JP5751169B2 - ポリウレタンポリマー溶液及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、ポリエステルポリオールはエステル結合を有するため、これを用いて製造されたポリウレタンポリマーは耐加水分解性に劣るという欠点がある。また、ポリエーテルポリオールはエーテル結合を有するため、これを用いて製造されたポリウレタンポリマーは耐候性、耐熱性に劣るという欠点がある。
これに対して、−〔O−R−O(CO)〕−(式中、Rは二価の炭化水素基を示す)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオールは、上記の欠点がなく、このポリカーボネートポリオールを用いて製造されるポリウレタンポリマーは、耐加水分解性、耐候性、耐熱性等に優れ、工業的にも製造が容易であるという利点を有している。
本発明は、有機溶剤中への分散性に優れ、かつ、塗布、乾燥し、必要により焼き付けして得られる塗膜の硬度が優れたものになるポリウレタンポリマー溶液及びその製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供するものである。
[1]少なくとも下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位とを有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a)とポリイソシアネート化合物(c)とを反応させて得られるポリウレタンポリマーと有機溶剤とを含有するポリウレタンポリマー溶液。
本発明の製造方法によれば、上記特性を有するポリウレタンポリマー溶液を効率的に製造することができる。
本発明のポリウレタンポリマー溶液は、少なくとも上記式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリカーボネートポリオール(a)を原料として合成されていることを特徴とする。
本発明のポリウレタンポリマー溶液は、ポリカーボネートポリオール単位(a)とポリイソシアネート単位(c)とを含有してなるポリウレタンポリマーを含有し、前記ポリカーボネートポリオール単位(a)が少なくとも前記式(1)で表される繰り返し単位を含有する。ポリウレタンポリマーは、前記式(1)で表される繰り返し単位を含有するポリカーボネートポリオール(a)とポリイソシアネート化合物(c)とを反応させて得られるポリウレタンプレポリマーであり、場合によっては、さらに鎖延長剤(B)を反応させて得られるポリウレタンポリマーでもよい。
以下、本発明のポリウレタンポリマー溶液に用いられる各成分について説明する。
本発明においては、少なくとも下記式(1)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a)が用いられる。
ポリカーボネートポリオール(a)としては、(i)下記式(1)で表される繰り返し単位を主成分として有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a−1)、及び(ii)下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位とを有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a−2)が好ましく挙げられる。
本明細書においては、ポリカーボネートポリオール(a−1)及びポリカーボネートポリオール(a−2)を総称して、「ポリカーボネートポリオール(a)」又は「(a)成分」ともいう。
JIS K 1557に基づき、JIS K 0071−1に規定されるハーゼン単位色数(APHA)は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、更に好ましくは70以下、特に好ましくは1〜60である。
水酸基価は、好ましくは35〜600mgKOH/g、より好ましくは50〜400mgKOH/g、更に好ましくは100〜150mgKOH/g、特に好ましくは110〜130mgKOH/gである。
酸価は、好ましくは1mgKOH/g以下、より好ましくは0.1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.01〜0.05mgKOH/gである。
融点は、好ましくは−100〜+250℃、より好ましくは−80〜+200℃、更に好ましくは−20〜+170℃、特に好ましくは0〜160℃である。
ガラス転移点は、好ましくは−80〜+50℃、より好ましくは−60〜+20℃であり、更に好ましくは−55〜−20℃である。
粘度は、好ましくは0.01〜10Pa・s(75℃)、より好ましくは0.05〜5Pa・s(75℃)、更に好ましくは0.1〜1.5Pa・s(75℃)である。
ハーゼン単位色数(APHA)、水酸基価、酸価、融点、ガラス転移点及び粘度の測定方法は、実施例に記載の通りである。
ポリカーボネートポリオール(a−1)は式(1)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基のポリオールである。
式(1)におけるZ1及びZ2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基であるが、置換基としては、ウレタン化反応に関与しない基が好ましく、その炭素鎖中にヘテロ原子又はエステル結合を含有していてもよく、脂環式構造、エーテル結合等を含んでいてもよい。
