図1に現像ローラの断面概略図を示す。この現像ローラは、軸芯体1aの外周上に、弾性層1bを有しており、弾性層1bの外周上に保護層1cを有している。なお、本発明において弾性層は、導電性ローラが感光体ドラムまたは現像剤規制部材との圧接時に、互いに適度な面積を持って接触するように、導電性ローラに弾性を持たせるための層であり、この目的を逸脱しない限り、単層または複数層とすることができる。
本発明に係る酸化ゲルマニウム膜は、当該酸化ゲルマニウム膜を構成している少なくとも一部のゲルマニウム原子に対して酸素原子を介して炭素原子が結合している。このような構造とすることで、酸化ゲルマニウム膜に対して高い柔軟性と弾性層への高い密着性とを付与できる。
手順(1):2枚の平板電極42の間に、軸芯体上に弾性層が形成された弾性ローラ48を設置し、モータ47を駆動させて周方向に回転させる。この回転は、アルコキシル基含有酸化ゲルマニウム膜を弾性層上に均一に形成するために行われるものである。
手順(2):排気手段により、真空チャンバ41内の圧力を1Pa以下にする。
手順(3):真空チャンバ内に原料ガスを導入し、平板電極42に高周波供給電源46により高周波電力を供給し、プラズマを発生させ、成膜を行う。
手順(4):所定時間経過した後、原料ガス及び高周波電力供給を停止し、真空チャンバ内に空気又は窒素を導入(リーク)して真空チャンバ内の圧力を大気圧まで上昇させた後、弾性ローラ48を取り出す。
本発明において、軸芯体は、導電性部材の電極および支持する部材として機能するものであれば特に制限なく使用できる。例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、鉄の如き金属または合金、導電性合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。
本発明において、弾性層を構成する材料としては公知の材料を用いることができ、例えば、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブタジエンゴム(BR)、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等。なお、これらのゴムは単独であるいは数種類を混ぜた混合物として用いることができる。
本発明の導電性ローラを用いることができる電子写真装置の一例を図3に示す。この模式図に示すカラー電子写真装置は、イエローY、マゼンダM、シアンC及びブラックBKの色トナー毎に設けられた現像装置(各色用)(10a〜10d)をタンデム形式で有している。現像装置は、仕様は各色トナー特性に応じて少し差異があるものの、基本的構成において同じである。現像装置には、矢印方向に回転する感光体ドラム2が設けられている。その周囲には、感光体ドラム2を一様に帯電するための帯電ローラ9、一様に帯電した感光体ドラム2にレーザー光21を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体ドラム2にトナーを供給し静電潜像を現像するホッパー3が設けられている。更に、感光体ドラム2上のトナー像を、給紙ローラ22により供給され搬送ベルト23によって搬送される紙のような記録媒体(転写材)24の裏面からバイアス電源25を印加して記録媒体24上に転写する転写ローラ26を有する転写部材が設けられている。搬送ベルト23は、駆動ローラ27、従動ローラ28及びテンションローラ29に懸架され、各画像形成部で形成されたトナー像を記録媒体24上に順次重畳して転写するように、画像形成部と同期して移動して記録媒体24を搬送するよう制御されている。なお、記録媒体24は、搬送ベルト23にさしかかる直前に設けられた吸着ローラ30の働きにより、搬送ベルト23に静電的に吸着されて、搬送されるようになっている。
シリコーンゴム用プライマー:XP81−405(A)(商品名、モメンティブ・パフォーマンスマテリアルズ・ジャパン合同会社)とXP81−405(B)とを等量混合撹拌し、SUS304製の直径6mm、長さ278mmの軸芯体に塗布した。風乾30分後、温度150℃で、30分間焼付けした。一方、以下の表に示す材料を十分に混練したゴム混合物を調製した。金型内に前記軸芯体を配置し、軸芯体上に4mm厚のゴム混合物を設け、170℃で、15分加熱した。得られたゴム層の表面を研磨し、直径12mmの弾性層ローラ1を製造した。
金型として内径12mmの円筒状の鉄合金製のパイプを用いた。金型内に、製造例1と同様にシリコーンゴム用プライマーを塗布した軸芯体と軸芯体の両端において軸芯体を固定するための鉄合金製の駒とを組み込んだ。一方、以下の表に示す材料を十分に混練した液状混合物を調製した。次いでこの液状混合物を、前記一方の駒から金型内に注入し、150℃で、20分加熱した。冷却後、金型から脱型し、オーブン中で温度200℃で5時間加熱し、軸芯体の周りに厚さ3.0mmの弾性層を有する弾性層ローラ2を得た。
