JP6881701B1 - 転舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、目標転舵角に基づいて転舵機構の転舵角を制御するシステム(例えばステアバイワイヤ・システム)において最大舵角付近における転舵角の増加を抑制する技術が記載されている。
また、端当てに伴う衝撃や打音(異音)を抑制するために、転舵角の増加を過度に抑制すると、転舵角を最大舵角まで増加させにくくなるため、車両の最小旋回半径が大きくなり、車両の取り回しが悪化するおそれがある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、目標転舵角に基づいて転舵機構の転舵角を制御するシステムにおいて、最小旋回半径を悪化させずに端当てによる衝撃や打音(異音)を抑制することを目的とする。
なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(構成)
本発明は、目標転舵角に基づいて転舵機構の転舵角(すなわち転舵輪の転舵角)を制御する転舵装置に適用される。図1は、このような転舵装置の一例として操舵機構と転舵機構とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW:Steer By Wire)機構を備える転舵装置を示す。ただし、本発明は、ステアバイワイヤ機構を備える転舵装置に限定されるものではなく、目標転舵角に基づいて転舵機構の転舵角を制御する転舵装置であれば、様々な転舵装置に広く適用可能である。
操向ハンドル1に反力トルクThを付与する反力モータ21は、減速ギア3を介して操舵軸2に連結されている。
なお、操舵角センサ14や転舵角センサ26は必須のものではなく、反力モータ21や転舵モータ22に連結されたレゾルバ等の回転角センサにより検出したモータ回転角度に基づいて、操舵角θhや転舵角θsを取得してもよい。
なお、操向ハンドル1に反力トルクThを付与する手段、及び操向車輪8L、8Rを転舵する手段は、電動モータに限られず様々な種類のアクチュエータを利用可能である。
以下の説明において、転舵機構の転舵角θs(すなわち、操向車輪8L、8Rの転舵角θs)を第1舵角θsと表記し、操舵機構の操舵角θh(すなわち操向ハンドル1や操舵軸2の操舵角θh)を第2舵角θhと表記することがある。
SBW−ECU25は、車速センサ12で検出された車速Vhと、操舵角センサ14で検出された第2舵角θhと、転舵角センサ26で検出された第1舵角θsに基づいて、転舵制御指令の電流指令値の演算を行い、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値によって転舵モータ22に供給する電流を制御する。
SBW−ECU25は、例えば、少なくとも一つのプロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含むコンピュータを備えてよい。プロセッサは、例えばCPU、やMPUであってよい。
以下に説明するSBW−ECU25の機能は、例えばSBW−ECU25のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
例えば、SBW−ECU25は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばSBW−ECU25はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ等のプログラマブル・ロジック・デバイス等を有していてもよい。
端当て衝撃緩和制御では、第1舵角θsが所定の第1閾値舵角から最大舵角までの角度範囲内にあるとき、目標舵角θsr0が減少するように補正して端当ての際の衝撃を緩和する。
図3を参照する。いま、操向車輪8L、8Rが右に転舵されているときの第1舵角θsが正の値となり、操向車輪8L、8Rが左に転舵されているときの第1舵角θsが負の値となるように符号を設定する。
端当て衝撃緩和制御は、第1舵角θsが正値の第1閾値舵角θtR1から正の最大舵角までの範囲にある場合と、負値の第1閾値舵角θtL1から負の最大舵角までの範囲にある場合に実施される。
制御角演算部31は、第1舵角θsが第1閾値舵角θtL1から負の最大舵角までの範囲にある場合に、第1閾値舵角θtL1を基準とする第1舵角θsの舵角変位を制御角θrとして演算する。例えば制御角演算部31は、第1舵角θsと第1閾値舵角θtL1の差分(θs−θtL1)を制御角θrとして演算する。
制御角演算部31は、第1舵角θsが負の第1閾値舵角θtL1以上正の第1閾値舵角θtR1以下の範囲にある場合に制御角θrを0に設定する。
補正値制限部43は、舵角補正値Δθを制限する。端当て衝撃緩和制御部32が大きな舵角補正値Δθを出力すると、舵角補正値Δθに応じて低減される目標舵角θsr0が小さくなって、第1舵角θsが最大舵角まで増大しにくくなる。これにより車両の最小旋回半径が大きくなって車両の取り回しが悪化するおそれがある。
また、転舵機構の転舵速度(すなわち第1舵角θsの角速度ω)が十分低ければ、端当てに伴う衝撃や打音(異音)により運転者が感じる不快感を軽減又は回避できる。