置換基を有していてもよい炭素数1〜10の二価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、1−オクタメチレン基等が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルカンジイル基が好ましい。
また、ベンゼン環に対するZ1及びZ2の結合位置は、1,4−結合(パラ体)又は1,3−結合(メタ体)が好ましく、1,4−結合(パラ体)がより好ましい。
特に好適なポリカーボネートポリオール(a−1)は、下記式(2)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基であるポリオールである。
式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜18であり、より好ましくは2〜13である。
式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の含有量は、ポリカーボネートポリオール(a−1)中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
また、ポリカーボネートポリオール(a−1)の数平均分子量は、好ましくは200〜3,000、より好ましくは300〜2,000、更に好ましくは400〜1,000である。該数平均分子量が高すぎると、融点が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。また、数平均分子量が低すぎるとカーボネート結合の数が減り、ポリカーボネートポリオール(a−1)としての性質を発現しにくい場合がある。なお、数平均分子量の測定方法は、実施例に記載の通りである。
炭酸エステル法としては、例えば、次の製法Aが好ましく挙げられる。
製法Aは、下記の反応式で示されるように、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)と炭酸エステル(a−1−2)とを、触媒の存在下又は不存在下でエステル交換反応させて、ポリカーボネートポリオール(a’−1)を得る方法である。
なお、製法Aにおいては、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)として1,4−ベンゼンジメタノールを用いる反応例を示すが、他の芳香族ジヒドロキシル化合物を用いる場合も同様に行うことができる。
上記製法Aにおいては、エステル交換反応時に、炭酸エステル(a−1−2)に由来するアルコール類(R1OH、R2OH等)が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。また、上記製法Aにおいて、炭酸エステル(a−1−2)の代わりに、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンを用いることもできるが、この場合は、炭酸アルキレンに由来するグリコール類が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)、炭酸エステル(a−1−2)、及びエステル交換反応の詳細については後述する。
ポリカーボネートポリオール(a−2)は、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール共重合体であり、ポリカーボネートジオール共重合体であることが好ましい。
式(3)中、R3は、置換基を有していてもよい炭素数3〜20の二価の炭化水素基を示すが、置換基としては、ウレタン化反応に関与しない基が好ましく、その炭素鎖中にヘテロ原子又はエステル結合を含有していてもよく、脂環式構造、エーテル結合等を含んでいてもよい。
R3の具体例としては、トリメチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、3−メチルペンタン−1,5−ジイル基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、シクロヘキサン基、1,4−シクロヘキサンジメタノ基等が挙げられる。これらの中では、炭素数3〜14、好ましくは炭素数3〜6の直鎖又は分岐鎖のアルカンジイル基が好ましい。
ポリカーボネートポリオール(a−2)において、[(式(1)で表される繰り返し単位)/(式(3)で表される繰り返し単位)]のモル比は1/9〜9/1が好ましく、1/5〜5/1がより好ましく、1/3〜3/1が更に好ましい。式(1)で表される繰り返し単位の割合が高いと、ポリカーボネートポリオール(a−2)の粘度が高くなるため、ウレタン化反応時のポリカーボネートポリオール(a−2)の取り扱いが難しくなる傾向がある。式(1)で表される繰り返し単位の割合が低いと、本発明のポリウレタンポリマー溶液を用いて得られる塗膜の硬度が低くなる傾向がある。
式(1)で表される繰り返し単位と、式(3)で表される繰り返し単位とは、ブロック共重合されていてもよいし、ランダム共重合されていてもよい。
式(1)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜15であり、該繰り返し単位の含有量は、ポリカーボネートポリオール(a−2)中、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは25〜75モル%である。
