現像ローラの構成本発明は、軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられたシリコーンゴムで形成されている弾性層と、該弾性層を被覆している樹脂層とを有する現像ローラに適用される。樹脂層は1層である必要はなく、2層以上形成しても良い。
本発明に係わる現像ローラの一例を図1の模式図に示す。図中の(a)は現像ローラの長手方向に平行な断面を表したものであり、(b)は長手方向に垂直な断面を表したものである。図1において、現像ローラ10は、円柱状の軸芯体11の周囲に弾性層12、弾性層12の周囲にSiO2で形成される部分(以下、SiO2部分とも言う)13、その周囲に樹脂層14が被覆層として形成されている。
さらに、SiO2部分13の詳細を図2の模式図に示す。図中の(a)は現像ローラの長手方向に平行な断面を拡大して表したものであり、(b)は弾性層表面の直径100μmの範囲内にSiO2部分が点在している様子を表したものである。図2に示したように、弾性層と樹脂層との間にSiO2部分が存在する領域とSiO2部分を介さずに接する領域とが混在している。
本発明者らは、弾性層と樹脂層との間に点在したSiO2部分を形成することで、弾性層と樹脂層との密着性向上とチャージアップの抑制を両立できることを見出した。「SiO2で形成されている部分が該弾性層と該樹脂層との間に点在している」とは、弾性層と樹脂層との間にSiO2部分が偏在せずに点々と形成されていることを表す。つまり、弾性層と樹脂層とが接する領域と、弾性層と樹脂層との間にSiO2部分が存在する領域とが偏りなく存在していることを表す。
弾性層と樹脂層との密着性を向上させるためには、両者と高い密着性を有する中間層を設けることが有効である。シリコーンゴム弾性層に中間層を設ける場合には、SiO2層が挙げられる。シリコーンゴムが弾性層と樹脂層との密着性を向上させる理由は以下の様に考えられる。弾性層を形成するシリコーンゴムの分子末端はメチル基である。メチル基は樹脂層を形成する分子と弱い分子結合しか形成しないため密着性は低い。一方、コロナ処理などの表面処理をシリコーンゴム弾性層表面に施すことにより形成されるSiO2は、分子の末端がOH基となる。従って、SiO2が弾性層表面にあることで、SiO2分子末端のOH基と樹脂層を形成する分子とが水素結合を形成する。これによって、密着性が向上すると考えられる。しかしながら、SiO2は一般に高抵抗であるため、中間層としてSiO2の層を均一形成した現像ローラを用いて画像形成した場合、チャージアップによる悪影響を生じやすい。
そこで、本発明者らがSiO2部分の分布状態とチャージアップの関係を鋭意検討した結果、弾性層と樹脂層との間にSiO2部分を点在するように形成することが、チャージアップの抑制に有効であることを見出した。上記のような構成にすることで、SiO2部分を介さずに弾性層と樹脂層とが接する部分が点在するので、現像ローラ表面にチャージアップした電荷を軸芯体に逃がすことができるためであると考えられる。さらに、点在したSiO2部分によって、弾性層と樹脂層との密着性が高まるため、画像濃度ムラを生じることなく、現像ローラ全体に渡って均一にチャージアップ抑制効果が得られる。
すなわち、上記のような構成によって弾性層と樹脂層との密着性向上及びチャージアップの抑制を両立し、連続通紙時の画像濃度変化及び長期間使用後のかぶりの悪化を抑制できる。
図2は本発明の現像ローラを軸方向に切ったときの断面模式図である。図2に示すように、SiO2部分13は弾性層12と樹脂層14との間に点在して形成される。
点在するSiO2部分の個々の大きさは、最大長さが0.1μm以上10μm未満であることが好ましい。最大長さとは、SiO2部分に外接する円の直径である。最大長さを0.1μm以上にすることで、SiO2部分による樹脂層の密着性を効果的に得ることができる。また、最大長さを10μm未満にすることで、局所的なチャージアップによる画像濃度ムラを抑制できる。
SiO2部分の厚さは、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。厚さを0.05μm以上にすることで、SiO2部分による樹脂層の密着性を効果的に得ることができる。また、厚さを1μm以下にすることで、局所的なチャージアップによる画像濃度ムラを抑制できる。
SiO2部分の径及び厚さはTEM(透過電子顕微鏡)などの方法を用いて測定することができる。TEMを用いた測定方法の詳細については後述する。
SiO2部分は、少なくともSiO2を主成分として51%以上含有していれば良い。SiO2以外の成分としては、環状ポリシロキサンやシリコーンゴム材料の低分子成分が挙げられるが、それ以外の成分を含有していても良い。
SiO2部分の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法といった蒸着方法を用いることができる。これらの方法を用いて、適宜マスキングを行い、SiO2部分を所望の分布状態にすることが可能である。しかしながら、本発明では、SiO2部分を形成する簡便な方法として、シリコーンゴム表面をコロナ処理する方法を見出し、採用した。後述するコロナ処理装置を用いて、特定の条件下でコロナ処理を行うことでSiO2部分を形成することが可能である。
SiO2部分は、現像ローラの長手方向全体に形成されていることが、樹脂層の密着性を得る上で好ましい。さらに、SiO2部分の量を現像ローラの長手方向で変化させても良い。とくに、現像ローラの端部でSiO2部分を多く形成することは、端部の密着性を向上する上でさらに好ましい。
さらに、本発明は現像ローラにおける弾性層表面上のSiO2部分の存在比率Rが、0.25以上0.80以下であることが好ましい。具体的には、以下の様にしてRの値を求める。
X線光電子分光法によって、樹脂層の表面から直径100μm範囲内の深さ方向の組成分析を行う。そして、シリコーンゴム由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点の全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rを求める。Rの値を0.25以上にすることで、点在したSiO2部分を形成することができ、弾性層と樹脂層との密着性を向上させることができる。また、Rの値を0.80以下にすることで、SiO2の連続層ができることを防止し、チャージアップを抑制することができる。なお、Rの測定は、図7に示すように、現像ローラ樹脂層の端部から長手方向へ現像ローラの長さの8%までの領域内と、現像ローラ長手方向の長さの8%幅の現像ローラ中央部領域内とで行う。その際、軸方向に同じ位置について、それぞれ周方向に4点ずつRの測定する。そして、それぞれのR値について、上記の範囲内に入っているかを判断する。X線光電子分光法による組成分析の詳細については後述する。
