JP5751349B2 - 車両の操舵制御装置及び操舵制御方法 - Google Patents

車両の操舵制御装置及び操舵制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、操舵輪と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵輪を、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)に転舵モータを介して転舵させる、車両の操舵制御装置に関する。
従来から、操舵輪(ステアリングホイール)と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵輪を、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)に転舵モータを介して転舵させる操舵制御装置がある。このような操舵制御装置は、一般的に、ステア・バイ・ワイヤ(SBW:Steer By Wire、以降の説明では、「SBW」と記載する場合がある)と呼称するシステム(SBWシステム)を形成する装置であり、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載されている操舵制御装置は、転舵輪が縁石等に当接している状態で操舵輪が転舵方向へ操作され続けている場合に、転舵モータへ供給する駆動電流を減少させて、転舵モータに駆動電流が供給され続けることを防止するものである。
特開平10‐217988号公報
ラックエンド(ラック軸の端部)がステアリングラックに当接するようなフル転舵にあっても、操舵輪が転舵方向へ操作され続けていると転舵モータに駆動電流が供給され続けることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の操舵制御装置では、フル転舵時への対応については説明がなされていない。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、ラックエンドとステアリングラックとの接触を抑制して、転舵モータへの過大な駆動電流の供給を抑制することが可能な、車両の操舵制御装置及び操舵制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、転舵モータの回転角度である設定回転角度を記憶する。そして、転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータの回転角度を検出し、この検出した転舵モータの回転角度が記憶している設定回転角度を超えないように、転舵モータへの転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。これに加え、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除し、この制限を解除した状態で、転舵可能な限界の転舵角まで転舵輪が転舵された時、転舵モータの回転角度を算出する。さらに、算出した転舵モータの回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する。
本発明の一態様によれば、検出した転舵モータの回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータへの転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。このため、ラックエンドとステアリングラックとの接触を抑制して、転舵モータへの過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。
本発明の第一実施形態の車両の操舵制御装置を備えた車両の概略構成を示す図である。 本発明の第一実施形態の操舵制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第一実施形態の指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 転舵モータの回転角度と減少ゲインとの関係を示す図である。 本発明の第二実施形態の電流供給量制限部が行う処理に用いるパラメータを示す図である。 本発明の第三実施形態の指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 車両の旋回走行の状態を示す図である。 旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差と、旋回時回転角度を検出する頻度との関係を示す図である。 本発明の第四実施形態の指令演算部の詳細な構成を示すブロック図である。 積算走行距離係数と車両の積算走行距離との関係を示す図である。 限界角到達時間係数と車両の車速との関係を示す図である。 旋回時軌跡比係数と軌跡比偏差との関係を示す図である。 車速と転舵可能な転舵角との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
図1は、本実施形態の車両の操舵制御装置1(以下、「操舵制御装置」と記載する)を備えた車両の概略構成を示す図である。また、図2は、本実施形態の操舵制御装置1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の操舵制御装置1を備えた車両は、SBWシステムを適用した車両である。
ここで、SBWシステムでは、車両の運転者が操舵操作する操舵輪の操作に応じて転舵モータを駆動制御して、転舵輪を転舵する制御を行うことにより、車両の進行方向を変化させる。転舵モータの駆動制御は、操舵輪と転舵輪との間に介装するクラッチを、通常状態である開放状態に切り換えて、操舵輪と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で行う。
そして、例えば、断線等、SBWシステムの一部に異常が発生した場合には、開放状態のクラッチを締結状態に切り換えて、トルク伝達経路を機械的に接続することにより、運転者が操舵輪に加える力を用いて、転舵輪の転舵を継続する。
図1及び図2中に示すように、本実施形態の操舵制御装置1は、転舵モータ2と、転舵モータ制御部4と、クラッチ6と、反力モータ8と、反力モータ制御部10を備える。
転舵モータ2は、転舵モータ制御部4が出力する転舵モータ駆動電流に応じて駆動するモータであり、回転可能な転舵モータ出力軸12を有する。また、転舵モータ2は、転舵モータ駆動電流に応じて駆動することにより、転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する。
転舵モータ出力軸12の先端側には、ピニオンギアを用いて形成した転舵出力歯車12aを設けてある。
転舵出力歯車12aは、ステアリングラック14に挿通させたラック軸18の両端部間に設けたラックギア18aと噛合する。
また、転舵モータ2には、転舵モータ角度センサ16を設ける。
転舵モータ角度センサ16は、転舵モータ2の回転角度(転舵角度)を検出し、この検出した回転角度(以降の説明では、「転舵モータ回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、転舵モータ制御部4を介して、反力モータ制御部10へ出力する。
ステアリングラック14は、円筒形状に形成してあり、転舵モータ出力軸12の回転、すなわち、転舵出力歯車12aの回転に応じて車幅方向へ変位するラック軸18を挿通させる。
また、ステアリングラック14の内部には、ラック軸18の外径面を全周から覆うストッパ部14aを二つ設ける。二つのストッパ部14aは、それぞれ、ステアリングラック14の内部において、転舵出力歯車12aよりも車幅方向右側及び左側に設ける。なお、図1中では、二つのストッパ部14aのうち、転舵出力歯車12aよりも車幅方向右側に設けたストッパ部14aの図示を省略する。
ラック軸18の、ステアリングラック14に挿通させて内部に配置した部分のうち、ストッパ部14aよりも車幅方向右側及び左側の部分には、それぞれ、ストッパ部14aとラック軸18の軸方向で対向する端当て部材18bを設ける。なお、図1中では、二つの端当て部材18bのうち、ストッパ部14aよりも車幅方向右側に設けた端当て部材18bの図示を省略する。
ラック軸18の両端は、それぞれ、タイロッド20及びナックルアーム22を介して、転舵輪24に連結する。また、ラック軸18とタイロッド20との間には、タイヤ軸力センサ26を設ける。
タイヤ軸力センサ26は、ラック軸18の軸方向(車幅方向)に作用する軸力を検出し、この検出した軸力(以降の説明では、「タイヤ軸力」と記載する場合がある)を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。
転舵輪24は、車両の前輪(左右前輪)であり、転舵モータ出力軸12の回転に応じてラック軸18が車幅方向へ変位すると、タイロッド20及びナックルアーム22を介して転舵し、車両の進行方向を変化させる。なお、本実施形態では、転舵輪24を、左右前輪で形成した場合を説明する。これに伴い、図1中では、左前輪で形成した転舵輪24を、転舵輪24Lと示し、右前輪で形成した転舵輪24を、転舵輪24Rと示す。
転舵モータ制御部4は、反力モータ制御部10と、CAN(Controller Area Network)等の通信ライン28を介して、情報信号の入出力を行う。
また、転舵モータ制御部4は、転舵位置サーボ制御部30を有する。
転舵位置サーボ制御部30は、転舵モータ2を駆動させるための転舵モータ駆動電流を演算し、この演算した転舵モータ駆動電流を、転舵モータ2へ出力する。
ここで、転舵モータ駆動電流は、上述した転舵トルクを制御して、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)を算出し、この算出した目標転舵角に応じて転舵モータ2を駆動制御するための電流である。
転舵モータ駆動電流の演算は、反力モータ制御部10が出力する転舵モータ電流指令と、実際に転舵モータ2へ通電している電流(転舵モータ実電流)の指令値(以降の説明では、「転舵モータ電流指令It」と記載する場合がある)に基づいて行う。具体的には、転舵モータ電流指令Itを用いて転舵モータ電流指令を補正し、転舵モータ駆動電流を演算する。
また、転舵位置サーボ制御部30は、転舵モータ電流指令Itを計測し、この計測した転舵モータ電流指令Itに基づいて、転舵モータ2の温度Ttを推定する。そして、推定した転舵モータ2の温度Ttを含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。これは、電流の通電による抵抗発熱に起因するモータ類(転舵モータ2、反力モータ8)の過熱を推定するためである。
なお、転舵モータ電流指令Itは、例えば、転舵モータ2に基板温度センサ(図示せず)を内蔵し、この内蔵した基板温度センサを用いて計測する。
ここで、転舵モータ電流指令Itに基づいて転舵モータ2の温度Ttを推定する方法としては、例えば、大電流域では、計測した実際の電流値を用いて転舵モータ電流指令Itを求める。具体的には、計測した実際の電流値と予め記憶している電流閾値とを比較し、計測した実際の電流値が電流閾値よりも大きい場合は、計測した実際の電流値を、転舵モータ電流指令Itとして採用する。
一方、小電流域では、転舵モータ2の回転数とトルクとの関係を定めたモータNT特性を用い、転舵モータ2の回転数に基づいて、転舵モータ電流指令Itを推定する。具体的には、計測した実際の電流値を転舵モータ電流指令Itとして採用せず、モータNT特性を用い、転舵モータ2の回転数に基づいて推定した電流値を、転舵モータ電流指令Itとして採用する。
そして、上記のように採用した転舵モータ電流指令Itを用いて、転舵モータ2の温度Ttを推定する。
クラッチ6は、運転者が操作する操舵輪32(ステアリングホイール)と転舵輪24との間に介装し、反力モータ制御部10が出力するクラッチ駆動電流に応じて、開放状態または締結状態に切り換わる。なお、クラッチ6は、通常状態では、開放状態である。
ここで、クラッチ6の状態を開放状態に切り換えると、操舵輪32と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に分離させて、操舵輪32の操舵操作が転舵輪24へ伝達されない状態とする。一方、クラッチ6の状態を締結状態に切り換えると、操舵輪32と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に結合させて、操舵輪32の操舵操作が転舵輪24へ伝達される状態とする。
また、操舵輪32とクラッチ6との間には、操舵角センサ34と、操舵トルクセンサ36と、反力モータ8と、反力モータ角度センサ38を配置する。
操舵角センサ34は、例えば、操舵輪32を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。
また、操舵角センサ34は、操舵輪32の現在の回転角度(操舵操作量)である現在操舵角を検出する。そして、操舵角センサ34は、検出した操舵輪32の現在操舵角を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。なお、以降の説明では、現在操舵角を、「現在操舵角θ」と記載する場合がある。
