JP2022147727A - 車両用操向システムの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者に適切なSAT感を伝えることができる車両用操向システムの制御装置を提供する。【解決手段】反力アクチュエータを用いて操舵部材にトルクを付与する反力装置、及び、転舵アクチュエータを用いて転舵部材を転舵する転舵装置を制御する車両用操向システムの制御装置であって、少なくとも操舵部材の操舵角に基づいて基本目標操舵トルクを生成する目標操舵トルク生成部と、補正目標操舵トルクを演算するセルフアライニングトルク補正部とを備え、セルフアライニングトルク推定部が、少なくとも転舵部材の転舵角及び転舵アクチュエータの回転角を用いてセルフアライニングトルク推定値を演算するセルフアライニングトルク推定部と、セルフアライニングトルク推定値より補正目標操舵トルクを決定する補正値決定部とを具備し、基本目標操舵トルク及び補正目標操舵トルクに基づいて、反力アクチュエータを駆動制御するための操舵電流指令値を演算する。【選択図】図3

Description

本発明は、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されているステアバイワイヤ(SBW)システム等の車両用操向システムの制御装置に関し、特に、操舵反力を与える反力装置及び転舵輪を転舵する転舵装置を制御する車両用操向システムの制御装置に関する。
車両用操向システムの1つとして、運転者の操舵部材であるハンドルと接続する操舵機構と転舵部材である転舵輪を転舵する転舵機構とが機械的に分離されているステアバイワイヤ(SBW)システムがある。SBWシステムでは、ハンドルの操作を電気信号によって転舵機構である転舵装置に伝えて転舵輪を転舵すると共に、運転者に適切な操舵感を与えるための操舵反力を操舵機構である反力装置で生成する。反力装置は反力用モータにより操舵反力を生成し、転舵装置は転舵用モータにより転舵輪を転舵する。反力装置とハンドルはコラム軸を介して機械的に接続されており、反力装置が生成した反力(トルク)が、コラム軸とハンドルを介して運転者に伝達される。
SBWシステムにおいて、走行中の路面情報を操舵感として運転者に伝えるべく、セルフアライニングトルク(SAT)に起因した感覚(以下、「SAT感」とする)を運転者に伝えるように、反力装置が生成する操舵反力に、SATに応じた反力を付加するシステムが提案されている。例えば、国際公開2019/167661号(特許文献1)では、運転者の操舵の感覚に基づく適切な操舵トルクを与えるために、トーションバーの捩れ角を操舵角等に応じた値に追従するように制御する捩れ角制御を応用したSBWシステムが提案されている。このSBWシステムでは、ハンドルの操舵角に応じて操舵トルクの目標値である目標操舵トルクを生成し、目標操舵トルクを基に捩れ角の目標値である目標捩れ角を求め、目標捩れ角と捩れ角によるフィードバック制御によりモータ電流指令値を演算し、モータ電流指令値により反力用モータを駆動制御している。そして、SAT感を運転者に伝えるために、操向車輪(転舵輪)の転舵角等からSATを推定し、推定されたSATから演算されるトルク信号を目標操舵トルクに加算している。操向車輪の駆動は、駆動用モータ(転舵用モータ)の駆動力を、ギアを介してピニオンラック機構に付与することにより行われており、この駆動の際にギアとピニオンラック機構を接続する軸(ピニオン軸)の周りに発生するトルクの釣り合いから導出される運動方程式に基づいて、SATを推定している。
国際公開2019/167661号
上述のように、特許文献1のSBWシステムでは、ピニオン軸周りに発生するトルクに関する運動方程式に基づいてSATを推定している。しかし、駆動用モータを駆動させた場合、駆動用モータのモータ駆動軸からピニオン軸までの間の機械構造(例えば、ウォームギア等の減速機構等)にトルクが作用し、モータ駆動軸からピニオン軸までの間の機械構造に変形が生じる場合がある。特許文献1のSAT推定では、このような機械構造の変形を考慮していないため、駆動用モータの発生させるトルクがSATの推定に影響を与える場合がある。特に、ギアのバックラッシ、モータ駆動軸とピニオン軸間の捩れ等が、発生するトルクを介して、SAT推定に影響を与えることがある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、運転者に適切なSAT感を伝えることができる車両用操向システムの制御装置を提供することにある。
本発明は、反力アクチュエータを用いて操舵部材にトルクを付与する反力装置、及び、転舵アクチュエータを用いて転舵部材を転舵する転舵装置を制御する車両用操向システムの制御装置に関し、本発明の上記目的は、少なくとも前記操舵部材の操舵角に基づいて基本目標操舵トルクを生成する目標操舵トルク生成部と、補正目標操舵トルクを演算するセルフアライニングトルク補正部とを備え、前記セルフアライニングトルク補正部が、少なくとも前記転舵部材の転舵角及び前記転舵アクチュエータの回転角を用いてセルフアライニングトルク推定値を演算するセルフアライニングトルク推定部と、前記セルフアライニングトルク推定値より前記補正目標操舵トルクを決定する補正値決定部とを具備し、前記基本目標操舵トルク及び前記補正目標操舵トルクに基づいて、前記反力アクチュエータを駆動制御するための操舵電流指令値を演算することにより達成される。
また、本発明の上記目的は、前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵角、前記回転角及び前記転舵アクチュエータの駆動制御に関連する転舵駆動情報を用いて前記セルフアライニングトルク推定値を演算することにより、或いは、前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵角より演算される転舵角速度から求められる第1粘性トルク、前記転舵角速度より演算される転舵角加速度から求められる第1慣性トルク、前記回転角より演算される回転角速度から求められる第2粘性トルク、前記回転角速度より演算される回転角加速度から求められる第2慣性トルク、及び、前記転舵駆動情報から求められるアクチュエータトルクを用いて、前記セルフアライニングトルク推定値を演算することにより、或いは、前記操舵角に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御するための転舵電流指令値を演算する転舵制御部を更に備え、前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵駆動情報として、前記転舵電流指令値又は前記転舵アクチュエータに供給される電流の値を使用することにより、或いは、前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵角及び前記回転角を用いて前記セルフアライニングトルク推定値を演算することにより、或いは、前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵角より演算される転舵角速度から求められる粘性トルク、前記転舵角速度より演算される転舵角加速度から求められる慣性トルク、及び、前記転舵角と前記回転角のずれに基づいて求められる駆動トルクを用いて、前記セルフアライニングトルク推定値を演算することにより、或いは、前記補正値決定部が、前記セルフアライニングトルク推定値の大きさが大きくなるにしたがって、前記補正目標操舵トルクの大きさが大きくなると共に、前記補正目標操舵トルクの大きさが大きくなる割合が小さくなる特性を有することにより、或いは、前記補正値決定部が有する特性が車速に応じて変化することにより、或いは、前記セルフアライニングトルク補正部が、前記セルフアライニングトルク推定値に含まれるノイズを低減するフィルタ処理部を更に具備し、前記ノイズを低減された前記セルフアライニングトルク推定値を前記補正値決定部に入力することにより、或いは、前記反力装置がトーションバーを有し、前記基本目標操舵トルク及び前記補正目標操舵トルクから演算される目標操舵トルクを目標捩れ角に変換する変換部と、前記目標捩れ角に対して前記トーションバーの捩れ角を追従させるような前記操舵電流指令値を演算する捩れ角制御部とを更に備えることにより、より効果的に達成される。