そこで、補正値制限部43は、切り増し操舵状態又は切り戻し操舵状態の何れの操舵状態であるかを判定し、少なくとも操舵状態、第1舵角θs及び角速度ωに応じて、舵角補正値Δθを制限する。補正値制限部43は、制限された舵角補正値Δθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。補正値制限部43の詳細は後述する。
一方で、転舵角指令値演算部30は制限舵角補正値Δθaに応じて目標反力トルクThrを補正する。
電流制御部35は、電流指令値Isrとフィードバックされた転舵モータ22のモータ電流値との偏差に基づいて電圧制御指令値を生成する。PWM制御部36は、電流制御部35が生成した電圧制御指令値に基づいて駆動回路37を制御して転舵モータ22をPWM駆動する。
電流制御部40は、反力制御部39が演算した電流指令値とフィードバックされた反力モータ21のモータ電流値との偏差に基づいて電圧制御指令値を生成する。PWM制御部41は、電流制御部40が生成した電圧制御指令値に基づいて駆動回路42を制御して反力モータ21をPWM駆動する。
図4を参照する。転舵角指令値演算部30は、基本反力トルク演算部50と、微分器51と、ダンピング係数テーブル52と、乗算器53、55及び58と、反力補正係数テーブル54と、加算器56と、転舵比テーブル57を備える。
基本反力トルク演算部50は、第2舵角θhと車速Vhに基づいて基本反力トルクを演算する。基本反力トルクは加算器56に入力される。
反力補正係数テーブル54は、車速Vhに応じた反力補正係数Lを乗算器55に出力する。
このため、端当て衝撃緩和制御において制限舵角補正値Δθaが出力されると反力トルクが増加する。これにより第2舵角θhが大きくなることが抑制される。また、ラック5bがストローク端に近づいていることを運転者に知らせることにより、第2舵角θhの増加を抑制できる。
これにより、反力補正係数Lを適切に設定することで仮想的なストローク端を生成しながら、過度な操舵反力を運転者に与えるのを防止できる。
なお、制限舵角補正値Δθaに換えて、目標舵角θsr0と第1舵角θsとの差分(θsr0−θs)に反力補正係数Lを乗じて補正トルク成分を演算してもよい。
以下、端当て衝撃緩和制御部32にて行う転舵トルクTmから舵角補正値Δθへの変換処理について説明する。
転舵トルクTmが転舵機構に作用したときの第1舵角θsの変化Δθは、ラプラス変換の最終値定理(定常値)を用いて次式(2)のように得られる。
次式(3)の転舵トルクTmを転舵機構に作用させる場合、舵角補正値Δθは次式(4)により算出できる。端当て衝撃緩和制御部32は、次式(4)にしたがって舵角補正値Δθを演算する。
以下、図5を参照して端当て衝撃緩和制御部32の構成を説明する。端当て衝撃緩和制御部32は、ばね定数テーブル60と、乗算器61、64、68及び71と、微分器62及び66と、粘性係数テーブル63と、符号判定部65と、慣性係数テーブル67と、加算器69と変換係数テーブル70を備える。
微分器62は、第1舵角θsを微分して第1舵角θsの角速度ωを演算する。粘性係数テーブル63は、転舵トルクTmの粘性トルク成分の粘性係数として、制御角θrに応じた粘性係数μを乗算器64に出力する。乗算器64は、粘性係数μを角速度ωに乗じることにより、転舵トルクTmの粘性トルク成分(μ・ω)を演算して加算器69に出力する。図6の(a)及び図6の(b)は、ばね定数K0及び粘性係数μの特性の一例の特性図である。
慣性トルク成分(ΔJ・α)により転舵機構の慣性に対する補正を行うことで、第1舵角θsの加減速における慣性トルクを調整できる。
慣性係数ΔJの特性は、例えば参照符号72で示すように符号sgn(θs)が正で角加速度αが正である場合、切り増し操舵(第1舵角θsと角速度ωが同符号の場合)において第1舵角θsを減速させる反力を生成するために比較的大きな値となるように設定されている。
また、また切り戻し操舵の場合(第1舵角θsと角速度ωが異符号の場合)には過度な加速なので反力を緩和するために比較的小さな値となるように設定されている。なお、切り増し操舵と切り戻し操舵で、慣性係数ΔJの特性を異ならせてもよい。
慣性係数ΔJは、角加速度αに対してデッドゾーンRdp及びRdmを有していてもよい。デッドゾーンRdp及びRdmの正の範囲の幅と負の範囲の幅は、異なっていてもよい。
小型車のような低慣性システムにおいては、図7の(b)に示すように慣性係数ΔJを大きくすることで安定性を増すことができる。一方で、大型車のような高慣性システムにおいては、図7の(c)に示すように慣性係数ΔJを小さくすることで応答性を増すことができる。
変換係数テーブル70は、転舵トルクTmを舵角補正値Δθへ変換する変換係数(1/Kb)を出力する。定数Kbは、路面からの反力と持ち上げトルクの合計である。路面からの反力は車速Vhにより変化するので、変換係数テーブル70は、車速Vhに応じて異なる変換係数1/Kbを出力してよい。
乗算器71は、上式(4)に従って転舵トルクTmに変換係数(1/Kb)を乗じることにより、転舵トルクTmを舵角補正値Δθへ変換する。
また、弾性トルク成分(K0・θr)及び粘性トルク成分(μ・ω)の両方を生成する必要はなく、いずれか一方を省略してよい。この場合、ばね定数テーブル60及び乗算器61の組み合わせか、微分器62、粘性係数テーブル63及び乗算器64の組み合わせのいずれかを省略してもよい。