式(3)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは2〜20であり、該繰り返し単位の含有量は、ポリカーボネートポリオール(a−2)中、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは25〜75モル%である。
ポリカーボネートポリオール(a−2)の数平均分子量は、好ましくは200〜3,000、より好ましくは300〜2,000、更に好ましくは900〜1,500である。なお、数平均分子量の測定方法は、実施例に記載の通りである。
炭酸エステル法としては、例えば、次の製法Bが好ましく挙げられる。
製法Bは、下記の反応式で示されるように、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)と炭酸エステル(a−1−2)とジヒドロキシル化合物(a−1−3)とを、触媒の存在下又は不存在下で、エステル交換反応させてポリカーボネートポリオール(a’−2)を得る方法である。
また、下記製法Bの反応式において、反応式を簡便に表記するため、ポリカーボネートポリオール(a’−2)として、両末端に芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)由来の構成単位が存在する場合のみを記載している。しかし、該末端は芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)由来の構成単位に限定されない。
上記製法Bにおいては、エステル交換反応時に、炭酸エステル(a−1−2)に由来するアルコール類(R1OH、R2OH等)が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。また、上記製法Bにおいて、炭酸エステル(a−1−2)の代わりに、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンを用いることもできるが、この場合は、炭酸アルキレンに由来するグリコール類が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。
前記製法A及びBにおいて使用できる芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)は、下記式(4)で表される。
また、Z1及びZ2は、1,4−結合(パラ体)又は1,3−結合(メタ体)が好ましく、1,4−結合(パラ体)がより好ましい。
特に好適な芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)としては、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,4−ベンゼンジプロパノール、1,4−ベンゼンジブタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジエタノール、1,3−ベンゼンジプロパノール、1,3−ベンゼンジブタノール、4−(4−ヒドロキシメチルフェニル)ブタノール、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]プロパノール等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の二価の脂肪族炭化水素基を有する化合物が挙げられる。
前記製法A及びBにおいて使用できる炭酸エステル(a−1−2)は特に制限されないが、炭酸エステルに由来する副生アルコール類を効率よく抜き出すことができるものを適宜選択することが望ましい。例えば、炭酸ジアルキル、炭酸ジアリール、炭酸アルキレン等が挙げられる。
炭酸ジアルキルとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有する炭酸ジアルキルが好ましく、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
炭酸ジアリールとしては、炭酸ジフェニル等が挙げられる。
炭酸アルキレンとしては、炭素数2〜4のアルカンジイル基を有する炭酸アルキレンが好ましく、具体的には、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等が挙げられる。これらの中では、副生アルコール類の抜き出しやすさの観点から、炭素数1〜4のアルキル基を有する炭酸ジアルキルが好ましく、炭酸ジメチル又は炭酸ジエチルが特に好ましく、炭酸ジメチルが最も好ましい。
前記製法Bにおいて使用できるジヒドロキシル化合物(a−1−3)は特に制限されない。例えば、炭素数3〜20のアルカンジオール(R3が炭素数3〜20の二価の脂肪族炭化水素基である場合)、前記アルカンジオールのアルキレン基部分の炭素鎖が分岐しているもの、前記アルカンジオールのアルキレン基部分の炭素鎖が脂環式構造やエーテル結合を含むもの等が挙げられる。
炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜14のアルカンジオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
前記アルキレン基部分の炭素鎖が分岐している化合物としては、1,3−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。