本発明の車両用操向システムの制御装置によれば、転舵部材の転舵角に加え、転舵アクチュエータの回転角を用いてSATを推定しているので、SAT推定の精度が向上し、適切なSAT感を運転者に伝えることができる。
本発明に係る制御装置を備えるSBWシステムの概要の例を示す構成図である。 コラム軸への各種センサの配設例を示す構造図である。 本発明の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 目標操舵トルク生成部の構成例を示すブロック図である。 基本マップ部の構成例及び基本マップの特性例を示す図である。 ダンパゲインマップの特性例を示す線図である。 操舵の切増し/切戻しを説明するための線図である。 ヒステリシス補正部の特性例を示す線図である。 SAT補正部の構成例を示すブロック図である。 ピニオン軸及びモータ駆動軸周りに発生するトルクの様子を示すイメージ図である。 SAT推定部の構成例(第1実施形態)を示すブロック図である。 補正値マップの特性例を示す線図である。 捩れ角制御部の構成例を示すブロック図である。 3相ブラシレスモータを使用した場合の本発明の構成例の一部を示すブロック図である。 目標転舵角生成部の構成例を示すブロック図である。 制限部での上下限値の設定例を示す線図である。 本発明の動作例(第1実施形態)を示すフローチャートである。 目標操舵トルク生成部の動作例を示すフローチャートである。 SAT補正部の動作例を示すフローチャートである。 目標転舵角生成部の動作例を示すフローチャートである。 位相補償部の挿入例を示すブロック図である。 SAT推定部の構成例(第2実施形態)を示すブロック図である。 トルク決定マップの特性例を示す線図である。 本発明の構成例(第3実施形態)を示すブロック図である。 本発明の構成例(第4実施形態)を示すブロック図である。 本発明の動作例(第4実施形態)の一部を示すフローチャートである。
本発明は、反力装置及び転舵装置を制御する車両用操向システムの制御装置であり、反力装置が生成する操舵反力にセルフアライニングトルク(SAT)に応じた反力を付加するために、少なくとも操舵角に基づいて生成される基本目標操舵トルクに、SATの推定値から求められる補正目標操舵トルクを付与する。そして、SATの推定を、転舵装置内のピニオン軸(ピニオンシャフト)周りでの運動方程式と転舵アクチュエータの駆動軸周りでの運動方程式に基づいて、少なくとも転舵部材の転舵角及び転舵アクチュエータの回転角を用いて行なう。SAT推定では、転舵アクチュエータの駆動制御に関連する情報である転舵駆動情報も用いることができる。このように、転舵角及び回転角を用いてSATを推定することにより、SAT推定の精度が向上し、路面情報として適切なSAT感を創出することができる。SAT感の創出により、雨路面、氷路面等の低μ路を走行中にスリップした際の感覚を操舵感として伝えることができる。つまり、アンダーステア状態を運転者に伝えることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る制御装置を備えるSBWシステムの構成例について説明する。
図1はSBWシステムの構成例を示した図である。SBWシステムは、運転者の操舵部材であるハンドルを有する操舵機構を構成する反力装置30、転舵部材である転舵輪を転舵する転舵機構を構成する転舵装置40、及び両装置の制御を行う制御装置50を備える。SBWシステムには、一般的な電動パワーステアリング装置が備える、コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2と機械的に結合されるインターミディエイトシャフトがなく、運転者によるハンドル1の操作を電気信号によって、具体的には反力装置30から出力される操舵角θhを電気信号として伝える。
反力装置30は、反力用モータ31及び反力用モータ31の回転速度を減速する減速機構32を備え、転舵輪5L,5Rから伝わる車両の運動状態を、反力用モータ31により生成される反力(トルク)として運転者に伝達する。反力装置30は、コラム軸2に設けられる舵角センサ33及び角度センサ34を更に備えている。コラム軸2への舵角センサ33及び角度センサ34の配設は、具体的には図2のようになっている。即ち、舵角センサ33はコラム軸2の上部に設けられ、操舵角θhを検出する。コラム軸2にはトーションバー2Aが介挿されており、角度センサ34として、トーションバー2Aを挟んでコラム軸2のハンドル1側に上側角度センサ34Aが設けられ、トーションバー2Aを挟んでコラム軸2のハンドル1の反対側に下側角度センサ34Bが設けられており、上側角度センサ34Aはハンドル角θを検出し、下側角度センサ34Bはコラム角θを検出する。ハンドル角θ及びコラム角θは捩れ角演算部35に入力され、捩れ角演算部35は下記数1によってトーションバーの捩れ角Δθを求める。
Figure 2022147727000002
なお、磁歪式や光学式等の公知のセンサを用いて、捩れ角Δθを直接求めても良い。反力アクチュエータは反力用モータ31、減速機構32等により構成されるが、反力用モータ31のみを反力アクチュエータと呼ぶこともある。
転舵装置40は、転舵用モータ41、転舵用モータ41の回転速度を減速する減速機構42及び回転運動を直線運動に変換するピニオンラック機構45を備え、減速機構42とピニオンラック機構45はピニオン軸43で接続されている。操舵角θhの変化に合わせて、転舵用モータ41を駆動し、その駆動力を、減速機構42及びピニオン軸43を介してピニオンラック機構45に付与し、タイロッド3a,3bを経て、転舵輪5L,5Rを転舵する。転舵用モータ41の近傍には回転角センサ46が配設されており、転舵用モータ41のモータ角(回転角)θmを検出する。ピニオンラック機構45の近傍には角度センサ44が配設されており、転舵輪5L,5Rの転舵角θtを検出する。転舵角θtとして、ラックの位置等を使用しても良い。また、転舵用モータ41の回転運動を直線運動に変換する機構として、ピニオンラック機構に代えて、ボールねじ機構等を使用しても良い。転舵アクチュエータは転舵用モータ41、減速機構42等により構成されるが、転舵用モータ41のみを転舵アクチュエータと呼ぶこともある。
制御装置50は、反力装置30及び転舵装置40を協調制御するために、両装置から出力される操舵角θhや転舵角θt等の情報に加え、車速センサ10で検出される車速Vs等を基に、反力用モータ31を駆動制御するための電圧制御指令値Vref1及び転舵用モータ41を駆動制御するための電圧制御指令値Vref2を生成する。制御装置50には、バッテリ12から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。また、制御装置50には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)20が接続されており、車速VsはCAN20から受信することも可能である。更に、制御装置50には、CAN20以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN21も接続可能である。
制御装置50はCPU(MCU、MPU等も含む)を有し、反力装置30及び転舵装置40の協調制御は、主としてCPU内部においてプログラムで実行される。その制御を行うための構成例(第1実施形態)を図3に示す。図3において、反力用モータ31、舵角センサ33、角度センサ34、PWM(パルス幅変調)制御部37、インバータ38及びモータ電流検出器39を反力装置30が具備し、転舵用モータ41、角度センサ44、回転角センサ46、PWM制御部47、インバータ48及びモータ電流検出器49を転舵装置40が具備し、その他の構成要素が制御装置50で実現される。なお、制御装置50の構成要素の一部又は全部をハードウェアで実現しても良い。制御装置50は、データやプログラム等を格納するために、RAM(ランダムアクセスメモリ)やROM(リードオンリーメモリ)等を搭載しても良い。また、制御装置50がPWM制御部37、インバータ38、モータ電流検出器39、PWM制御部47、インバータ48及びモータ電流検出器49の一部又は全部を具備しても良い。
