JP7223306B1 - 車両用操向システムの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】転舵機構で発生する摩擦の影響を精度良く補償し、車両が適切に応答することが可能な車両用操向システムの制御装置を提供する。【解決手段】電気的に伝えられる操舵情報に基づいて、転舵アクチュエータを駆動制御することにより、転舵機構を制御する車両用操向システムの制御装置であって、目標転舵角に対して、転舵機構において検出される転舵角を追従させるような電流指令値を演算する転舵角制御部を備え、転舵角制御部が、転舵機構における速度情報及び転舵アクチュエータの駆動に関連する駆動情報を用いて、転舵機構における摩擦により生じる転舵角の追従遅れを補償する補償電流指令値を算出する摩擦補償部を具備し、電流指令値の演算において補償電流指令値による補償を行い、電流指令値を用いて転舵アクチュエータを駆動制御する。【選択図】図6

Description

本発明は、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されているステアバイワイヤシステム等の車両用操向システムの制御装置に関し、特に、電気的に伝えられる操舵角等の情報を用いて転舵機構を制御する車両用操向システムの制御装置に関する。
車両用操向システムの1つとして、運転者が操作するハンドルを有する操舵機構と転舵輪を転舵する転舵機構とが機械的に分離されているステアバイワイヤ(SBW)システムがある。SBWシステムでは、ハンドルの操作を電気信号によって転舵機構に伝えると共に、運転者に適切な操舵感を与えるための操舵反力を操舵機構に生成する。操舵機構は反力用モータを備える反力アクチュエータにより操舵反力を生成し、転舵機構は転舵用モータを備える転舵アクチュエータにより転舵輪を転舵する。
このようなSBWシステムでは、運転者によるハンドル操作を的確に転舵機構に伝え、転舵機構が適切に転舵輪を転舵する必要がある。しかし、運転者がハンドルを僅かに切るような状況等、転舵角に対する目標値である目標転舵角が僅かに変化するような場合、転舵機構で発生する摩擦により目標転舵角に対する転舵角の追従に遅れが生じ、操舵する方向へ車両が適切に動き出さないために、不都合が生じるおそれがある。
特開2020-175770号公報(特許文献1)では、上述のような摩擦による目標転舵角に対する転舵角の追従遅れを補償する車両用操向システムの制御装置が開示されている。特許文献1の制御装置では、目標転舵角速度等の速度情報を用いて算出される補償モータ電流指令値による補償により、追従遅れを補償している。
特開2020-175770号公報
しかしながら、ハンドルを大きく切るような状況等、転舵機構に負荷がかかる場合では、摩擦が大きくなることがある。特許文献1の制御装置では、そのような場合への対応が十分ではないために、追従遅れの補償が不十分になる可能性がある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、転舵機構で発生する摩擦の影響を精度良く補償し、車両が適切に応答することが可能な車両用操向システムの制御装置を提供することにある。
本発明は、電気的に伝えられる操舵情報に基づいて、転舵アクチュエータを駆動制御することにより、転舵機構を制御する車両用操向システムの制御装置に関し、本発明の上記目的は、目標転舵角に対して、前記転舵機構において検出される転舵角を追従させるような電流指令値を演算する転舵角制御部を備え、前記転舵角制御部が、前記転舵機構における速度情報及び前記転舵アクチュエータの駆動に関連する駆動情報を用いて、前記転舵機構における摩擦により生じる前記転舵角の追従遅れを補償する補償電流指令値を算出する摩擦補償部を具備し、前記電流指令値の演算において前記補償電流指令値による補償を行い、前記電流指令値を用いて前記転舵アクチュエータを駆動制御することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記摩擦補償部が、前記速度情報及び前記駆動情報に対してフィルタ処理を行って、補正速度情報及び補正駆動情報を算出するフィルタ部と、変換マップを用いて、前記補正駆動情報に応じて、前記補正速度情報を前記補償電流指令値に変換する変換マップ部とを具備することにより、或いは、前記フィルタ処理が、前記転舵角制御部での速度制御における目標速度に対する実速度の追従特性に基づいて行なわれることにより、或いは、前記変換マップが、前記補正速度情報の大きさが大きくなるに従って、前記補償電流指令値の大きさが所定の値に収束するように大きくなる特性を有することにより、或いは、前記変換マップが、前記補正駆動情報の大きさが大きくなるに従って、前記補償電流指令値の大きさが大きくなる特性を有することにより、或いは、前記摩擦補償部が、前記補償電流指令値をゲイン倍する出力ゲイン部を更に具備することにより、或いは、前記駆動情報が前記電流指令値であることにより、或いは、前記速度情報が、前記目標転舵角に対応する目標転舵角速度又は前記転舵角に対応する転舵角速度であることにより、或いは、前記転舵角制御部が、前記目標転舵角及び前記転舵角の偏差より目標転舵角速度を算出する転舵角フィードバック補償部と、前記転舵角より転舵角速度を算出する転舵角速度演算部と、前記目標転舵角速度及び前記転舵角速度に基づいて基本電流指令値を算出する速度制御部とを更に具備し、前記基本電流指令値を前記補償電流指令値によって補償して前記電流指令値を算出することにより、或いは、前記転舵角制御部が、前記電流指令値の上下限値を制限する出力制限部を更に具備することにより、或いは、前記操舵情報に基づいて前記目標転舵角を生成する目標転舵角生成部を更に備えることにより、或いは、前記目標転舵角生成部が、前記操舵情報に対して、前記転舵角の所定の成分に対応する成分を低減して前記目標転舵角を生成することにより、或いは、前記目標転舵角生成部が、前記操舵情報及び前記目標転舵角より求められる仮想比ストロークが可変となるような前記目標転舵角を生成することにより、より効果的に達成される。