また、補正値制限部43は、舵角補正値Δθの下限値を設定し、舵角補正値Δθが下限値より小さい場合には、下限値を制限舵角補正値Δθaとして出力する。
舵角補正値Δθが上限値以下で下限値以上の場合には、舵角補正値Δθをそのまま制限舵角補正値Δθaとして出力する。
補正値制限部43は、右操舵の場合の舵角補正値Δθの上限値RUθ(以下「右上限値RUθ」と表記する)と、左操舵の場合の舵角補正値Δθの下限値LLθ(以下「左下限値LLθ)と表記する)を、操舵状態と、第1舵角θsと、角速度ωと、目標舵角θsr0に基づいて設定する。
図8の(a)を参照する。補正値制限部43は、目標舵角θsr0から正の第1閾値舵角θtR1を減じた差分(θsr0−θtR1)から調整値Vaを減算して、右上限値RUθ=(θsr0−θtR1)−Vaを算出する。右上限値RUθは調整値Va=0の場合に破線で示すように最大となる。
また、右操舵の場合の舵角補正値Δθの下限値RLθ(以下「右下限値RLθ」と表記する)は0に設定される。
右操舵の場合に、補正値制限部43は、右下限値RLθと右上限値RUθとで制限された範囲(ハッチングが施された範囲)内に舵角補正値Δθを制限して得られる値を、制限舵角補正値Δθaとして出力する。
左下限値LLθの算出式(θsr0−θtL1)+Vaの演算結果が0より大きい場合、補正値制限部43は、左下限値LLθを0に設定する。
左操舵の場合に、補正値制限部43は、左下限値LLθと左上限値LUθとで制限された範囲(ハッチングが施された範囲)内に舵角補正値Δθを制限して得られる値を、制限舵角補正値Δθaとして出力する。
図9を参照する。まず、右操舵の際に端当て衝撃緩和制御が実施される範囲(すなわち第1閾値舵角θtR1から最大舵角までの第1舵角θsの範囲、以下「端当て衝撃緩和制御実施範囲」と表記することがある)において、第1切増領域、第2切増領域及び切戻領域を設定する。
操舵状態が切り増し操舵の場合に、舵角θRaから最大舵角までの領域を「第2切増領域」と設定する。
操舵状態が切り戻し操舵状態の場合に、端当て衝撃緩和制御実施範囲全体を「切戻領域」と設定する。なお、図9では、右操舵の場合の設定例を示しているが、左操舵の場合も同様に設定する。
図10の(a)を参照する。調整値Vaの最大値(以下、「最大調整値」とする)をVah、最小値(以下、「最小調整値」とする)を0に設定し、操舵速度ωの大きさがゼロのときに調整値Vaを最大調整値Vahに設定し、操舵速度ωの大きさが大きくなると0になるように調整値Vaを設定する。
すなわち、第1切増領域では、図10の(b)に示されるように、角速度ωが遅くなっても調整値Vaが最大調整値Vahの方向に変化するのを強く抑制し、角速度ωが速いときには調整値Vaが最小調整値0の方向に変化するのが十分に速くなるようにする。
また、切戻領域では、第1切増領域と同様に調整値Vaを変化させる。
一方で、第2切増領域では、第1切増領域の場合とは反対に、図10の(c)に示されるように、最大調整値Vahへの変化はある程度速く追従するようにし、最小調整値0への変化は強く抑制されるようにする。
切戻領域では、調整値Vaが最小調整値0の方向に速く変化するので、再度切り増し操舵を行ったときに、速やかに仮想的なストローク端を形成できるように強く制御できる。
例えば、前回の調整値との差分の絶対値を調整値Vaの変化量ΔVaとし、変化量ΔVaに対して上限値ΔVamaxを設定し、変化量ΔVaが上限値ΔVamaxを超えた場合、変化量ΔVaが上限値ΔVamaxになるように調整値Vaを加減算する。
そして、第1切増領域及び切戻領域では、調整値Vaが増加するときは、変化量ΔVaが小さくなるように上限値ΔVamaxを小さくする。調整値Vaが減少するときには、変化量ΔVaが大きくなるように上限値ΔVamaxを大きくする。もしくは上限値を設定しなくてもよい。
なお、レートリミット処理において、差分の絶対値ではなく、差分そのものに対して上限値及び下限値を設定して制限をかけるようにしてもよい。また、調整値Vaの変化量ではなく、調整値Vaの変化率(前回の調整値から増加又は減少した量の割合)に対して上限値(及び下限値)を設定して制限をかけるようにしてもよい。
微分器201は、制御角θrを微分して第1舵角θsの角速度ωを演算する。補正値制限部43は、微分器201を備える代わりに、端当て衝撃緩和制御部32の微分器62から角速度ωを取得してもよい。
操舵状態判定部202は、操舵状態の判定結果を示す操舵状態信号Scと、操舵方向の判定結果を示す操舵方向信号Sdを出力する。なお、制御角θrの代わりに第1舵角θsを用いてもよい。
制御角θrがθrf以下でかつ操舵状態信号Scが「切り増し操舵」の場合は、調整値設定部203は、第1切増領域で操舵が行われていると判断し、図10の(a)及び図10の(b)に示される特性に従って、角速度ωの絶対値|ω|及びレートリミット処理により調整値Vaを決定する。
操舵状態信号Scが「切り戻し操舵」の場合は、調整値設定部203は、切戻領域で操舵が行われていると判断し、図10の(a)及び図10の(b)に示される特性に従って、角速度ωの絶対値|ω|及びレートリミット処理により調整値Vaを決定する。