制御装置50は、反力装置30の制御を行う構成(以下、「反力制御系」とする)と、転舵装置40の制御を行う構成(以下、「転舵制御系」とする)を有し、反力制御系60と転舵制御系70が協調して、反力装置30及び転舵装置40を制御する。
反力制御系60は、目標操舵トルク生成部100、SAT補正部200、過去値保持部250、変換部300、捩れ角制御部400、電流制御部500、加算部510及び減算部520を備え、トーションバー2Aの捩れ角が目標捩れ角に追従するような制御を行う。目標操舵トルク生成部100にて操舵角θh及び車速Vsに基づいて基本目標操舵トルクTrefAが生成され、SAT補正部200では、SATが推定されて補正目標操舵トルクTrefBが求められ、加算部510での基本目標操舵トルクTrefAと補正目標操舵トルクTrefBの加算結果が、目標操舵トルクTrefとして出力される。目標操舵トルクTrefは、変換部300にて目標捩れ角Δθrefに変換される。目標捩れ角Δθrefは捩れ角Δθと共に捩れ角制御部400に入力され、捩れ角制御部400にて、捩れ角Δθが目標捩れ角Δθrefとなるような操舵電流指令値Imcが演算される。そして、操舵電流指令値Imcとモータ電流検出器39で検出される反力用モータ41の電流値(モータ電流値)Imrの偏差I1(=Imc-Imr)が減算部520で算出され、偏差I1に基づいて電流制御部500にて電圧制御指令値Vref1が求められる。反力装置30では、電圧制御指令値Vref1に基づいて、PWM制御部37及びインバータ38を介して反力用モータ31が駆動制御される。
転舵制御系70は、目標転舵角生成部600、転舵角制御部700、電流制御部800及び減算部810を備え、転舵角θtが目標転舵角θtrefに追従するような制御を行う。目標転舵角生成部600にて操舵角θhに基づいて目標転舵角θtrefが生成され、目標転舵角θtrefは転舵角θtと共に転舵角制御部700に入力され、転舵角制御部700にて、転舵角θtが目標転舵角θtrefとなるような転舵電流指令値Imctが演算される。そして、転舵電流指令値Imctとモータ電流検出器49で検出される転舵用モータ41の電流値(モータ電流値)Imdの偏差I2(=Imct-Imd)が減算部810で算出され、偏差I2に基づいて電流制御部800にて電圧制御指令値Vref2が求められる。転舵角θt及び転舵電流指令値Imctは、反力制御系60のSAT補正部200及び過去値保持部250にもそれぞれ入力される。転舵装置40では、電圧制御指令値Vref2に基づいて、PWM制御部47及びインバータ48を介して転舵用モータ41が駆動制御される。なお、目標転舵角生成部600及び転舵角制御部700で転舵制御部を構成している。
反力制御系60の各部について詳細に説明する。
目標操舵トルク生成部100は、操舵角θh及び車速Vsに基づいて、基本目標操舵トルクTrefAを生成する。目標操舵トルク生成部100の構成例を図4に示す。目標操舵トルク生成部100は、基本マップ部110、微分部120、ダンパゲイン部130、切増し/切戻し判定部140、ヒステリシス補正部150、乗算部160並びに加算部170及び180を備える。操舵角θhは基本マップ部110、微分部120、切増し/切戻し判定部140及びヒステリシス補正部150に入力され、車速Vsは基本マップ部110及びダンパゲイン部130に入力される。
基本マップ部110は、基本マップを有し、基本マップを用いて、車速Vsをパラメータとするトルク信号Tref_aを出力する。トルク信号Tref_aは、基本となる反力を生成するために使用される。基本マップはチューニングにより調整されており、例えば、図5(A)に示されるように、トルク信号Tref_aが、操舵角θhの大きさ|θh|が増加するにつれて増加し、車速Vsが増加するにつれても増加するようになっている。つまり、操舵角θhの大きさが大きくなるにつれ、また、車速Vsが速くなるにつれ、反力が大きくなる。なお、図5(A)において、符号部111は操舵角θhの符号(+1、-1)を乗算部112に出力しており、操舵角θhの大きさからマップによりトルク信号Tref_aの大きさを求め、これに操舵角θhの符号を乗算し、トルク信号Tref_aを求める構成となっている。または、図5(B)に示されるように、正負の操舵角θhに応じてマップを構成しても良く、この場合、操舵角θhが正の場合と負の場合とで変化の態様を変えても良い。また、図5に示される基本マップは車速感応であるが、車速感応でなくても良い。
微分部120は、操舵角θhを微分して舵角速度ωhを算出し、舵角速度ωhは切増し/切戻し判定部140及び乗算部160に入力される。なお、舵角速度ωhの算出において、高域のノイズの影響を低減するために適度にローパスフィルタ(LPF)処理を実施しても良く、ハイパスフィルタ(HPF)とゲインにより、微分演算とLPF処理を実施しても良い。また、舵角速度ωhは、操舵角θhではなく、上側角度センサが検出するハンドル角θ又は下側角度センサが検出するコラム角θに対して微分演算とLPFの処理を行って算出しても良い。舵角速度ωhの代わりに転舵用モータ41のモータ角速度を使用しても良い。この場合、微分部120は不要となる。
ダンパゲイン部130は、舵角速度ωhに乗算されるダンパゲインDを出力する。乗算部160にてダンパゲインDを乗算された舵角速度ωhは、トルク信号Tref_bとして加算部170に入力される。ダンパゲインDは、ダンパゲイン部130が有する車速感応型のダンパゲインマップを用いて、車速Vsに応じて求められる。ダンパゲインマップは、例えば、図6に示されるように、車速Vsが速くなるに従って徐々に大きくなる特性を有する。このようなダンパゲインDを舵角速度ωhに乗算して舵角速度ωhに比例した目標操舵トルクの補償を行うことにより、フィーリングとしての粘性感を持たせることができ、また、ステアリングを切った状態から手放しの状態にした場合、ハンドルが発振することなく収れん性を持たせられ、システム安定性の向上を図れる。ダンパゲインマップは操舵角θhに応じて可変としても良い。
切増し/切戻し判定部140は、例えば図7に示されるように、操舵角θh及び舵角速度ωhの正負関係で切増し/切戻し操舵の判定を行い、判定結果である操舵状態STsをヒステリシス補正部150に出力する。切増し/切戻し操舵の判定を、操舵トルクを使用して行っても良い。即ち、特開2003-170856号公報で示されるように、操舵トルクの符号と操舵トルク変化率の符号とが同一で、かつ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上のときに切増しと判定し、操舵トルクの符号と操舵トルク変化率の符号とが異符号で、かつ操舵トルク変化率の絶対値が所定値以上のときに切戻しと判定するようにしても良い。または、操舵トルクと舵角速度ωhを使用し、操舵トルクと舵角速度ωhの符号が同一の場合に切増しと判定し、異符号の場合に切戻しと判定するようにしても良い。
ヒステリシス補正部150は操舵角θh及び操舵状態STsに基づき、下記数2に従ってトルク信号Tref_cを演算する。なお、下記数2では、x=θh、y=Tref_cとしており、a>1、c>0であり、Ahysはヒステリシス幅である。
Figure 2022147727000003
切増し操舵から切戻し操舵、切戻し操舵から切増し操舵へ切り替える際に、最終座標(x1,y1)の値に基づき、切り替え後の数2の“b”及び“b’”に以下の数3を代入する。これにより、切り替え前後の連続性が保たれる。
Figure 2022147727000004
上記数3は、上記数2中のxにx1を、yi及びydにy1を代入することにより導出することができる。
“a”として1より大きい任意の正数を用いることができ、例えば、ネイピア数“e”を用いた場合、数2及び数3は下記数4及び数5となる。
Figure 2022147727000005
Figure 2022147727000006