本発明の車両用操向システムの制御装置によれば、速度情報に加えて駆動情報を用いて補償電流指令値を算出し、算出された補償電流指令値による補償を行うことにより、目標転舵角に対する転舵角の追従における転舵機構での摩擦による遅れを、転舵機構にかかる負荷も考慮して補償することができるので、補償の精度を上げ、車両を適切に応答させることができる。
本発明に係る制御装置を備えるSBWシステムの概要の例を示す構成図である。 本発明の構成例を示すブロック図である。 目標転舵角生成部の構成例を示すブロック図である。 制限部での上下限値の設定例を示す線図である。 ノッチフィルタの周波数特性(振幅特性)の例を示す図である。 転舵角制御部の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 摩擦補償部の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 変換マップの特性例を示す線図である。 目標操舵トルク生成部の構成例及び基本マップの特性例を示す図である。 捩れ角制御部の構成例を示すブロック図である。 本発明の動作例を示すフローチャートである。 転舵角制御部の動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。 捩れ角制御部の動作例を示すフローチャートである。 過去電流指令値を使用しないで摩擦補償を行う場合と過去電流指令値を使用して摩擦補償を行う場合の転舵角の時間応答の例を概念的に示すグラフである。 転舵角制御部の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。
本発明は、転舵機構を制御する制御装置であり、転舵機構で発生する摩擦に起因する目標転舵角に対する転舵角の追従遅れの補償(以下、「摩擦補償」とする)を行うために、転舵用モータへの指令である電流指令値の演算において、目標転舵角速度等の転舵機構における速度情報及び電流指令値等の転舵用モータの駆動に関連する駆動情報を用いて算出される補償電流指令値による補償を行う。転舵機構での摩擦は、転舵輪の転舵状態に依存するので、補償電流指令値の算出に目標転舵角速度等の速度情報を用いる。更に、転舵機構にかかる負荷が大きい場合、摩擦も大きくなる傾向があり、転舵機構にかかる負荷は電流指令値等の駆動情報から把握することができるので(例えば、駆動情報が大きい場合は負荷が大きい)、補償電流指令値の算出に駆動情報も用いる。これにより、より実際に近い摩擦を考慮した摩擦補償を行うことができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る制御装置を備えるSBWシステムの構成例について説明する。
図1はSBWシステムの構成例を示した図である。SBWシステムは、運転者が操作するハンドル1を有する操舵機構を構成する反力装置40、転舵輪を転舵する転舵機構を構成する転舵装置30、及び両装置の制御を行う制御装置50を備える。SBWシステムには、一般的な電動パワーステアリング装置が備える、コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2と機械的に結合されるインターミディエイトシャフトがなく、運転者によるハンドル1の操作を電気信号によって、具体的には反力装置40から出力される操舵情報である操舵角θhを電気信号として伝える。
転舵装置30は、転舵用モータ31、転舵用モータ31の回転速度を減速する減速機構32及び回転運動を直線運動に変換するピニオンラック機構34を備える。操舵角θhの変化に合わせて、転舵用モータ31を駆動し、その駆動力を、減速機構32を介してピニオンラック機構34に付与し、タイロッド3a,3bを経て、転舵輪5L,5Rを転舵する。ピニオンラック機構34の近傍には角度センサ33が配置されており、転舵輪5L,5Rの転舵角θtを検出する。転舵角θtとして、転舵用モータ31のモータ角やラックの位置等を使用しても良い。なお、転舵アクチュエータは転舵用モータ31、減速機構32等により構成されるが、転舵用モータ31のみを転舵アクチュエータと呼ぶこともある。
反力装置40は、反力用モータ41及び反力用モータ41の回転速度を減速する減速機構42を備え、転舵輪5L,5Rから伝わる車両の運動状態を、反力用モータ41により生成される反力トルクとして運転者に伝達する。反力装置40は、トーションバー(図示せず)を有するコラム軸2に設けられる舵角センサ43及びトルクセンサ44を更に備え、操舵角θh及びハンドル1の操舵トルクTs(又はトーションバーの捩れ角Δθ)をそれぞれ検出する。
制御装置50は、反力装置40及び転舵装置30を協調制御するために、両装置から出力される操舵角θhや転舵角θt等の情報に加え、車速センサ10で検出される車速Vs等を基に、反力用モータ41を駆動制御するための電圧制御指令値Vref1及び転舵用モータ31を駆動制御するための電圧制御指令値Vref2を生成する。制御装置50には、バッテリ12から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。また、制御装置50には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)20が接続されており、車速VsはCAN20から受信することも可能である。更に、制御装置50には、CAN20以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN21も接続可能である。