前記アルキレン基部分の炭素鎖がエーテル結合を含む化合物としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記の中でも、取扱い性及び入手のしやすさから、ジヒドロキシル化合物(a−1−3)としては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数4〜8、特に炭素数4〜6のアルカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の炭素数5〜8の脂環式構造を含むジオールがより好ましい。
前記製法A及びBにおける反応で使用できる触媒としては、通常のエステル交換反応で使用される触媒(エステル交換触媒)が挙げられる。例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、マンガン化合物、ニッケル化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく挙げられる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属のカルボン酸塩(酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(リチウムメトキシド、ネトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等)等が挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム等)、アルカリ土類金属アルコキシド(マグネシウムメトキシド等)等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、亜鉛のカルボン酸塩(酢酸亜鉛等)、亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられ、マンガン化合物としては、マンガンのカルボン酸塩(酢酸マンガン等)、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられ、ニッケル化合物としては、ニッケルのカルボン酸塩(酢酸ニッケル等)、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンのカルボン酸塩(酢酸アンチモン等)、アンチモンアルコキシド等が挙げられ、ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド等)、ジルコニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
有機スズ化合物としては、ジブチルチンオキシド、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等が挙げられる。
なお、各カルボン酸塩は、炭素数2〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましく、各アルコキシドは、アルコキシ基の炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましい。
上記の触媒の中では、チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、チタン化合物がより好ましく、チタンアルコキシドが更に好ましい。チタンアルコキシドの中では、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドがより好ましく、チタンテトラブトキシドが特に好ましい。
なお、上記の芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)、炭酸エステル(a−1−2)、ジヒドロキシル化合物(a−1−3)、及び触媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポリウレタンポリマー溶液には、必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。
前記添加剤としては、各種樹脂成分、樹脂粒子、無機粒子、充填剤、顔料、染料、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などが挙げられ、これらは任意のものを用いることができる。
前記製法A及びBにおけるエステル交換反応は、触媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、反応効率の観点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。
エステル交換反応における反応温度及び反応圧力は、用いる炭酸エステル(a−1−2)とジヒドロキシル化合物(a−1−3)の種類によって異なるが、製法Aの場合は1,4−ベンゼンジメタノール等の芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)、製法Bの場合は芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)及びジヒドロキシル化合物(a−1−3)が実質的に留出しない条件とすることが好ましい。反応温度は90〜230℃であることが好ましく、反応圧力は常圧から30〜500mmHgの減圧とすることが好ましい。なお反応は、空気、炭酸ガス、又は不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下又は気流中で行うことができるが、不活性ガス雰囲気下又は気流中で行うことが好ましい。