ここで、近年の車両は、操舵輪32の操舵角を検出可能なセンサを、標準的に備えている場合が多い。このため、本実施形態では、操舵角センサ34として、車両に既存のセンサである、操舵輪32の操舵角を検出可能なセンサを用いた場合について説明する。
操舵トルクセンサ36は、操舵角センサ34と同様、例えば、操舵輪32を回転可能に支持するステアリングコラムに設ける。
また、操舵トルクセンサ36は、運転者が操舵輪32に加えているトルクである操舵トルクを検出する。そして、操舵トルクセンサ36は、検出した操舵トルクを含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。なお、以降の説明では、操舵トルクを、「トルクセンサ値Vts」と記載する場合がある。
なお、反力モータ8及び反力モータ角度センサ38に関する説明は、後述する。
また、クラッチ6は、開放状態で互いに離間し、締結状態で互いに噛合する一対のクラッチ板40を有する。なお、図1中及び以降の説明では、一対のクラッチ板40のうち、操舵輪32側に配置するクラッチ板40を、「操舵輪側クラッチ板40a」とし、転舵輪24側に配置するクラッチ板40を、「転舵輪側クラッチ板40b」とする。
操舵輪側クラッチ板40aは、操舵輪32と共に回転するステリングシャフト42に取り付けてあり、ステリングシャフト42と共に回転する。
転舵輪側クラッチ板40bは、ピニオン軸44の一端に取り付けてあり、ピニオン軸44と共に回転する。
ピニオン軸44の他端は、ピニオン46内に配置してある。ピニオン46には、ラックギア18aと噛合するピニオンギア(図示せず)を内蔵する。
ピニオンギアは、ピニオン軸44と共に回転する。すなわち、ピニオンギアは、ピニオン軸44を介して、転舵輪側クラッチ板40bと共に回転する。
また、ピニオン46には、ピニオン角度センサ48を設ける。
ピニオン角度センサ48は、ピニオンギアの回転角度を検出し、この検出した回転角度(以降の説明では、「ピニオン回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。
反力モータ8は、反力モータ制御部10が出力する反力モータ駆動電流に応じて駆動するモータであり、操舵輪32と共に回転するステリングシャフト42を回転させて、操舵輪32へ操舵反力を出力可能である。ここで、反力モータ8が操舵輪32へ出力する操舵反力は、クラッチ6を開放状態に切り換えて、操舵輪32と転舵輪24との間のトルク伝達経路を機械的に分離させている状態で、転舵輪24に作用しているタイヤ軸力や操舵輪32の操舵状態に応じて演算する。これにより、操舵輪32を操舵する運転者へ、適切な操舵反力を伝達する。すなわち、反力モータ8が操舵輪32へ出力する操舵反力は、運転者が操舵輪32を操舵する操作方向とは反対方向へ作用する反力である。
反力モータ角度センサ38は、反力モータ8に設けるセンサである。
また、反力モータ角度センサ38は、反力モータ8の回転角度(転舵角度)を検出し、この検出した回転角度(以降の説明では、「反力モータ回転角」と記載する場合がある)を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。
反力モータ制御部10は、転舵モータ制御部4と、通信ライン28を介して、情報信号の入出力を行う。これに加え、反力モータ制御部10は、通信ライン28を介して、車速センサ50及びエンジンコントローラ52が出力する情報信号の入力を受ける。
また、反力モータ制御部10は、通信ライン28を介して入力を受けた情報信号や、各種センサから入力を受けた情報信号に基づき、反力モータ8を駆動制御する。
車速センサ50は、例えば、公知の車速センサであり、車両の車速を検出し、この検出した車速を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。
エンジンコントローラ52(エンジンECU)は、エンジン(図示せず)の状態(エンジン駆動、または、エンジン停止)を含む情報信号を、反力モータ制御部10へ出力する。
また、反力モータ制御部10は、指令演算部54と、反力サーボ制御部56と、クラッチ制御部58を有する。
指令演算部54は、車速センサ50、操舵角センサ34、エンジンコントローラ52、操舵トルクセンサ36、反力モータ角度センサ38、ピニオン角度センサ48、タイヤ軸力センサ26及び転舵モータ角度センサ16が出力した情報信号の入力を受ける。
なお、指令演算部54の詳細な構成についての説明は、後述する。
反力サーボ制御部56は、反力モータ8を駆動させるための反力モータ駆動電流を反力モータ8へ出力する。
また、反力サーボ制御部56は、実際に反力モータ8へ通電している電流(反力モータ実電流)の値(以降の説明では、「反力モータ電流値Ih」と記載する場合がある)を計測する。
ここで、反力モータ駆動電流の演算は、指令演算部54が出力する反力モータ電流指令(後述)と、反力モータ電流値Ihに基づいて行う。具体的には、反力モータ電流値Ihを用いて反力モータ電流指令を補正し、反力モータ駆動電流を演算する。
また、反力サーボ制御部56は、計測した反力モータ電流値Ihに基づいて、反力モータ8の温度Thを推定する。なお、反力モータ8の温度Thの推定は、例えば、転舵位置サーボ制御部30が行う転舵モータ2の温度Ttの推定と、同様の手順で行う。
クラッチ制御部58は、指令演算部54が出力するクラッチ電流指令(後述)に基づいて、開放状態のクラッチ6を締結状態へ切り換えるために必要な電流を、クラッチ駆動電流として演算する。そして、演算したクラッチ駆動電流を、クラッチ6へ出力する。
(指令演算部54の詳細な構成)
以下、図1及び図2を参照しつつ、図3及び図4を用いて、指令演算部54の詳細な構成について説明する。
図3は、指令演算部54の詳細な構成を示すブロック図である。
図3中に示すように、指令演算部54は、反力モータ電流指令演算部54aと、転舵モータ電流指令演算部54bと、クラッチ電流指令演算部54cと、設定回転角記憶部54dと、電流供給量制限部54eと、当接回転角算出部54fを備える。
反力モータ電流指令演算部54aは、指令演算部54が入力を受けた各種情報信号に基づき、反力モータ電流指令を演算する。そして、反力モータ電流指令演算部54aは、演算した反力モータ電流指令を、反力サーボ制御部56へ出力する。
反力モータ電流指令演算部54aによる反力モータ電流指令の演算は、例えば、車速センサ50及び転舵モータ角度センサ16が出力した情報信号に基づき、転舵モータ回転角θtに、予め設定した反力モータ用ゲインGhを乗算して行う。
ここで、反力モータ用ゲインGhは、反力モータゲイン用マップを用いて、予め設定する。なお、反力モータゲイン用マップは、車速に依存するマップであり、予め形成して、指令演算部54に格納する。
すなわち、反力モータ電流指令を「Ih’」と定義すると、反力モータ電流指令Ih’は、以下の式(1)で演算する。
Ih’=θt×Gh … (1)
転舵モータ電流指令演算部54bは、指令演算部54が入力を受けた各種情報信号に基づき、転舵モータ電流指令を演算する。そして、転舵モータ電流指令演算部54bは、この演算した転舵モータ電流指令を、転舵位置サーボ制御部30へ出力する。
転舵モータ電流指令演算部54bによる転舵モータ電流指令の演算は、例えば、車速センサ50及び操舵角センサ34が出力した情報信号に基づき、現在操舵角θに、予め設定した転舵モータ用ゲインGtを乗算して行う。
ここで、転舵モータ用ゲインGtは、転舵モータゲイン用マップを用いて、予め設定する。なお、転舵モータゲイン用マップは、車速に依存するマップであり、予め形成して、指令演算部54に格納する。
すなわち、転舵モータ電流指令を「It’」と定義すると、転舵モータ電流指令It’は、以下の式(2)で演算する。
It’=θ×Gt … (2)
クラッチ電流指令演算部54cは、指令演算部54が入力を受けた各種情報信号に基づき、クラッチ電流指令を演算する。そして、クラッチ電流指令演算部54cは、この演算したクラッチ電流指令を、クラッチ制御部58へ出力する。
クラッチ電流指令演算部54cによるクラッチ電流指令の演算は、例えば、転舵モータ制御部4が推定した転舵モータ2の温度Ttと、クラッチ締結温度St1を用いて行う。
具体的には、まず、クラッチ6を開放状態に切り換えた状態で、転舵モータ制御部4が推定した転舵モータ2の温度Ttと、クラッチ締結温度St1とを比較し、転舵モータ2の温度Ttがクラッチ締結温度St1を超えているか否かを判定する。
ここで、クラッチ締結温度St1は、転舵モータ2を正常(通常状態、通常制御)に使用することが困難な使用限界温度よりも、予め設定した温度差分低い温度であり、予め設定して、指令演算部54に記憶させておく。
なお、上記の使用限界温度は、例えば、転舵モータ2に予め設定されている定格や、「JIS C 4003」等を用いて設定する。
本実施形態では、一例として、クラッチ締結温度St1を、転舵モータ2の使用限界温度よりも10[℃]低い温度に設定する場合を説明する。すなわち、本実施形態では、一例として、予め設定した温度差を、「10[℃]」に設定する場合を説明する。
そして、転舵モータ2の温度Ttがクラッチ締結温度St1を超えていると判定すると、開放状態(通常状態)のクラッチ6を締結状態に切り換える指令信号を演算し、この演算した指令信号を、クラッチ電流指令とする。
なお、クラッチ電流指令演算部54cは、転舵モータ2の温度Ttに応じて、締結状態のクラッチ6を開放状態に切り換える指令信号の演算も行う。
設定回転角記憶部54dは、設定回転角度を予め記憶する。
設定回転角度は、転舵輪24を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、転舵モータ2の回転角度である。
限界の転舵角とは、ストッパ部14aと端当て部材18bが当接している状態における、転舵輪24の転舵角であり、車両の設計時、製造時、工場出荷時等において、予め設定する。すなわち、転舵輪24の転舵角が、限界の転舵角に達している状態では、操舵輪32を操舵しても、転舵輪24の転舵角は変化(増加)しない。
設定転舵角は、限界の転舵角より小さい角度であり、限界の転舵角に応じて予め設定する。
本実施形態では、一例として、限界の転舵角を500[deg]と設定し、設定転舵角を499[deg]、すなわち、限界の転舵角よりも1[deg]小さい角度に設定する場合について説明する。
したがって、本実施形態では、一例として、設定回転角度を、転舵輪24の転舵角が499[deg]である状態における、転舵モータ2の回転角度に設定する場合を説明する。
また、設定回転角記憶部54dは、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する。なお、設定回転角記憶部54dが設定回転角度を更新する処理の説明は、後述する。
また、設定回転角記憶部54dは、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で転舵輪24が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じ、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する。なお、設定回転角記憶部54dが、上記の更新を行う処理の説明は、後述する。
また、限界状態の検出は、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で、転舵モータ実電流(q軸電流)が通常の転舵に必要のない過大な電流値となっている時間が、一定時間に達している状態を検出して行う。すなわち、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で、転舵モータ実電流が過大な電流値となっている時間が一定時間に達している状態を検出すると、この検出した状態を限界状態とする。このように限界状態を検出する処理は、転舵モータ角度センサ16、転舵位置サーボ制御部30、操舵角センサ34、転舵モータ電流指令演算部54b及び設定回転角記憶部54dを用いて行う。
なお、設定回転角記憶部54dが、予め記憶している設定回転角度を更新するタイミングは、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、予め記憶している設定回転角度及び更新する設定回転角度未満であるタイミングとする。これは、反力モータ8が操舵輪32へ出力する操舵反力の急変を防止するためである。
電流供給量制限部54eは、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
具体的には、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度を参照し、この参照している回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を、転舵モータ電流指令演算部54bへ出力する。
ここで、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を生成する際には、例えば、以下に説明する処理を行う。