制御装置50はCPU(MCU、MPU等も含む)を有し、反力装置40及び転舵装置30の協調制御は、主としてCPU内部においてプログラムで実行される。その制御を行うための構成例(第1実施形態)を図2に示す。図2において、反力用モータ41、PWM(パルス幅変調)制御部920、インバータ930及びモータ電流検出器940を反力装置40が具備し、転舵用モータ31、角度センサ33、PWM制御部420、インバータ430及びモータ電流検出器440を転舵装置30が具備し、その他の構成要素が制御装置50で実現される。なお、制御装置50の構成要素の一部又は全部をハードウェアで実現しても良い。制御装置50は、データやプログラム等を格納するために、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)等を搭載しても良い。また、制御装置50がPWM制御部920、インバータ930、モータ電流検出器940、PWM制御部420、インバータ430及びモータ電流検出器440の一部又は全部を具備しても良い。
制御装置50は、転舵装置30の制御(以下、「転舵制御」とする)を行う構成と、反力装置40の制御(以下、「反力制御」とする)を行う構成を有し、各構成が協調して、反力装置40及び転舵装置30を制御する。
転舵制御は、目標転舵角生成部100、転舵角制御部200、電流制御部300及び減算部410により行われる。目標転舵角生成部100にて操舵角θhに基づいて目標転舵角θtrefが生成され、目標転舵角θtrefは転舵角θtと共に転舵角制御部200に入力され、転舵角制御部200にて、転舵角θtが目標転舵角θtrefとなるような電流指令値Imctが演算される。そして、電流指令値Imctとモータ電流検出器440で検出される転舵用モータ31の電流値(モータ電流値)Imdの偏差I2(=Imct-Imd)が減算部410で算出され、偏差I2に基づいて電流制御部300にて電圧制御指令値Vref2が求められる。転舵装置30では、電圧制御指令値Vref2に基づいて、PWM制御部420及びインバータ430を介して転舵用モータ31が駆動制御される。
目標転舵角生成部100の構成例を図3に示す。目標転舵角生成部100は、制限部110、レート制限部120及び補正部130を備える。
制限部110は、操舵角θhの上下限値を制限して、操舵角θh1を出力する。操舵角θhの上下限値を制限することにより、ハードウェアエラー等によるRAMのデータ化けや通信異常等の影響で操舵角θhが異常値となった場合に、異常な値の出力を抑える。図4に示されるように、操舵角に対する上限値及び下限値を予め設定し、入力する操舵角θhが、上限値以上の場合は上限値を、下限値以下の場合は下限値を、それ以外の場合は操舵角θhを、操舵角θh1として出力する。なお、操舵角が異常値とならない場合や、他の手段で異常な値の出力を抑える場合等では制限部110は省略可能である。
レート制限部120は、非常に急激な操舵が行われた場合、又は、上記のように操舵角が異常値になった場合に、操舵角の急変を防止するために、操舵角θh1の変化量に対して制限値を設定して制限をかけて、操舵角θh2を出力する。例えば、1サンプル前の操舵角θh1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、操舵角θh1を加減算し、操舵角θh2として出力し、制限値以下の場合は、操舵角θh1をそのまま操舵角θh2として出力する。操舵角θh1の変化量に対して制限をかけることにより、目標転舵角の急変を防止し、車両の不安定挙動を抑制する。なお、変化量の絶対値に対して制限値を設定するのではなく、変化量に対して上限値及び下限値を設定して制限をかけるようにしても良く、変化量ではなく変化率や差分率に対して制限をかけるようにしても良い。また、操舵角が急変しない場合や、他の手段で急変を回避する場合等ではレート制限部120は省略可能である。
補正部130は、操舵角θh2を補正して、目標転舵角θtrefを出力する。例えば、操舵角θh2に対して、所定の周波数成分を低減したものを目標転舵角θtrefとする。所定の周波数成分として、例えば、転舵角の周波数成分のうち運転者に不安を感じさせるような周波数成分を対象とし、その周波数成分を低減する。低減手段としては、例えば、狭帯域で急峻な減衰特性を有するノッチフィルタを使用する。ノッチフィルタは2次フィルタとして設計され、周波数特性は、減衰周波数をfeとした場合、下記数1の伝達関数Gで表わされる。
Figure 0007223306000002
ここで、ω=ω=2π×feで、sはラプラス演算子、ζ、ζは減衰係数である。この場合の振幅特性は、例えば図5に示されるような特性となる。図5において、横軸は周波数[Hz]、縦軸は振幅(ゲイン)[dB]であり、減衰周波数feで最も振幅が小さくなっている。なお、低減する周波数成分の帯域がノッチフィルタの阻止帯域程の狭帯域ではない場合等では、ノッチフィルタ以外のバンドストップフィルタを使用しても良い。
転舵角制御部200は、目標転舵角θtrefに対して転舵角θtを追従させるような制御を行い、電流指令値Imctを算出する。図6は転舵角制御部200の構成例を示すブロック図であり、転舵角制御部200は、転舵角フィードバック(FB)補償部210、転舵角速度演算部220、摩擦補償部230、速度制御部240、出力制限部250、過去値保持部260、減算部270及び加算部271を備えている。目標転舵角生成部100から出力される目標転舵角θtrefは減算部270に加算入力され、転舵角θtは減算部270に減算入力されると共に、転舵角速度演算部220に入力される。
転舵角FB補償部210は、減算部270で算出される、目標転舵角θtrefと転舵角θtの偏差Δθtに対して補償値CFB(伝達関数)を乗算し、目標転舵角θtrefに転舵角θtが追従するような目標転舵角速度ωtrefを出力する。補償値CFBは単純なゲインKppでも、PI(比例積分)制御の補償値など一般的に用いられている補償値でも良い。目標転舵角速度ωtrefは摩擦補償部230及び速度制御部240に入力される。