さらに触媒を用いる場合の使用量は、反応性の観点から、製法Aの場合は、反応開始時における芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)と炭酸エステル(a−1−2)との合計仕込み量に対して、製法Bの場合は、反応開始時における芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)、炭酸エステル(a−1−2)及び、ジヒドロキシル化合物(a−1−3)の合計仕込み量に対して、触媒の質量基準で1〜20,000ppmが好ましく、10〜5,000ppmがより好ましく、100〜4,000ppmが更に好ましい。
さらに、1,4−ベンゼンジメタノール等の芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)と炭酸エステル(a−1−2)とを反応させて得られる高分子量のポリカーボネートポリオールと、ジヒドロキシル化合物(a−1−3)とを存在下又は不存在下でエステル交換反応させて、ポリカーボネートポリオール(a−2)を得ることもできる。
なお、生成したポリカーボネートポリオール(a−1)又は(a−2)の平均分子量が目的とする平均分子量よりも小さい場合は、更に減圧下で、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)及び/又はジヒドロキシ化合物(a−1−3)を留出させ、逆に該平均分子量が目的とする平均分子量よりも大きい場合は、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)及び/又はジヒドロキシル化合物(a−1−3)を添加して更にエステル交換反応させて、目的とする平均分子量のポリカーボネートポリオール(a−1)又は(a−2)を得ることができる。
また、本発明のポリカーボネートポリオール(a−2)の繰り返し単位の構成モル比率は、芳香族ジヒドロキシル化合物(a−1−1)とジヒドロキシル化合物(a−1−3)とのモル比の変更等によって調製することができる。
本発明においては、(a)成分以外のポリオール(b)(以下、単に「ポリオール(b)」ともいう)として、例えば、高分子量ジオールや低分子量ジオールを更に用いることができる。
用いることのできる高分子量ジオールに特に制限はなく、例えば、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、アクリルジオール、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエーテルポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリへキサメチレンカーボネートジオール等が挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリへキサメチレンイソフタレートアジペートジオール、ポリエチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンセバケートジオール、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール、1,6−へキサンジオールとダイマー酸の重縮合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのランダム共重合体やブロック共重合体等が挙げられる。
前記ポリオール(b)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
該水酸基当量数としては、得られるポリウレタンポリマー溶液を塗布して得た塗膜の硬度の観点から、好ましくは130〜270、より好ましくは160〜265、特に好ましくは180〜260である。
前記水酸基当量数は、以下の式で算出することができる。
各ポリオールの水酸基当量数=各ポリオールの分子量/各ポリオールのOH基の数
合計の水酸基当量数=M/ポリオールの合計モル数
上記式において、Mは、[〔ポリカーボネートポリオール(a)の水酸基当量数×ポリカーボネートポリオール(a)のモル数〕+〔ポリオール(b)の水酸基当量数×ポリオール(b)のモル数)〕]を示す。
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物(c)は特に制限されない。その具体例としては、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−ジクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネーネート等の脂環式ポリシアネート化合物等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物の1分子当たりのイソシアネート基は通常2個であるが、得られるポリウレタンポリマーがゲル化をしない範囲で、トリフェニルメタントリイソシアネートのようなイソシアネート基を3個以上有するポリイソシアネート化合物も使用することができる。