このような処理では、例えば、転舵モータ駆動電流を減少させるための減少ゲインを、図4中に示すように、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度と設定回転角度に応じて設定する。なお、図4は、転舵モータ2の回転角度と減少ゲインとの関係を示す図である。
具体的には、転舵輪24の転舵角が0[deg]である状態、すなわち、転舵輪24及び操舵輪32が中立位置である状態を基準として、転舵輪24の転舵角が499[deg]へ近づくほど、上記の減少ゲインを増加させる。
また、減少ゲインの増加度合いは、転舵輪24の転舵角が499[deg]に達した時点で、転舵角が増加する方向への操舵輪32の操舵操作を規制可能な増加度合いに設定する。
また、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を生成する際には、例えば、目標転舵角を制限(リミット)する処理を行う。これは、例えば、制限値(リミット値)を上下可能な回路(リミット回路)を用いて行う。
また、電流供給量制限部54eは、転舵輪24及び操舵輪32が中立位置である状態を基準として、転舵輪24の転舵角が499[deg]へ近づくほど、反力を増加させる指令信号を生成し、この生成した指令信号を、反力サーボ制御部56へ出力する。なお、設定回転角記憶部54dが設定回転角度を更新すると、反力を増加させる指令信号も、更新した設定回転角度に応じて生成する。
また、電流供給量制限部54eは、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。なお、許可条件は、予め、電流供給量制限部54eに記憶させておく。
本実施形態では、一例として、許可条件を、車両の積算走行距離が、予め設定した走行距離閾値を超えている条件とする場合を説明する。なお、車両の積算走行距離は、例えば、一般的な車両に既存の構成である距離計(オドメータ)で計測する距離を参照して用いる。
また、本実施形態では、一例として、走行距離閾値を、10000[km]とする場合を説明する。
したがって、本実施形態では、電流供給量制限部54eが、車両の積算走行距離が10000[km]を超えていると、予め設定した許可条件が成立していると判定し、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
また、本実施形態では、電流供給量制限部54eが、車両の積算走行距離が10000[km]を超えた後は、積算走行距離が10000[km]を超える度に、予め設定した許可条件が成立していると判定する。すなわち、車両の積算走行距離が10000[km]を超えた後は、電流供給量制限部54eは、積算走行距離が20000[km]を超えていると、予め設定した許可条件が成立していると判定する。
当接回転角算出部54fは、電流供給量制限部54eが、予め設定した許可条件が成立していると判定して、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除した状態で、当接回転角度を算出する。
ここで、上記の当接回転角度は、転舵輪24の転舵角を限界の転舵角とした状態、すなわち、ストッパ部14aと端当て部材18bとを当接させた状態に対応する、転舵モータ2の回転角度である。
したがって、当接回転角算出部54fが当接回転角度を算出する際には、電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除した状態で、転舵輪24の転舵角を限界の転舵角とした状態に対応する転舵モータ2の回転角度を検出する。そして、この検出した転舵モータ2の回転角度を、当接回転角度として算出する。
ここで、転舵輪24の転舵角を限界の転舵角とした状態に対応する、転舵モータ2の回転角度を検出する際には、例えば、当接回転角算出部54fは、転舵位置サーボ制御部30に入力された情報信号に基づき、転舵モータ実電流を参照する。そして、転舵モータ実電流(q軸電流)が通常の転舵に必要のない過大な電流値(例えば、90[Arms])となっている時間が、一定時間(例えば、1[s])に達している状態を検出すると、この状態における転舵モータ回転角を、当接回転角度として算出する。
上記の処理を行う理由は、本実施形態では、転舵位置サーボ制御部30により、転舵モータ2に対するサーボ制御を行っているため、ストッパ部14aと端当て部材18bとを当接させた状態では、過大な指令電圧を出力されるためである。これに加え、ストッパ部14aと端当て部材18bが当接して、転舵モータ2の回転が止まると、転舵モータ2には、通常の転舵に必要な電流量を超えた過大な電流が流れるためである。
なお、上述した、転舵に必要のない過大な電流値や一定時間は、例えば、車両の構造等に応じて予め設定し、当接回転角算出部54fへ記憶させておく。
また、当接回転角度の算出は、車両の走行中に行うことが好適である。その理由は、車両が停車している状態では、転舵輪24が縁石等に当接している可能性や、側溝(溝)等に嵌っている(落ち込んでいる)可能性があり、当接回転角度を正確に算出できない可能性があるためである。
(当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて設定回転角度を更新する処理)
以下、設定回転角記憶部54dが、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する処理について説明する。
設定回転角記憶部54dは、当接回転角算出部54fが当接回転角度を算出すると、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度から、限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。
本実施形態では、設定回転角記憶部54dが、当接回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を設定回転角度として更新する際に、以下の処理を行う。
本実施形態では、限界の転舵角を500[deg]と設定し、設定転舵角を499[deg]としている。すなわち、本実施形態では、限界の転舵角と設定転舵角との偏差は、1[deg]である。
したがって、設定回転角記憶部54dが、当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて設定回転角度を更新する際には、当接回転角度から1[deg]を減算した角度を、設定回転角度として更新する処理を行う。
また、設定回転角記憶部54dが、当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて設定回転角度を更新する処理は、左右前輪、すなわち、転舵輪24Lと転舵輪24Rに対して、個別に行う。
(転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で限界状態を検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する処理)
以下、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で限界状態を検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する処理について説明する。
転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で、限界状態、すなわち、転舵輪24の転舵角が目標転舵角より小さい角度に規制される状態が検出される場合、以下に示す状態が発生している可能性がある。
すなわち、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で、転舵モータ実電流(q軸電流)が通常の転舵に必要のない過大な電流値となっている時間が、一定時間に達している状態は、ストッパ部14aと端当て部材18bが当接している可能性がある。なお、上記の過大な電流値は、例えば、90[Arms]であり、上記の一定時間は、例えば、1[s]である。
したがって、設定回転角記憶部54dは、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で、転舵モータ実電流が過大な電流値となっている時間が一定時間に達していると、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を検出する。そして、この検出した転舵モータ2の回転角度を設定回転角度として更新する処理を行う。
また、設定回転角記憶部54dが、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する処理は、左右前輪、すなわち、転舵輪24Lと転舵輪24Rに対して、個別に行う。
なお、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で限界状態を検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する処理は、車両の状態に応じて異ならせてもよい。
この場合、車両が走行している状態では、上述したように、転舵モータ実電流が過大な電流値となっている時間が一定時間に達していると、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する処理を行う。
一方、車両が停車している状態では、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えている状態で、転舵モータ実電流が過大な電流値となっている時間が一定時間に達しているか否かを判定する。そして、転舵モータ実電流が過大な電流値となっている時間が一定時間に達していると判定すると、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する処理を行う。この理由は、車両が停車している状態では、転舵輪24が縁石等に当接している可能性や、側溝(溝)等に嵌っている(落ち込んでいる)可能性があり、転舵輪24の転舵角が、実際には限界に達していない可能性があるためである。
なお、車両が停車している状態には、走行しているとみなせる速度(例えば、5[km/h])に達していない状態を含む。
(動作)
次に、図1から図4を参照して、本実施形態の操舵制御装置1が行なう動作の一例について説明する。
操舵制御装置1を作動させると、電流供給量制限部54eが、運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角度(499[deg])を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。なお、上記のフル転舵とは、運転者が、駐車時等に、転舵輪24の実際の転舵角が限界の転舵角となるように、操舵輪32を操作する状態である。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラックとの接触を抑制して、転舵モータへの過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。これに加え、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
また、電流供給量制限部54eは、車両の積算走行距離が走行距離閾値(10000[km])を超えていると、予め設定した許可条件が成立していると判定し、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除すると、当接回転角算出部54fが、当接回転角度を算出する。そして、設定回転角記憶部54dが、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する。
また、設定回転角記憶部54dは、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で限界状態を検出すると、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。なお、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係とは、具体的には、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係であり、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせ位置の関係である。
転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係の変化は、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせが有するガタが適正値よりも増加した場合や、ガタを詰めるためのリテーナの締め具合の変化により発生する。