転舵角速度演算部220は、転舵角θtに対する微分演算により転舵角速度ωttを算出し、転舵角速度ωttは速度制御部240に入力される。微分演算として、ハイパスフィルタ(HPF)とゲインによる擬似微分を行なっても良い。
速度制御部240は、I-P制御(比例先行型PI制御)による速度制御を行い、目標転舵角速度ωtref(目標速度)に転舵角速度ωtt(実速度)が追従するような電流指令値(基本電流指令値)Imctaを算出する。減算部243で目標転舵角速度ωtrefと転舵角速度ωttとの差分(ωtref-ωtt)を算出し、その差分を、ゲインKviを有する積分部242にて積分し、積分結果は減算部244に加算入力される。転舵角速度ωttは比例部241にも入力され、ゲインKvpによる比例処理を施され、処理結果は減算部244に減算入力される。そして、減算部244での減算結果が電流指令値Imctaとして出力される。なお、速度制御部240は、I-P制御ではなく、PI制御、P(比例)制御、PID(比例積分微分)制御、PI-D制御(微分先行型PID制御)、モデルマッチング制御、モデル規範制御等の一般的に用いられている制御方法で電流指令値Imctaを算出しても良い。
過去値保持部260は、後述の摩擦補償部230での補償電流指令値ImctCの算出に使用するために、転舵角制御部200から出力される電流指令値Imctを保持する。電流指令値Imctを保持し、次の計算周期における補償電流指令値ImctCの算出に使用するために、保持している電流指令値Imctを基に過去電流指令値Imctpを求め、摩擦補償部230に出力する。例えば、時点tにおける過去電流指令値Imctpとして、前回の計算周期である時点t-1における電流指令値Imctを用いる。或いは、時点t-1からt-nまでのn個の電流指令値Imctを保持しておき、時点tにおける過去電流指令値Imctpとして、n個の電流指令値Imctの平均値を用いても良い。なお、過去値保持部260を摩擦補償部230に組み込んでも良い。特に、時点t-1における電流指令値Imctを用いる場合は、レジスタ等に電流指令値Imctを一時的に保持するだけで良い。
摩擦補償部230は、速度情報として目標転舵角速度ωtrefを使用し、駆動情報として過去電流指令値Imctpを使用し、目標転舵角速度ωtref及び過去電流指令値Imctpに基づいて、摩擦補償のための補償電流指令値ImctCを算出する。図7は摩擦補償部230の構成例を示すブロック図であり、摩擦補償部230はフィルタ部231、入力ゲイン部232、変換マップ部233及び出力ゲイン部234を備える。
フィルタ部231は、速度制御部240での目標転舵角速度ωtrefに対する転舵角速度ωttの追従の特性と一致した特性を有するローパスフィルタ(LPF)によるフィルタ処理を目標転舵角速度ωtref及び過去電流指令値Imctpに対して行う。簡易的には、1次遅れ又は2次遅れの伝達関数を有するLPFを使用し、そのLPFによるフィルタ処理により生じる時間遅れが目標転舵角速度ωtrefに対する転舵角速度ωttの追従遅れと同等となるようにLPFを設計する。フィルタ処理を行われた目標転舵角速度ωtref及び過去電流指令値Imctpは、それぞれ目標転舵角速度ωtref1(補正速度情報)及び過去電流指令値Imctp1(補正駆動情報)として出力される。
入力ゲイン部232は、後続の変換マップ部での処理の精度向上のために、目標転舵角速度ωtref1及び過去電流指令値Imctp1にゲインを乗算し、ゲイン倍された目標転舵角速度ωtref1及び過去電流指令値Imctp1を、それぞれ目標転舵角速度ωtref2及び過去電流指令値Imctp2として出力する。なお、目標転舵角速度ωtref1及び過去電流指令値Imctp1に乗算するゲインは同じでも異なっても良い。
変換マップ部233は、目標転舵角速度に対する補償電流指令値の特性を過去電流指令値に応じて定義した変換マップを用いて、目標転舵角速度ωtref2を補償電流指令値ImctC0に変換する。変換マップにて定義される特性は、目標転舵角速度が-∞から+∞に変化する場合に、補償電流指令値が所定のマイナス値から所定のプラス値に徐々に収束するような特性である。更に、過去電流指令値の大きさに応じて補償電流指令値の大きさは可変となっており、過去電流指令値の大きさが大きい程、補償電流指令値の大きさが大きくなる。例えば、変換マップは、図8に示されるような特性である。転舵機構における摩擦は、転舵角速度が速くなるに従って大きくなり、転舵機構にかかる負荷が大きくなるに従って大きくなるということから、変換マップをこのような特性とする。なお、変換マップを、双曲線正接関数や逆正接関数のような数学関数で表しても良いし、テーブルとして表しても良い。
出力ゲイン部234は、補償電流指令値の加算による電流指令値の補償の程度を調整するために、補償電流指令値ImctC0にゲインを乗算して、ゲイン倍された補償電流指令値ImctC0を補償電流指令値ImctCとして出力する。
なお、フィルタ部231と入力ゲイン部232の順序は逆になっても良く、入力ゲイン部232の機能をフィルタ部231に組み込んで、入力ゲイン部232を省略しても良い。出力ゲイン部234の機能を変換マップ部233に組み込んで、出力ゲイン部234を省略しても良い。
速度制御部240からの電流指令値Imcta及び摩擦補償部からの補償電流指令値ImctCは加算部271で加算され、加算結果は電流指令値Imctbとして出力される。
出力制限部250は、電流指令値Imctbの上下限値を制限して、電流指令値Imctを出力する。目標転舵角生成部100内の制限部110と同様に、電流指令値Imctbに対する上限値及び下限値を予め設定して制限をかける。電流指令値Imctは過去値保持部260及び減算部410に出力される。なお、制限部110と同様に、電流指令値が異常値とならない場合や、他の手段で異常な値の出力を抑える場合等では出力制限部250は省略可能である。