これらの化合物の中では、反応性の制御と弾性率付与等の観点から、4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(c)は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、ポリウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応性を有する鎖延長剤(B)を用いることができる。鎖延長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシリレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミン化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール化合物、ポリエチレングリコールに代表されるポリアルキレングリコール類、水等が挙げられるが、中でも1級ジアミン化合物が好ましい。
鎖延長剤(B)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
鎖延長剤を用いることにより、ポリウレタンポリマーの分子量を向上させやすくなり、ポリウレタンポリマー溶液を用いて得られる塗膜の硬度も高くなる傾向がある。
本発明で用いられるポリウレタンポリマーは、下記のいずれかの方法によって得ることができる。
(i)ポリカーボネートポリオール(a)とポリイソシアネート化合物(c)とを反応させる方法。
(ii)ポリカーボネートポリオール(a)とポリオール(b)とポリイソシアネート化合物(c)とを反応させる方法。
(iii)ポリカーボネートポリオール(a)とポリイソシアネート化合物(c)と鎖延長剤(B)とを反応させる方法。
(iv)ポリカーボネートポリオール(a)とポリオール(b)とポリイソシアネート化合物(c)と鎖延長剤(B)とを反応させる方法。
ポリオール成分とポリイソシアネート化合物(c)との反応温度は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜120℃であり、ポリオール(a)と鎖延長剤(B)との反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは0〜60℃である。
反応条件等の詳細については、後述する〔ポリウレタンポリマー溶液の製造方法〕の欄で説明する。
ポリウレタンポリマー溶液中のポリウレタンポリマーの割合は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%である。
本発明のポリウレタンポリマー溶液の製造方法は、特に限定されないが、下記工程(1)と、さらに必要に応じて工程(2)を含む方法によれば、効率的に製造することができる。
工程(1):少なくとも下記式(1)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a)と、ポリイソシアネート化合物(c)とを有機溶剤中で反応させてポリウレタンプレポリマー(A)を得る工程
以下、本発明の製造方法における各工程について説明する。
工程(1)は、少なくとも前記式(1)で表される繰り返し単位を有し、両末端が水酸基であるポリカーボネートポリオール(a)と、ポリイソシアネート化合物(c)と、必要に応じて更にポリオール(b)とを反応させてポリウレタンプレポリマー(A)を得る工程である。
工程(1)は触媒の存在下又は不存在下で行うことができる。触媒としては、例えば、錫系触媒(トリメチル錫ラウレート、ジブチル錫ジラウレート等)や鉛系触媒(オクチル酸鉛等)等の金属と有機酸又は無機酸の塩、有機金属誘導体、アミン系触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等)、ジアザビシクロウンデセン系触媒等が挙げられる。これらの中では、反応性の観点から、ジブチル錫ジラウレートが好ましい。
工程(1)の反応は、無溶剤下でも有機溶剤存在下でも行うことができる。有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、酢酸エチル等が挙げられる。N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンは、得られたポリウレタンポリマー溶液の塗膜を作成する際に造膜助剤として働くため好ましい。
工程(1)は、不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、大気雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、好ましくは40〜150℃、よりが好ましくは60〜120℃である。反応温度が40℃未満だと原料が溶解しなかったり、得られたウレタンプレポリマー(A)の粘度が高くて充分に撹拌できない場合があり、反応温度が150℃を超えると副反応が起こる等の不具合が発生する場合がある。
ポリカーボネートポリオール(a)の割合は、好ましくは60〜95質量部、より好ましくは65〜90質量部、更に好ましくは75〜90質量部である。この割合が60質量部未満だと、得られるポリウレタンポリマー溶液を塗布して得た塗膜の硬度が低くなる傾向があり、95質量部を超えると塗膜が硬くなりすぎる場合がある。
ポリオール(b)の割合は、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0〜10質量部、更に好ましくは0〜5質量部である。ポリオール(b)の割合が30質量部を超えると、全ポリオール成分中の前記ポリカーボネートポリオール(a)の割合が少なくなりすぎるため、塗膜の硬度が低くなったり、ポリウレタンポリマーの溶解性が悪くなる場合がある。