操舵方向信号Sdが「右操舵」の場合に制限部204は、目標舵角θsr0及び調整値Vaに基づいて、右上限値RUθ=(θsr0−θtR1)−Vaを設定する。また制限部204は、右下限値RLθ=0を設定する。制限部204は、右上限値RUθ及び右下限値RLθによって舵角補正値Δθを制限し、制限された舵角補正値Δθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。
図8の(b)を参照する。制限部204は、制御角θrから調整値Vaを減算して、右上限値RUθ=θr−Vaを算出してよい。右上限値RUθの算出式θr−Vaの演算結果が0未満の場合、制限部204は、右上限値RUθを0に設定する。
また制限部204は、制御角θrに調整値Vaを加算して、左下限値LLθ=θr+Vaを算出してよい。左下限値LLθの算出式θr+Vaの演算結果が0より大きい場合、制限部204は、左下限値LLθを0に設定する。
このように右上限値RUθ及び左下限値LLθを設定することにより、目標舵角θsr0を第1閾値舵角θtR1、θtL1よりも中立位置方向に戻さないように制限舵角補正値Δθaが設定される。
ここで、最小調整量を0に設定する場合を説明したが、これに限らず0未満に設定しても良い。角速度ωの絶対値が大きいとき角速度ωがより減速するように、最小調整量を0未満に設定し、目標舵角θsr0を第1閾値舵角θtR1、θtL1よりも中立位置方向に補正して良い。
転舵角指令値演算部30は、特許請求の範囲に記載の目標舵角演算部及び目標反力演算部の一例である。
端当て衝撃緩和制御部32、補正値制限部43、減算器33及び転舵角制御部34は、それぞれ特許請求の範囲に記載の舵角補正値演算部、舵角補正値制限部、補正目標舵角演算部及び舵角制御部の一例である。
変換係数テーブル70及び乗算器71は、特許請求の範囲に記載の第1変換部の一例である。
反力補正係数テーブル54、乗算器55及び加算器56は、特許請求の範囲に記載の目標反力補正部の一例である。
次に、図12を参照して第1実施形態の転舵制御方法を説明する。
ステップS1において操舵角センサ14は、操舵機構の第2舵角θhを検出する。
ステップS2において転舵角指令値演算部30は、少なくとも第2舵角θhに基づいて目標舵角θsr0を演算する。
ステップS4において制御角演算部31は、第1舵角θsが正の第1閾値舵角から正の最大舵角までの範囲にある場合に、又は負の第1閾値舵角から負の最大舵角までの範囲にある場合に、第1閾値舵角を基準とする第1舵角θsの舵角変位を制御角θrとして演算する。
ステップS5において端当て衝撃緩和制御部32は、制御角θrと、第1舵角θsの角速度ωとに基づいて舵角補正値Δθを演算する。
ステップS7において減算器33は、制限舵角補正値Δθaで目標舵角θsr0を補正して、補正目標舵角θsr1を演算する。
ステップS8において転舵角制御部34は、第1舵角θsが補正目標舵角θsr1となるように転舵モータ22を制御する。その後に処理は終了する。
ステップS11において微分器201は、第1舵角θsの角速度ωを演算する。
ステップS12において操舵状態判定部202は、操舵状態が、切り増し操舵であるか切り戻し操舵であるかを判定する。
ステップS13において操舵状態判定部202は、操舵方向を判定する。
ステップS15において制限部204は、操舵方向信号Sdに基づいて操舵方向が右操舵であるか否かを判定する。操舵方向が右操舵である場合(ステップS15:Yes)に処理はステップS16へ進む。操舵方向が左操舵である場合(ステップS15:No)に処理はステップS22へ進む。
ステップS17において制限部204は、舵角補正値Δθが右上限値RUθ以上であるか否かを判定する。舵角補正値Δθが右上限値RUθ以上である場合(ステップS17:Yes)に処理はステップS18へ進む。舵角補正値Δθが右上限値RUθ以上でない場合(ステップS17:No)に処理はステップS19へ進む。
ステップS19において制限部204は、舵角補正値Δθが右下限値RLθ未満であるか否かを判定する。
ステップS20において制限部204は、舵角補正値Δθを右下限値RLθで制限し、右下限値RLθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。その後に、舵角補正値Δθの制限処理を終了する。
ステップS21において制限部204は、舵角補正値Δθを制限せずにそのまま制限舵角補正値Δθaとして出力する。その後に、舵角補正値Δθの制限処理を終了する。
ステップS23において制限部204は、舵角補正値Δθが左上限値LUθ以上であるか否かを判定する。舵角補正値Δθが左上限値LUθ以上である場合(ステップS23:Yes)に処理はステップS24へ進む。舵角補正値Δθが左上限値LUθ以上でない場合(ステップS23:No)に処理はステップS25へ進む。
ステップS25において制限部204は、舵角補正値Δθが左下限値LLθ未満であるか否かを判定する。
ステップS26において制限部204は、舵角補正値Δθを左下限値LLθで制限し、左下限値LLθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。その後に、舵角補正値Δθの制限処理を終了する。
ステップS27において制限部204は、舵角補正値Δθを制限せずにそのまま制限舵角補正値Δθaとして出力する。その後に、舵角補正値Δθの制限処理を終了する。