さらに、現像ローラの長手方向の端部と中央部で、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接する部分の比率を変化させることが好ましい。具体的には、前記のようにして求めたReとRcとの間に、Re×0.50≦Rc≦Re×0.90の関係が成り立つことが好ましい。ここで、Reは現像ローラの端部領域の弾性層のRの値である。また、Rcは現像ローラの中央部領域の弾性層のRの値である。本発明において、現像ローラの端部領域とは、現像ローラの一端から他端に向かって、当該現像ローラの幅に対して8%の長さの領域をいう。また、現像ローラの中央部領域とは、現像ローラの軸に沿う方向の長さ(現像ローラの幅)の中点を基準として、当該長さに対して8%の長さの領域をいう。このような構成にすることで、中央部よりも端部の方がSiO2部分の存在比率が多くなるため、チャージアップの抑制を維持しつつ、損傷を生じやすい端部の密着性をとくに向上させることができる。
シリコーンゴム弾性層表面に特定の条件下でコロナ処理を施すことで、弾性層表面に点在したSiO2部分が形成される。SiO2部分は以下の様にして形成されると考えられる。
シリコーンゴムにある一定以上のコロナ電流密度でコロナ処理を施した場合、コロナ放電が有する高いエネルギーにより、シリコーンゴムの弾性層中に存在する未反応のポリシロキサンや、結合が切れて遊離したポリシロキサンが、次第に気化する。気化したポリシロキサンは、コロナ放電中で電子やイオンと衝突することにより、Si原子とO原子に分解される。さらに、Si原子とO原子が結合して弾性層表面にSiO2として形成される。その結果、シリコーンゴム弾性層表面に点在したSiO2部分が形成されると考えられる。
該コロナ電極と該弾性層との間隔が1mm以上10mm以下であり、コロナ処理時の該コロナ電極全体の平均電流密度I(A/m)が7.0(A/m)以上35.0(A/m)以下である。
SiO2部分を点在して形成するためには、コロナ処理時のコロナ電極全体の平均電流密度I(A/m)が7.0(A/m)以上35.0(A/m)以下であることが好ましい。平均電流密度を7.0(A/m)以上に設定することで、高い熱エネルギーを与えてポリシロキサンを積極的に気化させることができる。気化したポリシロキサンは高エネルギーのコロナ放電中で分解され、SiO2部分を形成する。また、平均電流密度を35.0(A/m)以下に設定することで、ポリシロキサンが過剰に気化してSiO2の連続層が形成されるのを防止する。その結果、弾性層表面上に点在したSiO2部分を形成することができる。
現像ローラの端部と中央部で、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接する部分の比率を変化させるために、コロナ処理を以下の条件で施すことが有効である。すなわち、端部の平均電流密度Ie(A/m)と中央部の平均電流密度Ic(A/m)がIc×1.2(A/m)≦Ie≦Ic×2.0(A/m)の関係になるようにすることが好ましい。ここで、Ieはコロナ処理時の樹脂層の端部から長手方向へ現像ローラの長さの8%までの領域の平均電流密度であり、Icは現像ローラ長手方向の長さの8%幅の現像ローラ中央部領域内の平均電流密度である。このように端部と中央部の平均電流密度を調節することで、上述したRe×0.50≦Rc≦Re×0.90の関係を満たす現像ローラを製造することが可能になる。
SiO2部分をミクロに点在形成するためには、コロナ電極の表面粗さを制御することが有効である。すなわち、コロナ電極の表面粗さRaを1.0μm以上3.0μm以下とすることが好ましい。これは、コロナ電極の表面を適度に粗すことで、コロナ放電内の電流密度の集中をミクロに分散し、ポリシロキサンの気化量及びSiO2の形成量を制御できる。その結果、弾性層上のSiO2部分の点在具合を好ましく制御できる。
SiO2部分を効率よく形成するためには、弾性層表面を予め150℃以上220℃以下の温度に加熱した後にコロナ処理を行うことが好ましい。弾性層表面を加熱してポリシロキサンを予め気化させることで、短時間のコロナ処理で所望のSiO2部分を形成でき、弾性層のダメージを最小限に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
<本発明の現像ローラ>
以下、図1の現像ローラについて詳細に説明する。
軸芯体11の材料は、導電性であればとくに限定されず、炭素鋼、合金鋼及び鋳鉄、導電性樹脂の中から、適宜選択して用いることが出来る。合金鋼としては、ステンレス鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼、クロム鋼、クロムモリブテン鋼、Al、Cr、Mo及びVを添加した窒化用鋼が挙げられる。さらに防錆対策として軸芯体にめっき、酸化処理を施すことができる。めっきの種類としては電気めっき、無電解めっきのいずれも使用することが出来るが、寸法安定性の観点から無電解めっきが好ましい。ここで使用される無電解めっきの種類としては、ニッケルめっき、銅めっき、金めっき、カニゼンめっき、その他各種合金めっきがある。ニッケルめっきの種類としては、Ni―P、Ni−B、Ni−W−P、Ni−P−PTFE複合めっきがある。膜厚はそれぞれ0.05μm以上であれば好ましいが、より好ましくは0.10μm乃至30.00μmである。
弾性層12の材料には、シリコーンゴムを用いる。シリコーンゴムは単独で用いても良いし、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムから選択される一種または複数種を、シリコーンゴムに組み合わせて用いても良い。
シリコーンゴム材料としては、以下のものが挙げられる。ポリジメチルシロキサン,ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン,ポリメチルビニルシロキサン,ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン,ポリメチルフェニルシロキサン,ポリフェニルビニルシロキサン、これら複数のポリシロキサンの共重合体。
弾性層12を構成するシリコーンゴム中には、未反応のポリシロキサンが含まれていることが、コロナ処理により所望のSiO2部分を形成する上で好ましい。未反応のポリシロキサンとしては、環状ポリシロキサンやシリコーンゴムとして使用される各種材料の低分子成分が挙げられる。通常、シリコーンゴム中には未反応のポリシロキサンが含まれるが、反応性を持たないポリシロキサンを予め配合することで、含有量を制御しても良い。このような未反応のポリシロキサンを含有するシリコーンゴム弾性層を、一定の条件でコロナ処理をすることによって、本発明の現像ローラを製造することができる。特にシリコーンゴム中に含まれる未反応のポリシロキサンの含有量は、3乃至20重量%が好ましい。3重量%以上にすることでSiO2の形成を促進し、20重量%以下にすることで画像形成時にシロキサンが染み出して感光体を汚染するのを防止することができる。シリコーンゴム中に含まれる未反応のポリシロキサンの含有量は、シリコーンゴム弾性層を適当な大きさに切り出して、メチルエチルケトン(MEK)に24時間浸漬させてポリシロキサンを抽出させた前後の重量変化より求めることができる。
弾性層12の厚さは、現像ローラ10に充分な弾性を与えるために0.5mm乃至10.0mmであることが好ましい。弾性層12の厚さを0.5mm以上にすることで、現像ローラ10に充分な弾性が得られ、感光ドラムの摩耗を抑制することができる。また、弾性層12の厚さを10.0mm以下にすることで、現像ローラ10のコストを抑えることができる。