軸芯体として、製造例1と同様の軸芯体を用いた。軸芯体にプライマ―:メタロックU−20(商品名、東洋科学研究所社)を塗布し、温度80℃で30分間乾燥後、温度120℃で、60分間さらに過熱した。また、以下の表に示す材料を十分に混練した混合物を調製した。クロスヘッド押出機に軸芯体と混合物を供給して、軸芯体上にゴム混合物の層を設け、140℃で60分加熱し、その後研磨して、弾性層ローラ3を製造した。
軸芯体として、製造例3と同様にプライマーを塗布した軸芯体を用いた。また、以下の表に示す材料を十分に混練した混合物を調製した。クロスヘッド押出機に軸芯体と混合物を供給して、軸芯体上にゴム混合物の層を設け、150℃で、50分加熱し、弾性層ローラ4を製造した。
機能性複層膜の外部層の材料として、以下の表に示す材料をV型ブレンダーで3分間混合した。更に加圧式ニーダーを用いて190℃で10分間溶融混練した。冷却後、粉砕機で粉砕し、単軸押出し機でペレット化した。次いで、クロスヘッド押出機に製造例1と同様の材質と形状の軸芯体とペレットを供給して、軸芯体上にゴム混合物の層を設け、150℃で、50分加熱し、弾性層ローラ5を製造した。
製造例1で得られた弾性層ローラ1の周面上に以下のようにして第二の弾性層(樹脂層)を設けた。
製造例3で得られた弾性層ローラ3の周面上に以下のようにして第二の弾性層(樹脂層)を設けた。先ず以下の表に示す材料を秤量し、メチルイソブチルケトン(MIBK)を加え、十分にかきまぜた混合物をオーバーフロー型循環式塗布装置に入れた。この塗布装置に弾性層ローラ3を浸漬し、引き上げた後に、80℃で1時間加熱後、更に160℃で1時間加熱して第二の弾性層(樹脂層)を設けることによって、弾性層ローラ7を製造した。
弾性層ローラ1を図4に示すCVD装置にセットし、真空チャンバー内を真空ポンプで1Paになるまで減圧した。セットした弾性層ローラを20rpmで回転させながら、原料ガスとして、減圧および加熱することによりガス化したテトラn―プロポキシゲルマニウムを真空チャンバー内に4sccmの流量で導入した。原料ガスを導入しながら、高周波電源より、周波数13.56MHz、0.6W/cm2の電力を平板電極に供給し、電極間にプラズマを発生させた。この状態を100秒間維持させることにより、弾性層ローラの周面上に保護層を形成し、実施例1の導電性ローラ1を得た。
導電性ローラ1について、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF―SIMS):TRIFT IV(商品名、アルバックファイ・株式会社)にて保護層表面の化合物組成を求めた。
ユニバーサル硬度(HU)は、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読することにより連続的硬さが求められる微小硬さ測定装置フィシャースコープH100SMC(フィッシャーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。圧子としては対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を使用した。更に具体的には、圧子押し込み深さを3μmに設定し、押し込み深さが3μmに達するまで段階的に荷重をかけ、測定した。導電性ローラのユニバーサル硬度(HU)は、定めた最終押し込み深さ(3μm)に圧子が到達したときの荷重の値から求めた。
導電性ローラの電気抵抗値は以下のように測定した。
即ち、図5に示す様に、画像形成装置に用いた場合の使用状態と同様の応力で、感光体と同じ曲率の円柱形金属49に当接させて通電したときの電気抵抗値を測定する。図5(a)において50aと50bは重りに固定された軸受けであり、導電性ローラ51の導電性支持体1aの両端に鉛直下方向に押す応力を印加する。導電性ローラ51の鉛直下方向には、導電性ローラ51と平行に円柱形金属49が位置している。そして、図示しない駆動装置により円柱形金属49を回転させながら、図5(b)の様に導電性ローラ51を軸受け50aと50bとへ押し当てる。使用状態の感光体ドラムと同様の回転速度で円柱形金属を回転させ、導電性ローラを従動回転させながら電源52から直流電圧−200Vを印加し、円柱形金属から流れ出てくる電流を電流計Aで測定する。このときの印加電圧と測定された電流とから計算して導電性ローラの電気抵抗値を算出する。本実施例においては、軸の両端にそれぞれ5Nの力を加えて、直径30mmの金属円柱に当接させ、該金属円柱の周速150mm/sで回転させた。