減算部410は電流指令値Imctを加算入力し、減算部410にて、フィードバックされているモータ電流値Imdとの偏差I2が演算される。電流制御部300は偏差I2を入力し、PI制御等により電流制御を行い、電流制御された電圧制御指令値Vref2を出力する。
電圧制御指令値Vref2は転舵装置30に送られ、PWM制御部420に入力されてデューティが演算され、PWM制御部420からのPWM信号により、インバータ430を介して転舵用モータ31がPWM駆動される。転舵用モータ31のモータ電流値Imdはモータ電流検出器440で検出され、制御装置50の減算部410にフィードバックされる。
転舵制御では転舵角θtが目標転舵角θtrefに追従するような制御が行われるが、反力制御ではトーションバーの捩れ角Δθが目標捩れ角Δθrefに追従するような制御が行われる。反力制御は、目標操舵トルク生成部500、変換部600、捩れ角制御部700、電流制御部800及び減算部910により行われる。目標操舵トルク生成部500にて操舵角θh及び車速Vsに基づいて目標操舵トルクTrefが生成され、目標操舵トルクTrefは変換部600にて目標捩れ角Δθrefに変換される。目標捩れ角Δθrefは捩れ角Δθと共に捩れ角制御部700に入力され、捩れ角制御部700にて、捩れ角Δθが目標捩れ角Δθrefとなるような電流指令値Imcが演算される。そして、電流指令値Imcとモータ電流検出器940で検出される反力用モータ41の電流値(モータ電流値)Imrの偏差I1(=Imc-Imr)が減算部910で算出され、偏差I1に基づいて電流制御部800にて電圧制御指令値Vref1が求められる。反力装置40では、電圧制御指令値Vref1に基づいて、PWM制御部920及びインバータ930を介して反力用モータ41が駆動制御される。なお、トーションバーの捩れ角Δθは、コラム軸2のハンドル側に設けられた上側角度センサとトーションバーを挟んで反対側に設けられた下側角度センサにて検出される角度の差として求めても良いし、操舵トルクTsから換算して求めても良い。
目標操舵トルク生成部500は、基本マップを有し、基本マップを用いて、車速Vsをパラメータとする目標操舵トルクTrefを出力する。基本マップはチューニングにより調整されており、例えば、図9(A)に示されるように、目標操舵トルクTrefが、操舵角θhの大きさ(絶対値)|θh|が増加するにつれて増加し、車速Vsが増加するにつれても増加するようになっている。なお、図9(A)において、符号部501は操舵角θhの符号(+1、-1)を乗算部502に出力しており、操舵角θhの大きさからマップにより目標操舵トルクTrefの大きさを求め、これに操舵角θhの符号を乗算し、目標操舵トルクTrefを求める構成となっている。或いは、図9(B)に示されるように、正負の操舵角θhに応じてマップを構成しても良く、この場合、操舵角θhが正の場合と負の場合とで変化の態様を変えても良い。また、図9に示される基本マップは車速感応であるが、車速感応でなくても良い。
変換部600は、トーションバーのバネ定数Ktの逆数の符号を反転した-1/Ktの特性を有しており、目標操舵トルクTrefを目標捩れ角Δθrefに変換する。
捩れ角制御部700の構成例を図10に示す。捩れ角制御部700は、図6に示される転舵角制御部200の構成例において摩擦補償部230、過去値保持部260及び加算部271を除いた構成と同様の構成をしており、目標転舵角θtref及び転舵角θtの代わりに目標捩れ角Δθref及び捩れ角Δθを入力し、捩れ角フィードバック(FB)補償部710、捩れ角速度演算部720、速度制御部740、出力制限部750及び減算部770が、それぞれ転舵角FB補償部210、転舵角速度演算部220、速度制御部240、出力制限部250及び減算部270と同様の構成で同様の動作を行い、電流指令値Imcを出力する。
減算部910、電流制御部800、PWM制御部920、インバータ930及びモータ電流検出器940は、それぞれ減算部410、電流制御部300、PWM制御部420、インバータ430及びモータ電流検出器440と同様な構成で同様な動作を行う。
なお、目標操舵トルク生成部500の前段(操舵角θhの入力口)又は後段に位相補償を行なう位相補償部を挿入しても良い。また、捩れ角制御部700では、捩れ角を制御対象とするのではなく、操舵トルクを制御対象とし、操舵トルクTs及び目標操舵トルクTrefを入力し、操舵トルクTsが目標操舵トルクTrefになるような制御を行っても良い。この場合、変換部600は不要となる。
このような構成において、本実施形態の動作例を図11~図13のフローチャートを参照して説明する。
動作を開始すると、操舵角θh、車速Vs、転舵角θt及び捩れ角Δθが検出又は算出され(ステップS10)、操舵角θhは目標転舵角生成部100及び目標操舵トルク生成部500に、車速Vsは目標操舵トルク生成部500に、転舵角θtは転舵角制御部200に、捩れ角Δθは捩れ角制御部700にそれぞれ入力される。
目標転舵角生成部100では、操舵角θhが制限部110に入力され、制限部110は、予め設定された上限値及び下限値により操舵角θhの上下限値を制限し(ステップS20)、操舵角θh1としてレート制限部120に出力する。レート制限部120は、予め設定された制限値により操舵角θh1の変化量に対して制限をかけ(ステップS30)、操舵角θh2として補正部130に出力する。補正部130は、ノッチフィルタを使用して操舵角θh2を補正し、目標転舵角θtrefを求め(ステップS40)、転舵角制御部200に出力する。
転舵角θt及び目標転舵角θtrefを入力した転舵角制御部200は、電流指令値Imctを演算する(ステップS50)。転舵角制御部200の動作例については、図12のフローチャートを参照して説明する。なお、過去電流指令値Imctpの初期値としてゼロが設定されている。