弾性層12の硬度は、Asker−C硬度10度乃至80度であることが好ましい。弾性層12の硬度を10度以上にすることで、弾性層12を構成するゴム材料からのオイル成分の染み出しを抑え、感光ドラムの汚染を抑制することができる。また、弾性層12の硬度を80度以下にすることで、感光ドラムの摩耗を抑制することができる。また、弾性層12のMD−1硬度は、20.0°乃至40.0°にすることで、当接部材による弾性層12の変形量と、弾性層12による感光体ドラムの削れ量を抑制できるため好ましい。ここで、MD−1硬度は、高分子計器株式会社製のマイクロゴム硬度計MD−1型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに制御した室内で測定したマイクロゴム硬度の値をいう。
弾性層12には、シリコーンゴムが有する低硬度及び低圧縮永久歪の特性を阻害しない範囲内で、充填剤を添加しても良い。充填剤の材料としては、石英微粉末、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、ケイソウ土、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤を挙げることができる。これらの充填剤の表面は有機珪素化合物、例えば、ポリジオルガノシロキサンで処理して疎水化しても良い。
現像ローラ10は、半導体領域の電気抵抗値を有する必要がある。そのため、弾性層12が導電剤を含有し、体積抵抗率1×104Ω・cm乃至1×108Ω・cmのゴム材料から形成されていることが好ましい。ここで、樹脂層材料の体積抵抗率が1×105Ω・cm乃至1×1010Ω・cmであれば、トナーに対して均一な帯電制御性を得ることが可能である。さらに、より好ましくは1×105Ω・cm乃至1×109Ω・cmである。
樹脂層材料の体積抵抗率の測定は、以下の方法で求めることができる。
はじめに、弾性層12の材料を、弾性層12の成形時と同じ条件で、弾性層12と同じ厚さに硬化させた平板状のテストピースを作製する。次に、テストピースから直径30mmの試験片を切り出す。切り出した試験片の片面には、その全面にPt−Pd蒸着を行うことで蒸着膜電極(裏面電極)を設け、もう一方の面には同じくPt−Pd蒸着膜により、直径15mmの主電極膜と、内径18mm、外径28mmのガードリング電極膜を同心状に設ける。なお、Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)を用い、電流値15mAにて蒸着操作を2分間行って得る。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
次に、以下の装置を用いて、以下の条件で測定サンプルの体積抵抗の測定を行う。測定時には、主電極を測定サンプルの主電極膜からはみ出さないように置く。また、ガードリング電極を測定サンプルのガードリング電極膜からはみ出さないように置く。測定は、温度23℃、湿度50%RHの環境で行うが、測定に先立って、測定サンプルを、その環境に12時間以上放置しておく。
試料箱:超高抵抗計測定用試料箱TR42(アドバンテスト社製)
主電極:口径10mm厚さ10mmの金属
ガードリング電極:内径20mm、外径26mm厚さ10mmの金属
抵抗計:超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)
測定モード:プログラムモード5(チャージ及びメジャー30秒、ディスチャージ10秒)
印加電圧:100(V)
測定した体積抵抗値をRM(Ω)、試験片の厚さをt(cm)とするとき、樹脂層材料の体積抵抗率RR(Ωcm)は、以下の式によって求めることができる。
RR(Ωcm)=π×0.75×0.75×RM(Ω)÷t(cm)
弾性層12の材料を導電化する手段としては、イオン導電機構、または電子導電機構による導電付与剤を上記材料に添加することにより導電化する手法が挙げられる。
イオン導電機構による導電付与剤としては、以下のものが挙げられる。LiCF3SO3、NaClO4、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaClの周期律表第1族金属の塩、NH4Cl、(NH4)2SO4、NH4NO3のアンモニウム塩、Ca(ClO4)2、Ba(ClO4)2の周期律表第2族金属の塩、これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの多価アルコールやそれらの誘導体との錯体、これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルのモノオールとの錯体、第4級アンモニウム塩の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩の陰イオン性界面活性剤、ベタインの両性界面活性剤。
また、電子導電機構による導電付与剤としては、以下のものが挙げられる。カーボンブラック、グラファイトの炭素系物質、アルミニウム、銀、金、錫−鉛合金、銅―ニッケル合金の金属或いは合金、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化銀の金属酸化物、各種フィラーに銅、ニッケル、銀の導電性金属めっきを施した物質。これらイオン導電機構、電子導電機構による導電付与剤は粉末状や繊維状の形態で、単独または2種類以上を混合して使用することが出来る。この中でも、カーボンブラックは導電性の制御が容易であり、また経済的であるといった観点から好適に用いられる。
樹脂層14として用いられる材料としては、以下のものが挙げられる。エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、ポリエステル樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレタン樹脂、水系樹脂。また、これらを2種類以上組み合わせて使用することも可能である。この中でも特に含窒素化合物であるウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂を用いることがトナーを安定して帯電させられることから好ましい。さらに、イソシアネート化合物とポリオールを反応させて得られるウレタン樹脂からなることが、帯電付与性とトナー劣化抑制の観点からより好ましい。
イソシアネート化合物としては、以下のものが挙げられる。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート。また、これらの混合物を用いることもでき、その混合割合はいかなる割合でもよい。
また、ここで用いるポリオールとしては、以下のものが挙げられる。2価のポリオール(ジオール)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、3価以上のポリオールとして、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール。さらに、ジオール、トリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した高分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド‐プロピレンオキサイドブロックグリコールといったポリオールも使用可能である。また、これらの混合物を用いることもでき、その混合割合はいかなる割合でもよい。