前記ポリオール成分の水酸基のモル数が多すぎると、分子量が小さくなりすぎるため、得られる塗膜の伸びが十分に得られない場合がある。また、前記ポリオール成分の水酸基のモル数が少なすぎると、未反応の前記ポリイソシアネート化合物(c)が多量に反応系内に残り、前記鎖延長剤と反応してしまったり、水と反応して分子伸長を起こすため、本発明のポリウレタンポリマー溶液を塗布して得られる塗膜にブツが生じる場合がある。
ウレタンプレポリマー(A)を得る場合において、ポリカーボネートポリオール(a)及びポリオール(b)からなるポリオール成分とポリイソシアネート化合物(c)との反応は、(a)成分、(b)成分を順不同で(c)成分と反応させてもよく、2種以上の成分を予め混合した後(c)成分と反応させてもよい。
ポリウレタンプレポリマー(A)を有機溶剤中に分散させる方法に特に制限はない。例えば、(i)有機溶剤をホモミキサーやホモジナイザー等によって撹拌しながら、ウレタンプレポリマー又はウレタンプレポリマー溶液を添加する方法、(ii)ウレタンプレポリマーをホモミキサーやホモジナイザー等によって撹拌しながら、有機溶剤を添加する方法等が挙げられる。
工程(2)は、有機溶剤中のポリウレタンプレポリマー(A)と、該ポリウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応性を有する鎖延長剤(B)とを反応させてポリウレタンポリマー溶液を得る工程である。
工程(2)の反応温度は、通常0〜80℃、好ましくは0〜60℃である。反応は冷却下でゆっくりと行ってもよく、また場合によっては60℃以下の加熱条件下で反応を促進して行ってもよい。
鎖延長剤(B)の添加量は、得られるウレタンプレポリマー中の鎖延長の起点となるイソシアネート基の当量以下であることが好ましく、イソシアネート基の0.7〜0.99当量であることがより好ましい。イソシアネート基の当量を超えて鎖延長剤(B)を添加した場合には、鎖延長されたウレタンポリマーの分子量が低下する場合があり、得られたポリウレタンポリマー溶液を塗布して得た塗膜の強度が低下する場合がある。
本発明の製造方法により得られたポリウレタンポリマー溶液は、塗布、乾燥して得られる塗膜の強度に特に優れており、耐加水分解性、耐久性、耐熱性、耐摩耗性を有している。
例えば塗料に用いる場合、着色顔料や体質顔料を用いることができる。着色顔料としては、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機系顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタンなどの無機系顔料などを挙げることができる。体質顔料としては、カオリン、タルクなどが挙げられる。
また、添加剤として、その他に任意に可塑剤や安定剤、無機充填剤または触媒などを含んでいてもよい。可塑剤として、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等が挙げられる。安定剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤などがあげられる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化カルシウム、タルク、クレー、硫酸アルミニウム、塩化ビニルペーストレジン等が挙げられる。これら単独又は1種以上を使用することができ、表面処理したものも適宜使用できる。
なお、ポリカーボネートポリオールの物性の測定、及びポリウレタンフィルムの硬度の測定は、以下の方法により行った。
(1)数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算での数平均分子量を測定した。
(2)水酸基価:JIS K 1557のB法に準拠して測定した。
(3)酸価:JIS K 1557の指示薬滴定法に準拠して測定した。
(4)水分:カールフィッシャー水分計を使用した電量滴定法で測定した。
(5)融点、ガラス転移温度:示差走査熱量分析法(測定温度範囲:−100〜200℃)により測定した
(6)粘度:E型粘度計を用いて75℃で測定した。
(標準液の調製)
塩化白金酸カリウム1.245g、塩化コバルト・6水塩1.000g、水500m1及び塩酸100mlを1Lのメスフラスコに入れ、完全に溶解したのち、水を標線まで加えた溶液を準備する。この溶液はAPHA標準液No.500に相当し、各種標準液はこのNo.500標準液を水で希釈して調製する。例えばAPHA標準液No.100は、No.500標準液20.0mlを水80.0mlで希釈して調製する。
(測定方法)
無色透明で底の肉厚が等しく内径約23mmの同質同径の共栓付平底ガラス管で、液量が約100mlになるように底部から同じ高さのところに標線を刻んだ比色管に、泡の入らないように注意して標線までサンプルを入れる。ついで白色板上に適当なAPHA標準液と並べて上方から見て比較し、試料に最も近似した濃度の標準液を求め、その標準液No.をハーゼン単位色数とする。
サンプル台に塗膜サンプルを置き、ペンドラム式硬度計(BYK-Gardner GmbH社製、ペンドラム ハードネス試験機)で振幅減衰時間を測定した。
振幅減衰時間が長いほど、硬度が高いということを意味する。
〔ポリカーボネートジオール(A)の製造〕