転舵角制御部200に入力された目標転舵角θtrefは減算部270、転舵角θtは減算部270及び転舵角速度演算部220にそれぞれ入力される(ステップS51)。
減算部270では、目標転舵角θtrefから転舵角θtを減算することにより、偏差Δθtが算出される(ステップS52)。偏差Δθtは転舵角FB補償部210に入力され、転舵角FB補償部210は、偏差Δθtに補償値CFBを乗算することにより偏差Δθtを補償し(ステップS53)、目標転舵角速度ωtrefを摩擦補償部230及び速度制御部240に出力する。
転舵角θtを入力した転舵角速度演算部220は、転舵角θtに対する微分演算により転舵角速度ωttを算出し(ステップS54)、速度制御部240に出力する。
速度制御部240では、目標転舵角速度ωtrefと転舵角速度ωttの差分が減算部243で算出され、その差分が積分部242で積分(Kvi/s)されて減算部244に加算入力される(ステップS55)。更に、転舵角速度ωttは比例部241で比例処理(Kvp)され、比例結果が減算部244に減算入力され(ステップS55)、減算部244での減算結果である電流指令値Imctaが出力される。電流指令値Imctaは加算部271に入力される。
摩擦補償部230では、目標転舵角速度ωtrefに加え、過去値保持部260からの過去電流指令値Imctpがフィルタ部231に入力される。フィルタ部231は、LPFによるフィルタ処理を目標転舵角速度ωtref及び過去電流指令値Imctpに対して行い(ステップS56)、目標転舵角速度ωtref1及び過去電流指令値Imctp1を入力ゲイン部232に出力する。入力ゲイン部232は、目標転舵角速度ωtref1及び過去電流指令値Imctp1にゲインを乗算して、目標転舵角速度ωtref2及び過去電流指令値Imctp2を算出し(ステップS57)、変換マップ部233に出力する。変換マップ部233は、図8に示されるような特性を有する変換マップを使用して、過去電流指令値Imctp2に応じて、目標転舵角速度ωtref2を補償電流指令値ImctC0に変換し(ステップS58)、出力ゲイン部234に出力する。出力ゲイン部234は、補償電流指令値ImctC0にゲインを乗算して補償電流指令値ImctCを算出する(ステップS59)。補償電流指令値ImctCは加算部271に入力される。
加算部271では電流指令値Imctaに補償電流指令値ImctCが加算され(ステップS60)、加算結果である電流指令値Imctbは出力制限部250に入力される。出力制限部250は、予め設定された上限値及び下限値により電流指令値Imctbの上下限値を制限し(ステップS61)、電流指令値Imctとして出力する(ステップS62)。
電流指令値Imctは過去値保持部260に保持されると共に(ステップS70)、減算部410に加算入力される。減算部410では、電流指令値Imctとモータ電流検出器440で検出されたモータ電流値Imdとの偏差I2が算出される(ステップS80)。偏差I2は電流制御部300に入力され、電流制御部300は電流制御により電圧制御指令値Vref2を算出する(ステップS90)。その後、電圧制御指令値Vref2に基づいて、PWM制御部420及びインバータ430を介して、転舵用モータ31が駆動制御される(ステップS100)。
一方、目標操舵トルク生成部500は、図9(A)又は(B)に示される基本マップを用いて、操舵角θh及び車速Vsに応じた目標操舵トルクTrefを生成し(ステップS110)、変換部600に出力する。変換部600は、目標操舵トルクTrefを目標捩れ角Δθrefに変換し(ステップS120)、捩れ角制御部700に出力する。
捩れ角Δθ及び目標捩れ角Δθrefを入力した捩れ角制御部700は、電流指令値Imcを演算する(ステップS130)。捩れ角制御部700の動作例については、図13のフローチャートを参照して説明する。
捩れ角制御部700に入力された目標捩れ角Δθrefは減算部770に、捩れ角Δθは減算部770及び捩れ角速度演算部720にそれぞれ入力される(ステップS131)。
減算部770では、目標捩れ角Δθrefから捩れ角Δθを減算することにより、偏差Δθが算出される(ステップS132)。偏差Δθは捩れ角FB補償部720に入力され、捩れ角FB補償部710は、偏差Δθに補償値を乗算することにより偏差Δθを補償し(ステップS133)、目標捩れ角速度ωrefを速度制御部740に出力する。
捩れ角Δθを入力した捩れ角速度演算部720は、捩れ角Δθに対する微分演算により捩れ角速度ωtを算出し(ステップS134)、速度制御部740に出力する。
速度制御部740は、速度制御部240と同様にI-P制御により電流指令値Imcaを算出し(ステップS135)、出力制限部750に出力する。
出力制限部750は、予め設定された上限値及び下限値により電流指令値Imcaの上下限値を制限し(ステップS136)、電流指令値Imcとして出力する(ステップS137)。
電流指令値Imcは減算部910に加算入力され、モータ電流検出器940で検出されたモータ電流値Imrとの偏差I1が減算部910で算出される(ステップS140)。偏差I1は電流制御部800に入力され、電流制御部800は電流制御により電圧制御指令値Vref1を算出する(ステップS150)。その後、電圧制御指令値Vref1に基づいて、PWM制御部920及びインバータ930を介して、反力用モータ41が駆動制御される(ステップS160)。
なお、図11~図13におけるデータ入力及び演算等の順番は適宜変更可能である。