さらに、これらの樹脂層14に導電性を付与して使用することが出来る。導電性を付与する手法としては上記弾性層12の導電化と同様の手法を用いることが可能である。
樹脂層14の厚さは、1.0μm乃至500.0μmが好ましい。さらには、樹脂層14の厚みは1.0μm乃至50.0μmであることがより好ましい。樹脂層14を1.0μm以上にすることで、耐久性を与えることができる。また、500.0μm以下、さらに好ましくは50.0μm以下にすることで、MD−1硬度を低くでき、トナーの固着を抑制できる。樹脂層を複数層形成する場合には、複数層全体の厚さを上記範囲にすることが望まれる。ここで、樹脂層14の厚さは、キーエンス株式会社製のデジタルマイクロスコープVHX−600を用いて樹脂層の厚み方向の断面を観察し、樹脂層表面の平坦部から弾性層側の界面までの平均距離をいう。
現像ローラ10のMD−1硬度は、30.0°乃至50.0°にすることで、トナーの固着と当接部材による変形を効果的に抑制できるため好ましい。ここで、MD−1硬度は、高分子計器株式会社製のマイクロゴム硬度計MD−1型を用いて、温度23℃、湿度50%RHに制御した室内で測定したマイクロゴム硬度の値をいう。
現像ローラ10の表面粗さは、トナーの搬送力に大きく影響し、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaが0.05μm乃至3.00μmであることが好ましい。Raを0.05μm以上にすることで、トナーの搬送力を得ることができ、画像濃度の低下やゴーストといった画像品質の低下を抑制することができる。また、Raを3.00μm以下とすることで、かぶりやガサツキといった画像品質の低下を抑制することができる。
表面粗さを制御する手段としては、樹脂層14に所望の粒径の粒子を含有させることが有効である。また、樹脂層形成前後に、適宜研磨処理を施すことにより所望の表面粗さに形成することも可能である。その場合、弾性層のみを形成する場合には、弾性層を形成後に研磨処理を施せば良い。弾性層を複数層形成する場合には、複数層を形成後に研磨処理を施せば良い。また、弾性層と樹脂層を形成する場合には、弾性層を形成後に研磨処理を施した後に樹脂層を形成しても、樹脂層を形成後に研磨処理を施しても良い。
樹脂層14に含有させる粒子には、粒径0.1μm乃至30.0μmの金属粒子及び樹脂粒子を用いることができる。中でも、柔軟性に富み、比較的比重が小さくて塗料の安定性が得やすい樹脂粒子がより好ましい。樹脂粒子としては、ウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリル粒子、シリコーン粒子を挙げることができる。これらの樹脂粒子は単独、又は複数種を混合して使用することができる。樹脂層を複数層形成する場合には、複数層全てに粒子を含有させても良いし、複数層のうちの少なくとも一層に粒子を含有させても良い。
<本発明に係わるコロナ処理装置>
本発明に適用可能なコロナ処理装置について、その概要を図3により説明する。
図3は本発明の現像ローラの製造方法を実現する、コロナ処理装置の一例を示す概略構成図である。
図3において、コロナ処理装置30は、チャンバー31、コロナ電流計32、高周波電源33、ガス導入口34、ガス排気口35、支持部36、回転駆動部37、パージ口38、パルスジェネレーター39、コロナ電極40により構成される。コロナ処理装置の一例として、コロナ放電表面処理装置(春日電機株式会社製)が挙げられる。
被処理物である現像ローラ10は、チャンバー31内に設置された支持部36により芯金の両端を支持し、コロナ電極40と平行に所望の間隔を隔てて配置する。さらに、現像ローラ10の軸芯体は支持部36を介して接地するとともに、回転駆動部37に接続する。
コロナ電極40はチャンバー31とは絶縁し、さらに所望の周波数の高周波電力を出力する高周波電源33を接続する。高周波電源33にはパルスジェネレーター39が接続され、必要に応じて高周波電力をパルス変調することができる。
コロナ電極40と高周波電源33の間にはコロナ電流計32が接続され、コロナ放電に供給される電流値を測定することができる。本発明に係わるコロナ処理時のコロナ電極全体の平均電流密度I(A/m)は、この電流値を弾性層の長手方向におけるコロナ放電の発生領域の長さで除することにより算出できる。なお、コロナ放電の発生領域の長さは、目視でコロナ放電の発生を確認して測定した。
コロナ電極40は、異常放電の発生を抑制するため、高周波電力を供給する金属の導電体部と、その周囲を覆う絶縁体部で構成したものが好ましく用いられる。具体的には、図4(a)に示すように、導電体部41の周囲に絶縁体部42を被覆して構成する。導電体部41は導電体であれば特に制限はされないが、AlやCuを用いることが好ましい。絶縁体部42は絶縁性であれば特に制限はされないが、耐久性の面でセラミックを用いることが好ましい。
本発明では、樹脂層の端部の平均電流密度Ie(A/m)と中央部の平均電流密度Ic(A/m)を個別に制御するために、コロナ電極の金属の導電体部41を所望の領域で分割し、各々個別にコロナ電流計32、高周波電源33、パルスジェネレーター39を接続して独立して制御することができる。
さらに、図4(b)に示すように、コロナ電極40の絶縁体部42の径を長手方向で制御したり、図4(c)に示すように導電体部41の径を長手方向で制御することで、樹脂層の端部の平均電流密度Ie(A/m)と中央部の平均電流密度Ic(A/m)を制御することも可能である。この場合、各々が所望の電流密度になるように、導電体部41の直径及び絶縁体部42の厚みを適宜調整して用いればよい。
コロナ電極の表面粗さは、弾性層表面に所望のSiO2部分を点在して形成する上で有効である。具体的には、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaが、1.0μm以上3.0μm以下がより好ましい。Raを1.0μm以上とすることで、コロナ放電中の電流密度を不均一にでき、所望のSiO2部分を点在して形成することができる。また、Raを3.0μm以下とすることで、コロナ放電中で電界集中を生じることにより発生する異常放電を抑制できる。コロナ電極の表面粗さは、一般的な研磨処理、ブラスト処理により所望の値に制御することができる。
また、チャンバー31内を所望のガス雰囲気にするため、ガス導入口34が不図示のガスボンベにレギュレーターを介して接続され、さらにガス排気口35は不図示の真空ポンプに接続される。また、チャンバー31内をパージするためのパージ口38が設置される。
また、未反応のポリシロキサンを気化しやすくするために、弾性層表面を加熱するための赤外線ハロゲンランプを設置しても良い。
次に、コロナ処理装置の動作について説明する。
まず、コロナ処理を行う現像ローラ10を所望の位置に設置する。次に、現像ローラ10を回転駆動させる。その後、所望の高周波電力を高周波電源33よりコロナ電極40に供給し、現像ローラ10とコロナ電極40の間にコロナ放電を発生させて処理を開始する。所望の処理時間が経過したら、電力の供給及び回転駆動を停止し、現像ローラ20を取り出して処理を完了する。