保護層の膜厚は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した。
白金をデポジットした導電性ローラ表面からミクロトームにより薄片を切り出し、TEM(Hー7500型 日立製作所製)を用いて観察した。膜厚が50nm未満のサンプルは観察倍率40万倍、50nm以上200nm未満のサンプルは10万倍、200nm以上1μm未満のサンプルは3万倍、1μm以上5μm未満のサンプルは1万倍、5μm以上のサンプルは3000倍で観察した。
導電性ローラ1を現像ローラとしてカラーレーザープリンタ:LBP7700C改造機(商品名、キヤノン社)用カートリッジに装着した。同レーザープリンタを用いて、まず最初に気温23℃相対湿度50%の環境(N/N環境)にて、シアン色についてそれぞれ1枚ベタ画像を出力し、以下に述べる先端濃度薄の評価を行った。次に印字率1%で2万枚の連続出力を行い、その後でハーフトーン画像を各色1枚出力した。次にハーフトーン画像出力後の現像ローラ表面を目視で観察し、現像ローラ表面の保護層の剥がれとハーフトーン画像を比較し、以下に述べる剥がれ評価を行った。なお、画像出力に用いたレーザープリンタの規制ブレードはSUS304ステンレススチール製、厚さ10μmであり、電圧を印加せずに画像出力を行った。
画像の先端濃度薄評価は、導電性ローラを前記カートリッジに装着した後、N/N環境にてベタ画像を出力し、画像上部の現像ローラ1周目に相当する部分とその他の部分の濃度を測定し、その差をとることにより濃度差の数値を求め評価値とした。具体的には前記画像の出力による方法で出力した現像ローラ1周目に相当する部分の濃度を5点測定し、次に2周目以降の領域の画像濃度を5点平均で測定し、その差を求めた。画像濃度は、分光濃度計:X-Rite504(商品名、エス・ディ・ジー社)を用いて測定した。画像濃度差が小さいほど濃度のムラが小さく良好な現像特性を示す。
上記画像出力によって得られた2万枚連続出力後のハーフトーン画像と、現像ローラ保護層の剥がれ具合を比較し、以下の基準でランクを付けた。
◎ :現像ローラ上の保護層には剥がれがなく、ハーフトーン画像上にも画像不良が無い。
○ :現像ローラ上の保護層は若干剥がれているが、画像上は画像不良が無い。
△ :現像ローラ上の保護層の剥がれが画像上に若干現れている。
× :現像ローラ上の保護層剥がれが画像上にハッキリと現れている。
実施例1において、保護層の原料であるテトラn―プロポキシゲルマニウムの流量と、高周波プラズマの出力と照射時間とを表8に示す条件に変えた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ2〜23を作製しそれぞれを評価した。結果を表8に示す。
実施例1において、保護層の原料と製造条件を表9に示す条件に変えた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ24〜41を作製し評価した。結果を表9に示す。
実施例1において、弾性層ローラの種類と保護層の製造条件を表10に示す条件に変えた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ42〜48を作製し評価した。結果を表10に示す。
実施例1において、画像出力に用いたレーザープリンタの規制ブレードに現像ローラと同等の電圧を印加した以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ49を作製し評価した。結果を表10に示す。
実施例1において、画像出力に用いたレーザープリンタの規制ブレードを導電性のウレタンゴムブレードとした以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ50を作製し評価した。結果を表10に示す。
実施例1において、画像出力に用いたレーザープリンタの規制ブレードをポリアミドでコートしたブレードとした以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ51を作製し評価した。結果を表10に示す。
実施例1において、保護層を作製する原料を実施例1と同様の材料を使用し、保護層の製造方法を以下に述べるゾルゲル法に変えた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラを52作製し評価した。結果を表11に示す。