すなわち、車両の積算走行距離の増加により、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせに発生したガタが適正値よりも増加すると、転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係は、車両の工場出荷時等から変化する。これにより、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、転舵角が限界の転舵角となる角度に達していても、ストッパ部14aと端当て部材18bは当接していない状態となり、車両の旋回半径が大きくなるという問題が発生する。
一方、修理工場等においてリテーナの締め具合を適正値よりも強くした場合等では、上記のガタが詰まり、適正値よりも減少する。このため、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、転舵角が限界の転舵角となる角度まで達していなくても、ストッパ部14aと端当て部材18bが当接した状態となる。これにより、転舵モータ2へ過大な転舵モータ駆動電流を供給してしまい、発熱等によりモータ寿命が短くなる要因になる。
これらの問題に対し、本実施形態の操舵制御装置1では、上記のように設定回転角度を更新することが可能となるため、車両の旋回半径の増加や、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
以上により、転舵モータ角度センサ16は、転舵モータ角度検出部に対応する。
また、転舵位置サーボ制御部30と転舵モータ電流指令演算部54bは、転舵モータ駆動電流供給部に対応する。
また、転舵モータ角度センサ16、転舵位置サーボ制御部30、操舵角センサ34、転舵モータ電流指令演算部54b及び設定回転角記憶部54dは、上述した限界状態を検出する転舵角限界状態検出部に対応する。
(第一実施形態の効果)
(1)電流供給量制限部54eが、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
このため、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制して、転舵モータ2への過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。
その結果、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
(2)電流供給量制限部54eが、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
このため、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度が、車両の工場出荷時等、設定回転角度の設定時から変化しているか否かを検出する機会を設けることが可能となる。
その結果、設定回転角度を適正値に補正する機会を設けて、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行った際に、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能となる。
(3)当接回転角算出部54fが、電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除した状態で、転舵輪24の転舵角を限界の転舵角とした状態に対応する転舵モータ2の回転角度である当接回転角度を算出する。これに加え、設定回転角記憶部54dが、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、車両の積算走行距離の増加や整備状態等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
その結果、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係の、車両の工場出荷時等からの変化度合いに応じて、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能な値に更新することが可能となる。
(4)電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する許可条件を、車両の積算走行距離が予め設定した走行距離閾値を超えている条件とする。
このため、車両の積算走行距離が増加して走行距離閾値を超え、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせに発生したガタが適正値よりも増加しても、この増加度合いに応じて、設定回転角度を適正値に更新することが可能となる。
その結果、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となる。
(5)設定回転角記憶部54dが、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下である状態で限界状態を検出すると、目標転舵角より小さい角度に規制された転舵角に対応する転舵モータ2の回転角度を、設定回転角度として更新する。
このため、修理工場等においてリテーナの締め具合が適正値よりも強くなり、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせに発生したガタが適正値よりも減少しても、この減少度合いに応じて、設定回転角度を適正値に更新することが可能となる。
その結果、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となるため、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
(変形例)
(1)本実施形態の操舵制御装置1では、設定転舵角を限界の転舵角よりも小さい角度に設定したが、設定転舵角は、これに限定するものではなく、ストッパ部14aと端当て部材18bとの、車両の設計時等における位置関係に応じて変更してもよい。
(2)本実施形態の操舵制御装置1では、走行距離閾値を10000[km]としたが、走行距離閾値は、これに限定するものではなく、車両の構成・構造や、主な使用目的(不整地走行が多い等)によって変更してもよい。
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
(構成)
本実施形態の操舵制御装置1は、電流供給量制限部54eの構成を除き、上述した第一実施形態と同様であるため、その他の構成については、説明を省略する場合がある。
電流供給量制限部54eは、上述した第一実施形態と同様、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
本実施形態では、一例として、図5中、特に図5(a)中に示すように、許可条件を、転舵輪24の転舵角が限界の転舵角となっている時間である限界角到達時間が、予め設定した到達時間閾値を超えている条件とする場合を説明する。なお、到達時間閾値は、予め、電流供給量制限部54eに記憶させておく。
以下、許可条件を、限界角到達時間が到達時間閾値を超えている条件とした理由を説明する。
車両の工場出荷時等と比較して、車両の旋回半径が大きくなると、運転者は、特に、駐車時や低速走行時等において、車両を旋回させるためにフル転舵を行う頻度が増加する。そして、運転者がフル転舵を行う頻度が増加すると、転舵輪24の転舵角が限界の転舵角に達している時間、すなわち、限界角到達時間が増加する。
このため、限界角到達時間を検出し、この検出した限界角到達時間が到達時間閾値を超えている場合に、当接回転角度を算出するために、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
また、本実施形態では、一例として、図5中、特に図5(b)及び(c)中に示すように、車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正する場合を説明する。
なお、図5は、本実施形態の電流供給量制限部54eが行う処理に用いるパラメータを示す図であり、図5(a)は、転舵輪24の転舵角と、経過時間との関係を示す図である。また、図5(b)は、到達時間閾値を減少補正するための補正係数と、車両の車速との関係を示す図であり、図5(c)は、到達時間閾値を減少補正するための補正係数と、操舵輪32に加わる操舵力との関係を示す図である。
したがって、本実施形態では、電流供給量制限部54eが、限界角到達時間が予め設定した到達時間閾値を超えていると、予め設定した許可条件が成立していると判定し、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
また、本実施形態では、図5(b)中に示すように、車両の車速が増加するほど、到達時間閾値を減少補正するための補正係数を増加させる。なお、図5(b)中に示すように、車両の車速が、走行しているとみなせる速度(5[km/h])に達していない状態では、補正係数は「0」とする。
さらに、本実施形態では、図5(c)中に示すように、運転者が操舵輪32に加える操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正するための補正係数を増加させる。なお、図5(c)中に示すように、運転者が操舵輪32に加える操舵力が「0」の場合であっても、ある程度の大きさ(正数)の補正係数を設定する。
したがって、本実施形態では、車両の車速が増加するほど増加する補正係数と、運転者が操舵輪32に加える操舵力が増加するほど増加する補正係数を積算し、この積算値を用いて、到達時間閾値を減少補正する。
以下、車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正する理由を説明する。
運転者がフル転舵を行う頻度は、車速が高くなる(高速となる)ほど低くなるため、車速が高い状態で限界角到達時間が長い場合には、車両の工場出荷時等と比較して車両の旋回半径が大きくなっている可能性が高い。
このため、図5(b)中に示すように、走行しているとみなせる速度に達している状態では、車速が増加するほど補正係数を増加させて、到達時間閾値を減少補正する。これにより、車両の旋回半径の増加に対応させて、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する頻度を増加させる。
また、車両の工場出荷時等と比較して車両の旋回半径が大きくなっている場合、運転者は、車両を小回りさせたい状況では、フル転舵を行うために、前進走行の場合と比較して、大きい操舵力を操舵輪32に加えることとなる。
この場合、運転者が車両を小回りさせたい度合いは、運転者が操舵輪32に加える操舵力の大きさに基づいて推定することが可能であるため、運転者が操舵輪32に加える操舵力が大きいほど、車両の旋回半径が大きくなっていると推定することが可能である。
このため、図5(c)中に示すように、運転者が操舵輪32に加える操舵力が大きいほど、補正係数を増加させて、到達時間閾値を減少補正する。これにより、車両の旋回半径の増加に対応させて、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する頻度を増加させる。
(動作)
次に、図1から図5を参照して、本実施形態の操舵制御装置1が行なう動作の一例について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の動作については、説明を省略する場合がある。
操舵制御装置1を作動させると、電流供給量制限部54eが、運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
また、電流供給量制限部54eは、限界角到達時間が予め設定した到達時間閾値を超えていると、予め設定した許可条件が成立していると判定し、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する。
電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除すると、設定回転角記憶部54dが、当接回転角算出部54fが算出した当接回転角度と設定転舵角との偏差に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、運転者がフル転舵を行う頻度に基づく時間である限界角到達時間に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。これにより、車両の工場出荷時等と比較して、車両の旋回半径が増加していても、この増加分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
また、電流供給量制限部54eは、車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正する。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の旋回半径の増加に対応させて、到達時間閾値を減少補正することにより、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する頻度を増加させることが可能となる。
(第二実施形態の効果)
(1)電流供給量制限部54eが転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する許可条件を、転舵輪24の転舵角が限界の転舵角となっている時間である限界角到達時間が、予め設定した到達時間閾値を超えている条件とする。