上述の目標転舵角生成部100の補正部130ではノッチフィルタを使用して操舵角を補正しているが、他の方法で操舵角を補正しても良い。例えば、ハンドル1回転当たりのラックの移動量を示す比ストロークの仮想的な値として、操舵角と目標転舵角との比率(仮想比ストローク)を設定し、仮想比ストロークが可変となるように操舵角を補正しても良い。具体的には、仮想比ストロークの値を適宜変更し、変更された仮想比ストロークを操舵角θh2に乗算したものを目標転舵角θtrefとする。通常、仮想比ストロークは1であるが、急操舵時には仮想比ストロークを大きくすることにより、速い操舵を実現することができる。操舵角の補正の方法として、目標操舵トルク生成部500のように、操舵角θh2の大きさ|θh2|に対する目標転舵角θtrefの特性を定義したマップを用いて、操舵角θh2より目標転舵角θtrefを求めても良い。或いは、単純に、操舵角θh2に所定のゲインを乗算することにより、目標転舵角θtrefを求めるようにしても良い。
また、捩れ角制御部700内の速度制御部740は、転舵角制御部200内の速度制御部240と同様に、I-P制御ではなく、PI制御、P制御、PID制御、PI-D制御等、実現可能で、P、I及びDのいずれかの制御を用いていれば良く、更に、転舵角制御部200及び捩れ角制御部700での追従制御は、一般的に用いられている制御構造で行っても良い。転舵角制御部200については、目標角度(ここでは目標転舵角θtref)に対して実角度(ここでは転舵角θt)が追従する制御構成であれば、車両用装置に用いられている制御構成に限定されず、例えば、産業用位置決め装置や産業用ロボット等の産業用電動機に用いられている制御構成を適用しても良い。
更に、上述の実施形態では、操舵情報として操舵角を使用しているが、上側角度センサが検出するハンドル角や下側角度センサが検出するコラム角を操舵情報として使用しても良い。また、駆動情報として過去電流指令値Imctpを使用しているが、転舵用モータ31の駆動に関連する情報であれば、例えばモータ電流値Imdやモータトルク等を使用しても良い。
第1実施形態での摩擦補償部による摩擦補償の効果について説明する。ここでは、摩擦補償の効果として、摩擦補償に駆動情報を使用する効果について、過去電流指令値を使用しないで摩擦補償を行う場合(以下、「補償ケース1」とする)と過去電流指令値を使用して摩擦補償を行う場合(以下、「補償ケース2」とする)とを比較して、概念的に説明する。
操舵角θhと目標転舵角θtrefを一致させ、運転者がオンセンタから大きく操舵を行ったと想定して、周波数1Hz、振幅15degの正弦波を使用し、目標転舵角θtrefを同正弦波状に変化させた場合、補償ケース1では、図14(A)に示されるように、目標転舵角の方向が反転する丸い破線で囲った箇所のタイミングにおいて、転舵角に遅延が生じることがある。目標転舵角の振幅が大きくなると、摩擦力の影響が大きくなり、遅延の解消が不十分となることがあるからである。なお、図14(A)では、点線が目標転舵角の時間応答を、実線が転舵角の時間応答を示しており、図14(B)も同様である。また、図14(A)は補償ケース1での時間応答を、図14(B)は補償ケース2での時間応答を示している。
これに対して、補償ケース2では、図14(B)での丸い破線で囲った箇所のように、補償ケース1よりも転舵角の遅延を小さくすることができる。目標転舵角の振幅を大きくすると、転舵機構にかかる負荷(=モータ電流)が増加するが、補償ケース1では、モータ電流が増加しても補償電流指令値は変動しないので、摩擦補償では摩擦力の影響を十分に賄い切れず、振幅が最大となった後の遅延が大きい波形となる。一方、補償ケース2では、振幅が最大になる時点、即ち、目標転舵角速度が小さくなる時点での補償電流指令値は、図8で示されるように、過去電流指令値が大きい場合には大きくなるので、転舵機構にかかる負荷の増加に感応して補償電流指令値が増加するので、摩擦補償で摩擦力の影響を賄うことができ、遅延が解消し、滑らかな切り返しが可能となる。
なお、図8において、目標転舵角速度が大きい領域でも目標転舵角速度が小さい領域と同様に、過去電流指令値が大きいほど補償電流指令値を大きくしている。転舵機構における主な摩擦の発生箇所は、減速機構のウォームホイールとウォーム軸との噛合い箇所であり、ここでの摩擦が大きい場合、転舵用モータで発生させるべきトルクは大きくなる。トルクが大きくなると、目標転舵角及び目標転舵角速度も大きくなるので、運転者が大きく速い操舵を行った場合でも、転舵機構にかかる負荷の増加に感応した補償電流指令値を出力することで摩擦を十分に補償することができる。
第1実施形態での摩擦補償部は、速度情報として目標転舵角速度を使用しているが、転舵角速度を速度情報として使用し、転舵角速度及び過去電流指令値に基づいて補償電流指令値を算出することも可能である。この場合の転舵角制御部の構成例(第2実施形態)を図15に示す。図6に示される第1実施形態での転舵角制御部200と比較すると、第2実施形態での転舵角制御部200Aでは、摩擦補償部230Aには目標転舵角速度ωtrefの代わりに転舵角速度演算部220から出力される転舵角速度ωttが入力され、補償電流指令値ImctCaが出力される。
摩擦補償部230Aの構成及び動作は、第1実施形態での摩擦補償部230と同様であるが、目標転舵角速度ωtrefではなく、転舵角速度ωttを対象とするので、それに合わせて、フィルタ部でのLPFの遮断周波数、入力ゲイン部のゲイン値及び出力ゲイン部のゲイン値は、適切な値に変更される。
第2実施形態の動作例は、上記のように、転舵角制御部での摩擦補償部への入力データの流れが変わるだけで、他は第1実施形態の動作例と同じである。
上述の実施形態では1つの制御装置で転舵制御と反力制御を行っているが、転舵制御用の制御装置と反力制御用の制御装置をそれぞれ設けても良い。この場合、制御装置同士は通信によりデータの送受信を行うことになる。また、図1に示されるSBWシステムは反力装置40と転舵装置30の間には機械的な結合を持たないが、システムに異常が発生した場合に、コラム軸2と転舵機構をクラッチ等で機械的に結合する機械的トルク伝達機構を備えるSBWシステムにも、本発明は適用可能である。このようなSBWシステムでは、システム正常時はクラッチをオフにして機械的トルク伝達を開放状態とし、システム異常時はクラッチをオンにして機械的トルク伝達を可能状態とする。更に、反力装置40はトーションバーを備えているが、ハンドル1と反力用モータ41の間に任意のバネ定数を有する機構であればトーションバーに限定しなくても良く、転舵装置30と協調して動作するのであれば、トーションバー等を備えない反力装置でも良い。