コロナ放電を発生させる条件は、所望のSiO2部分が形成できるように適宜調整する必要がある。とくに、コロナ放電が不安定になり、異常放電の発生や弾性層の過昇温が生じると、弾性層の損傷をもたらす場合があるので避けなければならない。
コロナ処理の時間は、所望のSiO2部分が形成できるように適宜選択することが好ましい。具体的には、処理時間は30秒間以上120秒間以下が好ましい。30秒間以上にすることで、周方向に均一な処理効果が得られるため好ましい。また、120秒間以下にすることで、過昇温による弾性層の損傷を抑制できるため好ましい。
コロナ放電を発生させる際のチャンバー31内の圧力は、とくに制限を受けないが、コロナ放電中の荷電粒子密度を高めて効率良く処理するためには、92kPa乃至111kPaの大気圧近傍下でコロナ放電を形成して処理することが好ましい。
コロナ電極40に供給する高周波電力は、周波数及び投入電力を適宜選択することが好ましい。具体的には、1kHz乃至3GHzの周波数が好ましい。とくに、大気中でコロナ放電を発生させる場合には、コロナ放電を安定して形成できることから、1kHz乃至15MHzが好ましく、さらには5乃至100kHzが好ましい。投入電力は、装置構成及びコロナ放電発生領域に依存するためとくに限定はされないが、異常放電の発生や弾性層の過昇温が起きない範囲で高くしたほうが、所望のSiO2部分を効率良く形成できるため好ましい。
本発明においては、パルス幅変調方式によりパルス変調した高周波電力を供給してコロナ放電を発生させることがより好ましい。パルス幅変調方式を用いることにより、コロナ放電に投入する電力を高く設定でき、所望のSiO2部分を得ることが容易になる。また、duty比は50%乃至80%の範囲であることが好ましい。duty比は、パルス変調した高周波電力1周期に対する電力を印加する時間の比率を表す。duty比を50%以上にすることが、所望のSiO2部分を得るのに充分なエネルギーを与えることができるため好ましい。また、duty比を80%以下にすることが、コロナ放電による過昇温が引き起こす弾性層の損傷を抑制できるため好ましい。
コロナ電極40と弾性層20の間隔は、長手方向でほぼ均一であればとくに制限はされない。コロナ放電が安定して形成されるように、使用する電源周波数に応じて適正な範囲を選べばよいが、一般的には1mm乃至10mmの間隔が好ましい。1mm以上とすることで、異常放電の発生を抑制できるため好ましい。また、10mm以下とすることで、コロナ放電を均一に形成できるため好ましい。
コロナ放電の発生領域は装置構成によって任意に制御できる。図3に示したように、コロナ電極40を弾性層10全体に対向して設置することで、弾性層10の長手方向全域にコロナ放電を形成し、同時に処理することができる。また、弾性層10の長手方向の一部に形成したコロナ放電を、弾性層10の長手方向に走査することで、弾性層10の長手方向全域を処理しても良い。このようなコロナ放電を発生させるコロナ処理装置の一例として、プラズマ照射表面改質装置PS−601C(春日電機株式会社製)が挙げられる。
コロナ処理は、現像ローラを回転させて周方向に均一に行うことが好ましい。現像ローラの回転数はとくに制限されることはないが、1rpm乃至300rpmの回転数が均一に処理でき好ましい。
また、コロナ処理を行う前に弾性層表面を加熱することが、SiO2部分を効率良く形成できて好ましい。その場合、未反応のポリシロキサンが気化しやすくなるように、現像ローラを回転駆動させた後、10秒乃至300秒間加熱して弾性層表面を温度150℃乃至220℃にすることが好ましい。熱源はとくに制限されないが、赤外線ハロゲンランプがコスト、昇温速度の点で好ましい。
以上のようなコロナ処理装置を用いれば、弾性層表面に所望のSiO2部分を形成することが可能となる。
<本発明に係わる電子写真用画像形成装置及び電子写真用プロセスカートリッジ>
次に、本発明の現像ローラを搭載する電子写真用画像形成装置の一例を、図5で説明する。なお、以下の例ではカラーの電子写真用画像形成装置について説明するが、本発明の現像ローラは単色の電子写真用画像形成装置についても使用することが出来る。
図5において、電子写真用画像形成装置500には、イエロートナー、マゼンダトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナー毎に設けられる画像形成ユニットa、b、c、dが設けられる。各画像形成ユニットには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体505が設けられる。各感光体の周囲には、感光体を一様に帯電するための帯電装置511、一様に帯電処理した感光体にレーザー光510を照射して静電潜像を形成する露光手段、静電潜像を形成した感光体にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置509が設けられる。
一方、給紙ローラ523により供給される紙等の記録材522を搬送する転写搬送ベルト520が駆動ローラ516、従動ローラ521、テンションローラ519に懸架されて設けられる。転写搬送ベルト520には吸着ローラ524を介して吸着バイアス電源525の電荷が印加され、記録材522を表面に静電気的に付着させて搬送するようになっている。
各画像形成ユニットの感光体上のトナー像を、転写搬送ベルト520によって搬送される記録材522に転写するための電荷を印加する転写バイアス電源518が設けられる。転写バイアスは転写搬送ベルト520の裏面に配置される転写ローラ517を介して印加される。各画像形成ユニットにおいて形成される各色のトナー像は、画像形成ユニットに同期して可動される転写搬送ベルト520によって搬送される記録材523上に、順次重畳して転写されるようになっている。
更に、カラー電子写真用画像形成装置には、記録材上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着する定着装置515、画像形成された記録材522を装置外に排出する搬送装置(不図示)が設けられる。
一方、各画像形成ユニットには各感光体上に転写されずに残存する転写残トナーを除去し表面をクリーニングするクリーニングブレードを有するクリーニング装置512が設けられる。更に、その他感光体から掻き取られたトナーを収納する廃トナー容器が設けられる。クリーニングされた感光体は画像形成可能状態とされて待機するようになっている。
上記各画像形成ユニットに設けられる現像装置509には、一成分現像剤として非磁性トナーを収容したトナー容器507と、トナー容器の開口を閉塞するように設置され、トナー容器から露出した部分で感光体と対向するように現像ローラ10が設けられる。
トナー容器内には、現像ローラにトナーを供給すると同時に、現像後現像ローラ上に使用されずに残留するトナーを掻き取るためのトナー供給ローラ506と、現像ローラ上のトナーを薄膜状に形成すると共に、摩擦帯電するトナー量規制部材508とが設けられている。これらはそれぞれ現像ローラ10に当接配置されている。トナー量規制部材508にはトナー量規制部材バイアス電源513が接続され、現像ローラには現像ローラバイアス電源514が接続され、画像形成時において、トナー量制部材と現像ローラにはそれぞれ電荷が印加される。トナー量規制部材バイアス電源513から出力される電圧は、現像ローラバイアス電源514から出力される電圧より50V乃至400V低い電圧が出力される。