精留塔、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ジメチルカーボネート199.3g(2.21mol)、1,4−ベンゼンジメタノール65.2g(0.47mol)、1,6−ヘキサンジオール167.2g(1.41mol)、チタンテトラブトキサイド0.03gを仕込み、常圧、撹拌下、窒素気流中でメタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、エステル交換反応を5時間行った。この間、反応温度は95℃から200℃まで徐々に昇温させ、留出物の組成はメタノール及びジメチルカーボネートの共沸組成ないしはその近傍となるように調節した。
この後徐々に100mmHgまで減圧し、撹拌下、メタノールとジメチルカーボネートとの混合物を留去しながら、195℃でエステル交換反応を更に4時間行った。反応終了後(メタノール及びジメチルカーボネートの留去終了後)、反応液を室温まで冷却し、ポリカーボネートジオール(A)280gを得た。
得られたポリカーボネートジオール(A)は、数平均分子量が950、水酸基価が118mgKOH/g、酸価が0.02mgKOH/g、水分が32ppm、融点が33℃、ガラス転移点が−50.9℃、粘度が0.6Pa・s(75℃)、ハーゼン単位色数が40であった。
〔ポリカーボネートジオール(B)の製造〕
ジメチルカーボネート170.2g(1.89mol)、1,4−ベンゼンジメタノール109.9g(0.80mol)、1,6−ヘキサンジオール94.0g(0.80mol)、チタンテトラブトキサイド0.02gを仕込んだこと以外は製造例1と同様にしてポリカーボネートジオール共重合体230gを得た。
得られたポリカーボネートジオール共重合体に、1,4−ベンゼンジメタノール2.78g(0.021mol)、1,6−ヘキサンジオール2.38g(0.020mol)を更に添加して、200mmHg、180℃でエステル交換反応を行い、ポリカーボネートジオール(B)235gを得た。
得られたポリカーボネートジオール(B)は、数平均分子量が999、水酸基価が112mgKOH/g、酸価が0.02mgKOH/g、水分が26ppm、融点が120℃、ガラス転移点が−38.3℃、ハーゼン単位色数が50であった。
(1)ポリウレタンポリマー溶液(I)の製造
撹拌機、温度計を備えた内容積300mlのガラス製セパラブルフラスコに、製造例1で得られたポリカーボネートジオール(A)30.46g、1,4−ブタンジオール5.55g、ジメチルアセトアミド235.23gを加え、85℃の浴温で撹拌した(内温75〜85℃)。30分後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート24.03gを加えて同温度で撹拌した。90分後、イソシアナート基含量を定量したところイソシアナート基含有率が0.10%以下であったので反応を終了し、無色透明なポリウレタンポリマー溶液(I)を得た。
(2)ポリウレタンフィルム(I)の作製
上記(1)で得られたポリウレタンポリマー溶液(I)をガラス基板に塗布し、一晩室温で静置した後、60℃で1時間、120℃で3時間、熱硬化し、ポリウレタンフィルム(I)を得た。得られたポリウレタンフィルム(I)の硬度は、振幅減衰時間で230秒であった。
ポリカーボネートジオール(A)をポリカーボネートジオール(B)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンポリマー溶液(II)を製造した。また、実施例1と同様にして、ポリウレタンポリマー溶液(II)からポリウレタンフィルム(II)を作製した。得られたポリウレタンフィルム(II)の硬度は、振幅減衰時間で317秒であった。
(1)ポリウレタンポリマー溶液(III)の製造
撹拌機、温度計を備えた内容積1Lのガラス製セパラブルフラスコに、宇部興産株式会社製、ETERNACOLL(登録商標)「UH−100」(1,6−ヘキサンジオール及び炭酸エステルを原料として製造されたポリカーボネートジオール、モル質量:1000g/mol、水酸基価:112.2mgKOH/g)30.30g、1,4−ブタンジオール5.50g、ジメチルアセトアミド235.30gを加え、85℃の浴温で撹拌した(内温75℃〜85℃)。30分後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート24.60gを加えて同温度で撹拌した。90分後、イソシアナート基含量を定量したところイソシアナート基含有率が0.10%以下であったので反応を終了し、無色透明なポリウレタンポリマー溶液(III)を得た。
(2)ポリウレタンフィルム(III)の作製
上記(1)で得られたポリウレタンポリマー溶液(III)を用いて、実施例1と同様にしてポリウレタンフィルム(III)を得た。得られたポリウレタンフィルム(III)の硬度は、振幅減衰時間で126秒であった。
また、本発明の製造方法によれば、上記特性を有するポリウレタンポリマー溶液を効率的に製造することができる。
Claims (6)
- 前記ポリカーボネートポリオール(a)の数平均分子量が200〜3000である、請求項1に記載のポリウレタンポリマー溶液。
- [(前記式(1)で表される繰り返し単位)/(前記式(3)で表される繰り返し単位)]のモル比が1/9〜9/1である、請求項1に記載のポリウレタンポリマー溶液。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリウレタンポリマー溶液を含有する塗料組成物。
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