なお、上述で使用した図は、本発明に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
本発明の主たる目的は、摩擦により生じる目標転舵角に対する転舵角の追従遅れを補償するための実現手段についてであり、目標転舵角に対する転舵角の追従性の実現手段に関しては、上記の転舵角制御部に限定しなくても良い。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
10 車速センサ
30 転舵装置
31 転舵用モータ
32、42 減速機構
33 角度センサ
40 反力装置
41 反力用モータ
43 舵角センサ
50 制御装置
100 目標転舵角生成部
110 制限部
120 レート制限部
130 補正部
200、200A 転舵角制御部
210 転舵角フィードバック(FB)補償部
220 転舵角速度演算部
230、230A 摩擦補償部
231 フィルタ部
232 入力ゲイン部
233 変換マップ部
234 出力ゲイン部
240、740 速度制御部
250、750 出力制限部
260 過去値保持部
300、800 電流制御部
420、920 PWM制御部
430、930 インバータ
440、940 モータ電流検出器
500 目標操舵トルク生成部
501 符号部
600 変換部
700 捩れ角制御部
710 捩れ角フィードバック(FB)補償部
720 捩れ角速度演算部

Claims (13)

  1. 電気的に伝えられる操舵情報に基づいて、転舵アクチュエータを駆動制御することにより、転舵機構を制御する車両用操向システムの制御装置であって、
    目標転舵角に対して、前記転舵機構において検出される転舵角を追従させるような電流指令値を演算する転舵角制御部を備え、
    前記転舵角制御部が、
    前記転舵機構における速度情報及び前記転舵アクチュエータの駆動に関連する駆動情報を用いて、前記転舵機構における摩擦により生じる前記転舵角の追従遅れを補償する補償電流指令値を算出する摩擦補償部を具備し、
    前記電流指令値の演算において前記補償電流指令値による補償を行い、
    前記電流指令値を用いて前記転舵アクチュエータを駆動制御することを特徴とする車両用操向システムの制御装置。
  2. 前記摩擦補償部が、
    前記速度情報及び前記駆動情報に対してフィルタ処理を行って、補正速度情報及び補正駆動情報を算出するフィルタ部と、
    変換マップを用いて、前記補正駆動情報に応じて、前記補正速度情報を前記補償電流指令値に変換する変換マップ部とを具備する請求項1に記載の車両用操向システムの制御装置。
  3. 前記フィルタ処理が、前記転舵角制御部での速度制御における目標速度に対する実速度の追従特性に基づいて行なわれる請求項2に記載の車両用操向システムの制御装置。
  4. 前記変換マップが、
    前記補正速度情報の大きさが大きくなるに従って、前記補償電流指令値の大きさが所定の値に収束するように大きくなる特性を有する請求項2又は3に記載の車両用操向システムの制御装置。
  5. 前記変換マップが、
    前記補正駆動情報の大きさが大きくなるに従って、前記補償電流指令値の大きさが大きくなる特性を有する請求項2乃至4のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  6. 前記摩擦補償部が、
    前記補償電流指令値をゲイン倍する出力ゲイン部を更に具備する請求項2乃至5のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  7. 前記駆動情報が前記電流指令値である請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  8. 前記速度情報が、前記目標転舵角に対応する目標転舵角速度又は前記転舵角に対応する転舵角速度である請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  9. 前記転舵角制御部が、
    前記目標転舵角及び前記転舵角の偏差より目標転舵角速度を算出する転舵角フィードバック補償部と、
    前記転舵角より転舵角速度を算出する転舵角速度演算部と、
    前記目標転舵角速度及び前記転舵角速度に基づいて基本電流指令値を算出する速度制御部とを更に具備し、
    前記基本電流指令値を前記補償電流指令値によって補償して前記電流指令値を算出する請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  10. 前記転舵角制御部が、
    前記電流指令値の上下限値を制限する出力制限部を更に具備する請求項9に記載の車両用操向システムの制御装置。
  11. 前記操舵情報に基づいて前記目標転舵角を生成する目標転舵角生成部を更に備える請求項1乃至10のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  12. 前記目標転舵角生成部が、前記操舵情報に対して、前記転舵角の所定の成分に対応する成分を低減して前記目標転舵角を生成する請求項11に記載の車両用操向システムの制御装置。
  13. 前記目標転舵角生成部が、前記操舵情報及び前記目標転舵角より求められる仮想比ストロークが可変となるような前記目標転舵角を生成する請求項11に記載の車両用操向システムの制御装置。
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