(1)転舵制御装置は、転舵機構の第1舵角θsを検出する転舵角センサ26と、転舵機構を駆動する転舵モータ22と、操舵機構の第2舵角θhを検出する操舵角センサ14と、少なくとも第2舵角θhに基づいて転舵機構の目標舵角θsr0を演算する転舵角指令値演算部30と、第1舵角θsの取り得る最大舵角から第1閾値舵角までの角度範囲内に第1舵角θsがある場合に、第1閾値舵角を基準とする第1舵角θsの舵角変位である制御角θrを演算する制御角演算部31と、少なくとも制御角θrに応じて舵角補正値Δθを演算する端当て衝撃緩和制御部32と、少なくとも操舵状態、第1舵角の角速度ω、及び第1舵角θsに応じて、舵角補正値Δθを制限する補正値制限部43と、制限された舵角補正値Δθaで目標舵角θsr0を補正して補正目標舵角θsr1を演算する減算器33と、第1舵角θsが補正目標舵角θsr1となるように転舵モータ22を制御する転舵角制御部34を備える。
これにより、目標舵角θsr0に基づいて転舵機構の第1舵角θsを制御する転舵装置において、ラック5bがストローク端に近づいた場合に第1舵角θsの増加を抑制して、端当てによる衝撃や打音(異音)を抑制できる。また、目標舵角θsr0に対する舵角補正値Δθaを適切に調整(制限)することで、車両の最小旋回半径が大きくなって車両の取り回しが悪化するのを抑制することができる。
これにより、弾性トルク(K0・θr)を含んだ反力トルクが転舵機構に作用した場合の第1舵角θsの変化を目標舵角θsr0に反映させることができる。この結果、第1舵角θsの増加を抑制して、端当てによる衝撃や打音(異音)を抑制できる。
これにより、弾性トルク(K0・θr)及び粘性トルク(μ・ω)の少なくとも一方を含んだ反力トルクが転舵機構に作用した場合の第1舵角θsの変化を目標舵角θsr0に反映させることができる。この結果、第1舵角θsの増加を抑制して、端当てによる衝撃や打音(異音)を抑制できる。
これにより、第1舵角θsの加減速における慣性トルクを調整できる。
これにより、車速Vhに応じて変化する路面反力を舵角補正値Δθに反映できる。
これにより、端当て衝撃緩和制御の際に反力トルクを増加させて、第2舵角θhの増加を抑制できる。また、ラック5bがストローク端に近づいていることを運転者に知らせることにより、第2舵角θhの増加を抑制できる。この結果、目標舵角θsr0が最大舵角方向に増加するのを抑制し、ラック5bの仮想的なストローク端を効果的に生成できる。
制御角演算部31は、操舵機構の第2舵角θhに基づいて制御角θrを演算してもよい。以下に説明する第2実施形態でも同様である。この場合に制御角演算部31は、第1舵角θsの最大舵角に対応する操舵機構の第2舵角θhを、第2舵角θhが取り得る最大舵角として設定する。この最大舵角から第1閾値舵角までの角度範囲内に第2舵角θhがある場合に、制御角演算部31は、第1閾値舵角を基準とする第2舵角θhの舵角変位を制御角θrとして演算してもよい。
補正値制限部43は、第1舵角θsに代えて、第2舵角θhに基づいて舵角補正値Δθを制限してよい。以下に説明する第2実施形態でも同様である。例えば、図11の微分器201は、第2舵角θhの角速度ωhを演算してよい。操舵状態判定部202は、第2舵角θh及び角速度ωhを用いて、操舵状態及び操舵方向を判定してよい。
調整値設定部203は、第2舵角θh、角速度ωh及び操舵状態信号Scに基づいて調整値Vaを決定してよい。その際に、第1舵角θsの端当て衝撃緩和制御実施範囲に対応する第2舵角θhの範囲に、「第1切増領域」と「第2切増領域」と「切戻領域」を設定してよい。
制御角演算部31は、第1舵角θsが所定の第2閾値舵角を超えた場合に、第1閾値舵角θtR1又はθtL1を変更してもよい。これにより、端当て衝撃緩和制御を開始する第1閾値舵角θtR1又はθtL1を最適化できる。物理的ラックエンドまでの舵角値には製造バラツキや車両搭載時のバラツキが含まれる。「ラックエンド」とは、ラック5bがストローク端に至った状態を意味する。第1閾値舵角θtR1又はθtL1が物理的ラックエンドから中立方向へ過度に設定されていると、過度な反力を生成しドライバの操作を阻害することになる。これにより最小旋回半径が小さくなる恐れがある。第1舵角θsが所定の第2閾値舵角を超えた場合に、第1閾値舵角θtR1又はθtL1を変更することにより、過度な反力発生を防止し、最小旋回半径への影響を低減することが可能となる。以下に説明する第2実施形態でも同様である。
図14を参照する。正値の第2閾値舵角θtR2は正値の第1閾値舵角θtR1よりも大きな値に設定し、負値の第2閾値舵角θtL2は負値の第1閾値舵角θtL1よりも小さな値に設定する。すなわち第2閾値舵角の絶対値|θtR2|及び|θtL2|は、第1閾値舵角の絶対値|θtR1|及び|θtL1|よりもそれぞれ大きい。
第2実施形態の転舵制御装置は、第1舵角θsの角速度ωの目標角速度ωr0を設定して、角速度ωが目標角速度ωr0に近づくように角速度制御を行うとともに、上記と同様の端当て衝撃緩和制御を行う。
端当て衝撃緩和制御において転舵機構を中立位置へ戻す方向に作用させる転舵トルクTmは、上式(3)のように弾性トルク成分(K0・θr)と粘性トルク成分(μ・ω)とを含んでいる。
一方で、粘性トルク(μ・ω)は、角速度ωに係数μを乗じて得られる成分であり角速度と同じ単位の物理量であると解釈することもできる。