数4及び数5においてAhys=1[Nm]、c=0.3と設定し、0[deg]から開始し、+50[deg]、-50[deg]の操舵をした場合の、ヒステリシス補正されたトルク信号Tref_cの線図例を図8に示す。即ち、ヒステリシス補正部150からのトルク信号Tref_cは、0の原点→L1(細線)→L2(破線)→L3(太線)のようなヒステリシス特性を有する。
なお、ヒステリシス特性の出力幅を表す係数であるAhys及び丸みを表す係数であるcを、車速Vs及び/又は操舵角θhに応じて可変としても良い。
トルク信号Tref_b及びTref_cは加算部170で加算され、更に、加算部170での加算結果にトルク信号Tref_aが加算部180で加算され、加算部180での加算結果が基本目標操舵トルクTrefAとして出力される。
過去値保持部250は、SAT補正部200でのSATの推定で使用するために、転舵角制御部700で演算される転舵電流指令値Imctを保持する。転舵角制御部700から出力される転舵電流指令値Imctを保持し、次の計算周期におけるSAT補正部200でのSAT推定に使用するために、保持している転舵電流指令値Imctを基に過去転舵電流指令値Imctpを求め、SAT補正部200に出力する。例えば、時点tにおける過去転舵電流指令値Imctpとして、前回の計算周期である時点t-1における転舵電流指令値Imctを用いる。或いは、時点t-1からt-nまでのn個の転舵電流指令値Imctを保持しておき、時点tにおける過去転舵電流指令値Imctpとして、n個の転舵電流指令値Imctの平均値を用いても良い。なお、過去値保持部250をSAT補正部200に組み込んでも良い。特に、時点t-1における転舵電流指令値Imctを用いる場合は、レジスタ等に転舵電流指令値Imctを一時的に保持するだけで良い。
SAT補正部200は、転舵角、モータ角及び転舵駆動情報の1つである転舵電流指令値を用いて、具体的には転舵角θt、転舵用モータ41のモータ角θm及び過去値保持部250から出力される過去転舵電流指令値Imctpを用いてSATを推定し、その推定値及び車速Vsより補正目標操舵トルクTrefBを求める。SAT補正部200の構成例を図9に示す。SAT補正部200は、SAT推定部210、フィルタ処理部220及び補正値決定部230を備え、転舵角θt、モータ角θm及び過去転舵電流指令値ImctpはSAT推定部210に入力され、車速Vsは補正値決定部230に入力される。
SAT推定部210は、ピニオン軸43周りの回転運動に関する運動方程式(以下、「第1運動方程式」とする)と、転舵装置40内の減速機構42を接続している転舵用モータ41のモータ駆動軸(図示せず)周りの回転運動に関する運動方程式(以下、「第2運動方程式」とする)に基づいてSATを推定する。
転舵用モータ41が駆動しているとき、ピニオン軸43周りでは、図10(A)に示されるように、転舵角θtの変化に起因する慣性トルク(第1慣性トルク)及び粘性トルク(第1粘性トルク)、転舵用モータ41の駆動に基づいて発生する駆動トルク並びにSATが発生し、それらが釣り合うことから、第1運動方程式は下記数6のようになる。
Figure 2022147727000007
Jpはピニオン軸周りの慣性モーメント、Cpはピニオン軸周りの粘性係数、fg(θt,θm)(以下、「fg」と略記することもある)は駆動トルク、TsatはSATである。駆動トルクfgは、転舵角θm及びモータ角θmをパラメータとした値となっている。上記数6において、左辺の第1項が慣性トルク、第2項が粘性トルクである。
モータ駆動軸周りでは、図10(B)に示されるように、モータ角θmの変化に起因する慣性トルク(第2慣性トルク)及び粘性トルク(第2粘性トルク)、駆動トルク並びに転舵用モータ41によるモータトルク(アクチュエータトルク)が発生し、それらが釣り合うことから、第2運動方程式は下記数7のようになる。
Figure 2022147727000008
Jmはモータ駆動軸周りの慣性モーメント、Cmはモータ駆動軸周りの粘性係数、Tmはモータトルク、Ngは減速機構42の減速比である。上記数7においても、左辺の第1項が慣性トルク、第2項が粘性トルクである。
上記数6をfgについて解き、それを数7に代入して、Tsatについて求めると、下記数8が得られる。
Figure 2022147727000009
慣性モーメントJp及びJm並びに粘性係数Cp及びCmは転舵装置40の機械的構造により決定される固有の値であり、予め求めておくことができる。また、モータトルクTmは、転舵電流指令値に予め定められたトルク定数を乗算することにより求めることができる。よって、転舵電流指令値として過去転舵電流指令値Imctpを使用し、転舵角θtから転舵角速度及び転舵角加速度を演算し、モータ角θmからモータ角速度(回転角速度)及びモータ角加速度(回転角加速度)を演算することにより、上記数8に従って、SATを推定することができる。
SAT推定部210の構成例を図11に示す。図11に示されるSAT推定部210は、上記数8に基づいた構成となっており、転舵角θt、モータ角θm及び過去転舵電流指令値Imctpを用いて、SATを推定する。
角速度演算部212bは、転舵角θtに対する微分処理により転舵角速度を算出し、転舵角速度に粘性係数Cpをブロック214bにて乗算することにより、第1粘性トルクが算出される。角加速度演算部213bは、転舵角速度に対する微分処理により転舵角加速度を算出し、転舵角加速度に慣性モーメントJpをブロック215bにて乗算することにより、第1慣性トルクが算出される。角速度演算部212aは、モータ角θmに対する微分処理によりモータ角速度を算出し、モータ角速度に粘性係数Cmをブロック214aにて乗算することにより、第2粘性トルクが算出される。角加速度演算部213aは、モータ角速度に対する微分処理によりモータ角加速度を算出し、モータ角加速度に慣性モーメントJmをブロック215aにて乗算することにより、第2慣性トルクが算出される。換算部211aは、過去転舵電流指令値Imctpにトルク定数を乗算して、モータトルクTmを算出する。減算部216aではモータトルクTmから第2慣性トルク及び第2粘性トルクを減算し、換算部211bは、その減算結果に減速比Ngを乗算し、その乗算結果から第1慣性トルク及び第1粘性トルクを減算部216bで減算することにより、SATを算出し、SAT推定値Tsatとして出力する。
フィルタ処理部220は、SAT推定値Tsatに含まれるノイズを低減するためのフィルタ処理を行う。フィルタ処理は、例えば1次遅れのLPFを使用して行うが、これに限定されない。フィルタ処理を施されたSAT推定値Tsatは、SAT推定値Tstとして出力される。なお、ノイズ低減を他の手段で実現する場合や重畳するノイズが小さい場合等では、フィルタ処理部220を省略しても良い。また、SAT推定部210の特性及びフィルタ処理部220の特性をそれぞれ伝達関数で表現し、2つの伝達関数を統合してSAT推定値Tstを算出する伝達関数を導出し、その伝達関数に対応した構成で、転舵角θt、モータ角θm及び過去転舵電流指令値ImctpよりSAT推定値Tstを求めるようにしても良い。この場合、SAT推定部210及びフィルタ処理部220は統合されることになる。
補正値決定部230は、SAT推定値Tst及び車速Vsより、補正目標操舵トルクTrefBを決定する。補正値決定部230は、SAT推定値と補正目標操舵トルクとの関係を予め定めたマップ(以下、「補正値マップ」とする)を有しており、補正値マップを用いて、車速Vsをパラメータとして、補正目標操舵トルクTrefBを決定する。補正値マップとして、例えば、図12に示されるような特性のマップを使用する。即ち、SAT推定値の大きさ(絶対値)が大きくなると、補正目標操舵トルクの大きさも大きくなるが、その大きくなる割合(傾き)は、SAT推定値の大きさが大きくなる程、小さくなる。つまり、SAT推定値の大きさが大きくなるにつれ、補正目標操舵トルクの大きさが緩やかに大きくなる。また、補正目標操舵トルクは車速によっても変化し、車速が増加すると、補正目標操舵トルクの大きさも大きくなる。なお、SAT推定値と補正目標操舵トルクとの関係を、マップではなく、関数やテーブル等により定義しても良い。また、図12に示される補正値マップは車速感応であるが、車速感応でなくても良い。