このため、運転者がフル転舵を行う頻度に基づく時間である限界角到達時間に応じて、設定回転角度を更新し、車両の工場出荷時等と比較して車両の旋回半径が増加していても、この増加分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
その結果、車両の工場出荷時等と比較した車両の旋回半径の増加分に応じて、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となる。
(2)車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、運転者がフル転舵を行う頻度に基づく時間である到達時間閾値を減少補正する。
このため、車両の旋回半径の増加に対応させて、到達時間閾値を減少補正することにより、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除する頻度を増加させることが可能となる。
その結果、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となる。
(変形例)
(1)本実施形態の操舵制御装置1では、許可条件を、限界角到達時間が到達時間閾値を超えている条件としたが、許可条件は、これに限定するものではない。すなわち、許可条件として、限界角到達時間が到達時間閾値を超えている条件に加え、上述した第一実施形態の許可条件である、車両の積算走行距離が予め設定した走行距離閾値を超えている条件を用いてもよい。
(2)本実施形態の操舵制御装置1では、車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正したが、これに限定するものではない。すなわち、車両の車速または操舵輪32に加わる操舵力が増加するほど、到達時間閾値を減少補正する構成としてもよい。要は、車両の車速及び操舵輪32に加わる操舵力のうち少なくとも一方が増加するほど、到達時間閾値を減少補正する構成とすればよい。
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
(構成)
本実施形態の操舵制御装置1は、指令演算部54の構成を除き、上述した第一実施形態と同様であるため、その他の構成については、説明を省略する場合がある。
以下、図1から図5を参照しつつ、図6から図8を用いて、指令演算部54の詳細な構成について説明する。
図6は、指令演算部54の詳細な構成を示すブロック図である。
図6中に示すように、指令演算部54は、反力モータ電流指令演算部54aと、転舵モータ電流指令演算部54bと、クラッチ電流指令演算部54cを備える。これに加え、指令演算部54は、設定回転角記憶部54dと、電流供給量制限部54eと、旋回時回転角検出部54gと、旋回時軌跡比算出部54hを備える。
反力モータ電流指令演算部54a、転舵モータ電流指令演算部54b、クラッチ電流指令演算部54c、設定回転角記憶部54dの構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
電流供給量制限部54eは、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
具体的には、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度を参照し、この参照している回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を、転舵モータ電流指令演算部54bへ出力する。
ここで、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を生成する際には、例えば、上述した第一実施形態と同様の処理を行う。
また、電流供給量制限部54eは、転舵輪24及び操舵輪32が中立位置である状態を基準として、転舵輪24の転舵角が499[deg]へ近づくほど、反力を増加させる指令信号を生成し、この生成した指令信号を、反力サーボ制御部56へ出力する。なお、設定回転角記憶部54dが設定回転角度を更新すると、反力を増加させる指令信号も、更新した設定回転角度に応じて生成する。
旋回時回転角検出部54gは、旋回時回転角度を検出する。
ここで、旋回時回転角度は、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときの、転舵モータ2の回転角度であり、例えば、転舵モータ角度センサ16を用いて検出する。
すなわち、旋回時回転角検出部54gが、旋回時回転角度を検出する際には、車両の走行時に、転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときに、転舵モータ2の回転角度を検出し、この検出した転舵モータ2の回転角度を、旋回時回転角度として検出する。
本実施形態では、一例として、旋回時回転角検出部54gが、予め設定した設定軌跡比と、旋回時軌跡比算出部54hが算出した旋回時軌跡比との偏差が、予め設定した偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する場合について説明する。
設定軌跡比は、車両の設計値であり、車両の設計時、製造時、工場出荷時等において設定し、予め、旋回時回転角検出部54gに記憶させておく。
なお、旋回時回転角検出部54gが、設定軌跡比と旋回時軌跡比との偏差が偏差閾値を超えていると判定して、旋回時回転角度を検出する処理の説明は、後述する。
旋回時軌跡比算出部54hは、車両の走行時に、転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときに、旋回時軌跡比を算出する。
ここで、旋回時軌跡比は、旋回走行時に車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪の軌跡である内側軌跡と、旋回走行時に車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪の軌跡である外側軌跡との軌跡比である。
すなわち、転舵輪24は、旋回走行時に車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪と、旋回走行時に車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪を有する。
本実施形態では、一例として、旋回走行の状態を、図7中に示すように、転舵輪24の転舵角を右折方向への設定回転角度とした走行状態とする場合を説明する。このため、本実施形態では、転舵輪24R(右前輪)が内側転舵輪を形成し、転舵輪24L(左前輪)が外側転舵輪を形成する場合を説明する。
なお、図7は、車両の旋回走行の状態を示す図である。また、図7中では、車両の平均旋回半径を符号「R」で示し、車両の車幅方向中心から転舵輪24Lの回転中心までの車幅方向に沿った距離を符号「DL」、車両の車幅方向中心から転舵輪24Rの回転中心までの車幅方向に沿った距離を符号「DR」で示す。さらに、図7中では、内側軌跡を符号「Tin」で示し、外側軌跡を「Tout」で示す。
以下、旋回時軌跡比算出部54hが、旋回走行時において旋回時軌跡比を算出する処理について説明する。
本実施形態では、旋回時軌跡比を、以下の式(3)を用いて算出する。
旋回時軌跡比
=(π×転舵輪24Lの旋回半径)/(π×転舵輪24Rの旋回半径)
=転舵輪24L側における車速/転舵輪24R側における車速
=転舵輪24Lの回転速度/転舵輪24Rの回転速度
… (3)
なお、転舵輪24L側における車速は、単位時間当たりの内側軌跡Tinの長さから算出し、転舵輪24R側における車速は、単位時間当たりの外側軌跡Toutの長さから算出する。
この場合、例えば、距離DL及び距離DRを0.75[m]とし、平均旋回半径Rを5[m]とし、これらを上式(3)に代入すると、旋回時軌跡比は、以下の式(4)に示す値となる。
旋回時軌跡比
={π×(5+0.75)}/{π×(5−0.75)}
=Vo/Vi
=(No×r)/(Ni×r)
=1.35
… (4)
なお、上記のVoは、転舵輪24L側(車両の車幅方向外側)における車速であり、Viは、転舵輪24R側(車両の車幅方向内側)における車速である。また、上記のNoは、転舵輪24Lの回転速度であり、Niは、転舵輪24Rの回転速度であり、rは、転舵輪24の動半径である。
(旋回時回転角検出部54gが旋回時回転角度を検出する処理)
以下、旋回時回転角検出部54gが、設定軌跡比と旋回時軌跡比との偏差が偏差閾値を超えていると判定して、旋回時回転角度を検出する処理について説明する。
旋回時軌跡比算出部54hが旋回時軌跡比を算出すると、旋回時回転角検出部54gは、旋回時軌跡比算出部54hが算出した旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差を算出する。そして、この算出した偏差が偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する。
本実施形態では、一例として、偏差閾値を3[%]とする場合を説明する。なお、偏差閾値(3[%])は、予め、旋回時回転角検出部54gに記憶させておく。
上式(4)に示すように、距離DL及び距離DRが0.75[m]であり、平均旋回半径Rが5[m]である状態では、旋回時軌跡比は1.35となる。そして、経時劣化等により、平均旋回半径Rが、例えば、6[m]となると、旋回時軌跡比は1.29となる。
車両の工場出荷時等において平均旋回半径Rが5[m]であり、上記の1.35を設定軌跡比として予め設定している場合、平均旋回半径Rが6[m]に増加すると、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差は、4[%]を超える(1.35/1.29)。
したがって、平均旋回半径Rが5[m]である状態の旋回時軌跡比を設定軌跡比として設定している場合、平均旋回半径Rが6[m]に増加すると、旋回時回転角検出部54gは、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が偏差閾値(3[%])を超えていると判定する。そして、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が偏差閾値を超えていると判定した旋回時回転角検出部54gは、旋回時回転角度を検出する。
また、例えば、整備工場等で車両を整備した場合等に、平均旋回半径Rが5[m]未満の値となり、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が偏差閾値を超えていると判定した場合にも、旋回時回転角検出部54gは、旋回時回転角度を検出する。
なお、本実施形態では、一例として、図8中に示すように、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が偏差閾値(3[%])を超えている場合、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が増加するほど、旋回時回転角度を検出する頻度を増加させる。なお、図8は、旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差と、旋回時回転角度を検出する頻度との関係を示す図である。
そして、旋回時回転角度を検出する際には、転舵輪24の転舵角を設定回転角度とした旋回走行時における転舵モータ2の回転角度を検出し、この検出した転舵モータ2の回転角度を、旋回時回転角度として検出する。
(設定回転角度を更新する処理)
以下、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角検出部54gが検出した旋回時回転角度から、限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度に応じて、設定回転角度を更新する処理について説明する。
設定回転角記憶部54dは、旋回時回転角検出部54gが旋回時回転角度を検出すると、旋回時回転角検出部54gが検出した旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。
本実施形態では、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を設定回転角度として更新する際に、以下の処理を行う。
本実施形態では、限界の転舵角を500[deg]と設定し、設定転舵角を499[deg]としている。すなわち、本実施形態では、限界の転舵角と設定転舵角との偏差は、1[deg]である。
したがって、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する際には、旋回時回転角度から1[deg]を減算した角度を、設定回転角度として更新する処理を行う。
(動作)
次に、図1から図8を参照して、本実施形態の操舵制御装置1が行なう動作の一例について説明する。