次に、本発明の現像ローラを搭載する電子写真用画像形成装置に脱着可能な電子写真用プロセスカートリッジの一例を、図6で説明する。図6に示す電子写真用画像形成装置用プロセスカートリッジ530は、現像装置509と、感光体505、クリーニング装置512を有し、これらが一体化されて電子写真用画像形成装置本体に着脱自在に設けられる。現像装置9としては電子写真用画像形成装置で説明したものと同様のものを挙げることができる。本発明の電子写真用画像形成装置用プロセスカートリッジは、上記の他、感光体上のトナー像を記録材に転写する転写部材などを上記の部材と共に一体的に設けたものであってもよい。
<本発明に係わる分析方法>
(透過電子顕微鏡によるSiO2部分の確認)
本発明では、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接している様子を、透過電子顕微鏡により確認した。
試料は、測定する現像ローラを、弾性層と樹脂層が両方含まれるように断面方向に切り出した後、ミクロトームで切削し、100μm角、厚さ100nmの薄片を作製した。この試料を、透過電子顕微鏡(商品名:H−7500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて10000倍の倍率で観察し、弾性層と樹脂層の間にSiO2部分の有無を確認した。同時に、図2(a)に示すように、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接する部分と、SiO2部分を介さずに接する部分とが混在しているかどうかを確認した。さらに、SiO2部分の径及び厚さを確認した。
(X線光電子分光法によるSiO2部分の定量分析)
本発明では、X線光電子分光法によりSiO2部分の定量分析を行った。
試料は、測定する現像ローラの表面から5mm角で、弾性層と樹脂層の両方が充分に含まれるように深さ1mm以上を切り出して作製した。この試料を、X線光電子分光装置(商品名:Quantum2000、アルバック・ファイ株式会社製)を用いて、アルゴンイオンエッチング法により試料の樹脂層表面から深さ方向の組成分析を行った。ここで、分析領域はφ100μmとし、X線源にはAl Kα(15kV、25W)を用いた。さらに、約100nmエッチングする毎に組成情報を得て、深さ方向の組成分析を行った。
具体的には、Siの2p軌道の結合エネルギーに起因するピークの測定を行い、SiO2に帰属されるSiのピークを103.7eV、Si−Oに帰属されるSiのピークを102.5eVとしてピーク分離を行った。それぞれの結合に帰属されるSiの組成より、弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点の全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rを求めた。
その測定結果の一例を表1に示す。表1では、100nm毎の深さ方向の相対位置におけるSi−Oに帰属されるSi原子とSiO2に帰属されるSi原子の組成、及び全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rを示した。なお、表1では深さ方向の相対位置をSiO2部分近傍のみ示した。また、測定した組成分析結果は、検出された炭素、窒素、酸素、珪素を合わせた総数を100(atom%)とした。
ここで、Si−Oに帰属されるSi原子の組成が、弾性層におけるSi−Oに帰属されるSi原子の組成の1/2以上になった時点を、弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点と定義した。表1の測定例においては、弾性層におけるSi−Oに帰属されるSi原子の組成は20(atom%)であった。したがって、深さ方向の相対位置13で弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子を検出したと判断した。この時点での全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rは0.36であった。
このようにして、弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点の全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rを求めた。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき詳細に説明する。
下記の実施例は、本発明の最良な実施形態の一例であるものの、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
[実施例1−1]
<現像ローラの作製>
以下の手順により、円柱状の軸芯体の周囲に、被覆層として弾性層と樹脂層を1層ずつ設けた現像ローラを作製した。
軸芯体として、直径6mm、長さ279mmのSUS304製の芯金を用いた。
弾性層の材料として、以下の要領で液状シリコーンゴムを準備した。まず、次の材料を混合し液状シリコーンゴムのベース材料とした。
両末端にビニル基を有する温度25℃における粘度が100Pa・sのジメチルポリシロキサン(東レダウコーニング社製、重量平均分子量100,000):100質量部。
充填剤として石英粉末(Pennsylvania Glass Sand社製、商品名:Min−USil):7質量部。
カーボンブラック(電気化学工業製、商品名:デンカブラック、粉状品)8質量部。このベース材料に、硬化触媒として白金化合物(東レダウコーニング社製、Pt濃度1%)を微量配合したものと、分子鎖両末端と側鎖にSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(東レダウコーニング社製、重量平均分子量500)3質量部を配合したものを質量比1:1で混合し、液状シリコーンゴムとした。
内径12mmの円筒型金型内の中心部に軸芯体を配置し、円筒型金型内に注入口からこの液状シリコーンゴムを注入し、温度120℃で5分間加熱硬化させ、室温まで冷却後、軸芯体と一体となった弾性層を脱型した。さらに温度150℃で4時間加熱して硬化反応を完了させ、厚さ3mmのシリコーンゴムを主成分とする弾性層を軸芯体の外周面上に設けた。シリコーンゴム中の未反応のポリシロキサンの含有量は10重量%であった。
その後、図3に示したコロナ処理装置(春日電機株式会社製)により以下の要領で処理し、弾性層表面にSiO2部分を形成した。
温度23℃、湿度50%RHに制御した室内に設置したコロナ処理装置に、弾性層をコロナ電極と3mmの間隔を隔てて配置した。コロナ電極の長さは300mmとし、表面粗さRaは2.0μmとした。チャンバー内の雰囲気は室内の空気そのままとし、圧力は101kPaとした。
弾性層表面が温度23℃であることを確認した後、弾性層を60rpmの回転数で回転駆動させた後、赤外線ハロゲンランプ(岩崎電気株式会社製)を用いて、弾性層表面を温度200℃に加熱した後、1分間放置した。
その後、周波数35kHzの電力をパルス変調はさせずに、長手方向に均一にコロナ電流密度20(A/m)で供給してコロナ処理を行った。処理時間は30秒間とした。