加算部510は、基本目標操舵トルクTrefAと補正目標操舵トルクTrefBを加算し、加算結果を目標操舵トルクTrefとして出力する。
変換部300は、トーションバー2Aのバネ定数Ktの逆数“1/Kt”の特性を有しており、目標操舵トルクTrefを目標捩れ角Δθrefに変換する。
捩れ角制御部400は、目標捩れ角Δθref及び捩れ角Δθを入力し、捩れ角Δθが目標捩れ角Δθrefとなるような操舵電流指令値Imcを演算する。捩れ角Δθを操舵角θhに応じた値に追従するように制御することにより、所望の操舵反力を実現する。
図13は捩れ角制御部400の構成例を示すブロック図であり、捩れ角制御部400は、ゲイン部420、440及び470、積分部450、微分部460、減算部410及び480並びに加算部430を備え、微分先行型PID(比例積分微分)制御(PI-D制御)により、目標捩れ角Δθref及び捩れ角Δθを用いて、操舵電流指令値Imcを演算する。目標捩れ角Δθrefは減算部410に加算入力され、捩れ角Δθは減算部410に減算入力されると共に、微分部460に入力される。
減算部410にて目標捩れ角Δθrefと捩れ角Δθの角度偏差dΔθが算出され、角度偏差dΔθはゲイン部420及び440に入力される。ゲイン部420では比例ゲインKpが角度偏差dΔθに乗算され、乗算結果が指令値信号Imc1として加算部430に入力される。ゲイン部440では積分ゲインKiが角度偏差dΔθに乗算され、乗算結果は積分部450に入力されて積分(1/s)され、積分結果が指令値信号Imc2として加算部430に入力される。加算部430では指令値信号Imc1及びImc2が加算され、加算結果である指令値信号Imc3は、減算部480に加算入力される。捩れ角Δθを入力した微分部460は捩れ角Δθを微分(s)し、微分結果はゲイン部470に入力されて微分ゲインKdが乗算され、乗算結果は指令値信号Imc4として減算部480に減算入力される。減算部480では、指令値信号Imc3から指令値信号Imc4が減算され、減算結果が操舵電流指令値Imcとして出力される。
なお、捩れ角制御部400での制御はPI-D制御に限られず、目標捩れ角Δθrefに対して捩れ角Δθが追従するように制御するものであれば良く、PI(比例積分)制御、P(比例)制御、PID制御、I-P制御(比例先行型PI制御)、モデルマッチング制御、モデル規範制御等の一般的に用いられる制御でも良い。また、捩れ角制御部400の後段に、操舵電流指令値Imcの最大値を制限するリミッタを設けても良い。捩れ角制御部400から出力される操舵電流指令値Imcに、ハンドル振動抑制のための電流指令値を加算しても良い。
操舵電流指令値Imcは減算部520に加算入力され、減算部520にて、フィードバックされているモータ電流値Imrとの偏差I1が演算される。電流制御部500は偏差I1を入力し、PI制御等により電流制御を行い、電流制御された電圧制御指令値Vref1を出力する。
電圧制御指令値Vref1は反力装置30に送られ、PWM制御部37に入力されてデューティが演算され、PWM制御部37からのPWM信号により、インバータ38を介して反力用モータ31がPWM駆動される。反力用モータ31のモータ電流値Imrはモータ電流検出器39で検出され、反力制御系60の減算部520にフィードバックされる。
反力用モータ31として、例えば3相ブラシレスモータを使用することができる。ここで、反力用モータ31として3相ブラシレスモータを使用した場合の減算部520から反力装置30までの構成について説明する。
上述の構成例を図14に示しており、減算部520は減算部520a及び520bより構成され、その前段にdq軸電流指令値演算部515が配置され、更に反力制御系60には角速度演算部530及び3相/2相変換部540が追加され、モータ電流検出器39はモータ電流検出器39a、39b及び39cより構成され、反力装置30には回転角センサ36が追加される。なお、舵角センサ33及び角度センサ34は配設されているが、図示していない。
回転角センサ36は反力用モータ31のモータ角θeを検出する。モータ角θeは電気角であり、角速度演算部530、3相/2相変換部540及び電流制御部500に入力される。
角速度演算部530は、モータ角θeに対する微分処理によりモータ角速度ωeを算出する。モータ角速度ωeはdq軸電流指令値演算部515に入力される。
dq軸電流指令値演算部515は、操舵電流指令値Imc及びモータ角速度ωeを用いて、dq回転座標系での電流指令値であるd軸操舵電流指令値Idmc及びq軸操舵電流指令値Iqmcを算出する。d軸操舵電流指令値Idmc及びq軸操舵電流指令値Iqmcは、例えば特許第5282376号公報に記載されているd-q軸電流指令値算出部で実行されている方法等で算出される。同公報での操舵補助電流指令値が操舵電流指令値に相当する。この際、反力用モータ31の機械角に対するモータ角速度が必要な場合は、「電気角=P/2×機械角(Pはモータの磁極数)」との関係を用いて、電気角に対するモータ角速度ωeに基づいて算出する。
3相/2相変換部540は、モータ角θeを用いて、モータ電流検出器39a、39b及び39cがそれぞれ検出する反力用モータ31の各相に流れるモータ電流の値(U相モータ電流値Iumr、V相モータ電流値Ivmr及びW相モータ電流値Iwmr)を2相の電流値に変換する。具体的には、下記数9に従って、3相のモータ電流値を2相の電流値であるd軸モータ電流値Idmr及びq軸モータ電流値Iqmrに変換する。
Figure 2022147727000010
Kは、絶対変換の場合は√(2/3)で、相対変換の場合は2/3であり、変換前後のベクトルの大きさを無視して良い場合は1でも良い。d軸モータ電流値Idmr及びq軸モータ電流値Iqmrは、それぞれ減算部520a及び520bに減算入力される。
電流制御部500は、PI制御部501及び502並びに2相/3相変換部503を備える。
PI制御部501は、d軸操舵電流指令値Idmcとd軸モータ電流値Idmrとの偏差Id1に基づいて、PI制御によりd軸電圧制御指令値Vdref1を求める。同様に、PI制御部502は、q軸操舵電流指令値Iqmcとq軸モータ電流値Iqmrとの偏差Iq1に基づいて、PI制御によりq軸電圧制御指令値Vqref1を求める。なお、PI制御部501及び502での制御はPI制御に限られず、操舵電流指令値に対してモータ電流値が追従するように制御するものであれば一般的に用いられている他の制御、例えばPID制御等でも良い。
2相/3相変換部503は、モータ角θeを用いて、d軸電圧制御指令値Vdref1及びq軸電圧制御指令値Vqref1からなる2相の電圧制御指令値を3相の電圧制御指令値に変換する。具体的には、下記数10に従って、2相の電圧制御指令値を3相の電圧制御指令値であるU相電圧制御指令値Vuref1、V相電圧制御指令値Vvref1及びW相電圧制御指令値Vwref1に変換する。
Figure 2022147727000011
PWM制御部37は、U相電圧制御指令値Vuref1、V相電圧制御指令値Vvref1及びW相電圧制御指令値Vwref1を入力し、上述のようにデューティを演算する。そして、PWM制御部37からのPWM信号により、インバータ38を介して反力用モータ31がPWM駆動される。
転舵制御系70の各部について詳細に説明する。
目標転舵角生成部600は、操舵角θhに基づいて、目標転舵角θtrefを生成する。目標転舵角生成部600の構成例を図15に示す。目標転舵角生成部600は、制限部610、レート制限部620及び補正部630を備える。
制限部610は、操舵角θhの上下限値を制限して、操舵角θh1を出力する。操舵角θhの上下限値を制限することにより、ハードウェアエラー等によるRAMのデータ化けや通信異常等の影響で操舵角θhが異常値となった場合に、異常な値の出力を抑える。図16に示されるように、操舵角に対する上限値及び下限値を予め設定し、入力する操舵角θhが、上限値以上の場合は上限値を、下限値以下の場合は下限値を、それ以外の場合は操舵角θhを、操舵角θh1として出力する。なお、操舵角が異常値とならない場合や、他の手段で異常な値の出力を抑える場合等では制限部610は省略可能である。