テトラn―プロポキシゲルマニウム100質量部に対し、イソプロピルアルコール20質量部、水500質量部を加え、150℃で、2時間、加熱混合した。冷却後、溶液を浸漬塗工装置に入れ、弾性層ローラ1を浸漬し、引き上げ後に、風乾60分を行い、その後、150℃で、5時間加熱し、アルコキシル基としてn―プロポキシル基を有する酸化ゲルマニウム膜を有する導電性ローラを得た。
実施例52において、保護層を形成する原料として、テトラn―プロポキシゲルマニウムに代えて、テトラn―オクチルゲルマニウムを用いた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラを作製し、評価を行った。結果を表11に示す。表から明らかなように、実施例53の導電性ローラは、アルキル基の長さが長いため、膜の耐久性が多少劣り、保護層の剥がれが画像上に若干現れていた。
実施例1において、軸芯体の直径を6.0mmとし、また、弾性層の厚みを1.25mmとした以外は実施例1と同様にして、直径8.5mmの導電性ローラ53を作製した。作製した導電性ローラを帯電ローラとしてカラーレーザープリンタ:LBP7700C改造機(商品名、キヤノン社)用カートリッジに装着して、以下の評価を行った。結果を表12に示す。
導電性ローラを前記評価マシンに帯電ローラとして組み込んで初期のハーフトーン画像を出力した。画像の帯電ムラに相当する横白スジが無い画像を○、横白スジが現れる画像を×として評価した。
感光体ドラムに直径0.3mmのピンホールをランダムに7個開け、その感光体ドラムを前記評価マシンに組み込み、ハーフトーン画像を出力した。画像上でピンホールは黒い点として現れるが、そのピンホールの黒い点の周りの滲みが見えないものを○、見えるものを×として評価した。
実施例47、48、1および43において、保護層を設けなかった以外はそれぞれ、実施例47、48、1および43と同様にして、導電性ローラ101〜104を作製し、評価を行った。結果を表13に示す。
実施例1において、保護層を形成する原料として、テトラn―プロポキシゲルマニウムに代えて、ゲルマンガスを用いた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ105を作製し、評価を行った。結果を表13に示す。 表から明らかなように、比較例5の導電性ローラは、アルコキシル基を有さない保護層であるため、柔軟性に欠け、トナーに対する電荷の付与性に劣り、先端濃度薄が顕著に画像不良として現れた。
実施例1において、保護層を形成する原料として、テトラn―プロポキシゲルマニウムに代えて、シランガスを用いた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ106を作製し、評価を行った。結果を表13に示す。表から明らかなように、比較例6の導電性ローラは、膜中にアルコキシル基を有さないため、トナーの帯電付与能力に劣り、先端濃度薄が顕著に画像不良として現れた。
実施例1において、保護層を形成する原料として、テトラn―プロポキシゲルマニウムに代えて、テトラエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして、導電性ローラ107を作製し、評価を行った。結果を表13に示す。表から明らかなように、比較例7の導電性ローラは、膜中にアルコキシル基を有するが、ゲルマニウムを用いていないために、導電性に劣り、本発明の効果は発現しないことが確認された。
実施例49〜51において、比較例3で作製した導電性ローラを用いた以外は実施例49〜51と同様にして、導電性ローラ108〜110を作製し、評価を行った。結果を表13に示す。
比較例3において、軸芯体の直径を6.0mmとし、また、弾性層の厚みを1.25mmとした以外は比較例3と同様にして、導電性ローラ111を作製した。この導電性ローラを帯電ローラとして実施例54と同様の評価を行った。結果を表14に示す。表から明らかなように、ピンホールリークに伴う画像不良が顕著に発生した。
1a 軸芯体
1b 弾性層
1c 保護層
2 感光体ドラム
3 ホッパー
4 トナー
5 攪拌翼
6 トナー供給・剥ぎ取り部材
7 現像バイアス電源
8 トナー規制部材
9 帯電部材
10a〜10d 現像装置(各色用)
21 レーザー光
22 給紙ローラ
23 搬送ベルト
24 記録媒体
25 バイアス電源
26 転写ローラ
27 駆動ローラ
28 従動ローラ
Claims (3)
- 前記式(1)および式(2)で表わされる化学結合を有する酸化ゲルマニウム膜において、ゲルマニウム原子と結合している酸素原子と、酸素原子と結合している炭素原子との存在比O/Cが、2以上8以下である請求項1に記載の導電性ローラ。
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