次に、樹脂層を以下の要領で被覆した。
樹脂層の材料として、次のものを用いた。
ポリテトラメチレングリコール(商品名:PTG650SN、数平均分子量Mn=1000、f=2(fは官能基数を表す。以下同じ。);保土谷化学株式会社製):100.0質量部。イソシアネート(商品名:ミリオネートMT、MDI、f=2、日本ポリウレタン工業株式会社製):21.2質量部。
これら材料をMEK溶媒中で段階的に混合して、窒素雰囲気下80度にて6時間反応させ、重量平均分子量Mw=10000、水酸基価20.0(mg・KOH/g)、分子量分散度Mw/Mn=2.9、Mz/Mw=2.5の2官能のポリウレタンプレポリマーを得た。MEKはメチルエチルケトンである。
このポリウレタンプレポリマー100.0質量部にイソシアネート(商品名:コロネート2521、日本ポリウレタン工業株式会社製)35.0質量部を加えて、NCO当量を1.4となるようにした。なお、NCO当量は、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数とポリオール成分中の水酸基のモル数との比([NCO]/[OH])を示すものである。
さらに、カーボンブラック(商品名:#1000、pH3.0、三菱化学社製)を21.0質量部添加した。この原料混合液に有機溶剤を加え、20μm前後の膜厚が得られるように固形分20質量%乃至30質量%の範囲で適宜調整した。さらに、ウレタン樹脂粒子(商品名:C400透明、直径14μm、根上工業株式会社製)を21.0質量部加え、均一分散、混合したものを樹脂層の原料液とした。
この樹脂層の原料液中に、上記の樹脂層を形成した軸芯体を浸漬した後、引上げて自然乾燥させた。次いで、温度140℃にて60分間の加熱処理を行い、樹脂層の原料液を硬化させて、平均20.0μmの膜厚の樹脂層を得た。このようにして、外径が約12mm、被覆層の長さ235mm、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における中心線平均粗さRaが、1.5μmの現像ローラを作製した。
<評価>
作製した現像ローラについて、前述の分析方法に従い、透過電子顕微鏡によるSiO2部分の確認を行った。その結果、弾性層と樹脂層の間にSiO2部分を確認した。
同時に、図2(a)及び(b)に示すようにSiO2部分が点在しており、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接する部分と、SiO2部分を介さずに接する部分とが混在していることを確認した。
次に、現像ローラの端部から20mm位置と、長手方向の中央位置においてSiO2の最大長さを測定した。その際、軸方向の同じ位置について、それぞれ周方向に4点ずつ測定を行った。透過電子顕微鏡で、25μm四方の範囲にあるSiO2部分を観察したところ、多少大きさのバラツキはあったものの、それぞれの最大長さは0.1μm以上10μm以下の範囲に入っていた。
次に、X線光電子分光法によるSiO2部分の定量分析を行った。その結果、弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点の全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Rは0.56であった。
さらに、同条件で作製した現像ローラを用い、電子写真用画像形成装置で画像評価を行った。電子写真用画像形成装置には、Hewlett−Packard社製 Color Laser Jet3600を用いた。プロセスカートリッジには専用のブラック用のものを用い、現像ローラのみを交換して以下の評価を行った。
(かぶり評価)
本実施例の現像ローラを組み込んだプロセスカートリッジを画像形成装置本体に搭載し、温度15℃、湿度10%RHの環境に24時間放置した。その後、同環境において、印字率が1%の画像を公称寿命よりも多い25000枚出力した。その後、同環境でベタ白画像を出力し、以下の方法でかぶり値を測定した。
かぶり値は、反射濃度計(商品名:TC−6DS/A;東京電色技術センター社製)を用いて、画像形成前の転写紙の反射濃度と、ベタ白画像の画像形成を行った後の転写紙の反射濃度を測定し、その差分により求めた。
かぶり値について以下の基準により評価を行った。かぶり値は小さいほど、チャージアップを抑制できていると考えられる。ここで、下記評価A及び評価Bは、目視では「かぶり」を認識できないレベルである。一方、評価C及び評価Dは、目視で「かぶり」を明らかに認識できるレベルである。
A:1.0より小さい
B:1.0以上かつ2.0より小さい
C:3.0以上かつ5.0より小さい
D:5.0以上。
(密着性評価)
次に、かぶり評価を終えた現像ローラを取り出し、温度20℃、湿度55%RHの環境に24時間放置した後、同環境において、以下の方法で密着性評価を行った。
まず、現像ローラの表面をメチルエチルケトンで洗浄し、トナー及びトナー由来の付着物を除去した。次に、現像ローラ表面の長手方向全面にポリイミドテープ(型番:P−221、パーマセル社製)を貼り付け、カミソリ刃を用いてポリイミドテープの上から長手方向に幅10mmの切り込みを現像ローラ長手方向全面に入れた。その後、現像ローラの両端の断面部にポリイミドテープとほぼ平行にカミソリ刃を用いて切り込みを入れてから、ポリイミドテープと現像ローラ表面を一緒に、現像ローラ表面に対して90°の角度で剥離したときの剥離強度を、引っ張り試験機を用いて測定した。現像ローラ表面の剥離が進むに連れて、一般に剥離強度が最小となる弾性層と樹脂層の界面で剥離が進むことから、この方法により弾性層と樹脂層の密着性を評価することが可能である。
現像ローラの両端部から、現像ローラの長手方向全面について測定を行い、剥離強度の最小値を以下の基準により評価した。剥離強度の値が大きいほど、長期間使用後においても、現像ローラの樹脂層の密着性が良好であると考えられる。
ここで、下記評価A及び評価Bは、実使用上密着性に全く問題が無いレベルである。一方、評価C及び評価Dは、現像ローラを再利用した場合に密着性に問題が生じる可能性があるレベルである。
A:200gf以上
B:150gf以上かつ200gfより小さい
C:80gf以上100gfより小さい
D:80gf以下
[比較例1]
弾性層を形成後、コロナ処理の代わりにエキシマ処理を行った後、樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
エキシマ処理は以下の条件で行った。弾性層表面を、軸芯体を回転軸として30rpmで回転させながら、波長172nmの紫外線を照射可能な細管エキシマランプ(ハリソン東芝ライティング製)により、積算光量が120mJ/cm2となるように照射して処理を行なった。照射時の弾性層表面とエキシマランプの距離は2mmとした。
作製した現像ローラを透過電子顕微鏡により評価した結果、弾性層と樹脂層の間にSiO2部分は確認されなかった。
[比較例2]
弾性層を形成後、コロナ処理の代わりにスパッタリング装置によりSiO2部分を均一に形成した後、樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