レート制限部620は、非常に急激な操舵が行われた場合、又は、上記のように操舵角が異常値になった場合に、操舵角の急変を防止するために、操舵角θh1の変化量に対して制限値を設定して制限をかけて、操舵角θh2を出力する。例えば、1サンプル前の操舵角θh1からの差分を変化量とし、その変化量の絶対値が所定の値(制限値)より大きい場合、変化量の絶対値が制限値となるように、操舵角θh1を加減算し、操舵角θh2として出力し、制限値以下の場合は、操舵角θh1をそのまま操舵角θh2として出力する。操舵角θh1の変化量に対して制限をかけることにより、目標転舵角の急変を防止し、車両の不安定挙動を抑制する。なお、変化量の絶対値に対して制限値を設定するのではなく、変化量に対して上限値及び下限値を設定して制限をかけるようにしても良く、変化量ではなく変化率や差分率に対して制限をかけるようにしても良い。また、操舵角が急変しない場合や、他の手段で急変を回避する場合等ではレート制限部620は省略可能である。
補正部630は、操舵角θh2を補正して、目標転舵角θtrefを出力する。例えば、目標操舵トルク生成部100内の基本マップ部110のように、操舵角θh2の大きさ|θh2|に対する目標転舵角θtrefの特性を定義したマップを用いて、操舵角θh2より目標転舵角θtrefを求める。或いは、単純に、操舵角θh2に所定のゲインを乗算することにより、目標転舵角θtrefを求めるようにしても良い。また、操舵角θh2と目標転舵角θtrefの関係を、車速Vsに基づいて変更しても良い。例えば、車速Vsが大きい場合の舵角比を、車速Vsが小さい場合の舵角比に比べて、小さく変更する。舵角比とは、操舵角θh2の変化量に対する目標転舵角θtrefの変化量を指している。一般的に、車速Vsが大きい場合には、直進安定性を向上させるために、舵角比を小さくすることが望ましく、車速Vsが小さい場合には、わずかなハンドル操作で大きな転舵角θtが得られるように、舵角比を大きくすることが望ましい。車速Vsに応じて舵角比を変更することにより、この相反する特性を両立させることができる。
転舵角制御部700は、捩れ角制御部400と同様の構成及び動作で、PI-D制御により、目標転舵角θtref及び転舵角θtを用いて、目標転舵角θtrefに転舵角θtが追従するような転舵電流指令値Imctを演算する。
減算部810、電流制御部800、PWM制御部47、インバータ48及びモータ電流検出器49は、それぞれ減算部520、電流制御部500、PWM制御部37、インバータ38及びモータ電流検出器39と同様な構成で同様な動作を行う。また、転舵用モータ41として3相ブラシレスモータを使用した場合、減算部810から転舵装置40までの構成は、図14に示される減算部520から反力装置30までの構成と同様な構成となる。
このような構成において、本実施形態の動作例を図17~図20のフローチャートを参照して説明する。
動作を開始すると、操舵角θh、車速Vs、捩れ角Δθ、転舵角θt及びモータ角θmが検出又は算出され(ステップS10)、操舵角θhは目標操舵トルク生成部100及び目標転舵角生成部600に、車速Vsは目標操舵トルク生成部100及びSAT補正部200に、捩れ角Δθは捩れ角制御部400に、転舵角θtはSAT補正部200及び転舵角制御部700に、モータ角θmはSAT補正部200にそれぞれ入力される。
操舵角θh及び車速Vsを入力した目標操舵トルク生成部100は、基本目標操舵トルクTrefAを生成する(ステップS20)。目標操舵トルク生成部100の動作例については、図18のフローチャートを参照して説明する。
目標操舵トルク生成部100に入力された操舵角θhは基本マップ部110、微分部120、切増し/切戻し判定部140及びヒステリシス補正部150に、車速Vsは基本マップ部110及びダンパゲイン部130にそれぞれ入力される(ステップS21)。
基本マップ部110は、図5(A)又は(B)に示される基本マップを用いて、操舵角θh及び車速Vsに応じたトルク信号Tref_aを生成して、加算部180に出力する(ステップS22)。
微分部120は操舵角θhを微分して舵角速度ωhを出力し(ステップS23)、ダンパゲイン部130は図6に示されるダンパゲインマップを用いて車速Vsに応じたダンパゲインDを出力し(ステップS24)、乗算部160は舵角速度ωh及びダンパゲインDを乗算してトルク信号Tref_bを演算し、加算部170に出力する(ステップS25)。舵角速度ωhは切増し/切戻し判定部140にも入力される。
切増し/切戻し判定部140は、操舵角θh及び舵角速度ωhから、操舵の切増し/切戻しを、図7に示される特性に従って判定し、判定結果である操舵状態STsをヒステリシス補正部150に出力する(ステップS26)。
ヒステリシス補正部150は、操舵角θhに対して、操舵状態STsに応じて数4及び数5による演算を切り替えてヒステリシス補正を実施し(ステップS27)、トルク信号Tref_cを生成し、加算部170に出力する(ステップS28)。なお、数4及び数5におけるヒステリシス幅Ahys、c、x1及びy1は予め設定し保持されているが、数5よりb及びb’を予め算出し、x1及びy1の代わりにb及びb’を保持するようにしても良い。
トルク信号Tref_b及びTref_cは加算部170で加算され、その加算結果にトルク信号Tref_aが加算部180で加算され、その加算結果が基本目標操舵トルクTrefAとして出力される(ステップS29)。基本目標操舵トルクTrefAは加算部510に入力される。
車速Vs、転舵角θt及びモータ角θmを入力したSAT補正部200は、過去値保持部250からの過去転舵電流指令値Imctpも入力し、補正目標操舵トルクTrefBを求める(ステップS30)。SAT補正部200の動作例については、図19のフローチャートを参照して説明する。なお、過去転舵電流指令値Imctpの初期値としてゼロが設定されている。
SAT補正部200は、入力した過去転舵電流指令値Imctp、転舵角θt及びモータ角θmをSAT推定部210に、車速Vsを補正値決定部230にそれぞれ入力する。
SAT推定部210は、角速度演算部212bにて転舵角θtから転舵角速度を、更に角加速度演算部213bを介して転舵角加速度を算出し、角速度演算部212aにてモータ角θmからモータ角速度を、更に角加速度演算部213aを介してモータ角加速度を算出し、換算部211aにて過去転舵電流指令値ImctpからモータトルクTmを算出し、それらを用いて、更に換算部211b並びにブロック214b、215b、214a及び215aでの乗算、減算部216b及び216aでの減算により、数8に基づいてSAT推定値Tsatを算出する(ステップS31)。SAT推定値Tsatはフィルタ処理部220に入力される。
フィルタ処理部220は、SAT推定値Tsatに対して、LPFを使用したフィルタ処理を行い、SAT推定値Tstを求める(ステップS32)。SAT推定値Tstは補正値決定部230に入力される。
車速Vs及びSAT推定値Tstを入力した補正値決定部230は、図12に示される特性である補正値マップを使用して、補正目標操舵トルクTrefBを決定する(ステップS33)。補正目標操舵トルクTrefBは加算部510に入力される。
基本目標操舵トルクTrefA及び補正目標操舵トルクTrefBを入力した加算部510は、両者を加算し、加算結果を目標操舵トルクTrefとして変換部300に出力する(ステップS40)。
変換部300は、目標操舵トルクTrefを目標捩れ角Δθrefに変換し(ステップS50)、目標捩れ角Δθrefは捩れ角制御部400に入力される。
捩れ角制御部400は、目標捩れ角Δθrefと共に捩れ角Δθを入力し、図13に示される構成によりPI-D制御を行い、操舵電流指令値Imcを演算する(ステップS60)。
操舵電流指令値Imcは減算部520に加算入力され、モータ電流検出器39で検出されたモータ電流値Imrとの偏差I1が減算部520で算出される(ステップS70)。偏差I1は電流制御部500に入力され、電流制御部500は電流制御により電圧制御指令値Vref1を算出する(ステップS80)。その後、電圧制御指令値Vref1に基づいて、PWM制御部37及びインバータ38を介して、反力用モータ31が駆動制御される(ステップS90)。