このように、補正対象(すなわち目標舵角と目標角速度)と補正量(すなわち弾性トルクと粘性トルク)の単位を揃えることで、補正に用いる弾性トルクと粘性トルクの取り扱いが容易になる。
図15は、第2実施形態の制御系の一例を示すブロック線図である。図15において参照符号Gは減速ギア23のギア比を示し、参照符号Ktは転舵モータ22のトルク定数を示す。
また、補正値制限部43は、第1実施形態と同様に、少なくとも操舵状態、第1舵角θs及び角速度ωに応じて、舵角補正値Δθを制限する。補正値制限部43は、制限された舵角補正値Δθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。
転舵角制御部34は、減算器80及び82と、目標角速度演算部81と、微分器83と、角速度制御部85を備える。
減算器82は、目標角速度演算部81が演算した目標角速度ωr0から制限角速度補正値Δωaを減じることによって目標角速度ωr0を補正して、補正目標角速度ωr1を得る。
微分器83は、第1舵角θsを微分して角速度ωを算出する。微分器83を、端当て衝撃緩和制御部32の微分器62として兼用してもよい。
ゲイン乗算部87は、減算器86から出力される角速度ωと補正目標角速度ωr1との偏差(ωr1−ω)に定数Kiを乗算する。積分器88はゲイン乗算部87の出力を積分する。
角速度制御部85の他の構成例を図16に示す。この構成例では、ゲイン乗算部89は、角速度ωと補正目標角速度ωr1との偏差(ωr1−ω)に定数Kvを乗算する。加算器91は、積分器88の出力とゲイン乗算部89の出力との和を電流指令値Isrとして算出する。
図15を参照する。いま、転舵機構とタイヤと路面反力の特性を1/(Js2+Dms+Kb)とする。ここで、路面反力の特性を除いた場合、転舵機構への入力uから第1舵角θsの角速度ωまでの特性は次式(5)で与えられる。
なお、ばね定数Kbに対してKi・G・Ktが十分大きい場合には、ばね定数Kbを無視して変換係数を(1/Dm)としてもよい。または(Kb+Ki・G・Kt)/(Dm・Ki・G・Kt)と(1/Dm)の平均値や中間値を変換係数としてもよい。
さらに、切り戻し操舵の場合と切り増し操舵の場合とで、変換係数を切り替えてもよい。例えば切り戻し操舵ではばね定数Kbを考慮した変換係数(Kb+Ki・G・Kt)/(Dm・Ki・G・Kt)を用い、切り増し操舵では変換係数(1/Dm)を用いてもよい。
切り戻し操舵では、操舵力を加える向きと操舵方向とが異なるため、実ばね力Kb・θによる戻し力によって操舵しにくくなる。このため、切り戻し操舵では、操舵方向と反対の方向に目標舵角を補正してもよい。
一方で、転舵機構とタイヤと路面反力の物理モデルへ入力uを入力したときの第1舵角θsの最終値θ2は、次式(14)で得られる。
したがって、端当て衝撃緩和制御において弾性トルク成分(K0・θr)を転舵機構へ入力するには、変換係数1/Kbを弾性トルク成分(K0・θr)に乗じた積を舵角補正値Δθとして算出し、舵角補正値Δθで目標舵角θsr0を補正すればよい。第1実施形態と同様に慣性トルク成分(ΔJ・α)を弾性トルク成分(K0・θr)に加えて転舵機構へ入力してもよい。
第2実施形態の端当て衝撃緩和制御部32は、変換係数テーブル72と乗算器73を更に備える。
さらに変換係数テーブル72は、切り戻し操舵の場合と切り増し操舵の場合とで、変換係数を切り替えてもよい。例えば切り戻し操舵ではばね定数Kbを考慮した変換係数(Kb+Ki・G・Kt)/(Dm・Ki・G・Kt)を出力し、切り増し操舵では変換係数(1/Dm)を出力してもよい。
一方で、加算器69は、上式(3)の転舵トルクTmから粘性トルク成分(μ・ω)を除いた、弾性トルク成分(K0・θr)と慣性トルク成分(ΔJ・α)の和を演算する。
なお、慣性トルク成分(ΔJ・α)は必ずしも必須ではなく、符号判定部65、微分器66、慣性係数テーブル67及び乗算器68を省略してもよい。
調整値設定部203は、第1実施形態の調整値設定部203と同様に調整値Vaを決定する。制限部204は、第1実施形態の制限部204と同様に舵角補正値Δθを制限し、制限された舵角補正値Δθを制限舵角補正値Δθaとして出力する。
図19の(a)を参照する。制限部204は、目標舵角θsr0から正の第1閾値舵角θtR1を減じた差分(θsr0−θtR1)に上記の定数Kp(図15を参照)を乗じ、積Kp×(θsr0−θtR1)から調整値Vbを減算して、右上限値RUω=Kp×(θsr0−θtR1)−Vbを算出する。右上限値RUωは調整値Vb=0の場合に破線で示すように最大となる。
また、右操舵の場合の角速度補正値Δωの下限値RLω(以下「右下限値RLω」と表記する)は0に設定される。
右操舵の場合に、制限部204は、右下限値RLωと右上限値RUωとで制限された範囲(ハッチングが施された範囲)内に角速度補正値Δωを制限して得られる値を、制限角速度補正値Δωaとして出力する。
左下限値LLωの算出式Kp×(θsr0−θtL1)+Vbの演算結果が0より大きい場合、制限部204は、左下限値LLωを0に設定する。
左操舵の場合に、制限部204は、左下限値LLωと左上限値LUωとで制限された範囲(ハッチングが施された範囲)内に角速度補正値Δωを制限して得られる値を、制限角速度補正値Δωaとして出力する。