SiO2部分の形成は、スパッタリング装置(商品名:E−200S、キヤノンアネルバエンジニアリング社製)にSiO2のターゲットを用いて、500nmの膜厚で均一に形成した。
作製した現像ローラを透過電子顕微鏡により評価した結果、弾性層と樹脂層の間に連続したSiO2部分が形成されていることを確認した。
[比較例3]
弾性層を形成後、コロナ処理の条件を以下のように変更して行った後、樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
コロナ処理の条件は、コロナ電極の表面粗さRaを0.5μmとし、弾性ローラ表面は加熱せず常温のままとし、電流密度を5.0(A/m)、処理時間を10秒間とした以外は実施例1と同じ条件でコロナ処理を行った。
作製した現像ローラを透過電子顕微鏡により評価した結果、弾性層と樹脂層の間にSiO2部分は確認されなかった。
以上の評価結果を、合わせて表2に示す。
表2の結果より、弾性層と樹脂層とがSiO2部分を介して接する領域とSiO2部分を介さずに接する領域とを混在して形成した実施例1において、樹脂層の密着性向上とチャージアップによるかぶりの抑制を両立できる現像ローラを提供できることが分かった。
[実施例1−2]
弾性層の効果反応条件を変更し、温度150℃で6時間加熱して硬化反応を完了させて、弾性層に使用するシリコーンゴムに含まれる未反応のポリシロキサンの量を変化させた以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。シリコーンゴム中の未反応のポリシロキサンの含有量は3重量%であった。また、実施例1−1と同様にしてSiO2の最大長さを測定した結果、SiO2の最大長さは、0.1μm以上10μm以下の範囲に入っていた。
[実施例1−3]
弾性層の材料として、環状ポリシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、商品名:DC246Fluid)10質量部を加えて混合し、液状シリコーンゴムのベース材料とした以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。シリコーンゴム中の未反応のポリシロキサンの含有量は20重量%であった。また、実施例1−1と同様にしてSiO2の最大長さを測定した結果、SiO2の最大長さは、0.1μm以上10μm以下の範囲に入っていた。
[実施例2−1〜2−11]
表3に示すように、コロナ処理の際の樹脂層端部から長手方向へ現像ローラの長さの8%までの領域の平均電流密度Ie(A/m)と現像ローラ長手方向の長さの8%幅の現像ローラ中央部領域内の平均電流密度Ic(A/m)を制御した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
[実施例3]
さらに、表3に示すように、コロナ電極の表面粗さを変化させ、平均電流密度Iを20.0(A/m)とした以外は実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
[実施例4]
さらに、表3に示すように、コロナ処理開始時の弾性層表面の温度を変化させて、平均電流密度Iを10.0(A/m)とし、コロナ処理時間を10秒間とした以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
[実施例5−1]
さらに、弾性層の効果反応条件を変更し、温度150℃で8時間加熱して硬化反応を完了させて、弾性層に使用するシリコーンゴムに含まれる未反応のポリシロキサンの量を変化させた。その結果、シリコーンゴム中の未反応のポリシロキサンの含有量は1重量%であった。
さらに、表3に示すように、Ie(A/m)とIc(A/m)を制御した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
また、実施例1−1と同様にしてSiO2の最大長さを測定した。SiO2の最大長さが0.1μm以上10μm以下の範囲に入っていないものが観察された。
[実施例5−2]
さらに、弾性層の材料として、環状ポリシロキサン(東レ・ダウコーニング社製、商品名:DC246Fluid)15質量部を加えて混合し、液状シリコーンゴムのベース材料とした。その結果、シリコーンゴム中の未反応のポリシロキサンの含有量は20重量%であった。
さらに、表3に示すように、コロナ処理開始時の弾性層表面の温度と、コロナ処理の際のIe(A/m)とIc(A/m)を制御した以外は、実施例1と同様にして製造した現像ローラの評価を行った。
また、実施例1−1と同様にしてSiO2の最大長さを測定した。SiO2の最大長さが0.1μm以上10μm以下の範囲に入っていないものが観察された。
実施例1−1〜比較例4−2で製造した現像ローラについて、樹脂層の端部から現像ローラの長さの8%までの領域のReと、現像ローラ長手方向の長さの8%幅の現像ローラ中央部領域内でRcの測定を行った。その際、軸方向に同じ位置について、それぞれ周方向に4点ずつ測定を行った。その結果を表4に示す。
表3の結果より、弾性層由来のSi−Oに帰属されるSi原子が検出された時点の全Si原子数に対するSiO2に帰属されるSi原子数の割合Re及びRcが、0.25以上0.80以下を満足すると、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制を両立できることが分かった(実施例1−1乃至実施例4−4)。
また、弾性層のシリコーンゴム中には未反応のポリシロキサンが含有されており、その割合が変化しても一定の条件でコロナ処理を行えば、本発明の現像ローラが得られることが分かった(実施例1−1乃至実施例1−3)。
さらに、ReとRcとがRe×0.50≦Rc≦Re×0.90を満足すると、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制をより高いレベルで両立できることが分かった(実施例2−7乃至実施例2−11)。
また、コロナ電極全体の平均電流密度I(A/m)が、7.0(A/m)≦I≦35.0(A/m)を満足すると、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制を両立できる現像ローラを提供できることが分かった(実施例2−1乃至実施例2−11)。
さらに、Ie(A/m)とIc(A/m)とがIc×1.2(A/m)≦Ie≦Ic×2.0(A/m)を満足すると、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制をより高いレベルで両立できることが分かった(実施例2−7乃至実施例2−11)。
さらに、コロナ電極の表面粗さRaが1.0μm以上3.0μm以下とすると、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制をより高いレベルで両立できることが分かった(実施例3−1乃至実施例3−4)。
さらに、弾性層表面を予め温度150℃以上220℃以下に加熱した後にコロナ処理を行うと、樹脂層の密着性向上とかぶりの抑制をより高いレベルで両立できることが分かった(実施例4−1乃至実施例4−4)。
Re及びRcが、0.25以上0.80以下を満足しないと、それを満足するものと比較して、樹脂層の密着性が低下したり、若干のかぶりが出てしまうことが分かった(実施例5−1乃至実施例5−2)。