一方、操舵角θhを入力した目標転舵角生成部600は、目標転舵角θtrefを生成する(ステップS100)。目標転舵角生成部600の動作例については、図20のフローチャートを参照して説明する。
目標転舵角生成部600に入力された操舵角θhは制限部610に入力される。制限部610は、予め設定された上限値及び下限値により操舵角θhの上下限値を制限し(ステップS101)、操舵角θh1としてレート制限部620に出力する。レート制限部620は、予め設定された制限値により操舵角θh1の変化量に対して制限をかけ(ステップS102)、操舵角θh2として補正部630に出力する。補正部630は、操舵角θh2を補正して目標転舵角θtrefを求める(ステップS103)。目標転舵角θtrefは転舵角制御部700に入力される。
転舵角制御部700は、目標転舵角θtrefと共に転舵角θtを入力し、PI-D制御により転舵電流指令値Imctを求める(ステップS110)。
転舵電流指令値Imctは過去値保持部250に保持されると共に(ステップS120)、減算部810に加算入力される。減算部810では、転舵電流指令値Imctとモータ電流検出器49で検出されたモータ電流値Imdとの偏差I2が算出される(ステップS130)。偏差I2は電流制御部800に入力され、電流制御部800は電流制御により電圧制御指令値Vref2を算出する(ステップS140)。その後、電圧制御指令値Vref2に基づいて、PWM制御部47及びインバータ48を介して、転舵用モータ41が駆動制御される(ステップS150)。
なお、図17~図20におけるデータ入力及び演算等の順番は適宜変更可能である。
上述の実施形態において、目標操舵トルク生成部100はダンパゲイン部130及びヒステリシス補正部150を備えるが、ダンパゲインによる効果及び/又はヒステリシス補正による効果を別の手段で実現する場合や、演算量削減を重視する場合等では、ダンパゲイン部130及び/又はヒステリシス補正部150並びにそれらに関連する構成要素を削減しても良い。また、基本マップ部110の前段又は後段に位相補償を行なう位相補償部190を挿入しても良い。つまり、図4中の破線で囲まれた領域Rの構成を、図21(A)又は(B)に示されるような構成にしても良い。位相補償部190において、位相補償として位相進み補償を設定し、例えば、分子の遮断周波数を1.0Hz、分母の遮断周波数を1.3Hzとした1次フィルタで位相進み補償を行う場合、スッキリしたフィールを実現することができる。目標操舵トルク生成部100に関しては、操舵角に基づいた構成であるならば、上述の構成に限られない。
本発明の他の実施の形態について説明する。なお、以降の各実施形態において、既出の他の実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、その説明の一部又は全てを省略する。
第1実施形態でのSAT推定部210は、上記の第1運動方程式及び第2運動方程式より導出された数8に基づいてSATを推定しているが、第1運動方程式のみを用いて、SATを推定することもできる。即ち、上記数6をTsatについて解くと、下記数11が得られる。
Figure 2022147727000012
よって、転舵角θt及びモータ角θmに基づいて駆動トルクfgを求めることにより、SATを推定することができる。
上述に対応したSAT推定部の構成例(第2実施形態)を図22に示す。第2実施形態でのSAT推定部210Aは上記数11に基づいた構成となっており、転舵角θt及びモータ角θmを用いて、SATを推定する。図11に示される第1実施形態でのSAT推定部210と比べると、過去転舵電流指令値Imctpが入力されておらず、換算部211a及び211b、角速度演算部212a、角加速度演算部213a、ブロック214a及び215a並びに減算部216aがなく、代わりにトルク決定部217が配置されている。また、過去転舵電流指令値Imctpを使用しないことから、過去値保持部250が不要となる。
トルク決定部217は、転舵角θt及びモータ角θmに基づいて駆動トルクfgを求める。トルク決定部217は、例えば、図23に示されるような特性のマップ(以下、「トルク決定マップ」とする)を使用して、駆動トルクfgを決定する。即ち、減速比Ngを基にモータ角θmをピニオン軸換算(ピニオン軸に対する値に変換)し、転舵角θtとピニオン軸換算されたモータ角(θm/Ng)の偏差に対する駆動トルクfgを予め定めたトルク決定マップを使用して、駆動トルクfgを決定する。トルク決定マップは、上記偏差の大きさがゼロから大きくなるにしたがって、駆動トルクfgの大きさがゼロから徐々に大きくなる特性となっている。なお、トルク決定マップの特性は、偏差に対して直線的、つまり比例して駆動トルクfgが変化する特性でも良い。この場合、マップではなく、偏差にゲインを乗算して駆動トルクfgを演算するようにしても良い。
SAT推定部210Aでは、角速度演算部212b、角加速度演算部213b並びにブロック214b及び215bにより粘性トルク及び慣性トルクが演算され、トルク決定部217にて決定された駆動トルクfgから粘性トルク及び慣性トルクが減算部216bで減算され、減算結果をSAT推定値Tsatとして出力する。
第2実施形態の動作は、第1実施形態の動作と比べると、SAT推定部の動作(図19に示されるフローチャートでのステップS31)が上述のように変わり、過去値保持部250の動作(図17に示されるフローチャートでのステップS120)がなくなるだけで、他の動作は同じである。
第1実施形態でのSAT推定部210は、モータトルクTmを過去転舵電流指令値Imctpから算出しているが、過去転舵電流指令値Imctpではなく、転舵用モータ41の電流値であるモータ電流値Imdから算出することもできる。第1実施形態では、転舵電流指令値とモータ電流値はほぼ一致していると見做して、転舵電流指令値を用いてSATを推定している。しかし、時間遅れや誤差等により両値に偏差が存在していることがあり、その偏差がモータトルク演算に、更にSAT推定に反映し、その結果、SAT感の伝達に影響を与えるかもしれない。そこで、転舵電流指令値に代わりにモータ電流値を使用することにより、その影響を軽減することができる。
上述に対応した本発明の構成例(第3実施形態)を図24に示す。図3に示される第1実施形態と比べると、第3実施形態での制御装置50B内の反力制御系60Bには、過去値保持部250がなく、SAT補正部200には、過去転舵電流指令値Imctpではなく、モータ電流検出器49で検出されるモータ電流値Imdが入力されている。
SAT補正部200では、転舵駆動情報としてモータ電流値Imdを使用し、転舵角θt、モータ角θm及びモータ電流値Imdを用いて、SATを推定する。
第3実施形態の動作は、第1実施形態の動作と比べると、過去値保持部250の動作がなくなり、モータ電流検出器49で検出されたモータ電流値Imdが減算部810の他にSAT補正部200に入力され、SAT補正部200の動作が上述のように変わるだけで、他の動作は同じである。
なお、第2実施形態に対しても、過去転舵電流指令値Imctpの代わりにモータ電流値Imdを用いたSAT推定を行っても良い。
上述の実施形態(第1~第3実施形態)では、反力制御系は捩れ角が目標捩れ角に追従するような制御を行っているが、反力制御系での制御はそれに限られず、操舵トルクが目標操舵トルクに追従するような制御を行っても良い。図25に、第1実施形態での反力制御系において、操舵トルクが目標操舵トルクに追従するような制御を行う場合の構成例(第4実施形態)を示す。
第4実施形態での制御装置50C内の反力制御系60Cでは、図3に示される第1実施形態と比べると、捩れ角制御部400がトルク制御部900に代わっており、変換部300がなく、操舵トルク演算部950が追加されている。
操舵トルク演算部950は、捩れ角演算部35で求められる捩れ角Δθを操舵トルク(トーションバーのトルク)Ttに換算する。例えば、捩れ角Δθにトーションバー2Aのバネ定数Ktを乗算することにより、操舵トルクTtを求める。操舵トルクTtは、例えば特開2008-216172号公報で示されるトルクセンサを用いて検出することも可能である。