操舵制御装置1を作動させると、電流供給量制限部54eが、運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角度(499[deg])を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
そして、車両の旋回走行時には、旋回時軌跡比算出部54hが旋回時軌跡比を算出する。さらに、旋回時回転角検出部54gが、旋回時軌跡比算出部54hが算出した旋回時軌跡比と設定軌跡比との偏差が偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する。
旋回時回転角検出部54gが旋回時回転角度を検出すると、設定回転角記憶部54dは、検出した旋回時回転角度と設定回転角度とを比較する。そして、設定回転角度と旋回時回転角検出部54gが検出した旋回時回転角度が異なると判定すると、設定回転角記憶部54dは、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。
また、設定回転角記憶部54dは、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下の状態で限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラックとの接触を抑制して、転舵モータへの過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。これに加え、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の旋回走行時において設定回転角度と旋回時回転角度が異なると判定すると、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。このため、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
すなわち、本実施形態の操舵制御装置1では、上記のように、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときの旋回時回転角度を用いて、設定回転角度を更新することが可能となる。このため、上述した第一実施形態と同様、車両の旋回半径の増加や、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
なお、上述したように、本実施形態の操舵制御装置1の動作で実施する車両の操舵制御方法では、転舵モータ2の回転角度を検出し、転舵モータ駆動電流を転舵モータ2へ供給し、設定回転角度を予め記憶する。そして、検出した回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
さらに、本実施形態の操舵制御方法では、旋回時回転角度を検出し、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。また、本実施形態の操舵制御方法では、予め記憶している設定回転角度と検出した旋回時回転角度とから、設定回転角度に応じた転舵がされているか否かを判断する。ここで、予め記憶している設定回転角度と検出した旋回時回転角度が異なると判定すると、設定回転角度を更新する処理を行う。
また、本実施形態の操舵制御方法では、旋回走行時において旋回時軌跡比を算出する。これに加え、設定軌跡比と算出した旋回時軌跡比との偏差が、偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する処理を行う。
以上により、転舵モータ角度センサ16は、転舵モータ角度検出部に対応する。
また、転舵位置サーボ制御部30と転舵モータ電流指令演算部54bは、転舵モータ駆動電流供給部に対応する。
また、転舵モータ角度センサ16、転舵位置サーボ制御部30、操舵角センサ34、転舵モータ電流指令演算部54b及び設定回転角記憶部54dは、上述した限界状態を検出する転舵角限界状態検出部に対応する。
(第三実施形態の効果)
(1)旋回時回転角検出部54gが、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときの転舵モータ2の回転角度である、旋回時回転角度を検出する。これに加え、設定回転角記憶部54dが、予め記憶している設定回転角度と旋回時回転角検出部54gが検出した旋回時回転角度が異なると判定すると、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときの転舵モータ2の回転角度に基づき、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。したがって、経時劣化等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が変化した設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。
その結果、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制して、転舵モータ2への過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。
また、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
(2)旋回時軌跡比算出部54hが、車両の旋回走行時において旋回時軌跡比を算出する。これに加え、旋回時回転角検出部54gが、予め設定した設定軌跡比と旋回時軌跡比算出部54hが算出した旋回時軌跡比との偏差が、予め設定した偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する。
このため、車両の旋回走行時に、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度が、車両の工場出荷時等、設定回転角度の設定時から変化しているか否かを検出する機会を設けることが可能となる。
その結果、設定回転角度を適正値に補正する機会を設けて、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行った際に、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能となる。
また、車両の積算走行距離の増加や整備状態等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
これにより、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係の、車両の工場出荷時等からの変化度合いに応じて、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能な値に更新することが可能となる。
また、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となる。
(3)設定回転角記憶部54dが、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度の状態で限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、修理工場等においてリテーナの締め具合が適正値よりも強くなり、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせに発生したガタが適正値よりも減少しても、この減少度合いに応じて、設定回転角度を適正値に更新することが可能となる。
その結果、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となるため、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
(4)本実施形態の操舵制御方法は、旋回時回転角度を検出する。さらに、予め記憶している設定回転角度と検出した旋回時回転角度が異なると判定すると、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度に応じて設定回転角度を更新する。
このため、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角で旋回走行しているときの転舵モータ2の回転角度に基づき、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。したがって、経時劣化等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が変化した設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。
その結果、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制して、転舵モータ2への過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。また、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
(5)本実施形態の操舵制御方法は、車両の旋回走行時において旋回時軌跡比を算出する。そして、予め設定した設定軌跡比と算出した旋回時軌跡比との偏差が、予め設定した偏差閾値を超えていると判定すると、旋回時回転角度を検出する。
このため、車両の旋回走行時に、予め記憶している設定回転角度が、車両の工場出荷時等、設定回転角度の設定時から変化しているか否かを検出する機会を設けることが可能となる。
その結果、設定回転角度を適正値に補正する機会を設けて、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行った際に、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能となる。
また、車両の積算走行距離の増加や整備状態等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。これにより、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係の、車両の工場出荷時等からの変化度合いに応じて、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14が接触する可能性を低減させることが可能な値に更新することが可能となる。また、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となる。
(第四実施形態)
以下、本発明の第四実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
(構成)
本実施形態の操舵制御装置1は、指令演算部54の構成を除き、上述した第一実施形態と同様であるため、その他の構成については、説明を省略する場合がある。
以下、図1から図8を参照しつつ、図9から図13を用いて、指令演算部54の詳細な構成について説明する。
図9は、指令演算部54の詳細な構成を示すブロック図である。
図9中に示すように、指令演算部54は、反力モータ電流指令演算部54aと、転舵モータ電流指令演算部54bと、クラッチ電流指令演算部54cを備える。これに加え、指令演算部54は、設定回転角記憶部54dと、電流供給量制限部54eと、旋回時回転角検出部54gと、旋回時軌跡比算出部54hを備える。
反力モータ電流指令演算部54a、転舵モータ電流指令演算部54b、クラッチ電流指令演算部54c、設定回転角記憶部54d、旋回時回転角検出部54gの構成は、上述した第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
電流供給量制限部54eは、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角記憶部54dに予め記憶させている設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
具体的には、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度を参照し、この参照している回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を、転舵モータ電流指令演算部54bへ出力する。
ここで、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流を減少させる指令信号を生成する際には、例えば、上述した第一実施形態と同様の処理を行う。
また、電流供給量制限部54eは、転舵輪24及び操舵輪32が中立位置である状態を基準として、転舵輪24の転舵角が499[deg]へ近づくほど、反力を増加させる指令信号を生成し、この生成した指令信号を、反力サーボ制御部56へ出力する。なお、設定回転角記憶部54dが設定回転角度を更新すると、反力を増加させる指令信号も、更新した設定回転角度に応じて生成する。