図19の(b)を参照する。制限部204は、制御角θrと定数Kpとの積から調整値Vbを減算して、右上限値RUω=Kp×θr−Vbを算出してよい。右上限値RUωの算出式Kp×θr−Vbの演算結果が0未満の場合、制限部204は、右上限値RUωを0に設定する。
また制限部204は、制御角θrと定数Kpとの積に調整値Vbを加算して、左下限値LLω=Kp×θr+Vbを算出してよい。左下限値LLωの算出式Kp×θr+Vbの演算結果が0より大きい場合、制限部204は、左下限値LLωを0に設定する。
調整値Vbは、第1舵角θsの角速度ωの大きさ(絶対値)|ω|に対して可変となるように設定される。絶対値|ω|が小さいときは、端当て衝撃緩和制御に対する補正値制限部43による制限が強くなるように調整値Vbを大きくし、絶対値|ω|が大きくなるにつれ制限が弱まるように調整値Vbを小さくする。
図20の(a)を参照する。調整値Vbの最大値(以下、「最大調整値」とする)をVbh、最小値(以下、「最小調整値」とする)を0に設定し、操舵速度ωの大きさがゼロのときに調整値Vbを最大調整値Vbhに設定し、操舵速度ωの大きさが大きくなると0になるように調整値Vbを設定する。
すなわち、第1切増領域では、図20の(b)に示されるように、角速度ωが遅くなっても調整値Vbが最大調整値Vbhの方向に変化するのを強く抑制し、角速度ωが速いときには調整値Vbが最小調整値0の方向に変化するのが十分に速くなるようにする。
また、切戻領域では、第1切増領域と同様に調整値Vbを変化させる。
一方で、第2切増領域では、第1切増領域の場合とは反対に、図20の(c)に示されるように、最大調整値Vbhへの変化はある程度速く追従するようにし、最小調整値0への変化は強く抑制されるようにする。
切戻領域では、調整値Vbが最小調整値0の方向に速く変化するので、再度切り増し操舵を行ったときに、速やかに仮想的なストローク端を形成できるように強く制御できる。
調整値設定部203は、調整値Vaの場合と同様に、レートリミット処理によって調整値Vbの変化速度を変更する。
次に、図21を参照して第2実施形態の転舵制御方法を説明する。
ステップS31〜S37の処理は、図12を参照して説明したステップS1〜S7の処理と同様である。
ステップS38において目標角速度演算部81は、補正目標舵角θsr1と実際の第1舵角θsとの偏差に定数Kpを乗じて目標角速度ωr0を演算する。
ステップS40において補正値制限部43は、第1舵角θs、角速度ω及び操舵状態に応じて角速度補正値Δωを制限して、制限角速度補正値Δωaを演算する。補正値制限部43による角速度補正値Δωの制限処理のフローチャートについては後述する。
ステップS42において転舵角制御部34は、第1舵角θsが補正目標舵角θsr1となるように転舵モータ22を制御する。このとき転舵角制御部34の角速度制御部85は、第1舵角θsの角速度ωが補正目標角速度ωr1となるように転舵モータ22を制御する。その後に処理は終了する。
ステップS51〜S53の処理は、図13を参照して説明したステップS11〜S13と同様である。
ステップS54において調整値設定部203は、制御角θr、角速度ω及び操舵状態信号Scに基づいて調整値Vbを決定する。
ステップS57において制限部204は、角速度補正値Δωが右上限値RUω以上であるか否かを判定する。角速度補正値Δωが右上限値RUω以上である場合(ステップS57:Yes)に処理はステップS58へ進む。角速度補正値Δωが右上限値RUω以上でない場合(ステップS57:No)に処理はステップS59へ進む。
ステップS59において制限部204は、角速度補正値Δωが右下限値RLω未満であるか否かを判定する。
ステップS60において制限部204は、角速度補正値Δωを右下限値RLωで制限し、右下限値RLωを制限角速度補正値Δωaとして出力する。その後に、角速度補正値Δωの制限処理を終了する。
ステップS61において制限部204は、角速度補正値Δωを制限せずにそのまま制限角速度補正値Δωaとして出力する。その後に角速度補正値Δωの制限処理を終了する。
ステップS63において制限部204は、角速度補正値Δωが左上限値LUω以上であるか否かを判定する。角速度補正値Δωが左上限値LUω以上である場合(ステップS63:Yes)に処理はステップS64へ進む。角速度補正値Δωが左上限値LUω以上でない場合(ステップS63:No)に処理はステップS65へ進む。
ステップS65において制限部204は、角速度補正値Δωが左下限値LLω未満であるか否かを判定する。
ステップS66において制限部204は、角速度補正値Δωを左下限値LLωで制限し、左下限値LLωを制限角速度補正値Δωaとして出力する。その後に、角速度補正値Δωの制限処理を終了する。
ステップS67において制限部204は、角速度補正値Δωを制限せずにそのまま制限角速度補正値Δωaとして出力する。その後に角速度補正値Δωの制限処理を終了する。
(1)微分器62、粘性係数テーブル63、乗算器64、変換係数テーブル72及び乗算器73は、第1舵角θsの角速度ωと制御角θrとに基づいて角速度補正値Δωを演算する。補正値制限部43は、少なくとも操舵状態、第1舵角の角速度ω、及び第1舵角θsに応じて、角速度補正値Δωを制限する。