トルク制御部900は、捩れ角制御部400と同様の構成及び動作で、PI-D制御により、目標操舵トルクTref及び操舵トルクTtを用いて、目標操舵トルクTrefに操舵トルクTtが追従するような操舵電流指令値Imcを演算する。
第4実施形態の動作例を図26のフローチャートを参照して説明する。図26には、図17に示される第1実施形態の動作例の中で、動作が異なる箇所のみを示している。
図17に示されるフローチャート中のステップS10で算出された捩れ角Δθは操舵トルク演算部950に入力され、ステップS40で生成された目標操舵トルクTrefはトルク制御部900に入力される。
操舵トルク演算部950は、捩れ角Δθにバネ定数Ktを乗算し、操舵トルクTtを算出する(ステップS50A)。操舵トルクTtはトルク制御部900に入力される。
トルク制御部900は、目標操舵トルクTref及び操舵トルクTtに対するPI-D制御により操舵電流指令値Imcを求める(ステップS60A)。その後、ステップS70へと続く。
なお、第2及び第3実施形態に対しても、反力制御系において、操舵トルクが目標操舵トルクに追従するような制御を行っても良い。
上述の実施形態(第1~第4実施形態)では1つの制御装置が反力制御系及び転舵制御系を有しているが、反力制御系のみを有する制御装置と転舵制御系のみを有する制御装置をそれぞれ設けても良い。この場合、制御装置同士は通信によりデータの送受信を行うことになる。図1に示されるSBWシステムは反力装置30と転舵装置40の間には機械的な結合を持たないが、システムに異常が発生した場合に、コラム軸2と転舵機構をクラッチ等で機械的に結合する機械的トルク伝達機構を備えるSBWシステムにも、本発明は適用可能である。このようなSBWシステムでは、システム正常時はクラッチをオフにして機械的トルク伝達を開放状態とし、システム異常時はクラッチをオンにして機械的トルク伝達を可能状態とする。更に、反力装置30はトーションバーを備えているが、ハンドル1と反力用モータ31の間に任意のバネ定数を有する機構であればトーションバーに限定しなくても良い。
なお、上述で使用した図は、本発明に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
1 ハンドル
2 コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)
2A トーションバー
10 車速センサ
30 反力装置
31 反力用モータ
32、42 減速機構
33 舵角センサ
34、44 角度センサ
35 捩れ角演算部
36、46 回転角センサ
37、47 PWM制御部
38、48 インバータ
39、49 モータ電流検出器
40 転舵装置
41 転舵用モータ
43 ピニオン軸
50、50B、50C 制御装置
60、60B、60C 反力制御系
70 転舵制御系
100 目標操舵トルク生成部
110 基本マップ部
130 ダンパゲイン部
140 切増し/切戻し判定部
150 ヒステリシス補正部
190 位相補償部
200 SAT補正部
210、210A SAT推定部
211a、211b 換算部
212a、212b、530 角速度演算部
213a、213b 角加速度演算部
217 トルク決定部
220 フィルタ処理部
230 補正値決定部
250 過去値保持部
300 変換部
400 捩れ角制御部
500、800 電流制御部
501、502 PI制御部
503 2相/3相変換部
515 dq軸電流指令値演算部
540 3相/2相変換部
600 目標転舵角生成部
610 制限部
620 レート制限部
630 補正部
700 転舵角制御部
900 トルク制御部
950 操舵トルク演算部

Claims (10)

  1. 反力アクチュエータを用いて操舵部材にトルクを付与する反力装置、及び、転舵アクチュエータを用いて転舵部材を転舵する転舵装置を制御する車両用操向システムの制御装置であって、
    少なくとも前記操舵部材の操舵角に基づいて基本目標操舵トルクを生成する目標操舵トルク生成部と、
    補正目標操舵トルクを演算するセルフアライニングトルク補正部とを備え、
    前記セルフアライニングトルク補正部が、少なくとも前記転舵部材の転舵角及び前記転舵アクチュエータの回転角を用いてセルフアライニングトルク推定値を演算するセルフアライニングトルク推定部と、前記セルフアライニングトルク推定値より前記補正目標操舵トルクを決定する補正値決定部とを具備し、
    前記基本目標操舵トルク及び前記補正目標操舵トルクに基づいて、前記反力アクチュエータを駆動制御するための操舵電流指令値を演算することを特徴とする車両用操向システムの制御装置。
  2. 前記セルフアライニングトルク推定部が、
    前記転舵角、前記回転角及び前記転舵アクチュエータの駆動制御に関連する転舵駆動情報を用いて前記セルフアライニングトルク推定値を演算する請求項1に記載の車両用操向システムの制御装置。
  3. 前記セルフアライニングトルク推定部が、
    前記転舵角より演算される転舵角速度から求められる第1粘性トルク、前記転舵角速度より演算される転舵角加速度から求められる第1慣性トルク、前記回転角より演算される回転角速度から求められる第2粘性トルク、前記回転角速度より演算される回転角加速度から求められる第2慣性トルク、及び、前記転舵駆動情報から求められるアクチュエータトルクを用いて、前記セルフアライニングトルク推定値を演算する請求項2に記載の車両用操向システムの制御装置。
  4. 前記操舵角に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御するための転舵電流指令値を演算する転舵制御部を更に備え、
    前記セルフアライニングトルク推定部が、前記転舵駆動情報として、前記転舵電流指令値又は前記転舵アクチュエータに供給される電流の値を使用する請求項2又は3に記載の車両用操向システムの制御装置。
  5. 前記セルフアライニングトルク推定部が、
    前記転舵角及び前記回転角を用いて前記セルフアライニングトルク推定値を演算する請求項1に記載の車両用操向システムの制御装置。
  6. 前記セルフアライニングトルク推定部が、
    前記転舵角より演算される転舵角速度から求められる粘性トルク、前記転舵角速度より演算される転舵角加速度から求められる慣性トルク、及び、前記転舵角と前記回転角のずれに基づいて求められる駆動トルクを用いて、前記セルフアライニングトルク推定値を演算する請求項5に記載の車両用操向システムの制御装置。
  7. 前記補正値決定部が、
    前記セルフアライニングトルク推定値の大きさが大きくなるにしたがって、前記補正目標操舵トルクの大きさが大きくなると共に、前記補正目標操舵トルクの大きさが大きくなる割合が小さくなる特性を有する請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  8. 前記補正値決定部が有する特性が車速に応じて変化する請求項7に記載の車両用操向システムの制御装置。
  9. 前記セルフアライニングトルク補正部が、
    前記セルフアライニングトルク推定値に含まれるノイズを低減するフィルタ処理部を更に具備し、
    前記ノイズを低減された前記セルフアライニングトルク推定値を前記補正値決定部に入力する請求項1乃至8のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
  10. 前記反力装置がトーションバーを有し、
    前記基本目標操舵トルク及び前記補正目標操舵トルクから演算される目標操舵トルクを目標捩れ角に変換する変換部と、
    前記目標捩れ角に対して前記トーションバーの捩れ角を追従させるような前記操舵電流指令値を演算する捩れ角制御部とを更に備える請求項1乃至9のいずれかに記載の車両用操向システムの制御装置。
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