また、電流供給量制限部54eは、旋回時駆動電流検出部54iが検出した旋回時供給量が制限している転舵モータ駆動電流の供給量を超えていると判定すると、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を緩和する。これにより、転舵モータ2への転舵モータ駆動電流の供給量を増加させて、転舵輪24を転舵可能な範囲を、予め設定回転角記憶部54dに記憶させている設定回転角度を超える角度に対応する範囲とする。
また、本実施形態では、一例として、電流供給量制限部54eが、以下に記載する三つの係数のうち最大値の係数に基づいて、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を緩和する緩和度合いを設定する場合について説明する。この場合、電流供給量制限部54eは、三つの係数(積算走行距離係数、限界角到達時間係数、旋回時軌跡比係数)を参照し、三つの係数のうち最大値の係数を選択(セレクトハイ)する。
・積算走行距離係数
積算走行距離係数は、車両の積算走行距離が、予め設定した走行距離閾値を超えており、さらに、走行距離閾値を超えてからの走行距離が積算されるほど増加する係数である。なお、車両の積算走行距離は、例えば、一般的な車両に既存の構成である距離計(オドメータ)で計測する距離を参照して用いる。
本実施形態では、一例として、走行距離閾値を、10000[km]とする場合を説明する。したがって、積算走行距離係数は、図10中に示すように、積算走行距離が10000[km]を超えてからの走行距離が積算されるほど増加する係数となる。なお、図10は、積算走行距離係数と車両の積算走行距離との関係を示す図である。
・限界角到達時間係数
限界角到達時間係数は、転舵輪24の転舵角が限界の転舵角となっている時間である限界角到達時間が長いほど増加する係数である。なお、限界角到達時間は、転舵モータ実電流(q軸電流)が通常の転舵に必要のない過大な電流値となっている時間が、一定時間に達している場合に、この一定時間に達している時間に基づいて検出する。
本実施形態では、一例として、車両の車速が、走行しているとみなせる速度(5[km/h])に達していない状態では、限界角到達時間係数は「0」とする。したがって、限界角到達時間係数は、図11中に示すように、車速が5[km/h]以上である状態で、車速の増加に伴って増加する係数となる。なお、図11は、限界角到達時間係数と車両の車速との関係を示す図である。
・旋回時軌跡比係数
旋回時軌跡比係数は、予め設定した設定軌跡比と、旋回時軌跡比算出部54hが算出した旋回時軌跡比との偏差である軌跡比偏差が、予め設定した偏差閾値を超えており、さらに、偏差閾値を超えてからの偏差の増加に伴って増加する係数である。設定軌跡比は、車両の設計値であり、車両の設計時、製造時、工場出荷時等において設定し、予め、旋回時回転角検出部54gに記憶させておく。なお、軌跡比偏差を検出する処理の説明は、後述する。
本実施形態では、一例として、偏差閾値を3[%]とする場合を説明する。偏差閾値(3[%])は、予め、旋回時回転角検出部54gに記憶させておく。したがって、旋回時軌跡比係数は、図12中に示すように、軌跡比偏差が3[%]を超えている状態で、軌跡比偏差の増加に伴って増加する係数となる。なお、図12は、旋回時軌跡比係数と軌跡比偏差との関係を示す図である。
そして、電流供給量制限部54eは、上述した積算走行距離係数、限界角到達時間係数、旋回時軌跡比係数のうち、最大値の係数を選択すると、この選択した係数に基づいて、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を緩和する緩和度合いを設定する。
電流供給量制限部54eが緩和度合いを設定する際には、図13中に示すように、車両の車速が、走行しているとみなせる速度に達していない状態では、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。また、電流供給量制限部54eが緩和度合いを設定する処理においても、限界角到達時間係数と同様、走行しているとみなせる速度を、5[km/h]と設定する。なお、図13は、車速と転舵可能な転舵角との関係を示す図である。また、図13中では、設定回転角度を「θlimit」と示している。
これは、車両が停車している状態では、転舵輪24が縁石等に当接している可能性や、側溝(溝)等に嵌っている(落ち込んでいる)可能性があり、転舵輪24の転舵角が、実際には限界に達していない可能性があるためである。
一方、車速が走行しているとみなせる速度以上であれば、車速の増加に伴って、選択した係数に応じた増加度合いで、転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を緩和する緩和度合いを、連続的に増加させる。これにより、転舵輪24を転舵可能な範囲を、予め設定回転角記憶部54dに記憶させている設定回転角度を超える角度に対応する範囲として、転舵可能な転舵角を増加させる。
なお、図13中に示すように、車速の増加に伴って緩和度合いを連続的に増加させる理由は、緩和度合いを断続的に変化させると、緩和度合いが急変して、転舵輪24の転舵角が急変する可能性があるためである。
旋回時駆動電流検出部54iは、旋回時供給量を検出する。
旋回時供給量は、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角となった状態における、転舵モータ2への転舵モータ駆動電流の供給量であり、例えば、指令演算部54が入力を受ける転舵モータ電流指令Itに基づいて検出する。
旋回時軌跡比算出部54hは、車両の走行時に転舵輪24の転舵角が設定転舵角となった状態である旋回走行時において、旋回時軌跡比を算出する。
ここで、旋回時軌跡比は、旋回走行時に車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪の軌跡である内側軌跡と、旋回走行時に車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪の軌跡である外側軌跡との軌跡比である。
すなわち、転舵輪24は、旋回走行時に車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪と、旋回走行時に車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪を有する(図参照)。
なお、旋回時軌跡比算出部54hが、旋回走行時において旋回時軌跡比を算出する処理については、上述した第三実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
また、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角検出部54gが検出した旋回時回転角度から、限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する処理については、上述した第三実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
(動作)
次に、図1から図13を参照して、本実施形態の操舵制御装置1が行なう動作の一例について説明する。
操舵制御装置1を作動させると、電流供給量制限部54eが、運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が、設定回転角度(499[deg])を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
そして、車両の旋回走行時には、旋回時軌跡比算出部54hが旋回時軌跡比を算出し、旋回時回転角検出部54gが、旋回時回転角度を検出する。これに加え、車両の旋回走行時には、旋回時駆動電流検出部54iが、旋回時供給量を検出する。
旋回時駆動電流検出部54iが旋回時供給量を検出すると、設定回転角記憶部54dは、検出した旋回時供給量と電流供給量制限部54eの制限する転舵モータ駆動電流の供給量とを比較する。そして、旋回時供給量が、電流供給量制限部54eの制限する転舵モータ駆動電流の供給量を超えていると判定すると、設定回転角記憶部54dは、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。
また、設定回転角記憶部54dは、転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下の状態で、転舵輪24が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、設定回転角度を更新する。
このため、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラックとの接触を抑制して、転舵モータへの過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。これに加え、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態の操舵制御装置1では、車両の旋回走行時において、設定回転角記憶部54dが、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。このため、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度とラック軸18との位置関係が、車両の工場出荷時等から変化していても、この変化分に応じて、設定回転角度を更新することが可能となる。
すなわち、本実施形態の操舵制御装置1では、上記のように、車両の旋回走行時に転舵モータ2へ供給される転舵モータ駆動電流に基づき、設定回転角度を更新することが可能となる。このため、上述した第一実施形態と同様、車両の旋回半径の増加や、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
なお、上述したように、本実施形態の操舵制御装置1の動作で実施する車両の操舵制御方法では、転舵モータ2の回転角度を検出し、転舵モータ駆動電流を転舵モータ2へ供給する。これに加え、操舵制御方法では、設定回転角度を予め記憶し、検出した回転角度が設定回転角度を超えないように、転舵モータ駆動電流の供給量を制限する。
さらに、本実施形態の操舵制御方法では、旋回時回転角度を検出し、旋回時供給量を検出し、検出した旋回時供給量が制限した転舵モータ駆動電流の供給量を超えているか否かを判定する。
また、本実施形態の操舵制御方法では、検出した旋回時供給量が制限した転舵モータ駆動電流の供給量を超えていると判定すると、設定回転角度を更新する処理を行う。
以上により、転舵モータ角度センサ16は、転舵モータ角度検出部に対応する。
また、転舵位置サーボ制御部30と転舵モータ電流指令演算部54bは、転舵モータ駆動電流供給部に対応する。
また、転舵モータ角度センサ16、転舵位置サーボ制御部30、操舵角センサ34、転舵モータ電流指令演算部54b及び設定回転角記憶部54dは、上述した限界状態を検出する転舵角限界状態検出部に対応する。
(第四実施形態の効果)
(1)旋回時回転角検出部54gが旋回時回転角度を検出し、旋回時駆動電流検出部54iが旋回時供給量を検出する。これに加え、設定回転角記憶部54dが、検出した旋回時供給量が電流供給量制限部54eの制限する転舵モータ駆動電流の供給量を超えていると判定すると、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を、設定回転角度として更新する。
このため、車両の旋回走行時における転舵モータ2へ供給される転舵モータ駆動電流に基づき、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。したがって、経時劣化等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が変化した設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。
その結果、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制して、転舵モータ2への過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。
また、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
(2)設定回転角記憶部54dが、転舵モータ角度センサ16が検出した転舵モータ2の回転角度が設定回転角度以下の状態で転舵輪24が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータ2の回転角度に応じて、前記設定回転角度を更新する。
このため、修理工場等においてリテーナの締め具合が適正値よりも強くなり、転舵出力歯車12aとラックギア18aとの噛み合わせに発生したガタが適正値よりも減少しても、この減少度合いに応じて、設定回転角度を適正値に更新することが可能となる。
その結果、転舵輪24の転舵角と、ストッパ部14aと端当て部材18bとの位置関係とを適正化することが可能となり、車両の旋回半径の増加を抑制することが可能となるため、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制することが可能となる。