転舵角制御部34は、補正目標舵角θsr1と第1舵角θsとの差分に基づいて目標角速度ωr0を演算する目標角速度演算部81と、制限角速度補正値Δωaで目標角速度ωr0を補正して補正目標角速度ωr1を演算する減算器82と、角速度ωが補正目標角速度ωr1となるように転舵モータ22を制御する角速度制御部85を備える。
さらに、補正値制限部43で舵角補正値Δθと角速度補正値Δωを制限することにより、車両の最小旋回半径が大きくなって車両の取り回しが悪化するのを抑制することができるとともに端当て衝撃緩和を高いレベルで実現することができる。
これにより、粘性トルク成分(μ・ω)に基づいて、角速度ωに応じた角速度補正値Δωを演算できる。
Claims (10)
- 転舵機構の第1舵角を検出する第1舵角検出部と、
前記転舵機構を駆動する第1アクチュエータと、
操舵機構の第2舵角を検出する第2舵角検出部と、
少なくとも前記第2舵角に基づいて前記転舵機構の目標舵角を演算する目標舵角演算部と、
前記第1舵角又は前記第2舵角の何れかである第3舵角が、前記第3舵角の取り得る最大舵角から第1閾値舵角までの角度範囲内にある場合に、前記第1閾値舵角を基準とする前記第3舵角の舵角変位を演算する舵角変位演算部と、
少なくとも前記舵角変位に応じて舵角補正値を演算する舵角補正値演算部と、
切り増し操舵状態又は切り戻し操舵状態の何れの操舵状態であるかを判定し、少なくとも操舵状態、前記第3舵角の角速度、及び前記第3舵角に応じて、前記舵角補正値を制限する舵角補正値制限部と、
前記舵角補正値制限部により制限された前記舵角補正値で前記目標舵角を補正して補正目標舵角を演算する補正目標舵角演算部と、
前記第1舵角が前記補正目標舵角となるように前記第1アクチュエータを制御する舵角制御部と、
を備えることを特徴とする転舵制御装置。 - 前記舵角補正値演算部は、
前記転舵機構に作用させる転舵トルクとして、前記舵角変位に応じた弾性トルクを含んだトルクを演算する転舵トルク演算部と、
前記転舵トルクを前記舵角補正値に変換する第1変換部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の転舵制御装置。 - 前記舵角補正値演算部は、
前記転舵機構に作用させる転舵トルクとして、前記舵角変位に応じた弾性トルク、及び前記第1舵角の角速度と前記舵角変位とに応じた粘性トルクの少なくとも一方を含んだトルクを演算する転舵トルク演算部と、
前記転舵トルクを前記舵角補正値に変換する第1変換部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の転舵制御装置。 - 前記転舵トルク演算部は、前記第1舵角の角加速度に応じた慣性トルクを前記弾性トルク及び前記粘性トルクの少なくとも一方に加えて前記転舵トルクを演算することを特徴とする請求項3に記載の転舵制御装置。
- 前記第1変換部は、車速に応じた係数で前記転舵トルクを変換して前記舵角補正値を演算することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の転舵制御装置。
- 前記第1舵角の角速度と前記舵角変位とに基づいて角速度補正値を演算する角速度補正値演算部と、
少なくとも前記操舵状態、前記第3舵角の角速度、及び前記第3舵角に応じて前記角速度補正値を制限する角速度補正値制限部と、
を備え、
前記舵角制御部は、
前記補正目標舵角と前記第1舵角との差分に基づいて前記第1舵角の目標角速度を演算する目標角速度演算部と、
前記角速度補正値制限部により制限された前記角速度補正値で前記目標角速度を補正して補正目標角速度を演算する補正目標角速度演算部と、
前記第1舵角の角速度が前記補正目標角速度となるように前記第1アクチュエータを制御する角速度制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の転舵制御装置。 - 前記角速度補正値演算部は、
前記転舵機構に作用させる粘性トルクを前記舵角変位と前記第1舵角の角速度とに応じて演算する粘性トルク演算部と、
前記粘性トルクを前記角速度補正値に変換する第2変換部と、
を備えることを特徴とする請求項6に記載の転舵制御装置。 - 前記第2変換部は、
車速及び切り増し/切り戻し操舵状態の少なくとも一方に応じた係数で前記粘性トルクを前記角速度補正値に変換することを特徴とする請求項7に記載の転舵制御装置。 - 少なくとも前記第2舵角に基づいて前記操舵機構に付与する目標反力を演算する目標反力演算部と、
前記舵角補正値に応じて前記目標反力を補正する目標反力補正部と、
前記目標反力補正部が補正した前記目標反力に応じて前記操舵機構に反力トルクを付与する第2アクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の転舵制御装置。 - 前記舵角変位演算部は、前記第3舵角が前記第1閾値舵角よりも大きな第2閾値舵角を超えた場合に、前記第3舵角と前記第2閾値舵角との差分に応じて前記第1閾値舵角を変更することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の転舵制御装置。
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