(3)本実施形態の操舵制御方法は、旋回時回転角度を検出し、旋回時供給量を検出する。そして、検出した旋回時供給量が、制限した転舵モータ駆動電流の供給量を超えていると判定すると、旋回時回転角度から限界の転舵角と設定転舵角との偏差を減算した角度を設定回転角度として更新する。
このため、車両の旋回走行時における転舵モータ2へ供給される転舵モータ駆動電流に基づき、設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。したがって、経時劣化等により、ラックエンドとステアリングラック14との位置関係が変化した設定回転角度を、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制可能な角度に更新することが可能となる。
その結果、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、ラックエンドとステアリングラック14との接触を抑制して、転舵モータ2への過大な転舵モータ駆動電流の供給を抑制することが可能となる。また、車両の走行時や停車時に運転者がフル転舵を行っても、転舵モータ2が出力する駆動力の増加を抑制して、転舵モータ2の劣化を抑制することが可能となる。
以上、本願が優先権を主張する日本国特許出願2011−280818(2011年12月22日出願)、日本国特許出願2011−280819(2011年12月22日出願)、日本国特許出願2011−280820(2011年12月22日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
1 操舵制御装置
2 転舵モータ
4 転舵モータ制御部
6 クラッチ
8 反力モータ
10 反力モータ制御部
12 転舵モータ出力軸
12a 転舵出力歯車
14 ステアリングラック
14a ストッパ部
16 転舵モータ角度センサ
18 ラック軸
18a ラックギア
18b 端当て部材
20 タイロッド
22 ナックルアーム
24 転舵輪
26 タイヤ軸力センサ
28 通信ライン
30 転舵位置サーボ制御部
32 操舵輪
34 操舵角センサ
36 操舵トルクセンサ
38 反力モータ角度センサ
40 クラッチ板
42 ステリングシャフト
44 ピニオン軸
46 ピニオン
48 ピニオン角度センサ
50 車速センサ
52 エンジンコントローラ
54 指令演算部
54a 反力モータ電流指令演算部
54b 転舵モータ電流指令演算部
54c クラッチ電流指令演算部
54d 設定回転角記憶部
54e 電流供給量制限部
54f 当接回転角算出部
54g 旋回時回転角検出部
54h 旋回時軌跡比算出部
54i 旋回時駆動電流検出部
56 反力サーボ制御部
58 クラッチ制御部

Claims (17)

  1. 転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータと、
    前記転舵モータの回転角度を検出する転舵モータ角度検出部と、
    前記転舵輪の転舵角を操舵輪の操作に応じた角度とするための転舵モータ駆動電流を前記転舵モータへ供給する転舵モータ駆動電流供給部と、
    前記転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、前記転舵モータの回転角度である設定回転角度を予め記憶する設定回転角記憶部と、
    前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角記憶部に予め記憶させている前記設定回転角度を超えないように前記転舵モータ駆動電流の供給量を制限する電流供給量制限部と、を備え、
    前記電流供給量制限部は、予め設定した許可条件が成立していると判定すると、前記転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除し、
    前記電流供給量制限部が前記転舵モータ駆動電流の供給量に対する制限を解除した状態で、転舵可能な限界の転舵角まで前記転舵輪が転舵された時、前記転舵モータの回転角度を算出し、
    算出した前記転舵モータの回転角度と前記設定転舵角との偏差に応じて、前記設定回転角度を更新することを特徴とする車両の操舵制御装置。
  2. 前記許可条件を、前記車両の積算走行距離が予め設定した走行距離閾値を超えている条件とすることを特徴とする請求項1に記載した車両の操舵制御装置。
  3. 前記許可条件を、前記転舵角が前記限界の転舵角となっている時間である限界角到達時間が予め設定した到達時間閾値を超えている条件とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した車両の操舵制御装置。
  4. 前記車両の車速及び前記操舵輪に加わる操舵力のうち少なくとも一方が増加するほど、前記到達時間閾値を減少補正することを特徴とする請求項3に記載した車両の操舵制御装置。
  5. 前記設定回転角記憶部は、前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角度以下の状態で転舵輪が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータの回転角度に応じて、前記設定回転角度を更新することを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載した車両の操舵制御装置。
  6. 転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータと、
    前記転舵モータの回転角度を検出する転舵モータ角度検出部と、
    前記転舵輪の転舵角を操舵輪の操作に応じた角度とするための転舵モータ駆動電流を前記転舵モータへ供給する転舵モータ駆動電流供給部と、
    前記転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、前記転舵モータの回転角度である設定回転角度を予め記憶する設定回転角記憶部と、
    前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角記憶部に記憶させている前記設定回転角度を超えないように前記転舵モータ駆動電流の供給量を制限する電流供給量制限部と、
    走行時に前記転舵角が前記設定転舵角で旋回走行しているときに、前記転舵モータの回転角度である旋回時回転角度を検出する旋回時回転角検出部と、を備え、
    前記設定回転角記憶部は、予め記憶している設定回転角度と前記旋回時回転角検出部が検出した旋回時回転角度とから、前記設定回転角度に応じた転舵がされているか否かを判断することを特徴とする車両の操舵制御装置。
  7. 前記旋回時回転角検出部が検出した旋回時回転角度から前記限界の転舵角と前記設定転舵角との偏差を減算した角度に応じて前記設定回転角度を更新することを特徴とする請求項6に記載した車両の操舵制御装置。
  8. 前記転舵輪は、車両の旋回走行時に前記車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪と、前記旋回走行時に前記車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪と、を有し、
    前記旋回走行時において、前記内側転舵輪の軌跡である内側軌跡と前記外側転舵輪の軌跡である外側軌跡との軌跡比である旋回時軌跡比を算出する旋回時軌跡比算出部を備え、
    前記旋回時回転角検出部は、予め設定した設定軌跡比と前記旋回時軌跡比算出部が算出した旋回時軌跡比との偏差が、予め設定した偏差閾値を超えていると判定すると、前記旋回時回転角度を検出することを特徴とする請求項6または請求項7に記載した車両の操舵制御装置。
  9. 前記設定回転角記憶部は、前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角度以下の状態で転舵輪が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータの回転角度に応じて、前記設定回転角度を更新することを特徴とする請求項6から請求項8のうちいずれか1項に記載した車両の操舵制御装置。
  10. 転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータと、
    前記転舵モータの回転角度を検出する転舵モータ角度検出部と、
    前記転舵輪の転舵角を操舵輪の操作に応じた角度とするための転舵モータ駆動電流を前記転舵モータへ供給する転舵モータ駆動電流供給部と、
    前記転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、前記転舵モータの回転角度である設定回転角度を予め記憶する設定回転角記憶部と、
    前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角記憶部に記憶させている前記設定回転角度を超えないように前記転舵モータ駆動電流の供給量を制限する電流供給量制限部と、
    走行時に前記転舵角が前記設定転舵角となった状態の前記転舵モータの回転角度である旋回時回転角度を検出する旋回時回転角検出部と、
    前記走行時に前記転舵角が前記設定転舵角となった状態における前記転舵モータへの前記転舵モータ駆動電流の供給量である旋回時供給量を検出する旋回時駆動電流検出部と、を備え、
    前記設定回転角記憶部は、前記旋回時駆動電流検出部が検出した旋回時供給量が前記電流供給量制限部の制限する転舵モータ駆動電流の供給量を超えているか否かを判定する判定手段を有することを特徴とする車両の操舵制御装置。
  11. 前記旋回時回転角検出部が検出した旋回時回転角度から前記限界の転舵角と前記設定転舵角との偏差を減算した角度を前記設定回転角度として更新することを特徴とする請求項10に記載した車両の操舵制御装置。
  12. 前記設定回転角記憶部は、前記転舵モータ角度検出部が検出した回転角度が前記設定回転角度以下の状態で転舵輪が転舵可能な限界状態であることを検出すると、そのときの転舵モータの回転角度に応じて、前記設定回転角度を更新することを特徴とする請求項10または請求項11に記載した車両の操舵制御装置。
  13. 転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータの回転角度を検出し、
    前記転舵輪の転舵角を操舵輪の操作に応じた角度とするための転舵モータ駆動電流を前記転舵モータへ供給し、
    前記転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、前記転舵モータの回転角度である設定回転角度を予め記憶し、
    前記検出した回転角度が前記記憶した前記設定回転角度を超えないように前記転舵モータ駆動電流の供給量を制限し、
    走行時に前記転舵角が前記設定転舵角で旋回走行しているときに、前記転舵モータの回転角度である旋回時回転角度を検出し、
    前記予め記憶している設定回転角度と前記検出した旋回時回転角度とから、前記設定回転角度に応じた転舵がされているか否かを判断することを特徴とする車両の操舵制御方法。
  14. 前記旋回時回転角度から前記限界の転舵角と前記設定転舵角との偏差を減算した角度に応じて前記設定回転角度を更新することを特徴とする請求項13に記載した車両の操舵制御方法。
  15. 前記転舵輪は、車両の旋回走行時に前記車両の車幅方向内側で回転する内側転舵輪と、前記旋回走行時に前記車両の車幅方向外側で回転する外側転舵輪と、を有し、
    前記旋回走行時において、前記内側転舵輪の軌跡である内側軌跡と前記外側転舵輪の軌跡である外側軌跡との軌跡比である旋回時軌跡比を算出し、
    予め設定した設定軌跡比と前記算出した旋回時軌跡比との偏差が、予め設定した偏差閾値を超えていると判定すると、前記旋回時回転角度を検出することを特徴とする請求項13または請求項14に記載した車両の操舵制御方法。
  16. 転舵輪を転舵させるための転舵トルクを出力する転舵モータの回転角度を検出し、
    前記転舵輪の転舵角を操舵輪の操作に応じた角度とするための転舵モータ駆動電流を前記転舵モータへ供給し、
    前記転舵輪を転舵可能な限界の転舵角より小さい角度で設定した設定転舵角に対応する、前記転舵モータの回転角度である設定回転角度を予め記憶し、
    前記検出した回転角度が前記記憶した前記設定回転角度を超えないように前記転舵モータ駆動電流の供給量を制限し、
    走行時に前記転舵角が前記設定転舵角となった状態の前記転舵モータの回転角度である旋回時回転角度を検出し、
    前記走行時に前記転舵角が前記設定転舵角となった状態における前記転舵モータへの前記転舵モータ駆動電流の供給量である旋回時供給量を検出し、
    前記検出した旋回時供給量が前記制限する転舵モータ駆動電流の供給量を超えているか否かを判定することを特徴とする車両の操舵制御方法。
  17. 前記検出した旋回時回転角度から前記限界の転舵角と前記設定転舵角との偏差を減算した角度を前記設定回転角度として更新することを特徴とする請求項16に記載した車両の操舵制御方法。
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